Archive for the ‘刑事事件’ Category

自殺ほう助未遂罪

2020-10-19

自殺ほう助罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

Aさんは、自宅において、自分と一緒に自殺することに同意した恋人Vさんと練炭自殺を図ろうとしました。

しかしながら、途中で練炭の火が消えてしまったために、AさんもVさんも一命をとりとめました。

この件でAさんは、福岡県西警察署の警察官により自殺幇助未遂罪の容疑で逮捕されてしまいました。

Aさんが逮捕されたことを知ったAさんの両親は、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。

(フィクションです。)

 

~ 自殺幇助罪 ~

刑法第202条が規定している犯罪は、全部で4種類あります。

①人を教唆して自殺させる自殺教唆罪、②人を幇助して自殺させる自殺幇助罪、③嘱託を受けて人を殺す嘱託殺人罪、④承諾を受けて人を殺す承諾殺人罪の4つです。

①と②とをまとめて自殺関与罪、③と④とをまとめて同意殺人罪ともいいます。

これら4つの罪は、何らかの形で「自ら死ぬ」と判断した人が死ぬことにつき関与したという点で共通しています。

他方で、自殺関与罪と同意殺人罪とは、実際に行われた行為が自殺なのか殺人(他殺)なのかという点で大きな違いがあります。

上の事案では、練炭を用いたいわゆる無理心中が行われており、これは自殺であると考えられますので、自殺関与罪の成否が問題になると考えられます。

 

では、自殺関与罪のうち、自殺教唆罪と自殺幇助罪とはどのように区別されるでしょうか。

まず、「教唆」とは、他人を唆して特定の犯罪を実行する決意を生じさせることをいいます。

他方、「幇助」とは、すでに犯罪の実行を決意している人に対して助言や激励などによってその決意を強固にすることをいいます。

「教唆」も「幇助」もどちらとも犯罪を実行する人に対して犯罪の実行についての発言をしているというてんでは共通していますが、犯罪を実行した人が犯罪実行の決意をしたのが自らの意思によるのか、それとも発言を受けたことによるのかという点で異なります。

当初は犯罪を実行するつもりがなかったという場合には「教唆」、当初から犯罪を実行するつもりであったという場合には「幇助」となります。

そうすると、自殺幇助罪は、すでに自殺を決意している人に対して助言や手伝いをしてその決意を強固にする犯罪ということになります。

 

上の事案では、どのような経緯でAさんとVさんが練炭自殺による無理心中を図ろうとしたのか明らかではありません。

そのため、Vさんが当初から自殺をする意思があったのか否かが問題となります。

当初から自殺をする意思があってAさんの関与を受けたことによって自殺を図るに至ったという場合には自殺幇助罪、当初から自殺をする意思がなかったのにAさんの関与により自殺を図るに至ったという場合には自殺教唆罪となる可能性があります。

 

なお、自殺幇助罪が成立するためには、幇助によって自殺を図ったという事実が必要であり、ただ自殺をするように助言をしたというだけでは自殺幇助罪は成立しません。

上の事案では、実際に練炭に火をつけて自殺を図っていますが、Vさんが死亡するに至っていないため、これに関与したAさんには自殺幇助既遂罪ではなく自殺幇助未遂罪が成立する可能性があります。

この場合、6月以上7年以下の懲役に処せられることがあります。

 

もっとも、自殺幇助罪について、そもそも自殺は犯罪ではないのに、それを幇助した者が従犯として処罰されるのはおかしいのではないかという問題があります。

そもそも従犯は、犯罪の実行を幇助する行為ですので、犯罪ではない自殺を幇助しても犯罪とはならないようにも思えます。

この点については様々な見解が対立していますが、生命という最も重要な利益の放棄にあたる自殺については、他者が関与することまでは許されないことから、自殺幇助罪を処罰すべきだと考えられているようです。

 

~ 殺人罪の可能性 ~

仮に自殺の助言につき、相手方の自由な意思決定を阻害するような態様で行われたという場合には、自殺関与(未遂)罪にとどまらず殺人(未遂)罪が成立する可能性があります。

殺人罪が斉一した場合には、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処せられることがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。ぜひ一度、当事務所までご相談ください。

正当業務行為で無罪

2020-10-12

正当業務行為と無罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

看護師であるAさんは、高齢者患者であるVさんの爪を深く切り、出血を伴う全治約10日のケガをさせるという虐待をしたとして、福岡県警中央署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの家族から依頼を受けて刑事事件に強い弁護士がAさんに初回接見したところ、Aさんは「爪を切ったことは間違いないが、これは医療目的で行ったものです」と話しました。
刑事事件に強い弁護士は、正当業務行為による無罪主張を検討しています。
(事実を基にしたフィクションです。)

~ 傷害罪(刑法第204条) ~

人の身体を傷害した場合には、傷害罪が成立します。
「傷害」とは、人の生理的機能に障害を加えることをいいます。
「傷害」の典型的な行為としては、例えば、殴る蹴るなどして打撲や骨折などの症状を与えることや、包丁などの刃物を用いて切りつけて切り傷を与えることなどがあげられます。
もっとも、このような有形的方法のみならず、脅迫や連続した無言電話等の無形的方法によって、ノイローゼによる精神障害を生じさせたり、連続した無言電話により精神衰弱症を生じさせたりする行為についても、人の生理的機能に障害を加えたといえるので、「傷害」に当たることになります。
上の事案のAさんによるVさんの爪を切るという行為は、殴る蹴るなどのような有形的方法に当たると考えられます。
もっとも、ただ爪を切るというだけでは人の生理的機能に障害を加えたとまでは言えませんので、「傷害」にはあたらず、暴行罪(刑法第208条)のいう「暴行」にとどまります。
Aさんのように、Vさんの爪を深く切ることにより、出血を伴うケガをさせた場合には、出血によって人の生理的機能に障害を加えたとして、「傷害」に当たると考えられます。

また、傷害罪が成立するには傷害の故意が必要となります。
もっとも、相手を傷害するつもりはなかったものの、暴行した結果相手をケガさせてしまったといういわゆる「暴行致傷」の場合については刑法上条文がなく、どのように考えるべきか見解が分かれています。
一般的には、有形的方法による傷害の場合には、傷害結果についての認識がなくとも暴行の認識があれば傷害の故意が認められると考えられています。
他方、無形的方法による傷害の場合には、傷害結果についても認識がなければ傷害の故意は認められないと考えられています。
上の事案でいえば、AさんはVさんの爪を切るという有形的方法により出血というケガを負わせていますので、Aさんに出血という傷害結果の認識がなくとも、爪を切るという暴行行為についての認識があれば、傷害罪の故意が認められるということになります。

~ 正当業務行為(刑法第35条) ~

ある行為が傷害罪に当たる場合であっても、ある一定の条件を満たせば犯罪が成立しないという場合があります。
例えば、相手方を殴ってケガをさせてしまったという場合でも、それが相手方の攻撃に対する反撃として行われた場合には、正当防衛(刑法第36条第1項)として、傷害罪が成立しないということがあります。
正当業務行為は、「正当な業務による行為」をいい、正当防衛と同様に犯罪を不成立とさせるものです。

正当業務行為の典型例は、医者による患者に対する医療行為です。
例えば、医者が患者に対して手術の際に患者の身体にメスを入れる場合、メスを入れるという有形力の行使により出血という生理的機能への障害が生じるため、これは傷害罪にあたることになります。
もっとも、これで傷害罪が成立するとなると医者は手術を行うことができなくなりますので、このような行為を正当業務行為として犯罪不成立とするわけです。

では、上の事案のAさんの行為は正当業務行為となりうるでしょうか。
上の事案の基となった裁判例では、看護師の患者に対する爪切り行為につき傷害罪の構成要件に該当するとしたうえで、「看護目的でなされ、看護行為として必要性があり、手段、方法も相当といえる範囲を逸脱するものではないから、正当業務行為として」認められると判断されました。
この裁判例の判断に従えば、上の事案のAさんの行為についても、正当業務行為であるといえる可能性があります。。
傷害罪が成立した場合には、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることがありますが、正当業務行為が認められると傷害罪は成立しませんので、このような刑罰が科されることはありません。

このように、傷害罪に当たる場合でも正当業務行為が認められ、犯罪不成立となる場合があります。
傷害事件で逮捕された場合には、刑事事件に強い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部まで初回接見をご依頼ください。

公務執行妨害と早期釈放に向けた弁護活動

2020-09-28

公務執行妨害罪と早期釈放に向けた弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県粕屋町に住むAさんは通りがかりの福岡県粕屋警察署の警察官Vさんに職務質問を受けました。その際、AさんはVさんから所持品のことをしつこく聴かれたため、酒に酔って気が大きくなっていたことも手伝って、「お前に何の権限があるんだ!」と言いながらVさんの胸を両手で押し後方に突き飛ばしました。そのため、Aさんは公務執行妨害罪の現行犯として逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~公務執行妨害罪~

公務執行妨害罪は刑法95条1項に規定されています。

刑法95条1項
 公務員が職務を執行するにあたり、これに対して暴行・脅迫を加えた者は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

Aさんが納得していないのは、
1 石を直接、警察官にぶつけたわけではないのに公務執行妨害罪の「暴行」と言えるのか
2 石をパトカーに投げつけただけで、実際に、公務員の職務を「妨害」してないではないか
という点だと思います。以下、1、2につきご説明します。

= 上記1(公務執行妨害罪の「暴行」とは) =

刑法の規定の中には「暴行」という言葉がよくつかわれますが、その意味は各罪名によって異なりますから注意が必要です。刑法の「暴行」は次の4種類に分けられます。

① 最広義の暴行(例:騒乱罪(刑法106条))
  有形力の行使すべてを含み、対象は人であっても物であってもよいとされています。
② 広義の暴行(例:強要罪(刑法223条))
  人に対する有形力の行使をいいますが、直接暴行だけではなく、間接暴行も含むとされてます。
③ 狭義の暴行(例:暴行罪(刑法208条))
  人の身体に対する有形力の行使をいいます。
④ 最狭義の暴行(例:強盗罪(刑法236条)、事後強盗罪(238条)、強制性交等罪(177条)、強制わいせつ罪(刑法176条))
  人の身体に対する有形力の行使で、人の反抗を抑圧するか、著しく困難にする程度のものとされています。

このうち、公務執行妨害罪の「暴行」は上記②に当たります。直接暴行とは、人の身体に直接に有形力を加えることですが、間接暴行とは、物に対する有形力で、それにより間接的に一定の人に物理的・心理的に感応を与えるようなものを意味します。すなわち、後者の場合、直接人の身体に暴行を加える必要はありません。Aさんの「パトカーに石を投げつけ、フロントガラスにひびを入れた」という行為もこの間接暴行に当たりそうです。

= 上記2(公務執行妨害罪の「妨害」とは) =

上の暴行の程度ですが、当然、職務執行の妨害となる程度のものである必要がありますが、それによって現実に職務の執行が妨害されたことを必要とされません。これは、公務執行妨害罪の目的が公務の円滑な執行を保護するためにあるからです。過去には、警備中の警察官に対する1回だけの命中しなかった投石行為につき公務執行妨害罪の成立を認めた判例(最判昭33年9月30日)があります。
Aさんの周囲には警察官が5名おり、しかも、パトカーに損害を加えただけで、実際に職務に当たる警察官には危害を加えていないから公務を「妨害」したというには違和感を感じます。しかし、それでも公務執行妨害罪が成立するおそれがありますから注意が必要です。

~早期釈放に向けた弁護活動~

公務執行妨害罪は、警察官から職務質問を受けた際に警察官とトラブルとなった際に適用されることの多い罪です。
警察官に手を出した場合、その警察官に現行犯逮捕されてしまうことが多いでしょう。

もっとも、公務執行妨害罪はその罪の性質上、釈放されたとしても罪証隠滅行為を行うことが難しい罪といえます。
そのため、弁護士が勾留の理由や必要性がない旨記載した意見書やご家族の方の上申書などを裁判所に提出することによって、勾留されずに釈放されることも少なくありません。万が一勾留されてしまった場合には裁判所に対して勾留に対する準抗告の申立てをし、1日でも早い身柄解放を目指します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、公務執行妨害罪等の刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。ご家族が刑事事件で逮捕されお困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

逮捕前の業務上横領罪なら弁護士

2020-09-21

逮捕前の業務上横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市中央区にある小売店で働く店長のAさんは、ギャンブル等の遊興費に多額のお金を費やした上に、住宅ローンなどの支払いも3か月間滞り、銀行から支払いの催促を求められていました。Aさんは、親や妻から消費者金融や闇金にだけは手を出すな、と言われていたことからお金の宛がなく、最終的に、会社のお金を横領して何とか現状を乗り切ろうと考えました。Aさんはお店の売上金集計して会社に報告することになっていたところ、売上金を少なく申告してその差額を自分の懐にいれてるということを繰り返し、9か月間で合計約120万円を横領しました。そうしたところ、Aさんは、不審に感じた会社の会計監査から突然、事情を聴かれ、売上金を横領したことを認めました。Aさんは全額、一括で返済しなければ福岡県中央警察署に業務上横領罪で刑事告訴すると言われています。
(フィクションです。)

~ 業務上横領罪 ~

業務上横領罪は刑法253条に規定されています。

刑法253条 
 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

単純な横領罪との違いは「業務上」の横領かどうかという点と、法定刑が異なることです(単純横領罪は5年以下の懲役)。
「業務」とは、「社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行われる事務」をいうとされています。なお、「業務」は報酬、利益を目的とする事務でなくてもよいとされています。
横領罪は、物の所有者と占有者(Aさん)との間にある信頼関係(委託信任関係)を破った点を非難される罪であるところ、業務上横領罪は、物の占有が業務上の信頼関係に基づくものであるため、横領罪よりもさらに刑が加重されているのです。

~ 窃盗罪との違い ~

窃盗罪と横領罪との違いは、その物に対する支配が及んでいるのか及んでいないのか、という点にあります。及んでいる場合が横領罪、及んでいない場合が窃盗罪です。
例えば、店の金庫の中に100万円が置いてあったとします。

そのお金の管理を任せれている(つまり、お金に対する支配を及ぼしている)人(例えば店の店長)が勝手に現金を持ち出したなどという場合は横領罪が成立します。
反対に、お金の管理を任せれていない(つまり、お金に対する支配がない、権利がない)人(例えば店の従業員)が勝手に現金を持ち出したなどという場合は窃盗罪が成立します。

なお、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

~ 難しい横領の意義、既遂時期 ~

一言で「横領」といっても、個別具体的事案や証拠関係によって、何を横領行為ととらえるのか、どの時点で横領したと認めるのか、つまり、横領の既遂時期を確定するのかは、事案が複雑になればなるほど難しくなってきます。ちなみに、「横領」とは不法領得の意思を実現する行為といわれています。そして、不法領得の意思が客観化されたときに既遂に達すると言われていますが、この判断も、やはり個別具体的事案やその証拠関係によって異なるでしょう。今回の事例の詳細は不明ですが、少なくとも、Aさんが売上金を他に費消した時点(例えば、住宅ローンの支払いに使った時点(それが証拠上認められた場合))が横領となり、かつ横領の既遂に達するものと考えられます。

~ 逮捕を回避するなら ~

なによりもまず、示談交渉をすることが先決です。そして、円滑、円満に示談を成立させるためには弁護士に示談交渉を依頼されることをお勧めいたします。
確かに、弁護士費用は安いものではありませんし、弁護士費用とは別に示談金を準備しなければならず、特にお金に困っている方にとっては弁護士に依頼するかどうか悩まれるところではないでしょうか?

しかし、弁護士に示談交渉を依頼すれば、交渉しだいでは支払期限に関して先延ばししてもらったり、支払い方法に関して分割を認めてもらうなど、様々な条件について少しでも有利に交渉を進めてくれます。そして何より、示談が成立させ相手方から刑事告訴しないと約束してもらえれば、

逮捕されない

という安心感を得ることが最大のメリットではないでしょうか?
まずは、こうしたことを踏まえて、弁護士に依頼されるかどうか判断されてみてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は,まずは,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスの受け付けを行っております。

5,000円)

親権を持つ親が未成年者略取罪?監禁致傷罪?

2020-09-07

親権を持つ親の未成年者略取罪と監禁致傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します

福岡市東区に住む夫Aさんは、自身が不倫をしたことが妻Bさんにばれてしまい、それのことがきっかけとして別居するようになりました。A・Bさん夫婦には6歳の子どもCちゃんがいますが、CちゃんはBさんと同居しています。そして、ある日、Bさんと離婚調停中のAさんは「このままでは将来、子どもの親権を持てない。」、「子どもと一生あえなくなるかもしれない。」などと不安になり、Bさんが住んでいるアパートを訪ね、Bさんが留守であるところを見計らってCちゃんを誘い出し、Cちゃんを車に乗せてそのまま連れ去ってしまいました。ところが、Aさんが信号停止中、助手席に乗っていたCちゃんは自らドアを開け、外に逃げ出し近くの人に助けを求めたのでした。Cちゃんは車から逃げ出した際、全治1週間の怪我を負いました。他方、Aさんは車を走らせていたところ、東警察署の警察官が運転するパトカーに呼び止められてしまいました。そして、Aさんは未成年者略取罪、監禁致傷罪で逮捕されてしまいました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~未成年者誘拐罪~

未成年者誘拐罪は刑法224条に規定されています。

刑法224条
 未成年者を略取し、誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

「未成年者」とは20歳未満の者をいいます。
「略取」とは、略取された者の意思に反する方法、すなわち暴行、脅迫を手段とする場合や、誘惑に当たらない場合でしかも相手方の真意に反する方法を手段として、未成年者を自分や第三者の支配下に置くことをいいます。
「誘拐」とは、欺罔(騙すこと)や誘惑を手段として、他人を自分や第三者の支配下に置くことをいいます。
「誘拐」と「略取」とをあわせて「拐取」ということもあります。

なお、VちゃんがAさんの誘いに同意していたとしても本罪の成否には何ら関係がありません。つまり、本罪は成立します。
これは、本罪が守ろうとしているのが未成年者の自由だけでなく、親権者(Bさん)の保護監督権も含まれからです。親権者が同意していない以上、本罪は成立します。また、離婚前で、AさんがCちゃんに対する親権を持っているかどうかも無関係です。

~監禁致傷罪~

監禁致傷罪は刑法221条に規定されています。

刑法221条
 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

本条は「人を死傷」とされていますから、監禁致傷罪のみならず監禁致死罪に関する規定でもあります。
そして、監禁致死傷罪(監禁致傷罪、監禁致死罪)は、上記規定から①前条の罪を犯すこと、②人を死傷させること、③①と②との間に因果関係が認められること、によって成立する犯罪、といえそうです。

①「前条の罪」とは刑法220条の「逮捕・監禁」の罪を指しています。

刑法220条
 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

「監禁」とは、人が一定の区域内から脱出することが不可能又は著しく困難にすることをいいます。
そして、監禁といえるためには、被監禁者の自由の拘束が完全なものであることを要しないとされています。したがって、一応、脱出の方法がないわけではないけれども、生命・身体の危険を冒すか、又は常軌を脱した非常手段を講じなければ脱出できないような場合であれば監禁といえます。

「不法に」とは、まさに違法であることをいいます。
違法かどうかは、行為の手段・目的などに照らして社会通念上許容されるものかどうか、という観点から判断されます。

③「よって人を死傷させた」の「よって」というのは人の「傷害」「死」という結果の発生と、その結果と監禁そのもの、少なくともその手段としての行為との間に因果関係が必要であることを意味しています。
したがって、被害者が監禁状態から離脱しようとして怪我を負ったり死亡した場合にも、監禁致傷罪、監禁致死罪に問われる可能性があります。

刑法221条は「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」としています。
これは傷害の場合、傷害罪(刑法204条:15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)。死亡の場合、傷害致死罪(刑法205条:3年以上の有期懲役(上限20年))の罪と比較する、ということを意味しています。

そして、傷害罪と監禁罪を比較した場合、下限は監禁罪が重たく、上限は傷害罪が重たいことが分かります。
したがって、監禁致傷罪の法定刑は

3月以上15年以下の懲役

となります。
次に、傷害致死罪と監禁罪を比較した場合、傷害致死罪が重たいことが分かります。
したがって、監禁致死罪の法定刑は

3年以上の有期懲役

となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、未成年者誘拐罪、監禁致傷罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件での執行猶予獲得をご検討中の方は弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談(ご案内はこちら→無料法律相談のご案内)、初回接見サービス(ご案内はこちら→初回接見サービスのご案内)を受け付けております。

レイプドラッグで準強制性交等罪

2020-08-17

レイプドラッグを使用した準強制性交等事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~
福岡県福岡市に住むVさんは、会社の上司であるAさんと飲みに行った際、途中で記憶がなくなり、気づいたときには、ホテルのベッドの上でした。
Vさんは、Aさんと行った飲食店でトイレに行くため席をたち、戻ってからお酒を飲んでいたところまでは覚えているのですが、それ以降の記憶がありません。
Vさんは、上司であるAさんに好意を抱いていたわけではなかったため、自分から進んで肉体関係を持つはずがないと思い、すぐに福岡県博多警察署に相談し、近くの病院を受診しました。
すると、Vさんの体内からは睡眠薬の成分が検出されました。
福岡県博多警察署は、Aさんを準強制性交等などの罪で逮捕しました。
(フィクションです)

レイプドラッグを使用した性的暴力

睡眠薬などの薬物を飲み物に混入し、相手を意識がない状態にさせ、性交を行う事件は、残念ながら少なくありません。
いわゆるレイプドラッグを使用した性犯罪の加害者の多くが、被害者の顔見知りだと言われています。
レイプドラッグの被害者は、記憶がないことや、加害者が知り合いのため、なかなかすぐに警察に相談することができないケースも多くあるようです。
レイプドラッグを使用して、相手の同意なく性交をする行為は、準強制性交等罪に当たる可能性があります。

準強制性交等罪について

刑法第178条 
 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

準強制性交等罪とは、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じて、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をする犯罪をいいます。

◇心神喪失◇

「心神喪失」とは、睡眠や泥酔などによる意識喪失や高度の精神障害などによって性的行為について正常な判断ができない状態にあることです。
ここでいう「心神喪失」は、刑事責任能力における「心神喪失」と同じ意味ではなく、重度の精神薄弱者などで、責任無能力の状態であっても、性交の意味を理解できる場合には、準強制性交等罪における「心神喪失」には当たらないと理解されます。

◇抗拒不能◇

「抗拒不能」とは、物理的・心理的に、性交等に対して抵抗することが不可能であったり著しく困難な状態をいいます。
例えば、相手方を自分の配偶者や恋人と勘違いして性交等を行った場合も、抗拒不能に当たります。

◇故意◇

心神喪失・抗拒不能に乗じて、または、これらの状態にさせて、性交等をすることの認識・容認も準強制性交等罪の成立に必要となります。
この故意の有無を争う場合には、加害者が「被害者の合意があった」と思うことに合理的な理由があることを客観的な証拠に基づいて主張する必要があります。
例えば、これまでの二人の関係や行為に及ぶまでの経緯、飲酒量や飲酒時・後の様子、行為後のやり取りなど、客観的に当時被害者が泥酔状態ではなかったことや、今までの経験から合意がなかったとは言えないことなどを立証していきます。

以上を踏まえると、上の事例のようなレイプドラッグを使用し、相手を意識のない状態にさせて、性交したケースにおいては、準強制性交等罪が成立することに余地はないでしょう。

レイプドラッグを使用した準強制性交等事件は、その犯行態様も悪質であり、被疑者は、公判請求されて刑事裁判を受けることになるでしょう。
準強制性交等罪は親告罪ではないため、被害者との間で示談が成立したとしても、起訴される可能性はあります。
しかし、被害者との示談が成立した場合には、不起訴となる可能性を高めることができますし、起訴された場合であっても、量刑判断に大きく影響しますので、容疑を認める場合には、被害者との示談成立が重要なカギとなります。

容疑を否認する場合には、被疑者に不利な供述がとられないように取調べ対応について適切なアドバイスを受けることが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
準強制性交等事件で加害者となり対応にお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。

動物愛護法違反事件で送検

2020-08-10

動物愛護法違反事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~
福岡県飯塚市に住むAさんは、飼い猫を虐待して殺害し、その様子を撮影した動画をインターネットの掲示板に投稿したとして、福岡県飯塚警察署は、動物愛護法違反の疑いでAさんを福岡地方検察庁飯塚支部に書類送検しました。
Aさんは、今後どのような流れとなるのか、どのような処分を受ける可能性があるのか不安になり、刑事事件に精通する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

改正動物愛護法の施行

「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、「動物愛護法」といいます。)は、動物の愛護と動物の適切な管理を目的とする法律です。

動物愛護法の対象となる動物は、家庭動物、展示動物、産業動物、実験動物などの人の飼養に係る動物です。

動物愛護法における主な罰則

6月1日より施行された改正愛護動物法は、動物虐待に対する罰則が引き上げられました。

動物愛護法は、愛護動物をみだりに殺し、又は傷つける行為を禁止し、それに違反した場合には、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金を科すと定めています。(動物愛護法第44条1項)
ここでいう「愛護動物」とは、
①牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
②①に掲げるものを除く他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
です。

また、愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼育し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であって疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他虐待についても、動物愛護法は禁止いています。
これに違反した場合の罰則は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰則となっています。
このような虐待に当たるか否かについては、行為の態様、侵害の程度、目的の正当性、手段の相当性、その他の状況を総合して社会通念に照らして判断されます。

愛護動物を遺棄した場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。

ちなみに、他人の飼っている動物を傷害した場合は、器物損壊罪が成立する可能性があります。

動物虐待に関する過去の裁判では、猫9匹を殺害し、4匹に傷害を負わせたという事案について、裁判所は、犯行態様は、捕獲器で捕まえた猫に熱湯を繰り返し浴びせかけるなどしており、残虐なものである上、1年余りの間に計13匹の猫に虐待を加えた常習的犯行であり、虐待行為自体に楽しみを覚え、その様子を撮影した動画をインターネット上で公開することが目的化したというものであり、各犯行は動物愛護の精神に反する悪質なものであるとし、被告人に懲役1年10月執行猶予4年の有罪判決を言い渡したものがあります。(東京地判平29・12・12)
悪質な虐待を行うケースでは、通常の裁判となる可能性もありますので、早期に弁護士に相談し、弁護活動に着手する必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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空き巣の常習累犯窃盗罪

2020-07-27

空き巣常習累犯窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~
福岡県筑紫野警察署は、福岡県筑紫野市内の複数個所で現金などを盗んだとして、窃盗と住居侵入の疑いで無職のAさんを福岡地方検察に追送検しました。
Aさんは、これまで何度も空き巣を繰り返してきており、警察でも名の知れた人物です。
Aさんは、常習累犯窃盗罪で福岡地方裁判所で公判中です。
(フィクションです。)

空き巣で成立し得る罪は?

家人が留守中の家屋に浸入し、財物を盗むことを「空き巣」と呼び、窃盗や強盗の手口の一種です。
空き巣を行った場合、窃盗罪と住居侵入罪が成立する可能性があります。
窃盗罪は、他人の財物を窃取する罪であり、住居侵入罪は、他人の住居等に正当な理由なく侵入するものです。
空き巣という1つの行為で2つ以上の罪が成立することになるのですが、この場合、窃盗の手段として人に住居等に侵入したため、窃盗罪と住居侵入罪の関係は、「牽連犯」となります。
牽連犯の関係にある場合には、より重い罪である窃盗罪で処断されることになります。

常習累犯窃盗罪が成立するためには

さて、Aさんは窃盗と住居侵入の罪で追送検されましたが、常習累犯窃盗罪で公判中の身です。
これまで幾度となく空き巣を繰り返しているAさんですが、裁判にかけられている常習累犯窃盗罪とはどのような場合に成立するものなのでしょうか。

常習累犯窃盗罪は、「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」(以下、「盗犯等防止法」といいます。)の第3条に規定される罪です。

常習累犯窃盗罪は、
①常習として窃盗罪、強盗罪、事後強盗罪、昏酔強盗罪およびこれらの未遂を犯した者であり、
②その犯罪行為前の10年以内に、窃盗、窃盗未遂などについて、懲役6月以上の刑の執行を受けた、またはその刑の執行の免除を得ていたことが3回以上ある
場合に成立します。

◇②形式的要件◇

(a)犯罪行為の10年以内
「窃取行為などが開始される前の10年以内」のことで、行為開始日は除かれ、行為開始の前日から10年遡った日以降を意味します。

(b)窃盗、窃盗未遂など
前科の内容としては、窃盗、強盗、事後強盗、昏酔強盗のほか、常習累犯窃盗、強盗致死傷も含まれます。
また、幇助犯や教唆犯も含まれます。

(c)刑の執行を受け、または刑の免除を得た
「刑の執行を受け」というのは、10年以内の3回のうち最初の刑の執行終了日が10年以内であればよく、その執行開始日が10年以内であることは必要ありません。
懲役刑の執行猶予の判決を受けて、執行猶予期間を経過した場合や執行猶予期間中である場合には、刑の執行を受けたことにはならず、執行の免除を受けたことにもなりません。

◇①実質的要件◇

常習累犯窃盗罪の成立には、常習として犯したことという実質的要件を満たす必要があります。
ここでいう常習性は、反復して窃盗罪などを犯す習癖を有することをいいます。
この常習性の判断は、行為者の前科・前歴の内容、動機、手口や態様、犯行回数、性格などを総合的に考慮してなされます。

常習累犯窃盗罪の法定刑は、3年以上20年以下の懲役であり、通常の窃盗罪よりも重くなっています。

罪を認める場合であれば、弁護士は、できる限り刑が減軽されるよう求める活動を行います。
被害弁償を行う、被告人が反省していること、被告人の監督を期待できる家族等の存在や再犯防止に向けた取組みなど再犯防止策を講じる準備があることなど、被告人に有利な事情を積極的に公判で主張し、できる限り言い渡される刑が軽くなるよう働きかけます。

ご家族が窃盗、常習累犯窃盗罪で逮捕・起訴されお困りの方は、今すぐ刑事事件・少年事件を専門とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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大麻取締法違反(栽培ほう助)で逮捕

2020-07-20

大麻取締法違反栽培ほう助)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~
福岡県福岡市中央区の園芸用品販売会社に勤めるAさんは、ある日、福岡県中央警察署大麻取締法違反栽培ほう助)の容疑で逮捕されました。
大麻の栽培に使用することを知りながら、複数の客に大麻育成に必要な照明器具などを販売したという疑いで、会社の社長Bさん、従業員のCさんと共に逮捕されました。
Aさんは、「大麻の栽培に使用されるなんて知らなかった。」と供述しているとのことですが、捜査機関は、県内で大麻の営利目的栽培で複数人を摘発しており、その被疑者らが栽培用具をAさんの勤める会社から購入したことが分かっており、客に対して栽培方法についてのアドバイスもしていたとみて調べを進めています。
(実際の事件を基にしたフィクションです。)

大麻取締法違反:栽培ほう助罪

大麻取締法で規制対象となる「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)とその製品です。
大麻草の成熟した茎や樹脂を除くその製品、大麻草の種子やその製品は、大麻取締法における「大麻」から除かれます。

大麻取締法は、その第3条において、大麻取扱者以外の大麻の所持・栽培・譲受・譲渡し・研究目的使用を禁止しています。
大麻の所持・栽培・譲受・譲渡・研究目的使用が許される「大麻取扱者」というのは、大麻栽培者と大麻研究者です。
前者は、都道府県知事の免許を受けて、繊維もしくは趣旨を採取する目的で大麻草を栽培する者をいい、後者は、都道府県知事の免許を受けて、大麻を研究する目的で大麻草を栽培・使用する者をいいます。
大麻の所持・栽培・譲受・譲渡し・研究目的使用が許される「大麻取扱者」でない者が、大麻の所持・栽培・譲受・譲渡し・研究目的使用を行った場合には、大麻取締法違反となり刑事罰が科される可能性があります。

大麻の違法栽培に対する罰則については、大麻取締法第24条に規定されています。

第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

「みだりに」というのは、「違法に」という意味で、この場合、許可を受けていないのに大麻を栽培等することを意味します。
大麻の違法栽培の法定刑は、7年以下の懲役です。
営利目的であった場合は、刑が加重され10年以下の懲役、情状により10年以下の懲役と300万円以下の罰金となります。

Aさんらは、大麻の栽培ほう助罪に問われています。
ほう助」については、刑法第62条に規定されています。

第六十二条 正犯を幇ほう助した者は、従犯とする。
2 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。

ほう助犯は、「正犯をほう助した者」のことです。
ほう助犯が成立するためには、
ほう助者が「正犯をほう助」し、
②被ほう助者が犯罪を実行した
ことが必要となります。

①正犯をほう助すること
ほう助行為とほう助の故意が必要です。
ほう助行為は、実行行為以外の行為によって正犯を補助し、その実行行為を容易にする行為を行うことです。
ほう助の方法は、物理的であると精神的であるとを問いません。
また、正犯をほう助する意思も必要です。
ほう助の意思の内容については、学説により争いがあるところですが、被ほう助者である正犯が犯罪の結果を発生させることまでの認識・認容を意味すると一般的に理解されています。

②被ほう助者が犯罪を実行したこと
ほう助行為は行われたものの、正犯者が実行の着手に至らなかった場合、つまりほう助の未遂は、不可罰となります。
一方、被ほう助者が実行行為に出たものの、その犯罪が未遂に終わった場合を未遂犯のほう助といいますが、この場合は処罰の対象となります。

さて、Aさんは、用具を販売した客が大麻を栽培することを知らなかったと供述しています。
ほう助の故意を否認しているわけです。
主観的要件のため、ほう助の故意を立証することは容易ではありません。
しかし、故意を推認させるような証拠、例えば、客がAさんから大麻の栽培方法についてアドバイスを受けていた事実などがあれば、Aさんが単に「知らなかった」と主張しても通らないでしょう。
また、捜査機関の取調べにおいて、被疑者が供述した内容が供述調書として後の公判で証拠として使用される可能性がありますが、その取調べにおいて、故意があったと思わせるような供述が取られると、後々に争うことは難しいのです。
ですので、被疑者段階での取調べ対応はしっかりと行うことが重要です。

ご家族が刑事事件を起こしてしまった場合には、すぐに刑事事件に強い弁護士に接見を依頼されるのがよいでしょう。
弁護士は、逮捕された方から事件の詳細を伺った上で、今後の流れや取調べ対応について的確なアドバイスを行います。
特に、否認事件の場合には、自分の意に反した供述調書がとられないよう注意を払い取調べに対応する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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強制わいせつ致傷事件で裁判員裁判

2020-07-13

強制わいせつ致傷事件で裁判員裁判となった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

~事例~
福岡県福岡市東区の駅から、帰宅する女性をつけていたAさんは、「ナンパしてご飯とか行けたらラッキー。」と思い、人気がない路地に入ると、女性に声をかけました。
女性は、知らない人に声をかけられたため、無視していましたが、Aさんはしつこく女性につきまといました。
そのうちムラムラしてきたAさんは、女性の背後から抱きつき、服の中に手を入れ、胸などを無理やり触り始めました。
驚いた女性は、地面に倒れ込み、その際に脚や膝に擦り傷を負いました。
Aさんは、その場から逃げましたが、福岡県東警察署強制わいせつ致傷の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)

強制わいせつ致死傷罪

強制わいせつ致傷罪は、刑法181条に以下のように規定されています。

第176条若しくは第178条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

刑法176条は、強制わいせつ罪について、178条1項は準強制わいせつ罪について規定しています。

つまり、強制わいせつ致傷罪は、強制わいせつ・準強制わいせつ、又はこれらの未遂罪を犯した結果、被害者を死傷させた場合に成立する罪です。

強制わいせつ罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をする犯罪です。
相手方が13歳未満の場合は、暴行・脅迫を用いずともわいせつな行為をしれば強制わいせつ罪は成立します。

「わいせつな行為」というのは、性的な意味を有し、本人の性的羞恥心の対象となるような行為をいいます。
胸や陰部を触るなどの行為だけでなく、キスも「わいせつな行為」に当たる可能性があります。
わいせつな行為を強要する手段としての暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧する程度のものである必要はありませんが、犯行を著しく困難にする程度のものであることが必要です。
この判断は、犯人や被害者の年齢、犯行の状況、凶器の有無等に基づいてされます。
なお、暴行自体がわいせつな行為である場合にも、強制わいせつ罪が成立します。
つまり、殴るといった暴行を加えずとも、胸を触るという行為それ自体が強制わいせつ罪の手段でる「暴行」であると同時に「わいせつな行為」でもある場合です。

Aさんのように背後から抱きついて、相手方の胸を無理やり触るなどの行為は、強制わいせつ罪に当たるでしょう。

裁判員裁判

裁判員裁判とは、一般市民が裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合にはどのような刑にすべきかを裁判官と一緒に決める裁判制度のことをいいます。
裁判員裁判となる事件は、刑事裁判の中でも一定の重大事件だけです。
最も重い刑として死刑や無期懲役が定められている罪や、故意の犯罪行為で人を死亡させた罪に問われている事件です。
強制わいせつ致傷事件も裁判員裁判の対象となります。

裁判員は、裁判官と一緒に刑事事件の公判に出席します。
公判では、証拠として提出された物や書類を取り調べるほか、証人や被告人に対する質問も行われます。
そして、証拠に基づき、被告人が有罪か無罪かを検討し、決定します。
有罪とした場合には、被告人にどうような重さの刑罰を科すべきかについても判断します。
これらの判断は、裁判官3名と裁判員6名の合計9名で行なわれ、過半数の5名の意見が一致すれば決定となります。
ただし、被告人を有罪にする場合や、被告人に不利益な判断をする場合には、裁判官のうち少なくとも1名が加わっていなければなりません。

以上のように、裁判員裁判では、一般市民が裁判員となり、事実認定や刑の量定を決めることになります。
そのため、裁判員が十分に理解し納得するために、通常の裁判よりも分かり易く丁寧な説明を心がける必要があると言えます。

また、裁判員裁判では、実際の裁判が開かれる前に、公判前整理手続という手続きが行われます。
公判前整理手続とは、裁判員に実際に審理をしてもらう前に、裁判官・検察官・弁護人の三者により、本件事件の争点や、実際に裁判に提出する証拠を整理する手続きです。
このような手続きの中で、事件の争点や、重要な事実が整理され、裁判員には、最初から争点や判断の対象が提示されるようになっています。
公判前整理手続において、どの証拠を公判で取り調べるかが決定されます。
原則として、公判前整理手続において請求しなかった証拠を後日請求することはできません。
被告人に有利な証拠を提出することができないようなことのないよう、証拠開示の制度をうまく利用して、被告人に有利な証拠を検察官に開示させることが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に扱っており、これまでも数多くの刑事事件を経験してきました。
刑事事件における豊富な経験や知識を活かし、裁判員裁判にもしっかりと対応し最善の弁護活動を行います。

強制わいせつ致傷事件で、ご家族が逮捕されてお困りの方、裁判員裁判に対応する刑事事件に強い弁護士をお探しであれば、弊所にご相談ください。
お問い合わせは、フリーダイアル0120-631-881まで。

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