【事例解説】ひき逃げで逮捕 勾留決定前の弁護士への依頼

 道路交通法違反(ひき逃げ)等で逮捕され、勾留決定される前の段階の架空の事件を参考に、勾留決定前の弁護士への依頼について、国選弁護人との比較を交えて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡県久留米市在住の自営業男性Aは、同市内の県道で自動車を運転していたところ、自転車で走行中のVに接触し転倒させ、全治2か月の怪我を負わせたのにそのまま逃走したとして、道路交通法違反(ひき逃げ)自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の容疑で準現行犯逮捕されました。
 Aの逮捕後、福岡県久留米警察署の警察官から、Aの妻BにAが逮捕されている旨の連絡があり、Bは弁護士への依頼をどうするか悩んでいます。
(事例はフィクションです。)

ひき逃げ事件で成立し得る罪

 人身事故を起こした場合、直ちに車両の運転を停止して、負傷者の救護を行う義務(救護義務)警察官に事故を報告する義務(報告義務)があります(道路交通法第72条第1項)。

 人身事故を起こし、救護義務報告義務を怠り逃走することを一般的にひき逃げと呼びますが、本件では、Aの運転によりVが負傷したと考えられるため、Aには、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります(道路交通法第117条第2項)。

 また、本件で、Vの負傷が、Aが運転上必要な注意を怠ったことに起因するものであれば、別に「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(自動車運転死傷処罰法)第5条の過失運転致傷罪も成立し、併合罪として処罰される可能性があります。

国選弁護人と私選弁護人について

 刑事訴訟法第37条の2により、罪名を問わず、一定の資力を下回る限り、国選弁護人制度を利用し低廉な費用で刑事弁護を受けることが可能ですが、被疑者の場合は、勾留が決定されたことが要件のため、逮捕後、勾留決定前の段階では利用することができません。

 逮捕から勾留決定までは最大3日間かかりますが、この間に弁護を受けるには、被疑者本人やご家族が自ら報酬を支払う契約によって弁護人を選任する必要があり、これを私選弁護人と言います。

 国選弁護人は、日本司法支援センター(法テラス)に登録している弁護士から無作為に選ばれるため、刑事弁護の経験の少ない弁護士が選任されてしまう場合もあり、変更も原則として認められないのに対し、私選弁護人であれば、その分野での豊富な実績のある弁護士を自ら選任することが可能です。

勾留決定前の弁護活動について

 私選弁護人は、検察官や裁判官に対して、勾留の理由(逃亡・罪証隠滅のおそれ等)勾留の必要性がないことを主張し、勾留請求勾留決定を行わないよう意見を申述していきます。

 具体的には、検察官や裁判官が把握していない、弁護人が被疑者本人や家族や関係者から聴取した被疑者に有利な事情などを提示することで、勾留の理由勾留の必要性がないこと、又はその必要が低いことを的確に主張し、検察官が勾留請求を行わない、又は裁判官が勾留請求を却下する可能性を高めることを狙います。

 このように、道路交通法違反(ひき逃げ)等で逮捕された場合における、勾留阻止による被疑者の身体拘束からの解放を実現するには、道路交通法違反事件における刑事弁護の経験豊富な私選弁護人の選任により、逮捕後直ちに適切な弁護活動を開始することが極めて有効です。

 また、私選弁護人の選任には、検察官の起訴・不起訴の判断に重要な影響を及ぼす被害者との示談について、勾留決定前の早い時期に、示談交渉の経験豊富な弁護士による交渉に着手できるという利点もあります。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件に強く、勾留決定前の弁護活動により、勾留阻止による被疑者の身体拘束からの解放を獲得した実績が多数あります。
 道路交通法違反(ひき逃げ)事件でご家族が逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部初回接見サービスください。

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