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【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(電車内で女子高生のスカートをカッターナイフで切り裂いたケース)

2024-07-05

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(電車内で女子高生のスカートをカッターナイフで切り裂いたケース)

今回は、電車内で女子高生のスカートをカッターナイフで切り裂いたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:電車内で女子高生のスカートをカッターナイフで切り裂いたケース

電車内で通学中の女子高生Vさんの制服のスカートをカッターナイフで切り裂いたとして、福岡市在住のAさんが逮捕されました。
Vさんが学校に到着後、スカートが切られていることに気付き、警察に通報したことで事件が発覚しました。
その後、電車内に設置されていた防犯カメラの映像からAさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは「困った姿をみて楽しみたいからやった。」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,器物損壊罪について

〈器物損壊罪〉(刑法261条)

前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は、他人の物を損壊し、又は傷害した場合に成立します。
他人の物」とは、前3条に規定するもの以外のすべての他人の物、すなわち同じく刑法に定められた公用文書等毀棄罪私用文書等毀棄罪建造物等損壊罪の客体となる物以外の他人の物すべてが器物損壊罪の客体となります。
土地や動植物が含まれるだけでなく、例えば公職選挙法に反する選挙ポスターなど法律上違法なものであっても、刑法上保護に値するものであれば、「他人の物」に含まれることになります。
損壊」とは、その物の効用を害する一切の行為をいいます。
そのため、上記の事例におけるVさんのスカートが切り裂かれたという物理的な損壊だけでなく、その物の効用が害されたといえる場合には、「損壊」に該当します。
過去の裁判例で、効用を侵害して「損壊」に当たるとしたものは、食器に放尿する行為(大審院判決明治42年4月16日)や自動車のドアハンドルの内側やフェンダーの裏側に人糞を塗り付ける行為(東京高裁判決平成12年8月30日)などがあります。
また、器物損壊罪における「傷害」とは、傷害罪における「傷害」とは異なり、動物を客体とする場合を指し、動物の肉体や健康を害し、さらに死亡させる場合も含まれます。

2,器物損壊罪における弁護活動

器物損壊罪は被害者がいる犯罪であり、親告罪でもあります。

〈親告罪〉(刑法264条)

261条…の…罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

そこで、考えられる弁護活動としては、被害者との示談交渉を試み、示談の成立を目指します。
示談と一口に言っても効果はさまざまであり、ただ加害者が被害者に対して反省・謝罪の意思を伝えて被害の弁償をするだけでなく、器物損壊罪のような親告罪の場合には、告訴の取消しを内容に加えた示談を成立させることが必要不可欠と言えます。
もっとも、示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、被害者は加害者から連絡されることを避け、加害者が被害者に直接連絡したとしても、被害者が恐怖感を抱いたり感情的になって交渉が難航し、事件の早期解決に繋がらないことも少なくありません。
しかし、交渉のプロである弁護士ならば、多くの示談交渉の経験を有するため、どのように示談交渉を進めればいいのかなど、豊富なノウハウを有しています。
したがって、事件の早期解決を望むのであれば、示談交渉に優れた弁護士に依頼して適切なサポートを受けることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において器物損壊罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所であり、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、示談交渉についても豊富なノウハウや実績がございます。
器物損壊罪の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をそれぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】名誉毀損罪とその弁護活動(インターネットの掲示板に被害者の実名とともに名誉を毀損する書き込みをしたケース)

2024-06-26

【事例解説】名誉毀損罪とその弁護活動(インターネットの掲示板に被害者の実名とともに名誉を毀損する書き込みをしたケース)

今回は、インターネットの匿名掲示板に被害者の実名を書いたうえで被害者の名誉を毀損する書き込みを行ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:インターネットの掲示板に被害者の実名とともに名誉を毀損する書き込みをしたケース

福岡県春日市在住のAさんは、約1年の間、インターネットの匿名掲示板に元職場の同僚であるVさんの実名を含めた個人情報や「Vからお金を騙し取られた」、「Vは会社のお金を盗んでいる」などの虚偽の書き込みを複数回行いました。
Aさんは、その件で警察署に出頭するよう求められています。
(事例はフィクションです。)

1,名誉毀損罪について

〈名誉毀損罪〉(刑法230条)

1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

①公然と②事実を摘示し、③人の④名誉を⑤毀損した場合、⑥摘示された事実の有無にかかわらず、刑法名誉毀損罪が成立します。
①「公然」とは、不特定又は多数人が認識できる状態を言います。
また、摘示の相手方が特定又は少数人であっても、その人たちを通じて不特定又は多数人へと広がっていくときには「公然」性が認められます。(伝播性の理論)
②摘示される「事実」は、人の社会的評価を害するに足りるものであることを要します。
さらに、その「事実」は、必ずしも非公知のものに限られず、公知の事実でも、それを摘示することによりさらに社会的評価を低下させるおそれがあれば、「事実」に該当します。
また、「事実」はある程度具体的な内容を含むものでなければならず、単なる価値判断(例:この本は良いまたは悪い)や評価(例:○○さんは仕事ができるまたはできない)は「事実」に該当しません。
③「」とは、犯人以外の自然人、法人及びその他の団体が含まれます。
そして、名誉毀損罪は、人が円滑な社会生活を行うための前提であるその人に対する積極的評価を保護するものであるから、④「名誉」とは、社会が与える評価としての外部的名誉を言います。
⑤「毀損」行為とは、人の社会的評価を害するに足りる行為がなされればよく、実際に人の社会的評価が害されたことまでは必要となりません。
⑥「摘示された事実」が真実であるか否かにかかわらず、名誉毀損罪は成立します。

2,名誉毀損罪で捜査を受ける前段階の弁護活動

名誉毀損罪は、親告罪であり、公訴の提起には被害者の刑事告訴が必要となります。

〈親告罪〉(刑法232条1項)

この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

この章」とは、刑法230条から231条を指しています。
告訴とは、犯罪の直接の被害者が、捜査機関に対して、加害者が犯した犯罪事実とその処罰を望む意思表示を申し出ることを言います。

〈告訴〉(刑事訴訟法230条)

犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。

前述の通り、親告罪は被害者の告訴が公訴提起の要件となっているため、弁護活動としては、被害者との示談交渉を試み、示談の成立を目指します。
もっとも、示談と一口に言っても、その内容は多岐にわたります。
被害者に対して反省・謝罪の意を述べ、被害弁償や示談金の支払い等を行うことで示談を成立させるのではなく、宥恕条項(加害者の反省・謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や刑事告訴をしている場合には刑事告訴の取消し等の約定を内容に加えて示談を成立させることが重要となります。
示談交渉は、加害者と被害者の当事者同士でも行うことはできます。
しかし、犯罪の被害者は加害者と直接コンタクトをとることを避けることが考えられ、当事者同士での交渉は拗れて上手くいかないことが十分に予想されます。
そこで、弁護士が間に入り、捜査機関経由で被害者の方にコンタクトをとり、被害者の方に安心して示談交渉に臨んでいただき、冷静かつ丁寧に加害者が反省していること等を説明することで、前述した内容での示談の成立が期待できます。
そのため、名誉毀損罪でこれから捜査機関による任意捜査の対象となっている、あるいは被害者から刑事告訴される可能性がある場合には、少しでも早く弁護士に依頼し、刑事事件化させない、刑事告訴の取消しなどの実現を目指すことが肝要です。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県春日市において名誉毀損罪の当事者となり在宅で捜査を受けている方、あるいはこれから名誉毀損罪で刑事告訴される可能性のある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、名誉毀損罪の当事者となりお悩みの方に対しては、弁護士が直接「無料相談」を行います。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(商業施設の個室トイレの鍵穴に汚物を塗り付けたケース)

2024-05-17

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(商業施設の個室トイレの鍵穴に汚物を塗り付けたケース)

今回は、福岡市内の商業施設内の個室トイレにおいて、鍵穴に汚物を塗り付けたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:商業施設の個室トイレの鍵穴に汚物を塗り付けたケース

福岡県警察博多警察署は、器物損壊の疑いで福岡市東区在住のAさんを逮捕しました。
Aさんは、福岡市内の商業施設で、トイレの個室ドアの鍵穴に大便などの汚物を塗り付けた疑いが持たれています。
博多警察署によると、これまでに同様の被害が複数回あり、商業施設が被害届を提出していました。
防犯カメラの映像や目撃情報等からAさんの特定に至り、Aさんは容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,器物損壊罪

〈器物損壊罪〉

前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」(刑法261条

器物損壊罪は、刑法の前3条に規定するもの(公用文書等毀棄罪私文書等毀棄罪建造物等損壊罪及び同致死傷罪)のほか、他人の物を①損壊し、又は②傷害した場合に成立します。
損壊」とは、財物の効用を害する一切の行為を言います。
判例では、飲食店の食器に放尿した場合(大審院判決明治42年4月16日)や、争議手段としてビラ60枚を会社事務所の窓や扉のガラスに洗濯のりで貼り付けた場合(最高裁判決昭和46年3月23日)などが「損壊」に当たるとしています。
上記の事例でも、商業施設の個室トイレの鍵穴に大便という汚物を塗り付けた行為は、個室トイレの鍵穴部分及びその周辺部分の効用を害したものとして、「損壊」に該当すると考えられます。
もっとも、仮に商業施設の個室トイレのドアが壁や柱などの建造物と取り外しが損壊しなければ取り外すことができないほどに接合されており、当該建造物における機能上も重要な役割を果たしている等の事情があれば、建造物損壊罪刑法260条)の成立が検討されることになります。
傷害」については、動物を客体とする場合を指し、動物の効用を害する一切の行為を意味します。
例えば、他人が飼っているペットを殺傷したり、勝手に逃がしたりする場合などがこれに該当します。

2,公訴を提起されないための弁護活動

〈親告罪〉

第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」(刑法264条

親告罪とは、被害者の告訴が無ければ公訴を提起することができない犯罪で、被害者の告訴が無い場合は、訴訟条件を欠くものとして検察官は公訴を提起できません。
そのため、器物損壊罪で逮捕されてしまった場合には、被害者に対して、弁護士は加害者の立場として謝罪の弁を述べることや被害弁償を行うことで刑事告訴の取消等の約定を加えたかたちでの示談を成立させることが肝要です。
示談交渉は当事者同士でも行うことはできますが、当事者同士での交渉は、被害者側が感情的になったり、不快な思いをすることもあるため、ほとんどの場合は拗れて上手くいきません。
そこで、弁護士が間に入り、加害者が反省し謝罪の意思を持っていることや、被害に対する弁償を行う準備があることなどを丁寧かつ冷静に説明することで、被害者の方に安心して交渉の場に臨んでいただければ、示談が成立しやすくなる期待が十分に持てます。
また、示談の成立により、被疑者は罪を認めて反省していると考えられ、被疑者による犯罪の証拠隠滅や逃亡のおそれはないと判断され、早期の身柄解放も期待できます。
逮捕されてから起訴されるまでの期間は、最長でも23日間しかなく、その間に宥恕条項加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や刑事告訴の取消といった約定を加えた内容での示談を成立させることが必要不可欠となります。
以上より、器物損壊罪で逮捕されてしまった、あるいは器物損壊罪で在宅で捜査を受けているまたは刑事告訴されるおそれがある場合には、一刻でも早く弁護士によるサポートを受けることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において器物損壊罪の当事者となった方、あるいはご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、器物損壊罪の当事者で在宅で捜査を受けているまたは刑事告訴されるおそれがある方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄を拘束されている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

器物損壊罪となった放火、放火の罪になる条件とは

2024-03-14

器物損壊罪となった放火、放火の罪になる条件とは

参考事件

福岡県北九州市に住んでいる大学生のAさんは、市内にある無人の公園に来ました。
Aさんは持っていたマッチに火を付けると、公園内にあるゴミ箱に火のついたマッチを投げ入れました。
Aさんは公園の外から火に人が集まって消火する様子を眺め、消し止められるとその場を離れました。
その後、小倉北警察署が事件を捜査し、火を付けたのがAさんであることを突き止めました。
そしてAさんは器物損壊罪の疑いで逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

放火の罪と器物損壊罪

Aさんは物に火を付けましたが、器物損壊罪で逮捕されました。
参考事件の内容であれば、放火に関する罪が適用されるのではないかと疑問を浮かべる人も多いでしょう。
しかし、放火が行われたとしても事件状況によって問われる罪は変わってきます。
放火の罪とAさんに適用された器物損壊罪は、どちらも刑法に定められた犯罪です。
放火の罪は刑法第108条に「現住建造物等放火罪(人が住居にしている、又は人がいる建造物等に放火する罪)」、刑法第109条は「非現住建造物等放火(人か住居に使用せず、かつ人のいない建造物等に放火する罪)」、刑法第110条に「建造物等以外放火罪」が定められています。
参考事件は建造物に対する放火ではないため、仮に放火事件として扱われたのであれば刑法第110条に「放火して、前2条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。」と定められた建造物等以外放火罪が適用となった可能性はあります。
実際にAさんの逮捕容疑となったのは、刑法第261条に「前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定められた器物損壊罪です。
損壊とは物理的な破壊だけを意味するものではありません。
これは「物の効用を害する一切の行為」を意味し、隠す、汚すといった行為も損壊に含まれます。
この条文の傷害は、ペット等の他人が所有する動物を傷付けた場合に使われる表現です。
前3条とは、刑法第258条の「公用文書等毀棄罪(公務所で使用される文書または電磁的記録を毀棄する罪)」、刑法第259条の「私用文書等毀棄罪(法的な権利や義務を証明する文書または電磁的記録を毀棄する罪)」、刑法第260条の「建造物等損壊罪及び同致死傷罪(建造物等を損壊する罪)」を指し、ここに含まれない物を損壊するのが器物損壊罪です。

適用される条件

建造物等以外放火罪ではなく、器物損壊罪でAさんが逮捕された理由は、Aさんの放火行為が「公共の危険を生じさせ」ていないことにあります。
公共の危険とは、不特定および多数の人、他の建造物、財産に対する危険を意味します。
参考事件の場合、放火されたゴミ箱の周りに木や木製のベンチ等、延焼する危険性があると判断される物があれば、建造物等以外放火罪が成立した可能性がありました。
しかしAさんの放火したゴミ箱は、周りに何もなかった、もしくは延焼の危険性のあるものがなかったため、器物損壊罪が適用されたと考えられます。
参考事件のように、一般的なイメージや言葉から受ける印象とは違った運用となる事件は多々あります。
そのため刑事事件を起こしてしまった時は、速やかに弁護士に相談し、専門的なアドバイスを受け自身の置かれた状況を正しく把握することが重要です。

刑事事件の専門知識を持つ弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、少年事件を含めた、刑事事件を中心に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所は初回無料の法律相談逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスのご予約を24時間体制で受け付けております。
ご予約のフリーダイヤルは、「0120-631-881」となっております。
建造物等以外放火罪の容疑でご家族が逮捕されてしまった方、または器物損壊罪事件を起こしてしまった方、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に、お気軽にご相談ください。

【事例解説】凶器準備集合罪とその弁護活動(金属バットを持って喧嘩に参加して逮捕された架空の事例に基づく解説)

2024-01-03

 この記事では、架空の事例を基に、凶器準備集合罪の成立とその弁護活動について、解説します。

事例:金属バットを持って喧嘩に参加したケース

 対立する不良グループと喧嘩するために凶器を準備して集合したとして、不良グループに所属する男性A(21歳)ら8名が逮捕されました。
 Aらは、対立する不良グループと喧嘩するために、北九州市内の公園で鉄パイプや金属バットなどの凶器を準備して集合していたとみられ、異変に気付いた近隣住民が警察に通報し、駆け付けた福岡県小倉南警察署の警察官に現行犯逮捕されました。
 Aは、喧嘩に参加するために金属バットを持って集合したとして、凶器準備集合の容疑を認めています。
(事例はフィクションです。)

凶器準備集合罪とは

 2人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する、と定められています(刑法第208条の2第1項)。

 凶器準備集合罪は、他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的(共同加害目的)での集合を処罰の対象とすることで、後に予想される、殺人、傷害、暴行、建造物損壊、器物損壊など、個人の生命・身体・財産に対する危険からの保護とともに、公共的社会生活の平穏を保護するものとされています。

 凶器準備集合罪における「凶器」とは、その性質上、又は使用方法によっては、人を殺傷し得る器具、とされます。
 銃砲刀剣類のように、その器具本来の性質上、人を殺傷する用に供されるもののみならず、ゴルフクラブ等、使用方法によっては、人を殺傷し得る器具も含まれます。

 なお、同罪における「準備」とは、必要に応じていつでも加害行為に使用しうる状態に置くこといい、「集合」とは、2人以上の者が共同の行為をする目的で、一定の時刻、一定の場所に集まることをいいます。

 本件Aは、対立する不良グループとの喧嘩という「共同加害目的」で、身体に殴打すれば人を殺傷し得る「凶器」となる金属バットを準備して「集合」したとして、凶器準備集合罪が成立し得ると考えられます。

凶器準備集合事件で逮捕された場合の刑事弁護

 凶器準備集合罪のように、共犯者や関係者が多数にわたることのある事件では、口裏合わせ等の罪証隠滅のおそれがあるとして、逮捕に引き続き勾留される可能性が高く、さらに、事件の全容解明のための捜査に時間を要することから、勾留が延長されるなど、身体拘束が長期化する可能性もあります。

 弁護活動としては、身体拘束からの早期解放を目指して、検察官や裁判官に対し、勾留の理由(逃亡・罪証隠滅のおそれ等)や勾留の必要性がないことを主張し、勾留請求や勾留決定を行わないよう意見を申述することや、勾留が決定した後でも、その決定に対して不服申し立て(準抗告)を行うことが考えられます。

 また、凶器準備集合事件では、共犯者間の役割等によって刑事責任の重さも変わってくると考えられますが、主導的な役割(凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた)を果たした者には凶器準備結集罪が成立し、3年以下の懲役と刑が加重され得るため、不当に重い責任を負わされることのないよう、弁護士が被疑者との接見に際し、取調べ対応についてアドバイスを行うことも重要になると考えられます。

福岡県の凶器準備集合事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、凶器準備集合などの暴力事件において、身体拘束からの早期解放、不起訴処分や刑の減軽を獲得した実績が多数あります。
 凶器準備集合の容疑でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【事例解説】「撮り鉄」で列車が緊急停止 電汽車往来危険罪で捜査開始(前編)

2023-10-23

 列車を撮影するために線路脇に立ち入った「撮り鉄」行為により、列車が緊急停止した架空の事件を参考に、電汽車往来危険罪と自首の成立する要件について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 鳥取市在住の鉄道ファンAは、鉄道会社Vが運行する特急列車Wを至近距離で撮影するため、同市内の線路脇に立ち入ったところ、Wの運転士が線路脇に立ち入ったAを確認し、Wは緊急停止しました。Wの乗客に怪我はありませんでしたが、停止の影響で運行が大幅に遅延しました。
 Aは後日の報道で、本件について、電汽車往来危険などの容疑で福岡県久留米警察署の捜査が開始されたことを知り、自首すべきか刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

電汽車往来危険罪とは

 鉄道若しくはその標識を損壊し、又はその他の方法により、汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は、2年以上の有期懲役に処する、と定められています(電汽車往来危険罪、刑法第125条第1項)。

 電汽車往来危険罪における「往来の危険」とは、衝突・脱線など、電車等の往来に危険な結果を生ずるおそれのある状態とされます。
 具体的には、単に電車等の交通の妨害を生じさせた程度では足りないが、脱線等の実害の発生が必然的ないし蓋然的であることまで必要とするものではなく、上記実害の発生する一般的可能性があれば足りる、とされます。
 つまり、その行為により、電車等の衝突・脱線などの危険が生じる可能性があれば、「往来の危険」を生じさせたと認められる可能性があると考えられます。

 本件Aは、特急列車Wを至近距離で撮影するため、線路脇への立ち入りという、衝突・脱線などの危険が生じる可能性のある行為を行っています。
 そのため、「その他の方法」により、電車の「往来の危険」を生じさせたとして、電汽車往来危険罪が成立し得ると考えられます。

 なお、電汽車往来危険罪が成立しない場合でも、鉄道地内にみだりに立ち入ったとして、鉄道営業法(第37条)違反により処罰される可能性があります。

 その他、Wは停止の影響で運行が大幅に遅延したことから、Aの立ち入り行為により鉄道会社V の業務が妨害されたといえるため、Aは、「威力を用いて人の業務を妨害」として、威力業務妨害罪(刑法第234条)が別途成立する可能性もあります。

次回の後編では、自首の成立する要件について、解説します。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、様々な刑事事件における弁護活動の豊富な実績があります。
 自身やご家族が電汽車往来危険罪に該当する可能性がある行為をしてしまい、取るべき対応のことなどでお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

猫にエアガンを発射 猫を傷付けた場合の刑事責任は

2023-05-07

猫にエアガンを発射して、猫を傷付けた場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

福岡県北九州市に住むAさん(20歳)は、大受験に失敗し、浪人生活をしています。
そんな生活を送るAさんは受験勉強でストレスがたまり、たまに近所にある公園で、猫に向けてエアガンを発射してストレスを解消していました。
人目に付かないように夜中に自宅を抜け出してこのような行為に及んでいたのですが、近所では公園で傷付いた猫がよく発見されると噂になっており、住民が福岡県戸畑警察署に届け出たようです。
(フィクションです。)

動物愛護法違反

猫に向けてエアガンを発射して猫を傷付けると、動物愛護法違反に抵触します。
動物愛護法とは「動物の愛護及び管理に関する法律」の略称です。
この法律は主に、動物の虐待を防止したり、動物の飼い主やペット業者に責任や義務を課すための法律です。
動物愛護法の対象となる動物は、犬、猫、牛、馬等の哺乳類だけでなく、鳥類や爬虫類で、犬や猫などの一部の動物においては、特定人物の占有下にあるか問われない、つまり俗に言う「野良犬、野良猫」でも対象となります。
そして、この動物愛護法の第44条第2項で、動物に対する虐待を禁止しています。
これに違反して動物を虐待すれば「100万円以下の罰金」が科せられるおそれがあるので注意しなければなりません。
ちなみに、猫に向けてエアガンを発射する行為自体が、虐待行為に当たるので、実際に発射したエアガンの弾が、猫に命中するか否かは違反が成立するかどうかに関係ないとされています。

器物損壊罪

虐待した動物が人の所有物だった場合は、刑法第261条に規定されている器物損壊罪が適用されるでしょう。
器物損壊罪とは、他人の物を損壊する事を禁止する法律で、罰則規定は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
損壊とは、物そのものの形を変更又は滅失させる場合だけでなく、その物の効用を害する一切の行為が損壊に当たるとされています。
人が植えた植物を引き抜いたり、飲食店の食器に放尿する行為、人が飼っている動物を故意的に死傷させる行為も器物損壊罪に当たるとされています。

器物損壊罪は親告罪

器物損壊罪は、親告罪です。
親告罪は、被害者をはじめとした告訴権者による告訴がなければ、検察官は起訴をすることができません。
また告訴は、一度取り下げると、同じ犯罪事実で再度告訴することができません。
そのため器物損壊罪のような親告罪逮捕された場合は、検察官が起訴するか否かを決定するまでに、被害者が告訴を取り下げれば、絶対に起訴を免れることができます。

福岡県北九州市の刑事事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県北九州市の刑事事件に強いと評判の法律事務所です。
福岡県北九州市の刑事事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部無料法律相談初回接見サービスをご利用ください。

豊前市のDV事件 DV防止法の保護命令に違反すると…

2022-09-07

豊前市のDV事件 DV防止法の保護命令に違反すると…

豊前市のDV事件を参考に、DV防止法の保護命令に違反した場合の刑事罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

豊前市で自営業を営んでいるAさんは、夫婦仲が悪く、日常的に妻に対して殴る蹴るの暴力を振るっていました。
妻は、この事実を管轄の福岡県豊前警察署に相談しているようですが、被害届は提出していませんでした。
そうしたところ先日、裁判所から妻の保護命令が発せられて、Aさんはその決定書を受けとりました。
(フィクションです。)

DV防止法において裁判所が発する保護命令に違反するとどうなるのでしょうか?
豊前市の刑事事件を扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部の弁護士が解説します。

DV防止法

DV防止法とは、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」の略称です。
この法律は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的にしており、暴行、傷害の行為そのものを取り締まったり、暴行、傷害した行為者に刑事罰を科すことを目的にしているものではありません。

保護命令

被害者は、裁判所に、加害者である配偶者、内縁の者等生活の本拠を共にする交際相手に対して、一定期間、被害者又は被害者の子や親族等のつきまとい等の禁止、住居からの退去をさせるための保護命令を申立てることができます。
ここで発せられる保護命令は

①接近禁止命令
②退去命令
③子への接近禁止命令
④親族等への接近禁止命令
⑤電話等禁止命令

の5種類です。

保護命令違反

保護命令は刑事手続きではないので、裁判所から命令を受けても、前科、前歴にはなりませんが、裁判所の保護命令に違反した場合は、刑事罰の対象となり、警察に逮捕される可能性が生じます。
保護命令に違反して有罪が確定すれば、保護命令違反で「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられます。

DV防止法において加害者に対する罰則が規定されているのは上記した保護命令違反だけですが、昨今のDV事件における警察捜査では、DV防止法の保護命令を待たずして暴行、傷害罪等の刑法を積極的に適用し、被害者の意思に関わらず加害者を逮捕する傾向にあります。
豊前市において、DV防止法の保護命令を受けた方、
豊前市のDV事件に強い弁護士、刑事事件に強い弁護士のご用命は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

糟屋郡の監禁事件 選任した弁護士が示談を締結

2022-08-02

糟屋郡の監禁事件で逮捕された被疑者に選任された弁護士が示談を締結した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事例

監禁罪で、福岡県粕屋警察署に逮捕されたAに選任されている刑事事件に強い弁護士は、Aの勾留期間中に、被害者と示談することができました。
(フィクションです。)

監禁罪で勾留期間中に被害者と示談した場合、その後の刑事手続きにどのように影響するのでしょうか?
福岡県内で刑事事件に強いと評判の弁護士が解説します。

監禁罪

監禁罪は、不法に人を監禁する事によって成立する犯罪で、起訴されて有罪が確定すれば「3月以上7年以下の懲役」が科せられます。

~監禁とは~

人が一定の区域から出る事を不可能若しくは著しく困難にし、その行動の自由を奪い、人の行動の自由を場所的に拘束する事です。
監禁する場所は必ずしも区画された場所である必要はなく、嫌がる人をオートバイの荷台に乗せたまま走行した場合も監禁罪が成立する可能性があります。

~監禁の方法~

監禁の方法は制限されておらず、暴行、脅迫を手段とする有形的方法は当然のこと、人の恐怖心、しゅう恥心を利用したりするものや、偽計によって被害者の錯誤を利用したりする等の、無形的方法によるものでもよいとされています。

~被害者の意識~

上記のように、監禁の方法には制限がありませんので、被害者の錯誤を利用しての監禁でも監禁罪は成立する場合があります。
つまり監禁時に、被害者が、自らが監禁されている認識を持たなかった場合でも、監禁罪が成立する場合があります。

示談

監禁罪は親告罪ではないので、被害者と示談が成立したからといって100パーセント刑事罰を免れる事ができるわけではありません。
しかし、検察官が起訴するか否かを判断する上で、被害者の処罰意思は大きく考慮される事となります。
もし、勾留期間中に被害者と示談する事ができていれば、起訴される可能性は低くなりますし、例え起訴されたとしても、軽い処分が予想されます。

糟屋郡の刑事事件に強い弁護士

糟屋郡の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が監禁罪で逮捕された方、刑事事件で被害者との示談を希望される方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

被害者との示談は弁護士に相談 被害者との示談交渉が刑事事件に…

2022-07-17

被害者との示談交渉が刑事事件に発展する危険性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

Aさんは福岡市博多区に住む専門学生です。
Aさんの高校時代の先輩に頼まれて、専門学校に通う後輩の女性(20歳)を紹介し始めたのですが、交際中に、この先輩が後輩の女性を殴ったという暴行罪で、福岡県博多警察署に逮捕されました。
先輩の逮捕を知ったAさんは、先輩が留置されている福岡県博多警察署に行き、先輩と面会しました。
そこで先輩から「何とか示談してくれないか」と懇願されたAさんは、後輩の女性と連絡をとり示談を申し出ました。
後輩の女性は示談交渉に応じてくれ、治療費等で50万円を支払う内容の示談書に署名してもらうことができましたが、その翌日に、Aさんは福岡県博多警察署に呼び出されました。
そして、刑事さんから「示談を強要している。」と言われて、取調べを受けたのです。
(この事件はフィクションです。)

証人等威迫罪

刑法第105条の2は、「自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。」と規定し、証人等威迫罪について定めています。

証人等威迫罪は、いわゆる「お礼参り」を防止するために、刑事事件の証人・参考人等に対する面会強請・強談威迫の行為を処罰して、刑事司法の適正な運用を確保しようとするとともに、証人等の私生活の平穏ないし事由という個人的法益の保護をも図ることを目的として、創設された罪です。

示談交渉は弁護士に依頼

証人等威迫罪は、被害者に対して面会を強請し、又は強談威迫の行為をした場合にも適用されます。
ご本人やご家族が刑事事件を起こしてしまった場合、被害者の方に対して謝罪をしたい、示談交渉をしたいと考える方は多いです。
しかし、謝罪や示談交渉のためとはいえ、ご本人やご家族が被害者と直接接触する場合、行き過ぎた示談交渉となってしまう可能性があり、場合によっては上記したような法律に抵触するおそれがあります。
また、証人等威迫罪は他人の刑事事件を対象とする者についても適用されるため、Aさんのように、逮捕されている方の代わりに示談交渉しようとした方が罪に問われることもあります。

証人等威迫罪などの犯罪に抵触しない場合でも、加害者が被害者に直接接触して示談交渉することはお勧めできません。
そもそも、被害者は加害者に対する怒りや恐怖から、加害者やその家族と連絡を取りたがらないことが多いです。
仮に、加害者が被害者に連絡をとれたとしても、当事者が直接話し合うと、被害者の加害者に対する恐怖や憎悪・怒りから交渉が難航したり、最悪の場合被害者の恐怖感や怒りの感情をさらに高めたりしてしまうおそれがあります。
また、無事に示談が成立したように見えるケースでも、法律の専門家ではない当事者による示談の場合は、示談に不備があって法的な効力が認められず、後日紛争が蒸し返されるということもあります。

被害者との示談に強い弁護士

福岡市博多区の刑事事件でお困りの方、福岡県博多警察署暴行罪で逮捕されている方の示談交渉については、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
示談交渉に関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

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