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【事件解説】未成年の少女を自宅に連れ込み 未成年者誘拐罪で逮捕

2023-06-07

 SNSで知り合った未成年の少女を自宅に連れ込み、未成年者誘拐罪で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要

 福岡県大牟田市に住む中学3年生の少女Vを誘拐したとして、福岡市在住の会社員の男A(25歳)が未成年者誘拐罪で現行犯逮捕されました。
 福岡県警博多警察署の調べによると、AはVとSNSで知り合い、Vが未成年であることを知りながらAの自宅で会う約束をし、Aの自宅の最寄り駅まで来たVを迎え、自宅に連れ込みました。
 Vの両親から警察に捜索願が出され、スマートフォンの位置情報からVの居場所が特定され、駆け付けた警察官にVは保護されました。
 警察の調べに対し、AはVを自宅に連れ込んだことは認めていますが、わいせつ目的等はなかったと供述しています。
(過去に報道された実際の事件に基づき、一部事実を変更したフィクションです。)

未成年者誘拐罪とは

 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する、と定められています(刑法第224条)。

 「誘拐」とは、欺罔または誘惑を手段とし、人を従来の生活環境から離脱させ、自己又は第三者の事実的支配化に置くこと、とされています。
 本件では、AはVと約束した上、最寄り駅まで来たVを自宅に連れ込んだとのことですが、判断能力が十分とは言えない中学生に自宅に来るよう誘うことは「誘惑」と認められます。
 また、Vの自宅から離れた福岡市内の自宅に連れ込んだことは、Vを「従来の生活環境から離脱」させ、「事実的支配下」に置いたものと認められるため、未成年者誘拐罪で逮捕されています。

 なお、未成年者誘拐罪は、営利、わいせつ、身代金要求等の目的がなくても成立しますが、これらの目的が伴う場合は、被害者が成人の場合と同様、営利目的等誘拐罪、身の代金目的誘拐罪等が成立します。

未成年者誘拐罪の弁護活動

 未成年者誘拐罪が保護する法益は、未成年者の身体の自由・安全のみならず、両親等の監護権も含むとされるため、未成年者の同意があったとしても、犯罪の成立は妨げられません。

 他方で、未成年者誘拐罪親告罪であり、両親等からの告訴(捜査機関に対し被害の事実を申告し、かつ犯人の処罰を求める意思表示)がないと起訴されないため、弁護活動としては、両親等との示談交渉により、告訴をしない又は告訴を取り消す内容を含む示談の成立を目指します。

 なお、告訴する権利を放棄することは判例では認められておらず、告訴しないという内容の示談が成立したとしても、両親等が翻意して告訴がなされるおそれは排除できないため、そのような可能性をできる限り減らすためにも、刑事事件の示談交渉の経験が豊富な弁護士により、双方が十分に納得した上での示談を成立させる必要があります。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、様々な刑事事件における示談交渉の経験が豊富にあり、未成年者誘拐罪の事件解決の実績もあります。
 ご家族が未成年者誘拐罪で逮捕されご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【北九州市の少年事件】商業施設のトイレを壊した18歳の男子高校生逮捕~②~

2022-09-15

北九州市の商業施設において、トイレなどを壊した18歳の男子高校生逮捕された事件を参考に、少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

昨日コラムで、器物損壊罪について解説しましたが、今回の事件で逮捕されたのは18歳の少年です。
18歳の少年が器物損壊事件のような刑事事件を起こして逮捕された際、検察庁に事件が送致されて犯罪捜査が行われている間は、成人事件とほぼ同じ手続きが進みますが、警察や検察庁の捜査を終えて家庭裁判所に送致後は、少年事件特有の手続きが進むこととなり、家庭裁判所から検察庁に逆送されない限りは、昨日解説したような法定刑に定められている刑事罰を受けることはありません。

少年事件の特徴

少年事件特有の手続きを紹介します。

(1)観護措置
家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る必要がある場合には、観護措置がなされます。
観護措置には、在宅で家庭裁判所調査官の観護に付する場合と、少年鑑別所に送致する場合がありますが、多くの場合後者の方法で行われます。
期間は通常4週間(少年法第17条3項、4項本文)として運用されており、最長で8週間(少年法第17条4項ただし書き、9項)とされています。
 
(2)調査
家庭裁判所では、審判に付すべき少年について事件の調査が行われますが、この調査には法的調査と社会調査があります。
法的調査とは審判条件や非行事実の存否に関する調査をいい、社会調査とは少年に対してどのような処遇が最も有効適切であるかを明らかにするための調査をいいます。
このうち社会調査は、裁判官の調査命令を受けた調査官によって、少年、保護者、学校の先生に対する面接を通して実施されます。

(3)審判
審判では、裁判官が、法的調査と社会調査を踏まえて、少年の最終的な処遇を決定します。
少年保護事件では、成人のように公開法廷での公判が開かれることはなく、非公開の審判という手続きで審理が行われます(少年法第22条2項)。

少年事件の手続きについては こちらをクリック

特定少年

今年の4月から成人年齢が18歳に引き下げられたのに合わせて、少年事件の取り扱いも大きく変わった点がいくつかあります。その中の一つが「特定少年」についてです。
改正少年法では、18歳と19歳の少年を「特定少年」と位置付け、引き続き少年法が適用されますが、原則逆送事件の対象事件が拡大されると共に、起訴された場合に、実名報道されることがあります。
ちなみに今回の事件は器物損壊事件なので、原則逆送事件には該当しません。

少年事件に関するご相談は

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、少年事件に関するご相談を24時間、年中無休で受け付けております。
少年事件に関するご相談のご予約は

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まで、お気軽にお電話ください。
 

【北九州市の少年事件】商業施設のトイレを壊した18歳の男子高校生逮捕~①~

2022-09-14

北九州市の商業施設において、トイレなどを壊した18歳の男子高校生逮捕された事件を参考に、器物損壊事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要

今年の7月ころ、北九州市小倉北区の商業施設において、電気コードが切断されるなどして、自動洗浄機能付きトイレやハンドドライヤーが壊される器物損壊事件が発生しました。
施設から通報を受けた福岡県宗像警察署が防犯カメラなどを調べて捜査をした結果、18歳の男子高校生が容疑者として浮上し、この男子高校を逮捕したとのことです。
逮捕された男子高校生は、警察の取調べに対して容疑を認めているようです。
(9月13日配信のテレビ西日本の記事から抜粋しています。)

器物損壊事件

他人の物を故意的に壊すと「器物損壊罪」となります。
器物損壊罪は刑法第261条に規定されている法律で、その法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
「懲役」とは、刑務所に収容されて刑務作業が科せられる自由刑の一種です。
他方、「罰金」や「科料」は国にお金を収める財産刑のことで、言い渡された金額を国に納付すれば手続きは終了しますが、納付するお金が用意できない場合は、労役作業に従事しなければなりません。

器物損壊罪の特徴

器物損壊罪は親告罪です。
親告罪は、被害者等の刑事告訴がなければ被疑者(犯人)を起訴できません。
刑事告訴は、警察所等の捜査機関に対して告訴状を提出するか、刑事手続きの過程で警察官が作成する告訴調書によって明らかにされます。
刑事告訴には、告訴不可分の原則というルールが定められており、この客観的原則として、一個の犯罪事実の一部について、告訴又はその取消があったときは、その犯罪事実の全てに効力が及ぶとされています。
また主観的原則として、親告罪について、共犯者の1人又は数人に対して告訴又はその取消があった場合は、他の共犯者に対してもその効力が生じるとされています。

器物損壊罪の弁護活動に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、器物損壊事件等の刑事事件を専門にしている法律事務所です。
器物損壊事件を起こして警察の捜査を受けておられる方、ご家族、ご友人が器物損壊事件を起こして警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、刑事事件専門の弁護士による無料法律相談や、逮捕されている方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスのご予約を

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宗像市の器物損壊事件 告訴と親告罪について解説~②~

2022-09-03

宗像市の器物損壊事件 告訴と親告罪について解説~②~

宗像市の器物損壊事件を参考に、親告罪と器物損壊事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

宗像市に住む公務員のAさんは、契約駐車場に駐車されている車に傷付けた容疑で、福岡県宗像警察署に呼び出されて取調べを受けました。
Aさんは、取調べの中で警察官から「告訴」「親告罪」といった言葉を聞かされましたが意味が分かりません。(フィクションです。)

親告罪とは

親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪です。
Aさんの起こした器物損壊事件をはじめ、名誉毀損罪、侮辱罪、秘密漏示罪、過失傷害罪、私用文書等毀棄罪、略取誘拐罪や親族間の窃盗罪等がこれに当たります。
平成29年の刑法改正までは、強制わいせつ罪や強姦罪(現在の強制性交等罪)等の性犯罪の一部も親告罪とされていましたが、現在は非親告罪となっています。

親告罪には、告訴不可分の原則があります。
これは、共犯の1人または数人に対してした告訴または告訴の取消しは、他の共犯に対してもその効力を生じることです。これを告訴の主観的不可分と言います。
また犯罪事実の一部に対してした告訴または告訴の取消しは、その全部について効力を生じる。これを告訴の客観的不可分と言います。

器物損壊事件の弁護活動

器物損壊事件は親告罪です。
告訴は一度取り消すと、同じ事実で再び告訴することができないという決まりがあります。
ただし告訴を取り消せるのは、起訴されるまでです。
そのため、告訴されている器物損壊事件の弁護活動については起訴されるまでに被害者と示談して告訴の取下げを目指すことになります。
そうすることによって、同日事実で刑事罰を受ける可能性が完全に消滅してしまうのです。

宗像市の器物損壊事件に強い弁護士

宗像市器物損壊事件でお困りの方、刑事事件で告訴されてしまった方、親告罪に強い弁護士をお探しの方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部」にご相談ください。

宗像市の器物損壊事件 告訴と親告罪について解説~①~

2022-09-02

宗像市の器物損壊事件 告訴と親告罪について解説~①~

宗像市の器物損壊事件を参考に、告訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

宗像市に住む公務員のAさんは、契約駐車場に駐車されている車に傷付けた容疑で、福岡県宗像警察署に呼び出されて、器物損壊罪の容疑で取調べを受けました。
Aさんは、取調べの中で警察官から「告訴」「親告罪」といった言葉を聞かされましたが意味が分かりません。(フィクションです。)

「告訴」とは

告訴とは、告訴権者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯人の刑事罰を求めることです。
告訴権者とは、犯罪被害者や、被害者の法定代理人、被害者の親族等で、詳細は刑事訴訟法230条~233条に定められています。
また告訴する捜査機関とは、主に警察若しくは検察庁が対象となります。

刑事告訴と被害届は違う

よく「告訴」と「被害届」はどう違うのですか??という質問がよせられます。
捜査機関に対して
①犯罪被害を申告する
②犯人の刑事罰を求める(捜査を求める)

という点では同じと考えても問題ありませんが、捜査機関の対応は異なります。
被害届は、犯罪被害の事実があれば比較的容易に警察に受理されますが、告訴については一定の条件が揃わなければ受理されません。
また親告罪については、告訴できる期間が法律的に定められており、その期間は、犯人を知った日から6ヶ月以内です。
そして告訴された事件は、これによって捜査が開始され、司法警察員は、事件を速やかに検察官に送付する義務を負います。
さらに、検察官は、起訴・不起訴の処分を告訴した者に通知する義務を負うと共に、告訴した者から請求があるときは不起訴理由を告知する義務を負うことになります。

本日は、刑事事件に強い弁護士が「告訴」について解説いたしました。
明日は、「親告罪」について解説いたします。

宗像市の器物損壊事件でお困りの方、刑事事件で告訴されてしまった方や、親告罪に強い弁護士をお探しの方は、刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部」にご相談ください。

過失傷害罪と告訴の取消し

2021-12-06

過失傷害罪と告訴の取消しについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

福岡市早良区に住むAさん(24歳)は、地下鉄西新駅の駅構内をスマホを操作しながら歩いていました。そうしたところ、Aさんは、前方を歩いていた高齢のVさん(80歳)に気づかず、Vさんの背後からVさんにぶつかってしまい、Vさんを前のめりに転倒させて、Vさんに全治2週間の怪我を負わせてしまいました。Aさんは、駅員を呼び、救急車を手配してVさんを近くの病院まで運んでもらいました。そして、後日、AさんはVさんの息子Wさんと会い、事故の状況などを話したところ、Wさんから「治療費を支払って欲しい。」「誠意が見られなければ警察に告訴する。」と言われました。不安になったAさんは、今後の対応について弁護士に相談しました。
(フィクションです)

~過失傷害罪~

歩きスマホをしながら他人に怪我を負わせた場合は、過失傷害罪(刑法209条)他人を死亡させた場合は、過失致死罪(刑法210条)重大な過失により人を死傷させた場合は、重過失致死傷罪(刑法211条後段)に問われる可能性があります。歩きスマホによって、自ら負傷した場合、もちろん刑事的な責任を問われることはありませんが、上記のように他人に怪我を負わせたあり、死亡させた場合は、刑事責任を問われることがありますので注意が必要です。

まず、過失傷害罪は刑法209条に規定されています。

刑法209条
 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。

「過失」とは、要は、注意義務違反のことで、「~すべきだったのに(~することができたのに)、~しなかった」といえる場合に成立します。これを歩きスマホに当てはめると、歩行者としては、前や周囲をよく見て歩くべきだったのに、(スマホの画面に注意を取られ)、前や周囲をよく見て歩かなかった,といえ「過失」は優に認めることができます。「より」とは過失と傷害との間に「因果関係」が必要であることを意味しています。よって、本件では、Aさんの「過失」と傷害との間に「因果関係」が認められる場合は、Aさんは過失傷害罪で処罰されそうです。

また、過失傷害罪のほか、過失致死罪は刑法210条、重過失致死傷罪は刑法211条後段に規定されています。

刑法210条
 過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。

刑法211条後段
 重大な過失により、人を死傷させた場合も、同様とする。(5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)

「重大な過失」とは、重過失、つまり、過失の程度が酷い、悪質なことをいいます。歩きスマホの場合、どんな場合に酷い、悪質かと判断するかについては、当時の交通状況、歩きスマホの態様などによって判断されるものと思われます。
なお、両罪は過失傷害罪と異なり、親告罪ではありません。

なお、過失傷害罪は、検察官が公訴を提起する(起訴する)に当たって被害者の告訴を必要とする親告罪です。検察官が公訴を提起する前に、被害者が告訴を取消せば、刑事処分は自動的に「不起訴」となります。

~告訴の取消しなら示談交渉~

親告罪は被害者等の処罰意思を尊重する制度ですから、検察官が公訴を提起する前に被害者等が「処罰は望まない」「許してほしい」などといって告訴を取消すことができます。被害者等が告訴を取消せば,刑事処分は自動的に「不起訴(親告罪の告訴の取消し)」となります。
このように被害者の方々の処罰感情を緩和させ、告訴を取消していただくには、まずは被害者の方々に誠心誠意謝罪した上で示談交渉を開始し、お互い納得のいく条件で示談を成立させることが肝要かと考えます。交渉には様々な困難が伴いますし、のちのちのトラブルを防ぐには適切な内容・形式で示談を成立させる必要があります。
そのためには弁護士の力が必要です。示談交渉は弁護士にお任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件も取り扱う刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方はフリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談等を24時間受け付けております。

告訴と告発の違い 

2020-04-11

告訴、告発の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県大牟田市に住むAさんは,日頃のVさんに対する鬱憤を晴らす目的で,Vさん方駐車場に停めてあったVさんの車に千枚通しを使ってキズを付けました。その後,Aさんは,福岡県大牟田警察署器物損壊罪逮捕されました。Vさんからの被害届を受け警察が捜査を始めたところ,駐車場に設置していた防犯カメラ映像にAさんの犯行の一部始終が映っていたことから逮捕につながったようです。Aさんの妻は,Aさんとの接見を刑事事件専門の弁護士に依頼しました。
(フィクションです)

~器物損壊罪~

器物損壊罪は、刑法261条に規定されています。

刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「前三条に規定するもの」とは、公用文書等(刑法258条)、私用文書等(刑法259条)、建造物等(刑法260条)を指しますから、器物損壊罪の対象(客体=「他人の物」)とは、これら以外の有体物ということになります。ちなみに、動物も「物」に含まれます。
ここでの「損壊」とは動物以外への毀棄、「傷害」とは動物に対する毀棄をいいます。毀棄とは、物理的な毀損・破壊行為のみならず、ひろく物の本来の効用を失わせる行為を含むと解されています。

器物損壊罪の罰則は、上記のとおり

3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料

です。科料(1万円未満)も定められていますが、器物損壊罪において科料が科されるケースは稀だと思います。

器物損壊罪は検察官が起訴するには告訴を必要とする親告罪です。裏返せば、告訴がなければ必然的に不起訴となります。
親告罪は他にも,未成年者略取・誘拐罪(刑法224条),名誉棄損罪(刑法230条),侮辱罪(刑法231条),過失傷害罪(刑法209条),親族間の窃盗罪(刑法244条2項,235条等)などがあります。

親告罪において不起訴を目指すには、一刻もはやく被害者と示談し、被害者に告訴を取消していただく必要があります。
被害者との示談は交渉に慣れた弁護士にお任せください。

~告訴,告発の違い ~

告訴とは,犯罪の被害者その他法律上告訴権を有する者が,捜査機関(検察官,司法警察員)に対し,犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示をいいます。告訴は書面でも口頭でもすることが可能ですが,書面による場合は被害届と異なり,代筆は許されません。被害事実と処罰意思を記載した告訴権者名義入りの書面(告訴状)を提出する必要があります。

他方、告発とは,犯人又は告訴権者以外の第三者から捜査機関に対し,犯罪事実を申告して,犯人の処罰を求める意思表示をいいます。告発も告訴同様,書面あるいは口頭によることが可能です。

告訴告発は,犯人に対する処罰を求める意思表示という点で共通していますが,次の点で異なります。
まず,告訴は,告訴権者が決められているのに対し,告発は,犯罪があると思料するときは誰でもすることができます。また,告発は,告訴のように期間が決められているわけではありません。よって,時効完成までの告発は有効ということになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は,器物損壊罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

【名誉棄損】告訴取消し

2020-02-29

【名誉棄損】告訴取消し

名誉棄損不起訴獲得について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県大川市に住む会社員のAさんは、ある日突然、長年交際していた同僚のVさんから別れを告げられてしまいました。これに、憤りを感じたAさんはSNS上に、「Vは枕営業(性交等の対価として契約をとるといった意味の俗語)で営業成績を残している売女だ」「Vは課長とも部長とも寝ている」など投稿しました。すると、Aさんは、福岡県筑後警察署の警察官から名誉棄損罪の被疑者として警察署に出頭するよう言われてしまいました。Vさんの友人がこの投稿を発見しVさんに伝えたところ、Vさんが福岡県筑後警察署に告訴状を提出したようです。Aさんは月日が経つにつれ反省の度合いを深め、現在ではVさんに謝罪して示談し、告訴を取り消していただきたいと考えています。
(フィクションです。)

~名誉毀損罪~ 

名誉棄損罪は刑法230条に規定されています。

刑法230条
1 公然と事実を摘示し、人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
 
「公然と」(公然性)とは、不特定又は多数人が認識できる状態をいい、必ずしも現実に認識したことは必要ではありません。
特定であっても多数であれば、あるいは、少数であっても不特定であれば、「公然と」と言えます。
SNSは公然性が認められるでしょう。

「事実を摘示」とは、人の社会的評価を低下させるに足りる「具体的な事実」を表示することをいいます。
まず、ポイントとなるの摘示する対象が「具体的な事実」という点です。
「意見、憶測」は「具体的な事実」には当たりませんから侮辱罪(刑法に問われることはあっても名誉棄損罪に問われることはありません。

刑法231条
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

また、よく勘違いされるのが、摘示した「具体的な事実」の「事実」は真実か虚偽かを問いません。
つまり、Vさんが枕営業をしている、会社の課長、部長と寝ていることが仮に虚偽だとしても「事実」」に当たります。

「名誉」とは人の社会的評価又は価値のことをいいます。
「毀損」とは、人の社会的評価又は価値を低下させることをいいます。ただし、その評価、価値が現実に低下したことまでは必要とされていません。

なお、名誉棄損罪は以下のすべての要件を満たす場合は成立しません(刑法230条の2)。
憲法上保障される表現の自由との調和を図る趣旨です。

① 事実の公共性 
② 公益目的
③ 事実の真実性 

本件では、①事実の公共性や②公益目的を認めることは困難でしょう。

~名誉棄損罪は被害者の告訴を必要とする罪~

名誉棄損罪は、被害者の告訴がなければ公訴提起(起訴)できない親告罪です。

刑法232条
この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

名誉棄損罪による処罰を免れたい方は、まずは被害者に謝罪し示談交渉をはじめて示談を成立させ、被害者に告訴を取り消してもらう必要があります。
しかし、被害者の処罰感情が強いことも予想されますから、示談交渉、告訴取消しをご希望される場合は弁護士にご依頼ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、名誉棄損罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談(★無料法律相談サービスのご案内はこちら→★無料法律相談のご案内★)、初回接見サービス(★初回接見サービスのご案内はこちら→★初回接見サービスのご案内★)を24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。

【告訴】被害届と告訴の違い

2020-02-20

【告訴】被害届と告訴の違い

被害届告訴の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県太宰府市に住むAさんは、Vさん方駐車場に停めてあったVさんの車のボンネット等を金づちで数回叩き、Vさんの車を損壊(損害額約30万円)させました。これを見たVさんは福岡県筑紫野警察署に告訴状を提出し、捜査の結果、Aさんが犯人であることが特定されました。そして、Aさんは福岡県筑紫野警察署に器物損壊罪の容疑で呼び出しを受けてしまいました。Aさんは自分が犯人であることを認めており、被害者と示談して被害者に告訴を取り消してもらいたいと考えています。そこでAさんは、告訴事件の経験豊富な弁護士に無料法律相談することにしました。
(フィクションです。)

~被害届と告訴の違い~

被害届とは、捜査機関(主に警察)に対し被害があった旨を申告した届出のことをいいます。器物損壊罪でいえば、いつ、どこで、何を壊されたのか、被害額はいくらなのか、届出を出すまでの経緯はどうかといったことを捜査員に聴取され、捜査員が「被害届」という書類に代筆します。刑事訴訟法に被害届に関する規定はありません。
他方、告訴とは、犯罪の被害者その他法律上告訴権を有する者が、捜査機関(検察官、司法警察員)に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示をいいます。告訴は書面でも口頭でもすることが可能ですが、書面による場合は被害届と異なり、代筆は許されません。被害事実と処罰意思を記載した告訴権者名義入りの書面(告訴状)を提出する必要があります。

被害届は被害があった旨の申告であるのに対し、告訴はそれに加えて処罰を求める意思表示が必要な点で異なります。
また、告訴は、告訴できる方(告訴権者)が刑事訴訟法で決められているのに対し、被害届に関してはそのような決まりはありません。さらに、告訴は、「犯人を知った日から6か月を経過したとき」はすることができませんが、被害届にはそのような決まりはありません(時効が完成するまで提出することができます)。

~器物損壊罪は親告罪~

器物損壊罪は、告訴がなければ公訴を提起(起訴)することができない罪で、これを「親告罪」と言います。
ですから、Aさんが公訴を提起されず、裁判を受けずに済むため(不起訴を獲得するため)には、Vさんに告訴を取消してもらう必要があります。

刑法264条
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ控訴を提起することができない。

刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
 
Vさんに告訴を取り消してもらうためには、まずはVさんに対し真摯に謝罪し、速やかに示談交渉に移る必要があるでしょう。
しかし、当事者間での示談交渉は感情のもつれなどもあって非常に困難を伴いますから、被害者との示談交渉はに弁護士に依頼することをお勧めいたします。
弁護士であれば適切な内容で示談を成立させることが可能であり、その結果、Vさんに告訴を取消していただき、不起訴という刑事処分を獲得できる可能性も上がります。
また、この場合、Aさんに前科も付きません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、器物損壊罪などの告訴事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。

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【名誉棄損】告訴取消し~福岡県福津市

2020-01-28

【名誉棄損】告訴取消し~福岡県福津市

前科公表の名誉棄損告訴取消しについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県福津市に住むAさんは、飲食店の口コミサイトで、福岡市内にある敵対するレストランの口コミ欄に「ここの店主は前科持ちだ。」という書き込みをしました。そうしたところ、Aさんは福岡県宗像警察署に名誉棄損罪の被疑者として呼び出しを受けてしまいました。Aさんは弁護士に相談すると、名誉棄損罪は被害者の告訴を必要とする親告罪であることを教えてもらいました。そこで、Aさんは被害者に謝罪し、示談を成立させた上で、被害者に告訴を取り消してもらいたいと考えています。
(フィクションです。)

~ 名誉毀損罪 ~ 

名誉棄損罪は刑法230条に規定されています。

刑法230条
1 公然と事実を摘示し、人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
 
「公然と」(公然性)とは、不特定又は多数人が認識できる状態をいい、必ずしも現実に認識したことは必要ではありません。
特定であっても多数であれば、あるいは、少数であっても不特定であれば、「公然と」と言えます。
飲食店の口コミサイトの口コミ欄は、インターネットを通じて誰でも閲覧可能ですから公然性を認めることができます。

「事実を摘示」とは、人の社会的評価を低下させるに足りる「具体的な事実」を表示することをいいます。
まず、ポイントとなるの摘示する対象が「具体的な事実」という点です。
つまり、たとえば、「この店の●●はまずい」などというような「意見、憶測」は「具体的な事実」には当たりません(侮辱罪に問われる可能性はあります)。
また、よく勘違いされるのが、摘示した「具体的な事実」は、結果として真実でも虚偽の事実でも問いません。
つまり、店主が「前科持ち」ということが真実でも虚偽でも「具体的な事実」を摘示したことに当たります。
もっとも、前科というのは個人情報の最たるものですから、検察庁というお役所が現住に管理しており、一般私人が知る由はありません。
したがって、店主が前科持ちという事実は虚偽である可能性もあります。

「名誉」とは人の社会的評価又は価値のことをいいます。
「毀損」とは、人の社会的評価又は価値を低下させることをいいます。ただし、その評価、価値が現実に低下したことまでは必要とされていません。
Aさんが、店主は前科持ちと摘示する行為は、人の社会的評価を害するおそれのある行為といえ「名誉を毀損」したことに当たるでしょう。

もっとも、以下のすべての要件を満たす場合は名誉棄損罪は成立しません(刑法230条の2)。
事実の摘示行為は表現の自由として憲法上保障される権利であり、個人の名誉権との調和を図る趣旨です。

① 事実の公共性 
② 公益目的
③ 事実の真実性 

Aさんは敵対するレストランを攻撃する意図で本件書き込みをしたものと考えられます。
そこで、少なくとも②を認めることは困難でしょう。

~ 名誉棄損罪は被害者の告訴を必要とする罪 ~

名誉棄損罪は、被害者の告訴がなければ公訴提起(起訴)できない親告罪です。

刑法232条
 この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

名誉棄損罪による処罰を免れたい方は、まずは被害者に謝罪し示談交渉をはじめて示談を成立させ、被害者に告訴を取り消してもらう必要があります。
しかし、被害者の処罰感情が強いことも予想されますから、示談交渉、告訴取消しをご希望される場合は弁護士にご依頼ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、名誉棄損罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方、告訴取消しをご希望の方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

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