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通貨偽造罪は重たい罪

2019-05-18

通貨偽造罪は重たい罪

少年A君は、千円札2枚の両面をカラーコピーした上で、ハサミなどで本物と同じ形に整え、これを中学校の売店の店員であるVさんに手渡しました。千円札を受け取ったVさんは違和感を感じ、学校へ報告。学校から通報を受けた福岡県筑紫野警察署が捜査したところ、千円札2枚は偽札だったことが判明しました。筑紫野警察署は、通貨偽造・同行使罪、詐欺罪で捜査を進めていますが、現在のところ犯人の特定には至っていません。
(事実を基にしたフィクションです)

~ はじめに ~

先日10日、大野城市内の中学校の売店で、千円札をカラーコピーして偽造したとみられる偽札2枚が見つかったとのニュースが報道され話題となっています。犯人は特定されていないようですが、犯行場所が中学校の売店であること、犯行態様が千円札の両面をカラーコピーしはさみで切り取っただけの稚拙な犯行であることからすれば同中学校に通う中学生の犯行である可能性が高いでしょう。今後、警察は、Vさんへの聞き込み、偽造千円札に付着した指紋の採取とその鑑定、犯行に使われた道具の押収、中学生等への聞き込みなどから犯人を特定していくものと思われます。
ところで、千円札2枚をカラーコピー機で両面印刷するという行為は「通貨偽造罪」という罪に当たり得る立派な犯罪です。そして、偽造した通貨を他人に手渡すなどの行為は「偽造通貨行使罪」という罪に当たります。そこで、今回は、両罪について解説していきたいと思います。

~ 通貨偽造罪は重たい罪 ~

通貨偽造罪は刑法148条1項に規定されています。

刑法148条1項
 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

見てお分かりいただけるように、通貨偽造罪

無期懲役

が規定されているほか、有期懲役刑も

最低が3年

ですから、他の罪を比べてかなり重たい罪であることが分かります。ちなみに、強盗罪は5年以上の有期懲役ですが、その強盗罪ですら無期懲役の規定はありません。

~ 通貨偽造罪の内容 ~

では、具体的意味について解説いたします。

= 行使の目的 =

「行使」とは、偽造・変造した通貨を真正な通貨として流通に置くことをいいます。つまり、通貨偽造罪が成立するには、偽造した通貨を真正な通貨として流通に置く目的で通貨を偽造することが必要ということになります。したがって、学校の教材で使用するために千円札をカラーコピーしたなどとう場合は、通貨偽造罪は成立しません。

= 通用する貨幣、紙幣又は銀行券 =

「通用する」とは、強制通用力を有していることを意味します(※通用する通貨か否かは日本銀行のホームページなどで確認することができます)。貨幣、紙幣、銀行券を総称して「通貨」といいます。「貨幣」とは政府が発行する硬貨、「紙幣」とは政府が発行する貨幣代用証券(現在は流通してない)、「銀行券」とは日本銀行が発行する貨幣代用証券、すなわち日本銀行券を意味します。千円札はもちろん銀行券です。

= 偽造・変造 =

「偽造」とは、通貨発行権者(政府・日本銀行)でない者が、真正の通貨の外観を有するものを作ること、「変造」とは、通貨発行権者でない者が、真正な通貨に加工して、別個の、真正な通貨と紛らわしい外観を有する物を作ることをいいます。
「偽造」と「変造」の違いが分かりにくいですが、「変造」は常に真正な(本物の)通貨が材料となる点を抑えてください。簡単に言えば、本物の千円札に0を一個加えて1万円札にする行為は「偽造」ではなく「変造」となります。事例では、本物の通貨に手を加えたわけではありませんから「偽造」とされているのです。

~ 偽造通貨行使罪は別に規定 ~

偽造・変造した通貨を行使すれば通貨偽造行使罪に当たります。通貨偽造行使罪は刑法148条2項に規定されています。

刑法148条2項
 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使のも目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項(刑法148条1項)と同様とする。

ちなみに、通貨を偽造し、これを行使した場合は、通貨偽造罪と偽造通貨行使罪の両方が成立しますが、両者は手段と結果の関係にあり一罪として処理されます(牽連犯罪、刑法54条1項後段)。

~ 物品を取った行為は詐欺罪にも!? ~

偽造した通貨を行使し、行使した相手から物品(財物)を受け取った場合は詐欺罪に当たる可能性もあります。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」で、通貨偽造・同行罪とは別個に処罰されます(併合罪)。

~ 少年事件の行方 ~

仮に、犯人が少年だと判明した場合でも、逮捕される可能性は十分あります。逮捕され身柄拘束が継続すれば、最短でも10日間、最長で20日間の身柄拘束を受けます。その後、事件は家庭裁判所に送致されます。家庭裁判所調査官などによる調査が行われ、少年審判が開かれます。少年審判では、

・「少年院送致」「保護観察」「児童自立支援施設又は児童養護施設への送致」の保護処分
・保護処分が必要でない場合の「不処分」
・刑事処分が相当である場合の「検察官送致」
・一定期間、更生の具合を見極める「試験観察」

のいずれかの決定が出されます。ネットなどでは通貨偽造罪は重たい罪だから「少年院送致は確実」などと言われていますが、必ずしも法定されている刑の重さと保護処分の内容とは結び付くものではありません。確かに、通貨偽造罪は社会的影響力が大きい犯罪ですが、今回は、偶然にも学校の売店段階で流通がとどまっていること、犯行態様が稚拙であること、被害額も少ないことなどを考慮すれば「保護観察」の可能性も十分あるのではないかと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、通貨偽造罪をはじめとする刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

集団暴走と接見禁止解除

2019-05-10

集団暴走と接見禁止解除

北九州市小倉北区に住むA君(17歳)は、同区内の高校に通う高校2年生です。A君はバイクが好きで、自身の誕生日祝いに、同区内の道路をバイク仲間10人と原動機付自転車を集団暴走していました。そうしたところ、A君他10人は福岡県小倉北警察署のパトカーに制止するよう呼び止められました。しかし、A君らはその制止を振り切り集団暴走を継続したところ、増員された警察官によって制止されてしまいました。そして、A君他5人は、道路交通法違反(共同危険行為)で現行犯逮捕されましたが、残り5人はいまだ逃走中で未検挙です。A君は、逮捕後勾留され、接見禁止決定が出てしまいました。A君の両親はこのままではA君と面会できないことから、まずは接見禁止の解除をしてもらうべく弁護士に相談しました。
(フィクションです。)

~ 集団暴走と犯罪 ~

集団暴走を行えば、一般的に、以下の違反行為に当たるおそれがあります。

・共同危険行為の禁止違反(道路交通法68条)
・消音器不備車両の運転の禁止違反(道路交通法71条の2)
・騒音運転等の禁止違反(道路交通法71条5号の3)
・整備不良車両運転の禁止違反(道路交通法62条等)
・無免許運転の禁止違反(道路交通法117条の2の2)

このうち、共同危険行為については道路交通法68条で、

二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

と定められています。

* 少年と刑事事件 *

共同危険行為の罰則は、道路交通法117条の3で「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」と定められていますが、少年の場合、原則として、この罰則が直ちに科せられることはありません。少年は捜査機関によ捜査が終わると事件は家庭裁判所に送られ、少年の更生に向けた調査や環境調整が行われます。そして、少年審判が開かれた場合、原則として、「保護処分」あるいは保護処分を必要としない「不処分」の決定が出されます。

~ 接見禁止とは ~ 

接見禁止とは、原則として検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者(少年)が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じることをいいます。
本件の場合、未検挙の者が5人いることから、これらの者と通謀するなどして罪証隠滅行為を働くおそれが高いとして接見禁止決定が出る可能性が高いです。ただし、接見禁止決定はあくまで「勾留中」に出されるものですから、少年に対して観護措置決定が出て少年鑑別所に収容されている場合は接見禁止決定を出すことはできません。

~ 接見禁止の解除とは ~

接見禁止の効力を解き、弁護人又は弁護人となろうとする者以外との接見(面会)を可能とすることをいいます。
接見禁止解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば、制限なく接見できます。また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。

事件関係者との接見は認めないが、事件に全く関係のない家族等なら接見を認める

などという場合に一部解除となります。
ですから、子ども様との一刻も早い接見をお望みの場合は、弁護士に法律上の異議申立てや全部又は一部解除の申し立てを行ってもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。接見禁止が付いてお困りの方、その他刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの予約受付を承っております。

少年の児童ポルノ製造事件

2019-04-21

少年の児童ポルノ製造事件

福岡県久留米市の高校に通っているA君(17歳)は,SNSで知り合った別の高校に通う女子高生Vさん(16歳)に,LINEで「裸の写真送って」とメッセージを送り,Vさんの自撮りした裸の写真画像を手に入れました。しかし,A君はその後,Vさんから「親が久留米警察署に相談に行くと言っている」と聞き,不安になったことから,このことを自分の親に相談しました。そして,A君は親とともに,少年事件に詳しい弁護士に相談に訪ねることにしました。
(フィクションです)

~ 児童ポルノ製造の罪 ~

児童ポルノ製造の罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下「法律」という)の7条3項,4項,5項,7項に規定されています。今回のAさんの行為は,法律7条4項の製造罪に該当しそうです。法律7条4項によれば,

 児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これを写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物により描写することにより,当該児童に係る児童ポルノ製造した者 ※児童=18歳に満たない者(法律2条1項)

が処罰の対象とされるとしています。
少し言い回しが難しいですが,要は,

児童の裸などの姿(第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態)をスマートフォンなど(正確には,電磁的記録に係る記録媒体その他の物)に記録(描写)した者

が対象となると考えればいいでしょう。

なお,「姿態をとらせ」とは,行為者(Aさん)の言動等により,当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいいます。行為者自らがとったか否かは問わず,また強制によることを要しないと解されています。

* 児童の同意がある場合 *

児童の同意がある場合は,製造の罪は成立しないのでしょうか?

この点,製造の罪は,児童ポルノ製造行為が児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならず,流通の危険もあることから処罰の対象とされるものです。よって,たとえ児童が児童ポルノ製造につき同意・承諾していたとしても児童の心身に害悪を及ぼすことに変わりはないですし,児童ポルノの流通の危険も以前として存在します。よって,児童の同意・承諾があっても児童ポルノ製造の罪は成立すると解されています。もっとも,製造者(Aさん)と児童(Vさん)との関係,児童の同意・承諾の有無,その経緯等に鑑みて,違法性が認められないなどの理由から犯罪が成立しないとされる場合は考えられます。

* 要求しただけの場合 *

児童ポルノを送るよう要求したが,相手から拒否されたため児童ポルノを入手することができなかった場合は福岡県青少年健全育成条例に定める「児童ポルノ等の提供をを求める行為の禁止の罪」に当たる可能性があります。

~ 少年事件の流れ,刑事処分 ~

少年の場合も,事件が認知されれば,家裁送致までは基本的には成人と同様の流れとなります。逮捕・勾留され身柄を拘束されることもありますし,在宅被疑者として警察から出頭の要請に応じなければなりません。
家裁送致後は,身柄を拘束されている場合は,通常,観護措置を取られ少年鑑別所に収容されます。収容後は,専門職員による調査・面会,家庭裁判所調査官による調査・面会などを受けることになります。在宅の場合も,家庭裁判所調査官による調査・面会などを受け,最終的には,少年審判を受ける必要がある場合があります(審判不開始により受ける必要がない場合もあります)。
少年審判では,保護観察,少年院送致などの保護処分,検察官送致(いわゆる逆送)の決定が下されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

福岡県の児童生徒健全育成サポート制度運用要綱

2019-04-19

福岡県の児童生徒健全育成サポート制度運用要綱

福岡市南区に住む高校生のA君は,学校から自転車で帰宅途中,同じく前方を同方向に進んでいた女性が運転する前籠に入れていたバックを盗り,そのまま逃走しました。そうしたところ,A君は,福岡県南警察署により窃盗罪で逮捕されてしまいました。A君の両親は,逮捕されたことが学校にばれて退学とならないか心配になり,弁護士に相談しました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

お子様が犯罪を犯したと知ったときに,ご両親として一番考えるのはお子様の将来のことではないでしょうか?そして,お子様の将来のことを考えると,「なるべく事件ことは学校に伏せておきたい」,「学校にはばれたくない」とお考えになることと思います。

~ ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱 ~

福岡県では,県内の小学校,中学校,高等学校に通う児童,生徒が逮捕された場合,「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱」に従って,警察と学校とが相互に必要な情報の交換をしているようです。「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱(以下,要綱)」は,県内の学校に在籍する児童又は生徒(以下,児童生徒)の非行等の問題行動並びに犯罪及び事故の被害の防止に関し,警察と学校とが必要な情報交換を行うなどして相互の連携を図り,児童生徒の健全育成に資することを目的として定められたもので,平成25年1月1日から施行されています。

= どんな場合に通報(連絡)されるの? =

要綱では,連絡責任者(警察署長)から学校長へ連絡する事案として以下の事案を対象とするとしています。

・逮捕事案
・逮捕事案以外の事案で,次に掲げる理由により連絡責任者が継続的な対応が必要と認めるもの
 ・児童生徒が粗暴行為等を敢行する非行集団の構成員であること
 ・他の児童生徒に影響が及ぶおそれがあること
 ・児童生徒が複数で非行に及んでいること
 ・児童生徒が非行を繰り返していること
 ・児童生徒が不良行為を繰り返しており,罪を犯すおそれがあること
・児童生徒の犯罪被害に係る事案で,連絡責任者が学校長への連絡の必要性を認めるもの
・児童生徒の善行事案

= 必ず通報(連絡)されるの? =

要綱では,連絡責任者は,上の事案を認めたときは,要綱の定めに従い学校長に連絡するもととされていますが,

捜査,調査その他の理由により連絡をすることができないと認めるときは,連絡をしないことができる

とされています。つまり,必ず通報(連絡)されるわけではなく,連絡責任者の裁量で通報(連絡)されるか否か判断されることになります。

= 通報(連絡)されたら退学などの処分を受けるの? =

一般的に,逮捕されたからとって,その人が犯罪を犯したと確定したわけではありません。ですから,逮捕の事実のみで処分を受けることはないと思われます。また,要綱でも,「児童生徒サポート制度の趣旨を踏まえ,連絡責任者は,学校長への連絡の際は,当該学校長に対し,連絡対象事案のみを理由とする児童生徒の退学等の短絡的な不利益処遇を行うことがないよう確認を行うものとする」とされています。

~ 警察から学校に通報させないためには ~

以上から,お子様が逮捕された場合は,警察(連絡責任者=警察署長)から学校(学校長)へ通報される場合があることをお分かりいただけたかと思います。ですから,それを阻止するためには,情報の発信元である警察に対し,通報により受けるお子様の不利益などを丁寧に説明するなどして,通報をひかえるよう働きかけていく必要があります。

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福岡県南警察署までの初回接見費用:35,900円)

少年事件と国選弁護人,国選付添人

2019-04-07

少年事件と国選弁護人,国選付添人

少年A君(19歳)は,オレオレ詐欺によって騙されたお年寄りからお金を受取り,それを指定されたところに持って行くという「受け子」のアルバイトをしていました。ところが,ある日,A君は受け渡し現場で,福岡県柳川警察署の警察官に詐欺罪で逮捕されてしまいました。その後,A君には勾留決定が出て,柳川警察署の留置施設へ収容されました。勾留の間,A君には国選弁護人が選任されました。そして,20日間が経過した後,事件は検察庁から家庭裁判所へ送致されました。その際,家庭裁判所の観護措置決定が出て,A君の身柄は柳川警察署から大阪少年鑑別所に移されました。通知を受けたA君の両親は,引き続き国選弁護人が弁護を担当してくれるだろうと思っていましたが,どうやら国選では弁護人(付添人)が選任されていないようでした。そこで,A君の両親は,息子の刑事弁護を担当してくれる少年事件に強い弁護士を探すことにしました。
(フィクション)

~ はじめに ~

身柄拘束は肉体的にも,精神的にも大きな負担となるものです。特に,精神的に未熟な少年(少年法では20歳未満の者)にとってはなおさらでしょう。そこで,少年事件では,少しでもその負担を軽減すべく,弁護士が果たす役割は大きいのではないでしょうか?そこで,このコラムでは,特に少年事件国選弁護人国選付添人を中心に解説していきたいと思います。

~ 捜査段階(逮捕から勾留)までにおける国選弁護人 ~

捜査段階では,成人(20歳以上の者)と少年とで選任の要件が異なるわけではありません。つまり,成人の事件の場合も,少年の事件の場合も,

・被疑者に勾留状が発せられ
・被疑者が困窮その他の事由により弁護人を選任することができず
・被疑者の請求があるとき

には,国選弁護人が選任されます。

* 国選弁護人は逮捕段階では選任されない *

逮捕後の刑事手続としては「逮捕→勾留」という手続で進んでいきますが,国選弁護人は勾留(勾留状発布後)後でなければ選任されません。つまり,勾留前の逮捕期間中は選任されません。したがって,逮捕段階での接見,早めの弁護活動などをお望みの場合は当番弁護士制度を利用するか,私選の弁護人を選任する必要があります。

~ 家裁送致後の国選付添人 ~

家庭裁判所送致後,少年のための弁護活動をする弁護士のことを「付添人」といいます。付添人も「私選」の場合と「国選」の場合の2種類があります。
「私選」の場合,少年及び保護者が,いつでも選任することができます。選任する場合は,「付添人選任届(少年と弁護士との連署によるもの)」という届出書を家庭裁判所へ提出する必要があります。
「国選」の場合,裁量的国選付添人と必要的国選付添人とで選任される要件が異なってきます。

= 裁量的国選付添人 =

裁量的国選付添人は,

・死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮に当たる罪(以下,対象事件という)に該当する非行に及んだこと
・観護措置が取られていること
・少年に付添人がいないこと
・事案の内容,保護者の有無その他の事情を考慮し,審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認められること

の事由が認められる場合に選任されることができるとされている付添人です。
この点,詐欺罪は,法定刑が「10年以下の懲役」ですから,「長期3年を超える懲役に当たる罪」に当たりますし,A君は観護措置決定により少年鑑別所に収容されています。そこで,「少年に付添人がいないこと」,「事案の内容,保護者の有無その他の事情を考慮し,審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認められること」の要件を満たせば国選付添人が選任される可能性があります。

= 必要的国選付添人 =

必要的国選付添人

・対象事件のうち,審判の手続に検察官の関与が必要とされた事件
・被害者等による少年審判の傍聴を許そうとする事件

に必ず選任される付添人です。非行事実に争いのある場合や,重大事件などで選任されやすいといえます。

* 家裁送致されたら国選弁護人の効力が失われる? *

少年や保護者の中には,「家裁送致後,国選弁護人だった弁護士に引き続き国選付添人として選任したい,頼みたい」と思われる方も多いと思われます。
しかし,少年法(42条2項)では,被疑者国選弁護人選任の効力については家裁送致によって失われるとされています。また,少年や保護者には,被疑者国選弁護人と同一人物を国選付添人として選任するよう請求する権利はありません。さらに,上記でご紹介したように,国選弁護人国選付添人の選任の要件が異なります。ですから,捜査段階(被疑者段階)で国選弁護人が選任されているからといって安心はできません。
詳しくは,すでに選任されている国選弁護人に予め相談しておくか,家裁送致後,あるいはその前に私選の付添人を選任する手続を進めておく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,詐欺罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談初回接見サービスを受け付けております。

少年と大麻

2019-04-03

少年と大麻

福岡県大野城市に住む高校生のAさん(17歳)は,知人から勧められて大麻を吸引していたところ,福岡県春日警察署の警察官から職務質問,所持品検査を受けてしまいました。Aさんは,ズボンの右ポケットの内に大麻入りのチャック付きポリ袋を入れていたため,警察官に大麻取締法違反(所持の罪)で逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの両親は驚き,弁護士により接見を依頼しました。

~ 少年と大麻 ~

先日,3月25日,京都府の中学3年生の女子生徒が大麻を所持していた大麻取締法違反(所持の罪)で逮捕され,ネットのなどでもニュースとなりました。
女子生徒は,入手経路について「インターネットで大麻を購入した」などと話しているとのことです。大麻はインターネットでも購入できる時代です。また,未成年であってもスマートフォンやパソコンを利用でき,容易にインターネットの世界へ飛び込める時代となっています。このようなことから,未成年であっても,一歩間違えれば大麻をはじめとする薬物に汚染されてしまう危険を有しています。

そして,少年大麻に関して,注目していただきたい数字が出ています。平成30年版犯罪白書によると,少年の覚せい剤取締法違反における検挙人員は平成10年から減少傾向にありますが,大麻取締法違反については平成25年まで減少傾向にあったものの,以下のとおり,その後,急激に増加しています。あくまでも検挙された人員ですから,すでに大麻に手を出している少年を含めるとさらに数は増えるものと思われます。

平成25年  58人
平成26年  77人
平成27年 144人
平成28年 206人
平成29年 292人

~ 大麻・薬物と縁を切るには ~

大麻・薬物と縁を切るには以下のことが大切かと考えます。また,刑事弁護の世界でも,以下のことを中心に少年の更生を促していきます。
 
= 大麻・薬物の危険を知る,「縁を切る」という固い決意を持つ = 

薬物犯罪に手を染めてしまった少年が更生するための第一歩は,少年自身が大麻・薬物に関する正しい知識を持ち,薬物の危険性を十分に理解することです。
インターネットの情報では,誰が,いつ,どんな意図をもって書いたのか不明なことがあります。できる限り,県・市の精神保険福祉センターなどが開くセミナーなどに参加して情報を取得しましょう。 

= 大麻関係者と縁を切る =

大麻関係者と縁を切るためには,まずは少年自身が入手経路について包み隠さず話す必要があります。その上で,Aさんの場合,スマートフォン,パソコンの使用をどうするかご両親を話し合う必要があります。また,スマートフォンに関係者の情報が登録してある場合は全て削除する必要があるでしょう。

= 家族も勉強する,サポートする =

大麻を止めるには,ご家族などの周囲の協力,サポートが必要不可欠です。ただし,ここで注意しなければならないことがあります。それは,本人だけでなく,ご家族も大麻について学び,大麻を止めるための対応方法について学習するということです。ご家族が不勉強なままサポートすると,そのことが本人のため役に立たないどころか,却って回復を遅らせてしまうことがあります。

= 専門機関を利用する =

ご家族のサポートと並行して,県・市の精神保険福祉センターが開く「薬物依存回復支援プログラム」や「薬物依存家族教室」に参加してみるのも一つです。ただ,治療が必要なほど依存度が高い場合は,専門の病院やダルク等の回復支援施設への入院・入所も検討しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,大麻取締法違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

 

少年事件と逆送の流れ(少年法20条の場合)

2019-03-15

少年事件と逆送の流れ(少年法20条の場合)

福岡県柳川市に住むA君(17歳)は,傷害致死罪で福岡県柳川警察署に逮捕,検察庁に送致された後勾留されました。その後,A君の事件は家庭裁判所に送致されましたが,少年審判で「刑事処分相当」であるとして「逆送決定」が出てしまいました。A君は,現在,柳川警察署に収容されているようです。A君のご両親は今後のことが不安になって少年事件に詳しい弁護士に相談を申込みました。
(フィクションです)

~ 逆送とは ~

逆送とは,家庭裁判所の調査の過程,あるいは少年審判で本人が20歳以上であることが判明したとき(少年法19条2項,23条3項),又は,家庭裁判所の審判において,刑事処分が相当であると判断されたとき(少年法20条1項),あるいは,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件(※)であって,その罪を犯したときに少年が16歳以上だったとき(少年法20条2項)に,事件を家庭裁判所から検察官に送致される手続のことをいいます。手続的には,検察官から家庭裁判所へ送られた事件が,再度,家庭裁判所から検察官の元へ送られるわけですから「逆」送と呼ばれています。

逆送されれば,成人と同様の刑事手続に移行します。正式起訴されれば,成人同様,正式裁判を受けなければなりませんし,裁判で有罪となり裁判が確定すれば刑に服さなければなりません。前科も付きます。

※ 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件

 原則的に検察官への送致を義務付ける事件で「原則逆送事件」とも呼ばれています。1997年に少年が起こした「神戸児童連続殺傷事件」を受け,平成 12年の少年法改正により新設された規定です。故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件とは,殺人罪(刑法199条),傷害致死罪(205条),強盗致死罪,強盗殺人罪(刑法240条)などがあります。

~ 逆送後の流れ(少年法20条の場合) ~

逆送後の流れを図にすると以下のとおりです。

家庭裁判所による逆送決定(①)

検察官送致(②)

強制起訴(③)(※)

裁判(④)

判決(⑤)

= ①~②について =

少年法20条の場合,少年の身柄は拘束されている場合がほとんどでしょう。①の段階では,まだ「少年鑑別所」にいます。しかし,②の段階になると,少年の身柄の措置は「観護措置」から「勾留」に変わります(呼称も少年から被疑者に変わる)。そして,被疑者(少年)の身柄は,捜査の便宜上,「少年鑑別所」から警察の留置施設(留置場)へ移されることもあります。勾留の期間は,検察官が事件の送致を受けた日から数えて10日間です。期間の延長(最大10日間)はほとんど認められないでしょう。

= ②~③について =

②の段階に入ると,検察,警察による連日の取調べなどを受けます。そして,嫌疑が固まりしだい起訴されます(③)。

※ 強制起訴と呼ばれていますが,次の場合は,起訴しないこともできるとされています(少年法45条5号但書)。

・送致を受けた事件の一部について公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がないとき
・犯罪の情状等に影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため,訴追を相当でないと思料するとき
・送致後の情況により訴追を相当でないと思料するとき

= ④~⑤について =

起訴されれば,成人と同様の刑事手続で刑事裁判を受けなければなりません。事件が裁判員裁判対象事件である場合は,一般市民である裁判員6名の参加する合議体によって裁判が行われます。ただし,少年に対する刑事事件の審理は,少年のプライバシー等に配慮して行わなければならないとされています(少年法50条)。また,マスコミ等に対しては,刑事被告人が本人であることを推知させる記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならないことを求めている(少年法61条)など,一定の配慮をしています。

~ 本件における弁護活動 ~

逆送決定自体に対する不服申し立ては認められないと解されています。そこで,まずは,逆送決定が出る前に,少年の環境調整を行うなどして家庭裁判所(あるいは調査官に)に逆送決定は相当でない旨の意見書を提出します。
次に,②段階での勾留に対する不服申し立て(準抗告)をすることが考えられます。不服申し立てが認められた場合は釈放されます。
起訴された場合は,裁判で,懲役刑や禁錮刑などの刑事罰ではなく,保護観察や少年院送致などの保護処分が相当である旨の主張を行います。この主張を行う前提として,当然,少年の環境調整を行っておく必要があることはいうまでもありません。この主張が認められた場合は,事件は再び家庭裁判所へ移送されます(55条移送)。

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少年事件と不処分

2019-03-06

少年事件と不処分

福岡県大牟田市に住むA君(16歳)は,試験勉強や部活の成績が不調であること等でストレスが溜まっていました。そして,ある日,コンビニ寄った際,誰にも見つからないだろうと思って本棚にあった漫画本1冊を手に取り,お金を支払わず店外へ出ました。そうしたところ,Aさんはコンビニ店長に呼び止められました。Aさんは店内の事務室に連れていかれ,駆け付けた福岡県大牟田警察署の警察官に窃盗罪で事情を聴かれることになりました。捜査の結果,Aさんはこの件以外にも他のコンビニ等で漫画本を万引きしていたことが判明しました。その後,Aさんの事件は,家庭裁判所へ送致されてしまいました。Aさんの両親は少年事件に強い弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

少年(20歳に満たない者)事件では,警察,検察での捜査が終わると,事件は家庭裁判所へ送致されます(送られます)。逮捕,勾留され身柄を拘束されている場合は通常,少年鑑別所に収容され,担当技官による面接や心理検査などを受けます。また,同時に家庭裁判所調査官の調査も受けます。身柄を拘束されていない場合は,稀に少年鑑別所に収容されることもありますが,通常は,収容されないまま家庭裁判所調査官の調査を受けるなどします。調査を受けた結果,結果は家庭裁判所に報告され,少年審判などに活かされます。

ただし,少年審判は必ず開かれるとは限りません(審判不開始決定)。また,仮に開かれたとしても保護処分(保護観察,少年院送致等)が下されない場合もあります(不処分決定)。以下,ご紹介いたします。

~ 審判不開始決定 ~

審判不開始決定とは,少年鑑別所や家庭裁判所調査官による調査の結果,審判に付することができず,又は審判に付するのが相当でないと認めるときに,少年審判を開始しない旨の決定をいいます。

= 「審判に付することができず」 =

「審判に付することができず」とは,非行事実の存在の蓋然性がない場合や少年の所在が不明であり,審判することができない場合などが当たります。「非行事実の存在の蓋然性がない場合」とは,少年の行為が非行の構成要件に該当しない場合や証拠上非行事実の存在の蓋然性すら認められない場合,すなわち,成人でいえば「嫌疑なし」の場合をいいます。この場合は,少年自身を少年事件の手続から解放する必要がありますし,少年に適切な処分を下すことができないからです。

= 「審判に付するのが相当でない場合」 =

「審判に付するのが相当ではない場合」とは,事案が軽微であったり,家庭裁判所に送致された段階では少年が十分に反省しており要保護性(矯正施設による保護の必要性)がなくなったりしている場合をいいます。少年審判の一番の目的は「少年の更生」にありますから,審判開始前に少年が更生していると認められる場合は少年審判を開くことは不要であるからです。

= 審判不開始決定の効果 =

少年審判は開かれません。少年審判が開かれないということは保護処分を受けることはありません。

~ 不処分決定 ~

不処分(決定)とは,家庭裁判所における少年審判の結果,保護処分に付することができないとき,又は保護処分に付するまでの必要がないと認めるときに,保護処分に付さない旨の決定のことをいいます。

= 「保護処分に付することができないとき」 =

「保護処分に付することができないとき」とは,非行事実の存在が認められない場合などが当たります。「非行事実の存在が認められない場合」とは,少年の非行事実の存在について,合理的疑いを超える心証が得られない場合をいいます。成人でいえば「無罪判決」に相当します。

= 「保護処分に付するまでの必要がないと認めるとき」 =

「保護処分に付するまでの必要がないとき」とは,審判までに少年が更生し,要保護性がなくなった場合や試験観察期間中の少年の生活態度からさらに保護処分を行う必要がなくなった場合などが当たります。調査や審判の過程で,調査官などによる教育的な働きかけによって,少年の問題点が改善され,要保護性がなくなった場合をいいます。

= 不処分決定の効果 =

保護処分を受けることはありません。

~ 審判不開始決定,不処分決定を受けるための弁護活動 ~

付添人(弁護人)としては,調査の過程で,少年に対して教育的な働きかけを行っていき,少年の事件に対する反省を深めさせたり,生活環境を整えていったりしていきます。そして,その結果を,家庭裁判所調査官に書面などで報告します。家庭裁判所調査官は,その報告書や自ら調査した結果などをもとに,家庭裁判所に対し,処分に関する意見を上申することができます。

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少年と刑事事件 

2019-02-13

少年と刑事事件 

福岡市南区の学校に通うAさん(19歳)は福岡県南警察署の警察官に大麻取締法違反(所持罪)で逮捕されました。警察から逮捕の連絡を受けたAさんのご両親は,今後のことが不安になって少年事件に強い弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

ある日,突然,

息子・娘が逮捕された

との連絡を受けたらどうでしょうか?誰しも不安だけが募るばかりで,これからどうなるのか,何をすればいいのか分からないことだらけだと思います。このコラムでは,逮捕後の流れなどについて簡単にご説明いたします。

~ 逮捕後された後はどうなるの? ~

逮捕されたら,少年であっても,通常,

警察の留置施設(刑事施設)に収容されます

ただし,少年法49条3項では,「刑事施設に収容された少年は成人と分離して収容しなければならない」と定められており,収容に関し,一定の配慮はなされるようです。なお,逮捕直後のご家族との面会は,基本的に断られることが多いです。

逮捕後は,警察官が少年である被疑者を釈放するかしないかの判断をします。釈放しない(身柄拘束の継続が必要)と判断したときは以下の2パターンのいずれかの手続に入ることになります。

= 勾留請求される場合 =

①逮捕(警察の留置施設等)→②検察官送致→③勾留請求→④勾留決定(留置施設等)→⑤家庭裁判所送致→観護措置決定(少年鑑別所)
 
①から②まで最大で48時間,①から③まで最大で72時間拘束されることになります。なお,②の段階で,検察官の判断により釈放されることがあります。また,③検察官による勾留請求があっても,裁判官がその請求を却下すれば釈放されることがあります。④勾留請求が許可された場合,少年は,裁判官が指定した留置施設等に収容されます。はじめの拘束期間は10日間です(期間の延長あり。ただし,不服申し立てを行えば早期に釈放されることがあります)。そして,警察,検察の捜査を終えて,事件は⑤家庭裁判所へ送致されます。
  
= 勾留に代わる観護措置請求される場合 =

①逮捕(警察の留置施設等)→②検察官送致→③勾留に変わる観護措置請求→④観護措置決定(少年鑑別所)→⑤家庭裁判所送致→⑥みなし観護措置決定(少年鑑別所)
 
少年事件の場合,検察官は③勾留に代わる観護措置請求をすることができます。④観護措置決定が出ると少年は少年鑑別所に収容されます。期間は10日間で期間の延長は認められていません。なお,たまに検察官は③勾留請求が却下された場合に備えて,予備的に,③勾留に代わる観護措置請求をすることがあります。この場合だと,たとえ勾留請求が却下された場合でも,④勾留に代わる観護措置決定が出ることがあります。この場合も,先ほどと同様,少年は少年鑑別所に収容されます。そして,警察,検察の捜査を終えて,事件は⑤家庭裁判所へ送致されます。

~ 家庭裁判所に送致,少年年鑑別所に移送された後はどうなるの? ~

息子様,娘様の事件が家庭裁判所に送致された後はどうなっていくのでしょうか?

この点,少年の刑事事件の手続等について定めた少年法1条は,少年法の目的を,

少年の健全な育成を期し,非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに,少年の刑事事件について特別の措置を講じることと

と定めています。

つまり,「性格の矯正及び環境の調整」とそれに関する「保護処分」を下すことが家庭裁判所送致後の一番の目的だと言えるでしょう。

= 性格の矯正及び環境の調整 =

少年が収容される少年鑑別所は,家庭裁判所の少年審判で下記の「保護処分」を出す前に,少年審判に向けて,少年の資質や性格などの調査を行うことを目的とした施設です。鑑別の対象とされた少年は,鑑別所の技官により,医学,心理学,教育学,社会学の面から様々な調査を受けます。また,家庭裁判所調査官の面接なども受けます。調査の結果は「鑑別結果通知書」という書面にまとめらて家庭裁判所に送られ,少年審判にも活用されます。

= 保護処分 =

保護処分は少年の健全な育成,更生を図るための措置で,

・保護観察
・児童自立支援施設又は児童養護施設への送致
・少年院送致

の3種類があります(少年法24条1項)。家庭裁判所は少年審判を開いた上で,保護処分の決定を出します。なお,この保護処分のほか,審判すら開かれない「審判不開始決定」,審判を開いた上で保護処分を下さない「不処分決定」というものもあります。

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少年と大麻 

2019-01-15

少年と大麻 

福岡県久留米市に住む大学生のA君(19歳)は,知人B君からこれ「マリファナ」「使ってごらん」と言われ,興味本位から,B君から乾燥大麻を受け取り,巻紙に巻いて吸っていたところ,福岡県久留米署の警察官の職務質問に遭いました。そして,A君は,B君から受け取った乾燥大麻の一部を所持していたことから大麻取締法違反(所持)の容疑で現行犯逮捕されました。逮捕の知らせを受けたA君の両親は,少年事件・薬物事件に強い弁護士に,A君との接見を依頼しました。
※少年=20歳未満の男女
(フィクションです)

~ 使用罪が処罰されないのはなぜ? ~

大麻取締法は所持罪について以下の規定を設けています。

3条1項
 大麻取扱者でなければ大麻を所持し,栽培し,譲り受け,譲り渡し,又は研究のため使用してはならない。

24条の2第1項
 大麻を,みだりに,所持し,譲り受け,又は譲り渡した者は,5年以下の懲役に処する。

他方で,覚せい剤と異なり,使用罪については規定がありません。理由はいろいろあるようですが,一番大きな理由は,私たちの生活に関係しているようです。すなわち,七味唐辛子の麻の種は元々は大麻草から取れたもの,神社にあるしめ縄の原材料の麻は大麻草の茎から作られていると言われていますが,七味唐辛子もしめ縄も日常生活で使われています。これは,成熟した種や茎は幻覚成分がなく安全とされているからです。他方で,その作成過程では,少なからず生産者の方々が幻覚成分を吸引してしまう可能性があり,使用を処罰するとすると,これらの方々を処罰しなければならず不都合が生じます。そこで,大麻取締法では使用罪の処罰規定を設けていないのです。

ただ,このことは大麻取締法が大麻を合法と認めたわけではないということは言うまでもありません。使用行為の前提として必ず所持行為があります。上記のとおり,大麻取締法は所持行為等を処罰の対象としています。A君も,所持罪で逮捕されています。

~ 少年と大麻 ~

平成29年度版犯罪白書によれば,大麻取締法違反で,検察庁に送致された少年の人数は以下のとおりです。

【平成16年 221人,平成17年 174人,平成18年 187人,平成19年 178人,平成20年 227人,平成21年 211人,平成22年 164人,平成23年 81人,平成24年 66人,平成25年 58人,平成26年 77人,平成27年 144人,平成28年 206人】

近年の傾向としては,平成23年以降100人代を切りましたが,平成27年,平成28年と連続して100人を超え一気に増加している点が気になるところです。
 
少年大麻をはじめとする薬物に手を染めてしまうケースの多くは,薬物に関する知識が浅はかなまま興味本位で,とか,周りの人間の誘いを断れなかった場合です。A君のように,タバコ感覚で大麻に手を出してしまう少年も多くいるようです。また,最近は,ネット社会ということもあり,大麻の売人から直接購入するというよりかは,インターネット上で購入するとうケースも増え,とたんに薬物の世界に足を踏み入れてしまうということにもなりかねません。

~ A君の今後 ~

少年であっても逮捕されないという保証はありません。また,事案によっては拘束期間が長期に及んだり,弁護士以外の者との接見(面会)を禁じる接見禁止決定が出る場合もあります。
A君は,逮捕から48時間以内に検察庁に送致する手続が取られ,送致を受けた検察官は,送致を受けたときから24時間以内に勾留請求するか,勾留に変わる観護措置請求をするか判断します。仮に,前者の判断をした場合,今度は請求を受けた裁判官がA君を勾留するかしないかを判断します。なお,検察官が予備的に勾留に変わる観護措置請求をしていれば,裁判官が勾留に変わり,勾留に変わる観護措置決定を出す場合があります。
勾留すると判断された場合,A君は,裁判官が指定した場所(通常は警察署の留置施設)に身柄を拘束されます。期間は,はじめ,勾留請求の日から10日間です。観護措置の判断をされた場合,A君は,少年鑑別所に収容されます。期間は,請求の日から10日間で,勾留の場合と異なり延長は認められていません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,大麻をはじめとする薬物事件少年事件専門の法律事務所です。お子様,ご家族が大麻などの薬物で逮捕されお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間無料法律相談初回接見サービスを受け付けております。

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