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【事例解説】暴行罪とその弁護活動(路線バス車内で乗車マナーを注意され運転手に暴行を加えたケース)

2024-07-23

【事例解説】暴行罪とその弁護活動(路線バス車内で乗車マナーを注意され運転手に暴行を加えたケース)

今回は、福岡市内の路線バスの車内で、運転手に乗車マナーを注意されたことで腹を立てて運転手に暴行を加えたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:路線バス車内で乗車マナーを注意され運転手に暴行を加えたケース

福岡市内を運行する路線バスの車内で、運転手Vさんに乗車マナーを注意され、暴行を加えた疑いで福岡市西区在住の会社員Aさんが現行犯逮捕されました。
福岡県警察西警察署によりますと、Aさんは福岡市内で運行する路線バスに乗車中、バスの運転手Vさんの肩付近を叩いたり、足を蹴ったりした疑いが持たれています。
Aさんは前の座席に足を乗せるなど乗車マナーが悪かったことから、Vさんから車内アナウンスで注意されたもののやめなかったため、停車した際にVさんが直接Aさんに声をかけたところ、Aさんが暴行を加えたとのことです。
同乗していた別の乗客が警察に通報して、駆けつけた警察官によりAさんは現行犯逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは「注意されたことで腹が立った」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,暴行罪について

〈暴行罪〉(刑法208条)

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪は、「暴行」を加えたが、被害者に「傷害」の結果が発生しなかった場合に成立します(発生した場合は同じく刑法に定められた傷害罪が成立します)。
暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
殴る・蹴る・引っ張るなどのが「暴行」の典型例です。
傷害する」とは、人の生理的機能を侵害することをいい、「傷害するに至らなかったとき」とは、殴る・蹴る・引っ張るなどの暴行により、被害者に打撲・擦過傷・創傷などの外傷を負わせることをいいます。
また、被害者の身体に直接接触しなくても、傷害の危険を有する有形力の行使があれば、暴行罪は成立します。
過去の裁判例では、人の数歩手前を狙って石を投げつける行為や、被害者の目の前で包丁を胸や首をめがけて突き付ける行為などが、「暴行」に該当すると判断され、暴行罪が成立しました。

2,身柄拘束の回避・解放放に向けた弁護活動

暴行罪で逮捕されると最長で警察で48時間、その後検察のもとに身柄が移送されて24時間、身体拘束を受けることになります。
そして、検察官は、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断した場合、裁判官に対して勾留請求を行い、認められれば被疑者は勾留されることになります。
被疑者勾留は原則として10日、さらに必要があると判断された場合には、10日を超えない範囲で延長が認められます。
そのため、被疑者段階での身柄拘束は、逮捕時から計算して最長で23日間続く可能性があります。
身柄拘束中、被疑者はその一挙手一投足を規制・監視されるなど身体的な自由を厳しく制限されます。
また、勾留が認められれば、10日ないし20日の間、逮捕に続いて身柄を拘束されることになりますが、被疑者は、その間、仕事に行けなくなるなどの制限を受けます。
10日ないし20日間、無断で休ませてもらえる勤め先など通常考えられず、被疑者は職を失うという不利益を被る可能性があります。
そこで、弁護士は身柄拘束の回避・解放に向けた弁護活動を行います。
先述した通り、勾留は、被疑者が住居不定の場合や被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断した場合、検察官が裁判官に請求し、裁判官が勾留の必要性があると判断した場合になされます。
しかし、弁護士であれば、検察官や裁判官に対して、勾留の必要性がない旨の意見書を提出することができます。
これにより勾留されずに身柄を解放してもらえる可能性があります。
また、もし勾留請求が認められ被疑者が勾留されてしまったとしても、準抗告勾留取消請求を行い、早期の身柄拘束からの解放を目指します。
身柄拘束を受けた被疑者に対する弁護活動は時間との戦いでもあります。
そのため、ご家族やご友人等が身柄を拘束されてしまった場合には、少しでも早く弁護士によるサポートを受けることがなによりも大切であると言えるでしょう。

3,少しでも早く弁護士に相談を

福岡県内において暴行罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が暴行罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に少しでも早くご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、暴行事件を含むさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、法な実績があります。
暴行罪の当事者となり身柄拘束を受けていない方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が暴行罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までご連絡ください。

【事例解説】傷害罪とその弁護活動(二日酔いの薬と偽り睡眠薬を飲ませて薬物中毒症状にさせたケース)

2024-07-17

【事例解説】傷害罪とその弁護活動(二日酔いの薬と偽り睡眠薬を飲ませて薬物中毒症状にさせたケース)

今回は、福岡市の飲食店で、知人女性に二日酔いの薬と偽って睡眠薬を飲ませて薬物中毒症状にさせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:二日酔いの薬と偽り睡眠薬を飲ませて薬物中毒症状にさせたケース

福岡市の飲食店で、女性に二日酔いの薬と偽って睡眠薬を飲ませ、薬物中毒症状を引き起こしたとして、傷害の疑いで会社員のAさんが逮捕されました。
Aさんは、福岡市内の飲食店で知人女性Vさんに睡眠薬を飲ませ、薬物中毒症状にした疑いが持たれています。
警察によりますと、Aさんは「二日酔いに効く薬だよ」などと嘘をつき、Vさんに睡眠薬を服用させたということです。
Vさんはその場で一時意識を失い、嘔吐などの症状が出ましたが、現在は回復していて後遺症もないということです。
Aさんは警察の調べに対し「睡眠薬であるのか、二日酔いの薬であるのかはあいまいでよく分からない」と話し、容疑を一部否認しているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,傷害罪について

〈傷害罪〉(刑法204条)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法に定められた傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することをいいます。
例えば、創傷、打撲傷や擦過傷のような外傷の他に、めまい、失神、嘔吐、中毒などの症状を引き起こさせることや、病気に罹患させたり、PTSDを発症させることなども「傷害」に該当します。
傷害」は、通常、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的な方法によるものでも傷害罪は成立します。
ただし、無形的方法による場合には傷害の故意が必要になります。
傷害の故意とは、人の生理低機能を侵害することへの認識、つまり自分の行為が相手の生理的機能を侵害すること認識しながら行為に及ぶことをいいます。
無形的方法による「傷害」と認められたものとして、無言電話を掛け続けて相手を精神衰弱症に陥らせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や、性病に罹患している者が自己の性器を他人の性器に押し付けて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)などがあります。
上記の事例では、Aさんは睡眠薬を二日酔いに効く薬と偽ってVさんに飲ませて、Vさんに薬物中毒症状を引き起させており、Vさんの生理的機能を傷害しているといえるため、Aさんに傷害罪が成立すると考えられます。

2,否認事件における取調対応

上記の事例では、AさんはVさんに飲ませた薬が「睡眠薬であるのか二日酔いの薬であるのかはあいまいでよくわからない」と容疑を一部否認しています。
このように、被疑者が容疑を否認あるいは一部否認している場合における弁護活動として考えられるものの1つとして、取調べ対応が挙げられます。
取調べに対してやみくもに黙秘すれば、取調官から良くない印象を抱かれることもあり、それにより、取調官が厳しい言動で詰問する取調べが行われたり、「このままでは帰れなくなる」等、逮捕よりも長期間の身柄拘束である勾留を匂わせる取調べが行われるおそれもあります。
被疑者勾留は、被疑者の住居不定、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれが認められる場合になされます。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
しかし、被疑者が容疑を否認していると、被疑者が被害者に働きかけて証拠の隠滅を図るおそれがある、取調べの態度から取調べの出頭に応じないおそれがあるなどの理由により勾留請求をして、勾留が認められる可能性が高くなります。
そのため、弁護士による適切な黙秘権の行使についての説明など、適切かつ丁寧な法的アドバイスを受けることが最善といえるでしょう。
また、違法または不当な取調べを受けた被疑者から相談を受けた場合には、弁護士はしかるべき相手への抗議も行います。

3,まずは弁護士に相談を

福岡市内において、傷害罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査をされている方、あるいは家族・親族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱い、さまざまな経験や実績のある弁護士が在籍しております。
傷害罪の当事者となり身柄拘束をされずに捜査をされている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族等が傷害罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(バスの運行会社のコールセンターに無言電話をかけ会社の業務を妨害したケース)

2024-07-11

【事例解説】偽計業務妨害罪とその弁護活動(バスの運行会社のコールセンターに無言電話をかけ会社の業務を妨害したケース)

今回は、バスの運行会社のコールセンターに無言電話をかけ続け、対応に当たる職員らの業務を妨害したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:バス会社のコールセンターに無言電話をかけ会社の業務を妨害したケース

2024年2月から約1か月の間に、およそ500回も無言電話をバスの運行会社Vにかけ続けて業務を妨害したとして、福岡市中央区在住の会社員Aさんが偽計業務妨害の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、Aさんは約1か月の間、自分のスマホを使って福岡市中央区のVの営業所におよそ500回にわたり無言電話をかけ続け、転送先であるコールセンターで対応に当たる職員らの業務を妨害した疑いが持たれています。
警察の調べに対し、Aさんは「仕事でストレスを抱えていて、その発散目的でやった。」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,偽計業務妨害罪について

〈偽計業務妨害罪〉(刑法233条後段)

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

偽計業務妨害罪は、刑法信用毀損罪とともに定められており、虚偽の風説を流布または偽計を用いることにより、人の信用を毀損した場合には信用毀損罪が、業務を妨害した場合には偽計業務妨害罪が成立することになります。
虚偽の風説を流布」とは、客観的真実に反する噂や情報を不特定又は多数人に伝播させることをいいます。
例えば、そのような事実は無いのに、「あのスーパーで取り扱っている生鮮食品はすべて消費期限が切れている」という噂を、不特定又は多数人に広めた場合などが「虚偽の風説を流布」に該当します。
偽計」とは、人を欺き、あるいは人の錯誤・不知を利用したり、人を誘惑したりするほか、計略や策略を講じるなど、威力以外の不正な手段を用いることをいいます。
人を欺き、あるいは人の錯誤・不知を利用する「偽計」には、例えば、インターネットの掲示板に虚偽の犯行予告を書き込んだ場合などが挙げられます。
計略や策略を講じるなど威力以外の不正な手段を用いるものとしては、上記の事例のように比較的短期間で多数回の無言電話をかけ続けることなどが挙げられます。
業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行う事務又は事業をいいます。
そして、「妨害」の結果は実際に業務が妨害されることは必要ではなく、業務の平穏かつ円滑な遂行が妨害されるおそれのある行為がされれば、偽計業務妨害罪は成立します。
このように、犯罪の結果が実際に発生しなくても、結果が発生するおそれがあれば犯罪の成立が認められる犯罪のことを抽象的危険犯といい、偽計業務妨害罪現住建造物等放火罪などがあります。

2,偽計業務妨害事件における示談交渉

偽計業務妨害罪は被害者が存在する犯罪なので、被害者との間で示談交渉を試みます。
被疑者が罪を認めている等の事情があれば、被害者に対する謝罪や弁償等を行うことで示談交渉を進めることができます。
示談交渉はただ被害の弁償や謝罪を行えばいいという訳ではなく、被害者側の意向をくみ取りながら宥恕条項(被害者を許し、刑事処罰を望まないことを意味する条項)や被害届や刑事告訴をしている場合には被害届の取下げや刑事告訴の取消しといった約定を加えた示談を成立させる必要があります。
そして、示談交渉は当事者同士でも行うことができますが、当事者同士での交渉は拗れることが多く、また、上記の事例のように、被害者が会社などの場合は業務が妨害されたことで会社が被る損害の額が大きくなる可能性があり、示談交渉が難航するおそれがあります。
そこで、法律の専門家で示談交渉に関するノウハウが豊富な弁護士に依頼して、少しでも有利な結果が実現できるような示談交渉を試みることが肝要です。

3、まずは弁護士に相談を

福岡県内において偽計業務妨害罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が偽計業務妨害罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験してきました。
偽計業務妨害罪の当事者となりお困りの方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が偽計業務妨害罪の当事者なり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(電車内で女子高生のスカートをカッターナイフで切り裂いたケース)

2024-07-05

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(電車内で女子高生のスカートをカッターナイフで切り裂いたケース)

今回は、電車内で女子高生のスカートをカッターナイフで切り裂いたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:電車内で女子高生のスカートをカッターナイフで切り裂いたケース

電車内で通学中の女子高生Vさんの制服のスカートをカッターナイフで切り裂いたとして、福岡市在住のAさんが逮捕されました。
Vさんが学校に到着後、スカートが切られていることに気付き、警察に通報したことで事件が発覚しました。
その後、電車内に設置されていた防犯カメラの映像からAさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対し、Aさんは「困った姿をみて楽しみたいからやった。」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,器物損壊罪について

〈器物損壊罪〉(刑法261条)

前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪は、他人の物を損壊し、又は傷害した場合に成立します。
他人の物」とは、前3条に規定するもの以外のすべての他人の物、すなわち同じく刑法に定められた公用文書等毀棄罪私用文書等毀棄罪建造物等損壊罪の客体となる物以外の他人の物すべてが器物損壊罪の客体となります。
土地や動植物が含まれるだけでなく、例えば公職選挙法に反する選挙ポスターなど法律上違法なものであっても、刑法上保護に値するものであれば、「他人の物」に含まれることになります。
損壊」とは、その物の効用を害する一切の行為をいいます。
そのため、上記の事例におけるVさんのスカートが切り裂かれたという物理的な損壊だけでなく、その物の効用が害されたといえる場合には、「損壊」に該当します。
過去の裁判例で、効用を侵害して「損壊」に当たるとしたものは、食器に放尿する行為(大審院判決明治42年4月16日)や自動車のドアハンドルの内側やフェンダーの裏側に人糞を塗り付ける行為(東京高裁判決平成12年8月30日)などがあります。
また、器物損壊罪における「傷害」とは、傷害罪における「傷害」とは異なり、動物を客体とする場合を指し、動物の肉体や健康を害し、さらに死亡させる場合も含まれます。

2,器物損壊罪における弁護活動

器物損壊罪は被害者がいる犯罪であり、親告罪でもあります。

〈親告罪〉(刑法264条)

261条…の…罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

そこで、考えられる弁護活動としては、被害者との示談交渉を試み、示談の成立を目指します。
示談と一口に言っても効果はさまざまであり、ただ加害者が被害者に対して反省・謝罪の意思を伝えて被害の弁償をするだけでなく、器物損壊罪のような親告罪の場合には、告訴の取消しを内容に加えた示談を成立させることが必要不可欠と言えます。
もっとも、示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、被害者は加害者から連絡されることを避け、加害者が被害者に直接連絡したとしても、被害者が恐怖感を抱いたり感情的になって交渉が難航し、事件の早期解決に繋がらないことも少なくありません。
しかし、交渉のプロである弁護士ならば、多くの示談交渉の経験を有するため、どのように示談交渉を進めればいいのかなど、豊富なノウハウを有しています。
したがって、事件の早期解決を望むのであれば、示談交渉に優れた弁護士に依頼して適切なサポートを受けることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において器物損壊罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所であり、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、示談交渉についても豊富なノウハウや実績がございます。
器物損壊罪の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をそれぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。

【事例解説】名誉毀損罪とその弁護活動(インターネットの掲示板に被害者の実名とともに名誉を毀損する書き込みをしたケース)

2024-06-26

【事例解説】名誉毀損罪とその弁護活動(インターネットの掲示板に被害者の実名とともに名誉を毀損する書き込みをしたケース)

今回は、インターネットの匿名掲示板に被害者の実名を書いたうえで被害者の名誉を毀損する書き込みを行ったという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:インターネットの掲示板に被害者の実名とともに名誉を毀損する書き込みをしたケース

福岡県春日市在住のAさんは、約1年の間、インターネットの匿名掲示板に元職場の同僚であるVさんの実名を含めた個人情報や「Vからお金を騙し取られた」、「Vは会社のお金を盗んでいる」などの虚偽の書き込みを複数回行いました。
Aさんは、その件で警察署に出頭するよう求められています。
(事例はフィクションです。)

1,名誉毀損罪について

〈名誉毀損罪〉(刑法230条)

1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

①公然と②事実を摘示し、③人の④名誉を⑤毀損した場合、⑥摘示された事実の有無にかかわらず、刑法名誉毀損罪が成立します。
①「公然」とは、不特定又は多数人が認識できる状態を言います。
また、摘示の相手方が特定又は少数人であっても、その人たちを通じて不特定又は多数人へと広がっていくときには「公然」性が認められます。(伝播性の理論)
②摘示される「事実」は、人の社会的評価を害するに足りるものであることを要します。
さらに、その「事実」は、必ずしも非公知のものに限られず、公知の事実でも、それを摘示することによりさらに社会的評価を低下させるおそれがあれば、「事実」に該当します。
また、「事実」はある程度具体的な内容を含むものでなければならず、単なる価値判断(例:この本は良いまたは悪い)や評価(例:○○さんは仕事ができるまたはできない)は「事実」に該当しません。
③「」とは、犯人以外の自然人、法人及びその他の団体が含まれます。
そして、名誉毀損罪は、人が円滑な社会生活を行うための前提であるその人に対する積極的評価を保護するものであるから、④「名誉」とは、社会が与える評価としての外部的名誉を言います。
⑤「毀損」行為とは、人の社会的評価を害するに足りる行為がなされればよく、実際に人の社会的評価が害されたことまでは必要となりません。
⑥「摘示された事実」が真実であるか否かにかかわらず、名誉毀損罪は成立します。

2,名誉毀損罪で捜査を受ける前段階の弁護活動

名誉毀損罪は、親告罪であり、公訴の提起には被害者の刑事告訴が必要となります。

〈親告罪〉(刑法232条1項)

この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

この章」とは、刑法230条から231条を指しています。
告訴とは、犯罪の直接の被害者が、捜査機関に対して、加害者が犯した犯罪事実とその処罰を望む意思表示を申し出ることを言います。

〈告訴〉(刑事訴訟法230条)

犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。

前述の通り、親告罪は被害者の告訴が公訴提起の要件となっているため、弁護活動としては、被害者との示談交渉を試み、示談の成立を目指します。
もっとも、示談と一口に言っても、その内容は多岐にわたります。
被害者に対して反省・謝罪の意を述べ、被害弁償や示談金の支払い等を行うことで示談を成立させるのではなく、宥恕条項(加害者の反省・謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や刑事告訴をしている場合には刑事告訴の取消し等の約定を内容に加えて示談を成立させることが重要となります。
示談交渉は、加害者と被害者の当事者同士でも行うことはできます。
しかし、犯罪の被害者は加害者と直接コンタクトをとることを避けることが考えられ、当事者同士での交渉は拗れて上手くいかないことが十分に予想されます。
そこで、弁護士が間に入り、捜査機関経由で被害者の方にコンタクトをとり、被害者の方に安心して示談交渉に臨んでいただき、冷静かつ丁寧に加害者が反省していること等を説明することで、前述した内容での示談の成立が期待できます。
そのため、名誉毀損罪でこれから捜査機関による任意捜査の対象となっている、あるいは被害者から刑事告訴される可能性がある場合には、少しでも早く弁護士に依頼し、刑事事件化させない、刑事告訴の取消しなどの実現を目指すことが肝要です。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県春日市において名誉毀損罪の当事者となり在宅で捜査を受けている方、あるいはこれから名誉毀損罪で刑事告訴される可能性のある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した弁護士が在籍しており、名誉毀損罪の当事者となりお悩みの方に対しては、弁護士が直接「無料相談」を行います。
フリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にご相談ください。

【事例解説】傷害罪とその弁護活動(同僚と口論になり、腹を立てて手拳で顔面を殴って怪我を負わせたケース)

2024-06-10

【事例解説】傷害罪とその弁護活動(同僚と口論になり、腹を立てて手拳で顔面を殴って怪我を負わせたケース)

今回は、同僚と口論になり、腹を立てて手拳で顔面を殴って怪我を負わせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:同僚と口論になり、腹を立てて手拳で顔面を殴って怪我を負わせたケース

口論から腹を立て、同僚の顔面を手拳で殴ったとして、男が逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、福岡市の会社員Aさんです。
警察によりますと、福岡市内の飲食店に勤務するVさんから「職場の同僚から殴られた」旨の通報がありました。
警察官が現場の飲食店に駆け付け、事情を聞くなどし、Aさんが口論の末、腹を立てVさんの顔面を手拳で複数回殴り、打撲傷などを負わせたことが明らかになったため、現行犯逮捕しました。
逮捕されたAさんは、「殴ったことは間違いない」と容疑を認めているということです。
(事例はフィクションです。)

1,傷害罪について

〈傷害罪〉(刑法204条)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
傷害」とは、人の生理機能を侵害することを言います。
通常は、殴る・蹴るなどの有形的方法によってなされますが、「傷害」の結果を発生させるものであれば、無形的方法によるものでも「傷害」に該当します。
無形的方法による「傷害」に該当するものとしては、嫌がらせの電話により被害者を精神衰弱症にかからせた場合(東京地裁判決昭和54年8月10日)や性病に感染した自分の性器を被害者に押し当てて性病に罹患させた場合(最高裁判決昭和27年6月6日)があります。

2,傷害罪で身柄拘束された場合の弁護活動

(1)早期の身柄解放に向けた弁護活動

傷害罪で逮捕されると、警察に48時間、その後、検察庁に身柄を送検されて24時間身柄を拘束されて取調べを受けることになります。
検察官において、捜査状況等にかんがみて、さらに被疑者の身柄を拘束する必要性があると判断した場合には、勾留請求がなされることになります。
被疑者勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者による証拠隠滅または逃亡のおそれがある場合に認められます。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号)
勾留による身柄拘束は、原則として10日間、さらに拘束の必要があると判断された場合には10日を超えない範囲で延長が認められています。(刑事訴訟法208条
傷害罪で検察官が勾留請求した場合における勾留が認められる割合は90% 近くとなっており、傷害罪で逮捕された事件のほとんどが勾留されていると言えます。
(参照:令和5年版検察庁既済事件の身柄率・勾留請求率・勾留請求却下率の推移
したがって、傷害罪による身柄拘束は比較的長期にわたる可能性があるため、弁護活動としては、早期の身柄解放の実現を目指すことが考えられます。
被疑者勾留は、被疑者の住居不定、被疑者による証拠隠滅または逃亡のおそれがある場合に認められるため、それらを否定し得る客観的な証拠や事情を収集・主張していく必要があります。
被疑者と同居している家族が被疑者の身元を引き受ける、あるいは同居していない家族・親族でも被疑者の身元を引き受ける等の事情があれば、被疑者を監督し、裁判所や捜査機関への出頭の機会が確保されるため、被疑者の逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情となるでしょう。
また、上記の事例のように、被害者との面識がある場合には、被害者や犯行現場に接近しない旨の誓約書を作成することで、被疑者による証拠隠滅のおそれがないことを示す客観的な事情となり得ます。
そして、傷害罪は被害者が存在する犯罪でもあることから、被害者との示談交渉を行うことが考えらます。
示談の成否は早期の身柄解放だけでなく起訴・不起訴の処分に対しても大きく影響します。
そのため、弁護士は、被害者とコンタクトをとり、加害者の立場から、反省・謝罪の意を述べて、被害弁償等を行い示談の成立を目指します。
示談が成立した場合には、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれはないと考えられるため、釈放による早期の身柄解放が十分に期待できます。

(2)不起訴処分獲得に向けた弁護活動

傷害罪で公判請求されて裁判となると、有罪となり前科が付いてしまう可能性があります。
前科が付いてしまうと、その後の社会生活を送る上でさまざまな影響が出てくるおそれがあります。
たとえば、職場からの解雇、公務員や会社の採用時に前科の有無を確認され、判断材料になることがあるなどが挙げられます。
被害者との示談が成立していれば、それを検察官に主張することで、起訴猶予による不起訴処分の獲得が期待できます。
以上より、傷害罪で逮捕・勾留されてしまった場合には、少しでも早く弁護士に相談することが大切です。

3,まずは弁護士に相談を

福岡市内において、傷害罪の当事者となり身柄拘束されずに捜査をされている方、あるいは家族・親族等が傷害罪の当事者となり身柄を拘束されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱い、さまざまな経験や実績のある弁護士が在籍しております。
傷害罪の当事者となり身柄拘束をされずに捜査をされている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談をご提供しております。
家族・親族等が傷害罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をご提供しております。
お気軽にご相談ください。

【事例解説】職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせた場合に成立する可能性のある犯罪とその弁護活動について

2024-06-01

【事例解説】職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせた場合に成立する可能性のある犯罪とその弁護活動について

今回は、職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例 :職務質問中に警察官の顔を殴り怪我を負わせたケース

職務質問をした警察官の顔を拳で殴り怪我を負わせたとして、福岡県警察春日警察署は、公務執行妨害傷害の容疑で春日市在住の会社員Aさんを現行犯逮捕しました。
警察の調べに対し、Aさんは、逮捕当時酒に酔っていたため「覚えていません。」などと容疑を否認しているとのことです。
(事例はフィクションです。)

公務執行妨害罪傷害罪は、どちらも刑法に定められています。

1,公務執行妨害罪について

〈公務執行妨害罪〉(刑法95条1項)

公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

公務執行妨害罪は、①公務員が②職務を執行するに当たり、③暴行又は脅迫を加えた場合に成立します。
①「公務員」とは、法令により公務に従事する職員を言います。
法令とは、法律、命令、条例を指します。
公務とは、国または地方公共団体の事務を言います。
職員とは、法令上の根拠に基づき国または地方公共団体の機関として公務に従事する者をいます。
②「職務を執行するに当たり」とは、公務の執行の際に、という意味であり、また執行される職務については適法なものであることが要求されます。
仮に違法であっても公務であれば保護されるとなれば、それは公務員の身分や地位を保護することになり、公務執行妨害罪が公務の円滑の執行、すなわち公務を保護するとした趣旨に反すると考えられているからです。
「職務」とは、ひろく公務員が取り扱う各種各様の事務のすべてであるとされています。(最高裁判決昭和53年6月29日
③「暴行又は脅迫を加えた」における「暴行」とは、不法な有形力の行使を言い、「脅迫」とは、相手方を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知を言います。
公務執行妨害罪が公務の円滑な執行を保護している趣旨からすれば、暴行または脅迫は、公務員による職務の執行を妨害するに足りる程度のものであれば良いと考えられています。
また、「暴行」は、直接公務員の身体に向けられる必要はなく、職務執行を妨害するに足りる程度の暴行と言えれば、間接的に公務員に向けられた暴行(間接暴行)でも、公務執行妨害罪は成立します。
過去の裁判例では、覚せい剤取締法違反の現行犯逮捕の現場において、警察官に証拠として差し押さえられた覚せい剤入り注射液入りアンプルを足で踏みつけて破壊した事案では、間接暴行により警察官の職務執行を妨害したとして、公務執行妨害罪の成立を認めています。(最高裁判決昭和34年8月27日
また、公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行または脅迫が加えられた時点で既遂となり、現実に職務執行が妨害されたことを要しません。
上記の事例で考えると、警察官という「公務員」が行う職務質問(警察官職務執行法2条1項)という「職務を執行するに当たり」、顔を拳で殴るという「暴行」を加えているため、Aさんに公務執行妨害罪が成立すると考えられます。

2,傷害罪について

〈傷害罪〉(刑法204条)

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、人の身体を「傷害」した場合に成立します。
傷害」とは、人の生理的機能を侵害することを言います。
殴る・蹴るなどの有形的な方法のみならず、病気を移すことなど無形的な方法によって「傷害」の結果を生じさせれば、傷害罪は成立します。
傷害」の結果とは、打撲や擦過傷などの外傷の他に、睡眠薬により意識朦朧状態にさせることやPTSDに罹患させることなどもこれに該当します。

3,観念的競合について

観念的競合とは、「1個の行為が2個以上の罪名に触れる」場合をいい、その場合は「その最も重い刑により処断」されることになります。(刑法54条前段
上記の事例で言えば、Aさんの職務執行中の警察官の顔を殴り怪我を負わせたという1個の行為が、公務執行妨害罪傷害罪という2個以上の罪名に触れています。
そのため、Aさんは、「その最も重い刑により処断」されることになりますが、公務執行妨害罪の法定刑は3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金傷害罪15年以下の懲役または50万円以下の罰金であるため、傷害罪の刑罰をもって処断されることになります。

4,身体拘束からの解放・不起訴処分獲得などに向けた弁護活動

逮捕による身柄拘束は最長で72時間続き、捜査の必要性などさらに被疑者の身柄を拘束する必要があると判断された場合、逮捕より長期の身体拘束である勾留がなされることがなされることがあります。
勾留による身柄拘束は、最長で20日間続くため、被疑者段階における身柄拘束は、逮捕の時から起算すると最長で23日間続くことになります。
そこで、早期の身体拘束からの解放に向けた弁護活動を行います。
被疑者の勾留が認められるのは、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者による証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
そこで、それらを否定し得る客観的な事情や証拠の収集・主張といった活動を行います。
例えば、被疑者が家族と同居しており、同居している家族が被疑者の身元引受人になるといった事情があれば、被疑者の住居不定や逃亡のおそれを否定し得る客観的な事情と言えます。
また、上記の事例で言えば、被疑者であるAさんは現行犯逮捕されており、また、被害者も警察官であるため、Aさんによる証拠隠滅のおそれは低いことを示す客観的な事情と言えるでしょう。

公務執行妨害罪は、公務の執行、すなわち公務自体を保護しているため、直接の被害者が存在しません。
直接の被害者がいないということは示談する相手がいないので示談ができない ということになります。
しかし、謝罪の手紙を書き反省の意を示し再犯可能性がないことや、贖罪寄付を行うといった弁護活動により、不起訴処分の獲得を目指します。
贖罪寄付とは、被害者のいない刑事事件を起こしてしまった場合など、被疑者や被告人が反省や悔悟の気持ちを示すために公的な団体等に対して行う寄付を言います。
贖罪寄付は、各都道府県にある弁護士会や法テラス、日弁連交通事故相談センターで行うことができます。
傷害罪については、被害者が存在するため示談を行うことが可能です。
しかし、上記の事例のように、被害者が公務員である場合は、示談には応じないといった場合も考えられますが、被疑者が反省していることや被害の弁償をする意思があることなどを粘り強く主張していくといった弁護活動が考えられます。

5,まずは弁護士に相談を

福岡県春日市において、公務執行妨害罪傷害罪の当事者となってしまった、あるいはご家族等が当事者となり身柄を拘束されている場合には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、刑事事件・少年事件に対する豊富な経験や実績がございます。
公務執行妨害罪傷害罪を起こしてしまい在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が公務執行妨害罪傷害罪を起こしてしまい身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

【事例解説】暴行罪とその弁護活動(口論になった相手に肘うちなどの暴行を加えたケース)

2024-05-29

【事例解説】暴行罪とその弁護活動(口論になった相手に肘うちなどの暴行を加えたケース)

今回は、集合住宅の前で近隣住民Vさんと口論になり、肘うちなどの暴行を加えたというニュース記事に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:集合住宅の前で近隣住民と口論になり、肘うちなどの暴行を加えたケース

アパートの前で地面の氷を割っていたところを近所の人に注意されて口論になり、肘打ちをした疑いでAさんが逮捕されました。
逮捕されたのは福岡県福岡市西区に住む無職のAさんです。
警察によりますと、Aさんは22日午前10時半すぎ、自宅アパートの敷地内で近所に住むVさんの腕を1回、肘打ちした暴行の疑いが持たれています。
Vさんの娘がその様子を目撃して「近隣の人に母がどつかれた」と110番通報。駆け付けた警察官がAさんをその場で逮捕しました。
Vさんにけがはありませんでした。
Aさんは、アパートの前で地面の氷をスコップで割っていたところ、Vさんに注意されたことから口論になったということです。
警察の取り調べに対して、Aさんは「氷割りはやったと思うが、Vさんを叩いたりした記憶はない」と容疑を否認しています。
警察は過去にトラブルがあったかどうかも含めて調べています。
HBC 北海道放送 2024年3月22日(金) 16:54の記事を参考にし、地名などを変更して引用しています。)

1,暴行罪について

〈暴行罪〉

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」(刑法208条

暴行罪における「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使を言います。
殴る・蹴る・叩く等の典型的なものから、病原菌や毒物、さらに光、音、電機や熱などの物理力を行使する場合も広く「暴行」に含まれます。
また、行使された有形力が被害者の身体に接触しなかった場合でも、暴行罪は成立します。
実際、相手を驚かせる目的で、相手の数歩手前を狙って石を投げたという事案では、仮に投げた石が相手方に接触しなくても暴行罪は成立するとした裁判例があります。(東京高裁判決昭和25年6月10日
そして、「傷害」とは、傷害罪におけるのと同じ意味で、人の生理機能を障害することを言います。
傷害」の具体例としては、擦過傷や打撲傷のような外傷以外に、めまい、失神、中毒や病気に罹患させることも含まれます。
暴行罪傷害罪の未遂規定のような性格を有しているため、暴行罪の成立において傷害の結果を発生させるほどの危険性が必要か否かが問題となります。
判例は、暴行はその性質上障害を生ぜしめるものである必要がないという危険不要説の立場に立っています。
そのため、たとえば、電車に乗ろうとしている人の衣服を引っ張り電車に乗ることを邪魔しようとした場合にも暴行罪は成立することになります。(大審院判決昭和8年4月15日

2,弁護活動

暴行罪で逮捕されると、逮捕されてから72時間で捜査機関による取調べを受けることになります。
暴行罪傷害罪強盗罪などと比べると軽微な犯罪ではありますが、取調べにおいて暴行の容疑を否認している場合には勾留によるさらに長期の身柄拘束を受けるおそれがあります。
勾留は、被疑者が定まった住居を有しない場合、被疑者による証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60条1項各号
その期間は原則として10日間、延長された場合にはさらに10日間の合計20日間、逮捕から計算すると最長で23日間、身柄を拘束されることになります。
そのため、弁護士に依頼するメリットとしては、取調べ対応についての適切なアドバイスを受けることができることが挙げられます。
たとえば、繁華街でお酒を飲んで意識がはっきりしていない状態で喧嘩になって暴行を加えてしまったが、防犯カメラにその映像が映っているなどの場合であれば、酔っていて記憶が無いなどと否認するのではなく、記憶はないが事実を争わないと取調べで供述すれば、早期の身柄解放が期待できます。
また、暴行罪は被害者がいる犯罪です。
繰り返しになりますが、暴行罪は被害者に暴行を加えたがケガなど傷害の結果が発生しなかった場合に成立する犯罪です。
そのため、被害の程度は比較的小さいと言えます。
そこで、被害者に対して謝罪し、お見舞金を支払うなど行い示談交渉を進めて、示談の成立に向けた活動を行います。
起訴するか不起訴にするかは検察官が決めます。(起訴便宜主義刑事訴訟法248条
示談が成立していれば、検察官は起訴猶予による不起訴処分になる可能性が高くなります。
不起訴処分になれば前科が付くことを回避できるため、その後の社会生活への影響を最大限小さくすることができます。
しかし、通常、事件の加害者と被害者の当事者同士での示談交渉はうまくいかず拗れる可能性が高いです。
また、加害者側から示談交渉を働きかけると、捜査機関からは、加害者が自分に都合のいい供述をしてもらうため被害者に供述誘導をして証拠を隠滅しようとしているのではないかなどと疑われかねません。
しかし、弁護士が間に入れば、被害者に対して加害者が反省していることなど丁寧な説明をすることができ、よりスムーズな示談の成立が期待できます。
そのため、暴行罪で逮捕された、または在宅で捜査を受けている場合には、少しでも早く弁護士に依頼することがオススメです。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において暴行罪の当事者となってしまった方または家族・親族が暴行罪の当事者となってしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護に関する経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、暴行罪の当事者で警察から在宅で捜査を受けている方には初回無料でご利用いただける法律相談を、家族・親族が暴行罪の当事者となり身柄を拘束されている方には初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
お気軽にご相談ください。

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(商業施設の個室トイレの鍵穴に汚物を塗り付けたケース)

2024-05-17

【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(商業施設の個室トイレの鍵穴に汚物を塗り付けたケース)

今回は、福岡市内の商業施設内の個室トイレにおいて、鍵穴に汚物を塗り付けたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。

事例:商業施設の個室トイレの鍵穴に汚物を塗り付けたケース

福岡県警察博多警察署は、器物損壊の疑いで福岡市東区在住のAさんを逮捕しました。
Aさんは、福岡市内の商業施設で、トイレの個室ドアの鍵穴に大便などの汚物を塗り付けた疑いが持たれています。
博多警察署によると、これまでに同様の被害が複数回あり、商業施設が被害届を提出していました。
防犯カメラの映像や目撃情報等からAさんの特定に至り、Aさんは容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

1,器物損壊罪

〈器物損壊罪〉

前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」(刑法261条

器物損壊罪は、刑法の前3条に規定するもの(公用文書等毀棄罪私文書等毀棄罪建造物等損壊罪及び同致死傷罪)のほか、他人の物を①損壊し、又は②傷害した場合に成立します。
損壊」とは、財物の効用を害する一切の行為を言います。
判例では、飲食店の食器に放尿した場合(大審院判決明治42年4月16日)や、争議手段としてビラ60枚を会社事務所の窓や扉のガラスに洗濯のりで貼り付けた場合(最高裁判決昭和46年3月23日)などが「損壊」に当たるとしています。
上記の事例でも、商業施設の個室トイレの鍵穴に大便という汚物を塗り付けた行為は、個室トイレの鍵穴部分及びその周辺部分の効用を害したものとして、「損壊」に該当すると考えられます。
もっとも、仮に商業施設の個室トイレのドアが壁や柱などの建造物と取り外しが損壊しなければ取り外すことができないほどに接合されており、当該建造物における機能上も重要な役割を果たしている等の事情があれば、建造物損壊罪刑法260条)の成立が検討されることになります。
傷害」については、動物を客体とする場合を指し、動物の効用を害する一切の行為を意味します。
例えば、他人が飼っているペットを殺傷したり、勝手に逃がしたりする場合などがこれに該当します。

2,公訴を提起されないための弁護活動

〈親告罪〉

第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」(刑法264条

親告罪とは、被害者の告訴が無ければ公訴を提起することができない犯罪で、被害者の告訴が無い場合は、訴訟条件を欠くものとして検察官は公訴を提起できません。
そのため、器物損壊罪で逮捕されてしまった場合には、被害者に対して、弁護士は加害者の立場として謝罪の弁を述べることや被害弁償を行うことで刑事告訴の取消等の約定を加えたかたちでの示談を成立させることが肝要です。
示談交渉は当事者同士でも行うことはできますが、当事者同士での交渉は、被害者側が感情的になったり、不快な思いをすることもあるため、ほとんどの場合は拗れて上手くいきません。
そこで、弁護士が間に入り、加害者が反省し謝罪の意思を持っていることや、被害に対する弁償を行う準備があることなどを丁寧かつ冷静に説明することで、被害者の方に安心して交渉の場に臨んでいただければ、示談が成立しやすくなる期待が十分に持てます。
また、示談の成立により、被疑者は罪を認めて反省していると考えられ、被疑者による犯罪の証拠隠滅や逃亡のおそれはないと判断され、早期の身柄解放も期待できます。
逮捕されてから起訴されるまでの期間は、最長でも23日間しかなく、その間に宥恕条項加害者の謝罪を受け入れ、加害者に対する刑事処罰を望まないことを意味する条項)や刑事告訴の取消といった約定を加えた内容での示談を成立させることが必要不可欠となります。
以上より、器物損壊罪で逮捕されてしまった、あるいは器物損壊罪で在宅で捜査を受けているまたは刑事告訴されるおそれがある場合には、一刻でも早く弁護士によるサポートを受けることをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内において器物損壊罪の当事者となった方、あるいはご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
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【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニ店員に商品の缶コーヒーを投げつけて怪我を負わせたケース)

2024-05-11

【事例解説】傷害罪とその弁護活動(コンビニ店員に商品の缶コーヒーを投げつけて怪我を負わせたケース)

事例:コンビニ店員に商品の缶コーヒーを投げつけて怪我を負わせたケース

福岡市中央区のコンビニエンスストアで女性店員に商品の缶コーヒーを投げつけてけがをさせた疑いで、会社員のAさんが逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、福岡市中央区に住む会社員のAさんです。
警察によりますと、Aさんは福岡市中央区のコンビニで女性店員Vさんに商品の缶コーヒーを投げつけてけがをさせた疑いが持たれています。
警察の調べに対して、Aさんは「覚えていない」と話しているということです。
2人に面識はなく、Aさんは当時、1人でコンビニを訪れていたと見られていて、警察が当時の状況などを調べています。事件後、店の関係者から警察に連絡があり、発覚したということです。
静岡朝日テレビ 3/27(水)10:29配信のニュース記事を参考にして、地名や内容を一部変更し引用しています。)

1,傷害罪について

〈傷害罪〉

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。刑法204条

傷害」するとは、人の生理的機能を侵害することを言います。
殴る・蹴るなどの有形的方法によって行われることが通常ですが、「傷害」の結果を発生させるものであれば無形的な方法によるものであれば傷害罪は成立します。
傷害」の結果とは、打撲、創傷、擦過傷などのような外傷以外に、めまい、失神、中毒や病気に罹患させることなどです。
また、一時的な精神的な苦痛やストレス状態であれば「傷害」には当たりませんが、継続的に症状が発生する心的外傷後ストレス障害(PTSD)に罹患させることや、睡眠薬で約6時間の意識障害に陥らせることなどは「傷害」に該当します。
無形的方法による「傷害」とは、例えば、無言電話をかけ続けて相手を極度に恐怖させて精神衰弱症に罹らせたことや、嫌がらせ行為により不安及び抑うつ状態に陥れた場合が該当します。

2,早期の身柄解放や不起訴処分獲得に向けた弁護活動

(1)早期の身柄解放に向けた弁護活動

傷害罪で逮捕・勾留されると身柄を拘束され、捜査機関から取調べを受けることになります。
また、勾留による身柄拘束は、原則として10日間、さらに必要があると判断された場合は10日を超えない範囲で延長することができるため(刑事訴訟法208条)、最長で20日間続く可能性があります。
勾留による身柄拘束が認められるのは、被疑者が定まった住居が有しない場合、被疑者に証拠隠滅または逃亡のおそれがあると判断された場合です。(刑事訴訟法207条1項本文60項1項各号
そのため、弁護活動としては、被疑者が定まった住居を有していること、被疑者には証拠隠滅または逃亡のおそれがないことを主張・証明していくことになります。
具体的には、当該事件についての捜査機関の捜査により証拠となり得る物(例えば防犯カメラの映像)は既に押収されているとの事情は、被疑者による証拠隠滅のおそれを否定し得る事情となるので、それを主張していくことになります。
そのような弁護活動を通じて、早期の身柄解放を目指します。

(2)不起訴処分獲得に向けた活動

事件を起訴するか否かは検察官が決めます。(起訴便宜主義刑事訴訟法248条
そして、検察官が事件を起訴しないことを不起訴処分と言います。
不起訴処分には、嫌疑なし嫌疑不十分起訴猶予など種類があります。
嫌疑なしとは、捜査を尽くしたけれども被疑者が犯人ではない、あるいは真犯人が捕まった場合などがこれに該当します。
嫌疑不十分とは、嫌疑が無いわけではけれど被疑者が犯人であることを証明し得るだけの証拠が不十分である場合などがこれに該当します。
起訴猶予とは、被疑者が犯人であることも明らかで、それを証明し得るだけの十分な証拠も存在するけれど、検察官が起訴しないと判断した場合がこれに該当します。
起訴猶予処分になる例としては、被疑者が罪を認めて反省しており被害者との間で示談が成立していると言った場合が挙げられます。
上記の他に、公訴を提起するのに被害者の告訴が必要な犯罪(親告罪)において、被害者が告訴を取り下げた場合には、訴訟要件を欠くため不起訴となります。
例えば、名誉毀損罪刑法230条)や侮辱罪刑法231条)は、被害者の告訴が無ければ公訴を提起することができません。(刑法232条
また、そもそも被疑者の行為が犯罪に当たらない、あるいは被疑者の行為は犯罪に該当するけれど違法性が排除されるといった場合などは不起訴処分となります。
犯罪が成立し刑事罰が科されるのは、行為者の行為が構成要件(例えば、傷害罪の場合は人の身体を傷害したこと)に該当し、その行為の違法性を排除する事情や、有責性を排除する事情が存在しない場合です。
しかし、被疑者の行為に正当防衛が成立する場合には、被疑者の行為の違法性が排除されるため犯罪が成立せず不起訴処分となります。
不起訴処分となれば公訴を提起されないため前科を回避することができ、職場を解雇されるなどの社会生活を送る上での影響を最小限に食い止めることが期待できます。
刑事弁護はスピードが大事です。
そのため、逮捕・勾留により身柄を拘束されてしまった場合には少しでも早く弁護士に依頼することをオススメします。

3,まずは弁護士に相談を

福岡県内で傷害罪で逮捕・勾留されて身柄を拘束されている、または在宅で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事弁護の経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士が在籍しております。
傷害罪でご家族等が身柄を拘束されている方には初回接見サービス(有料)を、傷害罪で捜査機関から在宅で捜査を受けている方には初回無料でご利用いただける法律相談を、それぞれご提供しております。
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