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【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(コンビニの元店長が店の売上金を持ち逃げしたケース)

2024-07-26

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(コンビニの元店長が店の売上金を持ち逃げしたケース)

今回は、コンビニの元店長が店の売上金を持ち逃げして逮捕されたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:コンビニの元店長が店の売上金を持ち逃げしたケース

福岡県北九州市のコンビニエンスストアの売上金約100万円を持ち逃げしたとして、業務上横領の疑いで、元店長のAさんが逮捕されました。
Aさんは、福岡県北九州市内のコンビニエンスストアに店長として勤務していた店の売上金約100万円を持ち逃げした疑いが持たれていて、福岡県警察小倉北警察署業務上横領の容疑で逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは「金額は正確には覚えていないが、お金を持ち逃げしたことに間違いはありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉(刑法253条)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪は、刑法に定められた通常の横領罪を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意(刑法38条1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言い、法律上の支配が問題となる場面は不動産の占有と銀行預金の占有です。
不動産の場合は、不動産の所有権の登記名義人は、当該不動産を実際に居住するなど事実上支配していなくても、売却など自由に処分できる立場にあるため、法律上支配していると言えます。
他人から預かった金銭を自分の口座で管理している場合は、金銭を自分の財布に入れて実際に管理しているわけではないため事実上支配しているとは言えませんが、その金銭はいつでも自分の口座から引き出すことができ、自由に処分できる立場にあるため、他人の金銭に対する法律上の支配が認められます。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずに開始した場合、その物は誰の占有にも属していない、あるいは偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係は委任(民法643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。
上記の事例ですと、Aさんはコンビニエンスストアに店長として勤務しており、店のオーナーから委託を受けて店の売上金を保管・管理する事務を行う者であり、業務者に該当します。
そのため、Aさんが店の売上金約100万円を持ち逃げする行為には、業務上横領罪が成立することが考えられます。

2,示談成立に向けた弁護活動

業務上横領罪は、被害者が存在する犯罪です。
そのため、弁護士は被害者との示談交渉を試み、示談の成立に向けた活動を行います。
示談にも様々な種類があり、単に当事者間で事件が解決したと約束するものや、加害者が被害者に対して被害の弁償を行うことで、宥恕(加害者の刑事処罰を望まないこと)付き示談や、刑事告訴の取消しや被害届の取下げなどを内容に加えた示談があります。
被害者との示談を成立させる場合、宥恕付き示談や刑事告訴の取消しや被害届の取下げなどを内容に加えた示談を成立させることが望ましいといえます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、当事者同士での示談交渉は拗れて上手くいかないことも考えられます。
また、被害者がスーパーやコンビニエンスストア、書店などの場合は、そもそも示談を拒否しているところが多く、当事者同士では示談交渉すらできないこともあります。
しかし、弁護士が粘り強く交渉すれば、示談交渉に応じていただけることもあるため、示談の成立が期待できます。
そのため、示談交渉交渉のプロである弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県北九州市内で業務上横領罪の当事者となりお困りの方、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しており、これまでに業務上横領罪をはじめとするさまざまな刑事事件・少年事件を取り扱ってきました。
業務上横領罪の当事者となりお困りの方は初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が業務上横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】横領罪とその弁護活動(借りていたレンタカーを返却期限が過ぎても返さず乗り回していたケース)

2024-06-23

【事例解説】横領罪とその弁護活動(借りていたレンタカーを返却期限が過ぎても返さず乗り回していたケース)

今回は、借りていたレンタカーの返却期限が過ぎていたにもかかわらず、返却せずに乗り回していたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:借りていたレンタカーを返却期限が過ぎても返さず乗り回していたケース

Aさんは、福岡市にあるレンタカー会社Vからレンタカーを借り、返却期限が過ぎたにもかかわらず、少なくとも1か月以上レンタカーを乗り回していました。
Vが被害届を警察に提出したことで、警察は捜査を開始して、Aさんを横領の疑いで逮捕するに至りました。
警察の調べに対し、Aさんは「間違いありません。」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,横領罪について

〈横領罪〉(刑法第252条)

第1項 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

刑法横領罪は、①自己の占有する他人の物を横領した場合に成立します。
また、窃盗罪強盗罪など、他人の占有をその占有者の意思に反して自身または第三者の占有に移転する奪取罪とは異なり、横領罪は既に他人の物が自身の占有下にあるため、保護法益は第一次的には所有権であり、第二次的に物を預けた人との信任関係も保護の対象となります。
そのことから、横領罪は、委託信任関係により他人の物を占有している者という身分を持っている人に成立する犯罪と言えます。
①「占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力をいい、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を及ぼす状態にあることを意味します。
窃盗罪などの奪取罪は、物を自宅で保管しているなど事実上の支配のみが「占有」に該当します。
一方で、横領罪は、法律上の支配、すなわち法律上自身が容易に他人の物を処分し得る状態にある場合にも法律上の「占有」に該当します。
法律上の占有は、不動産や預金の場合に問題となり、不動産の場合は、当該不動産の所有権の登記名義人はその不動産に実際に居住して使用するなど事実上の支配がなくても、当該不動産を売却するなど自由に処分できる地位にあるため、法律上の支配が認められます。
また、他人から預かったお金を自分の口座に入れて管理している場合、そのお金を財布や自宅で保管しているというわけではないので事実上の支配は認められませんが、預金した人は、いつでも自分の口座からそのお金を引き出して自由に処分できる地位にあるため、預金した人に法律上の支配が認められ、他人の物を「占有」していることになります。
」とは、窃盗罪などの「財物」と同じで、管理可能性のある有体物(個体・液体・気体)をいい、動産だけでなく不動産も含まれます
②「横領」行為とは、不法領得の意思を発現する一切の行為をいいます。
不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思をいいます。
横領」行為は、費消(使い込むこと)、着服(バレないように盗むこと)、拐帯(持ち逃げすること)、抑留(借りたものを返さないこと)などの事実行為だけでなく、売却貸与贈与などの法律行為も含まれます。
上記の事例では、Aさんは借りたレンタカーを期限が過ぎても返すことなく乗り回している(抑留している)行為は「横領」に該当すると考えられます。

2,横領罪で逮捕された場合に考えられる弁護活動

(1)不起訴処分獲得に向けた弁護活動

横領罪の法定刑は5年以下の懲役刑が定められているのみで、窃盗罪などに定められているような罰金刑がありません。
そのため、起訴された場合には、正式裁判が開かれることになります。
そして、起訴・不起訴を決めるのは検察官です。(起訴便宜主義刑事訴訟法248条
不起訴処分獲得に向けた弁護活動としては、被害者との示談交渉を試みます。
弁護士が加害者の立場から、被害者に対して、加害者が反省・謝罪の意思を有していること、被害弁償や示談金の支払いの準備があることを申し入れます。
そして、示談といっても内容は千差万別で、単なる示談の成立(当事者間で紛争が解決したと約束すること)や宥恕付き示談(加害者の反省・謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味するもの)など多岐にわたります。
そのため、単に示談を成立させるだけでなく、宥恕付き示談や被害届の取下げや刑事告訴の取消などの約定を加えた内容での示談を成立させることが、不起訴処分を獲得するために重要となります。

(2)公判弁護

当事者間で示談が成立したとしても、必ず不起訴処分になるとは限りません。
被告人が行った犯罪の社会に対して大きな影響をもたらしたため、社会秩序を回復させるためなど、検察官が処罰することが相当と判断した場合には起訴される可能性があります。
起訴された場合の弁護活動としては、被告人と入念な打ち合わせを重ね裁判に備えることや、裁判では、示談が成立しており被告人は十分に反省していることなどを主張し、執行猶予付き判決の獲得など、少しでも被告人に有利な結果の実現を目指します。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で横領罪の当事者となってしまった方、あるいは横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
横領罪の当事者となり捜査機関に捜査されているなど身柄拘束を受けていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族が横領罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(事務局の口座から現金を不正に払い出して横領したケース)

2024-04-14

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(事務局の口座から現金を不正に払い出して横領したケース)

今回は、事務局担当者として経理事務と金銭出納などの業務に従事していた町職員が、事務局の口座から現金約63万円を払い出し横領したというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:事務局担当者として経理事務や金銭出納などの業務に従事していた町職員が、事務局の口座から現金約63万円を払い出し横領したケース

松阪署は4日、業務上横領の疑いで明和町、同町職員Aさんを逮捕した。
逮捕容疑は多気郡町村会の令和4年度事務局担当者として町村会経理事務と金銭出納などの業務に従事していた同5年2月28日、同町の金融機関で2回にわたり同事務局口座から払い出した現金合計約63万円を横領した疑い。
Aさんは「私はやっていない」と否認している。
同署によると、令和5年4月の人事異動で新しい担当者が事務を引き継いだ時、使途不明金が見つかったため、同町が同署に同年7月下旬から8月上旬にかけて相談し、10月上旬に告訴、受理された。
同町長職務代理者の下村由美子副町長は「多くの皆さまにご迷惑をおかけしたことをおわびいたします」「捜査に全面協力しますとともに、厳正に対処する」とコメントを出した。
伊勢新聞 3/5(火) 8:00配信のニュース記事を一部変更し引用しています。)

1,業務上横領罪について

〈業務上横領罪〉

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。」(刑法253条

業務上横領罪は、通常の横領罪刑法252条1項)を業務者という身分を有する者が犯した場合に成立する犯罪です。
そのため、まずは横領罪について解説致します。
横領罪は、①自己の占有する他人の物を②横領した場合に成立します。
また、横領罪は故意犯であるため③故意刑法38条1項)と、条文上の記載はありませが、④不法領得の意思が必要となります。
横領罪窃盗罪などとは異なり、既に行為者のもとに他人が所有権を有する物が存在しているため、他人の占有を侵害する犯罪ではありません。
そのため、横領罪の保護法益は、第一次的には所有権であり、また、横領行為は物を預けた人に対する裏切り行為といえるため、第二次的には委託信任関係であると考えられています。
①「自己の占有する他人の物」にいう、「物」とは財物を意味し、窃盗罪における財物と同じですが、横領罪の場合は不動産も含まれます。
「占有」とは、処分の濫用のおそれのある支配力を言い、具体的には、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態を言います。
法律上の支配とは、法律上自己が容易に他人の物を処分し得る状態を言い、法律上の支配が問題となる場面は不動産の占有と銀行預金の占有です。
不動産の場合は、不動産の所有権の登記名義人は、当該不動産を実際に居住するなど事実上支配していなくても、売却など自由に処分できる立場にあるため、法律上支配していると言えます。
また、他人から預かった金銭を自分の口座で管理している場合は、金銭を自分の財布に入れて実際に管理しているわけではないため事実上支配しているとは言えませんが、その金銭はいつでも自分の口座から引き出すことができ、自由に処分できる立場にあるため、他人の金銭に対する法律上の支配が認められます。
また、その占有は他人からの委託信任関係を原因とすることが必要となります。
仮に、その占有が委託信任関係によらずして開始した場合、その物は誰の占有にも属していないか偶然自分の占有に属したことになり、その場合は遺失物等横領罪刑法254条)が成立します。
そのため、横領罪における占有は他人からの委託信任関係が必要となります。
委託信任関係委任民法643条以下)などの契約に基づく場合のほか、取引上の信義則に基づく場合などがあります。
②「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言います。
横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、その物の経済的用法に従って、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。
横領行為は、費消、着服、拐帯などの事実行為のみならず、売却、貸与、贈与などの法律行為も含まれます。
以上が横領罪の成立に必要な要件となり、業務上横領罪は、業務者という身分を有する者が横領行為を行った場合に成立します。
業務者とは、委託を受けて他人の物を保管・管理する事務を反復又は継続的に行う者を言い、質屋や運送業者などがその典型ではありますが、職務上公金を管理する公務員や会社や団体などの金銭を管理する会社員や団体役員なども業務者に含まれます。

2,業務上横領罪で逮捕・勾留による身柄拘束を受けた場合における弁護活動

業務上横領罪で逮捕・勾留された場合、最長で23日間 、身柄を拘束されて警察と検察の取調べを受けることになります。
その後、検察官によって起訴されるか否かが判断され、起訴されてしまった場合には公判が開かれることになります。
窃盗罪などの他の財産犯に比べて、業務上横領罪未遂犯を処罰する規定が存在しないため、業務上横領罪に当たる行為を行った時点で結果が発生していなくとも既遂となります。
未遂犯は既遂犯に比べて刑罰を減軽される可能性がありますが(刑法43条本文)、業務上横領罪はすべて既遂として処罰されることになります。
また、横領行為は信頼して預けていた財物に手を出すという信頼を失墜させる行為であること、「業務上」という反復継続して行う立場でありながら犯行に及んだという点で非難の度合いが高く、起訴されてしまった場合には実刑判決を受ける可能性が高いと言えます。
業務上横領罪の刑罰は10年以下の懲役刑のみであるところ、執行猶予付き判決を獲得するためには、判決によって言い渡される刑罰が懲役又は禁錮3年以下である必要があります(刑法25条柱書)。
そのため、業務上横領罪で逮捕・勾留された場合、それに引き続いて起訴されてしまった場合いは、弁護士による迅速なサポートを受けることが重要となります。
まず、勾留による身柄拘束が認められるのは、被疑者・被告人に証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
そこで、弁護士はそれらの事情を否定し得る客観的な事情や証拠を収集する活動を通じて早期の身柄解放を行います。
具体的な活動の一例としては、被疑者・被告人の家族や親族に働きかけて身元引受人となってもらい、被疑者・被告人の裁判所や捜査機関への出頭の機会を確保することができれば、逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情となり、早期の身柄解放が期待できます。

次に、業務上横領罪は被害者が存在する犯罪でもあります。
そのため、弁護士が被疑者・被告人に代わって被害者との示談交渉を行い、示談の成立に向けた活動を行います。
示談と一口に言っても内容は種々様々で、加害者側にだけ都合のいい内容で示談交渉を進めると交渉が拗れてしまい、示談が成立する可能性は低くなります。
そのため、被害者側の意向をくみ取りつつ、宥恕条項(加害者側の謝罪を受け入れて、加害者の刑事処罰を望まないことを意味する条項)や刑事告訴取消といった約定を入れた内容で示談交渉を進める必要があります。
また、身柄を拘束されている事件では、逮捕から起訴までの間 に示談を成立させることができれば、証拠隠滅や逃亡のおそれが低いと判断され早期の身柄拘束が、起訴猶予による不起訴処分の獲得がそれぞれ期待できます。
そのため、身柄を拘束されてしまった場合には、短い期間で示談交渉を行い必要があるため、速やかな示談交渉が必要不可欠となります。
もし起訴されてしまった場合でも、示談が成立していれば、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高まるため、示談交渉の成立に向けた弁護活動が重要であることに変わりはありません。
以上より、業務上横領罪など逮捕・勾留により身柄を拘束されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に依頼することがとても重要と言えます。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で業務上横領罪の当事者となってしまった方、もしくは家族・親族が当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事弁護の経験・実績が豊富で刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、業務上横領罪で在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、家族・親族が当事者となってしまった方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

【事例解説】業務上横領罪とその弁護活動(母親の預金を着服した成年後見人の息子が逮捕された架空の事例に基づく解説)

2023-12-19

 母親の預金を着服したとして、成年後見人の息子が業務上横領罪で逮捕された事件とその弁護活動ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 成年後見人として財産管理をしていた認知症の母親Vの預金口座から500万円を着服したとして、福岡市在住の会社員の長男Aが、業務上横領の容疑で逮捕されました。
 警察の調べによると、Aは家庭裁判所から成年後見人に選任された後、数年間にわたり、Vの口座から計500万円を引き出し、着服したとのことです。Aは、業務上横領の容疑を認めています。
(事例はフィクションです。)

成年後見人による業務上横領罪について

 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する、と定められています(刑法第253条)。

 業務上横領罪における「業務」とは、人がその社会生活上の地位に基づき反復・継続して行う事務とされ、職業である必要はありません。

 成年後見人は、認知症、知的障害などの理由で、財産管理や各種契約等が困難になった方々を保護し、支援することを目的として、家庭裁判所から選任されるなどされ、その地位に基づき、被後見人に代わって、法律行為を行ったり財産の管理を行います。
 よって、成年後見人が、自己が管理してその占有下にある被後見人の財産を着服する行為は、横領に当たることから、業務上横領罪が成立する可能性が高いです。

親族間での業務上横領罪の取り扱い

 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で、窃盗、詐欺、横領などの財産犯を犯した場合は、その刑を免除する、と定められています(刑法第244条、第255条参照)。
 これは、「法律は家庭に入らず」との思想の下、これらの場合には、国の刑罰権の行使を差し控え、家庭内の規律に委ねるのが望ましいとの政策的考慮によるものとされ、「親族相盗例」と呼ばれます。

 業務上横領罪も親族相盗例の対象とされるため、Aが直系血族である母親Vの財産を横領した場合は、刑が免除されるのではないかとも思われますが、判例上、「家庭裁判所から選任された成年後見人の後見事務は、公的性格を有する」ことから、家庭内での規律に委ねるべきものと言えず、その適用はないとされます。

 よって、本件Aに業務上横領罪が成立する場合、親族相盗例は適用されず、10年以下の懲役が科される可能性があります

業務上横領罪の刑事弁護

 業務上横領罪は罰金刑の定めがないため、起訴された場合、正式な裁判となります。不起訴処分を得て裁判を回避するためには、財産犯であることから、被害弁償と示談締結が極めて重要と言えます。

 本件のように被害金額が高額の場合、被害弁償を一括で行うことが難しいことが考えられるため、被疑者の収入や資産の状況を説明し、分割での被害弁償に応じてもらえるよう、粘り強く交渉することも必要になると考えられます。

 また、成年後見人による業務上横領の場合、通常、成年後見人は解任され、新たな成年後見人が選任されると考えられ、この場合、新たに選任された成年後見人と示談交渉する必要があり、一般的な業務上横領の場合よりも、複雑な対応が求められると考えられます。

 以上のことから、業務上横領罪における被害者との示談交渉は、刑事事件に強く、財産犯における示談交渉の経験豊富な弁護士への依頼をお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、業務上横領事件において、示談成立による不起訴処分などを獲得している実績があります。
 業務上横領罪でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】乗り捨てされた自転車の一時使用による占有離脱物横領罪(後編)

2023-09-02

 前回に引き続き、共同住宅に乗り捨てされた放置自転車を一時的に使用したことで、占有離脱物横領罪で取調べを受けた架空の事件とその弁護活動ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 北九州市内の共同住宅に居住する自営業男性A(42歳)は、共同住宅の駐輪場に数日前から放置されている鍵の付いていない自転車を、近所のスーパーなどへの買い物で2時間程度、繰り返し使用するようになりました。
 いつもの通り自転車に乗って近所のスーパーに向かっていたとき、鍵の付いていない自転車を見て不審に思った警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
 警察の調べで、Aが使用していた自転車は、数日前に窃盗の被害に遭い乗り捨てられたものであることが判明し、Aは占有離脱物横領の容疑で警察の取調べを受けることとなりました。
(事例はフィクションです。)

前回の前編では、占有離脱物横領罪の成立について、「不法領得の意思」以外の要件を解説しました。

不法領得の意思とは

 不法領得の意思とは、窃盗罪や横領罪などの領得罪の成立において、不可罰的な一時使用行為や、罪質の異なる毀棄・隠匿罪との区別のために、故意と別個の主観的要件として必要とされるものです。
 窃盗罪の判例ですが、不法領得の意思の内容は、(1)所有者などの権利者を排除して他人の物を自己の物として振る舞う意思(権利者排除意思)と、(2)他人の物をその経済的用法に従い、利用又は処分する意思(利用・処分意思)、とされます。

 本件における占有離脱物横領罪の成立について、Aが自転車を、近所のスーパーなどへの買い物で2時間程度使用した行為に、(1)権利者排除意思や(2)利用・処分意思が認められるか問題となり、自転車の使用時間や使用方法、自転車自体の価値や使用に伴う価値の減少の程度、自転車の所有者の利用可能性の排除の程度、など様々な要素から判断されると考えられます。

 窃盗罪占有離脱物横領罪の裁判例では、乗り捨ての意思がなく元の場所に返還する意思をもって、短時間、他人の自転車を一時使用した行為について、不法領得の意思が認められないとして、罪の成立を否定したものもありますが、判例上明確な基準が確立されているわけではなく、自転車の一時使用で不法領得の意思を認めた裁判例もあります。

一時使用による占有離脱物横領罪の弁護活動

 不法領得の意思が認められないとして、占有離脱物横領罪の成立を争うことも可能ではありますが、早期に被害者との示談を成立させ不起訴処分での事件の終了を目指すことも、現実的な選択肢の一つと考えられます。

 本件における被害者は、自転車の所有者となります。所有者から自転車を窃盗した犯人が別にいるとはいえ、占有離脱物横領罪に係る自転車の使用によって、所有者が自転車を使用する権利が損なわれていることは間違いないため、これに対して謝罪と被害弁償を行う意味は十分にあると考えられます。

 弁護士であれば通常、示談交渉のために捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらえると考えられ、刑事事件に強い弁護士であれば、しっかりした内容の示談が成立する可能性が見込まれ、不起訴処分で事件が終了する可能性を高めることが期待できます。

 また、本件では、取調べにおいて自転車の窃盗の容疑も追及される可能性も考えられますが、窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、占有離脱物横領罪と比べると重いため、取調べ対応について刑事事件に強い弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、占有離脱物横領罪などの財産犯の刑事事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
 占有離脱物横領罪で自身やご家族が警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】乗り捨てされた自転車の一時使用による占有離脱物横領罪(前編)

2023-08-30

 共同住宅に乗り捨てされた放置自転車を一時的に使用したことで、占有離脱物横領罪で取調べを受けた架空の事件とその弁護活動ついて、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 北九州市内の共同住宅に居住する自営業男性A(42歳)は、共同住宅の駐輪場に数日前から放置されている鍵の付いていない自転車を、近所のスーパーなどへの買い物で2時間程度、繰り返し使用するようになりました。
 いつもの通り自転車に乗って近所のスーパーに向かっていたとき、鍵の付いていない自転車を見て不審に思った警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
 警察の調べで、Aが使用していた自転車は、数日前に窃盗の被害に遭い乗り捨てられたものであることが判明し、Aは占有離脱物横領の容疑で警察の取調べを受けることとなりました。
(事例はフィクションです。)

占有離脱物横領罪とは

 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する、と定められています(刑法第254条)。

 「占有を離れた他人の物」とは、所有者の意思に基づかずにその占有を離れ、誰の占有にも属していない物とされます。

 本件の自転車が、共同住宅の住人の所有物であるなど他人の占有する物だった場合には、窃盗罪の問題になり得ますが、実際は乗り捨てされた物で、既に所有者など他人の占有する状態になかったといえることから、占有離脱物横領罪の問題になったものと考えられます。

 占有離脱物横領罪における「横領」とは、不法領得の意思をもって、自己の占有する占有離脱物を自己の事実上の支配下に置くこと、とされます。
 本件のAが、占有離脱物である本件自転車を、買い物で2時間程度使用することは、「自己の事実上の支配下に置く」ものとして占有離脱物横領罪の成立が考えられますが、一時的に使用した行為でもあることから、「不法領得の意思」の有無が問題になると考えられます。

次回の後編では、占有離脱物横領罪における「不法領得の意思」について、詳しく解説します。

一時使用による占有離脱物横領罪の弁護活動

 不法領得の意思が認められないとして、占有離脱物横領罪の成立を争うことも可能ではありますが、早期に被害者との示談を成立させ不起訴処分での事件の終了を目指すことも、現実的な選択肢の一つと考えられます。

 本件における被害者は、自転車の所有者となります。所有者から自転車を窃盗した犯人が別にいるとはいえ、占有離脱物横領罪に係る自転車の使用によって、所有者が自転車を使用する権利が損なわれていることは間違いないため、これに対して謝罪と被害弁償を行う意味は十分にあると考えられます。

 弁護士であれば通常、示談交渉のために捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらえると考えられ、刑事事件に強い弁護士であれば、しっかりした内容の示談が成立する可能性が見込まれ、不起訴処分で事件が終了する可能性を高めることが期待できます。

 また、本件では、取調べにおいて自転車の窃盗の容疑も追及される可能性も考えられますが、窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、占有離脱物横領罪と比べると重いため、取調べ対応について刑事事件に強い弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、占有離脱物横領罪などの財産犯の刑事事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
 占有離脱物横領罪で自身やご家族が警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事例解説】落とし物の財布を横領 遺失物横領罪で取り調べ

2023-06-10

 コンビニの駐車場に落ちていた財布を持ち去ったとして警察で取り調べを受けた事件を参考に、遺失物横領罪と、その弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡市在住の男子大学生A(22歳)は、コンビニの駐車場に落ちていた財布を発見し、そのまま持って帰ってしまいました。
 暫く後、財布の落とし主Vからコンビニに連絡があったところ、防犯カメラにAの様子が写っていたため警察に通報がなされ、後日、警察からAに呼び出しがあり、遺失物横領の容疑で任意の取り調べが行われました。
 Aは、今後の対応について、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

遺失物横領罪とは

 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する、と定められています(刑法第254条)。

 遺失物とは、「他人が占有していた物であって、当該他人の意思に基づかず、かつ、奪取によらず、当該他人が占有を失ったもので、それを発見した者の占有に属していないもの」と定義されており、落とし物は通常これに該当します。

 遺失物法により、遺失物の拾得者は、遺失物を速やかに遺失者に返却するか、警察等に提出しなけなければならないとされていますが、遺失物横領(自己の占有する他人の物を不法に自分の物にすること)した場合、遺失物横領罪が成立します。

 本件では、Vの落とした財布は遺失物にあたるので、Aが拾得後、これを横領したとして、遺失物横領の容疑で取り調べが行われたものです。

持ち主の占有の有無と窃盗罪の成否

 本件では、Aに窃盗罪が成立する可能性もあります。
 他人の物を拾得したときに、持ち主の占有が残っている場合は窃盗罪が成立し、持ち主の占有が残っていない場合は遺失物横領罪が成立します。

 ここでの占有とは、「物が他人の事実的支配力の及ぶ場所に存在する」こととされており、人の出入り等の現場の状況、持ち主が現場を離れて経過した時間や移動した距離など、様々な要素から占有の有無が判断されます。

 なお、判例では、公園のベンチに置き忘れた小物入れを持ち去った場合に、持ち主が現場から離れた時間や距離等の事情から、窃盗罪の成立を認めたものがあります。

 以上のことから、本件でVがコンビニの駐車場を離れた時間や距離などから、財布に対するVの占有が残っていたものとして、容疑が窃盗罪に変わる可能性も否定できません。

遺失物横領罪の弁護活動

 窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、遺失物横領罪より重くなるため、取り調べについては、刑事事件に強い弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めします。

 遺失物横領罪などの財産犯では、被害者への謝罪や被害弁償の有無のほか、示談の成立が検察官の起訴・不起訴の判断において特に重視されますが、刑事事件に強い弁護士であれば、しっかりした内容の示談が成立する可能性が見込まれ、不起訴処分で事件が終了する可能性を高めることができます。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、遺失物横領罪などの財産犯の事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
 遺失物横領罪で自身やご家族が警察の取り調べを受けるなどして不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

宗像市の業務上横領事件 会社に1000万円以上の横領が発覚

2023-04-08

会社に1000万円以上の横領が発覚した宗像市の業務上横領事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

宗像市の建設会社で経理の仕事をしているAさんは、会社の帳簿や口座など経理に関する業務を一人でしています。
3年ほど前からAさんは、毎月数万円から数十万円ずつ会社の口座から不正に現金を引き下ろして横領しており、これまで横領した額は1000万円を超えています。
そんな中、会社に税務署の税務調査が入り、Aさんの不正行為が会社に発覚することとなってしまいました。
会社からの調査を受けたAさんは、自身の横領について認めていますが、会社は刑事告訴を検討しているようです。
(フィクションです)

業務上横領罪

刑法第253条(業務上横領罪)

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。(刑法抜粋)

業務上横領罪は、単純な横領罪(刑法第252条)の特別罪として位置付けられており、単純な横領事件と比べて法益侵害の範囲が広く、頻発のおそれが多いことから罰則規定が厳しく定められています。

業務上横領罪で逮捕される?

警察が捜査する業務上横領事件のほとんどは、会社等(被害者)からの告訴が端緒となります。
会社等(被害者)が警察に告訴するのは、弁償ができていない場合や横領額が高額に及んでいる場合などです。
警察が告訴を受理し捜査を開始した時点で、逃走や罪証隠滅のおそれがある場合は逮捕されることとなるでしょう。

業務上横領事件で示談

業務上横領事件は、会社等(被害者)と示談することによって、刑事事件化を防げたり、刑事罰を免れることができます。
会社等(被害者)との示談は、横領したお金を被害者(会社)に弁償できるかどうかに左右されます。

業務上横領罪の量刑

業務上横領罪起訴された場合、その処分は、横領した金額や、被害者(会社)に弁償しているか、会社等(被害者)と示談しているか等によって変わってきます。
ただ今回の事件のように横領額が一千万円を超える場合は、弁償することも非常に困難でしょうし、仮に弁償できていたとして、会社等(被害者)が告訴した場合は、警察は捜査に乗り出すでしょう。
その場合は逮捕される可能性も考えられますし、起訴された場合は実刑判決もあり得ます。
一般的に、弁償できていない業務上横領事件ですと、横領額が100万円を超えれば実刑判決が言い渡される可能性が高くなると言われています。

まずは弁護士に相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
1000万円を超える業務上横領事件は、逮捕される可能性が高く起訴された場合は実刑判決となる可能性も高い事件です。
こういった事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【即日対応可能】福岡県筑紫野警察署に弁護士を派遣※電話予約OK

2022-11-02

【即日対応可能】福岡県筑紫野警察署への弁護士派遣について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県筑紫野警察署への弁護士派遣(初回接見サービス)

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)

までお電話ください。

参考事件

福岡県筑紫野市で土建業を営んでいるAさんは、会社の運営に行き詰まり、元請けから借りていた建設機械を、元請けの承諾を得ることなく無断で、建設機械の買取業者に売って資金を作りました。
3カ月ほど前に、この事が元請けの会社に発覚してしまい、これまで再三にわたって返却若しくは弁償を求められてきましたが、お金がないAさんは、それに応じることができませんでした。
その結果、元請け社長が、福岡県筑紫野警察署にAさんを刑事告訴したのです。
告訴されたことを知ったAさんは、福岡県筑紫野警察署に家族と共に出頭したのですが、その後、Aさんは逮捕されてしまいました。

(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

福岡県筑紫野警察署

〒818-0041
福岡県筑紫野市上古賀1-1-1
電話番号 092-929-0110

福岡県筑紫野警察署に弁護士を派遣する費用

交通費込み 38,060円

横領罪

人から借りている物を、勝手に売却するなどすれば「横領罪」となります。
横領罪は、刑法第252条に規定されており、その内容は「自己の占有する他人の物を横領する」ことで成立する犯罪です。
横領罪は、自己の占有する他人の財物を、不法に領得する犯罪で、今回の事件では、Aさんが元請けから借りていた建設機械が「自己の占有する他人の財物」に該当します。
そしてAさんは、この建設機械を勝手に売ってしまっているので「横領罪」が成立すると考えられます。
また、建設機械の占有が、Aさんの業務遂行に伴う場合は、「業務上横領罪」が成立する可能性もあります。
他方、そもそもAさんが「元請けに無断で売ってしまおう」と考えて、元請けから建設機械を借りていた場合は、既に借りた時点で詐欺罪が成立している可能性もあります。

横領罪と業務上横領罪の罰則

横領罪の法定刑は「5年以下の懲役」ですが、業務上横領罪は、横領罪と比べると法益侵害の範囲が広く、また頻発のおそれが高いことから加重処罰の必要が認められていることから「10年以下の懲役」と厳しい法定刑が定められています。

福岡県筑紫野警察署に弁護士を派遣

福岡県筑紫野警察署に派遣できる即日対応可能な弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
福岡県筑紫野警察署に弁護士を派遣する 初回接見サービス のご予約については、24時間対応しているフリーダイヤルでお待ちしております。

会社のお金を着服 業務上横領罪の前科を免れるために~②~

2022-09-25

会社のお金を着服した事件を参考に、本日は業務上横領罪の前科を免れるための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

業務上横領罪の量刑相場

業務上横領罪で起訴された場合で、初犯(前科がない場合)である場合には、横領の方法や、本人の反省の程度などにもよりますが、概ね横領額(正確には、その段階で弁済できていない被害金額)が100万円を上回ると、実刑判決の可能性がでてきます。
そのため、仮に起訴されてしまうような場合でも、1円でも多く弁済することが必要となります。

業務上横領罪の弁護活動

業務上横領罪の弁護活動で必要となることは、被害者に対して示談交渉をし、できる限りの弁済を行うことです。
事件発覚直後の会社の対応は、感情的になることもありますし、会社の顧問弁護士が出てきて、いきなり支払いを求められるといったこともあります。
そのため、自分自身で被害弁償のための示談交渉をしようとしても、一切取り合ってもらえなかったり、反対に十分な情報を教えてもらえなかったりすることもあります。
きっちりと被害弁償を行うためには、第三者である弁護士に依頼をして、会社と交渉をすることが必要不可欠です。

業務上横領罪の弁護活動に強い弁護士

福岡県久留米市業務上横領事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
業務上横領罪の弁護活動については、少しでも早く活動開始することで、刑事事件化を免れることができたり、刑事告訴された時に、身体拘束を免れる可能性が出てきます。
Aさんのように、まだ会社に刑事告訴されていない状態でご相談いただければ、不利益を最小限にとどめ、前科を免れることもできますので、業務上横領罪に関するご相談は少しでも早くすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、専門弁護士による法律相談を初回無料で、逮捕等で身体拘束を受けている方への 初回接見サービス には即日対応しております。是非一度ご利用ください。

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