【事例解説】乗り捨てされた自転車の一時使用による占有離脱物横領罪(前編)

 共同住宅に乗り捨てされた放置自転車を一時的に使用したことで、占有離脱物横領罪で取調べを受けた架空の事件とその弁護活動ついて、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 北九州市内の共同住宅に居住する自営業男性A(42歳)は、共同住宅の駐輪場に数日前から放置されている鍵の付いていない自転車を、近所のスーパーなどへの買い物で2時間程度、繰り返し使用するようになりました。
 いつもの通り自転車に乗って近所のスーパーに向かっていたとき、鍵の付いていない自転車を見て不審に思った警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
 警察の調べで、Aが使用していた自転車は、数日前に窃盗の被害に遭い乗り捨てられたものであることが判明し、Aは占有離脱物横領の容疑で警察の取調べを受けることとなりました。
(事例はフィクションです。)

占有離脱物横領罪とは

 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する、と定められています(刑法第254条)。

 「占有を離れた他人の物」とは、所有者の意思に基づかずにその占有を離れ、誰の占有にも属していない物とされます。

 本件の自転車が、共同住宅の住人の所有物であるなど他人の占有する物だった場合には、窃盗罪の問題になり得ますが、実際は乗り捨てされた物で、既に所有者など他人の占有する状態になかったといえることから、占有離脱物横領罪の問題になったものと考えられます。

 占有離脱物横領罪における「横領」とは、不法領得の意思をもって、自己の占有する占有離脱物を自己の事実上の支配下に置くこと、とされます。
 本件のAが、占有離脱物である本件自転車を、買い物で2時間程度使用することは、「自己の事実上の支配下に置く」ものとして占有離脱物横領罪の成立が考えられますが、一時的に使用した行為でもあることから、「不法領得の意思」の有無が問題になると考えられます。

次回の後編では、占有離脱物横領罪における「不法領得の意思」について、詳しく解説します。

一時使用による占有離脱物横領罪の弁護活動

 不法領得の意思が認められないとして、占有離脱物横領罪の成立を争うことも可能ではありますが、早期に被害者との示談を成立させ不起訴処分での事件の終了を目指すことも、現実的な選択肢の一つと考えられます。

 本件における被害者は、自転車の所有者となります。所有者から自転車を窃盗した犯人が別にいるとはいえ、占有離脱物横領罪に係る自転車の使用によって、所有者が自転車を使用する権利が損なわれていることは間違いないため、これに対して謝罪と被害弁償を行う意味は十分にあると考えられます。

 弁護士であれば通常、示談交渉のために捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらえると考えられ、刑事事件に強い弁護士であれば、しっかりした内容の示談が成立する可能性が見込まれ、不起訴処分で事件が終了する可能性を高めることが期待できます。

 また、本件では、取調べにおいて自転車の窃盗の容疑も追及される可能性も考えられますが、窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、占有離脱物横領罪と比べると重いため、取調べ対応について刑事事件に強い弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、占有離脱物横領罪などの財産犯の刑事事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
 占有離脱物横領罪で自身やご家族が警察の取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

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