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東名あおり運転事故の控訴審はじまる 

2019-11-13

東名あおり運転事故の控訴審はじまる 

東名あおり運転事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

11月6日、東京高等裁判所で、2017年に起きた東名高速道あおり運転の控訴審がはじまります。

~ 東名あおり運転事故とは ~

東名あおり運転事故とは、2017年(平成29年)6月5日、神奈川県足柄上郡大井町の東名高速道路下り線で、夫婦(以下、夫をV1、妻をV2といいます。)及びその娘2人が乗る車(以下、V車といいます。)に対しあおり運転を繰り返した男(以下、男をA、Aの乗る車をA車といいます。)が追い越し車線上にV車を停止させたところ(A車はV車の前方に停止していた)、追い越し車線上を走行してきたトラックにV車を衝突させ、V1、V2を死亡させたほか、娘2人を負傷させた事故です。「東名あおり事故」とも呼ばれています。

事故の経緯を要約すると以下のとおりです。

①A車は、約700メートル,32秒間にわたり,4回,V車の直前に割り込むなどのあおり運転をした
②A車は、V車の前に割り込み,V車を追い越し車線上に停車させた
③V車の停車から約2分後,別の大型トラックがV車後部に衝突
④V1、V2死亡、娘2名負傷

~ 一審の結果は ~

第一審の横浜地方裁判所は、男に「危険運転致死傷罪」を適用し、

懲役18年

を言い渡しています。
この判決に弁護側が不服として控訴し、東京高等裁判所で控訴審が開かれることになった、というわけです。

~ 危険運転致死傷罪の内容 ~

危険運転致死傷罪は、

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律といいます)

の第2条に規定されており、第2条には罰則(死亡の場合は1年以上の有期懲役、負傷の場合は15年以下の懲役)のほか、以下のとおりその1号から6号までに危険運転の類型が規定されています。

1号:正常な運転が困難になるほどの飲酒・薬物使用運
2号:進行を制御することが困難なほどの高速度での運転
3号:車を制御する技能を有しないでする運転
4号:人や車の通行を妨害する目的でに著しく接近するなどし、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での危険な運転
5号:赤信号等を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での運転
6号:通行禁止道路の進行し、かつ重大な危険を生じさせる速度での運転

このうち、東名あおり運転事故で適用されたのは4号の

人や車の通行を妨害する目的でに著しく接近するなどし、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での危険な運転

~ 東名あおり運転事故の争点 ~

ところが、東名あおり運転事故では、A車は停止していたことから(速度は0kmだったことから)、

重大な交通の危険を生じさせる速度

で危険運転をしたと認めらえれるかどうかが争点となりました。

この点に関し、検察側は「高速道路上では停止行為も危険運転に当たるため危険運転致死傷罪は成立する。」と主張したのに対し、弁護側は「A車が停止した時点で危険運転は終わっているため危険運転致死傷罪は成立しない。」と主張しました。
これを受けて横浜地方裁判所は、

高速道路上で停車させた速度ゼロの状態が同罪の構成要件の「重大な危険を生じさせる速度」とするのは解釈上無理がある

とた上で、。

停車させる行為以前のあおり運転(①行為)については通行妨害運転に当たり、停止させた行為(②行為)はあおり運転(①行為)に密接に関連した行為であり、死傷の結果はあおり運転(①行為)によって現実化した

として複数のあおり運転と停止行為とを一連一体の「通行妨害運転」と認め、危険運転致死傷罪を適用しています。

~ 第一審判決に批判的な見方も ~

そもそもV1、V2さんを死亡するなどさせたのはトラック運転手による追突行為が直接の原因です。
弁護側は、「多くの後続車はV車をよけていた。」「事故は追い越し車線を走行してきたトラックの過失に基づくものでAに責任はない。」などと主張して無罪を求める方針のようです。
専門家からも「危険運転致死傷罪を拡大解釈しすぎだ。」との批判もあり、今後の裁判の行方が注目されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

統合失調症と自動車運転②~主な罰則について~

2019-11-03

統合失調症と自動車運転②~主な罰則について~

統合失調症と自動車運転にについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県小郡市に住むAさんは統合失調症に罹患しており、医師から自動車の運転を控えるよう言われていました。ところが、ある日、Aさんは医師の指示を無視して車を運転していたところ、前方で信号待ちのため停止していたVさん運転の車に自車を衝突させてしまいました。Aさんは車から降り、Vさんに謝罪し、自ら110番通報して現場に警察官が来るのを待ちました。そして、Aさんは現場に駆け付けた小郡警察署の警察官による実況見分や事情聴取などを受けたところ、道路交通法違反(過労運転等の罪)の被疑者として検挙されてしまいました。今後のことが不安になったAさんは、刑事事件専門の弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 前回のおさらい ~

前回の「統合失調症と自動車運転~免許の可否~」では、統合失調症に罹患されている方でも、

医師が「自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈していない」旨の診断を行った場合(当該診断を行った理由が、自動車等の安全な運転に必要な能力を欠く状態となるおそれはあるが、そのような状態に陥った際は、自動車等の運転ができない状態であると判断されることによるものである場合を除く。)

は、

運転免許を取得できることなどをご説明しました。
ですが、運転免許を取得する際はもちろん、取得した後でも気を付けるべき点は多数あります。
今回は、運転免許を取得する際や取得した後で関係する主な罰則についてご紹介します。

~ 運転免許を取得する際(質問票へ正しく記載しよう) ~

運転免許の取得の申請をする際は(病気の有無にかかわらず誰でも)

免許申請書

と同時に、

質問票

も窓口に提出しなければなりません。
この質問票には、一定の病気の有無などに関する「はい」か「いいえ」かで応える簡単な質問5つが記載されていますが、虚偽事項を記載した場合は、

1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

に処せられる可能性があります。また、運転免許更新時も同様に質問票の提出が求められます。なお、記載事項の是正を求められたにもかかわらずこれに応じない場合はそれ以降の手続きは進みませんから注意が必要です。

~ 運転免許を取得した後(症状が出た際は運転を控えよう) ~

運転免許を取得した後も油断してはいけません。
特に、統合失調症などの病歴を有している場合は特に注意が必要です。

なお、道路交通法66条では

何人も、前条第1項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない

と規定されています。

「病気」にはもちろん統合失調症も含まれると解されます。しかし、病気を有するからといって直ちに本条違反となるわけではなく、その病気が

正常な運転に影響を及ぼす程度

のものである必要がありますから、これに至らない限りは本条違反に問われることはありません。
本条に違反した場合の罰則は、「薬物」の影響による運転の場合は

5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

その他の場合は、

3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

です。

次回は、運転免許の取消しや人身事故を起こした場合の罪、罰則についてご紹介していきたいと思います。

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統合失調症と自動車運転~免許の可否~

2019-11-01

統合失調症と自動車運転~免許の可否~

統合失調症と自動車運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

〇〇に住むAさんは統合失調症に罹患しており、医師から自動車の運転を控えるよう言われていました。ところが、ある日、Aさんは医師の指示を無視して車を運転していたところ、前方で信号待ちのため停止していたVさん運転の車に自車を衝突させてしまいました。Aさんは車から降り、Vさんに謝罪し、自ら110番通報して現場に警察官が来るのを待ちました。そして、Aさんは現場に駆け付けた〇〇警察署の警察官による実況見分や事情聴取などを受けたところ、道路交通法違反(過労運転等の罪)の被疑者として検挙されてしまいました。今後のことが不安になったAさんは、刑事事件専門の弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 統合失調症と運転免許 ~

道路交通法90条では、運転免許試験に合格した者に対する免許に関する規定を設けています。

道路交通法90条
 公安委員会は、前条第一項の運転免許試験に合格した者(略)に対し、免許を与えなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、政令で定める基準に従い、免許(略)を与えず、又は六月を超えない範囲内において免許を保留することができる。

一 次に掲げる病気にかかつている者
 イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
 ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
 ハ イ又はロに掲げるもののほか、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの

「政令」とは道路交通法施行令をいいます。
そして、道路交通法施行令33条の2の3では以下の規定が設けられています。

道路交通法施行令33状の2の3
 法90条第1項第号イの政令で定める精神病は、統合失調症(自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く。)とする。

つまり、これらの規定によれば、統合失調症に罹患したとしても

・運転免許試験に合格したこと
・自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないこと

が認められれば、

運転免許を取得することは可能

なのです。

なお、警察の運用基準(平成29年7月31日付、一定の病気等に係る運転免許関係事務に関する運用上の留意事項について)の「一定の病気に係る免許の可否等の運用基準」でも、

医師が「自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈していない」旨の診断を行った場合(当該診断を行った理由が、自動車等の安全な運転に必要な能力を欠く状態となるおそれはあるが、そのような状態に陥った際は、自動車等の運転ができない状態であると判断されることによるものである場合を除く。)、免許の拒否、保留、取消し又は効力の停止は行わない

としています。

~ 免許を保留される場合とは? ~

道路交通法90条によれば、統合失調症に罹患している場合、免許を拒否される(与えられない)か

6か月を超えない範囲で免許を保留

されることがある、とのことです。
そして、先ほどの警察の運用基準によると、

医師が、「6月以内に、自動車等の安全な運転に必要な能力を欠く状態となるおそれがある」と診断した場合は、6月の免許の保留とする(医師の診断を踏まえて、6月より短期間の保留で足りると認められる場合は、当該期間が保留期間)

としています。

なにはともあれ、運転免許を受けるには、医師の診察は必要不可欠です。
現に運転免許を受けているものの統合失調症の影響により運転に不安な方、これから運転免許の取得をご検討中の方ははやめに医師に相談しましょう。
また、各都道府県警察には、専門の相談窓口(運転適性相談窓口)も設けられていますから相談されてみてはいかがでしょうか?

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

駐車場での当て逃げ

2019-10-17

駐車場での当て逃げ

当て逃げについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県久留米市に住むAさん(50歳)はミニバンを運転し、家族5人で大型商業施設に買い物に来ていました。Aさんら家族は買い物を終え、Aさんは運転席に乗り込み駐車枠からミニバンを発進させたところ、突然、車内に「バン」という大きな音が鳴ると同時に車が少し揺れました。Aさんは「車をぶつけたかも」と思いました。また、後部座席に乗っていた中学3年の息子から「お父さん車ぶつけたみたいだよ。」と言われました。しかし、運転に自身があり、これまで交通違反、交通事故歴のなかったAさんは「まさか」と思い、「相手車に誰も乗ってないし」「逃げてもつかまりはしない」と思い、そのまま大型商業施設の駐車場を出て行きました。すると、後日、Aさんは福岡県久留米警察署の警察官から、「先日の駐車場の当て逃げの件で署まで出頭してほしい。」との連絡を受けました。Aさんは逮捕されるのではないかと不安になって、刑事事件に強い弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 当て逃げとは ~

「当て逃げ」とは、交通事故のうち「物損事故」があった場合において、当該交通事故に係る車両等の運転手等が「事故報告義務」を尽くさないことをいいます。
これに対して「ひき逃げ」とは、交通事故のうち「人身事故」があった場合において、当該交通事故に係る車両等の運転手等が「救護義務」、「事故報告義務」を尽くさないことをいいます。
これらの義務の法的根拠は道路交通法72条1項にあります。

道路交通法72条1項
 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官か現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

~ どうすればよかったの?(事故報告義務の内容) ~

道路交通法72条1項によると、「交通事故があったとき~直ちに車両等を停止して~」とありますから、まず

車を直ちに停止させること

が必要です。他の交通の妨げとなる場合は、車を安全な場所に移動させ

その場に留まる

必要があります。

次に、「この場合において~」以下が、事故報告義務の具体的内容となります。つまり、適宜な方法により、

警察官に事故内容を報告

しなければなりません。
報告内容については、交通事故が発生した場所、日時、損壊した物、損壊の程度などとされていますが、警察官から聴かれた内容に回答すればOKです。

~ 当て逃げの罰則は? ~

罰則は3月以下の懲役又は5万円以下の罰金(道路交通法117条の5第1号)です。
なお、事故報告義務違反については反則金は設けられておらず、発覚すればただちに懲役刑、罰金刑などの刑事罰を科されるおそれがあります。刑事罰を科されるということは、逮捕の可能性もあります。また、刑事罰を科され、その裁判が確定すると前科となります。

~ 警察官から指示を受けたら? ~

また、警察官に事故報告をした際、警察官から、警察官が交通事故現場に到着するまでの間、現場から立ち去ってはならないことを命じられることがあります。
この命令に反して現場から立ち去った場合は、5万円以下の罰金を科される可能性があります。これについても反則金は設けられていません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

相手が悪くてもひき逃げ?③~福岡市西区 

2019-10-09

相手が悪くてもひき逃げ?③~福岡市西区 

ひき逃げ後の対応策などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市西区に住む主婦のAさん(38歳)は、仕事を終え、普通乗用自動車を運転して帰宅途中、後方を確認することなくいきなり道路を斜め横断してきたVさん(69歳)運転の自転車に自車を衝突させてVさんを路上に転倒させました。Aさんは、ドアミラーなどでこのことを認識しながらも、「相手がいきなり道路上に飛び出してきたのだから自分は悪くない」と考え、車を停止させることなく交通事故現場を立ち去りました(後日、Vさんは加療約2か月間の怪我を負っていたことが判明)。ところが、Aさんは、現場付近の防犯ビデオ映像や、交通事故現場に残されていた痕跡などから福岡県西警察署ひき逃げの犯人だと疑われ、過失運転致傷、道路交通法違反の被疑者として逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの夫は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

前回(相手が悪くてもひき逃げ?②~福岡市西区)では、ひき逃げ自体で問われる罪、ひき逃げと併せて問われる罪についてご紹介しました。
今回は、ひき逃げ後の対応策などについて、あいち刑事事件総合法律事務所福岡事務所が解説します。

~ ひき逃げしてしまったら? ~

ひき逃げしてしまったら、警察に出頭することも検討しましょう。
出頭したことで自首が成立し、それによって、のちのち法律上の減軽措置を受けることができるかもしれません。また、可能性は低いかもしれませんが、出頭したことが「逃亡のおそれなし」と判断され、逮捕を回避することができるかもしれません。
ただ、逮捕するかしないかは警察の判断に委ねられるため、自首したからといって必ず逮捕を回避できるかどうかは分かりません。また、出頭=自首でないことにも注意が必要です。自首は、捜査機関が犯人、あるいは犯罪事実を把握する前に成立するものです。出頭した時点で、警察が犯人を特定していた場合にはもはや自首は成立しません。しかし、この場合でも法律上の減軽措置を受けることはできませんが、逮捕を回避できる可能性は残されています。

このように警察に出頭するかしないか判断が難しいところです。
そこで、判断が難しい場合は、法律の専門家である弁護士に相談してアドバイスを受け、可能であれば弁護活動を依頼しましょう。
出頭、自首や逮捕を回避するための具体的なアドバイスを受けることができます。また、仮に、逮捕された場合でも、弁護士の接見を受けることができますし、早期釈放に向けて速やかに弁護活動を始めてくれます。

~ ひき逃げをした認識がない場合は? ~

ひき逃げは、車両等を運転した運転手にひき逃げをした認識がなければ成立しない罪です。
反対に、確定的な認識がある、薄々認識があるからこそ、前回お話しした重い罪が科せられるのです。

認識がない場合は、認識がない旨きちんと主張する必要があります。
しかし、捜査機関は取調べで「認識があっただろう」とあなたを厳しく追及してきます。認識がない場合はその追及に屈してはなりません。そして、取調べでは以下の権利が認められていることも覚えておきましょう。

= 黙秘権=
   
  取調官は、取調べを始めるにあたって、被疑者に対し、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げる必要があります。あなたは、取調中は終始沈黙(黙秘)することができます。
 
= 増減変更申立権 =

  供述調書が作成されると、取調官から内容に間違いがないかどうか問われます。ここで自分の意図したこと(話したこと)と異なる内容が書かれてあった場合は、どんな些細なことでも構いませんので、遠慮なく、内容の変更、あるいは内容の増減を申し立ててください。
 
= 署名押印拒否権 =

  供述調書の内容の確認が終わると、最後に、供述調書への署名・押印を求められます。ここで、署名・押印してしまうと、その供述調書に書かれた内容=あなたが話した内容として裁判で証拠として扱われることになります。取調官は、あなたに署名・押印させようと説得を試みますが、署名・押印の拒否は、あくまであなたの判断で行うことができます。
 
= 出頭拒否権、退去権 =

  在宅事件の場合、被疑者は、捜査機関からの出頭要請を拒否することができます。また、取調べ後は、いつでも取調べ室から退去することができます。ただし、身柄を拘束されている場合、実務上、退去権は認められていません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの予約受付を承っております。

相手が悪くてもひき逃げ?~福岡市西区 

2019-10-07

相手が悪くてもひき逃げ?~福岡市西区 

ひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市西区に住む主婦のAさん(38歳)は、仕事を終え、普通乗用自動車を運転して帰宅途中、後方を確認することなくいきなり道路を斜め横断してきたVさん(69歳)運転の自転車に自車を衝突させてVさんを路上に転倒させました。Aさんは、ドアミラーなどでこのことを認識しながらも、「相手がいきなり道路上に飛び出してきたのだから自分は悪くない」と考え、車を停止させることなく交通事故現場を立ち去りました(後日、Vさんは加療約2か月間の怪我を負っていたことが判明)。ところが、Aさんは、現場付近の防犯ビデオ映像や、交通事故現場に残されていた痕跡などから福岡県西警察署ひき逃げの犯人だと疑われ、過失運転致傷、道路交通法違反の被疑者として逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの夫は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

前回は、ひき逃げとはどんな行為をいうのかご紹介しました。
今回は、ひき逃げをした場合に問われる罪と罪の重さをご紹介いたします。

~ ひき逃げそのものに関する罪 ~

ひき逃げそのものに関する罪は、大きく①停止義務違反・救護義務違反(道路交通法117条)と②事故報告義務違反(道路交通法119条1項10号)の2つに分けられます。

① 停止義務違反・救護義務違反
  停止義務違反・救護義務違反はさらに、ア「人の死傷が当該運転者の運転に起因する場合」とイ「ア以外の場合」に分けられます。 
  アの罰則は「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と大変重たいです。
  「人の死傷が当該運転者の運転に起因する場合」とは、ご自身の運転が原因となって交通事故(人身事故)が発生した、ということ、つまり、ご自身の運転と交通事故による人の死傷との間に因果関係が認められる場合をいいます。
  通常、後ほどご紹介する「過失運転致死傷罪」に問われた場合はこの罰則が適用されると考えてもらっていいかもしれません。
  ご自身の運転が原因で人を死傷させてしまった以上、それだけ責任が大きいということですね。
  他方で、イの罰則は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
  イは「ア以外の場合」、つまり、ご自身の運転が原因で交通事故が発生していない場合、ということです。つまり、ご自身に過失があるかないかにかかわらず、交通事故(人身事故)が起きた場合は、車両等を運転する方は停止義務、救護義務を負い、これに違反した場合は罰則を科されるおそれがある、ということは是非知っていただきたいと思います。
  ですから、本件のAさんのように、「相手が悪いから」などと勝手に事故判断してその場から立ち去る行為は絶対にしてはいけません。
② 事故報告義務違反
  事故報告義務違反の罰則は「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」です。

  
~ ひき逃げと併せて問われる罪 ~

ひき逃げと併せて問われる罪としては、主に、①過失運転致死傷罪、②危険運転致死傷罪、③酒気帯び、酒酔い、無免許運転です。

①過失運転致死傷罪は、自動車運転上の過失によって人を死傷させた場合に問われる罪で、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律)7条に規定されています。罰則は「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。

②危険運転致死傷罪は法律2条に規定されています。そして、法律2条1号から6号までに、危険運転の類型が規定されています。

1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態での運転
2号 運転の制御が困難なほどの速度超過
3号 運転の制御できる技能を持たないままの運転
4号 人・車の通行を妨害する目的の運転
5号 信号無視など
6号 通行禁止道路の走行

これらに当たる運転をして人を負傷させた場合は「15年以下の懲役」、人を死亡させた場合は「1年以上の有期懲役」です。

③は交通3悪と呼ばれる犯罪です。
 酒気帯び運転は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、酒酔い運転は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、無免許運転は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ひき逃げなどの交通事故・刑事事件専門の法律事務所です。ひき逃げを起こしお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

相手が悪くてもひき逃げ?~福岡市西区 

2019-10-06

相手が悪くてもひき逃げ?~福岡市西区 

ひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市西区に住む主婦のAさん(38歳)は、仕事を終え、普通乗用自動車を運転して帰宅途中、後方を確認することなくいきなり道路を斜め横断してきたVさん(69歳)運転の自転車に自車を衝突させてVさんを路上に転倒させました。Aさんは、ドアミラーなどでこのことを認識しながらも、「相手がいきなり道路上に飛び出してきたのだから自分は悪くない」と考え、車を停止させることなく交通事故現場を立ち去りました(後日、Vさんは加療約2か月間の怪我を負っていたことが判明)。ところが、Aさんは、現場付近の防犯ビデオ映像や、交通事故現場に残されていた痕跡などから福岡県西警察署ひき逃げの犯人だと疑われ、過失運転致傷、道路交通法違反の被疑者として逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの夫は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

この記事をご覧の方にも、日頃、ニュースなどで「当て逃げ」もしくは「ひき逃げ」の報道を耳にされることは多いのではないでしょうか?
ひき逃げを行うと助かったであろうはずの命をも奪うことになりかねず、それゆえ交通事故の中でも重大事故の一つに挙げられます。それゆえ、世間の関心は高いのです。
もっとも、ひとたびひき逃げをすると気が動転してしまい、適切な措置をとりにくいものです。
今回は、そのひき逃げについてご紹介していきたいと思います。

~ ひき逃げはどんな行為? ~

ひき逃げがどんな行為か細かくみていきましょう。
ひき逃げとは、

①誰が→車両等の運転者が

②どんな場合に→人身事故を起こした場合に

③どんなことをした→必要な措置を講じなかった

場合のことをいいます。

これに対して、当て逃げとは、

①誰が→車両等の運転者が

②どんな場合に→物損事故を起こした場合に

③どんなことをした→必要な措置を講じなかった

場合のことをいいます。

~ 「必要な措置」とは? ~

では、「必要な措置」とはどんな措置なのでしょうか?
この点については、道路交通法72条1項に規定されていますから、この規定をさらに細かくみていきます。

ア、ただちに車両等の運転を停止しよう(停止義務:道路交通法72条1項前段)
  交通事故を起こしたら直ちに車両等の運転を停止しなければなりません。
  そして、現場から立ち去ってはいけません!

イ、負傷者を救護しよう、危険を防止するための措置を講じよう(救護義務:道路交通法72条1項前段)
  その上で、負傷者を救護し、道路における危険を防止するなどの必要な措置を講じなければなりません。
  ここで、「負傷していない(怪我をしていない)」などと勝手に自己判断してはいけません。負傷しているかどうかは素人では判断しづらく、医者の判断を待ってはじめて明らかとなるからです。そこで、「負傷しているかどうか分からない」という場合も救護義務が生じ、これを取らなかった場合は救護義務違反となりますから注意が必要です。
  「負傷者を救護」する例としては
 ・現場において応急の手当てを取る
 ・119番通報する
 ・病院への搬送
 などが挙げられます。
  「道路における危険を防止する」は「必要な措置」の例示に過ぎません。ですから、道路内、道路外を問わず、必要とあるならば危険を防止するための措置を取る必要が あります。たとえば、
 ・車両等を速やかに他の場所へ移動させる
 ・負傷者を道路外へ運ぶ
 ・油などが流出し発火、他の車両等のスリップのおそれがあるときは周囲の砂をまく
 ・車両等が人家に突入したときは、車両等を移動させる措置をとる
 などが挙げられます。

ウ、110番通報しよう(警察官に事故内容等を報告しよう)(事故報告義務:道路交通法72条1項後段)
  ア、イと同時に、警察官に事故内容などを報告しなければなりません。
  ア、イの措置はとったものの、「交通事故を起こしたことがばれたくない」「他の犯罪(たとえば、酒気帯び運転など)がばれるのが怖い」などと思って、警察官に報告しなかった場合は事故報告義務違反となります。
  また、事故報告は、交通事故後「直ちに」行うことが必要です。もちろん、ウに先立って、ア、イの措置を取ることが必要ですから、ア、イに要した時間を考慮すれば、多少の遅延は許されるものと思われます。しかし、たとえば、交通事故現場から離れて遠方にある自宅から電話した、だとか、翌日、逮捕が怖くなって警察に電話した、などという場合はもはや「直ちに」とはいえないでしょう。

次回以降は、ひき逃げの罪や罪の重さなどについてご紹介していきます。

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あおり運転厳罰化?

2019-09-26

あおり運転厳罰化?

あおり運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市中央区に住むAさんは、天神へ向かうため、福岡県内の片側2車線の高速道路において普通乗用自動車を運転中、追い越し車線を走るVさん運転の普通乗用自動車を認めました。Aさんは急いで天神へ向かっていたにもかかわらず、Vさんが追い抜き車線へ車線変更せず前方に進出できないことに憤慨し、V車の後方からヘッドライトを点滅させました。さらに、AさんはV車の後方約1メートル以内に自車をつけ、約500メートルにわたり走行し続けました。そうしたところ、Aさんはパトロール中の警察官に当該行為を現認され、道路交通法違反で検挙されてしまいました。
(フィクションです。)

~ あおり運転に対する現在の法令、罰則、反則金 ~

あおり運転がニュースなどで大きく取り上げられています。
このあおり運転についての明確な定義はなく、現在のところあおり運転そのものを処罰する法令、罰則はありません。

警察庁が公表している、あおり運転の例として、

① 前方の車に激しく接近し、もっと速く走るよう挑発する
② 危険防止を理由としない、不必要な急ブレーキをかける
③ 後方から進行してくる車両等が急ブレーキや急ハンドルで避けなければならなくなるような進路変更を行う
④ 左側から追い越す
⑤ 夜間、他の車両の交通を妨げる目的でハイビームを継続する
⑥ 執拗にクラクションを鳴らす
⑦ 車体を極めて接近させる幅寄せ行為を行う

行為が挙げられています。しかしながら、罰則は

①(車間距離保持義務違反)、②(急ブレーキ禁止違反)、④(追い越しの方法違反)、⑦(安全運転義務違反)については

3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

③(進路変更禁止違反)、⑤(減光等義務違反)、⑦(初心者運転者等保護義務違反)については

5万円以下の罰金

⑥(警音器使用制限違反)については

2万円以下の罰金又は科料

と比較的軽い罰則しか規定されていません。

しかも、①から⑦までの行為は全て反則行為とされます。反則行為を行った場合、「刑事手続」ではなく交通反則通告制度により、上記の懲役、罰金ではなく

反則金

が科され、納付をすれば刑事手続によらず事件は終了、ということになります。

つまり、あおり運転の明確な定義はなく、かつ、あおり運転を行って懲役や罰金の刑罰ではなく反則金を科されるのが通常、というのが現行制度なのです。

ちなみに、普通乗用自動車の①(車間距離保持義務違反)、②(急ブレーキ禁止違反)、⑦(安全運転義務違反)の反則金は「1万5000円」です。

~ 違反点数は? ~

違反点数は累積制で、違反点数の合計点数により、免許停止、免許取消しなどの行政処分が決められます。

上記①から⑦のうち、

違反点数が1点のものは、

①(車間距離保持義務違反)、③(進路変更禁止違反)、⑤(減光等義務違反)、⑦(初心者運転等保護義務違反)

違反点数が2点のものは、

②(急ブレーキ禁止違反)、④(追い越し方法違反)、⑦(安全運転義務違反)

です。

~ 暴行罪の適用も? ~

現行制度では、あおり運転に対する罰則が軽いことから、警察は

故意に自車を他人の車に著しく接近させるなどの運転態様、当事者の認識、周囲の道路状況等に照らし、その行為が、相手の運転者に対する有形力の行使と認められる場合には暴行罪(刑法208条)が成立する場合がある(警察庁ホームページから引用)

としています。実際に暴行罪が適用された事例もあります。

刑法208条
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

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危険運転~海の中道大橋飲酒運転事故~から13年

2019-09-24

危険運転~海の中道大橋飲酒運転事故~から13年

危険運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市博多区に住む会社員のAさん(22歳)は、居酒屋で知人らと大量に飲酒した上、正常な運転が困難な状態で車を運転していたところ、対面信号機の表示が赤色であることを見過ごして交差点を通過しようとしたため、折から、青色信号に従って同交差点に進入してきたVさん(20歳)運転の中型バイクに自車を衝突させ、Vさんを路上に転倒させるなどしました。Aさんの車は電柱に衝突し、Aさんはその衝撃で意識を取り戻しました。Aさんは何が起きたのかわからず運転席に座ったままでいると、運転席の窓越しに通行人から、「おい、飲酒運転しただろ!」「お前、バイクの運転手を轢いたぞ!」などと声をかけられてはじめて事の重大さに気づき、車から降りましたがVさんは救急車に運ばれて現場にはいませんでした。その後、Aさんは現場に駆け付けた福岡県博多警察署の警察官から事情を聴かれた後、過失運転致傷罪で現行犯逮捕されました。そして、Vさんが死亡したことや捜査の結果、Aさんがアルコールを摂取し、正常な運転が困難であることを認識しながら車を運転していたことが判明したことなどを受け、Aさんは危険運転致死罪で起訴されました。
(フィクションです。)

~ はじめに ~ 

先日、8月25日で、2006年8月25日に福岡市東区の海の中道大橋飲酒運転の車に追突された車が海に転落し、幼いきょうだい3人の命が奪われた悲惨な交通事故から13年が経ちました。
この悲惨な交通事故から13年も経過していることから、この悲惨な交通事故を知らない若者も多くいるようです。
確かに、車の運転免許を取得することができる現在の18歳の方は当時5歳ということで、生の記憶がないことは当然のことかもしれません。しかし、8月25日になると、毎年のように飲酒運転撲滅に向けた啓発活動が行われており、若者の飲酒運転に対する認識の低さも一定程度影響しているのではないでしょうか?

~ どんな事故だったの? ~

そこで、上記事故がどんな事故だったのか改めてご紹介します。
この事故は、事故当時、福岡県職員だった男性(以下、Aといいます)が引き起こした事故としても注目を集めました。

Aは、多量に飲酒の上、2006年8月25日午後10時50分頃、福岡市東区の海の中道大橋において、知人1名を同乗させて車(トヨタ、クラウンマジェスタだったとのことです)を時速約100キロメートルで運転していたところ、前方を走っていたVさん運転の車(妻、子ども3名同乗)に自車を追突させ、V車を橋の欄干を突き破らせて博多湾に転落させました。その結果、子ども3名をを溺死させ、Vさんとその妻に軽傷を負わせた、という事故です。

~ 裁判はどうなったの? ~

Aは、福岡地方検察庁に、危険運転致死傷罪と道路交通法違反(ひき逃げ、Aは事故現場から逃走しました(加えて、Aは水を飲み、友人に身代わり出頭を依頼するなどの飲酒運転の罪証隠滅行為を働いていました))で起訴され、裁判で懲役25年を求刑されました。しかし、第一審の福岡地方裁判所は危険運転致死傷罪の適用を認めず、業務上過失致死傷罪(現在の過失運転致死傷罪)と道路交通法違反が成立するとし、Aに懲役7年6月の実刑判決を言い渡しました。
そこで、検察側はもちろん、A側も控訴、上告し、第二審、最高裁ではAに危険運転致死傷罪が成立するか否かが争われましたが最高裁で成立すると認められ、Aに対する

懲役20年

の刑が確定しています。

~ 飲酒運転は危険!絶対にやめよう ~

飲酒運転しても「人に迷惑をかけない。」などと考えられる方がいます。
しかし、それはあくまで結果論であって、飲酒運転が危険であることはいうまでもありません。
飲酒運転によって人に怪我をさせたり、人を死亡させるなど取り返しのつかないことを起こしてしまう危険が高いです。そして、その場合は危険運転の罪が適用されて刑事上の責任を負うほか、数千万、数億万単位の損害倍書額を請求されることにもなりかねません。
飲酒運転はぜったいにやめましょう!

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危険運転~制御困難な高速度

2019-09-22

危険運転~制御困難な高速度 

危険運転制御困難な高速度)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県糸島市に住むAさんは、普通乗用自動車を運転して、制限速度60キロメートルと指定された福岡市内の都市高速道路を走行中、急な左カーブに差し掛かったところで前車を追い越そうと速度を時速約120キロメートルに上げたところ、ハンドル操作を誤って自車を道路左側の壁面に衝突させ、さらにそのはずみで自車を対向車線に進出させ、折から、対向車線を直進してきた軽自動車に自車を衝突させ、軽自動車を運転するVさんを死亡させてしまいました。Aさんは病院に搬送され容体が回復した後、福岡県中央警察署の警察官に危険運転致死罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 危険運転について ~

最近、あおり運転が連日報道されていますが、あおり運転が危険な運転であることは間違いありません。
そして、そのあおり運転によって人に怪我をさせたり、人を死亡させた場合は

危険運転致傷罪(15年以下の懲役)、危険運転致死罪(1年以上の有期懲役)

が適用されるおそれがありますから、運転には十分注意する必要があります。

~ 危険運転とは? ~

危険運転については、

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律といいます)

の第2条に規定されており、第2条には罰則のほか、以下のとおりその1号から6号までに危険運転の類型が規定されています。

1号:正常な運転が困難になるほどの飲酒・薬物使用運
2号:進行を制御することが困難なほどの高速度での運転
3号:車を制御する技能を有しないでする運転
4号:人や車の通行を妨害する目的でに著しく接近するなどし、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での危険な運転
5号:赤信号等を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での運転
6号:通行禁止道路の進行し、かつ重大な危険を生じさせる速度での運転

~ 危険運転が成立する場合とは? ~

危険運転致死傷罪は、運転者が1号から6号に掲げるいずれかの行為を行っていることおを認識しながらその行為を行い、よって、人を負傷させた場合、あるいは人を死亡させた場合に成立します。要約すると、「運転者の認識」、「1号から6号までの行為」、「人の負傷、死の発生」、「行為と負傷、死との因果関係」という要素が必要ということになります。

~ 「進行を制御することが困難なほどの高速度での運転」とは? ~

事例を見ると、Aさんの運転は

進行を制御することが困難なほどの高速度での運転

に当たりそうです。

進行を制御することが困難なほどの高速度での運転とは、速度が速すぎて、道路状況の応じた運転が困難な状態であることをいいます。
進行を制御することが困難なほどの高速度かどうかは「制限速度の2倍」かどうかが一応の目安とされています。

しかし、単に、速度の速い遅いだけで決められるものではありません。道路の状況、貨物の積載状況、運転当時の気象状況、あるいは運転者の運転技量(初心者かベテランか)などの要素も影響を与えることがあります。
したがって、直線道路を制限速度の2倍を超える速度で運転していたとしても「進行を制御することが困難なほどの高速度」には当たらない可能性もあります。反対に、急なカーブに差し掛かる道路で、制限速度の2倍に達しない速度で運転していた場合には「進行を制御することが困難なほどの高速度」に当たる可能性もあります。

本件では、指定速度60キロメートルとされた急な左カーブのある道路を、その速度を超える120キロメートルで運転していたというわけですから、「進行を制御することが困難なほどの高速度」に当たる可能性が高そうです。

~ 参考事例 ~

昨年、6月28日、津地方裁判所では、三重県亀山市の名阪国道を法定速度の2倍で走行するなどし、対向車線のトラックに衝突、男性を死亡させたとして危険運転致死罪に問われた三重県四日市市在住の男性に対し、懲役6年(求刑懲役8年)の判決が言い渡されています。被害者遺族との示談が成立していたにもかかわらず、このような厳罰を科されていますから、文字通り、危険運転がいかに危険な運転であり、重い刑罰を科されてしまうのかが分かります。

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