Archive for the ‘放火罪’ Category

裁判員裁判の対象となる現住建造物等放火罪で逮捕

2024-04-05

裁判員裁判の対象となる現住建造物等放火罪で逮捕

現住建造物等放火罪と裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福岡県嘉麻市に住んでいる大学生のAさんは、住んでいるアパートを燃やしての自殺を計画し、アパートのカーテンにライターで火を付けました。
火はカーテンから部屋の壁に燃え移って煙が上がったため、アパートの住人が燃えていることに気付き、119番通報しました。
駆け付けた消防隊の消火活動で火は消し止められ、捜査によって火災の原因がAさんの放火であることがわかりました。
その後、Aさんは嘉麻警察署現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

現住建造物等放火罪

放火の罪刑法に定められており、現住建造物等放火罪は「放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と刑法第108条に定められています。
この場合の「建造物」は、屋根があり壁または柱によって支えられ土地に定着し、その内部に人が出入りし得る家屋、またはこれに類似する建造物と定義されています。
焼損」とは火が媒介物を離れても、建造物などの一部が独立しても燃え続ける状態で、参考事件の場合はカーテンに付いた日が壁に燃え移り、そのまま独立して燃え始めると焼損したと言えます。
また、「現に人が住居に使用」しているとは、犯人以外の人が起臥寝食の場所として日常使用することを意味しており、犯人以外の人が住居に使用している建造物であれば、仮に放火当時に人が現在していなくても現住建造物等放火罪は成立します。
ちなみに、「現に人がいる」とは犯人以外の人間が建造物内に現存することを指します。
これらのことから、Aさんには現住建造物等放火罪が適用されました。
現住建造物等放火罪の刑罰は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」です。
死刑又は無期の懲役」の刑罰に当たる事件の場合、起訴されると裁判員裁判が開かれます。

裁判員裁判制度

裁判員裁判とは、ランダムで選ばれた一般の国民が裁判員となり、裁判に参加する形式の裁判です。
一般の方が裁判員となることから、裁判の前に裁判官、検察官、弁護士が事件の争点を明確にする公判前整理手続をとります。
また、裁判員裁判での弁護士は、裁判員の選任手続きにも弁護士は立ち合います。
これは弁護士のチェックを通し、被告人に不利または不公平な裁判をするおそれのある裁判員の選出を阻止して公平な裁判に行うためです。
このように、裁判員裁判は通常の事件とは勝手が違う裁判になります。
裁判員裁判の対応もスムーズに行えるよう、参考事件のような放火事件の場合、裁判員裁判制度にも詳しい弁護士に、弁護活動を依頼することが重要です。

裁判員裁判に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件と少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所では、初回無料の法律相談逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しております。
どちらのご予約も、24時間、年中無休で電話対応いたします。
裁判員裁判の対象となる事件を起こしてしまった、または現住建造物等放火罪の容疑でご家族が逮捕されてしまった、そのような場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に、是非、ご相談ください。

【事例解説】現住建造物等放火罪で逮捕 裁判員裁判で審理

2023-06-13

 交際相手の居住するアパートに放火したとして現住建造物等放火罪で逮捕された事件を参考に、現住建造物等放火罪とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 北九州市在住の自営業男性A(23歳)は、交際中のVが賃借して居住する同市内の木造2階建てアパートの一室にて、Vの外出中に留守を預かっていたところ、クローゼットに掛けているVの洋服にライターで放火しました。
 洋服が焼け落ち、床の一部に火が燃え移ったため、Aは慌てて消火しようとしましたが火が燃え広がってしまったところ、駆け付けたアパートの管理人が消火器で鎮火しました。
 Aは、管理人に現住建造物等放火の容疑で現行犯逮捕され、通報により臨場した警察官に引き渡されました。
 警察の調べに対し、Aは、Vとの喧嘩の腹いせで洋服を燃やそうと思ったが、アパートまで燃やすつもりはなかったと、現住建造物等放火の容疑を否認しているとのことです。
(事例はフィクションです。)

現住建造物等放火罪とは

 放火して、現に人が住居に使用する建造物焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する、と定めています(刑法第108条)。
 なお、法定刑の下限が5年以上の懲役であることから、有罪になると執行猶予が付くことのない、非常に重い罪と言えます。

 「放火」とは、目的物に点火することです。直接目的物に点火する場合だけでなく、紙類等の着火しやすい物を媒介物として、目的物に点火する場合も含みます。
 「焼損」とは、火が媒介物を離れて、目的物が独立して燃焼を継続するに至った状態を指します。

 本件Aの容疑は、クローゼットに掛けている洋服を媒介物として、「現に人が住居に使用する建造物」であるアパートに「放火」し、その床に火を燃え移らせ「焼損」したという、現住建造物等放火罪です。

現住建造物等放火罪の故意

 Aは、Vの洋服を燃やそうと思ったが、アパートまで燃やすつもりはなかったとして、現住建造物等放火罪故意(罪を犯す意思)を否認していますが、故意は、積極的に結果の発生を意図する場合だけでなく、結果が発生するかもしれない、又は発生してもかまわない、という認識がある場合でも認められます(これを「未必の故意」といいます。)。

 現住建造物等放火罪で起訴された場合、犯行動機を含むAの供述内容のほか、Vの室内の物の配置、放火の態様、犯行後のAの言動などの客観的証拠から、現住建造物等放火罪の故意の有無が裁判で審理されることになります。

現住建造物等放火罪の弁護活動

 現住建造物等放火罪は、法定刑に死刑又は無期懲役を含む罪であるため、起訴された場合、通常、裁判官3名と国民から選ばれた裁判員6名の合議による裁判員裁判の対象となります。

 裁判員裁判の審理が行われる場合、弁護人は、法律の専門家ではない裁判員に、平易な言葉や説明でAの主張の内容を理解してもらう必要があります。
 本件では、Aに現住建造物等放火罪未必の故意と言えるほどの認識は無かったことを、客観的証拠に基づき裁判員に理解してもらえるよう主張することが考えられます。

 また、裁判員裁判での審理の前には、事件の争点や証拠を整理して審理の計画を立てる「公判前整理手続」が必ず開かれる点も、通常の刑事事件の裁判とは異なります。

 以上のことから、裁判員裁判の対象事件については、刑事弁護に強く、裁判員裁判の経験豊富な弁護士に相談することをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
 ご家族が現住建造物等放火罪で逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【即日対応可能】福岡県宗像警察署に弁護士を派遣※電話予約OK

2022-11-05

【即日対応可能】福岡県宗像警察署への弁護士派遣について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県宗像警察署への弁護士派遣(初回接見サービス)

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)

までお電話ください。

参考事件

大学試験に失敗して浪人中のAさんは、福岡県宗像市の実家で生活しています。
受験勉強に明け暮れる日々を送っていたAさんは、そのストレスを発散するために、放火事件を起こしてしまいました。
最初は、公園の枯れ木を燃やす程度だったのですが、それだけでは満足できなくなったAさんの行為は、段々とエスカレートしていき、最近は、駐輪場にとめてある自転車や、先日は、民家の敷地内に置いてあった段ボールまでにも放火したのです。
そして先日、放火する物を探して歩いていたAさんは、連続不審火を警戒していた福岡県宗像警察署の警察官に職務質問されたのです。
そこで隠し持っていたライターが見つかってしまい、警察署に連行されて取調べを受けたAさんは、一連の放火事件を認めて逮捕されました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

福岡県宗像警察署

〒811-3436
福岡県宗像市東郷1-2-2
電話番号 0940-36-0110

福岡県宗像警察署に弁護士を派遣する費用

交通費込み 40,150円

放火

一言で「放火」と言いましても、刑法には放火に関する法律が複数存在します。
放火に関する法律は①現住建造物等放火罪非現住建造物等放火罪建造物等以外放火罪があり、②非現住建造物等放火罪と③建造物等以外放火罪については、放火した非現住建造物等(建造物等以外)が自己所有他人所有かによって科される刑事罰が異なってきますし、放火したという事実があっても公共の危険が発生しなかった場合は、罪に問われない場合もあります。
ただ放火は、人の命にかかわる重大な結果が発生する可能性のある犯罪ですので、警察は徹底的に捜査をする傾向があり、逮捕された場合は、長期間に及んで身体拘束を受ける可能性が極めて高い事件でもあります。

自転車や段ボールに放火

それでは、Aさんの行為(自転車や段ボールに放火)について検討します。
自転車や段ボールは、建造物等には該当しないので、刑法第110条に規定されている建造物等以外放火罪が適用されるでしょう。
建造物等以外放火罪は、公共の危険が生じなければこの罪に問われることはなく、器物損壊罪が適用されることになります。
ただ放火現場近くに民家等があれば、放火によって公共の危険が生じたと判断される可能性が高いでしょう。
建造物等以外放火罪は、放火した物が他人所有の場合と、自己所有の場合で適用される法定刑が異なります。
今回のように他人の物に放火した場合は「1年以上10年以下の懲役」ですが、自己所有の物に放火した場合は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。

放火に関する詳細は こちらをクリック

福岡県宗像警察署に弁護士を派遣

福岡県宗像警察署に派遣できる即日対応可能な弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
福岡県宗像警察署に弁護士を派遣する 初回接見サービス のご予約については、24時間対応しているフリーダイヤルでお待ちしております。

飯塚市の連続放火事件 放火事件に適用される罪名について~②~

2022-09-09

飯塚市の連続放火事件を参考に、放火事件に適用される罪名~器物損壊罪~について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

飯塚市の器物損壊事件

飯塚市に住む会社員のAさんは、職場の人間関係がうまくいかず日常的にストレスがたまっていました。
そんな中Aさんは、そのストレス発散として、自宅近所の公園にある公衆トイレに設置されているトイレットペーパーや、雑草、ベンチ、そして近所の集合住宅の駐輪場にとめてある自転車等に放火してストレスを発散するようになったのです。
福岡県飯塚警察署は、連続発生する不審火に警戒を強めており、ある日の夜中、人気のない路地を歩いていたAさんは、警察官に職務質問されました。
警察官はタバコを吸わないAさんがライターを所持していたことを不審がっており、Aさんは、警察署に任意同行後、器物損壊罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

器物損壊罪

放火した事件であっても、公共の危険が発生しなかった場合など、放火を規定する法律の構成要件を満たさなかった場合は「器物損壊罪」が適用される場合があります。
器物損壊罪は、刑法第261条に規定されている法律で、簡単にいうと「故意的に他人の物を壊す」ことで成立する犯罪です。
器物損壊罪は「親告罪」ですので、被害者等の刑事告訴がなければ控訴を提起(起訴)することができません。

器物損壊罪の法定刑

器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
初犯の場合は、罰金刑となる可能性が非常に高いですが、犯情が悪質な場合や、高額な物を壊して弁済していない場合などは起訴される可能性もあるでしょう。

器物損壊罪の弁護活動

器物損壊罪は、被害者と示談し、起訴までに刑事告訴を取消してもらうことができれば必ず不起訴になりますので、何よりも被害者との示談交渉を優先すべきでしょう。

器物損壊罪で逮捕される場合

短期間に連続して器物損壊事件を起こしている場合は逮捕される可能性が高いでしょう。
また、被疑者(犯人)と被害者の関係が近い場合も逮捕される可能性があります。
ただ警察に逮捕されたからと言って厳しい刑事罰が科せられるわけではありません。
器物損壊罪で逮捕された場合でも、逮捕後の弁護活動をしっかりとしていれば、不起訴となる可能性は十分にあります。

器物損壊事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、飯塚市で何か犯罪を犯してしまった方からのご相談を初回無料で承っております。
「自分の行為が犯罪に当たるのか?」「犯罪に当たるとしたらどんな罪になるのか?」等、刑事事件に関するご相談であれば何でも承ることができますので、まずは

フリーダイヤル0120-631-881

までお電話ください。

なお弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、福岡県飯塚警察署に逮捕されてしまった方のもとに弁護士を派遣する 初回接見 のサービスも提供しています。

飯塚市の連続放火事件 放火事件に適用される罪名について~①~

2022-09-08

飯塚市の連続放火事件を参考に、放火事件に適用される罪名~建造物等以外放火罪~について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

飯塚市の建造物等以外放火事件

飯塚市に住む会社員のAさんは、職場の人間関係がうまくいかず日常的にストレスがたまっていました。
そんな中Aさんは、そのストレス発散として、自宅近所の公園にある公衆トイレに設置されているトイレットペーパーや、雑草、ベンチ、そして近所の集合住宅の駐輪場にとめてある自転車等に放火してストレスを発散するようになったのです。
福岡県飯塚警察署は、連続発生する不審火に警戒を強めており、ある日の夜中、人気のない路地を歩いていたAさんは、警察官に職務質問されました。
警察官はタバコを吸わないAさんがライターを所持していたことを不審がっており、Aさんは、警察署に任意同行後、建造物等以外放火罪逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

建造物等以外放火罪

放火に適用される罪名は、何に放火したのかによって適用される罪名が異なります。
今回の事件でAさんに適用された「建造物等以外放火罪」については、条文では「前2条に規定する物以外に放火・・・」とされています。
この「前2条」とは現住建造物等放火罪非現住建造物等以外放火罪の事ですので、建造物等以外放火罪の客体となるのは、自動車や無人の汽車や電車、門や塀、家具等で、列挙すればきりがありません。

建造物等以外放火罪が成立するには、放火によって「公共の危険」が生じなければいけません。
ここでいう「公共の危険」とは、不特定又は多数人の生命や身体、財産に危険を感じさせる状態を意味します。

建造物等以外放火罪の法定刑

建造物等以外放火罪の法定刑は2種類あります。
まず1つ目が「1年以上10年以下の懲役」です。
この1つ目の法定刑が適用されるのは、自己所有の建造物等以外の物に放火した場合です。
つづいて2つ目の法定刑が「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
この2つ目の法定刑が適用されるのは、自己所有の建造物等以外の物に放火した場合です。
自己所有の建造物等以外の物に放火した場合の法定刑には罰金の規定がないため、起訴されて有罪が確定した場合は、執行猶予を獲得できなければ実刑(刑務所に服役すること)となってしまいます。

建造物等以外放火罪に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、飯塚市で何か犯罪を犯してしまった方からのご相談を初回無料で承っております。
「自分の行為が犯罪に当たるのか?」「犯罪に当たるとしたらどんな罪になるのか?」等、刑事事件に関するご相談であれば何でも承ることができますので、まずは

フリーダイヤル0120-631-881

までお電話ください。

なお弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、福岡県飯塚警察署に逮捕されてしまった方のもとに弁護士を派遣する 初回接見 のサービスも提供しています。

福岡県糸島市の放火事件 自宅のカーテンに火を着けた少年が逮捕

2022-07-25

自宅のカーテンに火を着けた少年が逮捕された福岡県糸島市の放火事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県糸島市の放火事件

福岡県糸島市に住む公立高校3年生のA君は、進学先をめぐって父親と口論が絶えません。
昨夜も、父親と口論になってしまい、自室にもどったA君は、腹いせに雑誌に火を点けてしまいました。
すぐ消火するつもりでしたが、カーテンに燃え移った炎が燃え広がり、自室の内壁までも焼損して消火されました。
そしてA君は、通報で駆け付けた福岡県糸島警察署の警察官に、現住建造物等放火罪で逮捕されてしまったのです。
A君の両親は、少年事件に強い弁護士にA君の刑事弁護を依頼しました。(フィクションです。)

現住建造物等放火

現住建造物等放火罪とは、現に人が居住に使用し又は現に人がいる建造物等に放火し、焼損する犯罪です。
現住建造物等放火罪は、財産罪的性格を有する、典型的な公共危険罪です。
現住建造物等放火罪は、抽象的危険犯なので、客体を焼損すれば成立し、公共の危険を現実に発生させる必要はありません。
「現に人が住居に使用する」とは、犯人以外の者が起臥寝食の場所として日常使用する事です。必ずしも特定の人が居住する必要はなく、夜間又は休日にだけ起臥寝食に使用される場合も、これに含まれます。
続いて「現に人がいる」とは、犯人以外の者が現存することです。
ちなみに現住建造物等放火罪が成立するには、犯人が現住性を認識している事が必要となります。

少年が現住建造物等放火罪で逮捕されると

現住建造物等放火罪は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役の罰則が定められています。
殺人罪に匹敵する非常に厳しい処罰規定で、起訴されれば、裁判員裁判の対象事件です。
A君のような少年が刑事事件を起こしても、家庭裁判所から検察官に送致(逆送)されない限り、刑事罰を受けることはありませんが、現住建造物等放火罪は非常に重たい罪ですので、特段の事情がない限り、家庭裁判所から検察官に送致(逆送)しなければならないと定められています。
そのためA君は、死刑の対象にはなりませんが、裁判員裁判によって、現住建造物等放火罪の罰則規定内で処罰される事となる可能性が非常に高いです。

少年法の手続きについては こちらをクリック

福岡県糸島市の少年事件に強い弁護士

福岡県糸島市の放火事件でお困りの方、お子様が現住建造物等放火罪などで警察に逮捕された方は、福岡県の刑事事件、少年事件に強い『弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部』にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、警察署に逮捕された方に弁護士を派遣する 初期接見サービス を提供しておりますので、是非ご利用ください。

テラスを燃やし放火未遂罪?

2019-08-05

テラスを燃やし放火未遂罪?

放火未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県久山町に住むAさんは、交際相手の男性Vさんに別にお付き合いをしている女性がいることを知り、報復目的で、Vさんやその家族が住む一軒家を燃やす意図で、ライターで火を点けた新聞紙をVさん宅に設置されてあるテラスに投げ込みました。Aさんはしばらく燃え上がる火を眺めていましたが、やがて「大変なことをしてしまった」と後悔の念にかられ、庭にあった放水ホースを使って消火活動に努めましたが、テラスの約8割を燃やしてしまいました。その後、Aさんは自宅から出てきたVさんから「お前がやったんか。」などと問い詰められ、福岡県粕屋警察署に通報され、現住建造物等放火未遂罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 現住建造物放火罪とは ~

本罪は刑法108条に規定されています。

刑法108条
 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

まず、「放火して」とは、ひろく目的物の焼損に原因力を与えることをいいます。
典型的な行為としては、目的物にライターやマッチなどを用いて直接点火することなどが挙げられますが、目的物に直接点火しない場合であっても、導火線などの媒介物を介して目的物に点火する行為も「放火」に当たります。

「人」とは犯人以外の者をいいますから、「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物」とは、犯人以外の者が住む住居、あるいは犯人以外の者がいる建造物ということになります。

「焼損」とは、火が媒介物を離れて目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼を継続しうる状態に達することをいいます。
「焼損」は本罪の既遂か未遂かを区別する重要な概念です。
ここでいう「目的物」とは、当然、Vさんの住居です。
本件では、Vさんのテラスを燃やしたにとどまり、いまだ、Vさんの住居は燃えていないことから未遂罪とされています。

~ 建造物等以外放火罪では? ~

ところで、AさんはVさんの住居ではなくテラスを燃やしているだけですから、この場合、建造物等以外放火罪が適用されるかにも思えます。同罪は刑法110条1項に規定されています。

刑法110条1項
 放火して、前2条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせたもの者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

テラスは「前2条に規定する物以外の物」に含まれますから、公共の危険が生じた場合は本罪が適用されるかにも思えますが、仮に、AさんがVさんの住居を焼損する意思でテラスなどの自宅に隣接する物を焼損し、これらを焼損するにとどまった場合は本件のように現住建造物等放火未遂罪が成立するものと思われます。

したがって、現住建造物等放火未遂罪か建造物等以外放火罪が適用されるか否かは、Aさんに人が住む住居等を燃やす意思があったか否かによることになります。両罪の法定刑は格段に異なりますから、この意思があったか否かは非常に重要な事柄です。

~ 内心は客観的状況からも推認される ~

AさんにVさんの住居を燃やす意思があったか否かはAさんの内心に関わることですから、直接は、Aさんがどう話すかによって大きく結論が変わります。その意味では、捜査機関から受ける取調べへの対応は極めて重要といえるでしょう。また、仮に、Aさんが完全に黙秘した場合でも、テラスの構造、点火位置(犯行態様)、AさんとVさんの関係、犯行に至るまでの経緯、などからAさんの意思を推認されることもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。お子様が刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

放火と失火の違い

2019-07-16

放火と失火の違い

放火と失火について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

会社員のAさんは、妻Bさん、子供2人の4人家族です。AさんはかつてBさんと寝室のベットで一緒に寝ていましたが、現在は不仲でAさんは寝室、Bさんは子供たちの部屋で寝ています。Aさんは大のタバコ好きで、Bさんから健康のためにも止めるように言われていたものの、それでも止めることはできず、寝る前に寝室でタバコを吸うことが日課となっていました。
そして、ある日、Aさんはいつものように寝る前にタバコを吸いました。Aさんはタバコを灰皿に捨てたつもりでしたがタバコは床に落ちており、床のカーペットに引火し、煙が出てきました。Aさんは、火が引火し煙が出ていたことは認識していたものの「Bさんとは近いうちに離婚しよう」と思っていたことから、「家が燃えてしまっても構わない」と思い、消火活動をせず、火が壁に燃え移るなどの光景をただ茫然と眺めていました。そうしたところ、異変に気づいたBさんがAさんの寝室に入り、緊急で119番通報する一方で、水にぬらしたタオルなどを火元に被せるなどして消火活動に努めました。最終的には消防隊員による消火活動の結果、寝室の一部を焼損させるにとどまりました。
その後、Aさんは小倉北警察署失火罪で逮捕されましたが、捜査の結果、現住建造物等放火罪で起訴されてしまいました。

~ 火を使った犯罪 ~

刑法の第9章の

放火及び失火の罪

に規定される

・現住建造物等放火罪(刑法108条)
・非現住建造物等放火罪(刑法109条)
・建造物等以外放火罪(刑法110条)

では「放火して~」と規定されているのに対し、

失火罪(刑法116条)

では、「失火して~」と規定されています。

刑法108条 
 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

刑法116条1項
 失火により、第108条に規定する物又は他人の所有に係る第109条に規定する物を焼損した者は、50万円以下の罰金に処する。

そこで、まず、はじめに「放火」と「失火」の違いからご説明いたします。

~ 放火と失火の違い ~

放火」とは、

故意に目的物(家等の建造物)の焼損(燃えること)に原因力を与えること

をいうとされています。

(例)ライターで新聞紙に火をつけ、その新聞紙を家の中に投げ込む
   燃えている火の中に油を注ぎこむ など

これに対して、「失火」とは、

過失によって出火させること

をいいます。すなわち、具体的状況下において、一般普通人に要求される注意義務に違反して、目的物の焼損に原因を与えたことをいいます。

(例)油料理で火を使ってる最中、かかってきた電話に夢中になり、油を枯渇させて火を台所壁に燃え移らせた
   タバコの不始末 など

~ 失火罪から放火罪への可能性も? ~

放火罪失火罪の法定刑は大きく異なりますから、いずれの罪が適用となるかは非常に重要です。
実務でも、失火罪から放火罪の適用に変わったり、反対に、放火罪から失火罪に適用されるというケースがあります。後者の場合は刑が軽くなりますが、前者の場合は重くなりますから、いずれが適用になるのかは非常に重要な問題です。

では、どのような場合に失火罪から放火罪に適用されることがあるのでしょうか?

そもそも、失火罪は「~すべきなのに~しなかった」場合に適用される犯罪ですが、判例(昭和33年9月9日)は、同様の場合に放火罪が適用されると判示しています。

判例の事案は、残業中、大量の炭火のおこっている火鉢を可燃物の置いてある事務室の木机の下に置いたまま別室で仮眠していた会社員が、仮眠から覚めて事務室に戻り、火鉢の炭火が木机に燃え移っているのを発見しましたが、宿直員を起こして協力を得れば容易に消火することができたのに、自己の失策の発覚をおそれてそのまま逃走したため、建物を焼損させた

というものでした。
このように「放火」は何もしない(消火活動を行わない)という不作為によっても実現できるとされています。しかし、「何もしない」というだけで罪が適用されてしまえば、人々の行動を制限することになりかねません。そこで、判例は、犯人に

・消火義務
・消火の可能性、容易性
・放火の故意

という要素を吟味して放火罪の不作為かどうかを判断しています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方はは、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

福岡県鞍手町での放火 刑事弁護士は失火罪の適用を主張を検討! 

2018-10-16

福岡県鞍手町での放火 刑事弁護士は失火罪の適用を主張を検討! 

Aさんは,福岡県直方警察署に現住建造物等放火罪で逮捕されました。弁護士との接見でAさんは,火災の原因を「たばこの不始末だった」と話しました。そこで,弁護士は失火罪の適用も視野に刑事弁護を始めることにしました。
(フィクションです)

~ 現住建造物等放火罪(刑法108条) ~

本罪は,故意放火して,現に人が住居に使用する建造物等を焼損した場合に成立する犯罪で,法定刑死刑又は無期若しくは5年以下の懲役です。本罪の故意としては,現に人が住居に使用する建造物等であることを認識し,かつ,これらを焼損することを認識・認容することを要するとされています。放火してとは,例えば,たばこの火をチラシ紙に燃え移らせ,それを畳4畳の部屋に投げ入れた行為などが典型ですが,はじめはたばこの不始末で畳みが燃えていたものの,これを消化することが可能であったのに,建物を焼損する意図で,殊更発火防止の措置を取らなかった場合など不作為による放火も含まれると解されています。

~ 失火罪(116条1項) ~

本罪は,失火により,刑法108条に規定する建造物等を焼損した場合に成立する犯罪で,法定刑50万円以下の罰金です。失火とは,過失により出火させることをいいます。過失とは,具体的状況の下において一般普通人に要求される注意義務に反して,焼損に原因を与えたことをいいます。喫煙者に対しては,灰皿に捨てるなどして出火・発火の危険を防止すべき義務が課されるのはもはや常識です。にもかかわらず,これを怠り出火させた場合が失火となるのです。

~ 放火罪,失火罪の刑事弁護 ~ 

本件では,出火の原因はAさんの故意による行為ではなく,あくまで過失によるものだと主張していくことが考えられます。その結果,実際のケースでもありますが,当初,現住建造物等放火罪で逮捕されたところ失火罪で起訴される,あるいは裁判で失火罪と認定される(いわゆる認定落ち)という場合があります。両罪の法定刑には大きな開きがありますので,同様の主張をしていく意義は大いにあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお電話ください。
(福岡県直方警察署までの初回接見費用:41,400円)

【福岡県宮若市 放火事件】執行猶予のため刑事事件の弁護士が接見

2018-08-30

【福岡県宮若市 放火事件】執行猶予のため刑事事件の弁護士が接見

Aさんは,友人Bさんに賃貸していたAさん所有の倉庫を放火したとして,福岡県直方警察署非現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は,執行猶予にしてもらいたく刑事事件に強い弁護士接見を依頼することにしました。
(フィクションです)

~ 非現住建造物等放火罪(刑法109条) ~

非現住建造物放火罪の要件は
 放火して,現に人が住居に使用せず,かつ,現に人がいない建造物等を焼損した
となっています。
非現住建造物等放火罪は,その客体を他人所有自己所有とに分け,他人所有の場合は罰則が2年以上の有期懲役(刑法109条1項),自己所有の場合は6月以上7年以下の懲役(同条2項)です。
なお,自己所有の場合は,公共の危険が生じなかった場合には罰せられません。
ところで,刑法第115条は,建造物等が自己所有に係るものであっても,差押えを受けたり,他人に賃貸したり,保険に付したものである場合には,他人の物を焼損した者の例によると規定しています。
そうすると,本件では,刑法109条1項が適用され,Aさんには他人所有非現住建造物等放火罪が成立し得ることになります。

一般的に,放火は,特定の個人の生命,身体,財産を侵害するとともに,不特定多数者の生命,身体,財産に不測の侵害を及ぼす危険を有する危険罪と言われています。
よって,他の犯罪と比べても罰則が高めであり,執行猶予獲得のハードルは高いです。
ただ,執行猶予獲得には「3年以下の懲役刑」を受けることが要件の一つであり,これからすると非現住建造物等放火罪の場合でも,他人所有,自己所有に関係なく執行猶予を獲得することは法律上可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,放火事件をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。
お困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。
福岡県直方警察署までの初回接見費用:41,400円)

« Older Entries

keyboard_arrow_up

0120631881 無料相談予約はこちら LINE予約はこちら