1. 前科とはなにか(前歴との違い)
前科とは,一般に,過去に言い渡された刑罰(略式罰金を含む)のことをいいます。
罰金以上の刑に処せられた前科がついた場合には,検察庁が管理している前科調書に名前が記載されます。
また,本籍地の市区町村で管理される犯罪人名簿に一定期間掲載されるなどの措置がとられます。
前科調書は,検察官が容疑者の前科の有無を調べたり,裁判において前科の有無・内容を証明する証拠としたりするのに用いられます。
前科調書は,検察庁で管理され,本人も見ることはできません。そして,一旦前科調書に記載された内容は,一生消えることがありません。
一方,本籍地の市区町村で管理されている犯罪人名簿は,前科が一定の職業につき資格取得の欠格事由になっていないかを確認したり,選挙権・被選挙権の有無を確認したりするのに利用します。
犯罪人名簿も,本人が見ることはできません。
もっとも,犯罪人名簿に記載された前科は一定期間が経過すると消えてなくなります。
なお、「前科」「前歴」は法律上の用語ではありません。
一般的に「前科」とは、過去に確定した有罪判決を受けた事実・経歴を意味します。
懲役や禁錮のみならず罰金や科料も含まれ、また、実刑に限らず執行猶予も含みます。
一方で、不起訴処分は前科に含まれません。
これに対して、「前歴」というのは、過去に捜査機関によって一定の捜査の対象となった事実・経歴を意味します。不起訴処分を受けた場合も含まれます。
2.略式起訴や即決裁判でも前科はつくのか
略式起訴がなされると、通常罰金刑が課せられますし、即決裁判手続きはその日のうちに判決が出る簡易な手続きではありますが通常執行猶予付きの判決がでます。
よって、通常略式起訴、即決裁判のいずれも前科がつきます。
前科を避けるためには不起訴処分を勝ち取るための活動が重要となります。
3.前科を避けるためには
前科を避けるためには、不起訴処分を勝ち取るのが早道です!
検察官に送致された事件のうち検察官の起訴率は40%程度です。
言い換えると、約60%は不起訴処分で処理されているのです。
ですから、刑事事件として捜査機関により事件化された場合には、この不起訴処分を目指すことが有益であるといえます。
より詳しく知りたい方は ~不起訴にしてほしい~ へ
一般的に不起訴処分に向けた最も有効な弁護活動は、被害者の方との示談です。
親告罪が問題となる場合では、被害者に告訴を取り下げてもらえれば、起訴されることはありません。
その他にも、弁護士としては、証拠が不十分であること、容疑者にはアリバイがあること、十分な反省をしていて再犯防止のための環境も整っていることなどの有利な事情を示して、検察官に働きかけます。
そして、これらのことは、検察官が起訴・不起訴の判断をするまでの間に行う必要があります。
限られた時間の中で十分な弁護活動を行うためにも、早い段階から積極的に動くことが大切です。
不起訴処分を勝ち取り前科を避けたい場合は、早いうちに弁護士に相談することをお勧めします。
前科がつくか心配な方、前科を避けたい方は、あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に是非ご相談ください。
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