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【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(母親の預金を着服した成年後見人の息子が逮捕された架空の事例に基づく解説)

2023-12-19

 母親の預金を着服したとして、成年後見人の息子が業務上横領罪で逮捕された事件とその弁護活動ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 成年後見人として財産管理をしていた認知症の母親Vの預金口座から500万円を着服したとして、福岡市在住の会社員の長男Aが、業務上横領の容疑で逮捕されました。
 警察の調べによると、Aは家庭裁判所から成年後見人に選任された後、数年間にわたり、Vの口座から計500万円を引き出し、着服したとのことです。Aは、業務上横領の容疑を認めています。
(事例はフィクションです。)

成年後見人による業務上横領罪について

 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する、と定められています(刑法第253条)。

 業務上横領罪における「業務」とは、人がその社会生活上の地位に基づき反復・継続して行う事務とされ、職業である必要はありません。

 成年後見人は、認知症、知的障害などの理由で、財産管理や各種契約等が困難になった方々を保護し、支援することを目的として、家庭裁判所から選任されるなどされ、その地位に基づき、被後見人に代わって、法律行為を行ったり財産の管理を行います。
 よって、成年後見人が、自己が管理してその占有下にある被後見人の財産を着服する行為は、横領に当たることから、業務上横領罪が成立する可能性が高いです。

親族間での業務上横領罪の取り扱い

 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で、窃盗、詐欺、横領などの財産犯を犯した場合は、その刑を免除する、と定められています(刑法第244条、第255条参照)。
 これは、「法律は家庭に入らず」との思想の下、これらの場合には、国の刑罰権の行使を差し控え、家庭内の規律に委ねるのが望ましいとの政策的考慮によるものとされ、「親族相盗例」と呼ばれます。

 業務上横領罪も親族相盗例の対象とされるため、Aが直系血族である母親Vの財産を横領した場合は、刑が免除されるのではないかとも思われますが、判例上、「家庭裁判所から選任された成年後見人の後見事務は、公的性格を有する」ことから、家庭内での規律に委ねるべきものと言えず、その適用はないとされます。

 よって、本件Aに業務上横領罪が成立する場合、親族相盗例は適用されず、10年以下の懲役が科される可能性があります

業務上横領罪の刑事弁護

 業務上横領罪は罰金刑の定めがないため、起訴された場合、正式な裁判となります。不起訴処分を得て裁判を回避するためには、財産犯であることから、被害弁償と示談締結が極めて重要と言えます。

 本件のように被害金額が高額の場合、被害弁償を一括で行うことが難しいことが考えられるため、被疑者の収入や資産の状況を説明し、分割での被害弁償に応じてもらえるよう、粘り強く交渉することも必要になると考えられます。

 また、成年後見人による業務上横領の場合、通常、成年後見人は解任され、新たな成年後見人が選任されると考えられ、この場合、新たに選任された成年後見人と示談交渉する必要があり、一般的な業務上横領の場合よりも、複雑な対応が求められると考えられます。

 以上のことから、業務上横領罪における被害者との示談交渉は、刑事事件に強く、財産犯における示談交渉の経験豊富な弁護士への依頼をお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、業務上横領事件において、示談成立による不起訴処分などを獲得している実績があります。
 業務上横領罪でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】乗り捨てされた自転車の一時使用による占有離脱物横領罪(後編)

2023-09-02

 前回に引き続き、共同住宅に乗り捨てされた放置自転車を一時的に使用したことで、占有離脱物横領罪で取調べを受けた架空の事件とその弁護活動ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 北九州市内の共同住宅に居住する自営業男性A(42歳)は、共同住宅の駐輪場に数日前から放置されている鍵の付いていない自転車を、近所のスーパーなどへの買い物で2時間程度、繰り返し使用するようになりました。
 いつもの通り自転車に乗って近所のスーパーに向かっていたとき、鍵の付いていない自転車を見て不審に思った警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
 警察の調べで、Aが使用していた自転車は、数日前に窃盗の被害に遭い乗り捨てられたものであることが判明し、Aは占有離脱物横領の容疑で警察の取調べを受けることとなりました。
(事例はフィクションです。)

前回の前編では、占有離脱物横領罪の成立について、「不法領得の意思」以外の要件を解説しました。

不法領得の意思とは

 不法領得の意思とは、窃盗罪や横領罪などの領得罪の成立において、不可罰的な一時使用行為や、罪質の異なる毀棄・隠匿罪との区別のために、故意と別個の主観的要件として必要とされるものです。
 窃盗罪の判例ですが、不法領得の意思の内容は、(1)所有者などの権利者を排除して他人の物を自己の物として振る舞う意思(権利者排除意思)と、(2)他人の物をその経済的用法に従い、利用又は処分する意思(利用・処分意思)、とされます。

 本件における占有離脱物横領罪の成立について、Aが自転車を、近所のスーパーなどへの買い物で2時間程度使用した行為に、(1)権利者排除意思や(2)利用・処分意思が認められるか問題となり、自転車の使用時間や使用方法、自転車自体の価値や使用に伴う価値の減少の程度、自転車の所有者の利用可能性の排除の程度、など様々な要素から判断されると考えられます。

 窃盗罪占有離脱物横領罪の裁判例では、乗り捨ての意思がなく元の場所に返還する意思をもって、短時間、他人の自転車を一時使用した行為について、不法領得の意思が認められないとして、罪の成立を否定したものもありますが、判例上明確な基準が確立されているわけではなく、自転車の一時使用で不法領得の意思を認めた裁判例もあります。

一時使用による占有離脱物横領罪の弁護活動

 不法領得の意思が認められないとして、占有離脱物横領罪の成立を争うことも可能ではありますが、早期に被害者との示談を成立させ不起訴処分での事件の終了を目指すことも、現実的な選択肢の一つと考えられます。

 本件における被害者は、自転車の所有者となります。所有者から自転車を窃盗した犯人が別にいるとはいえ、占有離脱物横領罪に係る自転車の使用によって、所有者が自転車を使用する権利が損なわれていることは間違いないため、これに対して謝罪と被害弁償を行う意味は十分にあると考えられます。

 弁護士であれば通常、示談交渉のために捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらえると考えられ、刑事事件に強い弁護士であれば、しっかりした内容の示談が成立する可能性が見込まれ、不起訴処分で事件が終了する可能性を高めることが期待できます。

 また、本件では、取調べにおいて自転車の窃盗の容疑も追及される可能性も考えられますが、窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、占有離脱物横領罪と比べると重いため、取調べ対応について刑事事件に強い弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、占有離脱物横領罪などの財産犯の刑事事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
 占有離脱物横領罪で自身やご家族が警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】乗り捨てされた自転車の一時使用による占有離脱物横領罪(前編)

2023-08-30

 共同住宅に乗り捨てされた放置自転車を一時的に使用したことで、占有離脱物横領罪で取調べを受けた架空の事件とその弁護活動ついて、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 北九州市内の共同住宅に居住する自営業男性A(42歳)は、共同住宅の駐輪場に数日前から放置されている鍵の付いていない自転車を、近所のスーパーなどへの買い物で2時間程度、繰り返し使用するようになりました。
 いつもの通り自転車に乗って近所のスーパーに向かっていたとき、鍵の付いていない自転車を見て不審に思った警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
 警察の調べで、Aが使用していた自転車は、数日前に窃盗の被害に遭い乗り捨てられたものであることが判明し、Aは占有離脱物横領の容疑で警察の取調べを受けることとなりました。
(事例はフィクションです。)

占有離脱物横領罪とは

 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する、と定められています(刑法第254条)。

 「占有を離れた他人の物」とは、所有者の意思に基づかずにその占有を離れ、誰の占有にも属していない物とされます。

 本件の自転車が、共同住宅の住人の所有物であるなど他人の占有する物だった場合には、窃盗罪の問題になり得ますが、実際は乗り捨てされた物で、既に所有者など他人の占有する状態になかったといえることから、占有離脱物横領罪の問題になったものと考えられます。

 占有離脱物横領罪における「横領」とは、不法領得の意思をもって、自己の占有する占有離脱物を自己の事実上の支配下に置くこと、とされます。
 本件のAが、占有離脱物である本件自転車を、買い物で2時間程度使用することは、「自己の事実上の支配下に置く」ものとして占有離脱物横領罪の成立が考えられますが、一時的に使用した行為でもあることから、「不法領得の意思」の有無が問題になると考えられます。

次回の後編では、占有離脱物横領罪における「不法領得の意思」について、詳しく解説します。

一時使用による占有離脱物横領罪の弁護活動

 不法領得の意思が認められないとして、占有離脱物横領罪の成立を争うことも可能ではありますが、早期に被害者との示談を成立させ不起訴処分での事件の終了を目指すことも、現実的な選択肢の一つと考えられます。

 本件における被害者は、自転車の所有者となります。所有者から自転車を窃盗した犯人が別にいるとはいえ、占有離脱物横領罪に係る自転車の使用によって、所有者が自転車を使用する権利が損なわれていることは間違いないため、これに対して謝罪と被害弁償を行う意味は十分にあると考えられます。

 弁護士であれば通常、示談交渉のために捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらえると考えられ、刑事事件に強い弁護士であれば、しっかりした内容の示談が成立する可能性が見込まれ、不起訴処分で事件が終了する可能性を高めることが期待できます。

 また、本件では、取調べにおいて自転車の窃盗の容疑も追及される可能性も考えられますが、窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、占有離脱物横領罪と比べると重いため、取調べ対応について刑事事件に強い弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、占有離脱物横領罪などの財産犯の刑事事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
 占有離脱物横領罪で自身やご家族が警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】落とし物の財布を横領 遺失物横領罪で取り調べ

2023-06-10

 コンビニの駐車場に落ちていた財布を持ち去ったとして警察で取り調べを受けた事件を参考に、遺失物横領罪と、その弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡市在住の男子大学生A(22歳)は、コンビニの駐車場に落ちていた財布を発見し、そのまま持って帰ってしまいました。
 暫く後、財布の落とし主Vからコンビニに連絡があったところ、防犯カメラにAの様子が写っていたため警察に通報がなされ、後日、警察からAに呼び出しがあり、遺失物横領の容疑で任意の取り調べが行われました。
 Aは、今後の対応について、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

遺失物横領罪とは

 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する、と定められています(刑法第254条)。

 遺失物とは、「他人が占有していた物であって、当該他人の意思に基づかず、かつ、奪取によらず、当該他人が占有を失ったもので、それを発見した者の占有に属していないもの」と定義されており、落とし物は通常これに該当します。

 遺失物法により、遺失物の拾得者は、遺失物を速やかに遺失者に返却するか、警察等に提出しなけなければならないとされていますが、遺失物横領(自己の占有する他人の物を不法に自分の物にすること)した場合、遺失物横領罪が成立します。

 本件では、Vの落とした財布は遺失物にあたるので、Aが拾得後、これを横領したとして、遺失物横領の容疑で取り調べが行われたものです。

持ち主の占有の有無と窃盗罪の成否

 本件では、Aに窃盗罪が成立する可能性もあります。
 他人の物を拾得したときに、持ち主の占有が残っている場合は窃盗罪が成立し、持ち主の占有が残っていない場合は遺失物横領罪が成立します。

 ここでの占有とは、「物が他人の事実的支配力の及ぶ場所に存在する」こととされており、人の出入り等の現場の状況、持ち主が現場を離れて経過した時間や移動した距離など、様々な要素から占有の有無が判断されます。

 なお、判例では、公園のベンチに置き忘れた小物入れを持ち去った場合に、持ち主が現場から離れた時間や距離等の事情から、窃盗罪の成立を認めたものがあります。

 以上のことから、本件でVがコンビニの駐車場を離れた時間や距離などから、財布に対するVの占有が残っていたものとして、容疑が窃盗罪に変わる可能性も否定できません。

遺失物横領罪の弁護活動

 窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、遺失物横領罪より重くなるため、取り調べについては、刑事事件に強い弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めします。

 遺失物横領罪などの財産犯では、被害者への謝罪や被害弁償の有無のほか、示談の成立が検察官の起訴・不起訴の判断において特に重視されますが、刑事事件に強い弁護士であれば、しっかりした内容の示談が成立する可能性が見込まれ、不起訴処分で事件が終了する可能性を高めることができます。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、遺失物横領罪などの財産犯の事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
 遺失物横領罪で自身やご家族が警察の取り調べを受けるなどして不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

宗像市の業務上横領事件 会社に1000万円以上の横領が発覚

2023-04-08

会社に1000万円以上の横領が発覚した宗像市の業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

宗像市の建設会社で経理の仕事をしているAさんは、会社の帳簿や口座など経理に関する業務を一人でしています。
3年ほど前からAさんは、毎月数万円から数十万円ずつ会社の口座から不正に現金を引き下ろして横領しており、これまで横領した額は1000万円を超えています。
そんな中、会社に税務署の税務調査が入り、Aさんの不正行為が会社に発覚することとなってしまいました。
会社からの調査を受けたAさんは、自身の横領について認めていますが、会社は刑事告訴を検討しているようです。
(フィクションです)

業務上横領罪

刑法第253条(業務上横領罪)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。(刑法抜粋)

業務上横領罪は、単純な横領罪(刑法第252条)の特別罪として位置付けられており、単純な横領事件と比べて法益侵害の範囲が広く、頻発のおそれが多いことから罰則規定が厳しく定められています。

業務上横領罪で逮捕される?

警察が捜査する業務上横領事件のほとんどは、会社等(被害者)からの告訴が端緒となります。
会社等(被害者)が警察に告訴するのは、弁償ができていない場合や横領額が高額に及んでいる場合などです。
警察が告訴を受理し捜査を開始した時点で、逃走や罪証隠滅のおそれがある場合は逮捕されることとなるでしょう。

業務上横領事件で示談

業務上横領事件は、会社等(被害者)と示談することによって、刑事事件化を防げたり、刑事罰を免れることができます。
会社等(被害者)との示談は、横領したお金を被害者(会社)に弁償できるかどうかに左右されます。

業務上横領罪の量刑

業務上横領罪起訴された場合、その処分は、横領した金額や、被害者(会社)に弁償しているか、会社等(被害者)と示談しているか等によって変わってきます。
ただ今回の事件のように横領額が一千万円を超える場合は、弁償することも非常に困難でしょうし、仮に弁償できていたとして、会社等(被害者)が告訴した場合は、警察は捜査に乗り出すでしょう。
その場合は逮捕される可能性も考えられますし、起訴された場合は実刑判決もあり得ます。
一般的に、弁償できていない業務上横領事件ですと、横領額が100万円を超えれば実刑判決が言い渡される可能性が高くなると言われています。

まずは弁護士に相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
1000万円を超える業務上横領事件は、逮捕される可能性が高く起訴された場合は実刑判決となる可能性も高い事件です。
こういった事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【即日対応可能】福岡県筑紫野警察署に弁護士を派遣※電話予約OK

2022-11-02

【即日対応可能】福岡県筑紫野警察署への弁護士派遣について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県筑紫野警察署への弁護士派遣(初回接見サービス)

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)

までお電話ください。

参考事件

福岡県筑紫野市で土建業を営んでいるAさんは、会社の運営に行き詰まり、元請けから借りていた建設機械を、元請けの承諾を得ることなく無断で、建設機械の買取業者に売って資金を作りました。
3カ月ほど前に、この事が元請けの会社に発覚してしまい、これまで再三にわたって返却若しくは弁償を求められてきましたが、お金がないAさんは、それに応じることができませんでした。
その結果、元請け社長が、福岡県筑紫野警察署にAさんを刑事告訴したのです。
告訴されたことを知ったAさんは、福岡県筑紫野警察署に家族と共に出頭したのですが、その後、Aさんは逮捕されてしまいました。

(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

福岡県筑紫野警察署

〒818-0041
福岡県筑紫野市上古賀1-1-1
電話番号 092-929-0110

福岡県筑紫野警察署に弁護士を派遣する費用

交通費込み 38,060円

横領罪

人から借りている物を、勝手に売却するなどすれば「横領罪」となります。
横領罪は、刑法第252条に規定されており、その内容は「自己の占有する他人の物を横領する」ことで成立する犯罪です。
横領罪は、自己の占有する他人の財物を、不法に領得する犯罪で、今回の事件では、Aさんが元請けから借りていた建設機械が「自己の占有する他人の財物」に該当します。
そしてAさんは、この建設機械を勝手に売ってしまっているので「横領罪」が成立すると考えられます。
また、建設機械の占有が、Aさんの業務遂行に伴う場合は、「業務上横領罪」が成立する可能性もあります。
他方、そもそもAさんが「元請けに無断で売ってしまおう」と考えて、元請けから建設機械を借りていた場合は、既に借りた時点で詐欺罪が成立している可能性もあります。

横領罪と業務上横領罪の罰則

横領罪の法定刑は「5年以下の懲役」ですが、業務上横領罪は、横領罪と比べると法益侵害の範囲が広く、また頻発のおそれが高いことから加重処罰の必要が認められていることから「10年以下の懲役」と厳しい法定刑が定められています。

福岡県筑紫野警察署に弁護士を派遣

福岡県筑紫野警察署に派遣できる即日対応可能な弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
福岡県筑紫野警察署に弁護士を派遣する 初回接見サービス のご予約については、24時間対応しているフリーダイヤルでお待ちしております。

会社のお金を着服 業務上横領罪の前科を免れるために~②~

2022-09-25

会社のお金を着服した事件を参考に、本日は業務上横領罪の前科を免れるための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

業務上横領罪の量刑相場

業務上横領罪で起訴された場合で、初犯(前科がない場合)である場合には、横領の方法や、本人の反省の程度などにもよりますが、概ね横領額(正確には、その段階で弁済できていない被害金額)が100万円を上回ると、実刑判決の可能性がでてきます。
そのため、仮に起訴されてしまうような場合でも、1円でも多く弁済することが必要となります。

業務上横領罪の弁護活動

業務上横領罪の弁護活動で必要となることは、被害者に対して示談交渉をし、できる限りの弁済を行うことです。
事件発覚直後の会社の対応は、感情的になることもありますし、会社の顧問弁護士が出てきて、いきなり支払いを求められるといったこともあります。
そのため、自分自身で被害弁償のための示談交渉をしようとしても、一切取り合ってもらえなかったり、反対に十分な情報を教えてもらえなかったりすることもあります。
きっちりと被害弁償を行うためには、第三者である弁護士に依頼をして、会社と交渉をすることが必要不可欠です。

業務上横領罪の弁護活動に強い弁護士

福岡県久留米市業務上横領事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
業務上横領罪の弁護活動については、少しでも早く活動開始することで、刑事事件化を免れることができたり、刑事告訴された時に、身体拘束を免れる可能性が出てきます。
Aさんのように、まだ会社に刑事告訴されていない状態でご相談いただければ、不利益を最小限にとどめ、前科を免れることもできますので、業務上横領罪に関するご相談は少しでも早くすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、専門弁護士による法律相談を初回無料で、逮捕等で身体拘束を受けている方への 初回接見サービス には即日対応しております。是非一度ご利用ください。

会社のお金を着服 業務上横領罪の前科を免れるために~①~

2022-09-24

会社のお金を着服した事件を参考に、本日は業務上横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件~警察未介入の業務上横領事件~

Aさんは、福岡県全域に展開する外食チェーン店の久留米店で店長をしています。
Aさんは、毎日の売り上げを福岡市内の本社にメールで報告し、月末になると、その売り上げを本社の口座に送金して会社に売り上げを納めていました。
そうした中、1年ほど前からAさんは売り上げを毎日数千円から数万少なく会社に報告するようになり、毎月20万円ほどを着服するようになりました。
会社から売上伝票の提出を求められたことはなかったのでバレるはずがないと確信しての犯行でしたが、内部告発があり、Aさんの着服行為が会社に知れてしまうことになったのです。
現在、Aさんは自宅謹慎を命ぜられていますが、会社は過去に遡って調査を行っており、上司からは今後刑事告訴も検討していると言われています。
(フィクションです。)

業務上横領罪

業務上、自身が占有(管理)している金品をような着服すると業務上横領罪が成立します。今回の事件でAさんは、店長の業務として管理していた店舗の売上金を着服していたので、当然のこと、業務上横領罪が成立する可能性が十分にあります。
業務上横領罪は、起訴されて有罪が確定すると「10年以下の懲役」が科せられることになります。
このように業務上横領罪には、罰金刑の定めがありません。
窃盗罪など罰金刑のある罪の場合には、起訴されてしまう場合にも、公開法廷ではなく、書類だけ裁判所に送られるという略式手続というものがあり、負担が少ない方法が選択される場合があります。
これに対し、業務上横領罪起訴されてしまうときには、必ず公判請求、つまりテレビで普段目にするような法廷での裁判となります。
そのため業務上横領罪が事件化されてしまうと、不起訴を目指す必要性が高くなります。

~明日のコラムに続く~

病院の経理担当者を逮捕 業務上横領罪とは

2022-08-22

病院の経理担当者が逮捕された事件を参考に、業務上横領罪について、あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

北九州市小倉区にある総合病院の口座から現金500万円を着服したとして、福岡県小倉南警察署業務上横領罪の疑いで病院の経理担当の職員を逮捕しました。
男は警察の調べに対し「自分で使うために口座から出金した。現金は生活費や借金の返済に使った。」として容疑を認めています。

業務上横領罪とは

業務上横領罪は、業務上自己の占有する他人の物を横領した場合に成立する犯罪です。
簡単にいうと、仕事で管理を任されている会社の物を着服したようなときがこれに当たります。

刑法では業務上横領罪は、253条に定められています。
刑法253条には「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。」と規定されています。

成立要件としては、①業務上、②自己の占有する他人の物、③委託信任関係、④横領することです。

業務上
「業務上」とは、社会生活上の地位に基づいて反復継続して行われる事務であって、他人物の占有が業務内容になっていることをいいます。
たとえば、質屋、倉庫業、会社から金銭の管理を任されている者の行為は業務上の行為といえます。

自己の占有する他人の物
まず、占有とは濫用の恐れのある支配力を指し、事実的支配のみならず法律的支配も含むとされています。
次に、他人の物とは、所有権が他人にある物のことをいいます。
すなわち、他人に所有権がある物に対し濫用のおそれのある支配力を有していれば、他人の物を占有していることになります。

委託信任関係
これは、条文には書かれていませんが、遺失物横領罪との区別の必要性から必要な要件とされています。
委託信任関係は、契約を基礎とする場合のほか、法令、条理、慣習、取引における信義誠実から判断されます。

横領
横領とは、委託の趣旨に背いて権限なく所有者でなければできないような処分をする意思、すなわち不法領得の意思を実現する一切の行為をいうとされています。
たとえば、事件例のような会社から管理を任されている口座から現金を着服することは典型的な横領行為といえます。

業務上横領罪を犯してしまうと

単純横領罪は、窃盗罪や詐欺罪より責任非難や違法性が減少すると考えられているため法定刑が軽くなっています。
しかし、業務上横領罪になると、法定刑は10年以下の懲役となっており、窃盗罪、詐欺罪と同程度の法定刑が定められ、罰金刑は規定されていません。
これは業務者であることにより責任非難が増大するためといわれています。
また業務上横領罪には罰金刑の規定がないため、有罪になった場合は懲役刑が科され、執行猶予がなければ刑務所に服役しなければなりません。

業務上横領罪の弁護活動に定評のある弁護士

業務上横領罪で、実刑判決を回避し、執行猶予や不起訴処分を受けるには、被害者の方への被害弁償や示談交渉などが大切になってきます。
これらを行うには、刑事弁護に強い弁護士からサポートを受けることは必要不可欠です。
北九州市の刑事事件でお困りの方、業務上横領罪で警察の取調べを受けている方は、刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)
までお気軽にお電話ください。

またご家族、ご友人が警察に逮捕されてしまった方は 初回接見サービス をご利用ください。

【横領】業務横領罪と被害弁償

2020-01-22

【横領】業務横領罪と被害弁償

業務上横領罪被害弁償について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

V社の財務経理主任であるAさんは、V社の口座から50万円を横領したことが会社に発覚し、会社から、「全額一括で弁償しなければ警察に業務上横領罪で告訴状を提出する」と言われています。このままでは逮捕されるかもしれないと不安になったAさんは、被害弁償のため刑事専門の弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 業務上横領罪 ~

業務上横領罪は刑法253条に規定されています。

刑法253条
 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

単なる横領罪(単純横領罪と呼ばれることもあります)は刑法252条に規定されています。

刑法252条
 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
 
まず、「横領」とは、一般的に不法領得の意思を実現する一切の行為をいいます。他人から預かっていたものついて勝手に処分することです。
上の事案でいえば、AさんはV社の財務経理課主任という立場で、V社のお金の管理を任されています。このようなお金を勝手に処分することは、もちろん会社から許可されているはずはなく「横領」に当たるでしょう。

次に、「業務」とは、社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行われる事務をいいます。
Aさんは、V社の財務経理課主任という立場にありますので、V社のお金を反復・継続して管理していたと考えられます。
これに対し、同じお金の管理でも、その管理が1回限り、という場合は単なる横領罪となる可能性があります。
ただ、その場合でも、将来、反復・継続する意思があると認められる場合は、やはり業務上横領罪に問われる可能性があります。

以上から、Aさんは、業務上、V社のお金・口座を預かっていたものと言えるでしょう。

~ 横領罪と被害弁償 ~

業務上横領罪のような財産犯の場合、会社に告訴状に提出をやめてもらうには、なによりもまず会社に被害弁償することが先決です。
会社が警察に告訴状を提出しなければ、その結果、あなたが逮捕されること、刑事処罰を受けることは避けられるでしょう。

また、被害弁償するだけでは足りません。
つまり、被害弁償に加えて会社側と示談交渉して示談を成立させる必要があります。
この示談交渉の中で被害弁償金の具体的金額についても詰めていきます。
また、示談交渉ではその他の条件についても決めてまいります。その条件の中には、あなたにとって不利な条件も含まれています。しかし、同時に、示談交渉は適切な被害金額を確定させ、将来、それ以上会社から請求を受けることがない、というあなたにとって安心できる条件も含まれています。
この意味でも示談を成立させる意義は大きいといえます。

こうした交渉事は弁護士にお任せください。
弁護士であれば、示談交渉の経験、知識から、円滑に会社側と交渉することができ、適切な内容、形式に示談を成立させることが可能です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、業務上横領罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

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