【事件解説】被害者の過失が大きい交通事故における加害者の弁護活動(前編)

 被害者の過失が大きいと考えられる過失運転致死事件を参考に、過失運転致死罪における「過失」の認定や加害者の弁護活動について、前編・後編に分けて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要

 Aは、北九州市八幡西区の国道3号線をバイクで走行中、道路を横断中のVをはねてしまいました。現場は片側3車線の国道で、Vは横断歩道のない場所で急に横断を開始したようです。Vは病院に搬送されましたが、約1時間後に死亡が確認されました。
 福岡県折尾警察署は、Aを過失運転致死罪により捜査することにしました。
(実際の事件に基づき作成したフィクションです。)

過失運転致死罪における「過失」とは

 Aが刑事責任を問われる可能性のある罪として、運転上必要な注意を怠ったことによりVを死亡させたとして、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(自動車運転死傷処罰法)第5条の過失運転致死罪が考えられます。

 過失運転致死罪など、刑罰法令における「過失」が何を意味するかについては、様々な考え方がありますが、結果発生を予見できる状態で、結果発生を回避する義務があるのにそれを怠ったということ、という考え方があります。

 これについて、結果発生の予見や回避が不可能であった場合まで結果発生を回避する義務を課すことは相当でないため、前提として、結果発生の予見が可能であったこと(「予見可能性」)、及び回避が可能であったこと(「回避可能性」)が必要とされます。

 本件において、Vをはねて死亡させたという結果の発生について、仮にAに予見可能性と回避可能性があったとして、結果回避義務違反が認められる場合、「運転上必要な注意を怠った」(=「過失があった」)と認定され、過失運転致死罪が成立し得ると考えられます。

次回の後編では、過失の認定における「信頼の原則」について、解説します。

過失運転致死罪の弁護活動

 人の死亡という重大な結果が発生している過失運転致死罪においては、取調べにおいて加害者の過失の有無や程度に関わる事情を厳しく聴取されることが予想されます。
 過失運転致死罪の法定刑は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金と非常に重く、過失の程度次第では、起訴され正式な裁判となり、実刑が科される可能性もあります。

 そのため、取調べで供述する内容が、自己の意に反して不利益な証拠とならないよう、取調べに際しては、刑事事件に強く、交通事故加害者の弁護活動の経験豊富な弁護士から、どのように受け答えをすればよいか等のアドバイスを事前に受けることをお勧めします。

 また、本件のように、被害者の過失が大きいと考えられる事故の場合、弁護活動としては、現場の状況や目撃証言など、被疑者に過失が認められない、又は過失の程度が極めて小さいことを示す証拠を収集して、検察官や裁判官に提示し、不起訴処分や刑の減軽が妥当であることを的確に主張することも考えられます。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、交通事故加害者の弁護活動で、不起訴処分刑の減軽を獲得した豊富な実績があります。
 自身やご家族が交通事件で人を死亡させ、過失運転致死の容疑で取調べを受けるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

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