Archive for the ‘交通違反・交通事故’ Category

類型別交通事故の発生状況~車両相互で多い「追突」事故について~

2019-09-13

類型別交通事故の発生状況~車両相互で多い「追突」事故について~

佐賀県鳥栖市に住むAさんは、佐賀県三養基郡基山町内の国道3号線を普通乗用自動車を運転中、スマートフォンの操作に気を取られ、信号待ちのため停止していたVさん運転の軽自動車に気づかず自車を衝突させてしまいました。Aさんはすぐさま車を止め、車から降りてVさんに対する救護活動や、警察への110番通報をしました。その後、Vさんは病院に運ばれ、加療約3週間の怪我を負ったことが判明しました。また、Aさんは佐賀県鳥栖警察署において過失運転致傷罪で事情を聴かれることになりました。
(フィクションです。)

~ はじめに ~

前回の「類型別交通事故の発生状況~人対車両~」では、平成30年中の交通事故の発生状況の中で

車両相互

370,614件

と一番件数が多いこと、さらに車両相互交通事故状況を細かくみると、

1 追突   149,561件
2 出会い頭 106,331件
3 その他   39,123件
4 右折時   35,037件
5 左折時   19,149件

という順となっていることをご紹介いたしました。そこで、今回は、追突の原因などについてご紹介したいと思います。

~ 追突の原因 ~

交通事故の状況の中で「追突」が多いことからすれば、追突事故を減らせば交通事故も減る、といっても過言ではないと思います。
そこで、まず、交通事故を減らすためには追突事故の原因を知ることからはじめなければなりません。

追突事故の原因としてまず挙げられるのが「前方不注視」です。
前方不注視とは、文字通り、前方をよく見ることがおろそかになっていた、ということです。その意味では、前方不注視には、

全く前方を見ていなかった

ということはもちろん、

前方は見ていることは見ていたのだけれども、よく注意して見ていなかった

ということも含まれます。脇見と呼ばれるものがこれに当たりますね。前方不注視の原因としては、

・看板や店の外観が気になっていた
・カーナビ操作で画面に夢中になっていた
・携帯、スマートフォンの操作で画面等に夢中になっていた

などが挙げられます。

次に、挙げられるのが「動静不注視」です。
いわゆる思い込み運転というもので、

・前の車は止まらないだろう
・前の車は発進するだろう
・前の車は車線変更しないだろう

などと思っていたところ、予想に反した行動に出たため交通事故を起こしてしまったという場合です。結局は、前の車の動きをよく確認していなかったということですから、
その意味では、動静不注視は前方不注視の一部に含まれるのかもしれません。

~ 追突事故を防ぐには? ~

佐賀県は、他県に比べて追突事故が特に多く、平成28年中に発生した全人身交通事故7783件のうち追突事故が3651件と4割を超える高い割合となっています。
そこで佐賀市のホームぺージでは、追突事故を防止するために次の3つのことを心掛けましょう、と呼びかけられています。

= 3秒間の車間距離(後続車向け) =

速度や交通状況によって異なりますが、適切な車間距離が追突事故を防止するのに役立ちます。
車間距離が短いと前車の急な動きに即応できませんし、たとえ前方不注視などで前車に気づくのが遅れても追突事故を起こさずに済むかもしれません。

= 3秒、30メートルルール(先行車向け) =

追突事故は後続車だけの努力で防げるものではありません。
先行車であっても急停車、急発進などの急な動きは避け、右左折等する場合ははやめに合図を出して後続車に自己の動きを知らせる必要があります。

= 3分前の出発 =

運転する前の心がけです。
心理的に急いでいると、どうしても車間距離が詰まったり、安全確認等が疎かになりがちです。
気持ちに余裕を持って運転することで、追突事故交通事故の防止につなげることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談初回接見サービスを受け付けております。

類型別交通事故の発生状況~人対車両~

2019-09-11

類型別交通事故の発生状況~人対車両~

福岡県飯塚市に住むAさんは、福岡県飯塚市内の道路で普通乗用自動車を運転中、交差点を右折しようと対面の青色信号に従い交差点に進入し、直進車の通過を待って同交差点で右折を始めたところ、青色の信号表示に従って横断歩道上を横断してきたVさん(85歳)に自車を衝突させてVさんを路上に転倒させてしまいました。Aさんはすぐさま車を止め、車から降りてVさんに対する救護活動や、警察への110番通報をしました。その後、Vさんは病院に運ばれ、加療約3週間の怪我を負ったことが判明しました。また、Aさんは福岡県飯塚警察署において過失運転致傷罪で事情を聴かれることになりました。
(フィクションです。)

~ 類型別交通事故の発生状況 ~

交通事故を起こさないためには、事前に、どんな類型の交通事故が多いのか知っておくことも大切ではないかと思います。
警察庁交通局が発表した「平成30年中の交通事故の発生状況」によれば、

1 車両相互 370,614件
2 人対車両  48,618件
3 車両単独  11,286件

としており、やはり「車両相互」間の交通事故件数が一番多いことが分かります。
さらに、統計では、この交通事故類型ごとに、細かく交通事故の類型及びその件数を分析しています。
たとえば、「車両相互」では、

① 追突   149,561件
② 出会い頭 106,331件
③ その他   39,123件
④ 右折時   35,037件
⑤ 左折時   19,149件

という順となっています。また、「人対車両」では、

① 横断中   29,236件
② その他   11,391件
③ 対面通行中  3,017件
④ 背面通行中  4,539件

という順となっており、「人対車両」では「相手方横断中」の交通事故が圧倒的といっていいほど多いことが分かります。

~ 横断歩道を通過しようとする際の注意点 ~

そこで、今回は、車両等の運転者が横断歩道上を通過しようとする際の注意点について改めて確認したいと思います。
この点、道路交通法38条では以下の規定が置かれています。

【道路交通法38条】

1 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進 路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による 停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断 歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければな らない。
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除 く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その 前方に出る前に一時停止しなければならない。
3 車両等は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路の部分においては、第三十条第三号の規定に該当する場合のほか、その前方を進行している他 の車両等(軽車両を除く。)の側方を通過してその前方に出てはならない。

1項前段(~「速度で進行しなければならない」まで)は横断歩道等に近接する車両等の速度に関する義務、1項後段は、車両等の一時停止、歩行者等の通行を妨げない義務を定めたものです。
2項は、横断歩道等あるいはその直前に車両等がある場合の同車両等の側方を通過する際の一時停止義務、3項は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路における追い抜き禁止義務を定めたものです。

2項、3項は、横断歩道等には歩行者等がいるが蓋然性が高いにもかかわらず、各状況下で一時停止することなく車両等を追い抜こうとすれば、横断歩道等に対する見通しが悪いことから、車両等の運転手に一時停止義務や追い抜き禁止義務を課したものです。

~ 罰則規定も? ~

なお、故意に道路交通法38条1項から3項までの義務に違反した場合は

3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

過失による場合は、

10万円以下の罰金

に処せられる場合がありますから注意が必要です。

もっとも、今回は、自動車の運転によって人に怪我をさせていますから道路交通法の適用はなく、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」の第5条(過失運転致傷罪)が適用され、

7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金

に処せられる可能性があります(ただし、初犯の場合など情状が悪質でない場合は罰金刑、あるいは不起訴で終わることもあります)。

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過失がなくえもひき逃げ?

2019-09-05

過失がなくえもひき逃げ?

福岡市東区に住むAさんは車を運転して帰宅途中、対向車線の車の陰からV君(11歳)が急に自車線上に飛び出してきたのを認め急ブレーキをかけましたが間に合わず、自車をV君に衝突させて路上に転倒させてしまいました(後日、V君は加療約1か月間の傷害を負ったことが判明)。Aさんは、「俺には責任(過失)はない。」、「相手が悪いのだから俺が救護する義務はない」などと判断し、直ちに車を停車させてV君を救護するなどせず、現場から立ち去ってしまいました。ところが、Aさんは、後日、福岡県東警察署から過失運転致傷、道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。逮捕の知らせを受けたAさんの妻は、刑事専門の弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 「ひき逃げ」について ~

ひき逃げ」は、

交通事故があった場合

において、

当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員

は、

直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置

を講じなければまらず(救護義務)、また、この場合において、

当該車両等の運転者

は、

警察官に当該交通事故の内容、状況等を報告

しなければならない(報告義務)のに、これを怠ったことをいいます。つまり、この救護義務違反と報告義務違反のことを「ひき逃げ」と呼ばれているのです。

なお、自己に過失があろうとなかろうと「ひき逃げ」の「交通事故」となることに変わりはありません。そもそも、事故を起こした直後は、ご自身に過失があるかどうか分かりません。ご自身で勝手に「過失はない。」「責任はない」などと判断し、その場を立ち去ってしまうと「ひき逃げ」とされてしまう可能性がありますから注意が必要です。

~ 罰則 ~

単なる救護義務違反の場合は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
ところが、相手方の死亡したり、怪我した場合で、その死傷が運転者の運転に起因する場合は「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と重くなっています。
本件では、Aさんに過失が認められない場合は、前者の罰則が適用されることとなります。

報告義務違反は「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」です。

~ 初回接見のメリットとは? ~

弊所の初回接見サービスとは、ご家族・ご友人などのご依頼で、弁護士が、警察署などの留置施設に出張して、逮捕・勾留されている被疑者と接見するサービスのことをいいます。初回接見サービスを依頼するメリットは、
1 事件の内容(逮捕・勾留事実)を詳しく知ることができる
2 事件の見通し、対応(弁護方針、弁護活動)を知ることができる
3 ご家族等からのご伝言をお伝えすることができる
といったことが挙げられます。以下、詳しくご説明いたします。

1 事件の内容(逮捕・勾留事実)を詳しく知ることができる
  接見では、弁護士が逮捕(勾留)された方から、事件の概要をお聴きします。
  そして、接見後に、依頼者様に事件の概要をご報告させていただきます。
2 事件の見通し、対応(弁護方針、弁護活動)を知ることができる
  弁護士は、逮捕(勾留)された方からお聴きした話の内容を基に、今後の弁護方針、弁護活動を決めます。
  例えば、逮捕(勾留)された方が事実を認める場合は、早期釈放、被害者様との示談交渉などに向けた弁護活動を始めることが肝要です。
  これらについても、依頼者様にご報告させていただきます。
3 ご家族等からのご伝言をお伝えすることができる
  弁護士が接見に行く前に、ご家族様からご伝言を預かることが可能です。
  また、接見後のご報告では、逮捕(勾留)された方からお預かりしたご伝言をお伝えさせていただくこともできます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの受け付けを行っております。

酒気帯び運転等の禁止②~酒類提供罪、同乗罪~

2019-08-30

酒気帯び運転等の禁止②~酒類提供罪、同乗罪~

福岡県朝倉市に住むAさんは、地域の会合の打ち上げに参加するため、妻に会場である居酒屋まで車で送ってもらいました。ところが、Aさんは会合中、タバコを買いに行くため、隣席にいるBさんに「コンビニまでたばこを買いに行きたいけど脚がない。」「車を貸してくれないか。」と言いました。Bさんは、Aさんの顔が赤く、酒を飲んでいることは分かりましたがAさんにしつこく頼まれるため、「コンビニは近いし、事故を起こすこともないだろう」という気持ちからAさんに車の運転キーを渡しました。Aさんは、居酒屋の店主Cさんに、「ちょっと、コンビニ行ってくるから。」と言いました。Cさんは、「Aさんは奥さんに車で送りに来てもらっていたけど、どうやっていくのだろう」「歩いていくのかな」などと疑問に思いましたが、Aさんを止めることはしませんでした。そうしたところ、Aさんはコンビニに行く途中、車を電柱に衝突させる自損事故を起こしてしまいました。そのことがきっかえけで、Aさんは福岡県朝倉警察署酒気帯び運転の罪で、Bさんは車両提供罪で事情を聞かれることになりました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

前回(酒気帯び運転等の禁止①)は、酒気帯び運転等に関する規定(道路交通法65条)を確認するとともに、その1項で規定される酒気帯び運転の罪(酒気帯び運転の罪、酒酔い運転の罪)、2項で規定される車両提供罪についてご紹介しました。

第65条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
4 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第117条の2の2第6号及び第117条の3の2第3号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。 

今回は、65条3項の酒類提供罪、65条4項の同乗罪についてご紹介したいと思います。

~ 65条3項(酒類提供罪)について ~

65条3項は「何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。」と規定されています。

「第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者」とは、前回、車両提供罪のところでもご紹介したのと同様、酒類を提供するなどすれば、酒気を帯びて車両等を運転することとなる蓋然性のあるものであることをいいます。
「酒類を提供」の「提供」とは、自らが事実上支配している酒類を飲酒できる状態におくことをいいます。ですから、宴席で、すでに自分の目の前に出されている酒を隣の者にお酌する行為は「提供」には当たりません。また、居酒屋の従業員が、支配人から指示されたお酒を運ぶ行為も同様に「提供」には当たらないでしょう。

なお、本罪が成立するには、酒類の提供を受けた者(Aさん)が実際に飲酒運転したことが必要です。また、酒類を提供した側(Cさん)が、Aさんが「酒気を帯びて車両等を運転することとなる蓋然性のあるもの」であることを認識しつつ(故意)、酒類を提供したことが必要です。
この点、Cさんは、Aさんが妻に居酒屋まで車で送ってもらっている、すなわち、交通手段としての車は居酒屋の近くには駐車していない、と考えている可能性が高く、本罪の故意を認めることは難しく、Cさんを酒類提供罪に問うのは難しいのではないでしょうか?

ちなみに、酒類提供罪の罰則は、飲酒運転をした方が酒酔い運転だった場合は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、酒気帯び運転だった場合は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。なお、罰則が適用されるのは、「酒類を提供した行為」だけであって、「すすめる行為」には適用されません。飲酒運転への関与が低いことがその理由です。ただし、刑法上の教唆犯、幇助犯に問われるおそれはありますから注意が必要です。

~ 65条4項(同乗罪)について ~

65条4項はいわゆる同乗罪といわれる罪に関する規定です。

本罪が成立するためには、「車両の運転者が酒気を帯びていることを知っていたこと」、「当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼したこと」、「当該運転者が第一項の規定に違反して運転したこと」、「当該車両に同乗したこと」が必要です。
「要求」とは指示すること、「依頼」とは頼むことなどをいいます。明示的な要求,依頼行為がなくても、同乗者と運転者の関係、同乗に至った経緯等個別具体的な事情を勘案して要求、依頼があったと認められる場合があります。

同乗罪の罰則は、飲酒運転をした方が酒酔い運転だった場合は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、酒気帯び運転だった場合は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。 

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酒気帯び運転等の禁止①~飲酒運転、車両提供罪~

2019-08-28

酒気帯び運転等の禁止①~飲酒運転、車両提供罪~

福岡県朝倉市に住むAさんは、地域の会合の打ち上げに参加するため、妻に会場である居酒屋まで車で送ってもらいました。ところが、Aさんは会合中、タバコを買いに行くため、隣席にいるBさんに「コンビニまでたばこを買いに行きたいけど脚がない。」「車を貸してくれないか。」と言いました。Bさんは、Aさんの顔が赤く、酒を飲んでいることは分かりましたがAさんにしつこく頼まれるため、「コンビニは近いし、事故を起こすこともないだろう」という気持ちからAさんに車の運転キーを渡しました。Aさんは、居酒屋の店主Cさんに、「ちょっと、コンビニ行ってくるから。」と言いました。Cさんは、「Aさんは奥さんに車で送りに来てもらっていたけど、どうやっていくのだろう」「歩いていくのかな」などと疑問に思いましたが、Aさんを止めることはしませんでした。そうしたところ、Aさんはコンビニに行く途中、車を電柱に衝突させる自損事故を起こしてしまいました。そのことがきっかえけで、Aさんは福岡県朝倉警察署酒気帯び運転の罪で、Bさんは車両提供罪で事情を聞かれることになりました。
(フィクションです)

~ 酒気帯び運転等の禁止 ~

夏本番といったところで、お酒を飲む機会が増える方も多いのではないでしょうか?
そこで、改めて「酒気帯び運転等の禁止」に関する規定を確認しておきたいと思います。「酒気帯び運転等の禁止」については、道路交通法65条に規定されています。

第65条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
4 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第117条の2の2第6号及び第117条の3の2第3号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。 

~ 65条1項(酒気帯び、酒酔い運転)について ~

65条1項は「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」と規定されています。
「車両等」の中には、自動車のほか原動機付自転車、自転車も含まれます。

この規定を受けて道路交通法117条の2第1号には「酒酔い運転」を、道路交通法117条の2の2第3号には「酒気帯び運転」を処罰する旨の規定が設けられています。
「酒酔い運転」の罰則は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、「酒気帯び運転」の罰則は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

なお、自転車については「酒気帯び運転」の適用はありませんが、「酒酔い運転」の適用はある(処罰される可能性がある)ことから注意が必要です。

~ 65条2項(車両提供罪)について ~

65条2項は「何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。」と規定されています。

「酒気を帯びて」とは、社会通念上酒気帯びといわれる状態をいい、外観上(顔色、呼気等)認知できる状態にあることをいうと解されています。したがって、車両を提供する側(Bさん)が、車両等を提供した時点において、提供を受ける者(Aさん)がその顔色、呼気等から酒気を帯びているとの認識があれば足り、どの程度のアルコール保有量を有しているか、数値はどの程度かといったことまでの認識は必要ではないとされています。
「前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるもの」とは、車両等を提供すれば、酒気を帯びて車両等を運転することとなる蓋然性のあることをいい、車両等提供者(Bさん)において、提供を受ける者が酒気を帯びている者で、酒気を帯びて車両等を運転することとなるおそれがあるとの認識が必要です。
「提供」とは、提供を受ける者が利用し得る状態に置くことをいい、車両等の所在を教え、車のエンジンキーを渡す行為も「提供」に当たります。

以上から、Bさんは車両提供罪に問われる可能性が高いといえます。

車両提供罪の罰則は、運転者が「酒酔い運転」だった場合は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、「酒気帯び運転」だった場合は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。このように、たとえ自ら車を運転していない場合でも、

罰則は運転した場合と同様

ですから注意が必要です。

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交通事故多発?~福岡県、佐賀県~

2019-08-27

交通事故多発?~福岡県、佐賀県~

佐賀県神埼市に住むAさんは、普通乗用自動車を運転して佐賀県神埼市内の国道34号線の道路を走行中、交差点を右折したところ、同交差点を青色信号表示に従って直進してきたVさん運転の普通乗用自動車に自車を衝突させてしまい、Vさんに加療約3週間の怪我を負わせてしまいました。Aさんは、佐賀県神埼警察署に過失運転致傷罪の容疑で事情を聞かれることになりました。Aさんは、今後のことが不安で刑事事件専門の弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ はじめに ~

先日、7月19日、東洋経済データベースより

交通事故が特に起こる自治体ランキング300(2017年中、1000人当たりの交通事故件数)

が発表されました。

調査の対象となった自治体は、

全国の市と東京都の特別区を含む815自治体のうち810自治体(通勤や通学などで人口が集中し、昼間の人口が夜間の人口の2倍以上になる千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区は除外)

とのことです。
それによると、以下のとおり、佐賀県福岡県の自治体が軒並み上位にランクインしており(上位20位の中、8つの自治体が佐賀県福岡県の自治体・・・(泣))、不名誉な記録を打ち出してしまっています。

1位  佐賀県神埼市  12(2017年中、1000人当たりの交通事故件数)
3位  佐賀県佐賀市  9.9
4位  佐賀県小城市  9.9
9位  佐賀県鳥栖市  9.1
11位 福岡県田川市  8.5
12位 福岡県直方市  8.4
15位 福岡県久留米市 8.3
15位 福岡県飯塚市  8.3

ちなみに、福岡県北九州市は26位の「7.5」、福岡県福岡市は43位の「6.9」でした。

~ 地方で交通事故が多い理由 ~

一般的には、公共交通機関の未発達が大きな理由に挙げられるのではないでしょうか?
公共交通機関の未発達⇒自家用車の保有台数増⇒交通事故発生増、という流れができやすくなることは確かです。

また、それに加えてその地域の特殊性も加味しなければなりません。
今回、1位にランクインした佐賀県神埼市は、西は佐賀県佐賀市、南は福岡県久留米市、東は(みやき町を一つ間に挟んで)佐賀県鳥栖市に囲まれた位置にあります。これらの自治体がいずれも上位20以内に属しているのですから、これらの自治体に囲まれた佐賀県神埼市が1位にランキングすることも致し方ないかな?とも思います。また、佐賀県神埼市から福岡県福岡市までは高速で40分~50分と生活圏内です。よって、こうした大都市圏からの車の流入の多さも交通事故が多発する理由の一つとなっています。

~ 交差点での事故 ~

交差点での事故では、直進車対右折車のいわゆる「右直事故」も多いと言われています。今年5月の、園児などが死亡するなどした滋賀県大津市での交通事故もこの右直事故でした。

交差点における直進車と右折車の交通事故においては、通常、

直進車が優先

です。したがって、交差点における直進車と右折車の交通事故の場合、右折車の運転者に過失有りとされることが多いかと思います。これは、道路交通法37条が

車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両があるときは、当該車両等の進行を妨害してはならない

としているところに根拠があります。
これを直進車の運転者側から解釈すると

右折車両が交通法規(道路交通法37条)に従って停止し、自車の通過を待つものと信頼して進行することが許されている

ということができます。

しかしながら、どのような場合でも右折車の運転者に過失があり、直進車の運転者には過失がないというわけではありません。例えば、直進車の運転者が法外な速度で交差点に進入してきた場合などです。そのような場合、右折車の運転者において、法外な速度で交差点に進入してくることまで予測して、安全を確認すべき注意義務(過失)はないとされます。

~ おわりに ~

交差点では特に交通事故が起きやすいと言われています。今回、ランキングが発表されたことをきっかけに、上位にランキングされた自治体で車を運転する際には特に注意が必要です。

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ながら運転の罰則、反則金強化について②~反則金、違反点数について~

2019-08-20

ながら運転の罰則、反則金強化について②~反則金、違反点数について~

北九州市小倉北区に住むAさんは、スマートフォンで電話をしながら営業車を運転していたところ、信号待ちで停車していたVさん運転の車に気づかず、営業車をVさん運転の車に衝突させ、Vさんに加療約3週間の怪我を負わせてしまいました。Aさんは大変なことをしてしまったと思い、すぐさまVさんに近寄ってVさんの容体を確認するとともに、110番通報、119番通報して警察官、救急隊員が現場に到着するのを待ちました。そして、Aさんは駆け付けた福岡県小倉北警察署の警察官に「前の車に気づかなかった」「スマートフォンで電話しながら運転していた」と話し、過失運転致傷罪の容疑で警察署で事情を聞かれることになりました。

~ はじめに ~

前回の「ながら運転罰則反則金強化について①~罰則について~」では、自動車及び原動機付自転車を走行中に、スマートフォン等を

・通話のために使用し、又はその画像を注視し、よって道路における交通の危険を生じさせた場合(以下、単に「交通の危険」といいます)
・単に通話のために使用し、又はその画像を注視した場合(以下、単に「保持」といいます)

罰則強化されたというお話をいたしました。今回は、先日、7月18日、警察庁の

ながら運転反則金が3倍に引き上げ?

とのニュースが発表されたことから、今回はながら運転の「反則金」と「違反点数」が今後どうなるかという点をお話したいと思います。

~ 反則金について ~

皆さんもご存知のように、反則行為をした方が国に納付すべきお金のことをいいます。手続を簡単にご説明すれば、反則行為で検挙されると、通称「青切符」(正式名称:交通反則告知書)を交付されます。そして、そこに記載された金額を金融機関等で納付すれば、事件は検察庁へ送致されることなく終了ということになります(もちろん、刑事処分んを受けたり、前科が付くことはありません)。

反則金額及びそれに対応する反則行為の種別については、道路交通法施行令という政令の45条に基づく別表6に記載されています。

道路交通法施行令45条
 法(道路交通法)第125条第1項の政令で定める反則行為の種別及び同条第3項の政令で定める反則金の額は、別表第6に定めるとおりとする。

それによると、現行は、

「交通の危険」の反則金は、大型自動車「1万2000円」、普通車「9000円」、二輪車「7000円」、原付車「6000円」

で、

「保持」の反則金は、大型車「7000円」、普通車又は二輪車「6000円」、原付車「5000円」

です。これが今後は、

「交通の危険」については反則金は撤廃

され、

「保持」の反則金は、大型車「2万5000円」、普通車「1万8000円」、二輪車「1万5000円」、原付車「1万2000円」

と、現行より約2倍から3倍程度引き上げられる可能性があります(警察庁は8月20日までパブリックコメントを受け付けています)。なお、「交通の危険」について反則金が撤廃されるということは、検挙されれば「青切符」ではなく、

「赤色切符」が交付され、事件は検察庁へ送致される

ことになります。ということは、刑事処分を受け、先日ご紹介した、「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」の範囲内で刑罰を受けるおそれ、前科が付くおそれが高くなったということもできます。

~ 違反点数について ~

違反点数については、道路交通法施行令33条の2等に基づく別表2に記載されています。

道路交通法施行令33条の2第3項(参考)
 (略)累積点数は、(略)違反行為(略)のそれぞれについて別表2に定めるところにより付した点数の合計をいう。

それによると、現行は、

「交通の危険」の違反点数は2点、「保持」の違反点数は1点

とされているところ、今後は、

「交通の危険」の違反点数が6点、「保持」の違反点数は3点

となる可能性があるとのことです。
ちなみに、過去に違反行為をしたことがない人であっても「交通の危険」を犯せば刑事処分に加え、30日間免許停止の行政処分を受ける可能性もあります。

ながら運転は危険ですから絶対にやめましょう!

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

相手方が急に進路変更~ひき逃げになる?~ 

2019-08-03

相手方が急に進路変更~ひき逃げになる?~ 

福岡市早良区に住むAさんは、仕事を終え、普通乗用自動車を運転して片側3車線の道路の中央線を法定速度範囲内で走行しながら帰宅していたところ、前方約50メートル地点に、自車と同一方向に走行するVさん運転のオートバイクを認めました。Aさんは、徐々にVさんとの距離を詰めていたことから、「右側から追い抜こう」と思い、車線を右に変更してVさんを追い抜こうとしたところ、自車をVさん運転のオートバイクに衝突させてしまい、Vさんを路上に転倒させるなどしてしまいました(Vさんは救急車で搬送され、加療約1か月間の傷害と診断されました)。Aさんは「オートバイが後ろを確認せず車線変更してぶつかってきた」「自分には責任はない」と考え、その場から逃走しました。しかし、その後、目撃者の話などから、ひき逃げしたのはAさんだということが判明し、Aさんは早良警察署に過失運転致傷、道路交通法違反(ひき逃げ=救護措置義務違反、事故報告義務違反)の被疑者として逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~ 「ひき逃げ」について ~

ひき逃げについては、道路交通法(以下「法」)72条1項に定められています。
すなわち、その前段では車両等の運転者の「救護措置義務」を、後段では警察官に対する「事故報告義務」を定めています。
車両等の運転者は、交通事故があった場合、負傷者の救護や道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならず(救護措置義務)、さらに、警察官に対し当該交通事故の内容(日時、場所、死傷者の数、負傷の程度等)を報告しなければならない(事故報告義務)のです。

救護義務違反の罰則は、法117条1項で

5年以下の懲役又は50万円以下の罰金

、2項で、

10年以下の懲役又は100万円以下の罰金

の2種類がありますが、2項は、人の死傷が当該運転者の運転に起因する場合に適用される罰則です。過失運転致傷罪が成立する場合は、通常、2項が適用されます。
事故報告義務の罰則は、

3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

です。

~ 過失ない場合、事故に責任ない場合は? ~

なお、Aさんは「オートバイが後ろを確認せず車線変更してぶつかってきた」「自分には責任はない」などと話しているようですが、ひき逃げでその主張は通じるのでしょうか?
この点、法72条1項では、救護措置義務を課される者を

交通事故があったときの、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員

事故報告義務を課される者を

当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員)

としており、判例(昭和50年4月3日)は、救護義務を負う者について、

刑事上、民事上の責任とは関係なく、人の負傷又は物の損壊について故意、過失があったか否かを問わず、運転者その他の乗務員が等しく負うべきもの

としています。これからすれば、救護義務は

Aさんに過失があろうがなかろうが関係なく、交通事故が起きた場合に課される義務

ということになり、上記Aさんの主張は通りづらいものと考えられます。

法72条1項は、人命、道路の安全を優先して、加害者か被害者か、過失があるかないかに関係なく、交通事故を起こした全ての者に義務を課しているということを忘れないでください。

~ 交通事故の認識がない場合は別 ~

救護義務違反、報告義務違反は故意犯、つまり、交通事故を起こしたこと(人の死傷、物の損壊があったことについて)の認識がなければ成立しない罪です。ただし、認識の程度は、必ずしも確定的であることを必要とせず、未必的認識で足りるとされています。
交通事故の認識があったか否かは、交通事故の態様、事故後の状況などによって判断されます。

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北九州小倉北区での歩行者の交通違反?

2019-07-18

北九州小倉北区での歩行者の交通違反?

北九州市小倉北区に住むAさんは職場から徒歩で帰宅していました。途中、横断歩道を渡ろうとしてところ、信号表示が「赤色」に代わったっことから横断歩道上の手前でいったん立ち止まりました。Aさんは、左右を確認したところ、右側からバイクが交差点に向かって走ってきていることに気づきましたが、「バイクが通過するより先に渡れるだろう。」と考えて横断歩道を渡り始めました。そうしたところ、青色信号に従って右方から交差点に進入してきたバイクに衝突し、バイクの運転手を路上に転倒させるなどして死亡させてしまいました。Aさんは、衝突で加療約1か月間の怪我を負いましたが、赤色信号で横断歩道を渡ったことを重く見られ、小倉北警察署に重過失致死罪の被疑者として立件されてしまいました。
(事実を基に作成したフィクションです)

~ 歩行者は交通弱者 ~

車両との関係で、歩行者は「交通弱者」と呼ばれ、様々な優先権が認められています。
たとえば、道路交通法38条1項では、

横断歩道に近づいたドライバーに対し、横断する歩行者がいないか確認のうえで、現に横断し、あるいは横断しようとしているときは、横断歩道の手前で一時停止しなければならない

などとしています。

~ 歩行者にも義務が ~

しかし、歩行者が交通弱者であるからといって、歩行者に何ら義務・ルールが科されないというわけではありません。例えば、道路交通法7条では、

道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官の手信号等(略)に従わなければならない

としており、車だけでなく歩行者にも

信号機に従う義務

を課しており、違反者には罰則(2万円以下の罰金又は科料)を科すとしています(道路交通法121条1項1号)。その他にも

・歩道を通行する義務(道路交通法10条2項)
・右側を通行する義務(道路交通法10条1項)
・横断歩道を渡る義務(道路交通法12条1項)
・斜め横断禁止の義務(道路交通法12条2項)

などがあります。この機会に歩行者の義務について確認しましょう!

~ 刑法上の罪が適用される場合も ~

歩行者が、単に、信号無視をして警察に青切符を切られたという場合は、反則金を納付すれば事足りることが多いかと思いますが、それによって他の通行者を怪我させたり、死亡させた場合は、刑法に規定されている

・過失傷害罪(刑法209条)
 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
・過失致死罪(刑法210条)
 過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
・重過失致死傷罪(刑法211条後段)
 重大な過失により人を死傷させた場合も同様(5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)とする。
※重過失とは通常の過失よりも過失の程度が大きい、つまり落ち度が大きいことをいいます。

に問われる可能性があります。

* 実際の適用事例 *

・平成31年1月16日、静岡市内の交差点で、歩行者とバイクが衝突し、バイク運転手が死亡した事故(歩行者も怪我)。歩行者は事故に関する詳細を記憶していなかったようですが、複数人の目撃供述から、歩行者の男性が赤信号を無視していたばかりか、バイクに気づいたのに回避措置をとっていなかったことが明らかとなり、歩行者が重過失致死罪で書類送検されています(バイク運転手は「被疑者死亡」のまま過失運転致傷罪で書類送検)。

・平成30年11月15日、北九州小倉北区内で、これも歩行者とバイクの衝突事故。これも歩行者が信号無視したことが明らかにとなっており、歩行者は重過失致傷罪で、バイク運転手が過失運転致傷罪で書類送検されています。

~ おわりに ~

福岡県交通企画課によりますと、福岡県内で発生した車と道路横断中の歩行者の事故(1695件)のうち、信号無視が原因で歩行者が第一当事者になった「乱横断」は12件あったといいます。事故の状況によっては厳しい責任を問われかねませんから、歩行者といえどもしっかりとルールを守る必要があります。

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小倉北区で飲酒運転発覚をおそれ被害者に現金授与②

2019-05-29

小倉北区で飲酒運転発覚をおそれ被害者に現金授与②

福岡県小倉北区に住む会社役員の男性は、仕事の関係者が集う立食パーティーに参加し、そこで多量のお酒を飲んだ後、飲酒運転して(のちの捜査で呼気からアルコール濃度0.5mg/lが検出)帰宅しました。その途中、Aさんは信号待ちのVさんが運転する前車に気づかず追突してしまいました(のちに、Vさんは加療約2週間の怪我を負ったことが判明)。Aさんは「大変なことをしてしまった」と思い、車から降りて運転席に乗車したままのVさんの元へ歩いていきました。Aさんは、ドアガラスを開けたVさんに「大丈夫ですか」と声をかけると、Vさんから「何とか」「きちんと賠償してくれるんでしょうよね」と言われました。Aさんは、「怪我だけは大したことなかった」と思い、Vさんに連絡先の電話番号を書いたメモ紙とお見舞金としての5万円を手渡しました。しかし、Aさんは、「ここで現場に留まり、警察を呼ぶと飲酒運転したことがばれる」と思い、Vさんに別れを告げてその場から離れ帰宅しました。後日、Aさんは、福岡県小倉北警察署に、過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱罪、道路交通法違反(救護義務違反、報告義務違反)で逮捕されてしまいました。
(令和5月16日に掲載された西日本新聞記事を基に作成したフィクションです。)

~ はじめに ~

前回の「小倉北区飲酒運転発覚をおそれ被害者現金授与①」では、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪の趣旨や規定の概要、成立要件について解説いたしました。そして、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪の成立要件として、

① アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者であること
② 運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させたこと
③ アルコール又は薬物の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたこと

が必要ということを解説したと思います。そこで、その成立要件について細かく解説したいと思います。

~ 要件①について ~

「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」とは、危険運転致傷罪における「正常な運転が困難な状態」と異なります。すなわち、正常な運転が困難な状態には至っていないが、アルコール等の影響で自動車を運転するのに必要な注意力・判断能力や操作能力が相当程度低下して危険な状態のことをいいます。
具体的には、道路交通法上の

酒気帯び運転程度のアルコール(血中アルコール濃度0.3mg/ml以上、呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上)

が体内にあれば「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」に当たると思います。

* 主観的には「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」である認識が必要 *

ご本人に(アルコールの影響で)「身体が火照っている」「血の巡りが早い」「ボーっとしている」などの自覚症状がある場合、仮になくても、飲酒から検挙までの時間、千鳥足、脚元がふらついている、顔が赤い、目が充血している、言葉の羅列が回らないなどの客観的状況から認識有りとされます。

~ 要件②について ~

「運転上必要な注意義務を怠り」とは、過失、を意味します。自動車を運転する上では守るべきルールがありますが、そのルールを守るべきとされ、当時の状況から守ることができ、事故を回避することができたのに、守らなかっため事故を回避することができなかった場合に「過失」があるとされます。本件では、Aさんが前をよく見て運転することが当然のルールで、前をよく見て運転することは容易にでき、しかも被害者であるVさんは信号待ちのため停まっていただけですから、事故(追突)は容易に回避できたといえます。
「よって人を死傷させたこと」とは、人の死、傷害(怪我など)という結果を発生させ、かつ、その結果と上記の過失行為との間に因果関係がある場合をいいます。基本的に、追突(過失行為)がなければ怪我が発生しなかったであろうといえる場合は、因果関係が認められます。

~ 要件③について ~

実際にアルコールの影響の有無・程度の発覚を免れる必要はなく、 「免れるべき行為」 といえる程度の行為が行われれば足りるとされています。法律4条では、「免れるべき行為」の例として、「アルコールを摂取する行為」、「その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させる行為」を挙げています。どの時点で、 「免れるべき行為」 といえる程度の行為、といえるのか、つまり行為が既遂に達したかについては、前者については、

事故後にアルコールを摂取した時点

後者については、概ね、現場から立ち去ってから

40分が経過した時点

とされています。
なお、「その他の免れるべき行為」としては、アルコールの分解を促進する薬を服用することが挙げられます。大量の水を飲む行為については、立法時は、, 「その他の免れるべき行為」 に含まれるとの見方が示されていますが、 水を大量に体内に入れたとしても, 体内のアルコール量自体が変化するものではないので,当たらないと指摘する人もいます。

* 主観的には「アルコールの有無又は程度が発覚することを免れる目的」が認識が必要 *

通常は、事故後にアルコールを摂取することが発覚免脱になること、 事故現場を離れて身体のアルコール濃度を減少させる行為をその旨認識して行ったときには, 通常は, 発覚免脱の目的もあったとの認定がなされることになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,飲酒運転、交通事故、交通違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております

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