Archive for the ‘少年事件’ Category

虞犯少年と学校への通報

2019-11-19

虞犯少年と学校への通報

上記標題について、あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市八幡西区に住むAさん(14歳)は、高校を退学後、両親との折り合いが悪く、家出をしていました。Aさんは家出中、風俗で働いたり、援助交際をしたりして生活費や遊ぶお金を稼いでいました。しかし、ある晩、Aさんは福岡県八幡東警察署の警察官に補導され、家庭裁判所にぐ犯少年として送致されました。Aさんの両親は、今後のことが不安になって少年事件専門の弁護士に無料相談を申込みました。
(フィクションです。)

~ 虞犯少年 ~

虞犯少年とは、少年法3条1項3号イないしニに定められている事由があって、その性格または環境に照らし合わせて、将来罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれがある少年(20歳未満の者)のことを言います。

少年法3条1項3号
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
ロ 正当の理由がなく家庭により附かないこと
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること
二 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること

「虞犯性」とは、将来の犯罪・触法行為を行う可能性であり、犯罪危険性という一種の評価概念とされています。したがって、虞犯性の判断は、知能・性格等の本人の問題点及び家庭、学校、職場、不良交友等(飲酒、喫煙、怠学、性風俗での稼働・援交の事実など)の外部的行状を総合的に検討して判断されます。

年齢による取扱いは異なりますが、どの年齢の虞犯少年でもいずれは家庭裁判所の少年審判を受けなければならない場合があります。
家庭裁判所で保護処分を受けると、少年院送致、児童自立支援施設・児童養護施設送致、保護観察のいずれかの措置を取られます。

虞犯少年は、何らかの犯罪を犯したわけではありません。
しかしながら、虞犯少年が捜査機関、裁判所の調査、家庭裁判所の少年審判を受ける可能性があるのは、少年の自身の問題や少年を取り巻く環境の問題点をを突き止め、それに対する解決策を提示・実行することにより、少年の健全な育成を図るとともに、犯罪を未然に防止する必要があるからです。

~ 学校に通報されることはあるの? ~ 

福岡県では、県内の小学校、中学校、高等学校に通う児童、生徒が逮捕された場合、「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱」に従って、警察と学校とが相互に必要な情報の交換をしているようです。「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱(以下、要綱)」は、県内の学校に在籍する児童又は生徒(以下、児童生徒)の非行等の問題行動並びに犯罪及び事故の被害の防止に関し、警察と学校とが必要な情報交換を行うなどして相互の連携を図り、児童生徒の健全育成に資することを目的として定められたもので、平成25年1月1日から施行されています。

要綱では、連絡責任者(警察署長)から学校長へ連絡する事案として以下の事案を対象とするとしています。

・逮捕事案
・逮捕事案以外の事案で、次に掲げる理由により連絡責任者が継続的な対応が必要と認めるもの
 ・児童生徒が粗暴行為等を敢行する非行集団の構成員であること
 ・他の児童生徒に影響が及ぶおそれがあること
 ・児童生徒が複数で非行に及んでいること
 ・児童生徒が非行を繰り返していること
 ・児童生徒が不良行為を繰り返しており、罪を犯すおそれがあること
・児童生徒の犯罪被害に係る事案で、連絡責任者が学校長への連絡の必要性を認めるもの
・児童生徒の善行事案

要綱では、連絡責任者は、上の事案を認めたときは、要綱の定めに従い学校長に連絡するもととされていますが、

捜査、調査その他の理由により連絡をすることができないと認めるときは、連絡をしないことができる

とされています。つまり、必ず通報(連絡)されるわけではなく、連絡責任者の裁量で通報(連絡)されるか否か判断されることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

少年が公務執行妨害罪で逮捕

2019-11-09

少年が公務執行妨害罪で逮捕

少年と公務執行妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市八幡西区に住む高校1年生のAさん(17歳)は、深夜、同区内の公園で友人らと遊んでいたところ福岡県折尾警察署の警察官の職務質問を受けました。Aさんは、ズボンの右ポケットに大麻を入れていたため、「大変なことになった」、「何とかこの場を逃げよう」と思い、警察官から職務質問を受けている最中、その場から逃走しましたが、数名でAさんの後を追った警察官に囲まれてしまいました。それでもAさんはその場から逃げようと思い、前に立っていた警察官の腹部を1回蹴って、警察官が怯んだすきにその場から逃走しましたが、再び警察官に追いつかれてしまい、公務執行妨害罪の現行犯で逮捕されてしまいました。また、その後の捜査で、逮捕時に大麻を所持していたことが判明し、大麻取締法違反でも再逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 公務執行妨害罪 ~

公務執行妨害罪は刑法95条1項に規定されています。

刑法95条1項
 公務員が職務を執行するにあたり,これに対して暴行・脅迫を加えた者は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

「職務」というためには、その職務が当該公務員(警察官は地方公務員か国家公務員)の権限に属するものでなければなりません。
したがって、例えば、公務員である市役所職員が盗撮を目撃し、犯人を捕まえようと犯人に声をかけた際、その犯人がその公務員に暴行を加えたとしても、市役所職員には職務質問をする権限がありませんから、暴行罪が成立することはあっても公務執行妨害罪は成立しません。

なお、警察官の職務質問は、警察官職務質問執行法(以下,警職法)2条1項に規定されています。

警職法2条1項

警察官は,異常な挙動その他の周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し,若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について,若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる

ただ、公務執行妨害罪は、公務の円滑な遂行を保護する罪です。したがって、「職務」は

適法

でなければなりません。違法な「職務」は保護に値しないからです。
この点、職務質問においても、これを実行たらしめるため、強制にわたらない範囲における有形力の行使は認められています。
しかし、職務質問はあくまで相手方の任意に基づいて行われるものですから、その許容限度は

職務質問の必要性、緊急性なども考慮した上、具体的状況の下で相当と認められる限度内にあるかどうか

が職務質問の適法性を考える上での基準となります。

~ 少年事件と保護処分 ~

少年の刑事事件には、

少年法

が適用されます。
少年法の目的は少年の更生と健全な育成にありまるから、罪を犯した少年に対して、原則、刑罰が科されることはありません。
その代わりに、

保護処分

という処分を科される場合もあります。
保護処分は、

①少年院送致、②児童養護施設・児童自立支援施設送致、③保護観察

の3種類があり、家庭裁判所の少年審判を受けることになった場合に言い渡される可能性があります。

①少年院送致は、少年を少年院に入所させ、そこで一定期間矯正教育などを受けさせる措置です。②児童養護施設・児童自立支援施設送致は、児童養護施設・児童自立支援施設で、少年の更生を図るものです。施設に入所する点では少年人と同様ですが、少年院よりかは比較的制限の緩やかな生活を送ることができます。少年に頼るべき親などがいない場合に下されることの多い処分です。③保護観察は、どの施設にも入所せず、通常の日常生活を送りながら少年の更生を図るものです。ただし、一定期間、保護観察所の指導・保護下に置かれることになります。親などの監督が規定できる場合は、比較的この処分がくだされることが多いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

少年が大麻所持で逮捕

2019-10-22

少年が大麻所持で逮捕

福岡県久留米市内の中学校に通う少女Aさん(15歳)は、知人から勧められて大麻を吸引していたところ、福岡県久留米警察署の警察官から職務質問、所持品検査を受けてしまいました。Aさんは、ズボンの右ポケットの内に大麻入りのチャック付きポリ袋を入れていたため、警察官に大麻取締法違反(所持の罪)で逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの両親は驚き、学校に通報されてしまうのか不安になり、少年事件に強い弁護士にAさんとの接見を依頼しました。

~ 少年と大麻 ~

近年は、インターネット等で比較的容易に大麻を入手できるようになっています。
大麻はインターネットでも購入できる時代です。また、未成年であってもスマートフォンやパソコンを利用でき、容易にインターネットの世界へ飛び込める時代となっていますから、未成年であっても、一歩間違えれば大麻をはじめとする薬物に汚染されてしまう危険を有しています。

そして、少年と大麻に関して、注目していただきたい数字が出ています。
平成30年度版犯罪白書によると、少年の覚せい剤取締法違反における検挙人員は平成10年から減少傾向にありますが、大麻取締法違反については平成25年まで減少傾向にあったものの、以下のとおり、その後、急激に増加しています。あくまでも検挙された人員ですから、すでに大麻に手を出している少年を含めるとさらに数は増えるものと思われます。

平成25年  58人
平成26年  77人
平成27年 144人
平成28年 206人
平成29年 292人

~ 逮捕されたら学校に通報されるの? ~

福岡県では、県内の小学校、中学校、高等学校に通う児童、生徒が逮捕された場合、「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱(以下、要綱)」に従って、警察と学校とが相互に必要な情報の交換をしているようです。
要綱では、警察から学校へ通報される事案を規定しており、その中には

逮捕事案

も規定されています。
しかし、

捜査、調査その他の理由により連絡をすることができないと認めるときは、連絡をしないことができる

と規定されており、逮捕されたからといって必ず通報されるというわけもなさそうです。

~ 通報を回避するには? ~ 

そこで、通報を回避するには、通報による被る不利益等を丁寧に説明するなどして警察や学校へ働きかけを行っていく必要があります。
警察がどの段階で学校に通報するか分かりませんから、「通報を回避したい」という場合は、はやめに弁護士の弁護活動にかかる委任契約を結ぶ必要があります。

~ 早期釈放には? ~

また、学校や知人らに事件のことがばれてしまう原因として、少年が「突然、学校を欠席する」、「長期間、学校を欠席する」ことが挙げられます。
そこで、身柄を拘束された場合は一刻も早い釈放(社会復帰)が望まれます。
逮捕されると、
 
①逮捕(警察の留置施設等)→②検察官送致→③勾留請求→④勾留決定(留置施設等)→⑤家庭裁判所送致→⑥観護措置決定(少年鑑別所)
 
という流れをたどってしまいます。 

①から②まで最大で48時間、①から③まで最大で72時間あります。
したがって、この間に、警察、検察、裁判所に働きかけて少年の釈放を求めていきます。
④勾留決定が出た場合、勾留の期間は勾留請求の日から最大で20日間(一定の事件を除く)です。しかし、その間も、検察や裁判所に働きかけ て少年の釈放を求めていくことは可能です。
勾留後、少年の身柄が事件とともに⑤家庭裁判所へ送致(同行)され、⑥観護措置決定が出た場合、少年は少年鑑別所に収容されます。この場面でも検察にや家庭裁判所に働きかけて少年の釈放を目指すことは可能です。
  
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

少年事件の簡易送致制度

2019-10-08

少年事件の簡易送致制度

少年事件簡易送致制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県久留米市内に住む高校生のA君(17歳)は、自宅から学校まで遠かったため、自宅から原付バイクを使って通学していました。ところが、ある日の朝、A君はいつものように原付バイクにエンジンをかけようとしたところエンジンがかからず、修理に出すと故障していることがわかりました。A君は、今後どのようにして通学しようか悩んでいたところ、A君と同じく原付バイクで通学していた友人のB君から電話があり、「原付バイクが故障したって?」「いらないのあるからタダであげるよ。」と言われました。A君は、B君が1年前に他人の原付バイクを盗んで警察に逮捕されたことを知っていたことから「もしかしたら盗まれたものかもしれない。」などと薄々思いましたが「タダならよかろう」と思い、B君に指定された場所までいき、原付バイクとそのカギを譲り受けて自宅に戻りました。そうしたところ、A君は、福岡県久留米警察署から「盗品等無償譲受け罪で話を聴きたいから警察まで来てくれないか。」との連絡を受けました。「やっぱり盗品だったのか」と思ったA君は母親と相談し、警察に行く前に弁護士に取調べの対応方法についてアドバイスを受けることにしました。警察官の話によれば、B君は、また原付バイクを盗んだ件で窃盗罪で逮捕された、とのことです。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ 盗品等に関する罪 ~

友人間での取引、売買などが刑事事件へと発展する可能性があることが注意が必要です。
盗品等に関する罪は刑法256条に規定されています。

刑法256条
1 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。

1項は「無償譲受け」、2項は「運搬」「保管」「有償譲受け」「有償処分あっせん」に関する罪です。
「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物(以下、盗品等)」とは、窃盗罪、強盗罪、横領罪などの財産犯によて得られたもので、被害者が返してくれと請求できるものをいいます。
「無償譲受け」とは、文字通り、無償で盗品等を譲受けることをいい、現実の物の受渡しが必要です。

また、盗品等に関する罪が成立するための主観的要件として、行為者において譲受けた物が「盗品等である」ことの認識が必要です。
この認識の程度は、必ずしも「盗品等である」との確定的な認識である必要はなく、「盗品等であるかもしれない」という未必的な認識で足りるとされています。

~ 家庭裁判所へ送致されるルートは2つ ~

捜査機関は少年事件について捜査を遂げた結果、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料されるときは、すべての少年事件を家庭裁判所へ送致しなければなりません。
これを全件送致主義といいます。

事件が捜査機関から家庭裁判所へ送致されるルートは2つあります。
一つは、警察から直接、家庭裁判所へ送致されるルートです。直送事件とも呼ばれています。ただし、このルートで送致される事件は、過失傷害罪(30万円以下の罰金)、軽犯罪法違反(拘留、又は科料)など法定刑が「罰金以下の刑に当たる罪」に限られます。
もう一つは、警察から検察庁を経て家庭裁判所へ送致されるルートです。法定刑に罰金刑が規定されていても、選択刑として懲役刑が規定されていると、その罪に関する事件はこのルートで送致されることになります。

~ 少年事件の簡易送致制度 ~

しかし、事案が軽微で少年の保護の必要のない事件についてまで一律に同じ手続きで家庭裁判所に送致させることは、少年にとっても負担ですし、保護善導する上でも効果的とはいえません。また、多くの事件を取り扱う捜査機関の負担にもなりかねません。
そこで、一定の基準を満たす少年事件については、簡易送致制度に基づき簡易送致手続が行われています。
これは、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書という書類を作成し、直送事件の場合は直接家庭裁判所へ、直送事件でない場合は検察官へ送致する手続きです。

なお、いかなる場合に簡易送致とするかは犯罪捜査規範第214条に規定されています。

犯罪捜査規範214条

1 捜査した少年事件について、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分を必要としないと明ら かに認められ、かつ、検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定されたものについては、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書及び捜査報告書(略)を作成し、これに身上調査表その他の関係書類を添付し、一 月ごとに一括して検察官又は家庭裁判所に送致することができる。
2 前項の規定による処理をするに当たつては、第二百条(微罪処分の際の処置)に規定するところに準じて行うものとする。

もっとも、全ての事件、罪が簡易送致の対象となるわけではなく、あくまで「検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定されたもの」に限ります。盗品等に関する罪については、通常、一定の被害金額以下にかかる罪が対象とされていることが多いようです。

~ 簡易送致となったら?簡易送致を目指すには? ~

簡易送致された場合は、検察庁から呼び出しを受けて取調べを受ける可能性は低いでしょう。また、家庭裁判所で少年審判を受ける可能性も低いと思われます。
簡易送致するか否かは警察が決めますから簡易送致を目指すには、被害者に被害弁償したり、少年を取り巻く環境を整え、更生可能性をしっかりアピールする必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの予約受付を承っております。

少年事件~親族間の窃盗罪~

2019-09-20

少年事件~親族間の窃盗罪~

少年事件親族間の窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市若松区に住むA君(15歳)は、夏休みに、福岡市内に住む祖父Vさん(70歳)の家に遊びに行った際、小遣い銭欲しさにVの財布の中から1万円札5枚を抜き取りました。A君は、直後に1万円札5枚がなくなったことに気づいたVさんから、「泥棒に入られたばい。」「警察に被害届を提出しに行くけん。」と言われましたが、Vさんに「自分が盗りました。」ということができませんでした。その後、A君は福岡県中央警察署から出頭するよう連絡を受けました。これを聞いたA君の両親は驚き、A君に何をしたのか尋ねたところ、A君は「おじいちゃん家でお金を盗んだ。」と言いました。A君とA君の両親はVさん方へ謝罪に行き、Vさんに被害弁償として10万円を手渡しました。
(フィクションです。)

~ 窃盗罪に当たる ~

A君がVさんの財布の中から1万円札を抜き取る行為は窃盗罪に当たります。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

~ 親族相当例 ~

ただし、親族間で犯したある一定の犯罪については特例が設けられています。これを親族相当例といいます。
親族相当例は

法は家庭に入らず

という思想に基づいています。すなわち、親族間の内部的なことは、それが犯罪であっても、国家が積極的に介入することを差し控え、親族間相互の規律に委ねる方が親族間の秩序維持のためにも望ましいことであり、刑事政策上も妥当であるという考え方です。

窃盗罪(刑法235条)・不動産侵奪罪(刑法235条の2)の親族相当例については刑法244条に規定されています。

刑法244条
1項 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2項 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3項 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

~ 親族相当例の効果(刑法244条1項) ~

刑法244条1項では「刑を免除する」とされています。
刑の免除は有罪判決の一部ですが、通常の有罪判決と異なるのは、刑が執行されない、ということでしょう、つまり、窃盗罪で規定される懲役刑や罰金刑を科されることはありません。この点で、刑を科される可能性が残されている執行猶予とは異なります。
ただし、有罪判決の一部ですから、判決が確定すれば前科は尽きます。

~ 刑を免除される親族 ~

刑を免除される親族は、「配偶者」「直系血族」「同居の親族」です。
「配偶者」とは、いうまでもなく婚姻関係にある相手方のことをいいます。内縁関係にある者は含まれないと解されています。
「直系血族」とは、祖父母-父母-子-孫といった縦の関係の血族をいいます。ですから、兄弟、姉妹といった横の関係は含まれません。養親と養子といった直系の法定血族も「直系血族」に含まれます。
「同居の親族」とは、同一住居内で日常生活を共同にしている親族のことをいいます。 

~ 少年事件の行方 ~

少年事件では、少年の健全な育成、性格の矯正、環境の調整を目的とされますから、直ちに刑が科されることはありません。
したがって、少年事件では「刑の免除」という概念も不要ですが、ときに、未成年者のような行為を起こしやすく、窃盗罪で検挙される少年も多いことからご紹介したしだいです。

仮に、Vさんが警察に被害届を提出し、少年事件となってしまった場合、事件は警察→検察→家庭裁判所へと送られ、最終的には少年審判を受けなければならなくなるかもしれません。
そうした事態に陥らないように、まずは被害者の方へ謝罪し、被害弁償を行うことが賢明です。
被害弁償でお困りの際は弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

少年事件(痴漢)と初回接見

2019-09-18

少年事件(痴漢)と初回接見

福岡県柳川市内の高校に通うA君(16歳)は、勉強や部活動、学校内での人間関係から来るストレスから、通学途中の西鉄久留米駅から西鉄柳川駅に向かう特急電車内で、前に立っていた同じ女子高生Vさんの太ももを直接触るなどの痴漢行為をしたとして、福岡県柳川警察署の警察官に福岡県迷惑行為防止条例違反で逮捕されてしまいました。逮捕の連絡を受けたA君の母親は、今後どうしていいのか分からず、少年事件の経験が豊富な弁護士にA君との面会(初回接見)を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 福岡県迷惑行為防止条例 ~

痴漢行為は福岡県迷惑行為防止条例(以下、条例)で禁止されており、罰則も設けられています(ただし、基本的に、少年(20歳未満の者)に対し罰則が科されることはありません)。

条例6条1項
 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 他人の身体に直接触れ、又は衣服その他の身に着ける物(以下この条において「衣服等」という。)の上から触れること。

西鉄の特急電車内が「公共の乗物」に当たりますし、A君がVさんの太ももを触る行為が「他人の身体に直接触れ」たことに当たります。
少年であっても成人と同様、逮捕されたり、勾留といって比較的長い身柄拘束を受ける可能性もありますから注意が必要です。

~ 初回接見とは ~

初回接見とは、一般的には、弁護士が身柄を拘束された方と初めて対面して行う接見(面会)のことをいいます。
弁護士は、いつでも身柄拘束された方と接見することができます。
逮捕された、勾留された、家裁送致された、少年鑑別所に収容された、少年院に収容された、などどんな段階でも接見することができます。

~ 接見は非常に重要な権利 ~

接見は憲法に由来する非常に重要な権利です。
裁判所も、判例(平成12年6月13日)の中で、「逮捕後の初回接見は、弁護人の選任を目的とし、かつ取調べを受けるに当たっての助言を得る最初の機会ですから、その重要性は特に高く、一刻も早い接見が実現されるべき」としています。

~ 少年にとてはさらに重要 ~

少年事件において接見は重要です。
少年の場合、精神的に未熟であるがゆえに、身柄を拘束されると成人以上に落胆の度合いが大きく、将来について悲観的になりがちです。そのため、ときに捜査官の取調べにに迎合して虚偽の自白をしたり、自らの意図とは関係のない話をしてしまうおそれがあるからです。

~ 幣所の初回接見までの流れ ~

警察から「お子様を逮捕した」、との連絡が入り、弁護士とお子様との接見を希望される場合は、まず幣所のフリーダイヤル

0120-631-881

までお電話していただく必要があります。24時間、専門の事務員が電話を受け付けております(いつ逮捕されるか分かりません)。
接見を希望される場合、事務員が親御様からお聞きした情報を基に、お子様がいずれの留置場に拘束されているのか調べます。その上で、接見にかかる弁護士費用を算出の上、金額などにご納得していただけるのであれば、速やかに弁護士を派遣する手続きを取ります。
(なお、弁護士の都合やお子様の予定(取調べなど)などによってはご希望の日、時間に弁護士を派遣できないこともあります。また、当接見は1回のみで、その後の接見や弁護活動をお希望される場合は、委任契約を結んでいただく必要がございます。)

弁護士が接見した後は、ご依頼者様に接見の報告をいたします。
お子様が疑われている罪の内容、お子様の話、今後の事件の見通しや、取るべき対策などについてアドバイスさせていただきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間体制で、無料法律相談初回接見の予約を受け付けております。

少年法での年齢「18歳未満引き下げの議論」

2019-08-23

少年法での年齢「18歳未満引き下げの議論」

福岡市西区に住むA君(18歳)は、17歳のときにバイクの暴走(共同危険行為)で試験観察、その後保護観察処分を受けましたが、その保護観察期間中に学校内で暴力事件を起こし、福岡県西警察署に傷害罪で逮捕されました。その後、A君は20日間勾留され、取調べを受けるなどした後、事件を家庭裁判所へ送致(家裁送致)されました。家裁送致後は、少年鑑別所で専門技官による鑑別を受けたり、家庭裁判所調査官による面接を受けるなどし、最終的に少年審判を受けることになりました。そして、少年審判では、「少年院送致」の保護処分を言い渡されました。
(フィクションです。)

~ 少年法での年齢「18歳未満引き下げの議論」 ~

少年法の適用年齢を現行の「20歳未満」ではなく「18歳未満」に引き下げたらどうかという議論が、法務省の法制審議会が続けています。
この議論が開始されたのは、2017年(平成29年)3月からです。そして、今年6月までに部会は「16回」開催されています。
この議論の背景には、2016年からはじまった「18歳選挙権」、2022年施行の民法改正によって「18歳以上は成人」とされることがあると言われています。

* 法制審議会とは *

法制審議会とは、日本の法務省に設置された審議会等の一つで、法務大臣の諮問に応じて、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な事項を調査審議すること等を目的としています。法制審議会は学識経験者の中から法務大臣により任命された委員によって構成されています。

~ 引き下げられるとどうなるの? ~

引き下げられると、成人と同様の刑事手続を踏むことになります。
すなわち、逮捕され、勾留されるところまでは同じですが、その後が異なります。基本的には勾留期間内に、検察官による不起訴、起訴の刑事処分を受けます。仮に、起訴されると、皆さんもよくテレビドラマなどでご覧になったことのある「公開の法廷」で刑事裁判を受けなければなりません。刑事裁判を受け有罪と認定されれば、「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料」の刑事罰の言い渡しを受けます(懲役、禁錮、罰金については執行猶予付き判決の可能性もあり)。その裁判が確定すると前科となります。実刑判決を受けた場合は、少年院ではなく刑務所に収容されます。

~ 引き下げには異論も多い(理由①:少年犯罪の減少) ~

ただ、年齢引き下げには異論も多いようです。その理由の一つ目として、少年犯罪の減少です。

平成30年度版犯罪白書によれば、平成29年度に刑法犯で検挙された少年の数は

3万5108人

でした。近年を見ると、

平成24年 7万9430人
平成25年 6万9113人
平成26年 6万251人
平成27年 4万680人
平成28年 4万103人

と年々減少していることが分かります(ちなみに、少年犯罪がピークだったとされる昭和58年の検挙者数は、今と比べ少年の数が多かったものの、それでも「26万1634人」でしたから、いかに減少してきたかわかります)。

年齢引き下げ=少年犯罪の増加、少年犯罪の凶悪化?」とイメージしがちですが、実態としては、少年犯罪の数自体は年々減少してきており、世間のイメージと実態とが乖離しているかもしれません。

~ 引き下げには異論も多い(理由②:少年法が機能している) ~

理由の二つ目として、現在の少年法がきちんと機能している、と指摘する専門家もいます。また、現在議論を続けている法制審議会も、「少年法が機能していないから、年齢引き下げを検討しているものではない」ことを前提に議論を続けているようです。では、なぜ議論が続けらているのかといえば、それは「改正民法(18歳以上は成人)との整合性を保つだけ」と指摘する専門家もいます。

~ おわりに ~

少年院を経験した方からは、
・少年院を経験してよかった
・少年院があったから犯罪との縁を切れた
という声も。

このように、少年法が犯罪の目を早いうちから積むことに一役買っている、大きく貢献しているのであれば、年齢引き下げは必要ないのかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

少年事件~子どもが逮捕ですべきこと、前科~

2019-07-02

少年事件~子どもが逮捕ですべきこと、前科~

福岡市早良区に住むの高校3年生のA君は、日頃の勉強ストレスを発散から、夜道、一人で帰宅途中の女性Vさん(19歳)を背後から襲い、Vさんの胸などを揉むなどしました。ところが、A君は、ある日突然、福岡県早良警察署の警察官から自宅のガサを受け、強制わいせつ罪で逮捕されてしまいました。その場にいたA君の母親は驚き、どうしていいか分からず、少年事件に強い弁護士事務所を探し当て、弁護士にA君との接見を依頼しました。また、A君の母親は、A君に前科が付き、将来に影響が出てしまわないか酷く心配しています。
(フィクションです)

~ 子どもが逮捕されたらすべきこと ~

子ども逮捕された場合、まず真っ先に考えることは、

・学校への連絡は?
・学校に逮捕されることは通知されるの?
・退学処分となってしまわないだろうか?

などということではないでしょうか?

福岡県では、

ふくおか児童生徒健全育成サポート制度(以下、児童生徒サポート制度という)

というものが制定されており(平成25年1月1日から施行)、これに基づいて警察から学校へ通知されているようです。
児童生徒サポート制度では、

県内の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校に通う児童又は生徒

が、

非行などの問題行動を起こして逮捕などされた場合

に、

非行事案の概要、児童生徒の氏名、その他児童生徒の健全育成に資するために必要な情報

について、

警察(連絡責任者=警察署長)から学校(学校長)へ通知する

ものとされています。

* 通知を回避するには? *

ただし、児童生徒サポート制度では、

捜査、調査その他の理由により連絡をすることが適当でないと認めるときは、連絡をしないことができる

とされています。したがって、通知を回避するには、情報の発信元である警察に働きかけを行う必要があります。しかし、弁護人に弁護活動を依頼し段階ではすでに手遅れという場合もありますから、その場合は、学校に不当な処分をしないよう働きかけを行う必要があります。学校の処分は、その学校の裁量によります。

* 親は何をすべき? *

特に、お子さまが中学生、高校生の場合は、学校に「休む」旨の連絡を入れたほうが無難かもしれません(無断欠席となれば、そのことで処分を受けるおそれがあります)。このとき事件のことは伝えなくてもよいです。しかし、身柄拘束が続けば事件のことを内密にしておくことが難しくなりますし、お子さまの社会復帰も難しくなります。そこで、弁護士に弁護活動を依頼して、一刻も早い釈放(社会復帰)を目指すべきです。

~ 逮捕されたら前科が付くの? ~

逮捕されただけでは前科は付きません。
前科は、刑事裁判を受けて有罪のお墨付きを受け、その裁判が確定したときにはじめてつきます。

しかも、少年(20歳未満の者)の場合、成人とは異なった手続を踏みます。
つまり、逮捕、勾留され、一定期間、捜査機関(警察、検察)の捜査を受けることは成人とほぼ同様ですが、その後、少年事件は家庭裁判所へ送られます(少年少年鑑別所に収容されます)。そして、家庭裁判所調査官などの調査を受け、少年審判を開くかどうか、開かれた場合は何らかの処分を受けます。

* 少年審判における処分・決定 *

少年審判では「保護処分(保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設への送致、少年院送致のいずれか)」、保護処分を下さない「不処分」、少年事件を検察官の元へ送致する「逆送」、一定期間少年の様子を観る「試験観察」の決定が出されます。
「保護処分」、「不処分」の決定を受けた場合は、

前科は付きません

が、「逆送」の決定を受けた場合、その後の手続は成人と同様に進みますから、前科が付く可能性があります。「試験観察」は中間処分で、一定期間、少年の様子を観た後、「保護処分」などの決定を受けます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

少年の逮捕、試験観察

2019-06-22

少年の逮捕、試験観察

かつて、学校内で暴行事件を起こし保護観察中だったA君(16歳)は,またしても学校内で暴行事件を起こして警察に逮捕されてしまいました。その後、A君の暴行事件は家庭裁判所へ送られ、A君は少年審判で「試験観察」の決定を受けました。A君とA君の母親は少年院だけは行きたくないと思い、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

~ 少年でも逮捕される? ~

少年とは20歳に満たない者(男女)をいいます。少年だから、警察、検察は甘く扱ってくれるのでは?などと考えていたら大間違いです。少年であっても、成人と同様

逮捕されることはあります

し、その後、勾留という逮捕よりも長い身柄拘束を受けることだってあります。

* 逮捕・勾留,観護措置への対応 *

仮に、少年逮捕された場合、弁護人は、釈放に向けて以下の対応を取ります。

逮捕段階
 警察官,検察官、裁判官宛に意見書を提出したり、場合によっては直接面談するなどして釈放を求めていきます。
勾留,勾留に代わる観護措置段階
 これらの決定に対しては準抗告申立てという異議申立てを行って釈放を求めていきます。
家庭裁判所送致段階
 勾留されている少年については,家庭裁判所送致時に,観護措置決定を出すか否かの判断がなされます。観護措置決定が出された場合,少年は 少年鑑別所に収容されます。そこでまず、裁判官宛に観護措置決定を出さないよう意見書等を提出するなどして釈放を求めていきます。勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に収容されている少年については,事件が家庭裁判所に送致された場合,観護措置決定が出されたものとみなされます(つまり,引き続き少年鑑別所に収容されたままになります)。この場合の活動も勾留の場合と同様です。なお、観護措置決定が出た後でも異議申立てにより釈放を求めていくことは可能です。

~ 少年審判のおける試験観察とは ~

試験観察とは,保護処分を決定するために必要があると認めるときに,決定をもって,相当の期間,少年を調査官の観察に付するというもので,少年に対する終局処分を一定期間留保し,その期間の少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。試験観察は,保護観察中に再非行を犯したような場合など,保護観察所・保護司による指導・監督・教育制度だけでは処遇として不十分と認められる場合などに行われるようです。
なお,試験観察はあくまで中間処分に過ぎないので,試験観察が終わってもそれで終了というわけではなく,最終的には試験観察の経過を見て終局処分(保護処分等)が決定されます。

* 試験観察の種類 *

試験観察の種類は2種類あります。一つは「在宅試験観察」と呼ばれるもの、もう一つは「補導委託」と呼ばれるものです。 
「在宅試験観察」の場合、少年審判の日に「釈放」され、自宅等へ戻ることができます。その後は、日記などを付けたり、定期的に家庭裁判所に出頭して調査官と面札するなどして、最終的に終局処分が下されます。
他方、「補導委託」の場合、少年審判の日に自宅へ戻ることはできません。つまり、補導委託先(農家やお寺など)へ身柄を移され、そこでの生活を経た後、最終的に終局処分が下されます。

* 試験観察と保護観察との違い *

試験観察と保護観察との違いについてご質問を受けることがあります。
保護観察処分は、保護観察所の指導監督の下、少年の更生を図る処分で「最終的な処分」、試験観察処分は、上記でもご説明したとおり、少年を少年院送致にするか保護観察処分にするかなどを判断する「中間的な処分」です。試験観察中の順守事項を言い渡されますが、それを破ると重い保護処分(少年院送致)を言い渡される可能性が高くなります。

~ 試験観察が予想される場合、試験観察となった場合の弁護活動 ~

試験観察が予想される場合は、まずは、在宅試験観察を求めていきます。そのためにも、早い段階から少年に更生を促し、在宅でも更生できる環境を整えておく必要があります。試験観察となった場合は、定期的に少年や保護者と面談するなどして、不処分や保護観察などの軽い処分を獲得できるよう努めます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

少年事件と少年院送致

2019-05-22

少年事件と少年院送致

福岡県春日市内の高校に通うAさん(16歳)は、お金の貸し借りの件で友人Vさんと口論となり、Vさんの顔や腹部を殴る蹴るなどの暴行を加え、Vさんに全治2か月の大怪我を負わせてしまいました。Aさんは、学校の通報により駆け付けた福岡県春日警察署の警察官に傷害罪で逮捕されてしまいました。逮捕を通知を受けたAさんの両親は、今後、息子が少年院送致されるのではないかと不安になり、弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 傷害罪 ~

傷害罪は刑法204条に規定されています。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、当初、怪我させるつもりはあった場合はもちろん、なかった場合でも、行為と結果(傷害)との間に因果関係が認められる場合には成立します。また、傷害の結果、人を死亡させた場合は傷害致死罪に問われることになります。

* 傷害致死罪は原則逆送事件 *

故意の犯罪行為により被害者を死亡させ、行為時に16歳以上だった少年にかかる事件については、原則、家庭裁判所にある事件を検察官の元へ送致しなければなりません。これを原則逆送事件と呼んでおり、傷害致死罪もこの事件に含まれます。検察官の元へ送致されると、成人と同様の刑事手続で進められていきます。裁判となれば、一般人が裁判に参加する裁判員裁判を受けなければなりません。

~ 少年院送致とは ~

少年院送致は、家庭裁判所の少年審判において下される保護処分(少年院送致の他に、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致があります)の一つです。少年審判では、少年をどの種類の少年院送致するかまで決定されます(少年審判規則37条1項)。少年院の種類は以下のとおりです(少年院法4条1項1号から3号)。

第1種(1号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね十二歳以上二十三歳未満のもの(次号に定める者を除く。)
第2種(2号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね十六歳以上二十三歳未満のもの
第3種(3号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね十二歳以上二十六歳未満のもの

* 少年院の収容期間は? *

少年院の収容期間は、大きく短期処遇と長期処遇にわけられます。

短期処遇は、さらに特修短期処遇と一般短期処遇にわけられ、「特修短期処遇」の場合、「4か月」以内、「一般短期処遇」の場合、「6か月」以内です。長期処遇については10か月から2年です。

さきほど、少年審判では家庭裁判所から処遇に関する勧告が出されることがあります(少年審判規則38条2項)。ここで、家庭裁判所が特集短期処遇、一般短期処遇との勧告を出せば、少年院はこれに従うべきとされています(従う勧告)。また、長期処遇については、「比較的短期」の処遇勧告が出た場合、収容期間は10か月以内とされ、少年院はその勧告を尊重しなければならないとされています(尊重勧告)。しかし、長期処遇について何ら勧告がない場合は、少年院が1年から2年の範囲内で決めています。

~ 傷害事件における弁護活動(少年院送致回避に向けて) ~

相手に怪我を負わせている場合は、相手が肉体的にも精神的にも損失を被っています。ですから、一刻も早く被害弁償をして、示談を締結することが先決です。示談を成立させることができれば、反省の意を示す証拠ともなり得、少年院送致回避に向けた証拠としても使えます。

傷害事件の場合には,少年に強い暴力性が認められるケースが多く,自分の感情をコントロールすることができないなどの欠点が見受けられることも多いものです。そのため,弁護士が少年と同じ目線に立って,感情のコントロールの仕方を教えていくことが重要となります。その上で、少年の生活環境、家庭環境、交友関係などを見直し、更生のための環境を整えていく必要があります。 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。
福岡県春日警察署までの初回接見費用:36,600円)

« Older Entries