釈放(保釈)してほしい

1.「釈放」について

起訴・不起訴決定前の身体拘束からの解放の方法として「釈放」があります。

釈放してもらうためには、主に4つの方法があります。

① 検察官に送検される前の釈放
② 勾留阻止による釈放
③ 不起訴による釈放
④ 略式手続きによる釈放

「釈放」のメリットとして、「逮捕されたことが周りの人に知られずにすむことが多い」「会社や学校を辞めずにすむ可能性がある」「事件解決や裁判に向けた十分な準備ができる」などを挙げることができます。

このように釈放が認められれば、捜査は継続しますが、会社や学校に行くことができ、以前の生活に戻ることができます。

また、早期に会社や学校に復帰できれば周りの人に事件を知られるおそれも少なくなります。逮捕・勾留後に速やかに釈放されることは極めて重要です。

釈放された後は、警察や検察から必要な時に出頭要請があり取調べに応じることとなります。

家に戻り通常の生活に戻ることができるうえ、必要な時に弁護士と連絡をとることができますので、裁判に向けた十分な準備をすることが可能となります。

① 検察官に送致される前の釈放

警察官は、被疑者を逮捕してから48時間以内に、その身柄を検察官に送る手続をしなければなりません(送検)。

しかし、取調べの中で犯罪の嫌疑がないと判断されたり、事件が極めて軽微であったりした場合には、身柄を検察官に送ることなく釈放されます(微罪処分)。

このようなケースでは、特に弁護士が行動を起こさなくとも釈放されることとなります。

もっとも、釈放されたからといって当然に捜査が終了したとは言い切れません。

取調べの中で被疑者に不利な供述調書を取られてしまうことの無いように十分注意する必要があります。

② 勾留阻止による釈放

逮捕手続からの早期の身体解放がかなわないのであれば、次の策として、被疑者を勾留させないための活動が必要となります。

被疑者が検察庁に送致されると、検察官はさらに被疑者を取り調べ、勾留請求するかどうかを決定します。勾留期間は、最大で20日間です。

弁護士は、検察官に対し勾留の要件をみたさないとの意見書を提出する、又は、面談の上、意見を述べて勾留せずに在宅捜査に切り替えるように申入れを行います。

弁護士の働きかけが功を奏せば、被疑者の勾留請求を回避し、釈放を勝ち取ることができます。

一方で、検察官が裁判官に対し勾留請求した場合、弁護士は、裁判官に対して勾留請求を却下するよう申入れをします。

いくら検察官が勾留請求しても、勾留の要件である勾留理由や必要性が認められないと裁判官が判断すれば、勾留されることはありません。

そこで、弁護士は裁判官に対して勾留決定をしないよう説得を試みるのです。

弁護士の説得により裁判官が検察官の勾留請求を認めなければ、被疑者は釈放されます。

更に、裁判官が勾留を決めると、裁判官の勾留決定に対して「準抗告」という手続きを行うことができます。

準抗告とは勾留決定をした裁判官の判断が誤っていることを主張し、勾留の取消しを求める手続きであり、勾留決定をした裁判官以外の別の裁判官に申立てを行います。

このように、各段階で釈放に向けた活動ができますが、より早い段階で弁護士にご相談していただければ、釈放のためのチャンスが増えます。

刑事事件はスピードが重要です。少しでも迅速に対応をとることが有利な解決に結び付きます。

③ 不起訴による釈放

逮捕・勾留されたとしても、捜査の結果、犯罪の立証ができない場合は不起訴処分になります。

また、被害者のいる犯罪では、被害者との示談を成立させれば、不起訴処分になる可能性が高いです。

不起訴処分となれば、釈放になる上、前科もつきません。

④ 略式手続きによる釈放

正式な裁判とは異なり、罰金を支払うことにより手続きから早期に解放される制度です。前科はつきますが、早期に社会復帰することができます。

但し、法定刑に罰金刑が定められていること、軽微な事件であること、争いがない事件であること、という一定の要件をクリアする必要があります。

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2 起訴後の釈放(保釈)

(1)保釈とは?

保釈とは、被告人に一定額の保釈保証金を納付させることにより、被告人の逃亡を防いで、被告人を仮に釈放する制度です。

「起訴後」の身体拘束解放手段として最も重要なものです。

保釈のメリットとしては、釈放の個所で述べたメリットと同じく①逮捕されたことが周りの人に知られずにすむことが多い、②会社や学校を辞めずにすむ可能性がある、③事件解決や裁判に向けた十分な準備ができることが挙げられます。

(2)保釈の要件はあるの?

法は、起訴後、第一審の判決があるまでは、原則として保釈を認めることにしました。これを「権利保釈」といいます。

例外的に権利保釈が認められない場合の要件として①~⑥があげられます。

  1. 死刑、無期、短期1年以上の懲役刑や禁固刑に当たる罪を犯したものであるとき
  2. 以前に死刑、無期、長期10年を超える懲役刑や禁固刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき
  3. 常習として長期3年以上の懲役刑や禁固刑に当たる罪を犯したものであるとき
  4. 罪証隠滅のおそれがあるとき
  5. 被害者やその事件の関係者や親族の身体もしくは財産に害を加えまたはこれらの者を畏怖させる行為をするおそれがあるとき
  6. 被告人の氏名または住所がわからないとき

例えば、殺人事件(人を殺した者は、死刑又は向き若しくは5年以上の懲役に処する)の被告人の場合は、①のほか、④が問題になります。

また、暴力団の恐喝事件などは⑤が問題になります。

一方、上記の6つの権利保釈除外事由のいずれかに当たる場合でも、裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅する恐れの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができます(改正刑事訴訟法90条)。

これを「裁量保釈」又は「職権保釈」といいます。

(3)保釈保証金はいくらぐらい用意するの?

保釈を許可する場合には、保釈保証金額を定めます。数十万円の保釈保証金が定められることもありますが、事案によっては数億円という場合も見受けられます。

ただ、一般的には150万円~300万円程度です。

保釈を許す場合には、被告人の住居を制限し、その他適当と認める条件を付すことができます。

例えば、被害者や共犯者、目撃者など事件関係者と弁護人を介さずに直接面談したり電話したりすることを禁止するという条件が付されることがあります。

保釈許可決定が出て、保釈金が納付された場合には、被告人は釈放されます。

なお、保釈金は、被告人が証拠隠滅などをせずにきちんと裁判に出頭していれば、裁判終了後に返却されます。

保釈の流れについて説明しますと、下記のようになります。

保釈流れ

6.保釈請求がみとめられない場合、どのような手段があるの?

(1)再度の保釈請求

保釈請求の回数に制限はありません。

例えば、被害者との接触の虞を理由に保釈請求が却下されたが、ご家族の協力を得て引越しをした場合等、時期をみて再度保釈請求することも有益な手段です。

(2)準抗告・抗告・特別抗告

裁判官や裁判所の保釈却下決定に不満があるとして不服を申立てる方法です。

ハードルは非常に高いですが、弁護士に依頼することにより認容される可能性が高まります。

7.保釈が取り消されることはあるの?

下記の場合に保釈が取り消される可能性がありますので注意が必要です。

保釈が認められても日常生活には注意が必要です!

  1. 召喚を受け正当な理由なく出頭しないとき
  2. 逃亡し、または逃亡の疑いに相当な理由があるとき
  3. 罪証を隠滅し、または罪証隠滅の疑いに相当な理由があるとき
  4. 被害者その他事件の審判に必要な知識を有する者もしくはその親族の身体・財産に害を加えもしくは加えようとし、またはこれらの者を畏怖させる行為をしたとき
  5. 住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき

また、その際には、同時に保釈保証金の全部または一部が没取される可能性があります。

そして、保釈が取り消す決定があると、被告人は刑事施設に収容されます。

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