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【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設で女性のスカート内を盗撮したケース)

2024-04-11

【事例解説】性的姿態等撮影罪とその弁護活動(商業施設で女性のスカート内を盗撮したケース)

事例:商業施設で女性のスカート内を盗撮したケース

3月7日夜福岡市の商業施設で女性のスカートの中を盗撮していたとして44歳の無職のAさんが現行犯逮捕されました。
性的姿態撮影等処罰法」いわゆる盗撮処罰法違反の疑いで現行犯逮捕されたのは福岡市博多区の無職のAさんです。
警察によりますとAさんは7日午後8時20分ごろ福岡市天神の商業施設で韓国から観光で訪れていた29歳の女性Vさんが陳列棚を見ていたところ後ろから近づきスカートの中にデジタルカメラを差し入れて下着を撮影しました。
一緒にいたVさんの家族らが気づき近くの警備員に通報し発覚しました。
Aさんは調べに対し「やったことは間違いありません」と容疑を認めています。
警察は余罪の有無についても詳しく調べています。

KBC 福岡 03/08 08:36の記事を一部変更し引用しています。)

1,性的姿態等撮影罪について

〈性的姿態等撮影〉

次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
1 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治40年法律第45号)第177条第1項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態

2 刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
3 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
4 正当な理由がないのに、13歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為

性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の映像に係る電磁的記録の消去に関する法律2条。以下「性的姿態撮影等処罰法」といいます。)

いわゆる盗撮行為は、従前も各都道府県の迷惑防止条例に違反し処罰の対象となっていましたが、2023年7月13日に施行された性的姿態等撮影処罰法により性的姿態等撮影罪等を設けることで盗撮行為が厳罰化され、都道府県により刑罰の差異が無くなりました。
性的姿態等撮影罪は、正当な理由なく、人の性的な部位や身に着けている下着やわいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態などの性的姿態等を撮影される者の同意を得ることなく撮影した場合に成立します。
正当な理由」とは、例えば、医師が救急搬送された意識不明の患者の上半身裸の姿を医療行為上のルールに従って撮影する場合など、極めて限定的な場合にのみ認められるものと考えられています。(参考:法務省 性犯罪関係の法改正Q&A Q4 A4
また、13歳未満の者の性的姿態等を撮影する行為、又は13歳以上16歳未満の者を対象として、その撮影される者よりも5年以上年上の者が性的姿態等を撮影する行為も処罰対象となります。
13歳未満の者、あるいは13歳以上16歳未満の者は、大人と比べて心身の両側面において成長が不十分であり、それに乗じて性的な姿態を撮影する行為を処罰することが目的であると考えられます。

2,性的姿態等撮影罪とその弁護活動

性的姿態等撮影罪で逮捕・勾留された場合、起訴されるまでの間は最大で23日間しかありません。
その間に、被疑者として身柄を拘束され、警察と検察の取調べを受けることになりますが、罪を認めている場合でも、警察と検察にどのようなことを話せばいいのかなど、適切かつ丁寧なアドバイスを法律の専門家である弁護士から受けることが大切です。
なぜなら、身柄を拘束されている被疑者は1人で不安を抱えたまま取調べに臨むことになるため、話さなくてもいいことまで話してしまい刑が重くなる可能性もあり得るからです。
また、性的姿態等撮影罪は被害者がいる犯罪であるため、被害者との示談を成立させるための弁護活動を行います。
被害者に対し謝罪や被害弁償を行うことで被害者からの宥恕(被害者に対して謝罪し、それを受けて加害者の刑事処罰を求めないという意思)を得ることができれば、起訴猶予による不起訴処分や仮に起訴されてしまった場合でも執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高くなります。
不起訴処分となれば前科が付くのを回避でき、また執行猶予付き判決を獲得できれば実刑を回避できるため、これまで通りの日常生活に戻ることができます。
また、勾留による身柄拘束は、被疑者に証拠隠滅又は逃亡のおそれが認められるためになされるものですが(刑事訴訟法207条1項、60条1項各号)、示談が成立していれば、そのおそれはないと判断され、早期の身柄解放が期待できます。
以上より、刑事事件はスピードがなによりも大切です。
性的姿態等撮影罪で逮捕・勾留された場合には、刑事弁護において経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士の迅速なサポートを受けることが重要なります。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において性的姿態等撮影罪の当事者となってしまった方または家族・親族が当事者となってしまった方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、性的姿態等撮影罪の当事者となってしまった方に対しては初回無料でご利用いただける無料相談を、家族・親族が当事者となってしまった方に対しては初回接見サービス(有料)をそれぞれご提供しております。
ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

会社に隠しカメラで性的姿態等撮影罪、不特定多数との示談交渉

2024-03-27

会社に隠しカメラで性的姿態等撮影罪、不特定多数との示談交渉

性的姿態等撮影罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

福岡県直方市に住んでいる会社員Aさんは、自身が勤めている会社のトイレに隠しカメラを仕掛けていました。
Aさんはその隠しカメラで日常的に盗撮を繰り返していましたが、トイレの清掃員に隠しカメラを見つかってしまいました。
隠しカメラのことが見つかったことで、会社は警察に通報することにしました。
そして直方警察署の捜査によって仕掛けたのはAさんであることが分かり、性的姿態等撮影罪の疑いでAさんは逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

性的姿態等撮影罪

令和5年7月13日に施工された「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」に、性的姿態等撮影罪は定められています。
参考事件に適用されたのはこの法律の第2条第1項であり、この条文は「正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為」を禁じています。
性的姿態等」も同条に記載があり、人の性的な部位又は人が身に着けている下着のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分その他のわいせつな行為又は性交等がされている間における人の姿態となっています。
第2条第1項に違反した場合は、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」が刑罰として科されます。
参考事件のAさんは盗撮行為を目的に会社のトイレに隠しカメラを仕掛け、人の性的姿態等を撮影していることから、性的姿態等撮影罪が成立しました。

被害者の多い盗撮事件

Aさんは日常的に盗撮行為を繰り返していたことから、盗撮をしていた期間は長期にわたっていると考えられます。
また、会社のトイレは多数の人が利用する場所です。
そのため参考事件は、不特定の被害者が非常に多くなっていると予想できます。
盗撮事件において、示談の締結は減刑を目指す上で最も効果的です。
しかし参考事件のような盗撮事件の場合、不特定多数の被害者と連絡を取って示談交渉を進める必要があります。
示談交渉は個人でもできるとはいえ、個人の力で多数いる面識のない被害者を特定し、示談交渉を進めることは現実的ではありません。
また、警察に被害者の連絡先を聞いたとしても、基本的に教えてもらうことはできません。
このようなケースで示談の締結を目指すのであれば、弁護士によるサポートは欠かせません。
性的姿態等撮影罪での示談交渉をお考えであれば、盗撮事件に詳しい弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。

盗撮事件の経験が豊富な弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件及び少年事件に特化している法律事務所です。
当事務所は土、日、祝日も24時間対応しているフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料でご利用いただける法律相談逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスのご予約を受け付けております。
盗撮事件の当事者となってしまった方、性的姿態等撮影罪の容疑でご家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に、お気軽にご相談ください。

ショッピングモールで盗撮、性的姿態等撮影罪で逮捕

2024-02-10

ショッピングモールで盗撮、性的姿態等撮影罪で逮捕

性的姿態等撮影罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

福岡県福岡市に住んでいる会社員のAさんは、市内にあるショッピングモールに訪れていました。
Aさんはエスカレーター(上り)を使う際、スマートフォンの動画機能をオンにし、前にいる女性Vさんのスカートの下にカメラを入れました。
しかし、Vさんはスマホに気付いていたため、エスカレーターを上がり切った際にAさんの腕を掴んで店員を呼びました。
Aさんを引き渡された店員はその後警察に通報し、しばらくして現場に駆け付けた中央警察署の警察官にAさんは性的姿態等撮影罪の疑いで逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

性的姿態等撮影罪

性的姿態等撮影罪とは、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」に定められています。
この法律の第2条第1項では「正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為」が禁止されています。
次に掲げる姿態等」には、わいせつな行為や性交をしている人の姿態の他、人の性的な部位およびそれらを隠すために身に付けている衣服(下着)が挙げられています。
そのため参考事件でAさんは、人が通常衣服を着けているショッピングモールでVさんのスカートの中の下着を撮影しているため、性的姿態等撮影罪が適用されます。
また、参考事件の場面ではまだAさんの撮ったスマホの動画にVさんの性的姿態等が写っているかは確認されていませんが、同条第2項には「前項の罪の未遂は、罰する。」と定められています。
そのため仮にAさんの撮影した動画に性的姿態等が写っていなかったとしても、性的姿態等撮影未遂罪は成立することになります。
性的姿態等撮影罪の法定刑は上記の法律の第2条に「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」と定められています。
以前まで盗撮事件は都道府県ごとに定められた迷惑行為防止条例で処分が決められていましたが、性的姿態等撮影罪が新設されたことで盗撮事件の処罰は全国で同じになり、その内容もより厳しいものになっています。

逮捕後の流れについて

警察に逮捕されると、釈放されない限りは48時間以内に検察官に身柄が送致されます。
そして検察官へ送致されると、検察官は24時間以内に裁判官に勾留請求をするかを決定します。
勾留請求された裁判官が勾留を決定すれば、10日間身体拘束されることになり、勾留が延長されれば最大で20日間身体拘束が継続されます。
つまり、逮捕されると外部との連絡を制限された状態で取調べを連日受ける状態が、最大23日間続く可能性があります。
長期の身体拘束を避けるためには、身体拘束では会社や家庭への影響が大きいと主張したり、逮捕するほど証拠隠滅や逃亡の危険がないことなどを書面にして提出したりといった身柄解放活動が必要です。
逮捕後早期の釈放を目指すのであれば、弁護士に相談し、弁護活動を依頼することをお勧めします。

盗撮事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件と少年事件を中心に扱う弁護士事務所であり、初回無料の法律相談や、逮捕または勾留された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しております。
どちらもフリーダイヤル「0120-631-881」で、24時間ご予約を受け付けております。
盗撮事件を起こしてしまった方、ご家族が性的姿態等撮影罪で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に、是非、ご相談ください。

【事件解説】陸上大会で女子選手の下半身を撮影し逮捕(後編)

2023-10-20

 前回に引き続き、高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要

 福岡市内であった高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、同市内在住の男性Aが、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)の容疑で逮捕されました。
 福岡県中央警察署の調べによると、Aは、福岡市内であった高校生の陸上競技大会で、10代の女子選手の下半身をデジタルカメラでズーム撮影していたところ、それに気付いた選手の保護者が警察に通報しました。
 Aは、「服の上から撮影するだけでは罪にならないと思っていた」と、供述しているとのことです。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)

前回の前編では、性的姿態等撮影罪の成立について、解説しました。

福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)とは

 盗撮行為につき性的姿態等撮影罪が成立しない場合であっても、各都道府県が定める迷惑行為防止条例において規定されている「卑わいな言動」として、処罰の対象になる可能性があります。

 福岡県迷惑行為防止条例では、何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、「卑わいな言動」を行ってはならない、と規定されています(第6条第1項2号)。

 そのため、本件Aのように、「公共の場所」といえる陸上競技場で、女子選手の下半身をデジタルカメラでズーム撮影したという場合、その女子選手に恥ずかしい思いをさせたり、不安を覚えさせる「卑わいな言動」を行ったとして、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)が成立する可能性があります。

 なお、Aは、「服の上から撮影するだけでは罪にならないと思っていた」と供述していますが、刑法第38条第3項で、法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない、と規定されているため、罪の成立は妨げられないこととなります。

盗撮行為を罪に問われた場合の刑事弁護

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)の法定刑は、常習でない場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですが、性的姿態等撮影罪の法定刑は、未遂犯を含めて、3年以下の拘禁刑(施行までは懲役刑)又は300万円以下の罰金と、大きな開きがあります。

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)で逮捕された場合、初犯であり、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高かったのですが、厳罰化された性的姿態等撮影罪においては、同様に不起訴処分を獲得できるとは必ずしも限らない可能性があります。

 盗撮行為に関する処罰規定は大幅に改正されたばかりということもあるため、盗撮行為を罪に問われた場合、今後どのような手続で事件が進み、どの程度の刑罰が科される可能性があるのか、刑事事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、新法制定前の福岡県迷惑防止条例違反事件において、身体拘束からの解放示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。

 盗撮行為を行ったとして、ご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事件解説】陸上大会で女子選手の下半身を撮影し逮捕(前編)

2023-10-17

 高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)で逮捕された事件とその弁護活動について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要

 福岡市内であった高校生の陸上競技大会で女子選手の下半身を撮影したとして、同市内在住の男性Aが、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)の容疑で逮捕されました。
 福岡県中央警察署の調べによると、Aは、福岡市内であった高校生の陸上競技大会で、10代の女子選手の下半身をデジタルカメラでズーム撮影していたところ、それに気付いた選手の保護者が警察に通報しました。
 Aは、「服の上から撮影するだけでは罪にならないと思っていた」と、供述しているとのことです。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)

性的姿態等撮影罪の成立について

 令和5年7月13日に施行された「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(「性的姿態撮影等処罰法」)により、従来、各都道府県の迷惑行為防止条例違反として処罰されていた盗撮行為は基本的に、「性的姿態等撮影罪」(同法2条1項)として、全国一律での処罰の対象となりました。

 本件Aの盗撮行為につき、性的姿態等撮影罪が成立するでしょうか。

 同罪では、「性的姿態等」正当な理由がなくひそかに撮影する行為を、一定の例外を除き処罰すると定めています。
 この「性的姿態等」の対象として、(1)人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部)、又は(2)人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を覆っている部分、と規定されています(同法2条1項1号イ参照)。
 スカートの中の下着を盗撮するような、性的姿態等撮影罪が成立し得る典型的な例とは異なり、衣服の上からの撮影にとどまる場合は、通常、「性的姿態等」の撮影に該当しないと考えられます。

 本件Aは、陸上競技のユニフォームを着た女子選手の下半身の撮影ということであり、透視機能付きカメラでもなく、大腿部の撮影とユニフォームの上からの臀部の撮影にとどまるものであれば、性的姿態等撮影罪が成立する可能性は低いと考えられます。

 なお、性的姿態等撮影罪には未遂犯の処罰規定があるため、「性的姿態等」を撮影しようとしていたと認められる場合は、未遂犯として処罰される可能性があります(同法2条2項)。

次回の後編では、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)について、解説します。

盗撮行為を罪に問われた場合の刑事弁護

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)の法定刑は、常習でない場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですが、性的姿態等撮影罪の法定刑は、未遂犯を含めて、3年以下の拘禁刑(施行までは懲役刑)又は300万円以下の罰金と、大きな開きがあります。

 福岡県迷惑行為防止条例違反(盗撮、卑わいな言動)で逮捕された場合、初犯であり、被害者との示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高かったのですが、厳罰化された性的姿態等撮影罪においては、同様に不起訴処分を獲得できるとは必ずしも限らない可能性があります。

 盗撮行為に関する処罰規定は大幅に改正されたばかりということもあるため、盗撮行為を罪に問われた場合、今後どのような手続で事件が進み、どの程度の刑罰が科される可能性があるのか、刑事事件に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、性犯罪を含む刑事事件を多数取り扱い、新法制定前の福岡県迷惑防止条例違反事件において、身体拘束からの解放示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。

 盗撮行為を行ったとして、ご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

示談交渉を弁護士に任せずに自分ですると…証人威迫罪等で逮捕も

2023-02-11

示談交渉を弁護士に任せずに自分ですると証人威迫罪等で逮捕される可能性があることを、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事例

福岡県糸島市に住んでいるAさんの息子は隣人の風呂場を盗撮する事件を起こしてしまいました。
事件は在宅で進んでいくことになったのでAさんは弁護士には頼らずに自分で被害者と示談交渉をしていくことに決めました。
Aさんは被害者の自宅を訪ね、被害届を取り下げるようにお願いしたのです。
その際に被害者から色々と文句を言われたことに憤慨したAさんは、被害者に対して「こっちが下手に出ているうちに示談しとけ」等と言いました。
このことを被害者が警察に相談したらしく、Aさんは証人等威迫の罪で逮捕されることになりました。
(この事例はフィクションです)

証人等威迫

証人威迫罪とは、刑法第105条の2に規定されている犯罪で、その内容は「自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」です。

証人等威迫罪は、「自己若しくは他人の刑事事件」とされている点で他人の刑事事件を対象としている証拠隠滅罪よりも適用範囲が広いといえます。
さらに「必要な知識を有すると認められる者」とは現にその知識を有する者に限られず、具体的状況から、そのような知識を有すると認められるものであれば足り、現に捜査機関の取調べを受けている者や裁判の証人として呼ばれている者などでも、将来その可能性がある者でもよいとされています。
なお、親族に内縁者は含まず、民法により限定されます。
証人等威迫罪では面会の強請強談威迫が禁止行為として規定されています。
「面会の強請」とは、面会の意図のないことの明らかな相手に対して面会を強要することをいい、これは相手方の住居や事務所などで直接行うことが必要で書面や電話によるものは含まれません。
そして、「強談」は相手方に対し、言語により強いて自己の要求に応ずるよう迫ることをいい、「威迫」とは言語や動作で威力を示して相手方が不安困惑の念を生じさせることをいいます。
この強談威迫に関しては直接の方法に限らず、文書や電話などを送付する方法も含まれると判断された裁判例もあります。

示談は弁護士にお任せを

盗撮事件は示談が非常に重要となりますので、被害者と直接やりとりをする示談交渉については専門家である弁護士を間に入れて交渉を行っていくことが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、示談交渉に強い弁護士が無料法律相談初回接見を行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。

スーパー銭湯で女児を盗撮 児童ポルノ製造事件の弁護活動について

2022-12-26

宗像市内のスーパー銭湯で女児を盗撮した児童ポルノ製造事件の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件の概要

Aさんは、宗像市内のスーパー銭湯において、父親と入浴していた幼稚園児くらいの女児を盗撮しました。
Aさんは、脱衣場において、タオルで隠したスマートホンを使って、裸でいる女児を盗撮したのですが、その様子を不審に思った女児の父親に追及され、スマートホンを取り上げられて盗撮が発覚してしまいました。
父親が110番通報して駆け付けた福岡県宗像警察署の警察官によって、警察署に連行されたAさんは、児童ポルノ製造罪在宅捜査を受け、その後、検察庁に書類送検されました。
(実際に起こった事件を基にしたフィクションです。)

風呂場で女児を盗撮

盗撮行為は、各都道府県の迷惑防止条例で規制されています。
今回の事件ですと、福岡県の迷惑防止条例違反となりますが、相手が女児であると児童ポルノ製造罪が適用されることがあります。
実際にAさんも、児童ポルノ製造罪で取調べを受け、検察庁に書類送検されています。
児童ポルノ処罰法では、その第7条5項で、ひそかに児童ポルノに係る児童の姿態を撮影して児童ポルノを製造することを禁止しており、法定刑を「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」と定めています。
迷惑防止条例で、公衆浴場での盗撮行為の法定刑が「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められているのに比べると非常に厳しいことが分かります。

弁護活動

このような児童ポルノ製造罪では、被害者の親御様との示談を締結できるかどうかが、その後の刑事処分に大きく影響します。
示談ができなかった場合、初犯であっても略式起訴による罰金刑となる可能性が高いですが、犯行の悪質性が認められたり、余罪が複数ある場合は、正式に起訴されて、刑事裁判で執行猶予付きの判決は言い渡されることもあります。
他方、初犯であれば、示談を締結することによって不起訴処分となる可能性が出てくるので、刑事罰を免れたいのであれば、一刻も早く弁護士に相談し示談交渉に動いた方がよいでしょう。
実際に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、Aさんのような児童ポルノ製造事件で、被害者の親御様と示談を締結したことによって不起訴を獲得した事例があります。

まずは弁護士に相談

このコラムをご覧の方で、児童ポルノ製造罪でお悩みの方は、一刻も早く「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部」の無料法律相談をご利用ください。

無料法律相談のご予約は

フリーダイヤル0120-631-881(24時間、年中無休)

にて承っております。

【即日対応可能】福岡県八幡東警察署に弁護士を派遣※電話予約OK

2022-11-12

【即日対応可能】福岡県八幡東警察署への弁護士派遣について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県八幡東警察署への弁護士派遣(初回接見サービス)

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)

までお電話ください。

参考事件

1週間ほど前に、Aさんは、北九州市八幡東区にあるスーパーのエスカレーターで、女性のスカート内を盗撮しました。
その際、目撃者に「盗撮してたでしょう。」と声をかけられて、腕を掴まれたAさんは、この目撃者の腕を振り払い、エスカレーターを駆け下りて逃走したのですが、その際に、盗撮に使用したスマートホンを落としてしまいました。
そうしたところ、昨日の朝、福岡県八幡東警察署警察官が自宅を訪ねてきて、Aさんは盗撮の容疑で逮捕されました。
逮捕されたAさんは、1週間前の事件だけでなく、スマートホンに保存されていた盗撮画像についても、警察官から厳しく追及されています。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

福岡県八幡東警察署

〒805-0053
福岡県北九州市八幡東区大谷1-1-1
電話番号 093-662-0110

福岡県八幡東警察署に弁護士を派遣する費用

交通費込み 41,360円

盗撮

盗撮行為は、各都道府県の迷惑防止条例で規制されています。
福岡県では、福岡県迷惑行為防止条例で、盗撮行為を規制しています。
福岡県迷惑行為防止条例では『公共の場所や乗り物、公衆の目に触れるような場所、住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所における、盗撮行為そのものや、盗撮目的でカメラを差し向けたり、盗撮目的のカメラの設置する行為』を規制しています。
盗撮行為の罰則は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が規定されていますが、常習の場合は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と厳罰化されています。

盗撮で逮捕されるの?

盗撮をして警察に逮捕されるかは、行為者に逃走や罪証隠滅するおそれがあるかどうかによります。
Aさんの事件を参考にすると、もしAさんが目撃者に捕まった時に逃げず、スマートホンを警察に提出していれば、逮捕されることもなかったかもしれません。
しかし犯行直後に逃走しているため、逮捕の要件とされる「逃走のおそれ」を満たしていることになり、逮捕される可能性が高くなります。

福岡県八幡東警察署に弁護士を派遣

福岡県八幡東警察署に派遣できる即日対応可能な弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
福岡県八幡東警察署に弁護士を派遣する 初回接見サービス のご予約については、24時間対応しているフリーダイヤルでお待ちしております。

【即日対応可能】福岡県糸島警察署に弁護士を派遣※電話予約OK

2022-11-04

【即日対応可能】福岡県糸島警察署への弁護士派遣について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県糸島警察署への弁護士派遣(初回接見サービス)は

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)

までお電話ください。

参考事件

糸島市に住む会社員のAさんは、自宅近所の民家の敷地内に忍び込み、開いていた窓にスマートホンを入れて、入浴中の女性を盗撮しました。
被害に気付いた女性が大声をあげたことから、家人にその場で現行犯逮捕されたAさんは、、その後、福岡県糸島警察署の警察官に引き渡されて、現在は、警察署の留置場に収容されています。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

福岡県糸島警察署

〒819-1116
福岡県糸島市前原中央1-6-1
電話番号 092-323-0110

福岡県糸島警察署に弁護士を派遣する費用

交通費込み 39,050円

民家の敷地に不法侵入

まず人の家の敷地内に不法に侵入すると住居侵入罪となる可能性が高いです。
住居侵入罪は、人の住んでいる建物等に不法侵入することで成立する犯罪ですので、Aさんのように、敷地内に入っただけでは住居侵入罪は成立しないのではないかと思われる方がいるかもしれませんが、囲繞地であっても不法に侵入すれば、住居侵入罪が成立するとされています。
住居侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。

風呂場を盗撮

入浴中の女性を盗撮する行為は、福岡県の迷惑防止条例違反となります。
福岡県の迷惑防止条例(正式名称「福岡県迷惑行為防止条例」)では、第6条の(卑猥な行為の禁止)の中で盗撮行為を規制しており、一般住居の浴室など、特定少数の人しか利用しないよう場所での盗撮行為も禁止されています。

盗撮行為に関する詳細は こちらをクリック

福岡県糸島警察署に弁護士を派遣

福岡県糸島警察署に派遣できる即日対応可能な弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
福岡県糸島警察署に弁護士を派遣する 初回接見サービス のご予約については、24時間対応しているフリーダイヤルでお待ちしております。

【速報】福岡市博多区の商業施設で盗撮 教員の男が逮捕

2022-06-20

【速報】福岡市博多区の商業施設において盗撮した容疑で、教員の男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件内容(6月20日配信のFBS福岡放送のニュースを参考にしています。)

報道によりますと、昨日19日、福岡市博多区の商業施設において、女性のスカート内を盗撮した容疑で、福岡市の教員の男が逮捕されました。
逮捕された教員は、商業施設の書店において、スマートホンを隠し入れた袋を女性のスカートの下に差し入れて盗撮したようで、不審な動きに気付いた店員によって取り押さえられて、その後、通報で駆け付けた警察官に逮捕されたようです。
警察によりますと、逮捕された教員は「スカートの中を見たいという気持ちが抑えられなかった」と容疑を認めているということです。

福岡県内の盗撮事件

福岡県の盗撮事件は、県の迷惑防止条例によって規制されており、違反して有罪が確定すれば「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられます。

福岡県の迷惑防止条例では、今回のように公共の場所において女性のスカート内を撮影するような盗撮行為の他、こういった場所で衣類等を透かして見ることができる機能を有する写真機等を用いて撮影する盗撮行為や、盗撮する目的で撮影機器を設置する行為も禁止されています。
また公共の場所や乗物だけでなく、住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における盗撮行為や、撮影機器の設置も禁止されています。

盗撮事件の弁護活動

盗撮事件は、スマートホンの普及にともなって急増した犯罪で、皆さんが身近に感じる犯罪の一つではないでしょうか。
実際、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所でも盗撮事件の弁護活動を多く経験していますが、盗撮事件の弁護活動で一番優先すべきは被害者との示談交渉です。
初犯の場合、例え警察に逮捕されていたとしても、起訴されるまでに被害者との示談を締結することができれば不起訴を獲得できる可能性が非常に高くなります。

教員が起こした刑事事件

学校の先生や、公務員など、社会的地位のある職業や、スポーツ選手や芸能人など世間に対して影響力のある職業の方々は、ちょっとした事件であっても新聞等で大きく報道されてしまいます。
特に最近は、教職員によるわいせつ事件が社会問題になっていることもあり、社会的反響が大きいことから逮捕等の報道は大きく報じられる傾向にあり、こういった報道がなされることによって刑事処分以外でも大きな不利益を被る可能性があるので注意が必要です。

盗撮事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、これまで数多くの盗撮事件の弁護活動を行ってきた実績があり、数多くの被害者と示談を締結してきました。
福岡県内の盗撮事件でお困りの方、ご家族が盗撮事件を起こして福岡県警に逮捕れてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部の、無料法律相談、初回接見サービスをご利用ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、無料法律相談や初回接見サービスのご予約を

フリーダイヤル 0120-631-881

にて24時間年中無休で承っております。
どうぞお気軽にお電話ください。

なお逮捕等で身体拘束を受けている方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスについては  こちら  で案内していますので、ご確認ください。

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