危険運転~制御困難な高速度

危険運転~制御困難な高速度 

危険運転制御困難な高速度)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県糸島市に住むAさんは、普通乗用自動車を運転して、制限速度60キロメートルと指定された福岡市内の都市高速道路を走行中、急な左カーブに差し掛かったところで前車を追い越そうと速度を時速約120キロメートルに上げたところ、ハンドル操作を誤って自車を道路左側の壁面に衝突させ、さらにそのはずみで自車を対向車線に進出させ、折から、対向車線を直進してきた軽自動車に自車を衝突させ、軽自動車を運転するVさんを死亡させてしまいました。Aさんは病院に搬送され容体が回復した後、福岡県中央警察署の警察官に危険運転致死罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 危険運転について ~

最近、あおり運転が連日報道されていますが、あおり運転が危険な運転であることは間違いありません。
そして、そのあおり運転によって人に怪我をさせたり、人を死亡させた場合は

危険運転致傷罪(15年以下の懲役)、危険運転致死罪(1年以上の有期懲役)

が適用されるおそれがありますから、運転には十分注意する必要があります。

~ 危険運転とは? ~

危険運転については、

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律といいます)

の第2条に規定されており、第2条には罰則のほか、以下のとおりその1号から6号までに危険運転の類型が規定されています。

1号:正常な運転が困難になるほどの飲酒・薬物使用運
2号:進行を制御することが困難なほどの高速度での運転
3号:車を制御する技能を有しないでする運転
4号:人や車の通行を妨害する目的でに著しく接近するなどし、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での危険な運転
5号:赤信号等を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での運転
6号:通行禁止道路の進行し、かつ重大な危険を生じさせる速度での運転

~ 危険運転が成立する場合とは? ~

危険運転致死傷罪は、運転者が1号から6号に掲げるいずれかの行為を行っていることおを認識しながらその行為を行い、よって、人を負傷させた場合、あるいは人を死亡させた場合に成立します。要約すると、「運転者の認識」、「1号から6号までの行為」、「人の負傷、死の発生」、「行為と負傷、死との因果関係」という要素が必要ということになります。

~ 「進行を制御することが困難なほどの高速度での運転」とは? ~

事例を見ると、Aさんの運転は

進行を制御することが困難なほどの高速度での運転

に当たりそうです。

進行を制御することが困難なほどの高速度での運転とは、速度が速すぎて、道路状況の応じた運転が困難な状態であることをいいます。
進行を制御することが困難なほどの高速度かどうかは「制限速度の2倍」かどうかが一応の目安とされています。

しかし、単に、速度の速い遅いだけで決められるものではありません。道路の状況、貨物の積載状況、運転当時の気象状況、あるいは運転者の運転技量(初心者かベテランか)などの要素も影響を与えることがあります。
したがって、直線道路を制限速度の2倍を超える速度で運転していたとしても「進行を制御することが困難なほどの高速度」には当たらない可能性もあります。反対に、急なカーブに差し掛かる道路で、制限速度の2倍に達しない速度で運転していた場合には「進行を制御することが困難なほどの高速度」に当たる可能性もあります。

本件では、指定速度60キロメートルとされた急な左カーブのある道路を、その速度を超える120キロメートルで運転していたというわけですから、「進行を制御することが困難なほどの高速度」に当たる可能性が高そうです。

~ 参考事例 ~

昨年、6月28日、津地方裁判所では、三重県亀山市の名阪国道を法定速度の2倍で走行するなどし、対向車線のトラックに衝突、男性を死亡させたとして危険運転致死罪に問われた三重県四日市市在住の男性に対し、懲役6年(求刑懲役8年)の判決が言い渡されています。被害者遺族との示談が成立していたにもかかわらず、このような厳罰を科されていますから、文字通り、危険運転がいかに危険な運転であり、重い刑罰を科されてしまうのかが分かります。

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