Archive for the ‘財産事件’ Category

万引きで略式命令~納付の注意点と前科回避の方法~

2019-11-21

万引きで略式命令~納付の注意点と前科回避の方法~

上記標題につき、あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市早良区に住むAさん(70歳)は、普段よく買い物をするスーパーで、食料品3点を万引きしたとして保安員に現行犯逮捕され、その後身柄を福岡県早良警察署の警察官に引き渡されました。その後、Aさんは万引きの前歴2回を有していたことなどから窃盗罪で略式起訴され、裁判所から罰金20万円の略式命令を言い渡されました。その後、正裁裁判申立期間が過ぎ、Aさんには前科1犯がつきました。
(フィクションです)

~ 万引きは立派な犯罪 ~

万引きは窃盗罪(刑法235条)に当たる立派な犯罪です。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

そして、窃盗罪で起訴され裁判で有罪とされれば、懲役刑、罰金刑を科されます。
では、「前科」はどのような経緯で付くのでしょうか?

~ 前科が付くまでの流れ ~

逮捕されてから「前科」が付くまでの流れは以下のとおりです。

逮捕 → 捜査 → 起訴(正式,略式) → 裁判(正式,略式) → 「有罪」 → 確定 → 前科

正式裁判を受けた場合は、その裁判で有罪とされ、被告人側、検察側の双方が不服申し立てができなくなった(つまり「確定」した)後付きます。
略式裁判を受けた場合は、略式命令を言い渡された後(正式に略式命令謄本の交付を受けた後)、正式裁判申し立て期間(14日間)が経過した後付きます。

~ 罰金の納付方法と注意点 ~

ちなみに、言い渡された罰金は国に納付します。
具体的方法は、検察庁の「徴収係」という窓口で直接納付してもいいですし、納付書を使って最寄りの金融機関などで納付することができます。
通常、略式命令を受けた直後から納付することができます。しかし、これは仮納付といって正式な納付ではありません。仮納付期間は正式裁判申し立て期間と同様14日間とされますが、正式な納付ではないため、この期間に納付しなくても問題はありません。
問題は、略式裁判が確定した後です。この後は正式な納付となるため、納付をほったらかしにしていると身柄を拘束されるおそれもありますから注意が必要です。通常、期間は14日間とされますが、係に申し出れば期間の延長を認められることもあります。
なお、身柄を拘束されると刑事施設(刑務所など)に収容されます。これを労役場留置といいます。通常は、金5000円を1日と見立て、罰金額を除してでた日数(罰金20万円の場合は200000÷5000=20日)刑務所に収容されることになります。
罰金の分割納付は原則認められていません。

~ 前科をを回避するには? ~

現実的なのは

検察官の起訴を回避すること

ではないでしょうか?
検察官の起訴を回避する、すなわち、不起訴処分を獲得することができればそもそも刑事裁判を受ける必要はなく、裁判で有罪の判決を受けるおそれもないからです。
そして、不起訴処分を獲得するには、まずは被害者に精神誠意謝罪し、被害弁償、示談に向けた話し合いを進めていく必要があります。そして、被害者に被害弁償するなどして示談を成立させることができればあなたにとって有利な情状として考慮され、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなるでしょう。

~ 被害弁償、示談は弁護士に依頼を ~

もちろん事件の当事者間でも被害弁償、示談交渉をすることはできます。
しかし、事件当事者というだけあって、感情のもつれなどから被害弁償、示談交渉がなかなかうまく進まない場合もございます。
そんなときは弁護士が力になれます。
示談交渉に関する経験、知識が豊富な弁護士であれば、適切な内容・形式で示談を成立させることができます。

逮捕の後、勾留された場合、私選の弁護士を選任していない限り国選の弁護士が選任されます。国選の弁護士も私選同様、示談交渉に当たってくれるでしょう。
しかし、特に、当初から在宅事件の場合、逮捕から勾留までに釈放された場合は注意が必要です。その場合は国選の弁護人は選任されませんから、ご自身で示談交渉を行っていただく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、万引きなどの窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。ご家族が窃盗罪などの刑事事件で逮捕され、前科が付くのを回避したいとお考えの方、その他でお困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談、初回接見のご予約を承っております。

刑法における占有の概念

2019-11-20

刑法における占有の概念

刑法における占有の概念について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県新宮町に住むAさんは、自宅まで帰る脚に困っていたため、道端に放置されてあった自転車に乗って自宅に帰宅し、自転車はとりあえず自宅の庭に停めておきました。すると、翌日、Aさんは自宅に福岡県粕屋警察署の警察官の訪問を受け、警察官から「庭に停めてある自転車はあなたのものかい?」と尋ねられました。Aさんは、警察官に「すみません、勝手に乗って帰ったものです。」と言ったところ、窃盗罪の被疑者として警察署で事情を聴かれることになりました。Aさんは逮捕されることはありませんでしたが、今後のことが不安になったため、今後の対応などについて弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

~ 刑法における「占有」の概念の重要性 ~

刑法上、「占有」という言葉は、刑法242条、刑法252条(横領罪)、刑法253条(業務上横領罪)、刑法254条(占有離脱物横領罪)の4か条にしか使われていません。

刑法252条 
 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

刑法253条
 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

刑法254条
 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

しかし、その他の罪であっても、たとえば窃盗罪は他人の「占有」を侵害することにその本質があるとされています。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

また、「占有」の概念は、窃盗罪と横領罪、占有離脱物横領罪とを区分するためのメルクマークであり、財産犯の罪の成立を考えるうえで極めて重要です。

~ 「占有」の意義 ~

そこで、「占有」の意義が重要となりますが、刑法上の「占有」とは、

ある一定の物に対する事実上の支配力を有していること

をいいます。
法律上ではなく事実上でいいわけですから、その支配力が法的に保護され得るものである必要はありません。
たとえば、AさんがVさんのバックを盗った場合、刑法上は、Aさんにバックに対する占有が認められます。したがって、もともとの所有者であったVさんがさんが支配しているバックを勝手に盗れば窃盗罪に問われてしまう可能性もあるのです。

次に、現実に把持・監視している必要はなく、支配力を及ぼして入ればいいことになります(占有の客観的要素)。
つまり、財物が社会通念上占有者の支配力の及ぶ場所に存在することで足りるとされています。

なお、占有の客観的要素に加えて、占有の主観的要素(物を支配している認識)も必要です。
ただし、いちいち「どこに、何がある」などと認識している必要はなく、一般的、概括的認識で足りるとされています。

~ 具体例①(被害者が現実に把持している場合) ~

以上からすると、まず、被害者が現実に物を把持している場合は被害者に「占有」が認められやすいでしょう。
したがって、その被害者の物を盗った場合は窃盗罪に問われます。

~ 具体例②(被害者が現実に把持していない場合(自宅内))~

たとえば、旅行中の被害者宅に立ち入り現金を盗んだ、という場合です。
この場合、確かに、被害者は現金を把持していません。
しかし、自宅その他自己が排他的に管理・支配している場所においては、その場所それ自体が排他的に管理、支配されている以上、そこに存在する個々の財物について、いちいち認識していなくても、当然、居住者等の包括的は支配意思は及んでいるというべきです。したがって、現金に対する「占有」は認められます。
したがって、この場合でも窃盗罪は成立します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

援助交際少女をおとりに恐喝未遂

2019-11-16

援助交際少女をおとりに恐喝未遂

先日、神奈川県で援助交際をネタにした少年による恐喝未遂事件が起きました。
本日は、この事例を基に、恐喝罪についてあいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県久留米市の高校に通うのA君(16歳)を含む同級生の3人(B君、C君)は、お金欲しさから、かねてから援助交際でお金を得ていたWさん(16歳)をおとりにして援助交際を申し込んだ相手からお金をカツアゲすることを企てました。そこで、A君はWさんに、定期的に援助交際を申し込まれている男性Vさん(40歳)にスマートフォンで連絡を取らせ、指定した日にラブホテルで落ち合わせることにしました。そして、A君ら3人は、予定の日に久留米市内のラブホテルに潜伏し、WさんとVさんがラブホテルに到着し個室に入ったのを確認した上で部屋に入りました。そして、B君がVさんに、「おっさん終わったね。」「写真撮ったから。」「これが公開されたら仕事も家族も終わりだね。」「そうされたくなければ50万円払いなよ。」といいました。A君ら4人は、Vさんから「お金を降ろしにいく。」と言われたことからラブホテルを出て、近くのコンビニでVさんがお金を降ろすのを待っていたところ、Vさんから110番通報を受け駆け付けた福岡県久留米警察署の警察官に事情を聴かれてしまいました。そして、A君ら4人は、恐喝未遂罪の共犯(共同正犯)で逮捕されてしまいました。
(実際にあった事例を基に作成したフィクションです。)

~ 援助交際をネタに恐喝 ~

援助交際は児童買春の罪(5年以下の懲役又は300万円以下の罰金)にも当たり得る犯罪ですからやってはいけません。
しかし、援助交際をネタに援助交際を申し込んだ相手からお金を巻き上げる行為は恐喝罪に当たり得る犯罪行為ですのでこれもまたやってはいけません。

恐喝罪は刑法249条に規定されています。

刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。

ここで、「恐喝」とは、財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが、恐喝罪の場合、一般的に脅迫行為(害悪の告知)が行われることが多いと思われます。害悪の告知とは、相手方またはそれと密接な連帯感情にある者(配偶者など)の

生命、身体、自由、財産、名誉、社会的信用、地位、家庭の平和など

を損失、失墜させる旨を告げることをいいます。また、その程度は、

相手方の反抗を困難ならしめる程度(困惑、不安の念(もっとも、困惑といっても、単に「困っちゃうな」などという程度ではなく、人の自由意思を制限、妨害するに足りるものであることが必要です)

のものであることが必要とされています。

この点、B君の

「おっさん終わったね。」「写真撮ったから。」「これが公開されたら仕事も家族も終わりだね。」「そうされたくなければ50万円払いなよ。」

と告げる行為は、まさに恐喝罪の「脅迫」に当たります。

なお、恐喝罪の成立に必要とされる行為の全部を行っていなくても、その実現に向けて一部(援助交際を受ける、ラブホテルに誘い込む、写真を撮るなど)でも加担していれば恐喝罪の共犯とされます。
本件は、実際にお金を取っていませんから、恐喝未遂罪の共犯で逮捕されています。

~ 逮捕から家庭裁判所送致まで ~

警察に逮捕されると、少年であっても警察の留置場(留置施設)に収容されます。
逮捕後の流れは、

①逮捕→②検察官送致→③検察官による「勾留請求」OR「勾留に代わる観護措置請求」→④裁判官による「勾留決定」OR「勾留に代わる観護措置決定」→⑤家庭裁判所送致→観護措置決定
 
という手続を踏みます(なお、この間、不服申し立て等により釈放を早めることも可能です)。

①から②まで最大で48時間、①から③まで最大で72時間拘束されます。なお、①の段階では警察官の、②の段階では、検察官の判断により釈放されることがあります。また、③の段階、つまり、請求を受けた裁判官の判断により釈放されることもあります。
勾留決定があった場合(④)は、逮捕された際に収容された留置場へ収容されるでしょう。勾留に代わる観護措置決定があった場合(④)は指定された少年鑑別所へ収容されます。つまり、逮捕時の留置場から少年鑑別所へ身柄を移されます。
勾留の期間は、検察官の勾留請求があった日から「10日間」で、その後、やむを得ない事由がある場合は最大「10日間」延長されることがあります。観護措置の期間も請求の日から「10日間」ですが、延長は認められていません。
拘束された少年は、上記の期間内に警察や検察の捜査を受け、事件を⑤家庭裁判所へ送致される手続を取られます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

占有離脱物横領と被害弁償

2019-11-14

占有離脱物横領と被害弁償

占有離脱物横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市若松区に住むAさんはJRに乗車していた際、座席に置かれていた財布(Vさん所有)を見つけました。Aさんはしばらくそのままにしていましたが、誰も取りに来る様子がなく、周りに人もいなさそうだったことから、置き忘れ「自分のものにしてしまえ」と思い、その財布を手に持ったまま電車から降り降車駅を降りました。ところが、後日、Aさんは福岡県若松警察署の警察官から占有離脱物横領罪の疑いをかけられ、警察署まで出頭するよう呼び出しを受けてしまいました。AさんがVさんの財布のようなものを手に持っている防犯ビデオ映像、Vさんが財布を取りに帰った時間と同映像に記録された時間との近接性などからAさんが犯人だと疑われたようです。Aさんは事実を認め、被害者に被害弁償したいと考えています。
(フィクションです。)

~ 占有離脱物横領罪 ~

占有離脱物横領罪は刑法254条に規定されています。

刑法254条
 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「遺失物」も「漂流物」も「その他占有を離れた他人の物(占有離脱物)」の例示です。
そして、「その他占有を離れた他人の物」とは、その物(本件でいえば財布)の持ち主の元(占有)から離れたものをいいます。
「横領」とは、簡単にいうと自分のものにすることです。

では、本件の電車の座席に置かれていた財布は、「持ち主の元から離れたもの」すなわち「占有離脱物」と言えるのでしょうか?
この点、Vさんの占有が及んでいない場合は占有離脱物といえますが、占有が及んでいる場合は「他人の物」として窃盗罪(刑法235条)の客体となります。

そして、財物に対して占有が及んでいるかどうかは、主として①支配の事実と②支配の意思によって判断されます。
例えば、財布をその持ち主が実際に手に持っているという場合には、①支配の事実が明白であり、占有が及んでいると認められるでしょう。
しかしながら、持ち主が財物を実際に手に持っていないという場合でも、例えば、マンションの自転車置き場に自分の自転車を置いているという場合には、実際に手に持っている場合に比べて①支配の事実が弱いとはいえ、自分の物として自転車置き場に置く意思があると考えられますので、②支配の意思があり、占有が及んでいると認められるでしょう。

なお、本件のような置き忘れの事案については、占有を認めたものもあれば、占有を認めなかったものもあります。
占有を認めた例としては、バス待ちの行列の中でカメラを置き忘れた者が約5分後に約20メートル離れたところで気づいて引き返したという場合、公園のベンチにポシェットを置き忘れた者が約27メートル離れた時点で持ち去られたという場合などがあります。
他方、占有を認めなかった例としては、スーパーマーケットの6回ベンチに財布を置き忘れた者が約10分後に地下1階に移動した時点で置き忘れに気づいて引き返したという場合があります。
これらのケースを見ると、置き忘れた時点と置き忘れに気づいた時点との時間的・距離的な離隔が小さい場合には占有が認められ、逆に離隔が大きい場合には占有が認められないという傾向にあるといえそうです。

いずれにしても、被害者の占有が及んでいるかどうかは、

・被害者が置き忘れに気づいたのかどうか
・気づいたとしてどのタイミングか(置き忘れてからの時間的間隔、場所的距離)
・物の特性

などを総合的に考慮して決せられます。

~ 被害弁償 ~

占有離脱物横領罪のような財産犯では、まず何よりも被害者に真摯に謝罪した上で被害者弁償し、示談を締結させることが不起訴処分獲得に繋がりやすくなります。
ただし、当事者同士で謝罪の意を示したり、被害弁償の手続きを進めたり、示談交渉することはなかなか難しいでしょう。
そこで、弁護士が当事者の間に入って示談交渉などを進めてまいります。
お困りの方は弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

農機具を運んで盗品等運搬罪

2019-11-11

農機具を運んで盗品等運搬罪

本日は、盗品等運搬罪について、あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県福津市に住む農家のAさん(60歳)は、同じ農家である友人Bから「農機具が壊れたから運んでくれないか?」と言われました。そこで、Aさんはトラックを運転してBさんと一緒に農機具が置かれているという山中の畑に行きました。現場に着くと、AさんはBさんから「あれだよ。」と、Bさんが言う壊れた農機具を示されました。AさんはBさんとの長年の経験から、「ここはBさんの畑か?」「農機具は本当にBさんのものか?」と少し疑念がよぎりましたが、それ以上Bさんに尋ねることなく運搬を了承しました。その日は、Aさんは農機具をトラックに載せるための器具を忘れてしまったためいったん帰り、後日、畑に来てトラックに農機具を積み込み、農機具をBさんに指示された場所まで運びました。ところが、後日、Aさんは、福岡県宗像警察署から盗品等運搬罪の被疑者として呼び出しを受けてしまいました。Aさんは、「やっぱりあれはBさんのものではなかったんだ」などとすごく後悔し、宗像警察署で事実をありのままに話しました。一方の、Bさんは、宗像警察署に窃盗罪で逮捕されたようです。
(フィクションです)

~ 盗品等に関する罪について ~

他人の物を盗んだ場合は窃盗罪に当たります。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

では、その盗品を処分(運搬、保管、譲り渡しなど)した場合はどんな罪に問われるでしょうか?

まず、窃盗犯人が処分した場合は、不可罰的事後行為と呼ばれ罪に問われることはありません。
窃盗犯人の処分行為についても窃盗罪で評価されている、というのがその理由です。
他方、窃盗犯人から依頼を受けた他者が処分した場合は、

盗品等に関する罪

という窃盗罪とは別の罪に問われる可能性があります。盗品等に関する罪は刑法256条に規定されていますから、まずは条文から確認しましょう。

刑法256条
1項 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2項 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

1項では、盗品を無償で譲り受ける行為、2項では、運搬、保管、有償での譲り受けのほか、有償処分(売買)のあっせん(あっせん自体は有償、無償を問わない)の行為が規定されています。
なお、「盗品」とは、財産犯によって取得された財物であって、被害者が法律上その返還を請求できるものをいいます。財産犯には、窃盗罪のほかに

・強盗(刑法236条など)
・詐欺(刑法246条など)
・背任罪(刑法247条)
・恐喝罪(刑法249条)
・横領(刑法252条など)

も含まれます。
Bさんのような本犯がこれらの罪を犯した結果得たもの(盗品)を処分すれば盗品等に関する罪に問われる可能性があります。

~ 盗品等運搬罪について ~

Aさんが問われている罪は、盗品等運搬罪です。
同罪は刑法256条2項に規定されていました。

「運搬」とは、盗品等を場所的に移転することをいいます。有償、無償は問いません。
移転の距離は、必ずしも遠いことを要しないとされていますが、少なくとも被害者の追求が困難となる程度の場所的移転は必要とされます。

また、運搬罪に限らず、盗品等に関する罪は、盗品等を受け取った時点で、それが盗品等であることを認識していなければ罪に問われることはありません。
ただ、この認識の程度は、はっきりと「盗品等だ」との確定的なものである必要はなく、「本当にBさんのものかな~」「どこかから盗んできたものじゃないのかな~」など未必的なものであれば足りるとされています。

Aさんのように友人のためによかれと思って行った行為が、思わぬ犯罪につながるということにもなりかねません。
本当にご本人のものかどうか不安、心配なときは、本当に自分のものかどうか本人に尋ねる、あるいはそもそも処分を引き受けない、という心構えが必要でしょう。

盗品等に関する罪の弁護活動についても被害者との示談交渉が主となります。
お困りの方は弁護士までご相談ください。

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抵当権契約締結後に背任罪

2019-11-07

抵当権契約締結後に背任罪

抵当権契約締結後の背任罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市戸畑区に住むAさんは、借入金3000万円の担保として、銀行Vとの間に自己所有の土地や建物(以下、本件土地、建物といいます)につき抵当権を設定する契約を結びました。ところが、Aさんは、本件土地、建物を高く買い取ってくれる業者を見つけ、その業者のために本件土地、建物を6000万円で売却し、当該取引を原因とする所有権移転登記を完了しました。ところが、Aさんは、この事実を知った銀行Vから背任罪で福岡県戸畑警察署に告訴状を提出され、逮捕されてしまいました。Aさんの家族は、Aさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです)

~ 抵当権とは ~

抵当権とは、お金を貸す際に、土地や建物に設定する権利です。
債務者(お金を借りた人=Aさん)が予定どおりお金を返すことができなくなった場合に備える(担保とする)権利です。
この場合、債権者(お金を貸した人=V銀行)を「抵当権者」、債務者を「抵当権設定権者」といいます。
抵当権設定権者は、抵当権契約締結後、抵当権者のために抵当権設定の登記手続を完了しなければなりません(通常は、司法書士などに任せることが多いかと思います)。

本件は、抵当権設定権者であるAさんが、V銀行のための抵当権設定を完了する前に、その権利の対象となっていた土地、建物を処分したという事案です。

~ 背任罪 ~

背任罪は刑法247条に規定されています。

刑法247条
 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

「他人のために事務」とは、

・委任、雇用、寄託、請負などの契約により他人の財産の管理・保全の任務を行うなどのように、他人の財産の管理に関する事務の全部又は一部を他人のために代行するような場合
・登記協力義務のように、売却・担保物件の設定など自己の財産的処分行為を完成させるための自己の事務であると同時に、その協力なくしては相手方の財産保全が完成しない場合

などがこれに当たります。

「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」とは「図利加害目的」とも呼ばれます。
「利益」とは、必ずしも財産的利益に限る必要はなく、
・自己の信用・面目を保持する目的
・不良貸付の発覚を免れる目的
など、身分上の利益その他すべて自己の利益も含まれると解されています。実務上は、自己又は第三者の利益を図る目的があるようにみえて、他面で本人の利益を図る目的があるのでは?という場面もすくなくありません。そんな場合は、目的の主従、すなわち、どちらの目的により重点が置かれているのか、という観点から判断されます。

「任務に背く行為(任務違背行為)」とは、他人の事務の処理者として当然になすべきと法的に期待される行為をしないことをいい、期待される行為をしない場合と、なすべきでない行為をする場合の両方があります。何がその事情下において法的に期待される行為といえるかは、法令、契約、信義則等を考慮の上、当該事務の性質、内容、行為時の諸般の事情等を総合考慮して判断されることとなります。

「財産上の損害」の「損害」は既存の財産が減少した場合(積極的損害)のみならず、得べかりし利益が得られなかった場合(消極的損害)も含まれます。判例によれば、財産の減少は、経済的見地から判断されることになります(昭和58年5月24日)。たとえば、金融機関の役職員が、返済の可能性が著しく低い人に無担保で貸付を行ったとします。法的にみれば、貸主は、返済の可能性が低いとしても貸金債権(お金を返してくれといえる権利)を有しているため、損害は生じていないとも思えます。しかし、経済的見地から見ると、返済の可能性が著しく低い人に無担保で貸付を行えば、事実上、貸金の回収をできる見込みがないので、財産上の損害が生じていると考えていくことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

アポ電話強盗ではどんな罪に問われる?

2019-11-04

アポ電話強盗ではどんな罪に問われる?

アポ電強盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市中央区に住む無職のAはお金に困っていました。そこで、ネットで同じ境遇の仲間(B、C)を探し出し、高齢者の現金を強奪しようということになりました。Bは以前、特殊詐欺グループに所属しかけ子の役を、Cは別の特殊詐欺グループに所属し受け子の役を担っていた経験を有していました。Aは、Bから「以前、特殊詐欺グループに所属していたとき、福岡市内の高齢者を狙おうとしたんだけど事情があって頓挫したんだ。」「今回狙ってみない?」「住所、電話番号知っているから。」と言いました。そこで、AはCに高齢者Vさん宅に電話をかけるよう依頼しました。これを受けてCは税務署職員を装いVさん宅に電話をかけました。Cは税務署職員を装い、Vさんから資産状況、家族構成などを聞き出した上、A、Bにこれを伝えました。そして、A、B、Cの3人はある日、Vさんが自宅に一人になることを見計らってVさん宅に押し入り、Vさんに殴る蹴る暴行を加えたほか、羽交い絞めにしてVさん名義のキャッシュカードを奪った上、Vさんからキャッシュカードの暗証番号を聞き出しました。Vさん宅を後にした3人は、直ちにATMへ向かい、Vさん名義の銀行口座から90万円を引き出しました。ところが、3人は、Vさんから被害届を受け捜査をしていた福岡県中央警察署の警察官に強盗致傷罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ アポ電話強盗とは ~

アポ電とはアポイントメント電話の略。
そして、アポイントメントとは相手との会合、面談の約束を取り付けることですから、アポ電とは、会合、面談を電話で取り付けることを意味します。
これをアポ電話強盗に敷衍すると、

犯人が強盗を実行する前に被害者と電話をした上で実行する強盗

ということになります。
アポ電強盗の犯人は、電話で、被害者の行動、家族構成、資産状況などを尋ねた上で強盗を実行するようです。

今年2月には、男性3名が共謀し、事前に東京都江東区のマンションに住む80歳の女性に電話をかけ、女性宅に押し入り女性を殺害したとして強盗殺人罪で逮捕しています。また、このほかにも東京都内では、今年1月、2月頃にかけて連続して同様の事件が起きており、マスコミはこれら一連の事件を「アポ電強盗」と呼称したことから一気にその名が全国に広められました。

~ アポ電強盗が増加? ~

高齢者を狙った犯罪としては、「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」をはじめとする

特殊詐欺

が有名ですが、警察により「受け子」などの取り締まりが強化するに連れて受け子の成り手が減り、アポ電強盗をはじめとする凶悪犯罪に加担する者が増えてきているともいわれています。実際に、今年8月1日、警察庁は「アポ電強盗」と思われる不審な電話が今年4~6月の3カ月間に全国で3万5289件確認されたことを発表しています。

以下、強盗罪がどれほど重たい罪なのかご紹介します。

~ 強盗罪 ~

強盗罪は刑法236条に規定されています。

刑法236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、前項と同様とする。

強盗罪の「暴行」「脅迫」の程度は相手方の反抗を抑圧する程度に強いものでなければならないとされています。「強取」とは、上記の「暴行」「脅迫」により、相手方の反抗を抑圧して財物を自己又は第三者に移すことをいいます。

~ 強盗予備罪 ~

強盗予備罪は刑法237条に規定されています。

刑法237条
強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。

強盗の予備とは、強盗を犯す目的で、その着手の準備をすることをいいます。仮に、アポ電強盗で、被害者宅に電話をかけた段階で捜査機関に発覚すれば、強盗予備罪に問われる可能性があります。

~ 強盗致死傷罪 ~

強盗致死傷罪は刑法240条に規定されています。

刑法240条
 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

本罪は、強盗犯人が殺意なくして人を負傷させたり死亡させた場合のほか、故意あって人を負傷したり死亡させる場合も含まれます。したがって、強盗傷害罪、強盗殺人罪の場合も本規定が適用されます。
なお、強盗致死傷罪の目的は、人の身体、命を守ること、にありますから、たとえ財物を奪取できず強盗自体が未遂と終わっても人を負傷させたり、死亡させれば本罪が成立することに注意が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

昏睡強盗罪?窃盗罪?

2019-10-30

昏睡強盗罪?窃盗罪?

昏睡強盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市八幡西区に住む大学生のAさんは、北九州市小倉北区内の居酒屋に、友人Bさんと二人でお酒を呑みに行きました。そして、Aさんらは店内で知り合った同世代の女性二人(Vさん、Yさん)と仲良くなり、その後四人でカラオケに行きました。Aさんら四人は、カラオケでもお酒を呑んだり歌ったりして楽しんでいましたが、そのうち女性二人が酒に酔って居眠りを始めました。ちょうどそのとき、AさんはVさんのバッグの口が空いており、バッグの中に一見して分厚そうな財布が入っているのを見つけました。Aさんはこれを見てBさんに「今のうちなら盗れるよ。」「お金もないことだし、盗って二人で山分けしね?」と言いました。すると、Bさんもこれに承諾したことから、AさんはVさんのバッグの中に手を入れ、財布をつかんでBさんとともにカラオケ店を出ました。Aさんは財布の中身を確認すると1万円札が6枚入っていたことから、3万円をBさんい渡し、財布は川に投げ捨てました。その後、AさんとBさんは福岡県小倉北警察署に昏睡強盗罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~ 昏睡強盗罪 ~

昏睡強盗罪は刑法239条に規定されています。

刑法239条
 人を昏睡させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。

「強盗として論ずる」とは、法定刑を強盗罪(刑法236条)と同じ「5年以上の有期懲役」とする、という意味です。
強盗罪と言えば、人にナイフなどを示したり、暴行を加えることでお金などを強取することイメージしがちです。しかし、人を昏睡させ、その犯行を抑圧してお金などの財物を奪取する行為は、強盗罪に匹敵するほどの可罰性を有することから、強盗罪と同じ刑の重さの罪としたのです。

「昏睡させ」るとは、睡眠薬や麻酔薬などの薬物を使用し、アルコール飲料を飲ませ、あるいは催眠術を施すなどして、人の意識作用に一時的又は継続的な障害を引き起こさせることをいいます。暴行を用いて人を昏睡させて財物を奪うのは昏睡強盗罪ではなく強盗罪に当たります。

昏睡させる行為は、盗取の犯人自らか、その共犯者が行うことが必要です。したがって、まったく関係のない他人が被害者を昏睡させたのに乗じたり、被害者自らが昏睡又は熟睡している隙にその財物を奪取する行為は、昏睡強盗罪ではなく、窃盗罪(刑法235条)に当たります。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

~ 「人を昏睡させてその財物を盗取したこと」が必要 ~

つまり、昏睡強盗罪の「昏睡」は、あくまで「財物の盗取(奪取)」に向けられたものでなければなりません。
したがって、例えば、行為者が他の目的で昏睡させた後、財物奪取の意思を生じ、昏睡に乗じて財物を奪取した場合も、行為者自身が財物を奪取するために昏睡させたものではない以上、昏睡強盗罪ではなく窃盗罪が成立します。

~ Aさんの場合はどうか? ~

以上からすると、

AさんやBさんが財物を盗取する目的でVさんやYさんらにお酒を飲ませたのか?

が本件の争点となりそうです。
財物を盗取する目的の有無に関しては、AさんやBさんの内心にかかわる事柄ですから、

・Aさん、Bさんの供述
・Aさん、BさんがVさんらと知り合った経緯
・お酒の内容、量
・居酒屋、カラオケ店での代金の負担額
・メールの内容

などから推測されていくことでしょう。
など、逮捕段階では、警察は主にVさんやYさんの供述に基づいて昏睡強盗罪で逮捕している可能性もあります。しかし、被害者の供述のみでは財物を盗取する目的することあできません。したがって、財物を盗取する目的がなければその旨供述する必要があります。決して取調官の圧迫に屈してはいけません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

特殊詐欺と保釈

2019-10-27

特殊詐欺と保釈

特殊詐欺と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市小倉北区に住む大学生のAさん(22歳)は,SNSを通じて知り合った相手から,「キャッシュカードを受け取るだけの簡単なアルバイトの仕事があるけどやってみないか」となどと誘われました。Aさんは、内心「まったく見ず知らずの他人からキャッシュカードを受け取るなんて怪しい仕事に決まっている」と思いましたが、1回の受け取りにつき5000円をもらえるというので引受けました。当日、Aさんは、受け取り場所に指定されたアパートの郵便受けに入れてあった鍵を使って部屋に入りました。そして、Aさんは配達を待っていると玄関が鳴ったのでドアを開け荷物(中身は紙くず)を受け取ると、相手から「警察だ。」「詐欺未遂罪で逮捕する。」と言われ逮捕されてしまいました。相手は福岡県小倉北警察署の警察官でした。その後、Aさんは20日間の勾留期間を経た後、詐欺未遂罪で起訴されてしまいました。Aさんの両親は、何とか釈放してあげたいと思い、弁護士に保釈請求の手続きを依頼しました。
(フィクションです。)

~ 特殊詐欺 ~

特殊詐欺とは、不特定の方に対して、対面することなく、電話、はがき、FAX、メール等を使って行う詐欺のことで、2011年4月の警察庁の発表から正式に呼称されています。特殊詐欺は「振り込め詐欺」と「振り込め類似詐欺」に分けられます。

「振り込め詐欺」は、

・オレオレ詐欺
・還付金詐欺
・架空請求詐欺
・融資保証金詐欺

に分類されます。「振り込め類似詐欺」は

・金融商品等取引名目の詐欺
・ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺
・異性との交際あっせん名目の詐欺
・その他の特殊詐欺

に分類されます。
特殊詐欺は、刑法上の詐欺罪(刑法246条)に当たる立派な犯罪です。

刑法246条1項
 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

~ 逮捕から起訴までの流れ ~

警察に逮捕されると、通常は、警察署内に設けられている留置施設(留置場とも呼ばれています)に収容されます。その後、様々な手続きを経て「勾留」されることになるでしょう。
なお、罪によっては逮捕から勾留までに釈放されることはあります。しかし、特殊詐欺の場合、組織性や悪質性が高いことなどから釈放される可能性は低いでしょう。
勾留されると、まず10日間身柄を拘束され、その後の「やむを得ない事由」がある場合はさらに10日間を限度に勾留期間を延長されます。この勾留期間中にも、特殊詐欺に関与した嫌疑がない、あるいは嫌疑を十分に立証し得るための証拠がないという場合や、弁護人からの不服申し立てが認められることによって釈放されることはありますが、他の罪と比べてその可能性は低いでしょう。
そして、勾留期間を経て、検察官により起訴か不起訴か判断されます。起訴された場合は刑事裁判を受けなければなりません。また、引き続き身柄拘束(勾留)が続きます。

~ 起訴後の釈放(保釈) ~

保釈とは、被告人(裁判にかけられた人)に対する勾留の執行(効力)を停止して、その身柄拘束を解くことをいいます。
起訴後は、起訴前と比べ捜査がある程度終了していますから保釈(釈放)される可能性は上がります。

もっとも、保釈請求したからといって必ず保釈されるわけではなく、保釈のための要件(権利保釈、裁量保釈など)を満たす必要がありますし、多額の保釈保証金を準備する必要があります。また、余罪がある場合は注意が必要です。すなわち、保釈されたとしてもその瞬間、別の事件で逮捕される、という事態も考えられるからです。

保釈をご検討中の方は、一度、弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、特殊詐欺をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。

料金倒しで恐喝罪

2019-10-24

料金倒しで恐喝罪

料金踏み倒しと恐喝罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市博多区に住むAさんは、同区内にあるバーで飲んでいました。Aさんはバーで飲み終わり、店員Vさんに「つけでよろしく。」と言ったところ、Vさんから「お客様、当店ではつけは承っておりません。」「現金でお支払いいただいております。」と言われました。Aさんは、これにかっとなってVさんをにらみつけ、「つけにしろといったらつけにしろ、この野郎!」と語気鋭くしてVさんに迫りました。そして、AさんはVさんが怯んだすきにバーから出ていき、飲食代金9000円を免れました。数日後、Aさんは自宅にいたところ、福岡県博多警察署の訪問を受け、恐喝罪で逮捕されてしまいました。Aさんは警察官に「後で払おうと思っていた。」などと話しています。Aさんの知人が、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 恐喝罪 ~

恐喝罪は刑法249条に規定されています

刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

「恐喝」とは、財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが、恐喝罪の場合、一般的に「脅迫」が行われることが多いと思われます。「暴行」、「脅迫」の程度は、

相手方の反抗を抑圧するに至らない程度

であること、つまり、相手方に畏怖あるいは困惑の念を抱かせる程度(人の意思決定、意思実行の自由を制限、妨害するに足りる程度)であることが必要とされています。
他方で、相手方の反抗を抑圧する程度、である場合は「強盗罪」の「暴行」、「脅迫」と評価される可能性があります。

そして、飲食店に対する飲食代金の支払いを免れた場合は、2項恐喝罪が適用されます。

~ 2項恐喝罪 ~

「前項の方法により」とは、恐喝手段により、という意味です。
「不法の利益」とは、利益取得の手段が不法であることを意味し、利益そのものが不法であることを意味しません。
不法利得の態様としては、

・飲食代金
・宿泊代金
・運賃

などの支払債務を免除する旨の意思表示をさせるほか、代金の請求を一時猶予させる、代金の請求を事実上断念させる、役務(サービス)を提供させる、などがこれに当たります。

~ 被害者の財産的処分行為が必要 ~

恐喝罪が成立するには、被害者の「財産的処分行為」が必要とされています。
「財産的処分行為」は、被害者が加害者に財産(お金など)を渡す、などの被害者の行為をいいます。

もちろん、2項恐喝罪でも被害者の財産的処分行為は必要ですが、判例は、恐喝犯人が飲食店主を脅迫して畏怖させて飲食代金の請求を一時断念させ支払いを免れた事案

に関し、

財産的処分行為は必ずしも積極的意思表示によってなされる必要はない

と判示し、

本件においては、被害者側の黙示的な少なくとも支払猶予の処分行為が存在する

として恐喝罪の適用を認めています。

~ 2項恐喝罪の既遂時期 ~

2項恐喝罪の既遂時期(犯罪の完成時期)は、

被害者の財産的処分行為があった時点

です。すなわち、本件においては、VさんがAさんから脅迫行為を受けた段階で黙示の財産的処分行為があった、と認められる可能性があり、その時点で2項恐喝罪が既遂となってしまう可能性があるのです。
ですから、Aさんのように、「後で飲食代金を支払うつもりがあった。」などと言っても、その時点で犯罪は完成しているのですから、

意味がない

という結論となります。

お店側からつけを拒否されたら、その場で支払う必要です。注意しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

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