Archive for the ‘財産事件’ Category

起訴前釈放と起訴後釈放

2019-09-07

起訴前釈放と起訴後釈放

福岡県久留米市に住むAさん(34歳)は、車上荒らしの件(窃盗罪)で福岡県久留米警察署に逮捕されました。
Aさんの弁護人に選任された弁護士Xは、Aさんが起訴される前の釈放を目指して活動していましたが釈放は認められず、Aさんは窃盗罪で起訴されてしまいました。そこで、弁護士Xは、起訴後に保釈請求をしてAさんの釈放を目指したいと考えています。
(フィクションです。)

~ 起訴前釈放 ~

起訴前釈放とは、起訴される前の身柄拘束中に釈放されることをいいます。
つまり、身柄拘束は「逮捕」にはじまり、その後、最大20日間の「勾留」が続くことがありますが、この「逮捕」あるいは「勾留」中に釈放されることを起訴前釈放というのです。

逮捕から勾留の決定が出るまでは、法律上の不服申し立て制度はありませんから、捜査機関や裁判官に対し事実上の働きかけを行って釈放を目指していきます。
勾留決定後は、準抗告などの法律上の不服申し立て制度が用意されており、それらを活用して釈放を目指していきます。

なお、釈放されたからといって、捜査が終了したこと、刑事処分が「不起訴」となることが確約されたわけではありません。
釈放されたのちも、捜査機関から呼び出しを受けたり、場合によっては起訴されることもあることは頭に入れておくべきでしょう。

~ 起訴後釈放 ~

起訴後釈放とは、つまり、「保釈」のことを意味しています。
ここで、保釈とは被告人に対する勾留の執行(効力)を停止して、その身柄拘束を解くことをいいます。
勾留の効力が一時的に停止されたにすぎない、という点に注意が必要です。

起訴後の身柄拘束期間は起訴前に比べ長期間となることが想定されていることから、起訴後に限って「保釈(請求)」という制度が認められています。

ただし、保釈請求をすれば必ず釈放される、というわけではなく、

①弁護士等が保釈請求をすること
②裁判所が請求を許可すること
③指定された保釈保証金を裁判所に納付すること

ではじめて釈放が認められます。

では、②裁判所はどんなときに保釈を許可するのでしょうか?
この点、刑事訴訟法は大きく「権利保釈」、「裁量保釈」について規定しています。
「権利保釈」とは、刑事訴訟法89条各号に掲げる事由に該当しない限りは保釈を許可するというものです。
「裁量保釈」とは、たとえ、刑事訴訟法89条各号に掲げる事由に該当したとしても、裁判所が、「被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度のその他の事情」を考慮し、保釈を許可するというものです。

【参考】刑事訴訟法 89条

1号 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
2号 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪判決の宣告を受けたことがあるとき
3号 被告人が常習として懲役3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したおのであるとき
4号 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
5号 被告人が、被害者その他の事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
6号 被告人の氏名又は住居が分からないとき

たとえば、Aさんが常習的に車上荒らしをしていたことが認められるとします。
車上荒らしは窃盗罪に当たる行為であり、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。ですから、このことは89条3号に当たるおそれがあります。したがって、Aさんは「権利保釈」では保釈請求を許可されません。ところが、その次の段階の「裁量保釈」で保釈が許可される可能性は残されているということです。

釈放を目指すならば、刑事事件専門の弁護士に弁護活動をご依頼ください。

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恐喝罪と脅迫罪との違い

2019-09-06

恐喝罪と脅迫罪との違い

福岡県豊前市に住むAさんは、元交際相手だった知人Vに「お前、旦那に前科があること隠し取るやろ?」「ばらされたくなければ口止め料として100万円払いな」などというメールを送り、Vさんから自己の口座に100万円の振り込みを受けました。そうしたところ、Aさんは福岡県豊前警察署恐喝罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~ 恐喝罪 ~

恐喝罪は刑法249条に規定されています。

刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。

恐喝」とは,財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが,恐喝罪の場合,一般的に脅迫行為(害悪の告知)が行われることが多いと思われます。
害悪の告知の「程度」は、

相手方の反抗を抑圧するに至らない程度

のもの、すなわち、

相手方に畏怖あるいは困惑、不安の念を生ぜしめるに足る程度

のものが必要とされています。
害悪の告知の「内容」は、相手方またはそれと密接な連帯感情にある者の

生命、身体、自由、財産に対する危害(生命に対する危害:「殺すぞ。」など、身体に対する危害:「殴るぞ。」など、自由に対する危害:「行動を見張っているぞ。」など、財産に対する危害:「車を焼くぞ。」など)

であることが通常ですが、これに限らず、

・相手方の名誉(「過去の不倫をネットに載せるぞ。」など)
・家庭の平和(本件)

などに対する危害も含まれるとされています。

害悪の告知の「方法」は、

言語、挙動、動作を問われませんし、明示、黙示をも問わず、自己の性行、経歴、地位、勢威を利用して財物の交付を要求し、これに応じなければ不当な不利益が加えられる危険があるとの危惧の念を生じさせる害悪の暗示でもよいとされています。

~ 脅迫罪との違い ~

脅迫罪は刑法222条に規定されています。

刑法222条
1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

恐喝罪脅迫罪の一番大きな違いは、相手に

財産的被害を生じさせたか否か

という点です。生じさせた場合が「恐喝罪」、生じさせなかった場合は「脅迫罪」です(ただし、恐喝の意図で生じさせなかった場合は「恐喝未遂罪」です)。
また、

・害悪の告知の「相手」が、恐喝罪の場合限られない、のに対し、脅迫罪の場合「被害者」及び「その親族」に限られる
・害悪の告知の「内容」が、恐喝罪の場合限られない、のに対し、脅迫罪の場合、生命、身体、自由、名誉又は財産に限られる

などといった違いがあります。

~ 恐喝罪で逮捕され、示談交渉をお望みであれば? ~

恐喝罪で逮捕され、相手方との示談交渉をお望みであれば、弁護士に示談交渉を依頼しましょう。
弁護士を間に入れない示談交渉は、感情の縺れなどから進展は望めません。

仮に示談交渉を進めることができれば、その進展具合によっては早期釈放される可能性が高くなりますし、示談を成立させることができれば相手方が被害届を取り下げてくれる可能性が高くなりますから、その場合は釈放されることとなるでしょう。また、この場合、刑事処分としては不起訴処分を獲得することができます。

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万引きで起訴状が届いた!

2019-09-04

万引きで起訴状が届いた!

福岡県小郡市に住む主婦のAさん(63歳)は、スーパーで食料品を万引きしたとして保安員に見つかり、その後、小郡警察署の警察官に引き渡されました。Aさんは、小郡警察署に駆け付けた夫が身柄引受人となることを誓約したことから逮捕されずに済みました。その後、Aさんの事件の捜査が進められ、Aさんも小郡警察署で取調べを受けるなどしました。そして、Aさんの事件は福岡地方検察庁久留米支部へ送られました。Aさんは検察庁でも検察官による取調べを受けました。Aさんは、検察官によって窃盗罪で起訴され、Aさんの元には、裁判所から「起訴状謄本」が届けました。
(フィクションです)

~ 起訴状とは ~

起訴状とは、検察官が刑事裁判を起こすため、公訴提起(起訴)と同時に裁判所に提出する書面のことをいいます。

検察官の刑事処分(終局処分)には大きく、

① 起訴
② 不起訴

の2種類があり、①起訴には

ア 正式起訴
イ 略式起訴

の2種類があります。
検察官は、起訴と同時に被告人の数に応じる起訴状謄本を差し出さなければならず、その起訴状謄本が裁判所から被告人の元へ送達されることになっています。
したがって、

起訴状謄本が送達された

ということは、

検察官の公訴提起、つまり起訴を受け、刑事裁判を受けなければならない(略式起訴の場合は公開での法廷での裁判を受ける必要はありません)

ということを意味しています。

~ 起訴状にはどんなことが書かれてあるの? ~

詳細は「起訴状、画像」などとキーワードを入れて検索していただき、現物をご覧になっていただくのが早いかと思います。

まず法令で記載しなければならないとされているものとして

・被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項
・公訴事実
・罪名

のほか、

・被告人の年齢、職業、住居及び本籍(ただし、被告人が法人であるときは、事務所並びに代表者又は管理人の氏名及び住居)
・被告人が逮捕又は勾留されているときは、その旨

です。この他、起訴状には

・起訴年月日、起訴した検察官の指名・検察官の所属検察庁名、起訴された裁判所名

が記載されています。

なお、この中では「公訴事実」が最も重要です。
「公訴事実」とは、起訴された罪に関して

あなたがいつ、どこで、どんな方法によって、何をしたか、被害者は誰で、どの程度の損害が発生したか

などのことについて記載されています。

~ なぜ起訴状は送達されるの? ~

では、なぜ起訴状は被告人へ送達されることになっているのでしょうか?
それは一言でいえば、

刑事裁判の準備のため

です。つまり、被告人に起訴状に書かれてある事実を知らしめることによって、

・その事実について認めるのか認めないのか
・認めるとして、認めないとしてどんな主張をし、どんな証拠を提出するのか

という準備のきっかけが与えられるわけです。

先ほど、起訴状の記載事項の中でも「公訴事実」が最も重要と申し上げたのもこのためで、法令で「公訴事実」はできる限り具体的でなければならないとされています。したがって、たとえば、「令和元年8月2日から同月30日の間に万引きした」というような抽象的な公訴事実では、被告人がどの事実について防御の準備をしてよいのか困るため、そのような起訴状は「法令に違反した」として公訴棄却判決の対象となります。

それくらい「公訴事実」は大切だということですね。

~ 刑事裁判と起訴状 ~

そして、刑事裁判(正式起訴された場合)では、検察官が起訴状を朗読し、朗読後、裁判官から

起訴状を読んだか
・公訴事実について認めるか、認めないか

を聴かれます。
ですから、起訴状を受け取った際は、そのまま放置することなくしっかり読んで、ご自身の主張を固めておく必要があります。

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刑事事件の罪数問題

2019-08-29

刑事事件の罪数問題

福岡県直方市に住むAさん(30歳)は,強盗目的でBさん(78歳)の自宅に立ち入り,自宅にいたBさんの顔面を力いっぱい殴りつけ,Bさんが怯んだ隙にBさんの財布を奪いました。また、Aさんが逃走しようとしたところ,Bさんの妻であるCさん(75歳)が携帯電話で警察に通報しようとしていたため,Aさんはこれを止めようとCさんを力いっぱい殴りつけ、携帯電話を破壊してその場からと逃走しました。病院での診察の結果、Bさんは加療約1か月の、Cさんは加療約3週間の怪我を負ったことが判明しました。そして、後日、Aさんは、福岡県直方警察署により住居侵入・強盗致傷罪、器物損器罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ Aさんに対する罪 ~

Aさんは、強盗目的でBさん宅へ立ち入っていますから住居侵入罪(刑法130条前段)が成立することは明らかです。

刑法130条前段
 正当な理由がにないのに、人の住居(略)に侵入し、(略)た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

次に、強盗致傷罪(刑法240条前段)です。

刑法240条前段
 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、(略)。

強盗致傷罪は、Aさんのように相手を力いっぱい殴るという行為のように相手方の犯行を抑圧するに足りる「暴行」を加えて財布などの「財物」を奪い、結果として相手に怪我をさせた場合に成立する罪です。このことから、まずBさんに対する強盗致傷罪が成立することは明らかです。
また、強盗致傷罪の「人(被害者)」は、財物を奪われた直接の被害者に限られるものではありません。Cさんのように、警察に通報しようとしている人、強盗犯人を追いかけてきている人なども当然含まれます。AさんはBさんから財物を強取した時点で「強盗」なのですから、Cさんのような人を怪我させた場合でもやはり強盗致傷罪は成立するのです。

~ 刑事事件における罪数問題   ~

ところで、刑事事件において科刑(被告人に刑を科す)上で罪数問題は避けては通れない問題です。
罪数問題とは、簡単にいえば、事件が一罪として処理されるのか、複数の罪(併合罪)として処理されるのか、という問題です。そして、一罪として処理される場合は、併合罪で処理される場合よりかは刑の重さが軽くなる、ということは何となく想像が付くのではないでしょうか?

では、本件は一罪として処理されるのでしょうか?併合罪として処理されるのでしょうか?
まず、Bさんに対する住居侵入・強盗致傷罪は「手段」と「結果」の関係にあることから科刑上は「一罪」として扱われます。これを牽連犯といいます。Cさんに対する罪についても同様の考え方でやはり牽連犯となります。牽連犯の場合、「最も重い刑」、つまり本件では強盗致傷罪の法定刑の範囲内で処断されます。

刑法54条後段
 (略)犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

~ かすがい現象 ~

次に、「Bさんに対する住居侵入・強盗致傷罪」と「Cさんに対する住居侵入・強盗致傷罪」との罪数関係はどうなるのでしょうか?
この点、「Bさんに対する住居侵入・強盗致傷罪」と「Cさんに対する住居侵入・強盗致傷罪」の2つの罪が成立し「併合罪」となる、とする考え方もあります。
ところが、裁判所(最判昭29年5月27日)は、このような住居侵入罪によって2つの強盗致傷罪が結ばれている

Bさんに対する強盗致傷罪-住居侵入罪-Cさんに対する強盗致傷罪

のような、いわゆる「かすがい現象」においては

科刑上一罪

となることを認めています。
強盗致傷罪の最高刑は「無期懲役」であり、併合罪による刑の長期の引き上げは行われないため、併合罪の場合と科刑上一罪の場合とで法定刑に違いはありません。
ただ、今回は、罪数問題を知っていただくべくご紹介したしだいです。

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誤認逮捕について~防犯ビデオ映像の落とし穴~

2019-08-25

誤認逮捕について~防犯ビデオ映像の落とし穴~

福岡県新宮町に住むAさんは、同町内の大型スーパーで商品8点を万引きしたとして福岡県粕屋警察署に窃盗罪で通常逮捕されてしまいました。Aさんは、取調べを担当した警察官に、「確かに、そのスーパーは私も利用しますが、逮捕事実に記載されている日にはそのスーパーにはいっていません。」「その日は、自宅でごろごろしていました。」「万引きなどしていません。」などと言いました。すると、Aさんは警察官から、「スーパーの防犯カメラにあんたの顔が映っているの。」「これは動かぬ証拠だよ。」「正直にいいなさない。」と言われてしまいました。その後、Aさんに対しては、犯行を否認しているなどという理由で勾留決定が出されてしまいました。ところが、その後、勾留期間3日間が経過した後、粕屋警察署の裏付け捜査によって、万引きをしたのはAさんとよく似たBさんで、犯人はAさんでないことが判明しAさんは釈放されました。
(フィクションです)

~ 誤認逮捕とその特徴 ~

誤認逮捕に関する法律上の定義があるわけではありませんが、誤認逮捕とは、簡単にいえば

白であることが明らかである人を、犯罪の関わった疑いがあるとして逮捕すること

ではないでしょうか?これに対し、「黒か白か分からない人(程度の差こそありますが、いわゆるグレーな人)を逮捕すること」は誤認逮捕とは言わないでしょう。なぜなら、逮捕は犯罪に関わった「疑い」がある人を対象としているからです。だからこそ、誤認逮捕かどうかは逮捕した直後に判明することは稀で、事例のように数日経ってから、あるいは最悪の場合、数年、何十年も経た裁判の結果が出てから(冤罪事件)「あれは誤認逮捕だった」と判明することが大多数です。

~ 繰り返される誤認逮捕 ~

このブログを書こうと思ったのは、先日、「愛媛県で女性が誤認逮捕された(逮捕は今年7月8日)」とのニュースを見たことがきっかけでした。
女性が疑われた事実は、「今年の1月9日、松山市清水町の路上で、タクシーから降りる際に、売上金などが入ったセカンドバックを盗んだ」というものでした。女性は逮捕されその後勾留請求されていますが、請求が却下されたことから釈放されていますが、逮捕後約2日間は社会と隔離された生活を強いられたことは事実ですし、仮に、勾留請求が許可されていたならばもっとさらに拘束期間は伸びていましたし、最悪、裁判で有罪の烙印を押されていたかもしれません。昨年10月には、男性が、東京都中野区内のコインランドリーで女性の衣服を盗んだとして逮捕、勾留され、約3日間、身柄を拘束されています。

~ なぜ、誤認逮捕は繰り返されるのか? ~

一つ目に、ビデオカメラの性能が上がったことによる、捜査官の先入観です。
愛媛の事件ではドライブレコーダーが、東京の事件では防犯ビデオカメラが逮捕の証拠となっていることは明らかです。確かに、防犯ビデオ映像はそこに記録されている状況を客観的に映し出す鏡であり「動かぬ証拠」とも言われています。しかし、その映像を見て、確認するのは捜査員である「人」であり、そこにはどうしても先入観が入り込んでしまうおそれがあるのです。愛媛の事件でも東京の事件でも、捜査員の「この映像に映っている人が犯人だ」という先入観が誤認逮捕の一因となっているのではないでしょうか?(またそのような先入観が、取調べ官の、逮捕された方の話に耳を傾けないという態度に現れてしまいます。)

二つ目に、犯行を裏付ける証拠が不十分であることです。
愛媛の事件では、犯人が犯行時に着ていたとされる服や被害品は、誤認逮捕された女性の近辺からは出てこなかったそうです。また、ドライブレコーダーに映っていた他の同乗者も特定できず、どの同乗者から話を聴くことすらできていなかったようです(誤認逮捕なのですから、同乗者が特定できないのも自然なことで、この時点で警察は「おかしいな」とは思わなかったのでしょうか?)。このように、犯行を裏付ける証拠が不十分なまま逮捕に踏み切ったことが誤認逮捕の原因となっています。警察は「ドライブレコーダーに女性らしき人が映っているから」と安心してしまったのでしょうか?

~ あなたも誤認逮捕の対象に? ~

最近は、以前に比べ、市民の防犯意識が高まり、街中のいたるところで防犯カメラが設置されてあるのをみかけます。しかし、防犯ビデオ映像には、上でご紹介した危険も孕んでおり、よって、あなたもいつ、どこで誤認逮捕の対象とされてしまうか分かりません。もし、逮捕されてしまい困ったという場合(誤認逮捕以外の場合も含め)は、はやめに弊所の弁護士まで弁護活動をご依頼ください。

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自販機のお釣りを盗んで窃盗罪

2019-08-13

自販機のお釣りを盗んで窃盗罪

福岡県遠賀町に住むAさんは、自動販売機で缶コーヒーを買った後、「お釣りが残っていないかな」などと思って左隣の自動販売機の釣り受けを見たところ、100円硬貨数枚が入っているのに気が付きました。そこで、Aさんは、「タバコ代の足しにしよう」「誰も見ていないから盗んでも構わない」などと思って、その釣り受けに右手を入れ、中から硬貨を取り出しました。そして、Aさんは、そのまま持ち去ろうとしたところ、お釣りの取り忘れに気づいて戻ってきたVさんに行動の一部始終を目撃されており、Vさんから「釣りを返せ。」などと言われました。しかし、Aさんは怖くなってその場から逃走し、右手に持っていた硬貨を川に投げ捨てました。その後、AさんはVさんから被害届の提出のあった福岡県折尾警察署から窃盗罪で呼び出しを受けてしまいました。警察によると、Vさんは1000円札を投入して130円の缶コーヒーを購入し、釣り受けに硬貨は残されていなかったとのことだったので、被害金額を870円と特定したとのことでした。
(フィクションです。)

~ はじめに ~

子どもの頃、学校の帰りなどに「お金はないか」と自動販売機の釣り受けに手を入れ、何度か釣銭を手に入れた記憶があります。ですが、子どもだから見逃されていたからもしれませんが、その行為は窃盗罪に当たり得る行為ですから十分注意する必要があります。

~ 窃盗罪 ~

窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
 
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

ここで「他人の財物」とは、他人の占有する他人の物のことをいいます。「占有」とは。簡単にいうとその物(本件でいえば釣銭硬貨)に対する支配のことをいいます。この「占有」というためには、現実にその物を把持・監視している必要はなく、社会通念上支配力が認められるという場合ではあれば「占有」が認められます。
「窃取」とは、暴行・脅迫によることなく、占有者(本件の場合Vさん)の意思に反してその占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことをいいます。なお、自己の占有に移した時点で窃盗の「既遂」となります。本件では、Aさんが右手で硬貨を把持した時点で目的物を自己の占有に移したとみなされ既遂に達します。Aさんは、硬貨を川に投棄していますが、硬貨が現実に使用されたかどうかは窃盗罪の既遂、未遂には関係ありません。

~ 「占有」は誰の元に? ~

先ほど「占有」の話をしましたが、本件では、誰に「占有」が認められるのでしょか?
この点、本件では、釣り受けの硬貨は、Vさんが1000円札で130円の缶コーヒーを購入したお釣りであり、いったんは釣銭を取るのを忘れてその場を立ち去ったものの、その後、取り忘れたことに気づいて取りに帰っていることからすると、硬貨に対するVさんの「占有」はいまだ失われていないものと解されます。そこで、本件の「占有」はVさんにあるものと考えます。

では、Vさんが釣銭の存在に気づかず、その後も取りに戻らなかった場合はどうでしょうか?
その場合は、その自動販売機を管理する会社、所有者に硬貨の「占有」が移転するものと考えられます。そこで、この場合に硬貨を勝手に持ち帰った場合でもやはり窃盗罪が成立しますから注意が必要です。

~ 占有離脱物横領罪は? ~

なお、後者の場合(Vさんが釣銭の存在に気づかず、その後も取りに戻らなかった場合)、占有離脱物横領罪(1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料)が成立するとお考えになる方もおられるかもしれません。しかし、同罪は、あくまで、「占有」が離れた他人の物、を領得した行為を処罰する犯罪です。先ほどもご説明したとおり、後者の場合でもやはり「占有」は失われていませんから窃盗罪が成立します。

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飲み代踏み倒しで強盗致傷

2019-08-11

飲み代踏み倒しで強盗致傷

福岡県新宮町に住むAさんは、ある日、福岡市中央区内のガールズバーへと飲みに行きました。その後、Aさんは飲み終わって代金を支払おうとしたところ、提示された金額があまりにも高額であったことから、これを不服として店員と口論となりました。口論はますますヒートアップし、Aさんは、店員Vささんの左頬を右拳で1回殴った上、右脇腹付近を左足で数回蹴る暴行を加え、料金を支払わず、そのまま店外へ出て行きました。その後、Aさんは、通報により店付近を警戒していた福岡市中央警察署の警察官に強盗罪で緊急逮捕されてしまいました。また、捜査の結果、Vさんが加療1週間の怪我をしたことが判明したことから、Aさんに対する容疑は強盗罪から強盗致傷罪へ切り替わりました。
(フィクションです。)

~ 2項強盗罪 ~

強盗罪といえば、コンビニ強盗などに代表されるように、ナイフなどで相手方を脅すなどして(暴行、脅迫を用いて)、現金(財物)などを奪う行為が想像されるかと思います。しかし、強盗の態様はそれだけに限られるわけではありません。暴行、脅迫を用いて、現金などの財物に限らず、何らかの利益(債権)を得た、あるいは債務を免れた、サービスの提供をさせたなどという場合はもちろん強盗罪が成立します。

強盗罪の規定されている刑法236条を確認しましょう。

刑法第236条 
1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する
2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする

上記で例として挙げたコンビニ強盗の例で適用されるのが1項、暴行・脅迫を用いて何らかの利益、あるいは債務を免れた、サービスを提供させたという場合が2項が適用されます。2項が適用される強盗罪であることから「2項強盗」とも呼ばれています。

2項強盗罪の「前項の方法により」とは、もちろん、「暴行・脅迫」を用いて、という意味です。この暴行・脅迫の程度は、相手方(Vさん)の反抗を抑圧するに足りる程度のものでなければならないとされています。相手方を殴る、蹴るなどすれば、通常、この程度はあるとされるでしょう。
「財産上不法の利益を得」とは、利益が不法であること、ではなく、利益を獲得するための手段が不法であることを意味します。また、「利益を得」とは、利益を得ることのみならず、債務を免れることも含まれます。Aさんとしては、お店側に代金支払債務を負っているにもかかわらず、暴行・脅迫を用いてこの債務を免れているわけですから、「財産上不法の利益を得」たということができるでしょう。

~ 2項強盗罪から強盗致傷罪に ~

本件のように、強盗時の暴行によって相手方が怪我をしたことが判明すると強盗致傷罪が適用されてしまう可能性があります。強盗致傷罪は刑法240条に規定されています。

刑法240条
 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

なお、強盗致傷罪は結果的加重犯と呼ばれ、相手方が怪我することにつき認識は不要とされています。したがって、「怪我させるつもりはなかった」などと言っても通用せず、強盗致傷罪で処罰されてしまう可能性がありますから注意が必要です。規定からもわかるとおり、強盗致傷罪は非常に重たい罪です。

~ 弁護活動 ~

事実を認める場合は、まずは相手方に謝罪した上で示談交渉を始めることが先決です。示談交渉によって、相手方から宥恕をいただき、不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得を目指します。ただし、示談交渉は弁護士に任せましょう。逮捕されている場合は物理的に不可能ですし、逮捕されていない場合でも、直接交渉しようとしても、相手方の処罰感情が厳しいことが通常ですからうまく交渉を運ぶことはできないでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

留置場とは?

2019-08-02

留置場とは?

福岡市東区に住むAさん(58歳)は、夫(62歳)、息子2人(長男、会社員、25歳・次男、東京都内に住む大学生B君、21歳)の4人家族です。Aさんは、夕食を作りながら夫の帰りを待っていると、突然、東京都新宿警察署の警察官から電話を受けました。Aさんは電話に出ると、「もしもし、B君のお母さんですか?」「私は警視庁新宿警察署捜査二課の●●と申します。」「先ほど、あなたの息子さんを特殊詐欺で逮捕しました。」「息子さんは新宿警察署にいますから、どうぞご心配なさらないで。」と言われ、一方的に電話を切られました。Aさんは、突然のことでパニックになってしまい、警察官からどんなことを言われたのかはっきりと覚えていません。また、警察に折り返し電話をする勇気もなかったことから、まずは刑事事件専門の法律事務所を探し、新宿警察署の近くに事務所がある法律事務所の弁護士に接見に行ってもらうことにしました。
(フィクションです。)

~ はじめに ~

ご家族様が逮捕されたという場合、必ずしも留置(拘束)されている留置場がご自宅近くの留置場であるとは限りません。
留置される留置場となる基準は、

・犯行場所がどこであるのか
・被害者がどこにお住まいなのか
・捜査担当警察署はどこなのか

などで異なります。
例えば、今回、B君は特殊詐欺で逮捕されたということですから、B君は新宿警察署の管轄内(新宿区の内、新宿3丁目15番、17番の各一部、18~29番、31番の一部、33~38番、新宿5丁目12~14番の各一部、18番の一部、新宿6丁目、新宿7丁目、歌舞伎町(1丁目1番の一部を除く)、西新宿、北新宿、余丁町8番の一部、大久保、百人町1~3丁目)で特殊詐欺の犯行に関わった可能性が高いと思われます。

今回、Aさん家族とB君は別居していたようですが、仮に福岡市内のご自宅で同居していたとしても、新宿警察の管轄内で特殊詐欺をしたと疑われれば、そのときはやはり新宿警察署の警察官(あるいは警視庁の警察官)がご自宅にいるB君を逮捕して新宿警察署まで移送し、新宿警察署の留置場留置することになるかと思います。

~ 留置場に近い法律事務所の弁護士に接見依頼を ~

ご家族等がご自宅から遠方の留置場留置されたという場合、そのご家族はおろか弁護士であってもすぐに逮捕された方と接見することは物理的に不可能です。そこで、そういった場合は、逮捕された方が留置されている警察署の近くの法律事務所の弁護士に接見を依頼しましょう。

この点、全国主要都市に法律事務所を設けている弊所は、依頼者様から接見の依頼を受けた際、まずご家族がどの留置場留置されているのか確認し、その留置場に近い法律事務所に近い弁護士を速やかに接見に派遣いたします。したがって、ご自身でご確認いただくのは、ご家族様がどの警察署に逮捕されたのかということだけで構いません。ご家族様が留置されている留置場に近い法律事務所がどの法律事務所であるのかは、依頼を受けた事務員が対応し(探し)、ご家族がその警察署の留置場留置されているのかどうか確認いたします。

~ 留置場とは ~

ところで、留置場は、全国の各都道府県警察署内に設けられた、主に被疑者の逃走、罪証隠滅行為を防止するための施設です。
一定の場合(運動、診断、入浴等)を除き、8畳ほどの簡素な居室の中で生活することになります。規則正しい生活を強いられ、場合によっては共同で狭い居室の中で生活しなければなりません。また、食事は出ますが、警察署内に調理する場所はなく、専ら外注した弁当を配膳されます。当然、好きなもの、食べたいものが配膳されるわけではありませんし、冷めていて温めることもできません。入浴は、夏場は週に2回、冬場は週に1回とされていることが多いようです。
このよな生活であることから、留置された方にとっては相当な負担となることでしょう。

~ おわりに ~

特殊詐欺で逮捕された場合には、身柄拘束期間が長期化することも予想されます。そうした場合は、釈放を目指す弁護活動の他にも、面会の他、それが物理的に不可能であれば、手紙を送ったり、差し入れをすることもご本人の励みになるかと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,詐欺罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

口座開設で詐欺、キャッシュカード売却で犯収法違反

2019-07-26

口座開設で詐欺、キャッシュカード売却で犯収法違反

Aさんは、とある特殊詐欺グループの一員であるBさんから(AさんはBさんがそのグループに所属しているとは知らない)、「Aの名義で銀行口座をいくつか開設して、それを俺に売ってほしい。高値で買い取るから。」という申し入れを受けました。Aさんはいけないことだとは分かっていながらも、お金に困っていたためこれを承諾しました。AさんはV銀行へ行き、行員に「光熱費などの引き落としのため。」などと自分で使用するかのような嘘を言うなどして銀行口座開設を申込み、それをすっかり信用した行員から同口座に係るキャッシュカード1枚及び通帳1通の交付を受けました。その後、Aさんは郵便局へ行き、レターパックを購入してレターパックにキャッシュカード1枚、通帳1通及び暗証番号を記載したメモ用紙を入れ、Bさんに指定された住所宛に郵送し、Bさんから現金1万円の振込みを受けました。そうしたところ、後日、同口座は特殊詐欺グループの振込み用の専用口座だったことが判明し、凍結処置を受けました。そして、Aさんは、福岡県門司警察署の捜査により、詐欺罪、犯収法違反の疑いで逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 自分名義の口座を開設しても詐欺罪? ~

詐欺罪は刑法246条に規定されています。

刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人に得させた者も、同項と同様とする。

本件のような通帳詐欺で適用されるのは専ら「1項」です。

1項を分かりやすくすると、詐欺罪は、客観的には、①欺罔行為(騙す行為)→②錯誤(被害者が騙されること=被害者の認識が客観的事実と一致しない状態)→③処分行為による財物の移転(交付行為=被害者が現金等を郵送するなど)→④財産上の損害、の一連の流れがあり、主観的には、犯人の①~④までの「故意(認識)」

が必要ということになります。

上記のように、詐欺罪の成立には「騙す意図(故意)」と「騙す行為(欺罔行為)」が必要です。つまり、本件に関していえば、本来、他人に使用させるつもり、すなわち、自ら使用する意図がないにも関わらず、これがあるように装う(嘘を言うなど)行為が「欺罔行為」とされます。また、そのような意図(故意)があったか否かは、外部からではなかなか判断しずらいですが、例えば、

・短期間に複数の銀行口座開設している
・複数の預金通帳を所持している
口座開設後、短期間で他人に譲渡等している
・複数の通帳等を譲渡等している
・生活口座として利用した形跡がない

などの事実が認められれば「騙す意図(故意)」ありと推認されてしまうおそれがあります。すなわち、上記のような事実が認められれば、いくらあなたが「実は自分で使うつもりだった」
などと弁解しても通用しないおそれがありますから注意が必要です。

~ キャッシュカード等を売った場合 ~

キャッシュカード等を売却した場合は、犯罪による収益の移転防止に関する法律(略して「犯収法」とも呼ばれます(以下、犯収法といいます))に問われるおそれもあります。
犯収法の目的は、マネーロンダリングとテロ資金供与の防止を図ることにあります。

犯収法28条2項では、

キャッシュカード等を譲り受ける相手方に、Aさんが契約した預貯金契約のサービス(現金の払い戻し等)を受ける意思等があることを知りながら、キャッシュカード等を譲渡、交付、提供すること

あるいは、

正当な理由がなく、有償で、キャッシュカード等を譲渡、交付、提供すること

を禁じており、罰則は、

1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又は併科

とされています。

いうまでもありませんが、はじめは自分で使うつもりで開設した口座に係るキャッシュカード等を譲り渡すなどした場合でも犯収法違反とされるおそれがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの受け付けを行っております。

実刑判決を受けても保釈?

2019-07-22

実刑判決を受けても保釈?

福岡県柳川市に住むAさんは、保釈中であった平成30年12月1日に、福岡地方裁判所柳川支部において窃盗罪などで懲役3年6月の実刑判決を受けたことから、裁判所で収容されてしまいました。しかし、Aさんの国選弁護人は、量刑を不服として福岡地方裁判所柳川支部宛に控訴申立書を提出すると同時に、Aさんの保釈を請求しました。保釈請求は許可され、Aさんは家族などの協力を得て保釈保証金を納付して釈放されました。一方、控訴審の福岡高等裁判所は、Aさんの控訴申し立てに理由がないとして控訴を棄却し、判決は確定しました。そこで、検察庁職員が、刑執行のためAさんの身柄を収容しようと、Aさん宅に何度も呼び出し状を発送するもAさんが指定された日時に出頭しなかったことから、収容状をもってAさん宅まで収容にいきました。職員が自宅に上がりこむとAさんは台所から包丁を取り出し、職員に包丁を向けながら「来るな。」「俺に触るもんなら刺すぞ」などと言って、自宅の裏口から逃走しました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ はじめに ~

神奈川県愛川町で、保釈中の男性が実刑判決が確定していたものの、検察庁職員の収容手続に応じず逃走し、その5日後に、横須賀市のアパートで公務執行妨害罪の容疑で逮捕されました。報道によると、男性は、昨年9月、横浜地方裁判所小田原支部で、窃盗罪、傷害罪、覚せい剤取締法違反などの罪で懲役3年8月の実刑判決を受け、東京高等裁判所に控訴したものの、棄却され、今年2月にその判決が確定していたということです。

この事件に関するニュースをみて、

実刑判決を受けたのに保釈(請求)できるの?
・なぜ保釈が認められたの?
・どうして逃げることができたの?

などという疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか?

~ 実刑判決を受けたのに保釈(請求)できるの? ~

上訴(控訴、上告)する道が残されていれば、保釈請求することは可能です。

上訴する道が残されている、すなわち、言い渡された判決が確定するまでの間(審理前、審理期間中)は、未だ

刑事被告人

としての地位のままです。そして、勾留されている刑事被告人やその弁護人は裁判所に保釈請求をすることができるのです(刑事訴訟法88条1項)。

~ なぜ保釈が認められたの? ~

では、なぜ、保釈が許可されたのでしょうか?

保釈許可の要件は、大きく分けて、「権利保釈」と「裁量保釈」の2つがあります。
「権利保釈」とは、刑事訴訟法89条各号に掲げる事由に該当しない限りは保釈を許可するというものです。「裁量保釈」とは、たとえ、刑事訴訟法89条各号に掲げる事由に該当したとしても、裁判所が、「被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度のその他の事情」を考慮し、保釈を許可するというものです(刑事訴訟法90条)。つまり、たとえ、重大な犯罪を犯したり、実刑判決を受けたとしても、

「裁量保釈」によって保釈が許可される

ことは有り得ることです。

詳細は分かりませんが、今回の神奈川県のケースでも「裁量保釈」で保釈が許可された可能性はあります。
また、今年3月には、東京地裁が殺人罪で実刑判決を受けた刑事被告人に保釈を許可するというケースもありました(その後、東京高裁で検察官の抗告を認容=保釈許可されず)。
近年の裁判所は過去に比べて、刑事被告人の保釈を許可する傾向にあります。一方で、刑事被告人等が保釈中に逃走するケースも増えており、今回の事件をきっかけに、保釈に対する考え方、取扱方に変化があるかもしれません。

~ なぜ、逃走することができたのか? ~

第一審の場合、刑事被告人は法廷に出廷しなければなりません。したがって、判決期日で実刑判決が下れば保釈の効力は失われ(刑事訴訟法343条)、裁判所の法廷内で検察庁職員により収容されてしまいます。他方、控訴審の場合、刑事被告人が法廷に出廷する必要はありません(刑事訴訟法390条)。つまり、本来、保釈中に、控訴審で控訴棄却が言い渡されれば、理論的には

保釈の効力は失われ(勾留の効力が復活し)

て、その日から収容されることになります。しかし、控訴審では、法廷に刑事被告人が出廷していないことが多いことから、実務では、まず、検察庁職員が検察庁へ出頭するよう要請を行い、それでも応じない場合は、収容状を持参して強制的に収容するという手続を取っているようです(控訴審判決が確定している場合)。神奈川県のケースでは、この収容手続中に逃走された、というわけです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方、お困りの方などは、お気軽に弊所の弁護士にご相談ください。弊所では、24時間、専門のスタッフが無料法律相談初回接見のご予約を電話で受け付けております。

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