Archive for the ‘暴力事件’ Category

【傷害】過失傷害罪との違い~福岡県新宮町

2020-01-03

【傷害】過失傷害罪との違い~福岡県新宮町

過失傷害罪と傷害罪の違いを、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県新宮町に住む会社員のAは、同町の居酒屋で、部下Vさんと酒を飲んでいたところ、仕事の話で議論が白熱し、Aさんは、テーブル上にあったコップをVさんめがけて投げつけました。すると、コップはVさんの顔に当たり、割れた破片でVさんの顔を傷つけてしまいました。現場は騒然となり、店員が福岡県粕屋警察署の警察官を呼びつけたため、Aさんは傷害罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 傷害罪 ~

Aさんは傷害罪で逮捕されています。
傷害罪は刑法204条に規定されています。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪が成立するためには(傷害罪の構成要件は)、

①暴行行為(暴行の認識(故意))→②傷害→③、①と②との間の因果関係(パターン1)

あるいは、

①傷害故意(傷害の認識(故意))→②傷害→③、①と②との間の因果関係(パターン2)

が必要です。

「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
殴る、蹴る、叩くなどがその典型ですが、本件のように、人の身体に向かってコップを投げつける行為も「暴行」に当たります。
また、「故意」も必要とされます。
「暴行の故意」は、人を痛めつけてやろうという意思ですが、怪我させる意思まではないもの、「傷害の故意」は、人に怪我させる意思、です。
加害者からすれば、突発的なこともあって「そんなつもりはなかった。」とか「そんな意図はなかった。」などと主張されるかもしれません。
しかし、加害者が行った行為からそうした意図があったと認定されることもあります。
本件のように、コップという使い方によっては凶器に代わりうるものを人の身体に投げつける行為は、通常、少なくとも暴行の故意ありとされる可能性が高いでしょう。

~ 過失傷害罪との違い ~

過失傷害罪は刑法209条に規定されています。

刑法209条 
1項 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。」
2項 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」

「過失」とは故意のないことをいいます。
そして、故意のない犯罪は処罰しない、というのが刑法の基本原則です。
ところが、刑法209条によって、例外的に、故意のない場合、つまり過失の場合も処罰するとされているのです。

傷害罪と過失傷害罪の大きな違いは、前者は傷害罪の成立に故意を必要とする故意犯、後者は必要としない過失犯ということです。
「過失」をもう少し詳しく説明すると、過失は不注意=注意義務違反ということになります。つまり、「~すべきだったのに、~しなかった。」場合に過失が認められます。
注意義務の内容は、行為当時の具体的状況によって個別具体的に決められます。

また、傷害罪と過失傷害罪の違いとして、前者は非親告罪、後者は親告罪という点です。
親告罪とは、被害者の告訴がなけば起訴できない罪のことをいいます。
したがって、仮に、過失傷害罪に問われたとしても、被害者との間で示談が成立し被害者が告訴を取り下げた場合は自動的に不起訴となります。
この意味では、傷害罪より過失傷害罪の方が不起訴処分を獲得しやすいということがいえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

【暴力事件】殺人罪の中止犯とは?~北九州市小倉南区

2019-12-29

殺人罪の中止犯とは?~北九州市小倉南区

殺人罪と中止犯について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市小倉南区に住むAさんは、自分の娘であるVさん(5歳)の首をひもで締めて殺そうとしましたが、Vさんが泣き出したことでかわいそうだという気持ちになり、首を絞めるのをやめたことでVさんは死亡するに至りませんでした。とんでもないことをしてしまったと思ったAさんは自ら警察に通報したため、Aさんは福岡県小倉南警察署に殺人未遂罪の疑いで逮捕されました。
Aさんの両親から依頼を受けてAさんと接見した弁護士は、殺人罪の中止犯が成立するとみています。
(事実を基にしたフィクションです。)

~ 中止犯とは ~

中止犯と聞くと、なんだか殺人罪のとは別の犯罪が成立して刑が重たくなるのではないか、と思われそうですが、実はそうではありません。
殺人罪における中止犯とは、

犯罪の実行に着手したものの、人の死という結果が発生せず、かつ、結果が発生しなかった原因が自らの意思で犯行を中止したと認められること

をいい、中止犯が成立すると

必要的に刑が減軽されます。つまり、殺人罪の法定刑の

死刑又は無期若しくは5年以上の懲役

死刑→無期の懲役若しくは禁錮又は10年以上の懲役若しくは禁錮
無期→7年以上の有期の懲役又は禁錮
5年以上の懲役→2年6月以上の懲役(上限懲役10年)

と減軽され、この範囲で量刑が決められます。

中止犯の根拠は刑法43条後段に求められます。

刑法43条
 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

~ 殺人罪の実行に着手したこと ~

中止犯が成立するには、まず、犯罪の実行に着手したこと、が必要です。
犯罪の実行にすら着手していない場合は、罪に問われないか、あるいは殺人予備罪(刑法201条、2年以下の懲役)に問われるにとどまります。

殺人罪の実行に着手したといえるためには、死亡結果を生じさせる危険のある行為を開始している必要があります。
典型的な例としては、刃物で相手の心臓付近を突き刺す行為や、けん銃を相手に向けて引き金を引く行為などが考えられます。
また、極めて限定的な事例ではありますが、裁判例の中には、クロロホルムを吸引させて被害者を昏倒させ、自動車に乗せたうえで、自動車事岸壁から海中に転落させて沈めて溺死させるという計画を立ててこれを実行したという事案で、クロロホルムを吸引させた時点で殺人罪の実行に着手したと認めたものがあります。

~ 結果が発生しなかったこと ~

次に、人の死という結果が発生しなかったことが必要です。
これには、①そもそも結果が発生しなかった場合と、②死亡結果と原因行為との間に因果関係が認められない場合とが考えられます。

因果関係が認められない場合としては、例えば、実行行為者の行為とは全く無関係のところから死亡結果が生じている場合や、死亡結果のそもそもの原因を特定できない場合などがあります。
因果関係が認められるか否かの判断は、実行行為の危険の大小や、介在事情の異常性など様々な事情を考慮して行われますが、この判断は非常に困難です。

~ 結果が発生しなかった原因が自らの意思で犯行を中止したと認められること ~

ここで大切なのは、①「自己の意思により」、②「犯罪を中止した」といえるか否かです。
ただし、①はあくまで内面の事情ですから、その判断も非常に困難です。

学説としては、

 犯人が自己の行為を後悔してやめた場合を中止未遂、それ以外の事由によってやめた場合を障害未遂

という主観説と、
 
 犯人が社会一般の通念に照らして、犯罪の遂行を断念させるような事情又は表象がないにもかかわらずやめたときに中止未遂、そのような犯罪の遂行に障害となるような事情又は表象によってやめたときは障害未遂

とする客観説がありますが、判例はこの客観説に立っているものと思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

【暴力事件】傷害致死罪と正当防衛~福岡県田川市

2019-12-26

傷害致死罪と正当防衛

傷害致死罪と正当防衛について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

 福岡県田川市に住むAさんは、夫Vさんから日常的にDVを受け続けていました。そこで、Aさんは今後夫から暴力を振るわれたときにそなえて常にバタフライナイフをズボンのポケットに隠し持っていました。そして、ある日、AさんはまたVさんから殴りかかられそうになりました。そこで、Aさんはズボンのポケットからバタフライナイフを取り出し、Vさんに示して「近づいたら殺すぞ。」などと言ってVさんを脅しました。しかし、それでもAさんはVさんから襲いかかられそうになったことからとっさにバタフライナイフを突き出したところ、ナイフがVさんの心臓部に突き刺さってしまいました。AさんはVさんが大量の血を流しながらその場に意識のない状態で転倒したことから、「大変なことをしてしまった。」と思い、自ら110番、119番通報したところ、駆け付けた福岡県田川警察署の警察官により傷害罪で緊急逮捕されてしまいました。また、その後、搬送先の病院でVさんの死亡が確認され、Aさんに対する容疑は傷害罪から傷害致死罪に切り替わりました。

(フィクションです。)

 ~ 傷害致死罪 ~

 傷害致死罪は刑法205条に規定されています。

 刑法205条

  身体を傷害し,よって人を死亡させた者は,3年以上の有期懲役に処する。

 「傷害」の意味については様々な説がありますが、人に怪我をさせることが「傷害」に当たることは明らかです。

これからすると、AさんがVさんの身体にバタフライナイフを突き刺す行為は「傷害」に当たります。

加えて、傷害致死罪は「死亡」という結果が発生し、「傷害」と「死亡」との間に因果関係が存在してはじめて成立します。

 

では、殺人罪(刑法199条)はどうでしょうか?

殺人罪と傷害致死罪の適用と分ける大きな要素は、殺意の有無です。

殺意が認められれば殺人罪、殺意が認められなければ傷害致死罪です。

殺意とは,要は「人の内心」ですから,被疑者・被告人の供述のほか、以下の要素から認定されていきます。

 

・被害者の受傷の部位

・受傷の程度

・計画性の有無

・犯行道具の有無

・犯行に至るまでの経緯

・犯行時の加害者の言動

・犯行後の言動

 

この点、確かにAさんはバタフライナイフという大変危険な凶器を使用しています。

しかも、普段からこのナイフをズボンのポケットに忍ばせていた、というのです。

この点だけ見れば確かに、Aさんに殺意が認められてもおかしくはなさそうです。

しかし、AさんはVさんから日常的にDVを受け続けており、万が一のときにそなえてズボンに忍ばせていたのです。

また、実際にVさんから殴りかかられそうになったときも防御に終始しており、Vさん殺害のために積極的にナイフを使った、とは言い難いです。

したがって、この点をも含めて考えると殺意は否定される方向に働きそうです。

 

~ 正当防衛 ~

 また、仮に傷害致死罪が成立するとしても、正当防衛の成否を検討しなけばなりません。

正当防衛は刑法36条1項に規定されています。

 

刑法36条1項

 

①急迫②不正の③侵害に対して、④自己又は他人の権利を防衛するため、⑤やむを得ずにした行為は、罰しない

※数字は筆者が記載

 

AさんはVさんから殴りかかられそうになった、というのですから①急迫、②不正の③侵害、を受けたことは明らかです。

問題は④と⑤です。

 

~ ④自己又は他人の権利を防衛するため ~

 ここでよく問題となるのは、防衛の意思(身を守ろうとする意思)があったか否か、という点です。

 防衛の意思○→正当防衛成立

防衛の意思×→正当防衛不成立

 ~ ⑤やむを得ずにした行為 ~

 誤解を恐れず言うと「やり過ぎたらダメ」ということです。

 やり過ぎではない→正当防衛成立

やり過ぎ→正当防衛不成立

 通常、攻撃者(Vさん)が素手であるのに対し反撃者(Aさん)が武器の場合は「やり過ぎ」と評価されるでしょう。

しかし、本件のように日頃DVを受けていた体格的のも劣る女性のAさんが、素手で襲い掛かってくる男性Vさんに武器で対抗した場合はどうでしょうか?

この場合、Aさんとしては素手で対抗してもまたVさんから暴力を受ける可能性が高かったといえます。

また、Aさんの防御態様としては、ナイフをVさんに示すにとどまっています。

したがって、この場合、「やり過ぎ」と評価することは困難です。

 具体的状況にもよりますがAさんに正当防衛が成立する可能性もあります。

詳細は弁護士に相談しましょう。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【暴行・傷害】小郡市~勾留取消し請求とは?

2019-12-12

【暴行・傷害】小郡市~勾留取消し請求とは?

暴行、傷害罪と勾留取消し請求について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県小郡市に住むAさんは、繁華街で通行人のVさんとすれ違った際、肩が当たったことからVさんに「何をするんだ!」「謝れよ!」などと言って、Vさんの胸ぐらをつかみ、顔面や腹部を殴る、蹴るの暴行を加えました。Aさんは周囲の人から制止され、通報で駆け付けた福岡中央警察署の警察官に暴行罪の現行犯で逮捕されました。その2日後、Vさんから加療約2週間との診断書が警察に提出されたことにより、Aさんに対する容疑は暴行罪から傷害罪に切り替わり、傷害罪で勾留されました。Aさんは、時がたって自分に全面的に非があったことを認めており、Vさんに謝罪し被害弁償したいと考えています。また、可能であれば示談を成立させ、早く釈放されることを望んでいます。Aさんは接見に来た弁護士に自分の意向を伝えました。
(フィクションです)

~ 暴行罪 ~

暴行罪の規定は以下のとおりです。

刑法208条
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。もっとも典型なのが

殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなど

直接人の身体に触れる行為が挙げられます。もっとも、暴行罪の「暴行」は直接人の身体に触れる行為に限らず、

・着衣を強く引っ張る行為
・胸ぐらをつかむ行為
・人に向かって石やガラスコップを投げる行為、棒を振りかざす行為
・毛髪等を切断する行為
・室内で太鼓等を連打する行為
・耳元で拡声器を通じて大声で怒鳴りつける行為
・狭い室内で日本刀を振り回す行為

など、直接人の身体に触れない行為も「暴行」とされることがあります。

傷害罪の規定は以下のとおりです。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は上記の「暴行」の他に「傷害(怪我など)」という結果と「暴行」と「傷害」との間の「因果関係」があってはじめて成立する罪です。したがって、

・「暴行」を加えたものの「傷害」(結果)が発生しなかった場合
・「暴行」と「傷害」との間に「因果関係」が認められない場合

傷害罪は成立せず、暴行罪が成立するにとどまります。

~ 勾留後の身柄解放手段(勾留取消し請求など) ~

Aさんは傷害罪で勾留されています。
勾留後の身柄解放手段には大きく分けて2つあります。

①勾留の裁判に対する「準抗告(不服申し立て)」と②勾留の決定を取消すという「勾留取消し請求」です。
どちらも主張が認められれば釈放が認められる、という点で効果は同じです。しかし、①が「裁判官の勾留決定が誤っている」と主張するのに対し、②は裁判官の勾留決定に誤りはないものの、勾留後に事情の変化が生じ、「勾留の理由・必要がなくなった」と主張する点で異なります。

②の「事情の変化」としてもっとも大きいのは被害者側との「示談」です。
経験則上、被害者と示談を成立させておきながら、事件に関する証拠を隠滅する人は少ないと言えます。また、示談成立は、被疑者の刑事処分にとって有利に働く事情ですから、処分や刑罰をおそれて逃走する人も少ないと言えます。
そこで、示談が成立すれば、勾留の理由である、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないことの証左となり、勾留取消し請求をする理由の一つとなりえます。
勾留取消し請求は、準抗告に比べて数は少ないと言われていますが、それでも法律上認められている手段ですので検討の余地は十分にあります。
いずれにしても、早め早めに弁護士に依頼し、示談交渉など身柄解放に向けた弁護活動を始める必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、暴行罪、傷害罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

【傷害】中央区で児童虐待

2019-12-04

【傷害】中央区で児童虐待

児童虐待傷害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市中央区内に住む内縁の夫であるAさんは、自宅アパートで、同居していたBさんの子どものV君(生後1か月)に暴行を加え傷害を負わせたとして、福岡県中央警察署に傷害罪で逮捕されました。Aさんが仕事で不在中にところ、BさんがV君を病院に連れて行ったところ、「児童虐待の疑いがある」として警察に通報されたようです。Aさんは、接見した弁護士に「抱っこしていた際に落としただけ。」などと話しているようです。
(フィクションです)

~ 児童虐待とは ~

児童虐待については、児童虐待の防止等に関する法律2条に規定されています。それによると、児童虐待とは

保護者(略)がその監護する児童(18歳に満たない者をいう。以下同じ)について次に掲げる行為をいう

とされています。
次に掲げる行為とは、以下の行為です。

1号 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれがある暴行を加えること(身体的虐待)
2号 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること(性的虐待)
3号 児童の心身の発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること(ネグレクト)
4号 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(略)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと(心理的虐待)

~ 児童虐待の現状 ~

厚生労働省によると、全国の児童相談所が2018年度に児童虐待の相談・通告を受けて対応した件数は

15万9850件(速報値)

だったとのことです。1990年度の統計開始から28年連続の増加しており、連携が進む警察からの通告がほぼ半数を占めているとのことです。
相談・通告内容の内訳は、

・心理的虐待 55.3%
・身体的虐待 25.2%
・ネグレクト 18.4%
・性的虐待   1.1%

とのことで、心理的虐待が全体の半数を占めていることが分かります。

~ 児童虐待と罪 ~

児童虐待に当たる行為は、刑法などに規定される罪によって処罰される可能性があります。

1号の身体的虐待は、暴行罪、傷害罪で処罰される可能性があります。暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。傷害させ、児童(人)を死亡させた場合は傷害致死罪で処罰される可能性があります。同罪の法定刑は「3年以上の有期懲役」です。

2号の性的虐待は、強制わいせつ罪、強制性交等罪、監護者わいせつ罪、監護者性交等罪で処罰される可能性があります。強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」、強制性交等罪は「5年以上の有期懲役」、監護者わいせつ罪は強制わいせつ罪と同様、監護者性交等罪は強制性交等罪と同様です。児童(人)を傷害、死亡させた場合、強制わいせつ致死傷罪、監護者わいせつ致死傷罪として「無期又は3年以上の懲役」、あるいは強制性交等致死傷罪、監護者性交等致死傷罪として「無期又は6年以上の懲役」に処せられる可能性があります。

3号のネグレクトは、保護責任者遺棄罪で処罰される可能性があります。法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。児童(人)を傷害、死亡させた場合は保護責任者遺棄致傷罪、保護責任者遺棄致死罪で処罰される可能性があります。前者の法定刑は「3月以上15年以下の懲役」、後者の法定刑は「3年以上の有期懲役」です。

4号の心理的虐待は、行き過ぎた暴言は暴行罪、それによって精神的な障害を患った場合などは傷害罪で処罰される可能性もあります。

~ 児童虐待で逮捕される可能性は非常に高い ~

児童虐待では、親と子どもが同居していることが通常で、仮に、児童虐待が発覚した場合は、子どもに危害を加えるおそれがあり罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあるとして逮捕される可能性が非常に高いと思われます。
早期釈放をお望みの場合は、弁護士へご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。専門のスタッフが無料法律相談、初回接見の「予約」を24時間体制で受け付けております。お気軽にお電話ください。

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【暴力事件】みやこ町でのいじめ

2019-11-23

【暴力事件】みやこ町でのいじめ

いじめ暴力事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県みやこ町に住む高校教諭のAさんは教員歴10年で、教員1年目であるVさんの指導係でした。
Aさんはもともと生徒や後輩職員に対する指導で厳しいことで有名で、Vさんに対する指導も他の職員が気を引くほどの厳しさでした。
そして、ある日、AさんはVさんを誰もいない教室にVさんを呼び出し、Vさんに向かって「なんであんなこともできないんだ!」などと怒号してVさんの顔面を1回殴る暴力を振るいました。その日を境に、Aさんは他の職員と一緒に、机の上に置いてあったVさんの物を隠したり、放課後Vさんを呼び出し羽交い絞めにして無理矢理激辛カレーを食べさせるなどの「いじめ」を繰り返すようになりました。
そうしたことでVさんはうつ病に罹患し学校を休むことになりました。それと同時に、Vさんは学校にいじめに遭っていたことを報告し、警察に被害届を提出しました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

上記事例は、マスコミで取り上げられた、

神戸市須磨区の市立東須磨小学校の男性教諭が共謀して、同僚教諭を羽交い締めにして激辛カレーを目にこすりつけるなどしたほか、男性教員の車を傷つけ、無料通信アプリLINEで第三者にわいせつな文言を無理やり送らせるなどのいじめを繰り返し行っていた

という事例を参考に作成させていただきました。

一連のいじめ行為について、学校側は今年6月頃、別の複数の教員からの相談をきっかけに事態を把握していたようですが、市教育委員会には「いじめ」ではなく「人間関係のトラブル」などと報告し、事態を深刻にはとらえていなかったようです。ところが、9月になり、市教育委員会が被害教諭の家族から被害教諭の状態などについて連絡を受けたことで事実関係の調査を始め、そこでいじめの被害が明るみに出たようです。
一連のいじめにより被害教諭は精神的に不安定になり、今年9月から休暇による療養を余儀なくされているようです。また、加害者に対する刑事告訴についても検討中とのこと。
そこで、今回は、どんな罪が成立し得るのかご紹介いたします。

~ いじめと暴力事件 ~

まず、AさんがVさんの顔面を殴る行為は暴行罪(刑法208条)に当たる可能性があります。

刑法208条 
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

また、暴行によって人に傷害を負わせた場合は傷害罪(刑法204条)に当たる可能性があります。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

なお、肉体的苦痛のみならず精神的苦痛を与えた場合もここでいう「傷害」に当たる可能性があります。

次に、AさんがVさんの物を隠す行為は、基本的には器物損壊罪に当たります。

刑法261条
 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

また、その物を自ら使うつもりで盗った場合は窃盗罪です。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

最後に、Vさんを呼び出し羽交い絞めにして無理矢理激辛カレーを食べさせる行為は強要罪(刑法223条)に当たる可能性があります。

刑法223条
 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

~ 暴力事件の告訴を阻止するには話し合いで解決 ~

神戸の被害教諭は、刑事告訴を検討されているようです。
刑事告訴されると、上記でご紹介した刑罰を受けるおそれがでてきます。また、刑罰の種類によっては失職(懲戒とは別)の可能性もないわけではありません。
こうした事態を回避するには、被害者側と話し合い(示談交渉)を行って解決を目指すしかありません。
そのために弁護士は力になることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、暴力事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

ちょっとした暴行で傷害致死罪?

2019-11-08

ちょっとした暴行で傷害致死罪?

傷害致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県太宰府市に住むAさんは、Vさん、Wさんと福岡市内の居酒屋で飲んだ後、カラオケに行くことになりました。しかし、カラオケ店に行く途中、AさんとVさんはお金の貸し借りのことで喧嘩となりました。Aさんは、もともとVさんが一向にお金を返さないことに不満を抱いており、さらに今回のVさんとの言動からVさんがAさんにお金を返す気がない、と思いました。Aさんは、そんなVさんがカラオケ代までおごってくれ、と頼んできたことから、Vさんに対する怒りが頂点に達し、「お前いいかげんにしろ!」と言って両手でVさんの胸を勢いよく押したところ、Vさんは酔った勢いも加勢して仰向けに転倒させてしまいました。その結果、Vさんの後頭部を道路の縁石に打ちつけさせ意識不明の状態に陥らせてしまいました。Aさんはパニック状態となっていたため、Wさんの119番通報により、Vさんは駆け付けた救急隊員により病院へ搬送されましたが搬送先で死亡してしまいました。その後、Aさんは、警察に傷害致死罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~ 傷害致死罪 ~

傷害致死罪は刑法205条に規定されています。

刑法205条
 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

本罪は傷害罪(刑法204条)の

結果的加重犯

です。
結果的加重犯とは、

一定の基本となる犯罪(基本犯)の構成要件を実現した後、犯罪行為から行為者(Aさん)の予期しない重い結果が生じたときに、その重い結果について刑が加重される犯罪

のことをいいます。

~ 傷害罪(基本犯) ~

では、傷害致死罪の基本犯である傷害罪をみていきましょう。
同罪は、刑法204条に規定されています。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、他方で、傷害致死罪は「3年以上の有期懲役(上限は懲役20年)」ですから、確かに刑が加重されている(重くなっている)ことが分かります。

傷害罪が成立するためには(構成要件)、

①暴行行為(暴行の認識(故意))→②傷害→③、①と②との間の因果関係(パターン1)

あるいは、

①傷害故意(傷害の認識(故意))→②傷害→③、①と②との間の因果関係(パターン2)

が必要です。

~ 「予期しない重い結果が生じたこと」 ~

傷害致死罪が成立するには、さらに、上記要件に加えて

予期しない重い結果(人の死)が生じたこと

が必要です。
「予期しない」という点がポイントで、予期していた場合は、殺人罪(刑法199条)が成立します。

刑法199条
 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

予期していたか、予期していなかったかで法定刑に大きな開きがあることがお分かりいただけるかと思います。

~ 因果関係が必要 ~

傷害罪では、暴行行為や傷害行為と傷害との間に因果関係が必要とされましたが、傷害致死罪でも同様に、

傷害と人の死との間に因果関係が必要

とされます。
仮に、因果関係が認められない場合は、行為者に人の死についての責任を問うことはできませんから、傷害罪が成立するにとどまります。

~ ちょっとした暴行でも傷害致死罪に! ~

これまでご説明してきたことからすると、傷害致死罪は、パターン1によっても成立する可能性があるということになります。
つまり、ちょっとした暴行でも、それによって相手方を死亡させ、その暴行と死亡との間に因果関係が認められる場合は、傷害致死罪に問われることがあるということです。

~ 傷害致死罪は裁判員裁判対象事件 ~

傷害致死罪は、一般人も裁判に参加する裁判員裁判対象事件です。
裁判員裁判対象事件で適切な事実認定、量刑をお求めの方は、ぜひ私選の弁護人選任もご検討ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

玄関ドアをバットで叩いて建造物損壊罪

2019-11-02

玄関ドアをバットで叩いて建造物損壊罪

建造物損壊罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県小郡市に住むAさんは伯父の葬式に参列しましたが、かねてから不仲であった実父Vさんが葬式に参列していないことに不満を募らせていました。そこで、AさんはVさんを葬式に連れてこようと思い、葬式を途中で抜け出し、車を運転取り外してVさんが住む市営住宅まで行きました。Aさんは駐車場に車を停め、5階建て市営住宅の1階「101号室」の玄関ドア前に立って玄関ベルを鳴らしたもののVさんは出てきませんでした。Aさんは部屋の明かりが点いていることから「居留守をつかわれている」と思ってますます腹が立ち、車のトランクに載せていた鉄製の野球バットを持ってきて再度玄関ベルを鳴らしましたが、やはりVさんは出てきませんでした。そこで、Aさんは右手に持っていた野球バットを振り上げ、Vさん宅の玄関ドアに向かって勢いよく振りかざしました。すると、ドスンという音が辺りに鳴り響きました。しかし、Aさんはこれにかまわず、同様の行為を3、4回繰り返し、玄関ドアを凹損させました。結局、Vさんは玄関に出てきませんでしたが、Aさんは110番通報を受け現場に駆け付けた福岡県小郡警察署の警察官に建造物損壊罪の疑いで準現行犯逮捕されてしまいました。逮捕の知らせを受けたAさんの妻が、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 建造物損壊罪 ~

建造物損壊罪は刑法260条に規定されています。

刑法260条
 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって、人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処する。

「他人の」とは、他人所有のという意味です。「建造物」とは、屋蓋を有し、障壁又は柱材で支持されて土地に定着し、その内部に人が出入りできる構造を持つ家屋その他これに類する工作物をいうとされています。
もちろん、建造物の一部を損壊した場合でも本罪に問われますが、そのものが建造物の一部なのか、あるいは器物損壊罪(刑法261条)の「器物」なのか問題となることがあります。本件では、玄関ドアが建造物の一部なのか「器物」なのか問題となりえるところです。

この点、「建造物」と「器物」とは、容易に取り外しが可能か否かで区別するのが通説・判例です。壁板は毀棄しなければならず、取り外しが容易でないことから「建造物」に当たります。。他方、雨戸、畳、建具は工具等を使えば容易に取り外しが可能であることから「建造物」ではなく「器物」に当たります。

では、本件の玄関ドアはどうでしょうか?
同様の事案で、弁護人は、

玄関ドアは、適切な工具を使用すれば容易に取り外しが可能であって、損壊しなければ取り外すことができないような状態にあったとはいえないから、器物損壊罪が成立するに過ぎない

と主張したのに対し、最高裁判所は、

建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かは、当該物と建造物との接合の程度のほか、当該物の建造部における機能上の重要性をも総合考慮して決すべきものであるところ、(略)、本件ドアは、住居の玄関ドアとして外壁と接続し、外界との遮断、防犯、防風、防音等の重要な役割を果たしているから、建造物損壊罪の客体に当たるものと認められ、適切な工具を使用すれば損壊せずに同ドアの取り外しが可能であるとしても、この結論は左右されない

と判示しています(建造物損壊罪の成立を認めています)。

そのほか、「損壊」とは、建造物・艦船の実質を毀損すること、又はその他の方法で、それらの使用価値を滅却し、あるいは減損することをいいます。物理的に形態を変更又は滅却させる場合だけでなく、事実上その本来の用法・効用に従い使用することができない状態に至らせる場合も含まれます。

~ 器物損壊罪 ~

すでに出てきた器物損壊罪は刑法261条に規定されています。

刑法261条
 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」であるのに対し、建造物損壊罪は「5年以下の懲役」と罰金刑以下の刑の規定がありません。
器物損壊罪は、起訴するにあたり、告訴を必要とする親告罪です。
他方、建造物損壊罪は非親告罪です。つまり、建造物損壊罪の場合、被害届や告発状によっても捜査を受けたり、起訴されたりする可能性があります。

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暴行罪から傷害罪へ?

2019-10-28

暴行罪から傷害罪へ?

暴行罪、傷害罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市東区に住むAさんは、福岡市博多区内の繁華街を歩いている際、Vさんの肩にぶつかったことがきっかけでVさんと口論になりました。Aさんは、Vさんから「何かオレに文句あっとか。」などと言われ喧嘩を売られたように感じたことから、Vさんに近づき右手でVさんの胸ぐらをつかみ、左手でVさんの右頬を1回殴打しました。すると、前を歩いていたAさんの知人WがAさんとVさんとの間に割って入り、さらに周囲の人が110番通報して現場に福岡県博多警察署の警察官が駆け付けたことから事態は収まりました。しかし、警察官がAさんとVさんから事情を聴くと、AさんのVさんに対する暴行の事実が明らかとなったことから、Aさんは暴行罪で逮捕されてしまいました。また、その後、Vさんから博多警察署に「加療約1週間を要する」との診断書が提出されたことから、Aさんに対する容疑が暴行罪から傷害罪へと切り替わりました。
(フィクションです。)

~ 暴行罪から傷害罪に切り替わることも!? ~

Aさんは当初、暴行罪で逮捕されています。
暴行罪は刑法208条に規定されています。

刑法208条
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

他方、容疑切り替え後の傷害罪は刑法204条に規定されています。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

これらの規定からもお分かりいただけるように、傷害罪は「傷害」という結果が生じた場合の罪、暴行罪は「傷害」」の結果が生じなかった場合の罪ということになります。この「傷害」が何を意味するか、については諸説ありますが、ここではとりあえず、人に怪我をさせたこと、という風に理解しておきましょう。

ところで、Aさんのように当初、暴行罪で逮捕されたものの、その後、被害者から捜査機関に医師の診断書が提出されることによって容疑が傷害罪に切り替わることがあります。
ここで、罪名が変化したのだから傷害罪で新たに逮捕されるのかといえばそうではありません。
なぜなら、暴行罪の基礎となる事実(犯行日時・場所、被害者、犯行態様など)と傷害罪の基礎となる事実は、結果の部分を除くほかは同じだからです。同じ考え方で、たとえば、傷害罪で逮捕された方の容疑が、その後、被害者が死亡したことによって傷害致死罪(刑法205条、3年以上の有期懲役)に切り替わるということはよくあり、この場合でも改めて傷害致死罪で逮捕されることはありません。

~ 逮捕後の流れ ~

逮捕後は、①送検→②検察官による弁解録取→④勾留請求→⑤勾留質問→⑥勾留決定、という流れとなります。

①から②まで
警察に逮捕されると警察署内の留置施設に収容されます。その後、警察署内で被疑者の話を聴く「弁解録取」という手続きを受けます。その後、釈放か否か判断されますが、釈放されない場合は、逮捕から48時間以内に送検(検察官の元へ身柄と事件が送られること)の手続きが取られます。この間、警察官の取調べを受けることもあります。

③から④まで
送検されると検察官の元でも「弁解録取」の手続きを受けます。この手続きを経て釈放か否か判断されますが、釈放されない場合は勾留請求の手続きを取られたと考えてよいでしょう。
   
⑤から⑥まで
勾留請求されると、今度は、裁判所で裁判官による「勾留質問」を受けます。勾留質問でも事件について聴かれます。そして、勾留質問を経て検察官の勾留請求を許可するのか、却下するのか判断されます。
勾留請求の許可された場合、10日間の身柄拘束が決定します。ですが、その勾留決定の裁判に対して不服を申し立てることができ、これが認められれば10日間を待たずとも釈放されることがあります。
勾留請求が却下された場合、検察官に不服を申し立てる権利が認められています。検察官が不服申し立てをしない場合は釈放されます。

~ 早期釈放なら弁護士に依頼 ~

早期釈放を望まれるのであれば私選の弁護人を選任されることをお勧めいたします。
なぜなら、上記の①から⑥までには概ね3日間を要しますが、この間、国選の弁護人は選任されないからです。また、国選の弁護人の選任を期待しても、条件を満たさなければ国選の弁護人は選任されず、その場合、弁護人を選任しないか、私選の弁護人を選任するといういずれかの選択肢を取ることになります。
そうした場合、対応が後手後手になる場合もありますから、上記⑥までの段階までに弁護士に弁護活動をはじめて欲しいという方は、私選の弁護人を選任する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

暴行罪か傷害罪か

2019-10-05

暴行罪か傷害罪か

暴行罪傷害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県篠栗町に住むAさんは、職場の同僚の勤務態度に腹を立て、Vさんの胸ぐらをつかみ、右拳でVさんの顔面を1回殴る暴行を加えました。その際、Vさんの鼻などから出血は確認できず、Vさんも病院には行かなかったようです。
ところが、それから1週間後、Aさんは福岡県粕屋警察署の警察官に呼び出され、取調べで「Vさんから医師の診断書が出た」「診断名は歯牙破折だ」ということを聞かされ、傷害罪の被疑者として捜査すると言われました。
Aさんとすれば、暴行自体は認めているものの、事件当時、Vさんから歯が折れたなどとは聞かされていなかったため、怪我の点については納得できずにいます。
そこで、Aさんは、今後どう対応すればいいのか刑事事件に強い弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ 暴行罪 ~

Aさんが

・Vさんの胸ぐらをつかんだり
・Vさんの顔面を右拳で殴る

行為は、暴行罪の「暴行」に当たります。

暴行罪は刑法208条に規定されています。

刑法208条
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。
殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなどの行為がその典型でしょう。もっとも、最近、マスコミで報じられている

あおり運転

もこの「暴行」に当たるとして、あおり運転をしたを暴行罪で処罰した例もあります。

~ 傷害罪 ~

傷害罪は刑法204条に規定されています。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

見た感じ、暴行罪よりも、どのような要件がそろった場合に傷害罪が成立するのか分かりにくいですが、刑法208条と併せてみてみると、

「暴行」を加えた者が「傷害」するに至ったとき

傷害罪が成立するものと解されます。

なお、「傷害」とは、

単に相手方に怪我をさること

のみならず、それよりももっと広く、

人の生理機能に障害を与えること、又は人の健康状態を不良に変更すること

と解されています。

~ 暴行罪と傷害罪との違い ~

以上から、暴行罪傷害罪との違いは、

「傷害」の結果が発生したか否か

によります。そして、その「発生したか否か」には、

もとから傷害が発生しなかった

という場合と、

傷害は発生したが、暴行との因果関係が認められない

という場合の2つのパターンがあることに注意が必要です。

~ 本件の刑事弁護 ~

本件で、Aさんは、「暴行」の事実自体は認めているものの、「暴行」と「傷害」との因果関係について疑問を持たれているようですから、まずは「暴行罪」での処分を主張していかなければなりません。
具体的には、Aさんはもちろん、周囲に直接の目撃者あるいはVさんの様子を知る人がいなかったかどうか調べ、その方たちからもお話を聴く必要があるでしょう。
そして、その聴取した結果を意見書という形にまとめ、処分を決める検察官に提出するといったことが考えられます。

それと同時に、「暴行」の事実に限っての示談交渉を進めていく必要があります。
仮に、傷害罪で起訴され裁判になった場合は、裁判で診察をした医師を尋問するなどして作成した診断書の証明力を減退させる必要も出てくる可能性があります。

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