Archive for the ‘薬物事件’ Category

危険ドラッグと薬機法

2019-07-21

危険ドラッグと薬機法

福岡市南区に住むAさんは、業として危険ドラッグ(指定薬物)を販売した疑いで、薬機法違反により福岡南警察署に逮捕されました。Aさんは、介護が必要な母親と二人暮らしでしたが、アルバイトだけえは生活費を工面することができず、危険ドラッグの販売に手を染めてしまったとのことです。Aさんは接見に来た弁護士に、母親のためにも何とか早く釈放されないかと相談を持ち掛けました。
(フィクションです。)

~ 危険ドラッグ(指定薬物)とは ~

危険ドラッグは、おもに、麻薬や覚醒剤の構造を変えた薬物のことをいいます。

危険ドラッグを規制する法律は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、略して「薬機法」と呼ばれる法律です。
薬機法では、

 中枢神経の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物(以下、略)として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの

を「指定薬物」とし(薬機法2条15項)、指定薬物の

・製造
・輸入
・販売
・授与
・所持
・購入
・譲受
・医療等の用途以外の用途の施用

を禁止しています(薬機法76条の4)。

~ 罰則は?? ~

業として(反復継続する意思で)の、製造、輸入、販売、授与、所持(販売又は授与の目的で貯蔵し、陳列した者に限る)の場合は、

5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金。又は併科(薬機法83条の9)

単なる、製造、輸入、販売、授与、所持(販売又は授与の目的で貯蔵し、陳列した者以外)、購入、譲受、医療等の用途以外の用途の施用の場合は

3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科(薬機法84条26号)

です。

~ 指定薬物である疑いがある場合は? ~

さらに、薬機法76条の6第1項では、厚生労総大臣又は都道府県知事が、指定薬物ではないにしても、その疑いがある物(指定薬物又は指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物)を発見した場合は、

・当該物品を貯蔵し、陳列している者
・製造、輸入、販売、授与した者

に対し、当該物品が指定薬物又は指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物であるかどうかについての検査を受けるべきことを命ずることができるとしています。
また、薬機法76条の6第2項では、上記の命令を受けた者に対し、検査を受け通知を受けるまでの間、同一物品を

・製造、輸入、販売、授与
・販売若しくは授与目的での陳列、広告

をしてはならないことを命じることができるとし、この命令に違反した場合は

1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又は併科(薬機法86条23号)

に処せられることがあります。

~ 薬物事件と釈放 ~

薬機法違反などの薬物事件の場合,逮捕・勾留される可能性が高いと思われます。それは,危険ドラッグ等の薬物の取引は,通常,関係者や証拠物が多数に上り,被疑者を釈放してしまえば,それらに対し罪証隠滅行為が行われ,事案の全容を解明することが困難になると考えられるからです。
他方で,ある程度捜査が終了したと考えられる場合(例えば,起訴された後)は,捜査の必要性も低まり,身柄解放の可能性も高くなると言えるでしょう(起訴後は保釈請求しなければなりません)。また,捜査中であっても,被疑者が事件に無関係であることが明らかな場合,これ以上起訴するに足りる証拠が顕出する可能性は低いという場合はもはや捜査の必要性はないと言え,釈放しなければなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方、お困りの方などは、お気軽に弊所の弁護士にご相談ください。弊所では、24時間、専門のスタッフが無料法律相談初回接見のご予約を電話で受け付けております。

薬物事件の逮捕の現場

2019-07-10

薬物事件の逮捕の現場

北九州市小倉北区に住むAさん(40歳)は、仕事を終え帰宅途中、福岡県小倉北警察署の警察官から職務質問を受けました。Aさんは、警察官からポケットの中など全て見せるよう。所持品検査を求められました(①)。Aさんは、ズボンのポケット内に大麻を入れていたことからこれを拒否しましたが、警察官から「拒否するなら令状持ってくるけど?」と言われました。そこで、Aさんは渋々、ポケットの中から大麻を取り出し、警察官に提出しました(②)。警察官の検査の結果、大麻であることが判明したため、Aさんは大麻取締法違反(所持罪)の現行犯で逮捕されてしまいました(③)。なお、大麻はその場で差し押さえられました(④)。
(フィクションです)

~ はじめに ~

事例は、よく覚せい剤や大麻などの薬物を持っている方に対する職務質問、所持品検査などの場面でみられる光景だと思います。その際の、警察官の行動に一つ一つ根拠がありますから、この機会に知っていただくべくご紹介いたします。

~ ①関係(職務質問) ~

職務質問は、

警察官職務質問執行法2条1項

に基づいて行われています。

警察官職務質問執行法2条1項

警察官は,異常な挙動その他の周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し,若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について,若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる

* 所持品検査 *

所持品検査については、これを認めた規定はありません。しかし、所持品検査は、口頭による質問と密接に関連し、かつ、職務質問の効果をあげる上で必要性、有効性の認められる行為ですから、職務質問に付随して行うことができるとされています(最高裁昭和53年6月20日)。

~ ②関係(領置(任意提出)) ~

捜査は任意が原則です。この原則は、捜査機関が人、物を確保するときももちろん妥当します。警察官が物の確保を目的する捜査を行うときは、緊急性がある場合その他特別な事情がある場合のほかは、まずは対象者に任意に提出するよう求めます。そして、捜査機関は、任意に提出されたものは領置することができるとされています。「領置」とは、捜査上の必要に基づき物を占有する処分をいいます。この点に関しては、刑事訴訟法221条に規定されています。

刑事訴訟法221条
 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。

~ ③関係(現行犯逮捕) ~

現行犯逮捕については、刑事訴訟法212条1項、2項、213条に規定されていますが、このうち純粋な現行犯は1項を根拠とします。純粋なとは、現行犯人、つまり現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者をいいます。

刑事訴訟法212条1項
 現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする。

刑事訴訟法213条
 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

~ ④関係(令状によらない差押え) ~

本来、人・物の発見(捜索),物の取得(差押え)は,個人のプライバシー侵害のおそれが大きいことから,裁判官が予め発する令状を取得して行わなければなりません(令状主義)。ところが、裁判官に令状発布を求めるには時間がかかります。もしかしたら、その間に大事な証拠を隠滅されてしまうかもしれません。そこで、刑事訴訟法は、被疑者を逮捕した場合において、その場で、令状なしの捜索、差押を認めています。

刑事訴訟法220条1項 
 (略)司法警察職員は,(略)被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは,左の処分をすることができる。(略)。

2号 逮捕の現場で差押,捜索又は検証をすること。

Aさんの大麻もこの規定に基づいて差し押さえられたことはお分かりいただけましたでしょうか?

~ おわりに ~

薬物事件においては、捜索現場で捜査機関とトラブルことがよくあり、その際の状況などが裁判の争点に発展することがあります。薬物事件でお困りの際は、弁護士へお気軽にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。覚せい剤事件などの薬物事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

大麻の所持で即決裁判

2019-06-28

大麻の所持で即決裁判

福岡県新宮町に住むAさんは、ライブ会場で密売人から大麻を買い、それをポケットの中に入れていたところ、自宅に帰る途中で、福岡県粕屋警察署の警察官から職務質問を受けました。そして、所持品検査などの結果、Aさんは大麻取締法違反(所持罪)で逮捕されてしまいました。
Aさんは、購入先については黙秘したものの、好奇心から自分で購入したことを認め反省している様子です。Aさんには前科・前歴はなく、もちろん逮捕されたのは初めてです。接見した弁護人は即決裁判に同意するようAさんに勧めました。
(フィクションです)

~ 即決裁判(手続き) ~

即決裁判とは,一定の事件(即決裁判対象事件)について,事案が明白かつ軽微であって,証拠調べが速やかに終わるなどの事情があるときに,原則,1回の審理で判決の言い渡しまで行う裁判手続をいいます。※死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件を除く

即決裁判を受けるメリットとしては,

1 審理は申立て後,原則,14日以内に開かれ1回で終わること
2 必ず執行猶予判決を言い渡されること(実刑判決は言い渡されない)
3 1,2に関連し,審理当日(判決当日)に釈放され,早期の社会復帰が可能となること

などが挙げられます。

他方,デメリットとしては
1 必ず有罪判決が言い渡されること
2 量刑不当を理由に控訴できるが,事実誤認を理由とする控訴はできないこと

などが挙げられます。
Aさんのように事実を認め、かつ、初犯である程度画一的な量刑(初犯の場合は6か月から1年、3年間執行猶予が相場と思われます)が期待できる場合は、デメリットよりもメリットの方が大きいと思われます。

~ 大麻における即決裁判対象事件 ~

即決裁判の対象となる事件は

死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件

です。これからすると大麻では

・栽培罪、輸入罪、輸出罪(7年以下の懲役)
・営利目的栽培、輸入、輸出罪(10年以下の懲役又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金)
所持罪、譲り受け罪、譲り渡し罪(5年以下の懲役)
・営利目的所持罪、譲り受け罪、譲り渡し罪(7年以下の懲役又は情状により7年以下の懲役及び300万円以下の罰金)

であるため、一応は全ての罪が即決裁判の対象とはなり得ます。しかし、栽培罪、輸入罪、輸出罪(営利目的も含む)、営利目的所持罪、同譲り受け罪、同譲り渡し罪については、「事案が明白かつ軽微であって,証拠調べが速やかに終わる」といえない場合が多く、即決裁判にはなじまないのではないかと思います。

* 平成29年に即決裁判に付された人員 *

平成30年度版犯罪白書によれば、平成29年中に大麻取締法違反で第一審で終局処理までいった人員、「1348人」中「174人」が即決裁判の対象となったとのことでした。

~ 同意の撤回は可能? ~

即決裁判を希望する場合は、その旨の同意をする必要があります(刑事訴訟法350条の16第2項)。検察官から同意書にサインを求められますので、書かれてあること、説明を受けたことに納得してからサインしましょう。また、同意は後で撤回することも可能です(刑事訴訟法350条の22条第1号等)。

* 再起訴の可能性も *

ただし、同意を撤回し、それを受けて検察官により公訴(起訴)を取り消された場合は、再度起訴される可能性もあります。再度起訴されるということは、再び捜査を受けることを意味します。同意を撤回する場合は、通常、否認事件の場合が多いと思いますが、否認事件となった場合は、再捜査・再起訴の余地をの残すことによって、逆に、自白事件についての刑事手続の合理化・迅速化(余計な捜査をしない)を図る狙いがあります。
同意の撤回は、弁護人と相談の上慎重に判断しましょう!

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薬物事件における没収  

2019-06-19

薬物事件における没収   

福岡県筑紫野市に住むAさんは,覚せい剤取締法違反(所持の罪)で逮捕,起訴され,福岡地方裁判所で裁判を受け,「懲役1年6月 3年間執行猶予 覚せい剤約0.5グラムを没収する」との判決の言い渡しを受けました。Aさんは判決後,弁護士に「没収」とは何か尋ねました。
 (フィクションです)

~ はじめに ~

今回は,「没収」という日頃聞き慣れない言葉について解説いたします。薬物事件では特に重要な言葉ですので,ぜひ参考にされてください。

~ 没収とは ~

没収とは,物の所有権を剥奪して国庫に帰属させる財産刑のことをいいます。
刑罰の種類について定めた刑法9条は,「死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留及び科料を主刑とし,没収を付加刑とする。」としており,没収を刑罰の一種としています。
ここでいう「主刑」とは独立に言い渡すことができる刑罰のことで,「付加刑」とは主刑が言い渡された場合にそれに付加してのみ言い渡すことができる刑罰のことをいいます。没収は付加刑ですから,判決で没収だけを言い渡すことはできず,必ず懲役や罰金等の他の刑罰と一緒に言い渡されます。

~ 没収の目的 ~

没収は刑罰の一種ですから,制裁的の意味合いがあることは間違いありません。しかし,それよりもむしろ,社会への危険・害悪の防止,犯罪組織への利得還元の防止など保安処分としての意味合いの方が濃いとも言われています。
国によって覚せい剤を没収してしまわなければ,再びそれを使うなどする人がいて社会に危険・害悪をもたらしかねないからそれを没収してしまおうというわけです。

* 押収との違い *

没収とよく混同される言葉として「押収」があります。「押収」とは,捜査機関が,対象者から任意で物の提出を受けたり,強制的に物を差し押さえたりする場合のことです。他方,「没収」は刑罰の一種で,裁判官しか言い渡すとこができません。また,「押収」は一時的に物の占有を取得したにすぎず,所有権を放棄しないかぎりのちのち還付(返却)されますが,「没収」は所有権を剥奪することなので永久的に手元に戻ってくることはありません。
没収」は法的には「押収」されていないものでも対象とすることはできますが,実務では,「押収」されているものに限り「没収」の対象としているようです。

~ 「没収」には「必要的没収」と「任意的没収」 ~

没収」には、必ず没収すべき「必要的没収」と、裁判官の裁量に委ねられる「任意的没収」の2つに分けられます。

= 必要的没収 =

必要的没収については刑法、又は特別法に規定されています。刑法に規定されている必要的没収は、賄賂の没収(刑法197条の5)です。薬物事件に関するものとしては、

・麻薬(麻薬及び向精神薬取締法69条の3第1項)
・大麻(大麻取締法24条の5第1項)
・覚せい剤(覚せい剤取締法41の8第1項)

などがあります。
これらの者は、必ず没収することとしないと、新たな犯罪を生み出すことにもなりかねず社会に害悪をもたらす危険が大きいことから必要的没収とされています。必要的没収を看過してこれを科さない判決が言い渡された場合は、法令適用の誤りとして控訴理由となります(刑事訴訟法380条)。

= 任意的没収 =

任意的没収については刑法19条に規定されています。

刑法19条1項 次に掲げる物は,没収することができる。
1号 犯罪行為を組成した物(偽造文書行使罪における偽造文書,賭博罪における賭金,無免許運転における自動車など)
2号 犯罪行為の用に供し,又は供しようとした物(文書偽造の用に供した偽造の印章,殺人に用いた日本刀,住居侵入・窃盗のために使用した懐中電灯など)
3号 犯罪行為によって生じ,若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物(犯罪によって生じ→通貨偽造罪における偽造通貨,文書偽造罪における偽造文書など/これによって得た物→賭博に勝って得た財物,財産犯罪によって領得した財物など/犯罪行為の報酬として得たもの→殺人の依頼に応じて殺人を行ったことによって得た報酬金,窃盗幇助の謝礼として得た財物など)
4号 前号に掲げる物の対価として得た物(盗品等の売却代金,窃盗犯人が盗んだ現金で買ったものなど)

1号によると、無免許運転した際の自動車も没収される可能性はあるわけですが、保管のため(保管は検察庁がすることになるかと思います)のスペースを確保することが難しいと思われますし、手間も労力がかかります。また、日常生活の交通手段ともなっており、免許停止期間や欠格期間が経過して免許を取得すれば再び運転することができるわけですから、実務では没収されることはまずありません。

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実刑判決と保釈

2019-06-07

実刑判決と保釈

福岡県行橋市に住むAさんは覚せい剤取締法違反(使用罪)で起訴されました。その後、Aさんに付いた国選弁護人が保釈請求をして裁判所に許可され、Aさんは釈放されました。ところが、その後、Aさんは、裁判で懲役1年6月の実刑判決を受けてしまいました。Aさん及びAさんの身元引受人のAさんの雇用主は判決に納得がいっていません。Aさんの雇用主は、再び、Aさんを保釈できないか刑事事件専門の弁護士に相談しました。
(フィクションです。)

~ 実刑判決を受けると保釈の効力はどうなる? ~

保釈とは、被告人(裁判にかけられた人)に対する勾留の執行(効力)を停止して、その身柄拘束を解くことをいいます。つまり、保釈とは、身柄拘束の効力を

停止する

にすぎず、

取り消した

わけではありません。したがって、身柄拘束(勾留)の効力が復活した場合は、再び、身柄を拘束される(勾留される)ことになります。この点につき、刑事訴訟法343条は、

禁錮以上の刑に処する判決の宣告があったときは、保釈又は勾留の執行停止は、その効力を失う。この場合には、あらたに保釈又は勾留の執行停止の決定がないときに限り、第98条(収容)の規定を準用する。

としています。
「禁錮以上の刑」とは、死刑、懲役刑のことを指します。執行猶予付きの判決が言い渡された場合は、勾留の効力は失われますから、「判決」とはもちろん実刑判決のことをいいます。刑事訴訟法第98条には、検察事務官等が検察官の指揮を受けて、被告人を刑事施設(拘置所等)に収容しなければならない旨が規定されています。

* 保釈保証金(保釈金)は戻ってくるの? *

実刑判決を受けた場合、保釈金が戻ってくるか心配される方が多いですが、戻ってきます!保釈保証金が没収されるのは、あくまで、正当な理由なく裁判に出頭しなかった場合など、裁判所から指定された条件を守らなかった場合で、実刑判決を受けたことはその条件の中には含まれないからです。

~ 実刑判決を受けた後も保釈は可能? ~

もちろん、可能です。控訴をしなくても保釈請求をすることは可能ですが、控訴をしない場合、保釈請求をすることの実益がありませんから、通常は、控訴の申し立てをすると同時に(再)保釈の請求をします。上記のとおり、実刑判決が出ると、その時点で(裁判所で)身柄を拘束され、そのまま刑事施設に収容されてしまいますが、保釈の許可が出て保釈保証金を納付すれば、再び釈放されます(いったん身柄拘束された後、釈放されるということです)。

~ 保釈するにはどうすればいいの? ~

第一審の判決が出る前に弁護人に

実刑判決の見込み

を尋ねましょう。ここで、その見込みが高い場合は、「控訴して結論がよくなる見込み」を尋ね、少しでもその見込みがある場合は

・控訴したい旨
保釈(請求)して欲しい旨

を伝えましょう。第一審の弁護人がいつまで弁護活動をできるかについての明確な規定はありませんが、実務では、

控訴申立てによって事件が控訴審に移るまで、または控訴期間の満了まで

とされています。したがって、保釈を望む場合は、

現在選任されている弁護人が控訴申立をする前に保釈請求をしてもらう

必要があります。弁護人が控訴申立をしてしまうと、その後は弁護活動をする権限がなくなってしまうからです。

~ 新たに弁護人を選任することも検討を! ~

しかし、ここで一つ問題があります。第一審の弁護人に保釈請求をしてもらっても、その弁護人は結局は控訴審は担当しない(可能性が高い)ということです。つまり、これを請求を受けた裁判所から見れば、「控訴審を担当しない弁護人からの保釈請求書」という風に映ってしまうのです。もちろん、控訴審を担当する弁護人としない弁護人との間で法的な効力に違いはありませんが、やはり、控訴審を担当する弁護人が書いた保釈請求書の方がどうしてもより説得力のあるものに映ってしまいます。また、「国選でいいや」とのんびり構えていても、選任されるまでに時間がかかります。

そこで、

実刑判決後、すぐに保釈されたい!

という方は

私選の弁護人を選び、控訴申立て、保釈請求から控訴審まで全て担当してもらう

というのも一つの手です。ぜひ、ご検討ください。

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福岡県薬物の濫用防止に関する条例②

2019-05-27

福岡県薬物の濫用防止に関する条例②

福岡県みやま市に住むAさんは、特定危険薬物を使用しないよう福岡県知事から警告を受けていたにもかかわらずこれを使用したことから、さらに知事から特定危険薬物を使用をしないよう中止命令を受けていました。それでも、Aさんは特定危険薬物を使用したことから、福岡県柳川警察署福岡県薬物の濫用防止に関する条例違反の件で逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさん母親が、Aさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)

~ 前回の続き ~

福岡県薬物の濫用防止に関する条例(以下、条例)①では、

 特定危険薬物を使用して福岡県知事から警告を受けたAさんが、さらに特定危険薬物を使用したことから福岡県から呼び出しを受けた

という事案で、罰則として設けられている過料の意味などについて解説いたしました。前回も解説いたしましたが、過料は刑罰ではありません。しかし、条例では刑罰である懲役刑や罰金刑を設けた規定もありますから、今回は、その規定を中心に解説したいと思います。

~ 基本的には警告→中止命令 ~

まず、刑罰を科すまでの基本的な流れとしては、警告(条例19条)→中止命令(条例20条)という手続を踏みます。条例20条1項では、
 
 知事は、前条第1項の規定による警告に従わず、第17条第1号から第5号までのいずれかに該当する行為をした者に対し、当該行為の中止を命じ、又は特定危険薬物の廃棄、回収その他必要な措置を取るべきことを命ずることができる。

としています。そして、条例22条と条例23条では

 第20条第1項又は第2項の規定による命令(略)に違反した者

を処罰する旨を定めているのです。なお、条例22条は、特定危険薬物の製造、加工、販売、授与、販売若しくは授与目的での購入、譲り受け、所持をした者に対する罰則で「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」としています。他方、条例23条は、特定危険薬物の販売又は授与目的での広告、販売又は授与目的による場合を除く、購入・譲り受け・所持、使用、使用するための場所の提供又はあっせんをした者に対する罰則で「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

~ いきなり中止命令の場合も! ~

条例22条2項では、次の場合には、警告を経ずにいきなり中止命令を発することができるとされていますから注意が必要です。

1号 県民の生命、健康又は安全に対する危害を防止するため緊急を要する場合で、警告を発するいとまがないとき
2号 前条(条例21条)第1号から第5号までのいずれかに該当する者が、過去に同項第1号から第5号までの規定による警告を受けたことがあるとき

~ 悪質な場合は逮捕されることも ~

中止命令に違反した場合は懲役刑や罰金刑が科されるおそれがあります。ということは純然たる刑事事件であり、発覚すれば、前回の場合と異なり県職員の調査ではなく、警察の捜査を受けることになります。ということは、逮捕の可能性もあるということです。逮捕されれば間違いなく日常の生活は送れなくなります。様々な不利益を被るおそれがあります。条例での摘発はマスコミの注目を集めやすそうですから、逮捕されれば実名で報道されるかもしれません。
まずは、逮捕されないことが第一ですが、仮に逮捕されてしまった場合は、早めに弁護士に接見をご依頼ください。弁護士であれば逮捕直後からの接見が可能で、身柄の釈放に向けた弁護活動にも移りやすくなります。

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福岡県薬物の濫用防止に関する条例①

2019-05-26

福岡県薬物の濫用防止に関する条例①

福岡県みやま市に住むAさんは、特定危険薬物を使用しないよう福岡県知事から警告を受けていたにもかかわらず特定危険薬物を使用したとして、福岡県から福岡県薬物の濫用防止に関する条例違反の件で呼び出しを受けました。今後のことが不安になったAさんは、弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです。)

~ 福岡県薬物の濫用防止に関する条例 ~

薬物の規制といえば、「覚せい剤取締法」、「大麻取締法」、「医療品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、医薬品法)」などが有名かと思いますが、条例で薬物規制されていることはご存知でしょうか?
福岡県では

福岡県薬物の濫用に関する条例(以下、条例)

という条例に薬物の規制等に関する規定を設けています。

~ 条例の特徴 ~

条例の特徴としては、その2条7号で

 大麻、覚せい剤、麻薬等に掲げるもののほか、これらと同等以上に興奮、抑制、幻覚その他これらに類する作用を人の精神に及ぼす物で、それを濫用することにより人の健康に被害が生じると認められるもの

を「危険薬物」とし、通常、私たちが想定する薬物以外の薬物も危険であると宣言していることです。また、条例13条1項では、

 (福岡県)知事は、危険薬物である疑いがある物品が大臣指定薬物として指定されるか否かが確定する前に、当該物品の濫用による県民の生命、健康又は安全に対する危害を防止するため緊急を要すると認めるときは、当該危険薬物である疑いがある物品又はこれを含有する物品を特定危険薬物として指定することができる

としていることも挙げられます。大臣指定薬物とは、医薬品法に基づいて厚生労働大臣が指定した薬物のことをいいますから、

医薬品法でひっかからない薬物であっても条例ではひっかかる(規制の対象となる)可能性がある

ということになります。

~ 条例の罰則 ~

条例17条5号では、特定危険薬物の使用を禁止しています。しかし、条例では特定危険薬物を使用したからといって、直ちに処罰する旨の規定を設けているわけではありません。条例19条1項では

知事は、特定危険薬物に関し次の各号のいずれかに該当する者に対し、第17条各号に規定する行為(特定危険薬物の使用など)をしないよう警告を発することができる

とし、条例19条1項5号で

第17条第5号の規定に違反して特定危険薬物を使用した者

としています。
そして、ここからが罰則に関する規定なのですが、条例26条で

第19条第1項の警告に従わず、第17条第1号から第5号までのいずれかの規定に該当する行為をした者は、5万円以下の過料に処する

としています。

~ 過料とは?? ~

過料とは行政上の義務に違反した場合にその制裁として科される金銭罰のことで、刑罰ではありません。刑罰とは、あくまでも

死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料

のことをいいます。
一番最後の科料(かりょう)と読み方は同じですが、科料は刑事罰(刑罰)であるのに対し過料はそうでない点が大きく異なります。実務では両者を区別するため、科料を「とがりょう」と呼ぶこともあります。
過料は刑罰ではありませんから、違反行為をしたとしても逮捕されたり、過料を科されたとしても前科が付くことはありません。

しかし、条例では懲役刑、罰金刑を設けている規定もあります。この点に関しては次回解説いたします。また、特定危険薬物を使用することはあなた自身の身体だけではなく、社会的にも害悪です。絶対にやめましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

覚せい剤所持の罪、薬物事件の特徴

2019-05-20

覚せい剤所持の罪、薬物事件の特徴

密売人のAさんは、休日、自宅にいたところ、突然、福岡県小倉北警察署の捜索(ガサ)を受け、自宅から覚せい剤約30グラムを押収されてしまいました。そして、Aさんは覚せい剤取締法違反(営利目的所持の罪)で逮捕されてしまいました。Aさんから依頼を受けた弁護士がAさんと接見しました。
(フィクションです。)

~ 覚せい剤取締法 ~

覚せい剤取締法で禁止している覚せい剤所持には、①単純(非営利目的)所持と②営利目的所持の2種類があります。

①の法定刑は「10年以下の懲役」です。他方、②の法定刑は「1年以上の有期懲役又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金」で、①より非常に重たい罪であることが分かります。

* 所持とは *

所持」とは、「事実上の実力支配関係」とも言われています。すなわち、自分が直接手にしている必要はなく、社会通念上本人の実力支配、管理の及ぶ場所に保管していればいいとされています。ある日、突然、警察のガサが入り、自宅部屋のタンス内から覚せい剤を押収されたとき、覚せい剤所持の罪)で逮捕されるのはこのためです。

* 営利目的とは *

営利目的とは、覚せい剤所持する動機が財産上の利益を得る、ないしはこれを確保する目的に出たことをいうとされています。本人が営利目的を有していたかどうかは、専ら本人の内心に関わる事情ですから、以下のような客観的事情から推認されます。

① 覚せい剤を所持する量
  覚せい剤所持する量が多ければ、それだけ他人に売っている疑いが高くなり、営利目的が疑われます。
② 所持の態様 
  ガサ時に、多量のチャック付きポリ袋(パケ)に入った覚せい剤が押収されたなどという場合も、他人に売っている疑いが高くなり、営利目的が疑われます。
③ 覚せい剤以外の押収品
  通常、覚せい剤はパケに2~3回分の使用量を入れて売られます。また、その際、使用道具である注射器も付けれれることがあります。そのため、多量のパケ、注射 器(未使用のもの)が押収された場合は、営利目柄が疑われます。その他、覚せい剤を小分けする量を計るなどする電子計り、小分けに使うピンセット、スプーン等が 押収された場合も同様です。その他、密売事実を裏付ける購入者リスト、メモ、メール・電話履歴等が押収され、そこに密売の形跡が認められる場合は営利目的を疑われるでしょう。

~ 薬物事件の特徴 ~ 

覚せい剤事件をはじめとする薬物事件の場合、他の刑事事件と異なり、以下の特徴があると言われています。

= 示談できる相手がいない =

覚せい剤事件をはじめとする薬物事件にかかる犯罪は被害者不在の犯罪です。被害者がいる刑事事件では被害者との示談→不起訴処分・執行猶予獲得という絵を描きやすいのですが、薬物事件の場合は被害者が存在しないためそうはいきません。

= 高い確率で逮捕・勾留される =

薬物事件の場合、覚せい剤の入手(輸入等)→売却→譲り受け(譲り渡し)→使用という一連の流れを踏み、その過程には多くの関係者が関与しています。にもかかわらず、その関与者全員が検挙されることは稀です。したがって、たとえ特定の犯人を検挙できたとしても、他の未検挙者と通謀するなどして罪証隠滅行為をすると疑われてしまい、逮捕・勾留される可能性が高いのです。

= 高い確率で接見禁止も =

そのため、薬物事件では、勾留によっては罪証隠滅行為を防止できないとして接見禁止決定を出されることが多いと思われます。接見禁止決定とは、弁護人あるいは弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁止する決定を言います。

~ 薬物事件における弁護活動 ~

上記の特徴から、示談交渉は無意味です。そこで、釈放に向けた弁護活動(保釈請求等)が主となります。その他、執行猶予や一部執行猶予・減軽獲得のため、再犯防止に向けた対策を立案して実行に移せるよう手助けを行います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,薬物事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

薬物事件(使用の罪)で保釈なら

2019-05-12

薬物事件(使用の罪)で保釈なら

福岡市東区のAさんは、同区内の自宅アパートで、覚せい剤を注射する方法で使用しました。しかし、翌日、Aさん宅に福岡県東警察署の捜索が入り、尿の任意提出を求められ提出したところ、尿から覚せい剤成分が検出されたことから、Aさんは覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕されてしまいました。Aさんは勾留され、国選弁護人が選任されましたが、国選弁護人の弁護活動には満足していませんでした。そして、10日間の勾留期間を経た後、Aさんは覚せい剤取締法違反で起訴されてしまいました。そこで、Aさんの父親は、国選弁護人から私選弁護人への切り替えを検討しており、Aさんを保釈してもらいたいと考えています。
(フィクションです)

~ 保釈とは ~

保釈とは、被告人(裁判にかけられた人)に対する勾留の執行(効力)を停止して、その身柄拘束を解くことをいいます。「被告人」とは起訴され、刑事裁判にかけられた人をいいますから、あくまで保釈請求は

起訴後

しかすることができません。

~ 保釈のメリットと保釈されないデメリット ~

保釈のメリットとしては以下の点が挙げられます。

① 精神的,肉体的負担の軽減
  留置場,拘置所暮らしの生活は,多大な精神的,肉体的負担を伴います。保釈されれば,これらの負担から解放されます。

② 様々な処分を免れる
  早期に釈放されることにより,会社の懲戒処分(解雇,減給等),学校の退学処分等を免れることができるかもしれません。

③ 家族が安心する
  何より,ご家族が安心されます。ご家族が留置場等へ面会に行く手間も省けます。

④ 裁判に向けた十分な打合せができる
  釈放されていますからいつでも弁護士に相談できるわけですし,何より落ち着いて、時間をかけて打合せを行うことができます。

他方で、保釈されないデメリットとしては、上記の真逆のことがいえるでしょう。①精神的、肉体的負担は継続しますし、②身柄拘束が継続すれば職場や学校への復帰も難しくなるかもしれません。よって、仮に、裁判で執行猶予判決を得たとしても、その後の社会復帰が難しくなるかもしれません。また、③ご家族の不安・負担は継続します。④裁判に向けた打合せも、保釈された場合よりは不十分なものとなるでしょう。

~ 保釈の注意点 ~

保釈は、あくまで勾留の停止にすぎません(勾留の効力が消滅したわけではない)。また、メリットだけではありません。以下の点に注意する必要があります。

① 多額の保釈保証金が必要となる
  保釈保証金の額は、被告人の認否、事案の内容等に鑑みて裁判官(裁判所)が決めます(日産のカルロスゴーン社長が保釈保証金1億円を納付したことはニュースになりました)。決して安い金額ではなく、通常の簡易な事件でさえ100万円~150万円を準備する必要があります。

② 保釈条件を遵守する必要がある
  保釈を許可するにあたっては
・裁判所から呼び出された場合は必ず出頭する
・住居地を変更するには裁判所の許可を受ける
・被害者への連絡は弁護人を介する
・被害者、目撃者、共犯者などの事件関係者と接触しない
・薬物に近寄らない
などの条件を付けられます。全くフリーな状態で釈放されるわけではありません。

③ 保釈保証金は没収され、収容されるおそれがある
  決められた条件を守らなければ納付した保釈保証金は没収され、再び留置施設等に収容されるおそれがあります。

~ 薬物事件(使用の罪)で保釈を目指すなら ~

薬物事件使用の罪の場合、主要となる証拠は主に被疑者・被告人の尿と尿に関する鑑定書です。しかし、尿はすでに起訴前に押収されていることが通常ですし、鑑定書は警察(科捜研)が作成しますから、保釈後ともに罪証隠滅の対象とはなり得ません。つまり、薬物事件使用の罪の場合、起訴後の罪証隠滅のおそれはほとんどないと言っても過言ではありません。したがって、薬物事件使用の罪保釈を目指すなら、

逃亡のおそれ

をどう担保するかがまず鍵となりそうです。そのためには、

適切な身柄引受人を確保する

ことが必要ですが、薬物に対する依存度の程度によっては

専門の施設に入所、入院する

ことも検討した方がいい場合もあります。
あとは、薬物事件に限らず、保釈を許可すべき必要性を裁判所に訴えていく必要があるでしょう。たとえば、

・持病があり、特定の病院へ通院・入院する必要があること
・要介護者がおり、被告人の援助が必要なこと
・家族にとって被告人の経済的支援が必要なこと

などが挙げられます。

こうした事情を効果的に主張していくためには、弁護士の力が不可欠です。お困りの方は弊所の弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの予約受付を承っております。

覚せい剤と全部執行猶予・一部執行猶予  

2019-05-07

覚せい剤と全部執行猶予・一部執行猶予  

福岡県福津市に住むAさんは、福岡県宗像警察署の家宅捜索を受け、覚せい剤を所持していたとして覚せい剤取締法(所持罪)で逮捕され、その後起訴されました。そして、Aさんの判決期日は、平成31年4月26日と指定されました。実は、Aさんは、平成30年8月1日に、刑務所を出所(覚せい剤取締法違反(使用)で(懲役)1年6か月間服役)したばかりでした。Aさんと接見した弁護士は、再犯防止の観点からも、一部執行猶予判決を獲得できないか検討しています。
(フィクションです)

~ 執行猶予とは ~

執行猶予とは、その罪で有罪ではあるが、言い渡された刑(懲役刑、罰金刑)の執行を一定期間猶予する(見送る)ことをいいます。そして、執行猶予には「全部執行猶予」と「一部執行猶予」の2種類があります。

~ 全部執行猶予を受けるための要件(基本形) ~

全部執行猶予を受けるための要件は、刑法25条1項に規定されています。

刑法25条1項
 
 次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる

1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

つまり、執行猶予を受けるには

1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号、あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること

が必要ということになります。

* Aさんは全部執行猶予を受けられる? *

1号の「前に禁錮以上の刑に処せられた」とは、判決前に、禁錮以上の刑の言渡しを受け、その刑が確定したことをいうところ、Aさんは判決前に懲役2年の実刑判決を受け服役していますから、1号には当たりません。また、2号に当たるか検討するに、「執行を終わった日」とは刑の服役期間が満了した日をいい、Aさんの場合「平成31年7月31日」ですから、判決時にはまだ5年を経過していません。したがって、2号にも当たりません。

以上から、Aさんは全部執行猶予判決を受けることはできません。

~ 一部執行猶予判決を受けるための要件 ~

薬物事件を犯した者に対する一部執行猶予については、「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律(以下「法律」)」に規定があります。一部執行猶予判決を受けるには次の要件が必要です(法律3条)。

1 薬物使用等の罪を犯したこと
2 本件で、1の罪又は1の罪及び他の罪について3年以下の懲役又禁錮の判決の言い渡しを受けること
3 刑事施設における処遇に引き続き社会内において規制薬物等に対する依存の改善に資する処遇を実施することが、再び犯罪をすることを防ぐために「必要」であり、かつ、「相当」であること

なお、薬物使用等の罪については、他の犯罪と異なり、前科の要件は必要とされていません。つまり、Aさんのような累犯前科を持つ方であっても、一部執行猶予判決の対象となり得ます。

* 薬物使用等の罪とは? *

法律2条2項には次の罪が挙げられています。

同項2号 大麻の所持又はその未遂罪
同項4号 覚せい剤の所持、使用等又はこれらの罪の未遂罪
同項5号 麻薬及び向精神薬取締法の所持罪等

* 全部執行猶予との違いは? *

一部執行猶予判決がついてもあくまで「実刑判決」の一部であることに変わりはありません。執行猶予を猶予された期間以外は刑務所に服役しなければなりません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、覚せい剤事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件で全部執行猶予一部執行猶予獲得をお考えの方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

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