Archive for the ‘刑事事件’ Category
ちょっとした暴行で傷害致死罪?
ちょっとした暴行で傷害致死罪?
傷害致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県太宰府市に住むAさんは、Vさん、Wさんと福岡市内の居酒屋で飲んだ後、カラオケに行くことになりました。しかし、カラオケ店に行く途中、AさんとVさんはお金の貸し借りのことで喧嘩となりました。Aさんは、もともとVさんが一向にお金を返さないことに不満を抱いており、さらに今回のVさんとの言動からVさんがAさんにお金を返す気がない、と思いました。Aさんは、そんなVさんがカラオケ代までおごってくれ、と頼んできたことから、Vさんに対する怒りが頂点に達し、「お前いいかげんにしろ!」と言って両手でVさんの胸を勢いよく押したところ、Vさんは酔った勢いも加勢して仰向けに転倒させてしまいました。その結果、Vさんの後頭部を道路の縁石に打ちつけさせ意識不明の状態に陥らせてしまいました。Aさんはパニック状態となっていたため、Wさんの119番通報により、Vさんは駆け付けた救急隊員により病院へ搬送されましたが搬送先で死亡してしまいました。その後、Aさんは、警察に傷害致死罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~ 傷害致死罪 ~
傷害致死罪は刑法205条に規定されています。
刑法205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
本罪は傷害罪(刑法204条)の
結果的加重犯
です。
結果的加重犯とは、
一定の基本となる犯罪(基本犯)の構成要件を実現した後、犯罪行為から行為者(Aさん)の予期しない重い結果が生じたときに、その重い結果について刑が加重される犯罪
のことをいいます。
~ 傷害罪(基本犯) ~
では、傷害致死罪の基本犯である傷害罪をみていきましょう。
同罪は、刑法204条に規定されています。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、他方で、傷害致死罪は「3年以上の有期懲役(上限は懲役20年)」ですから、確かに刑が加重されている(重くなっている)ことが分かります。
傷害罪が成立するためには(構成要件)、
①暴行行為(暴行の認識(故意))→②傷害→③、①と②との間の因果関係(パターン1)
あるいは、
①傷害故意(傷害の認識(故意))→②傷害→③、①と②との間の因果関係(パターン2)
が必要です。
~ 「予期しない重い結果が生じたこと」 ~
傷害致死罪が成立するには、さらに、上記要件に加えて
予期しない重い結果(人の死)が生じたこと
が必要です。
「予期しない」という点がポイントで、予期していた場合は、殺人罪(刑法199条)が成立します。
刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
予期していたか、予期していなかったかで法定刑に大きな開きがあることがお分かりいただけるかと思います。
~ 因果関係が必要 ~
傷害罪では、暴行行為や傷害行為と傷害との間に因果関係が必要とされましたが、傷害致死罪でも同様に、
傷害と人の死との間に因果関係が必要
とされます。
仮に、因果関係が認められない場合は、行為者に人の死についての責任を問うことはできませんから、傷害罪が成立するにとどまります。
~ ちょっとした暴行でも傷害致死罪に! ~
これまでご説明してきたことからすると、傷害致死罪は、パターン1によっても成立する可能性があるということになります。
つまり、ちょっとした暴行でも、それによって相手方を死亡させ、その暴行と死亡との間に因果関係が認められる場合は、傷害致死罪に問われることがあるということです。
~ 傷害致死罪は裁判員裁判対象事件 ~
傷害致死罪は、一般人も裁判に参加する裁判員裁判対象事件です。
裁判員裁判対象事件で適切な事実認定、量刑をお求めの方は、ぜひ私選の弁護人選任もご検討ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
抵当権契約締結後に背任罪
抵当権契約締結後に背任罪
抵当権契約締結後の背任罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
北九州市戸畑区に住むAさんは、借入金3000万円の担保として、銀行Vとの間に自己所有の土地や建物(以下、本件土地、建物といいます)につき抵当権を設定する契約を結びました。ところが、Aさんは、本件土地、建物を高く買い取ってくれる業者を見つけ、その業者のために本件土地、建物を6000万円で売却し、当該取引を原因とする所有権移転登記を完了しました。ところが、Aさんは、この事実を知った銀行Vから背任罪で福岡県戸畑警察署に告訴状を提出され、逮捕されてしまいました。Aさんの家族は、Aさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです)
~ 抵当権とは ~
抵当権とは、お金を貸す際に、土地や建物に設定する権利です。
債務者(お金を借りた人=Aさん)が予定どおりお金を返すことができなくなった場合に備える(担保とする)権利です。
この場合、債権者(お金を貸した人=V銀行)を「抵当権者」、債務者を「抵当権設定権者」といいます。
抵当権設定権者は、抵当権契約締結後、抵当権者のために抵当権設定の登記手続を完了しなければなりません(通常は、司法書士などに任せることが多いかと思います)。
本件は、抵当権設定権者であるAさんが、V銀行のための抵当権設定を完了する前に、その権利の対象となっていた土地、建物を処分したという事案です。
~ 背任罪 ~
背任罪は刑法247条に規定されています。
刑法247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
「他人のために事務」とは、
・委任、雇用、寄託、請負などの契約により他人の財産の管理・保全の任務を行うなどのように、他人の財産の管理に関する事務の全部又は一部を他人のために代行するような場合
・登記協力義務のように、売却・担保物件の設定など自己の財産的処分行為を完成させるための自己の事務であると同時に、その協力なくしては相手方の財産保全が完成しない場合
などがこれに当たります。
「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」とは「図利加害目的」とも呼ばれます。
「利益」とは、必ずしも財産的利益に限る必要はなく、
・自己の信用・面目を保持する目的
・不良貸付の発覚を免れる目的
など、身分上の利益その他すべて自己の利益も含まれると解されています。実務上は、自己又は第三者の利益を図る目的があるようにみえて、他面で本人の利益を図る目的があるのでは?という場面もすくなくありません。そんな場合は、目的の主従、すなわち、どちらの目的により重点が置かれているのか、という観点から判断されます。
「任務に背く行為(任務違背行為)」とは、他人の事務の処理者として当然になすべきと法的に期待される行為をしないことをいい、期待される行為をしない場合と、なすべきでない行為をする場合の両方があります。何がその事情下において法的に期待される行為といえるかは、法令、契約、信義則等を考慮の上、当該事務の性質、内容、行為時の諸般の事情等を総合考慮して判断されることとなります。
「財産上の損害」の「損害」は既存の財産が減少した場合(積極的損害)のみならず、得べかりし利益が得られなかった場合(消極的損害)も含まれます。判例によれば、財産の減少は、経済的見地から判断されることになります(昭和58年5月24日)。たとえば、金融機関の役職員が、返済の可能性が著しく低い人に無担保で貸付を行ったとします。法的にみれば、貸主は、返済の可能性が低いとしても貸金債権(お金を返してくれといえる権利)を有しているため、損害は生じていないとも思えます。しかし、経済的見地から見ると、返済の可能性が著しく低い人に無担保で貸付を行えば、事実上、貸金の回収をできる見込みがないので、財産上の損害が生じていると考えていくことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
映っていなくても盗撮?
映っていなくても盗撮?
盗撮について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市南区に住む会社員のAさんは、西鉄大牟田線の満員電車に揺られながら西鉄天神駅まで向かっていたところ、前にたっていた女子高生Vさんのスカートの中にスマートフォンを差し入れました。そうしたところ、Aさんの右横に立っていた女性Wさんから「今、盗撮しましたよね?」「カメラ見せてください。」と言われたことから辺りは騒然となってしまいました。そして、Aさん、Vさん、Wさんは西鉄天神駅で降りました。AさんとWさんは駅構内でAさんのスマートフォンの動画映像を見ましたが、確かに、Vさんのスカートらしきものは映っていました(撮影日時にも矛盾はない)が、Vさんの下着や身体ははっきりとは映っていませんでした。Aさんは、Wさんに「映っていませんよね?」と言ったところ、Wさんは申し訳なさそうにしていました。ところが、Aさんは、Vさんからの通報を受け駅に駆け付けた福岡県中央警察署の警察官に事情を聴かれることになりました。そして、Aさん、Vさん、Wさんの事情聴取の結果などから、Aさんは福岡県迷惑行為防止条例違反の被疑者として逮捕されてしまいました。
~ 映っていなくても盗撮? ~
今回、Aさんはスマートフォンの中に、Vさんの下着や身体が映っていなかったことから盗撮ではない、と安心しきっていたようですが、結局は逮捕されてしまいました。
このように、実際には下着や身体が映っていなくても盗撮行為に当たるとされることがありますから注意が必要です。
盗撮行為については福岡県迷惑行為防止条例6条2項,3項に規定されています。
第6条
2項 何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、正当な理由がないのに、前項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し、又は写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条において「写真機等」という。) を用いて撮影すること。
2号 衣服等を透かして見ることができる機能を有する写真機等の当該機能を用いて、衣服等で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着の映像を見、又は撮影をすること。
3号 前二号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。
3項 何人も、正当な理由がないのに、第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等を用いて撮影すること。
2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。
6条2項3号、3項2号からすると、
写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること
だけでも盗撮行為に当たる可能性があることがお分かりいただけると思います(ただし、実際に盗撮行為をする目的が必要です)。
~ 勾留 ~
警察に逮捕されると、警察署内にある留置場に収容(留置)されます。
その後、警察官により弁解録取という手続きを受け、身柄拘束を継続する必要があると判断された場合は逮捕から48時間以内に検察庁へ事件を送致される手続きが取られます(送検)。
事件を送検されると、検察庁でも検察官による弁解録取という手続きが取られます。ここで、身柄拘束を継続する必要があると判断された場合は、裁判所に対する勾留請求の手続きが取られます。
裁判官による勾留請求が許可されると勾留という比較的長い身柄拘束を受けてしまいます(はじめは10日間、その後、延長もあり)。
~ 勾留されない場合 ~
そこで、勾留されない場合とはどんな場合で、それに向けて弁護士としてどのようなことができるのでしょうか?
= 検察官が勾留請求をしない =
検察官は、送検までに作成された書類と、被疑者に対する弁解録取の結果によって勾留請求するか否かを決定します。
しかし、書類や弁解録取で全て被疑者に関する事情が得られるとは限りません。
そこで、弁護士が被疑者はもちろん、被疑者にかかわる方から事情を聴取し、その内容や結果を書類にまとめて勾留請求をする検察官に提出します。
= 裁判官が勾留請求を却下する =
検察官の勾留請求を阻止できなかった場合でも、検察官に対するのと同様に裁判官に対して働きかけを行うことができます。
= 勾留決定に対する異議申し立て(準抗告)が認められる =
一度、裁判官が勾留を決定した場合でも、この決定に対して異議を申し立てることができます。これを準抗告といいます。
勾留は一人の裁判官の判断によって決定しますが、その決定に対して準抗告した場合は、最初に勾留を決定した裁判官以外の3人の裁判官によって審議されます。
先入観のない複数の裁判官が、捜査側(警察官や検察官)の作成した書類と、弁護側の作成した書類を見比べて、勾留の必要があるか否かを改めて判断するのが準抗告です。
準抗告が認容されると、最初に決定した勾留はその効力を失います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
身代わり出頭と刑事責任
身代わり出頭と刑事責任
身代わり出頭と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
Aさんは、福岡県太宰府市内の高速道路を、法定速度を約60キロメートル超過した時速約160キロメートルで車を運転していた際、オービスに反応したことに気づきました。その1週間後、Aさんはスピード違反の疑いで福岡県筑紫野警察署から呼び出しを受けてしまいました。Aさんは過去にも同じスピード違反で検挙されており、裁判を受けた経験もあったことから(執行猶予付き判決)、「今後こそは実刑になる」「免許を取り消されたくない」と思い、違反の際、後部座席に同乗していた知人Bさんに代わりに出頭してもらいたい旨を言いました。すると、Bさんはこれを了承して筑紫野警察署へ出頭しましたが、身代わり出頭が発覚して犯人隠避罪の疑いで事情聴取を受けることになりました。そして、Aさんも道路交通法違反(スピード違反)、犯人隠避罪の教唆犯の被疑者として事情聴取を受けることになりました。
(フィクションです。)
~ 身代わり出頭 ~
警察署から呼び出しを受けた際、自らの代わりに他者を警察に出頭させることを身代わり出頭といいます。
出頭させた本人はばれないだろうと思って行っているかもしれませんが、オービスの場合、車のナンバーのほか、顔写真まではっきりと撮影されてしまいますから、出頭した方が双子などあなたと似た人物でない限りは身代わり出頭がばれてしまう可能性は高いでしょう。
~ 身代わり出頭した方が問われる罪 ~
身代わり出頭した方は犯人隠避罪に問われる可能性があります。
犯人隠避罪は刑法103条に規定されています。
刑法103条
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者(略)を蔵匿し,又は隠避させた者は,3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
「罰金以上の刑に当たる罪」とは,法定刑として罰金刑以上の刑が規定されていればよく,選択刑として拘留・科料が規定されていても構わないとされています。
Aさんが犯した罪はスピード違反で、スピード違反の法定刑は
6月以下の懲役又は10万円以下の罰金
ですから、「罰金以上の刑に当たる罪」に当たります。
「蔵匿」とは,犯人に場所を提供してかくまってやることをいいます。「隠避」とは,蔵匿以外の方法によって官憲による逮捕・発見を免れされる一切の行為をいいます。身代わり出頭は「隠避」に当たるでしょう。そのほか、犯人に代わって警察官に「自分が犯人だ」と言う行為,自首する行為,犯人に変装用の衣服や旅費を与える行為なども「隠避」に当たります。
最後に、本罪に問われるには、相手方(Aさん)が「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」との認識(故意)が必要です。しかし、その程度につき判例は,罰金以上の刑に当たる材質の犯罪事実を犯した者であることを知っていれば,その罪の法定刑が罰金以上であることの認識までは必要ない、としています。つまり,「Aさんがスピード違反を犯した人」という認識があれば故意があるとされてしまう可能性があります。
~ 身代わり出頭を依頼した方が問われる罪 ~
本来、罪を犯した人が自ら逃げ隠れしても、そのこと自体罪に問われることはありません。罪を犯した犯人に「逃げ隠れするな」と期待することはできないからです。
しかし、他人を唆してまで自ら逃げ隠れすることは許されない、とするのが現在の実務の立場です。裁判所は次のように述べています。
犯人自身の隠匿行為が不可罰とされるのは,これらの行為を罰することが刑事訴訟法における被告人の防御の地位と相容れないからであるのに対して,他人を教唆してまでその目的を達成しようとすることは,もはや法の放任する防御の範囲を逸脱する
なお、唆すことを法律上は「教唆」といいます。もう少し詳しくご説明すると、まだその犯罪に対する実行の決意を生じていない他人を唆して,犯罪実行の決意を生じさせること、をいいます。教唆は,特定の犯罪の実行を決意させるに足りるものでなければならないとされています。よって,例えば,単に「何か犯罪をやってこい」とか,漠然と「何か金になるものを盗ってこい」といっても教唆には当たりません。しかし,実行すべき犯罪を特定して教唆すれば,いちいち,犯罪の日時,場所,方法,客体など詳細まで指示する必要はないとされています。
教唆犯の場合、正犯(Bさん)と同じ刑が科されます(刑法61条)。また、情状によってはBさんよりも刑が重たくなることが想定されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
アポ電話強盗ではどんな罪に問われる?
アポ電話強盗ではどんな罪に問われる?
アポ電強盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市中央区に住む無職のAはお金に困っていました。そこで、ネットで同じ境遇の仲間(B、C)を探し出し、高齢者の現金を強奪しようということになりました。Bは以前、特殊詐欺グループに所属しかけ子の役を、Cは別の特殊詐欺グループに所属し受け子の役を担っていた経験を有していました。Aは、Bから「以前、特殊詐欺グループに所属していたとき、福岡市内の高齢者を狙おうとしたんだけど事情があって頓挫したんだ。」「今回狙ってみない?」「住所、電話番号知っているから。」と言いました。そこで、AはCに高齢者Vさん宅に電話をかけるよう依頼しました。これを受けてCは税務署職員を装いVさん宅に電話をかけました。Cは税務署職員を装い、Vさんから資産状況、家族構成などを聞き出した上、A、Bにこれを伝えました。そして、A、B、Cの3人はある日、Vさんが自宅に一人になることを見計らってVさん宅に押し入り、Vさんに殴る蹴る暴行を加えたほか、羽交い絞めにしてVさん名義のキャッシュカードを奪った上、Vさんからキャッシュカードの暗証番号を聞き出しました。Vさん宅を後にした3人は、直ちにATMへ向かい、Vさん名義の銀行口座から90万円を引き出しました。ところが、3人は、Vさんから被害届を受け捜査をしていた福岡県中央警察署の警察官に強盗致傷罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~ アポ電話強盗とは ~
アポ電とはアポイントメント電話の略。
そして、アポイントメントとは相手との会合、面談の約束を取り付けることですから、アポ電とは、会合、面談を電話で取り付けることを意味します。
これをアポ電話強盗に敷衍すると、
犯人が強盗を実行する前に被害者と電話をした上で実行する強盗
ということになります。
アポ電強盗の犯人は、電話で、被害者の行動、家族構成、資産状況などを尋ねた上で強盗を実行するようです。
今年2月には、男性3名が共謀し、事前に東京都江東区のマンションに住む80歳の女性に電話をかけ、女性宅に押し入り女性を殺害したとして強盗殺人罪で逮捕しています。また、このほかにも東京都内では、今年1月、2月頃にかけて連続して同様の事件が起きており、マスコミはこれら一連の事件を「アポ電強盗」と呼称したことから一気にその名が全国に広められました。
~ アポ電強盗が増加? ~
高齢者を狙った犯罪としては、「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」をはじめとする
特殊詐欺
が有名ですが、警察により「受け子」などの取り締まりが強化するに連れて受け子の成り手が減り、アポ電強盗をはじめとする凶悪犯罪に加担する者が増えてきているともいわれています。実際に、今年8月1日、警察庁は「アポ電強盗」と思われる不審な電話が今年4~6月の3カ月間に全国で3万5289件確認されたことを発表しています。
以下、強盗罪がどれほど重たい罪なのかご紹介します。
~ 強盗罪 ~
強盗罪は刑法236条に規定されています。
刑法236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、前項と同様とする。
強盗罪の「暴行」「脅迫」の程度は相手方の反抗を抑圧する程度に強いものでなければならないとされています。「強取」とは、上記の「暴行」「脅迫」により、相手方の反抗を抑圧して財物を自己又は第三者に移すことをいいます。
~ 強盗予備罪 ~
強盗予備罪は刑法237条に規定されています。
刑法237条
強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。
強盗の予備とは、強盗を犯す目的で、その着手の準備をすることをいいます。仮に、アポ電強盗で、被害者宅に電話をかけた段階で捜査機関に発覚すれば、強盗予備罪に問われる可能性があります。
~ 強盗致死傷罪 ~
強盗致死傷罪は刑法240条に規定されています。
刑法240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
本罪は、強盗犯人が殺意なくして人を負傷させたり死亡させた場合のほか、故意あって人を負傷したり死亡させる場合も含まれます。したがって、強盗傷害罪、強盗殺人罪の場合も本規定が適用されます。
なお、強盗致死傷罪の目的は、人の身体、命を守ること、にありますから、たとえ財物を奪取できず強盗自体が未遂と終わっても人を負傷させたり、死亡させれば本罪が成立することに注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
統合失調症と自動車運転②~主な罰則について~
統合失調症と自動車運転②~主な罰則について~
統合失調症と自動車運転にについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県小郡市に住むAさんは統合失調症に罹患しており、医師から自動車の運転を控えるよう言われていました。ところが、ある日、Aさんは医師の指示を無視して車を運転していたところ、前方で信号待ちのため停止していたVさん運転の車に自車を衝突させてしまいました。Aさんは車から降り、Vさんに謝罪し、自ら110番通報して現場に警察官が来るのを待ちました。そして、Aさんは現場に駆け付けた小郡警察署の警察官による実況見分や事情聴取などを受けたところ、道路交通法違反(過労運転等の罪)の被疑者として検挙されてしまいました。今後のことが不安になったAさんは、刑事事件専門の弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~ 前回のおさらい ~
前回の「統合失調症と自動車運転~免許の可否~」では、統合失調症に罹患されている方でも、
医師が「自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈していない」旨の診断を行った場合(当該診断を行った理由が、自動車等の安全な運転に必要な能力を欠く状態となるおそれはあるが、そのような状態に陥った際は、自動車等の運転ができない状態であると判断されることによるものである場合を除く。)
は、
運転免許を取得できることなどをご説明しました。
ですが、運転免許を取得する際はもちろん、取得した後でも気を付けるべき点は多数あります。
今回は、運転免許を取得する際や取得した後で関係する主な罰則についてご紹介します。
~ 運転免許を取得する際(質問票へ正しく記載しよう) ~
運転免許の取得の申請をする際は(病気の有無にかかわらず誰でも)
免許申請書
と同時に、
質問票
も窓口に提出しなければなりません。
この質問票には、一定の病気の有無などに関する「はい」か「いいえ」かで応える簡単な質問5つが記載されていますが、虚偽事項を記載した場合は、
1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
に処せられる可能性があります。また、運転免許更新時も同様に質問票の提出が求められます。なお、記載事項の是正を求められたにもかかわらずこれに応じない場合はそれ以降の手続きは進みませんから注意が必要です。
~ 運転免許を取得した後(症状が出た際は運転を控えよう) ~
運転免許を取得した後も油断してはいけません。
特に、統合失調症などの病歴を有している場合は特に注意が必要です。
なお、道路交通法66条では
何人も、前条第1項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない
と規定されています。
「病気」にはもちろん統合失調症も含まれると解されます。しかし、病気を有するからといって直ちに本条違反となるわけではなく、その病気が
正常な運転に影響を及ぼす程度
のものである必要がありますから、これに至らない限りは本条違反に問われることはありません。
本条に違反した場合の罰則は、「薬物」の影響による運転の場合は
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
その他の場合は、
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
です。
次回は、運転免許の取消しや人身事故を起こした場合の罪、罰則についてご紹介していきたいと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
統合失調症と自動車運転~免許の可否~
統合失調症と自動車運転~免許の可否~
統合失調症と自動車運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
〇〇に住むAさんは統合失調症に罹患しており、医師から自動車の運転を控えるよう言われていました。ところが、ある日、Aさんは医師の指示を無視して車を運転していたところ、前方で信号待ちのため停止していたVさん運転の車に自車を衝突させてしまいました。Aさんは車から降り、Vさんに謝罪し、自ら110番通報して現場に警察官が来るのを待ちました。そして、Aさんは現場に駆け付けた〇〇警察署の警察官による実況見分や事情聴取などを受けたところ、道路交通法違反(過労運転等の罪)の被疑者として検挙されてしまいました。今後のことが不安になったAさんは、刑事事件専門の弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~ 統合失調症と運転免許 ~
道路交通法90条では、運転免許試験に合格した者に対する免許に関する規定を設けています。
道路交通法90条
公安委員会は、前条第一項の運転免許試験に合格した者(略)に対し、免許を与えなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、政令で定める基準に従い、免許(略)を与えず、又は六月を超えない範囲内において免許を保留することができる。
一 次に掲げる病気にかかつている者
イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
ハ イ又はロに掲げるもののほか、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
「政令」とは道路交通法施行令をいいます。
そして、道路交通法施行令33条の2の3では以下の規定が設けられています。
道路交通法施行令33状の2の3
法90条第1項第号イの政令で定める精神病は、統合失調症(自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く。)とする。
つまり、これらの規定によれば、統合失調症に罹患したとしても
・運転免許試験に合格したこと
・自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないこと
が認められれば、
運転免許を取得することは可能
なのです。
なお、警察の運用基準(平成29年7月31日付、一定の病気等に係る運転免許関係事務に関する運用上の留意事項について)の「一定の病気に係る免許の可否等の運用基準」でも、
医師が「自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈していない」旨の診断を行った場合(当該診断を行った理由が、自動車等の安全な運転に必要な能力を欠く状態となるおそれはあるが、そのような状態に陥った際は、自動車等の運転ができない状態であると判断されることによるものである場合を除く。)、免許の拒否、保留、取消し又は効力の停止は行わない
としています。
~ 免許を保留される場合とは? ~
道路交通法90条によれば、統合失調症に罹患している場合、免許を拒否される(与えられない)か
6か月を超えない範囲で免許を保留
されることがある、とのことです。
そして、先ほどの警察の運用基準によると、
医師が、「6月以内に、自動車等の安全な運転に必要な能力を欠く状態となるおそれがある」と診断した場合は、6月の免許の保留とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留で足りると認められる場合は、当該期間が保留期間)
としています。
なにはともあれ、運転免許を受けるには、医師の診察は必要不可欠です。
現に運転免許を受けているものの統合失調症の影響により運転に不安な方、これから運転免許の取得をご検討中の方ははやめに医師に相談しましょう。
また、各都道府県警察には、専門の相談窓口(運転適性相談窓口)も設けられていますから相談されてみてはいかがでしょうか?
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
資力が50万円以上でも国選弁護人の選任は可?
資力が50万円以上でも国選弁護人の選任は可?
国選弁護人について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県飯塚市に住む無職のAさんは、自宅内で覚せい剤を含ませた水溶液入りの注射器を右腕に注射しました。そして、Aさんは、同市内を歩いていたところ、前方から歩いてきた福岡県飯塚警察署の警察官の職務質問を受けました。Aさんは、その言動などから覚せい剤使用を疑われ、尿検査のため飯塚警察署まで任意同行を求められました。そして、Aさんは警察署で尿を提出すると、検査の結果、尿から覚せい剤の成分が検出されたことが判明し、覚せい剤取締法違反(使用罪)で緊急逮捕されてしまいました。Aさんは当番弁護士と接見したところ、引き続き弁護士による弁護活動を受けるには、私選弁護人あるいは国選弁護人を選任しなければならないことを教えてもらいました。Aさんは、銀行に60万円の預貯金を有していましたが、今後の生活のことを考えると国選弁護人を選任したいと考えています。
(フィクションです)
~ 私選弁護人、国選弁護人 ~
私選弁護人は、その名の通り、ご自身の裁量で選任できる弁護人(弁護士)、国選弁護人は、法テラスが裁判所に提出した弁護士名簿の中から、裁判所が選任する弁護人です。
私選弁護人の場合、弁護活動に要した費用はすべてご自身で負担しなければなりません。しかし、逮捕前、逮捕後にかかわらずいつでも選任できることがメリットの一つです。また、いつでも解任することができます。他方、国選弁護人の場合、原則として費用をご自身で負担する必要はありません。しかし、私選弁護人と異なり、選任、解任を自由にできるわけではありません。
~ 国選弁護人を選任するための条件 ~
国選弁護人の選任に関しては刑事訴訟法37条の2に規定されています。
第37条の2
1項 被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は 、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放され た場合は、この限りでない。
2項 前項の請求は、勾留を請求された被疑者も、これをすることができる。
これによると、
・被疑者が勾留請求された、あるいは被疑者に勾留状が発せられたこと
・被疑者の貧困、あるいはその他の事由によって弁護人を選任することができないこと
という条件満たす場合に、国選弁護人の選任の請求をすることができるとされています。
なお、「貧困」については、資力が「50万円以下」であることが基準とされています。
~ 資力が「50万円以上」の場合は? ~
では、資力が50万円以上の場合は国選弁護人を選任できないかというとそうではありません。
なぜなら、刑事訴訟法37条の2では、「その他の事由」に当たる場合でも国選弁護人の選任を請求することができるとしているからです。
この「その他の事由」とは、
あなたが弁護士会に私選弁護人の選任を請求したものの、何らかの事情によって弁護士会から選任を拒絶された場合
をいいます。
このことからすると、資力が50万円以上ある人は、
国選弁護人の選任を請求する前に、まず弁護士会に私選弁護人の選任を請求しなければならない
ことになります。そして、そこで私選の弁護人が選任されなかったときにはじめて国選弁護人の選任を請求できることになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
昏睡強盗罪?窃盗罪?
昏睡強盗罪?窃盗罪?
昏睡強盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
北九州市八幡西区に住む大学生のAさんは、北九州市小倉北区内の居酒屋に、友人Bさんと二人でお酒を呑みに行きました。そして、Aさんらは店内で知り合った同世代の女性二人(Vさん、Yさん)と仲良くなり、その後四人でカラオケに行きました。Aさんら四人は、カラオケでもお酒を呑んだり歌ったりして楽しんでいましたが、そのうち女性二人が酒に酔って居眠りを始めました。ちょうどそのとき、AさんはVさんのバッグの口が空いており、バッグの中に一見して分厚そうな財布が入っているのを見つけました。Aさんはこれを見てBさんに「今のうちなら盗れるよ。」「お金もないことだし、盗って二人で山分けしね?」と言いました。すると、Bさんもこれに承諾したことから、AさんはVさんのバッグの中に手を入れ、財布をつかんでBさんとともにカラオケ店を出ました。Aさんは財布の中身を確認すると1万円札が6枚入っていたことから、3万円をBさんい渡し、財布は川に投げ捨てました。その後、AさんとBさんは福岡県小倉北警察署に昏睡強盗罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~ 昏睡強盗罪 ~
昏睡強盗罪は刑法239条に規定されています。
刑法239条
人を昏睡させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。
「強盗として論ずる」とは、法定刑を強盗罪(刑法236条)と同じ「5年以上の有期懲役」とする、という意味です。
強盗罪と言えば、人にナイフなどを示したり、暴行を加えることでお金などを強取することイメージしがちです。しかし、人を昏睡させ、その犯行を抑圧してお金などの財物を奪取する行為は、強盗罪に匹敵するほどの可罰性を有することから、強盗罪と同じ刑の重さの罪としたのです。
「昏睡させ」るとは、睡眠薬や麻酔薬などの薬物を使用し、アルコール飲料を飲ませ、あるいは催眠術を施すなどして、人の意識作用に一時的又は継続的な障害を引き起こさせることをいいます。暴行を用いて人を昏睡させて財物を奪うのは昏睡強盗罪ではなく強盗罪に当たります。
昏睡させる行為は、盗取の犯人自らか、その共犯者が行うことが必要です。したがって、まったく関係のない他人が被害者を昏睡させたのに乗じたり、被害者自らが昏睡又は熟睡している隙にその財物を奪取する行為は、昏睡強盗罪ではなく、窃盗罪(刑法235条)に当たります。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
~ 「人を昏睡させてその財物を盗取したこと」が必要 ~
つまり、昏睡強盗罪の「昏睡」は、あくまで「財物の盗取(奪取)」に向けられたものでなければなりません。
したがって、例えば、行為者が他の目的で昏睡させた後、財物奪取の意思を生じ、昏睡に乗じて財物を奪取した場合も、行為者自身が財物を奪取するために昏睡させたものではない以上、昏睡強盗罪ではなく窃盗罪が成立します。
~ Aさんの場合はどうか? ~
以上からすると、
AさんやBさんが財物を盗取する目的でVさんやYさんらにお酒を飲ませたのか?
が本件の争点となりそうです。
財物を盗取する目的の有無に関しては、AさんやBさんの内心にかかわる事柄ですから、
・Aさん、Bさんの供述
・Aさん、BさんがVさんらと知り合った経緯
・お酒の内容、量
・居酒屋、カラオケ店での代金の負担額
・メールの内容
などから推測されていくことでしょう。
など、逮捕段階では、警察は主にVさんやYさんの供述に基づいて昏睡強盗罪で逮捕している可能性もあります。しかし、被害者の供述のみでは財物を盗取する目的することあできません。したがって、財物を盗取する目的がなければその旨供述する必要があります。決して取調官の圧迫に屈してはいけません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
一審で準強制性交等罪で無罪の控訴審が始まる
一審で準強制性交等罪で無罪の控訴審が始まる
準強制性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県久留米市に住むA(48歳)は、妻(46歳)と長女Vさん(19歳)との3人暮らしです。Aは、Vが小学校2年生の頃から性交等の性的虐待行為を継続的に繰り返していました。Vは、当初抵抗していたものの、次第にその程度が弱まっていました。そんな中、Aは今年に入ってから2回、久留米市内のホテルでVの抗拒不能に乗じて性行を行ったとして、福岡県久留米警察署に準強制性交罪で逮捕、その後検察により起訴されました。
(事実を基に作成したフィクションです。)
~ はじめに ~
事例は、平成31年3月28日、準強制性交等罪で起訴され裁判にかけられた男性に対し「無罪」判決を言い渡した
名古屋地方裁判所岡崎支部
での裁判の実例を基に作成しました。すでにマスコミ等で大きく報道されご存知の方も多いのではないでしょうか?
検察側は判決を不服として控訴し、先日、10月28日、名古屋高等裁判所で第一回の控訴審が開かれました。
今後の行方を注視したいところですが、ここで改めて
・準強制性交等罪とはどんな罪か
・なぜ第一審では無罪となったのか
振り返ってみたいと思います。
~ 準強制性交等罪とは ~
準強制性交等罪刑法178条2項に規定されています。
刑法178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心身を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例(刑法177条)による。
準強制性交等罪は、物理的あるいは心理的な方法で被害者の抵抗を封じるか、あるいは少なくとも抵抗が困難な状態にして、性交等を行ったり、そのような状態にある被害者に対して性交等を行ったりすることを処罰する規定です。上記の規定では、そのような状態を「抗拒不能」という言葉で表現しています。
~ なぜ無罪? ~
では、なぜ、名古屋地裁岡崎支部は無罪判決を下したのでしょうか?
裁判所は、心理的な「抗拒不能」の程度に関し、
性交に応じなければ生命・身体等に重大な危険を加えられるおそれがあるという恐怖心から抵抗できなかった場合や、相手方の言葉を全面的に信じこれに盲従する状況にあったことから性交に応じるほかには選択肢がないと思い込まされていたような場合
と判示しています。そして、
以前に性交を拒んだ際に受けた暴力は恐怖心を抱くようなものではなく、抵抗を続けて拒んだり、弟らの協力で回避したりした経験もあり、抗拒不能な状態だったとは認められない
と、つまり、
被害者が抗拒不能状態だったとするには合理的な疑いが残る
として「無罪」としたのです。
~ 抗拒不能の認定が厳しすぎるとの異論も ~
もっとも、被害者は
加害者から長年性的暴行などを受けてきたからこそ抵抗することすらできなかった
のであって、その状態を「抗拒不能状態だったとするには合理的な疑いが残る」とするにはやや厳しすぎるとも思えます。
過去には、
同居していた自己の養女である被害者に対し、被害者が小学校6年のときから27歳に至るまで長期にわたり性的虐待や暴行等を繰り返し、同女が被告人に対し恐怖心から抗拒不能な状態に陥っていることに乗じ、同女を姦淫した等の事実
につき準強姦罪(現在の準強制性行等罪)で懲役10年に処した裁判例(平成24年7月4日広島高裁岡山支部)もあります。
今後、名古屋高等裁判所がいかなる判断をするのか注目です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、性犯罪事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介