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少年法での年齢「18歳未満引き下げの議論」

2019-08-23

少年法での年齢「18歳未満引き下げの議論」

福岡市西区に住むA君(18歳)は、17歳のときにバイクの暴走(共同危険行為)で試験観察、その後保護観察処分を受けましたが、その保護観察期間中に学校内で暴力事件を起こし、福岡県西警察署に傷害罪で逮捕されました。その後、A君は20日間勾留され、取調べを受けるなどした後、事件を家庭裁判所へ送致(家裁送致)されました。家裁送致後は、少年鑑別所で専門技官による鑑別を受けたり、家庭裁判所調査官による面接を受けるなどし、最終的に少年審判を受けることになりました。そして、少年審判では、「少年院送致」の保護処分を言い渡されました。
(フィクションです。)

~ 少年法での年齢「18歳未満引き下げの議論」 ~

少年法の適用年齢を現行の「20歳未満」ではなく「18歳未満」に引き下げたらどうかという議論が、法務省の法制審議会が続けています。
この議論が開始されたのは、2017年(平成29年)3月からです。そして、今年6月までに部会は「16回」開催されています。
この議論の背景には、2016年からはじまった「18歳選挙権」、2022年施行の民法改正によって「18歳以上は成人」とされることがあると言われています。

* 法制審議会とは *

法制審議会とは、日本の法務省に設置された審議会等の一つで、法務大臣の諮問に応じて、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な事項を調査審議すること等を目的としています。法制審議会は学識経験者の中から法務大臣により任命された委員によって構成されています。

~ 引き下げられるとどうなるの? ~

引き下げられると、成人と同様の刑事手続を踏むことになります。
すなわち、逮捕され、勾留されるところまでは同じですが、その後が異なります。基本的には勾留期間内に、検察官による不起訴、起訴の刑事処分を受けます。仮に、起訴されると、皆さんもよくテレビドラマなどでご覧になったことのある「公開の法廷」で刑事裁判を受けなければなりません。刑事裁判を受け有罪と認定されれば、「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料」の刑事罰の言い渡しを受けます(懲役、禁錮、罰金については執行猶予付き判決の可能性もあり)。その裁判が確定すると前科となります。実刑判決を受けた場合は、少年院ではなく刑務所に収容されます。

~ 引き下げには異論も多い(理由①:少年犯罪の減少) ~

ただ、年齢引き下げには異論も多いようです。その理由の一つ目として、少年犯罪の減少です。

平成30年度版犯罪白書によれば、平成29年度に刑法犯で検挙された少年の数は

3万5108人

でした。近年を見ると、

平成24年 7万9430人
平成25年 6万9113人
平成26年 6万251人
平成27年 4万680人
平成28年 4万103人

と年々減少していることが分かります(ちなみに、少年犯罪がピークだったとされる昭和58年の検挙者数は、今と比べ少年の数が多かったものの、それでも「26万1634人」でしたから、いかに減少してきたかわかります)。

年齢引き下げ=少年犯罪の増加、少年犯罪の凶悪化?」とイメージしがちですが、実態としては、少年犯罪の数自体は年々減少してきており、世間のイメージと実態とが乖離しているかもしれません。

~ 引き下げには異論も多い(理由②:少年法が機能している) ~

理由の二つ目として、現在の少年法がきちんと機能している、と指摘する専門家もいます。また、現在議論を続けている法制審議会も、「少年法が機能していないから、年齢引き下げを検討しているものではない」ことを前提に議論を続けているようです。では、なぜ議論が続けらているのかといえば、それは「改正民法(18歳以上は成人)との整合性を保つだけ」と指摘する専門家もいます。

~ おわりに ~

少年院を経験した方からは、
・少年院を経験してよかった
・少年院があったから犯罪との縁を切れた
という声も。

このように、少年法が犯罪の目を早いうちから積むことに一役買っている、大きく貢献しているのであれば、年齢引き下げは必要ないのかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

少年事件~子どもが逮捕ですべきこと、前科~

2019-07-02

少年事件~子どもが逮捕ですべきこと、前科~

福岡市早良区に住むの高校3年生のA君は、日頃の勉強ストレスを発散から、夜道、一人で帰宅途中の女性Vさん(19歳)を背後から襲い、Vさんの胸などを揉むなどしました。ところが、A君は、ある日突然、福岡県早良警察署の警察官から自宅のガサを受け、強制わいせつ罪で逮捕されてしまいました。その場にいたA君の母親は驚き、どうしていいか分からず、少年事件に強い弁護士事務所を探し当て、弁護士にA君との接見を依頼しました。また、A君の母親は、A君に前科が付き、将来に影響が出てしまわないか酷く心配しています。
(フィクションです)

~ 子どもが逮捕されたらすべきこと ~

子ども逮捕された場合、まず真っ先に考えることは、

・学校への連絡は?
・学校に逮捕されることは通知されるの?
・退学処分となってしまわないだろうか?

などということではないでしょうか?

福岡県では、

ふくおか児童生徒健全育成サポート制度(以下、児童生徒サポート制度という)

というものが制定されており(平成25年1月1日から施行)、これに基づいて警察から学校へ通知されているようです。
児童生徒サポート制度では、

県内の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校に通う児童又は生徒

が、

非行などの問題行動を起こして逮捕などされた場合

に、

非行事案の概要、児童生徒の氏名、その他児童生徒の健全育成に資するために必要な情報

について、

警察(連絡責任者=警察署長)から学校(学校長)へ通知する

ものとされています。

* 通知を回避するには? *

ただし、児童生徒サポート制度では、

捜査、調査その他の理由により連絡をすることが適当でないと認めるときは、連絡をしないことができる

とされています。したがって、通知を回避するには、情報の発信元である警察に働きかけを行う必要があります。しかし、弁護人に弁護活動を依頼し段階ではすでに手遅れという場合もありますから、その場合は、学校に不当な処分をしないよう働きかけを行う必要があります。学校の処分は、その学校の裁量によります。

* 親は何をすべき? *

特に、お子さまが中学生、高校生の場合は、学校に「休む」旨の連絡を入れたほうが無難かもしれません(無断欠席となれば、そのことで処分を受けるおそれがあります)。このとき事件のことは伝えなくてもよいです。しかし、身柄拘束が続けば事件のことを内密にしておくことが難しくなりますし、お子さまの社会復帰も難しくなります。そこで、弁護士に弁護活動を依頼して、一刻も早い釈放(社会復帰)を目指すべきです。

~ 逮捕されたら前科が付くの? ~

逮捕されただけでは前科は付きません。
前科は、刑事裁判を受けて有罪のお墨付きを受け、その裁判が確定したときにはじめてつきます。

しかも、少年(20歳未満の者)の場合、成人とは異なった手続を踏みます。
つまり、逮捕、勾留され、一定期間、捜査機関(警察、検察)の捜査を受けることは成人とほぼ同様ですが、その後、少年事件は家庭裁判所へ送られます(少年少年鑑別所に収容されます)。そして、家庭裁判所調査官などの調査を受け、少年審判を開くかどうか、開かれた場合は何らかの処分を受けます。

* 少年審判における処分・決定 *

少年審判では「保護処分(保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設への送致、少年院送致のいずれか)」、保護処分を下さない「不処分」、少年事件を検察官の元へ送致する「逆送」、一定期間少年の様子を観る「試験観察」の決定が出されます。
「保護処分」、「不処分」の決定を受けた場合は、

前科は付きません

が、「逆送」の決定を受けた場合、その後の手続は成人と同様に進みますから、前科が付く可能性があります。「試験観察」は中間処分で、一定期間、少年の様子を観た後、「保護処分」などの決定を受けます。

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少年の逮捕、試験観察

2019-06-22

少年の逮捕、試験観察

かつて、学校内で暴行事件を起こし保護観察中だったA君(16歳)は,またしても学校内で暴行事件を起こして警察に逮捕されてしまいました。その後、A君の暴行事件は家庭裁判所へ送られ、A君は少年審判で「試験観察」の決定を受けました。A君とA君の母親は少年院だけは行きたくないと思い、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

~ 少年でも逮捕される? ~

少年とは20歳に満たない者(男女)をいいます。少年だから、警察、検察は甘く扱ってくれるのでは?などと考えていたら大間違いです。少年であっても、成人と同様

逮捕されることはあります

し、その後、勾留という逮捕よりも長い身柄拘束を受けることだってあります。

* 逮捕・勾留,観護措置への対応 *

仮に、少年逮捕された場合、弁護人は、釈放に向けて以下の対応を取ります。

逮捕段階
 警察官,検察官、裁判官宛に意見書を提出したり、場合によっては直接面談するなどして釈放を求めていきます。
勾留,勾留に代わる観護措置段階
 これらの決定に対しては準抗告申立てという異議申立てを行って釈放を求めていきます。
家庭裁判所送致段階
 勾留されている少年については,家庭裁判所送致時に,観護措置決定を出すか否かの判断がなされます。観護措置決定が出された場合,少年は 少年鑑別所に収容されます。そこでまず、裁判官宛に観護措置決定を出さないよう意見書等を提出するなどして釈放を求めていきます。勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に収容されている少年については,事件が家庭裁判所に送致された場合,観護措置決定が出されたものとみなされます(つまり,引き続き少年鑑別所に収容されたままになります)。この場合の活動も勾留の場合と同様です。なお、観護措置決定が出た後でも異議申立てにより釈放を求めていくことは可能です。

~ 少年審判のおける試験観察とは ~

試験観察とは,保護処分を決定するために必要があると認めるときに,決定をもって,相当の期間,少年を調査官の観察に付するというもので,少年に対する終局処分を一定期間留保し,その期間の少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。試験観察は,保護観察中に再非行を犯したような場合など,保護観察所・保護司による指導・監督・教育制度だけでは処遇として不十分と認められる場合などに行われるようです。
なお,試験観察はあくまで中間処分に過ぎないので,試験観察が終わってもそれで終了というわけではなく,最終的には試験観察の経過を見て終局処分(保護処分等)が決定されます。

* 試験観察の種類 *

試験観察の種類は2種類あります。一つは「在宅試験観察」と呼ばれるもの、もう一つは「補導委託」と呼ばれるものです。 
「在宅試験観察」の場合、少年審判の日に「釈放」され、自宅等へ戻ることができます。その後は、日記などを付けたり、定期的に家庭裁判所に出頭して調査官と面札するなどして、最終的に終局処分が下されます。
他方、「補導委託」の場合、少年審判の日に自宅へ戻ることはできません。つまり、補導委託先(農家やお寺など)へ身柄を移され、そこでの生活を経た後、最終的に終局処分が下されます。

* 試験観察と保護観察との違い *

試験観察と保護観察との違いについてご質問を受けることがあります。
保護観察処分は、保護観察所の指導監督の下、少年の更生を図る処分で「最終的な処分」、試験観察処分は、上記でもご説明したとおり、少年を少年院送致にするか保護観察処分にするかなどを判断する「中間的な処分」です。試験観察中の順守事項を言い渡されますが、それを破ると重い保護処分(少年院送致)を言い渡される可能性が高くなります。

~ 試験観察が予想される場合、試験観察となった場合の弁護活動 ~

試験観察が予想される場合は、まずは、在宅試験観察を求めていきます。そのためにも、早い段階から少年に更生を促し、在宅でも更生できる環境を整えておく必要があります。試験観察となった場合は、定期的に少年や保護者と面談するなどして、不処分や保護観察などの軽い処分を獲得できるよう努めます。

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少年事件と少年院送致

2019-05-22

少年事件と少年院送致

福岡県春日市内の高校に通うAさん(16歳)は、お金の貸し借りの件で友人Vさんと口論となり、Vさんの顔や腹部を殴る蹴るなどの暴行を加え、Vさんに全治2か月の大怪我を負わせてしまいました。Aさんは、学校の通報により駆け付けた福岡県春日警察署の警察官に傷害罪で逮捕されてしまいました。逮捕を通知を受けたAさんの両親は、今後、息子が少年院送致されるのではないかと不安になり、弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 傷害罪 ~

傷害罪は刑法204条に規定されています。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、当初、怪我させるつもりはあった場合はもちろん、なかった場合でも、行為と結果(傷害)との間に因果関係が認められる場合には成立します。また、傷害の結果、人を死亡させた場合は傷害致死罪に問われることになります。

* 傷害致死罪は原則逆送事件 *

故意の犯罪行為により被害者を死亡させ、行為時に16歳以上だった少年にかかる事件については、原則、家庭裁判所にある事件を検察官の元へ送致しなければなりません。これを原則逆送事件と呼んでおり、傷害致死罪もこの事件に含まれます。検察官の元へ送致されると、成人と同様の刑事手続で進められていきます。裁判となれば、一般人が裁判に参加する裁判員裁判を受けなければなりません。

~ 少年院送致とは ~

少年院送致は、家庭裁判所の少年審判において下される保護処分(少年院送致の他に、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致があります)の一つです。少年審判では、少年をどの種類の少年院送致するかまで決定されます(少年審判規則37条1項)。少年院の種類は以下のとおりです(少年院法4条1項1号から3号)。

第1種(1号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね十二歳以上二十三歳未満のもの(次号に定める者を除く。)
第2種(2号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね十六歳以上二十三歳未満のもの
第3種(3号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね十二歳以上二十六歳未満のもの

* 少年院の収容期間は? *

少年院の収容期間は、大きく短期処遇と長期処遇にわけられます。

短期処遇は、さらに特修短期処遇と一般短期処遇にわけられ、「特修短期処遇」の場合、「4か月」以内、「一般短期処遇」の場合、「6か月」以内です。長期処遇については10か月から2年です。

さきほど、少年審判では家庭裁判所から処遇に関する勧告が出されることがあります(少年審判規則38条2項)。ここで、家庭裁判所が特集短期処遇、一般短期処遇との勧告を出せば、少年院はこれに従うべきとされています(従う勧告)。また、長期処遇については、「比較的短期」の処遇勧告が出た場合、収容期間は10か月以内とされ、少年院はその勧告を尊重しなければならないとされています(尊重勧告)。しかし、長期処遇について何ら勧告がない場合は、少年院が1年から2年の範囲内で決めています。

~ 傷害事件における弁護活動(少年院送致回避に向けて) ~

相手に怪我を負わせている場合は、相手が肉体的にも精神的にも損失を被っています。ですから、一刻も早く被害弁償をして、示談を締結することが先決です。示談を成立させることができれば、反省の意を示す証拠ともなり得、少年院送致回避に向けた証拠としても使えます。

傷害事件の場合には,少年に強い暴力性が認められるケースが多く,自分の感情をコントロールすることができないなどの欠点が見受けられることも多いものです。そのため,弁護士が少年と同じ目線に立って,感情のコントロールの仕方を教えていくことが重要となります。その上で、少年の生活環境、家庭環境、交友関係などを見直し、更生のための環境を整えていく必要があります。 

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福岡県春日警察署までの初回接見費用:36,600円)

通貨偽造罪は重たい罪

2019-05-18

通貨偽造罪は重たい罪

少年A君は、千円札2枚の両面をカラーコピーした上で、ハサミなどで本物と同じ形に整え、これを中学校の売店の店員であるVさんに手渡しました。千円札を受け取ったVさんは違和感を感じ、学校へ報告。学校から通報を受けた福岡県筑紫野警察署が捜査したところ、千円札2枚は偽札だったことが判明しました。筑紫野警察署は、通貨偽造・同行使罪、詐欺罪で捜査を進めていますが、現在のところ犯人の特定には至っていません。
(事実を基にしたフィクションです)

~ はじめに ~

先日10日、大野城市内の中学校の売店で、千円札をカラーコピーして偽造したとみられる偽札2枚が見つかったとのニュースが報道され話題となっています。犯人は特定されていないようですが、犯行場所が中学校の売店であること、犯行態様が千円札の両面をカラーコピーしはさみで切り取っただけの稚拙な犯行であることからすれば同中学校に通う中学生の犯行である可能性が高いでしょう。今後、警察は、Vさんへの聞き込み、偽造千円札に付着した指紋の採取とその鑑定、犯行に使われた道具の押収、中学生等への聞き込みなどから犯人を特定していくものと思われます。
ところで、千円札2枚をカラーコピー機で両面印刷するという行為は「通貨偽造罪」という罪に当たり得る立派な犯罪です。そして、偽造した通貨を他人に手渡すなどの行為は「偽造通貨行使罪」という罪に当たります。そこで、今回は、両罪について解説していきたいと思います。

~ 通貨偽造罪は重たい罪 ~

通貨偽造罪は刑法148条1項に規定されています。

刑法148条1項
 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

見てお分かりいただけるように、通貨偽造罪

無期懲役

が規定されているほか、有期懲役刑も

最低が3年

ですから、他の罪を比べてかなり重たい罪であることが分かります。ちなみに、強盗罪は5年以上の有期懲役ですが、その強盗罪ですら無期懲役の規定はありません。

~ 通貨偽造罪の内容 ~

では、具体的意味について解説いたします。

= 行使の目的 =

「行使」とは、偽造・変造した通貨を真正な通貨として流通に置くことをいいます。つまり、通貨偽造罪が成立するには、偽造した通貨を真正な通貨として流通に置く目的で通貨を偽造することが必要ということになります。したがって、学校の教材で使用するために千円札をカラーコピーしたなどとう場合は、通貨偽造罪は成立しません。

= 通用する貨幣、紙幣又は銀行券 =

「通用する」とは、強制通用力を有していることを意味します(※通用する通貨か否かは日本銀行のホームページなどで確認することができます)。貨幣、紙幣、銀行券を総称して「通貨」といいます。「貨幣」とは政府が発行する硬貨、「紙幣」とは政府が発行する貨幣代用証券(現在は流通してない)、「銀行券」とは日本銀行が発行する貨幣代用証券、すなわち日本銀行券を意味します。千円札はもちろん銀行券です。

= 偽造・変造 =

「偽造」とは、通貨発行権者(政府・日本銀行)でない者が、真正の通貨の外観を有するものを作ること、「変造」とは、通貨発行権者でない者が、真正な通貨に加工して、別個の、真正な通貨と紛らわしい外観を有する物を作ることをいいます。
「偽造」と「変造」の違いが分かりにくいですが、「変造」は常に真正な(本物の)通貨が材料となる点を抑えてください。簡単に言えば、本物の千円札に0を一個加えて1万円札にする行為は「偽造」ではなく「変造」となります。事例では、本物の通貨に手を加えたわけではありませんから「偽造」とされているのです。

~ 偽造通貨行使罪は別に規定 ~

偽造・変造した通貨を行使すれば通貨偽造行使罪に当たります。通貨偽造行使罪は刑法148条2項に規定されています。

刑法148条2項
 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使のも目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項(刑法148条1項)と同様とする。

ちなみに、通貨を偽造し、これを行使した場合は、通貨偽造罪と偽造通貨行使罪の両方が成立しますが、両者は手段と結果の関係にあり一罪として処理されます(牽連犯罪、刑法54条1項後段)。

~ 物品を取った行為は詐欺罪にも!? ~

偽造した通貨を行使し、行使した相手から物品(財物)を受け取った場合は詐欺罪に当たる可能性もあります。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」で、通貨偽造・同行罪とは別個に処罰されます(併合罪)。

~ 少年事件の行方 ~

仮に、犯人が少年だと判明した場合でも、逮捕される可能性は十分あります。逮捕され身柄拘束が継続すれば、最短でも10日間、最長で20日間の身柄拘束を受けます。その後、事件は家庭裁判所に送致されます。家庭裁判所調査官などによる調査が行われ、少年審判が開かれます。少年審判では、

・「少年院送致」「保護観察」「児童自立支援施設又は児童養護施設への送致」の保護処分
・保護処分が必要でない場合の「不処分」
・刑事処分が相当である場合の「検察官送致」
・一定期間、更生の具合を見極める「試験観察」

のいずれかの決定が出されます。ネットなどでは通貨偽造罪は重たい罪だから「少年院送致は確実」などと言われていますが、必ずしも法定されている刑の重さと保護処分の内容とは結び付くものではありません。確かに、通貨偽造罪は社会的影響力が大きい犯罪ですが、今回は、偶然にも学校の売店段階で流通がとどまっていること、犯行態様が稚拙であること、被害額も少ないことなどを考慮すれば「保護観察」の可能性も十分あるのではないかと思います。

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集団暴走と接見禁止解除

2019-05-10

集団暴走と接見禁止解除

北九州市小倉北区に住むA君(17歳)は、同区内の高校に通う高校2年生です。A君はバイクが好きで、自身の誕生日祝いに、同区内の道路をバイク仲間10人と原動機付自転車を集団暴走していました。そうしたところ、A君他10人は福岡県小倉北警察署のパトカーに制止するよう呼び止められました。しかし、A君らはその制止を振り切り集団暴走を継続したところ、増員された警察官によって制止されてしまいました。そして、A君他5人は、道路交通法違反(共同危険行為)で現行犯逮捕されましたが、残り5人はいまだ逃走中で未検挙です。A君は、逮捕後勾留され、接見禁止決定が出てしまいました。A君の両親はこのままではA君と面会できないことから、まずは接見禁止の解除をしてもらうべく弁護士に相談しました。
(フィクションです。)

~ 集団暴走と犯罪 ~

集団暴走を行えば、一般的に、以下の違反行為に当たるおそれがあります。

・共同危険行為の禁止違反(道路交通法68条)
・消音器不備車両の運転の禁止違反(道路交通法71条の2)
・騒音運転等の禁止違反(道路交通法71条5号の3)
・整備不良車両運転の禁止違反(道路交通法62条等)
・無免許運転の禁止違反(道路交通法117条の2の2)

このうち、共同危険行為については道路交通法68条で、

二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

と定められています。

* 少年と刑事事件 *

共同危険行為の罰則は、道路交通法117条の3で「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」と定められていますが、少年の場合、原則として、この罰則が直ちに科せられることはありません。少年は捜査機関によ捜査が終わると事件は家庭裁判所に送られ、少年の更生に向けた調査や環境調整が行われます。そして、少年審判が開かれた場合、原則として、「保護処分」あるいは保護処分を必要としない「不処分」の決定が出されます。

~ 接見禁止とは ~ 

接見禁止とは、原則として検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者(少年)が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じることをいいます。
本件の場合、未検挙の者が5人いることから、これらの者と通謀するなどして罪証隠滅行為を働くおそれが高いとして接見禁止決定が出る可能性が高いです。ただし、接見禁止決定はあくまで「勾留中」に出されるものですから、少年に対して観護措置決定が出て少年鑑別所に収容されている場合は接見禁止決定を出すことはできません。

~ 接見禁止の解除とは ~

接見禁止の効力を解き、弁護人又は弁護人となろうとする者以外との接見(面会)を可能とすることをいいます。
接見禁止解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば、制限なく接見できます。また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。

事件関係者との接見は認めないが、事件に全く関係のない家族等なら接見を認める

などという場合に一部解除となります。
ですから、子ども様との一刻も早い接見をお望みの場合は、弁護士に法律上の異議申立てや全部又は一部解除の申し立てを行ってもらいましょう。

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少年の児童ポルノ製造事件

2019-04-21

少年の児童ポルノ製造事件

福岡県久留米市の高校に通っているA君(17歳)は,SNSで知り合った別の高校に通う女子高生Vさん(16歳)に,LINEで「裸の写真送って」とメッセージを送り,Vさんの自撮りした裸の写真画像を手に入れました。しかし,A君はその後,Vさんから「親が久留米警察署に相談に行くと言っている」と聞き,不安になったことから,このことを自分の親に相談しました。そして,A君は親とともに,少年事件に詳しい弁護士に相談に訪ねることにしました。
(フィクションです)

~ 児童ポルノ製造の罪 ~

児童ポルノ製造の罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下「法律」という)の7条3項,4項,5項,7項に規定されています。今回のAさんの行為は,法律7条4項の製造罪に該当しそうです。法律7条4項によれば,

 児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これを写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物により描写することにより,当該児童に係る児童ポルノ製造した者 ※児童=18歳に満たない者(法律2条1項)

が処罰の対象とされるとしています。
少し言い回しが難しいですが,要は,

児童の裸などの姿(第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態)をスマートフォンなど(正確には,電磁的記録に係る記録媒体その他の物)に記録(描写)した者

が対象となると考えればいいでしょう。

なお,「姿態をとらせ」とは,行為者(Aさん)の言動等により,当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいいます。行為者自らがとったか否かは問わず,また強制によることを要しないと解されています。

* 児童の同意がある場合 *

児童の同意がある場合は,製造の罪は成立しないのでしょうか?

この点,製造の罪は,児童ポルノ製造行為が児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならず,流通の危険もあることから処罰の対象とされるものです。よって,たとえ児童が児童ポルノ製造につき同意・承諾していたとしても児童の心身に害悪を及ぼすことに変わりはないですし,児童ポルノの流通の危険も以前として存在します。よって,児童の同意・承諾があっても児童ポルノ製造の罪は成立すると解されています。もっとも,製造者(Aさん)と児童(Vさん)との関係,児童の同意・承諾の有無,その経緯等に鑑みて,違法性が認められないなどの理由から犯罪が成立しないとされる場合は考えられます。

* 要求しただけの場合 *

児童ポルノを送るよう要求したが,相手から拒否されたため児童ポルノを入手することができなかった場合は福岡県青少年健全育成条例に定める「児童ポルノ等の提供をを求める行為の禁止の罪」に当たる可能性があります。

~ 少年事件の流れ,刑事処分 ~

少年の場合も,事件が認知されれば,家裁送致までは基本的には成人と同様の流れとなります。逮捕・勾留され身柄を拘束されることもありますし,在宅被疑者として警察から出頭の要請に応じなければなりません。
家裁送致後は,身柄を拘束されている場合は,通常,観護措置を取られ少年鑑別所に収容されます。収容後は,専門職員による調査・面会,家庭裁判所調査官による調査・面会などを受けることになります。在宅の場合も,家庭裁判所調査官による調査・面会などを受け,最終的には,少年審判を受ける必要がある場合があります(審判不開始により受ける必要がない場合もあります)。
少年審判では,保護観察,少年院送致などの保護処分,検察官送致(いわゆる逆送)の決定が下されます。

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福岡県の児童生徒健全育成サポート制度運用要綱

2019-04-19

福岡県の児童生徒健全育成サポート制度運用要綱

福岡市南区に住む高校生のA君は,学校から自転車で帰宅途中,同じく前方を同方向に進んでいた女性が運転する前籠に入れていたバックを盗り,そのまま逃走しました。そうしたところ,A君は,福岡県南警察署により窃盗罪で逮捕されてしまいました。A君の両親は,逮捕されたことが学校にばれて退学とならないか心配になり,弁護士に相談しました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

お子様が犯罪を犯したと知ったときに,ご両親として一番考えるのはお子様の将来のことではないでしょうか?そして,お子様の将来のことを考えると,「なるべく事件ことは学校に伏せておきたい」,「学校にはばれたくない」とお考えになることと思います。

~ ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱 ~

福岡県では,県内の小学校,中学校,高等学校に通う児童,生徒が逮捕された場合,「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱」に従って,警察と学校とが相互に必要な情報の交換をしているようです。「ふくおか児童生徒健全育成サポート制度運用要綱(以下,要綱)」は,県内の学校に在籍する児童又は生徒(以下,児童生徒)の非行等の問題行動並びに犯罪及び事故の被害の防止に関し,警察と学校とが必要な情報交換を行うなどして相互の連携を図り,児童生徒の健全育成に資することを目的として定められたもので,平成25年1月1日から施行されています。

= どんな場合に通報(連絡)されるの? =

要綱では,連絡責任者(警察署長)から学校長へ連絡する事案として以下の事案を対象とするとしています。

・逮捕事案
・逮捕事案以外の事案で,次に掲げる理由により連絡責任者が継続的な対応が必要と認めるもの
 ・児童生徒が粗暴行為等を敢行する非行集団の構成員であること
 ・他の児童生徒に影響が及ぶおそれがあること
 ・児童生徒が複数で非行に及んでいること
 ・児童生徒が非行を繰り返していること
 ・児童生徒が不良行為を繰り返しており,罪を犯すおそれがあること
・児童生徒の犯罪被害に係る事案で,連絡責任者が学校長への連絡の必要性を認めるもの
・児童生徒の善行事案

= 必ず通報(連絡)されるの? =

要綱では,連絡責任者は,上の事案を認めたときは,要綱の定めに従い学校長に連絡するもととされていますが,

捜査,調査その他の理由により連絡をすることができないと認めるときは,連絡をしないことができる

とされています。つまり,必ず通報(連絡)されるわけではなく,連絡責任者の裁量で通報(連絡)されるか否か判断されることになります。

= 通報(連絡)されたら退学などの処分を受けるの? =

一般的に,逮捕されたからとって,その人が犯罪を犯したと確定したわけではありません。ですから,逮捕の事実のみで処分を受けることはないと思われます。また,要綱でも,「児童生徒サポート制度の趣旨を踏まえ,連絡責任者は,学校長への連絡の際は,当該学校長に対し,連絡対象事案のみを理由とする児童生徒の退学等の短絡的な不利益処遇を行うことがないよう確認を行うものとする」とされています。

~ 警察から学校に通報させないためには ~

以上から,お子様が逮捕された場合は,警察(連絡責任者=警察署長)から学校(学校長)へ通報される場合があることをお分かりいただけたかと思います。ですから,それを阻止するためには,情報の発信元である警察に対し,通報により受けるお子様の不利益などを丁寧に説明するなどして,通報をひかえるよう働きかけていく必要があります。

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福岡県南警察署までの初回接見費用:35,900円)

少年事件と国選弁護人,国選付添人

2019-04-07

少年事件と国選弁護人,国選付添人

少年A君(19歳)は,オレオレ詐欺によって騙されたお年寄りからお金を受取り,それを指定されたところに持って行くという「受け子」のアルバイトをしていました。ところが,ある日,A君は受け渡し現場で,福岡県柳川警察署の警察官に詐欺罪で逮捕されてしまいました。その後,A君には勾留決定が出て,柳川警察署の留置施設へ収容されました。勾留の間,A君には国選弁護人が選任されました。そして,20日間が経過した後,事件は検察庁から家庭裁判所へ送致されました。その際,家庭裁判所の観護措置決定が出て,A君の身柄は柳川警察署から大阪少年鑑別所に移されました。通知を受けたA君の両親は,引き続き国選弁護人が弁護を担当してくれるだろうと思っていましたが,どうやら国選では弁護人(付添人)が選任されていないようでした。そこで,A君の両親は,息子の刑事弁護を担当してくれる少年事件に強い弁護士を探すことにしました。
(フィクション)

~ はじめに ~

身柄拘束は肉体的にも,精神的にも大きな負担となるものです。特に,精神的に未熟な少年(少年法では20歳未満の者)にとってはなおさらでしょう。そこで,少年事件では,少しでもその負担を軽減すべく,弁護士が果たす役割は大きいのではないでしょうか?そこで,このコラムでは,特に少年事件国選弁護人国選付添人を中心に解説していきたいと思います。

~ 捜査段階(逮捕から勾留)までにおける国選弁護人 ~

捜査段階では,成人(20歳以上の者)と少年とで選任の要件が異なるわけではありません。つまり,成人の事件の場合も,少年の事件の場合も,

・被疑者に勾留状が発せられ
・被疑者が困窮その他の事由により弁護人を選任することができず
・被疑者の請求があるとき

には,国選弁護人が選任されます。

* 国選弁護人は逮捕段階では選任されない *

逮捕後の刑事手続としては「逮捕→勾留」という手続で進んでいきますが,国選弁護人は勾留(勾留状発布後)後でなければ選任されません。つまり,勾留前の逮捕期間中は選任されません。したがって,逮捕段階での接見,早めの弁護活動などをお望みの場合は当番弁護士制度を利用するか,私選の弁護人を選任する必要があります。

~ 家裁送致後の国選付添人 ~

家庭裁判所送致後,少年のための弁護活動をする弁護士のことを「付添人」といいます。付添人も「私選」の場合と「国選」の場合の2種類があります。
「私選」の場合,少年及び保護者が,いつでも選任することができます。選任する場合は,「付添人選任届(少年と弁護士との連署によるもの)」という届出書を家庭裁判所へ提出する必要があります。
「国選」の場合,裁量的国選付添人と必要的国選付添人とで選任される要件が異なってきます。

= 裁量的国選付添人 =

裁量的国選付添人は,

・死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮に当たる罪(以下,対象事件という)に該当する非行に及んだこと
・観護措置が取られていること
・少年に付添人がいないこと
・事案の内容,保護者の有無その他の事情を考慮し,審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認められること

の事由が認められる場合に選任されることができるとされている付添人です。
この点,詐欺罪は,法定刑が「10年以下の懲役」ですから,「長期3年を超える懲役に当たる罪」に当たりますし,A君は観護措置決定により少年鑑別所に収容されています。そこで,「少年に付添人がいないこと」,「事案の内容,保護者の有無その他の事情を考慮し,審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認められること」の要件を満たせば国選付添人が選任される可能性があります。

= 必要的国選付添人 =

必要的国選付添人

・対象事件のうち,審判の手続に検察官の関与が必要とされた事件
・被害者等による少年審判の傍聴を許そうとする事件

に必ず選任される付添人です。非行事実に争いのある場合や,重大事件などで選任されやすいといえます。

* 家裁送致されたら国選弁護人の効力が失われる? *

少年や保護者の中には,「家裁送致後,国選弁護人だった弁護士に引き続き国選付添人として選任したい,頼みたい」と思われる方も多いと思われます。
しかし,少年法(42条2項)では,被疑者国選弁護人選任の効力については家裁送致によって失われるとされています。また,少年や保護者には,被疑者国選弁護人と同一人物を国選付添人として選任するよう請求する権利はありません。さらに,上記でご紹介したように,国選弁護人国選付添人の選任の要件が異なります。ですから,捜査段階(被疑者段階)で国選弁護人が選任されているからといって安心はできません。
詳しくは,すでに選任されている国選弁護人に予め相談しておくか,家裁送致後,あるいはその前に私選の付添人を選任する手続を進めておく必要があります。

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少年と大麻

2019-04-03

少年と大麻

福岡県大野城市に住む高校生のAさん(17歳)は,知人から勧められて大麻を吸引していたところ,福岡県春日警察署の警察官から職務質問,所持品検査を受けてしまいました。Aさんは,ズボンの右ポケットの内に大麻入りのチャック付きポリ袋を入れていたため,警察官に大麻取締法違反(所持の罪)で逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの両親は驚き,弁護士により接見を依頼しました。

~ 少年と大麻 ~

先日,3月25日,京都府の中学3年生の女子生徒が大麻を所持していた大麻取締法違反(所持の罪)で逮捕され,ネットのなどでもニュースとなりました。
女子生徒は,入手経路について「インターネットで大麻を購入した」などと話しているとのことです。大麻はインターネットでも購入できる時代です。また,未成年であってもスマートフォンやパソコンを利用でき,容易にインターネットの世界へ飛び込める時代となっています。このようなことから,未成年であっても,一歩間違えれば大麻をはじめとする薬物に汚染されてしまう危険を有しています。

そして,少年大麻に関して,注目していただきたい数字が出ています。平成30年版犯罪白書によると,少年の覚せい剤取締法違反における検挙人員は平成10年から減少傾向にありますが,大麻取締法違反については平成25年まで減少傾向にあったものの,以下のとおり,その後,急激に増加しています。あくまでも検挙された人員ですから,すでに大麻に手を出している少年を含めるとさらに数は増えるものと思われます。

平成25年  58人
平成26年  77人
平成27年 144人
平成28年 206人
平成29年 292人

~ 大麻・薬物と縁を切るには ~

大麻・薬物と縁を切るには以下のことが大切かと考えます。また,刑事弁護の世界でも,以下のことを中心に少年の更生を促していきます。
 
= 大麻・薬物の危険を知る,「縁を切る」という固い決意を持つ = 

薬物犯罪に手を染めてしまった少年が更生するための第一歩は,少年自身が大麻・薬物に関する正しい知識を持ち,薬物の危険性を十分に理解することです。
インターネットの情報では,誰が,いつ,どんな意図をもって書いたのか不明なことがあります。できる限り,県・市の精神保険福祉センターなどが開くセミナーなどに参加して情報を取得しましょう。 

= 大麻関係者と縁を切る =

大麻関係者と縁を切るためには,まずは少年自身が入手経路について包み隠さず話す必要があります。その上で,Aさんの場合,スマートフォン,パソコンの使用をどうするかご両親を話し合う必要があります。また,スマートフォンに関係者の情報が登録してある場合は全て削除する必要があるでしょう。

= 家族も勉強する,サポートする =

大麻を止めるには,ご家族などの周囲の協力,サポートが必要不可欠です。ただし,ここで注意しなければならないことがあります。それは,本人だけでなく,ご家族も大麻について学び,大麻を止めるための対応方法について学習するということです。ご家族が不勉強なままサポートすると,そのことが本人のため役に立たないどころか,却って回復を遅らせてしまうことがあります。

= 専門機関を利用する =

ご家族のサポートと並行して,県・市の精神保険福祉センターが開く「薬物依存回復支援プログラム」や「薬物依存家族教室」に参加してみるのも一つです。ただ,治療が必要なほど依存度が高い場合は,専門の病院やダルク等の回復支援施設への入院・入所も検討しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,大麻取締法違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

 

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