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北九州小倉北区での歩行者の交通違反?

2019-07-18

北九州小倉北区での歩行者の交通違反?

北九州市小倉北区に住むAさんは職場から徒歩で帰宅していました。途中、横断歩道を渡ろうとしてところ、信号表示が「赤色」に代わったっことから横断歩道上の手前でいったん立ち止まりました。Aさんは、左右を確認したところ、右側からバイクが交差点に向かって走ってきていることに気づきましたが、「バイクが通過するより先に渡れるだろう。」と考えて横断歩道を渡り始めました。そうしたところ、青色信号に従って右方から交差点に進入してきたバイクに衝突し、バイクの運転手を路上に転倒させるなどして死亡させてしまいました。Aさんは、衝突で加療約1か月間の怪我を負いましたが、赤色信号で横断歩道を渡ったことを重く見られ、小倉北警察署に重過失致死罪の被疑者として立件されてしまいました。
(事実を基に作成したフィクションです)

~ 歩行者は交通弱者 ~

車両との関係で、歩行者は「交通弱者」と呼ばれ、様々な優先権が認められています。
たとえば、道路交通法38条1項では、

横断歩道に近づいたドライバーに対し、横断する歩行者がいないか確認のうえで、現に横断し、あるいは横断しようとしているときは、横断歩道の手前で一時停止しなければならない

などとしています。

~ 歩行者にも義務が ~

しかし、歩行者が交通弱者であるからといって、歩行者に何ら義務・ルールが科されないというわけではありません。例えば、道路交通法7条では、

道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官の手信号等(略)に従わなければならない

としており、車だけでなく歩行者にも

信号機に従う義務

を課しており、違反者には罰則(2万円以下の罰金又は科料)を科すとしています(道路交通法121条1項1号)。その他にも

・歩道を通行する義務(道路交通法10条2項)
・右側を通行する義務(道路交通法10条1項)
・横断歩道を渡る義務(道路交通法12条1項)
・斜め横断禁止の義務(道路交通法12条2項)

などがあります。この機会に歩行者の義務について確認しましょう!

~ 刑法上の罪が適用される場合も ~

歩行者が、単に、信号無視をして警察に青切符を切られたという場合は、反則金を納付すれば事足りることが多いかと思いますが、それによって他の通行者を怪我させたり、死亡させた場合は、刑法に規定されている

・過失傷害罪(刑法209条)
 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
・過失致死罪(刑法210条)
 過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
・重過失致死傷罪(刑法211条後段)
 重大な過失により人を死傷させた場合も同様(5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)とする。
※重過失とは通常の過失よりも過失の程度が大きい、つまり落ち度が大きいことをいいます。

に問われる可能性があります。

* 実際の適用事例 *

・平成31年1月16日、静岡市内の交差点で、歩行者とバイクが衝突し、バイク運転手が死亡した事故(歩行者も怪我)。歩行者は事故に関する詳細を記憶していなかったようですが、複数人の目撃供述から、歩行者の男性が赤信号を無視していたばかりか、バイクに気づいたのに回避措置をとっていなかったことが明らかとなり、歩行者が重過失致死罪で書類送検されています(バイク運転手は「被疑者死亡」のまま過失運転致傷罪で書類送検)。

・平成30年11月15日、北九州小倉北区内で、これも歩行者とバイクの衝突事故。これも歩行者が信号無視したことが明らかにとなっており、歩行者は重過失致傷罪で、バイク運転手が過失運転致傷罪で書類送検されています。

~ おわりに ~

福岡県交通企画課によりますと、福岡県内で発生した車と道路横断中の歩行者の事故(1695件)のうち、信号無視が原因で歩行者が第一当事者になった「乱横断」は12件あったといいます。事故の状況によっては厳しい責任を問われかねませんから、歩行者といえどもしっかりとルールを守る必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方はは、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

小倉北区で飲酒運転発覚をおそれ被害者に現金授与②

2019-05-29

小倉北区で飲酒運転発覚をおそれ被害者に現金授与②

福岡県小倉北区に住む会社役員の男性は、仕事の関係者が集う立食パーティーに参加し、そこで多量のお酒を飲んだ後、飲酒運転して(のちの捜査で呼気からアルコール濃度0.5mg/lが検出)帰宅しました。その途中、Aさんは信号待ちのVさんが運転する前車に気づかず追突してしまいました(のちに、Vさんは加療約2週間の怪我を負ったことが判明)。Aさんは「大変なことをしてしまった」と思い、車から降りて運転席に乗車したままのVさんの元へ歩いていきました。Aさんは、ドアガラスを開けたVさんに「大丈夫ですか」と声をかけると、Vさんから「何とか」「きちんと賠償してくれるんでしょうよね」と言われました。Aさんは、「怪我だけは大したことなかった」と思い、Vさんに連絡先の電話番号を書いたメモ紙とお見舞金としての5万円を手渡しました。しかし、Aさんは、「ここで現場に留まり、警察を呼ぶと飲酒運転したことがばれる」と思い、Vさんに別れを告げてその場から離れ帰宅しました。後日、Aさんは、福岡県小倉北警察署に、過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱罪、道路交通法違反(救護義務違反、報告義務違反)で逮捕されてしまいました。
(令和5月16日に掲載された西日本新聞記事を基に作成したフィクションです。)

~ はじめに ~

前回の「小倉北区飲酒運転発覚をおそれ被害者現金授与①」では、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪の趣旨や規定の概要、成立要件について解説いたしました。そして、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪の成立要件として、

① アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者であること
② 運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させたこと
③ アルコール又は薬物の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたこと

が必要ということを解説したと思います。そこで、その成立要件について細かく解説したいと思います。

~ 要件①について ~

「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」とは、危険運転致傷罪における「正常な運転が困難な状態」と異なります。すなわち、正常な運転が困難な状態には至っていないが、アルコール等の影響で自動車を運転するのに必要な注意力・判断能力や操作能力が相当程度低下して危険な状態のことをいいます。
具体的には、道路交通法上の

酒気帯び運転程度のアルコール(血中アルコール濃度0.3mg/ml以上、呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上)

が体内にあれば「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」に当たると思います。

* 主観的には「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」である認識が必要 *

ご本人に(アルコールの影響で)「身体が火照っている」「血の巡りが早い」「ボーっとしている」などの自覚症状がある場合、仮になくても、飲酒から検挙までの時間、千鳥足、脚元がふらついている、顔が赤い、目が充血している、言葉の羅列が回らないなどの客観的状況から認識有りとされます。

~ 要件②について ~

「運転上必要な注意義務を怠り」とは、過失、を意味します。自動車を運転する上では守るべきルールがありますが、そのルールを守るべきとされ、当時の状況から守ることができ、事故を回避することができたのに、守らなかっため事故を回避することができなかった場合に「過失」があるとされます。本件では、Aさんが前をよく見て運転することが当然のルールで、前をよく見て運転することは容易にでき、しかも被害者であるVさんは信号待ちのため停まっていただけですから、事故(追突)は容易に回避できたといえます。
「よって人を死傷させたこと」とは、人の死、傷害(怪我など)という結果を発生させ、かつ、その結果と上記の過失行為との間に因果関係がある場合をいいます。基本的に、追突(過失行為)がなければ怪我が発生しなかったであろうといえる場合は、因果関係が認められます。

~ 要件③について ~

実際にアルコールの影響の有無・程度の発覚を免れる必要はなく、 「免れるべき行為」 といえる程度の行為が行われれば足りるとされています。法律4条では、「免れるべき行為」の例として、「アルコールを摂取する行為」、「その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させる行為」を挙げています。どの時点で、 「免れるべき行為」 といえる程度の行為、といえるのか、つまり行為が既遂に達したかについては、前者については、

事故後にアルコールを摂取した時点

後者については、概ね、現場から立ち去ってから

40分が経過した時点

とされています。
なお、「その他の免れるべき行為」としては、アルコールの分解を促進する薬を服用することが挙げられます。大量の水を飲む行為については、立法時は、, 「その他の免れるべき行為」 に含まれるとの見方が示されていますが、 水を大量に体内に入れたとしても, 体内のアルコール量自体が変化するものではないので,当たらないと指摘する人もいます。

* 主観的には「アルコールの有無又は程度が発覚することを免れる目的」が認識が必要 *

通常は、事故後にアルコールを摂取することが発覚免脱になること、 事故現場を離れて身体のアルコール濃度を減少させる行為をその旨認識して行ったときには, 通常は, 発覚免脱の目的もあったとの認定がなされることになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,飲酒運転、交通事故、交通違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております

小倉北区で飲酒運転発覚をおそれ被害者に現金授与①

2019-05-28

小倉北区で飲酒運転発覚をおそれ被害者に現金授与①

福岡県小倉北区に住む会社役員の男性は、仕事の関係者が集う立食パーティーに参加し、そこで多量のお酒を飲んだ後、飲酒運転して(のちの捜査で呼気からアルコール濃度0.5mg/lが検出)帰宅しました。その途中、Aさんは信号待ちのVさんが運転する前車に気づかず追突してしまいました(のちに、Vさんは加療約2週間の怪我を負ったことが判明)。Aさんは「大変なことをしてしまった」と思い、車から降りて運転席に乗車したままのVさんの元へ歩いていきました。Aさんは、ドアガラスを開けたVさんに「大丈夫ですか」と声をかけると、Vさんから「何とか」「きちんと賠償してくれるんでしょうよね」と言われました。Aさんは、「怪我だけは大したことなかった」と思い、Vさんに連絡先の電話番号を書いたメモ紙とお見舞金としての5万円を手渡しました。しかし、Aさんは、「ここで現場に留まり、警察を呼ぶと飲酒運転したことがばれる」と思い、Vさんに別れを告げてその場から離れ帰宅しました。後日、Aさんは、福岡県小倉北警察署に、過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱罪、道路交通法違反(救護義務違反、報告義務違反)で逮捕されてしまいました。
(令和5月16日に掲載された西日本新聞記事を基に作成したフィクションです。)

~ はじめに ~

上記事例は実際の事例を基に作成しています。新聞記事等では「過失傷害アルコール等影響発覚免脱罪」と書かれていますが、正確には、

過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪

といいます。この罪は

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律)

という法律が新設された際(施行日は平成26年5月20日)に設けられた罪で、法律の4条に規定されています。

~ 新設の趣旨 ~

過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪が新設された趣旨は、学説からは様々な批判があるものの、一般に

「逃げ得」を防止するため

と説明されています。
つまり、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を死亡させた場合には危険運転致死罪が適用されますが (法律2条1号、。法定刑の上限は懲役20年)、 その場合に犯人が逃走することで、 アルコールによる影響の程度を立証できないために危険運転致死罪の適用を免れる事態が生じてしまいます。 こうした法制の下では、 救護義務違反罪 (いわゆる、ひき逃げ) を犯してでも、罪の重たい危険運転致死傷罪の適用を免れるためにその場を逃走する者が生じやすくなり、結果として、過失運転致死罪と救護義務違反でしか処罰できないということになりかねません(この場合の刑(処断刑)の上限は懲役15年)。 そこで, このような「逃げ得」を防止し, 適正な処罰を可能とするために本罪を新設したと説明されています。

~ 過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪とは ~

では、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪の内容について具体的にみていきましょう。法律4条では次の規定が設けられています。

法律4条
 アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、さらにアルコールを摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、12年以下の懲役に処する。

仮に、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪と救護義務違反が成立した場合の刑の上限は

懲役18年

で、過失運転致死罪と救護義務違反で処罰する場合よりも刑が重たくなったことがお分かりいただけると思います。

法律4条の規定が長いので、これを箇条書きにしてまとめると、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪は

(行為者):アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者
(条 件):運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させた場合
(行 為):アルコール又は薬物の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為

をした場合に成立し得る犯罪だ、ということをまず押さえておきましょう。次回は、この要件の具体的内容について解説したいと思います。

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集団暴走と接見禁止解除

2019-05-10

集団暴走と接見禁止解除

北九州市小倉北区に住むA君(17歳)は、同区内の高校に通う高校2年生です。A君はバイクが好きで、自身の誕生日祝いに、同区内の道路をバイク仲間10人と原動機付自転車を集団暴走していました。そうしたところ、A君他10人は福岡県小倉北警察署のパトカーに制止するよう呼び止められました。しかし、A君らはその制止を振り切り集団暴走を継続したところ、増員された警察官によって制止されてしまいました。そして、A君他5人は、道路交通法違反(共同危険行為)で現行犯逮捕されましたが、残り5人はいまだ逃走中で未検挙です。A君は、逮捕後勾留され、接見禁止決定が出てしまいました。A君の両親はこのままではA君と面会できないことから、まずは接見禁止の解除をしてもらうべく弁護士に相談しました。
(フィクションです。)

~ 集団暴走と犯罪 ~

集団暴走を行えば、一般的に、以下の違反行為に当たるおそれがあります。

・共同危険行為の禁止違反(道路交通法68条)
・消音器不備車両の運転の禁止違反(道路交通法71条の2)
・騒音運転等の禁止違反(道路交通法71条5号の3)
・整備不良車両運転の禁止違反(道路交通法62条等)
・無免許運転の禁止違反(道路交通法117条の2の2)

このうち、共同危険行為については道路交通法68条で、

二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

と定められています。

* 少年と刑事事件 *

共同危険行為の罰則は、道路交通法117条の3で「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」と定められていますが、少年の場合、原則として、この罰則が直ちに科せられることはありません。少年は捜査機関によ捜査が終わると事件は家庭裁判所に送られ、少年の更生に向けた調査や環境調整が行われます。そして、少年審判が開かれた場合、原則として、「保護処分」あるいは保護処分を必要としない「不処分」の決定が出されます。

~ 接見禁止とは ~ 

接見禁止とは、原則として検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者(少年)が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じることをいいます。
本件の場合、未検挙の者が5人いることから、これらの者と通謀するなどして罪証隠滅行為を働くおそれが高いとして接見禁止決定が出る可能性が高いです。ただし、接見禁止決定はあくまで「勾留中」に出されるものですから、少年に対して観護措置決定が出て少年鑑別所に収容されている場合は接見禁止決定を出すことはできません。

~ 接見禁止の解除とは ~

接見禁止の効力を解き、弁護人又は弁護人となろうとする者以外との接見(面会)を可能とすることをいいます。
接見禁止解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば、制限なく接見できます。また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。

事件関係者との接見は認めないが、事件に全く関係のない家族等なら接見を認める

などという場合に一部解除となります。
ですから、子ども様との一刻も早い接見をお望みの場合は、弁護士に法律上の異議申立てや全部又は一部解除の申し立てを行ってもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。接見禁止が付いてお困りの方、その他刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの予約受付を承っております。

高齢ドライバーの方へ~悲惨な交通事故回避に向けて~

2019-05-09

高齢ドライバーの方へ~悲惨な交通事故回避に向けて~

先日、東京池袋において、87歳の高齢ドライバーが車を運転中に暴走し、12人を死傷させる大事故を起こしたことはテレビ等でご覧になってご存知かと思います。その中には3歳の子どももおられました。そして、妻とその3歳の娘とを亡くしてしまった夫は妻と娘さんの写真を公開し、そのことが大きな反響を呼んでいます。夫は、「この数日間、何度もこの先、生きていく意味があるのか自問自答しました。」「しかし、同時に今回の事故での妻と娘のような被害者と私のような悲しむ遺族を今後、絶対に出してはいけないとも思いました。」との思いから写真を公開したとのことです。今回は、高齢ドライバー交通事故についてご紹介したいと思います。

~ そもそも高齢ドライバーとは何歳から? ~

高齢ドライバーについての明確な定義があるわけであはりませんが、警察庁の高齢者に関する交通事故の統計によれば、65歳以上を「高齢ドライバー」としているようです。しかし、以下でみるように、それぞれ対象となる年齢が異なりますから、この機会にしっかり確認してください。

* 高齢者マーク(高齢運転者標識)の使用は70歳以上から *

高齢者マークの使用は70歳以上からです。ただし、これはあくまで努力義務であり、使用していないからといって罰則はありません。

* 高齢者講習は70歳以上、認知機能検査は75歳以上 *

高齢者講習は、更新期間が満了する日などにおける年齢が70歳以上の方が、免許更新時に受けなければならない講習です。75歳以上の方は、この高齢者講習に加え、認知機能検査も受けなければなりません。認知機能検査は、更新期間が満了する日などにおける年齢が75歳以上の方が、免許更新時に受けなければならない講習です。いずれの場合も講習を受けなければ、免許を更新することができません。

対象となる方には、免許期間満了日の6か月前に「案内はがき」が郵送されますから、はがきが届いたら、すぐに講習の予約の手続をしてください!

~ 高齢ドライバーが起こす死亡事故の件数は多い ~

2018年の交通死亡事故の発生件数は、2008年と比べると、すべての年代のドライバーで減少しています。また、年代別にみると、20~74歳で免許保有人口10万人あたり3~4件であるのに対し、75~79歳で6.2件、80~84歳で9.2件、85歳以上で16.3件と、75歳以上の高年齢で多くなっています(警察庁「平成30(2018)年における交通死亡事故の特徴等について」)。

高齢者は加齢により、動体視力の低下や複数の情報を同時に処理することが苦手になったり、瞬時に判断する力が低下したりするなどの身体機能の変化により,ハンドルやブレーキ操作に遅れが出ることがあるなどの特性があると言われています。
また、加齢に伴う認知機能の低下も懸念されており,警察庁によれば,平成28年に運転免許証の更新の際に認知機能検査を受けた75歳以上の高齢者約166万人のうち約5.1万人は認知機能が低下し認知症の恐れがある第1分類と判定されているとのことです。

* 第1分類 *

上記でご紹介した「認知機能検査」の結果、「認知症のおそれ」【第1分類】と判定されると「医師の診断」を受ける必要があり、その結果、「認知症」と診断されたときは、運転免許証の「取消し」又は「停止処分」を受けます。

~ 交通事故を起こしたら刑事責任、民事責任を負う ~

交通事故を起こしたら、年齢にかかわらず刑事・民事の責任を負う可能性が出てきます。
一般の刑事事件では、過失運転致傷罪、過失運転致死罪の罪名が適用されることが多く、その場合

7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金

に処せられる(処罰される)可能性があります。
また、民事責任の場合、任意保険に加入していれば、その多くは保険で賄われることと思いますが、自賠責保険のみしか加入していなかった場合は賄いきれなかった損害は全て事故負担となります。

~ 可能な限り自主返納を ~

池袋の事件のように悲惨な事故を起こさせない、また、自らも大きな負担(刑事責任、民事責任)を負わせないためにも、国は運転免許証の自主返納を推奨しています。しかし、地域によっては、車がないと日常生活に支障をきたす場所もあるようで、なかなか自主返納が進んでいないのが現状のようです。なお、警視庁の発表によりますと、自主返納率(免許保有人口あたり)トップの都道府県は「東京都」の8.0%で、最下位は「茨城県」の3.7%でした。「福岡県」は20位の5.1%で、意外にも「佐賀県」は福岡県より上の14位で5.3%でした。

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前科について

2019-05-06

前科について

福岡市早良区に住むAさん(21歳)は福岡市内の大学に通う大学生です。普段,大学には電車で通っています。ところが,ある日,Aさんは知人から,「大学の講義の終わりにフットサルの練習に参加しないか」と誘われました。Aさんは乗る気でしたが,大学から練習場までは遠く,公共の交通機関も不便で,友人はAさんよりも先に練習場に行っているというので,練習場まで行く脚がありませんでした。そこで,Aさんは,運転免許証を有していませんでしたが,親名義の車で練習場まで行くことに決めました。当日,Aさんは,親に無断で親名義の車を運転して大学へ向かって交差点を通過しようとしたところ,赤色信号を看過してしまいました。Aさんはパトロール中の警察官に呼び止められ運転免許証の呈示を求められましたが,無免許であったため呈示することができませんでした。そして,Aさんは,道路交通法違反(無免許運転の罪)の被疑者として検挙されてしまいました。その後,Aさんの母親も,車の引き取り等のため警察署へ呼ばれました。Aさんの母親は,もし息子に前科が付いたら就職に影響が出るのではないかと不安で一杯です。
(フィクションです)

~ はじめに ~

弊所に相談に来られる方の中にも

前科が付くと就職できない?就職に不利になる?
前科が付くとアパートの契約などができない?
前科が周囲にばれることはある?

などという疑問,不安を持たれている方がおられます。そこで,今回は,「前科」が付く経緯を解説した上で,前科に関する様々な疑問に対しお答えします。

~ 前科が付くまでの流れ ~

前科が付くまでの流れは以下のとおりです。

検挙(OR逮捕)→ 捜査 → 起訴(正式,略式) → 裁判(正式,略式) → 「有罪」 → 確定 → 前科

以上をみてお分かりいただけたように,まず,前科

① 逮捕されただけで付くものではありません

すなわち,裁判を受け

② 有罪であること

が確定してから付くものなのです。前科が付くとは,あくまでその罪に関し「有罪」であることが大前提です。逮捕段階では「推定無罪の原則」が働きますから,この時点で前科が付くことはないのです。
ちなみに,「確定」とは,

被告人側も検察側もその裁判についてこれ以上裁判で争えなくなった状態

のことをいいます。つまり,皆さんもご存知のとおり,被告人側,検察側にはそれぞれ,上級の裁判所に上訴する権限が与えられているのですが,その上訴期限が過ぎたり,あるいは上訴権を放棄するなどした場合は,その裁判につきそれ以上争えないという状態となります。そのときはじめて裁判が「確定」したという状態となるのです。

Q1 前科の情報はどこが把握しているの? 

A1 検察庁の犯歴係(検察事務官)という係が把握しています。

Q2 前科は一般の人が知ることができるの? *

A2 できません。捜査のためとして警察,犯罪人名簿作成のためとして「市町村役場」に開示されることはあっても,その他の場合で開示されることはありません。

~ 前科に関するよくある疑問・質問 ~

ここからは前科に関するよくある疑問・質問についてお答えします。

Q3 前科が付くと就職できない?

A3 そんなことはありません。そもそも一般の企業が前科持ちであるかどうか調べようがありません。ただし,金融機関,警備会社など人の信用に関わる仕事や公安関係の仕事では調べられることがあるかもしれません。しかし,その場合であっても検察庁が回答することはありません。免許が必要な職(弁護士,税理士,看護師など)については欠格事由に当たることがあり,一定の制限を受けます。

Q4 前科が付くと契約(賃貸(アパート),金銭消費貸借(ローン)など)できない?

A4 ありません。これも相手方が,前科持ちであるかどうか調べようがないからです。契約に関しては,お金の支払に関する信用の問題ですから,前科持ちの方であっても,信用に何ら問題ない場合は特段支障はないと考えます。

Q5 前科が付くのを回避するにはどうしたらいいの? 

A5 前科は上記の経過をたどりますから,まずは,「起訴自体を回避する」,つまり不起訴処分の獲得を目指すことが先決です。不起訴処分を獲得できれば前科が付くことはありません。

Q6 前科の情報は消えないの?消すことはできないの?

A6 残念ながら前科の情報が自動的に消えることはありませんし,消去するよう請求することもできません。つまり,一生ついて回ることになります。また,再犯を犯せば,前科が記録として残っていますから,その罪の裁判で不利になることが考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。前科が付くのを回避したいとお考えの方などは,まずは,土日・祝日24時間対応の弊所の無料相談をご利用ください。

交通事故と実況見分調書

2019-04-30

交通事故と実況見分調書

福岡県八女市に住むAさんは,軽自動車を運転中,交差点を通過しようとしたところ,対面信号機の信号表示が「赤色」であることに気づかずに交差点に進入したところ,折から,「青色」信号表示に従って同交差点に進入してきたVさん運転のバイクに自車を衝突させ,Vさんを路上に転倒させて,Vさんに加療約1か月間の怪我を負わせる交通事故を起こしてしまいました。Aさんは大変なことをしてしまったと思い,車から降り,110番通報しました。幸い,Vさんには意識があり,大事には至らなかった模様です。Aさんは現場に駆け付けた福岡県八女警察署の警察官から「今から実況見分をするのでお時間いただけないか」と言われました。免許を取り立てで,かつ,交通事故を起こしたのが初めてだったAさんは聞き慣れない言葉に驚きましたが,警察官から「事故状況を明らかにするために行います」と聞き,ひとまず安心しました。

~ 交通事故を起こしたら? ~

まず,交通事故を起こしたら,必ず交通事故現場に留まって被害者の救護活動をし,かつ,警察い電話して事故状況等を報告しなければなりません。これを怠ると「救護義務違反」「報告義務違反」として処罰の対象となります。「救護義務違反」の罰則は,交通事故が運転者の運転に起因する場合は「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」,起因しない場合は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

~ 実況見分調書とは? ~

皆さんも,テレビドラマなどで「実況見分」という言葉を聞かれたことはあるのではないでしょうか?

実況見分とは,堅苦しい言葉でいえば,捜査官が五官の作用により,物,身体又は場所について,その状態を認識することを目的とする捜査方法と言われています。文字で説明するよりかは,図や写真などで明らかにした方が分かりやすい場合に用いられる捜査手方法です。交通事故の場合も,事故後に事故状況を明らかにするために行われます。そして,実況見分の結果を書類にしたものが「実況見分調書」です。

~ 実況見分調書作成の目的 ~

作成された実況見分調書は,のちのち刑事裁判の証拠として活用されます。人身事故の場合,事故の加害者を起訴すれば,起訴した検察官は加害者の有罪を証明するため裁判で事故状況を明らかにしなければなりません。この事故状況を明らかにするために用いられるのが実況見分調書です。交通事故,人身事故の裁判では実況見分調書は命といわれるほど重宝されています。したがって,実況見分は時間をかけ念入りに行われます。

* 実況見分調書は交通事故以外でも作成される *

実況見分調書交通事故のみに作成されるわけではありません。あらゆる刑事事件について,必要があれば作成されます。例えば,傷害事件について暴行の状況・態様を明らかにしたい場合は被疑者,被害者立ち会いの実況見分調書が作成されます。

~ 実況見分ではどんなことをやるの? ~

警察官から実況見分への立ち会いを求められます。そして,交通事故では,加害者・被害者双方の立ち会いがあることが望ましいとされています。これは,実況見分の信用性,公平性を担保するためです。つまり,一方当事者が不在の実況見分では「警察官が立会人に肩入れしたのではないか?」との疑念を持たれかねないからです。また,双方不在の実況見分では「警察官が勝手に作ったものではないか?」「ねつ造したものではないか?」との疑念を持たれかねないからです。重症で事故直後の立ち会いが難しいという場合は,怪我の回復を待ってから実況見分への立ち会いを求められます。

実況見分への立ち会いを求められると,今度は,警察官から事故状況に関する聴き取りが始まります。本件の赤色信号看過の場合であれば,「どこで信号機を認めたのか」,「信号表示を見落とした原因は何で,その時点はどこか」,「どこで被害車両を認めたか」「どこで被害車両と衝突したか」などといったことを聴かれると思います。そこで話した内容は,供述調書の内容にもなりませんから適当なことは話さず,記憶のあるまま話すようにしましょう。

あなたが警察官から話を聴かれている間,別の警察官は車,散乱物,痕跡,交通事故現場周辺の状況等を写真に撮ったり,長さなどを計測したりします。あなたもその際,車,散乱物,痕跡等の確認のため立ち会いを求められます。

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空き地での運転も交通違反?

2019-04-18

空き地での運転も交通違反?

福岡県大野城市に住むAさんはお酒を飲んだ後,駐車スペースを空けるため,空き地において軽自動車を運転したところ,たまたま近くを通りかかったパトカーに呼び止められました。Aさんは,警察官から呼気検査を受けたところ,呼気1リットルにつき0.2mgのアルコールが検出されました。そして,Aさんは,道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)の被疑者として警察官から赤切符の交付を受けました。Aさんとしては,「空き地であれば酒気帯び運転しても問題ない」と考えていましたが,警察官からは「私道でも交通違反になることがある」と言われてしまいました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

この記事をお読みの方の中には,Aさんと同じく「私道であれば交通違反(酒気帯び運転など)をしても問題はない(罪には問われない)」などと考えておられる方も多いのではないでしょうか?しかし,実際には,「私道」,「市道」,「国道」であるのかの区別は問題ではなく,当該運転していた場所が「道路」であるかどうかが極めて重要です。そこで,まずは,
・道路交通法上で処罰される場合の基本原則
を解説した上で,
・「道路」の意義
についても解説していきたいと思います。

~ 道路交通法上で処罰される場合の基本原則 ~

まず,酒気帯び運転の罪について定めた道路交通法(以下,法)65条1項は

 何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

と規定しています。そして,法2条1項17号で「運転」の意義について

 「道路」において,車両又は路面電車(以下,車両等という)をその本来の用い方に従って用いることをいう。

としています。つまり,道路交通法上で処罰される場合の基本原則は

 「道路」において車両等を運転すること

だということがいえます。

~ 法上の「道路」の意義 ~

では,法では「道路」についていかに定義しているのでしょうか?
この点,法2条1項1号では,

道路法第2条第1項に規定する道路,道路運送法第2条第8項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう

とされています。

* 道路法第2条第1項に規定する道路 *

・高速自動車国道,・一般国道,・都道府県道,・市町村道をいいます。なお,都市高速道路は,都道府県道又は市町村道のいずれかに当たります。

* 道路運送法第2条第8項に規定する自動車道 *

専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のものをいいます。「一般自動車道」とは,専用自動車道以外の自動車道をいい,「専用自動車道」とは,自動車運送事業者(自動車運送事業を経営 する者をいう。以下同じ。)が専らその事業用自動車(自動車運送事業者がその自動車運送事業の用に供する自動車をいう。以下同じ。)の交通の用に供することを目的として設けた道をいいます。なお,現在(4月12日時点),九州で唯一の「一般自動車道」である「久住高原ロードパーク」は,熊本地震の影響により休業中とのことです。

~ 一般交通の用に供するその他の場所とは ~

Aさんが運転した道路は,道路法第2条第1項に規定する道路でもなければ,道路運送法第2条第8項に規定する自動車道でもないことは明らかでしょう。そこで,最後に,「一般交通の用に供するその他の場所」の意義が問題となるところ,実務では,次の3要件を満たす必要があるとされています。

・一般交通の用に供されていると客観的に識別できること
・当該道路が反復,継続して利用されていること
・公開されていること

したがって,上の要件を満たせば,「私道」,「空き地」,「広場」,「学校の構内の道路」などであっても「道路」に当たります。したがって,これらの場所であっても,交通違反を犯せば処罰の対象となります。

~ おわりに ~

法は,「道路」における危険を防止し,その他交通の安全と円滑を図り,及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的としています。したがって,法を理解することは「道路」意義を理解するといっていいほど「道路」の意義は重要です。皆さんも,日頃運転している道が「道路」なのか否か少し気に留めてみてはいかがでしょうか?

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あおり運転を受け速度超過で緊急避難?

2019-04-13

あおり運転を受け速度超過で緊急避難?

佐賀県鳥栖市に住むAさんは,一般道(指定最高速度50キロメートル)において,普通自動車を時速約50キロメートルで運転中,あおり運転を受けたたと感じたため,スピードを上げ時速約110キロメートルで運転していたところ,道路に設置されていたオービスに反応され,後日,道路交通法違反(速度違反の罪)で佐賀県鳥栖警察署から呼び出しを受けました。Aさんは,あおり運転から逃げるために速度を上げただけで検挙されたことに納得がいっていません。そこで,弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ オービス ~

オービスとは,正式には,自動速度違反取締装置といいます。スピード違反車のナンバープレートと運転者の顔が判明できるよう自動で撮影する装置です。日中でも夜間でも時間帯に限らず24時間作動しており,常にスピード違反者がいないか目を光らせています。

なお,これまでは,高速道路やバイパスなど「速度違反が行われる蓋然性の高い道路」にオービスが設置されることが多かったと思います。しかし,先日,4月9日,佐賀県内では「通学路」に(移動式)オービスが設置され,スピード違反者の取り締まりが行われたとのことです。このように,今後は,高速道路など以外にもオービスが設置され,スピード違反者の取り締まりが行われることが予想されます。

~ スピード違反と緊急避難 ~

Aさんは,一般道の指定最高速度を60キロメートル超過していることから,Aさんの行為は指定最高速度違反の罪(道路交通法22条1項)に当たりそうです。しかし,刑事事件一般についてそうなのですが,ある行為が罪に当たっても,その行為の違法性がない場合は,その行為をした人を罪に問うことはできません。違法性がない場合とは,具体的には正当防衛,緊急避難などが成立する場合をいいます。

ところで,正当防衛は「(相手方の)急迫不正の侵害」があった場合に成立するところ,今回はそのような事情は認められませんから解説を省略いたします。では,緊急避難は成立するのでしょうか?そもそも緊急避難とは何なのでしょうか?

= 緊急避難とは =

緊急避難とは,

自己又は他人の生命,身体,自由又は財産に対する現在の危難を避けるため,やむを得ずにした行為は,これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り,罰しない(刑法37条1項本文)

というものです。

~ 緊急避難は成立するか? ~

この点に関し,参考となる札幌高等裁判所の裁判例(平成26年12月2日)があります。この裁判では,

スピード運転は,あおり行為を行う後続車との事故を回避するためにしたもので,やむを得ない行為だったか否か

が大きな争点となっていました。この裁判の第一審(札幌地方裁判所)では,被告人側の主張が認められ無罪判決が出ています。しかし,第二審の札幌高等裁判所は,

・進路変更など後続車の接近を避ける方法は他にもあった
・あおられた場合、制動灯で注意喚起したり、路側帯に退避したりして追い越しを促すのが常識的で通常の対処方法だ

などと指摘し,求刑通り罰金4万円の有罪判決が言い渡しました。
このように,緊急避難が成立するためには,その行為が「やむを得ない行為」だったと言えなければなりません。「やむを得ない行為」だったかどうかは,「他に取りうる方法がなかったかどうか」が基準となります。札幌高裁も,まさにこの点について言及し,被告人にはスピード運転以外にも,危険を回避する方法があったことを理由に,緊急避難の成立を否定したのです。

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佐賀県鳥栖警察署までの初回接見費用:38,200円)

駐車場内での人身事故で刑事責任?

2019-04-12

駐車場内での人身事故で刑事責任?

福岡県朝倉市に住むAさんは,コンビニエンスストアで買い物を終え,駐車場に停めていた車に乗って車を後退させていたところ,自車後方を歩いていた高齢の女性に自車を衝突させて路上に転倒させ,右腕の骨を折る怪我を負わせてしまいました。Aさんは大変なことをしてしまったと思い,すぐに警察と救急車を呼びました。その後,Aさんは,事故現場で警察の実況見分に立会い,後日,警察署に出頭を要請されました。Aさんとしては駐車場の事故だったので警察沙汰にはならないだろいうと安心していたので,警察の要請は意外で納得がいっていません。そこで,刑事専門の弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

この記事をご覧の方の中には,駐車場の事故で刑事責任を問われることはあるのだろうか?という疑問をお持ちの方もおられるのではないでしょうか?駐車場といっても,大型ショッピングセンターの駐車場ような広く一般に公開されている駐車場から個人宅の駐車場のようにより限定された駐車場まで幅広くあると思います。自動車を運転する以上は,これらの駐車場での人身事故も十分想定しておかなければなりません。では,駐車場内での人身事故刑事責任を問われることはあるのでしょうか?問われるとして,どんな処分,刑罰が科されるのでしょうか?

~ 駐車場内での人身事故と刑事責任 ~

車を運転して人い怪我をさせたいわゆる人身事故の場合,「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下,法律)」が適用されることが多いかと思われます。そして,通常の人身事故の場合に適用される法律5条には次のようにかかれてあります。

法律5条
 自動車の運転上必要な注意義務を怠り,よって人を死傷させた者は,7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。

この条文をよくみると,単に,「自動車の運転上必要な注意義務を怠り」とだけしか書いておらず,場所に関するワードは書かれてありません。また,法律には,「運転」に関する定義も書かれていません(※この点が道路交通法と異なるところですが,それはまた今度解説いたします)。つまり,法律5条は,人身事故を場所に関係なく適用されるということになります。したがって,人身事故を起こした場所が駐車場であろうが,「自動車の運転上必要な注意義務を怠り,よって人を死傷させた」場合は法律5条が適用され,刑事責任を負わなければならなくなる可能性が出てくるのです。

~ 法律が適用される場合の刑事処分,刑罰は? ~

法律5条が適用されるからといって,直ちに刑罰を受けるかといえばそうではありません。まず,人身事故の場合,刑事処分を決めるにあたっては相手方の怪我の程度が一番考慮されます。概ね,怪我の程度が2週間以内であれば,不起訴処分(起訴猶予)となる可能性は高いでしょう(ただし,その他の悪情状がある場合(酒気帯び・無免許運転中の事故,執行猶予中,前科を有しているなど)は別です)。また,怪我の程度が2週間を超えても怪我の程度が1か月を超えない場合は,相手方と示談できればやはり不起訴処分(起訴猶予)となる可能性は高くなります。怪我の程度がそれ以上か,それ以下でも後遺症が残るなどした場合は起訴される可能性が高くなります。

起訴は略式起訴か正式起訴の2種類あります。怪我の程度が比較的軽微な場合は略式起訴されますが,重いと正式起訴される可能性が高くなります。略式起訴の場合は罰金刑,正式起訴の場合は,通常,懲役刑が科されます(有罪と認定された場合)。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,人身事故,物損事故をはじめとする交通事故などの刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

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