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痴漢と欠格事由
痴漢と欠格事由
~ 相談 ~
私(20歳)は,看護師を目指して看護学校の専門学校に通っています。私は,数か月前,JRの電車内で痴漢をしたとして逮捕され,起訴され,今年3月の裁判で,懲役4月,3年間執行猶予の有罪判決を受けてしまいました。来月(5月)には,看護師試験を控えています。私は受験することが可能でしょうか?また,仮に合格した場合,看護師免許を取得することがでいるのでしょうか?
(フィクションです)
~ 欠格事由 ~
欠格とは,要求されている資格を欠くこと,欠格に当たる理由(事由)のことを「欠格事由」といいます。国家公務員,地方公務員,国家資格を必要とする職業は,職責が重く,国民からの高度な信頼も必要とされることから,法律で欠格事由が定められています。
~ 看護師の欠格事由 ~
では,看護師の欠格事由はどう定められているのでしょうか?
この点,保険師助産師看護師法9条1号(欠格事由)に次の定めが設けられています。
次の各号のいずれかに該当する者には,前二条による免許を与えないことがある
1 罰金以上の刑に処せられた者
2 前号に該当する者を除くほか,保健師,助産師,看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
3 心身の障害により保健師,助産師,看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省で定めるもの
4 麻薬,大麻又はあへんの中毒者
* 1号(罰金以上の刑に処せられた者)について *
「罰金以上の刑」とは,罰金刑,禁錮刑,懲役刑,死刑のことをいいます。「刑に処せられた」とは裁判を受け,その裁判が確定したことを言います。また,執行猶予付き判決を受けた場合も「刑に処せられた」に当たります。
~ ご質問に対する回答 ~
・看護師試験を受験することが可能か?
欠格事由は,看護師免許を与えられるか否かの判断の際に考慮されるもので,試験の受験とは無関係です。したがって,試験の受験自体に制限がない限り「可能」と考えます(受験要領などで確認してください)。
・看護師免許を取得することは可能か?
ご相談時,Aさんは「執行猶予中」かと思います。そして,上記で説明したとおり「刑に処せられた」には執行猶予中の場合も含まれますから,執行猶予期間中は看護師の免許を受けることができなくなるかもしれません(ここで「かも」と言いましたのは,あくまで上記の9条が「免許を与えないことがある」と欠格事由を相対的事由としているからです。免許の付与権者は厚生労働大臣です)。しかし,執行猶予期間中,何事もなく経過すれば,執行猶予を言い渡した刑の効力は失われます(刑法27条,だたし前科は残ります)。つまり,Aさんは「罰金以上の刑に処せられた者」ではなくなり,1号の欠格事由には当たらないことになります。そうすれば,免許を受けることができます。
刑法27条
刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは,刑の言渡しは,効力を失う。
~ おわりに ~
国家資格を必要とする資格は,看護師以外にも,医師,介護福祉士,行政書士,公認会計士,社会福祉士,社会保険労務士,税理士,土地家屋調査士,弁理士,弁護士,薬剤師,保育士の資格などがあり,それぞれ法律で規定されています。気になる方は,一度,関係法令で確認してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,痴漢をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。痴漢でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。
(初回法律相談:無料)
(初回接見費用:32,400円~)
夫が痴漢で逮捕!そのとき妻は?
夫が痴漢で逮捕!そのとき妻は?
福岡県春日市に住む会社員Aさんは,西鉄春日原駅から乗車して西鉄天神駅へ行く通勤電車内で,女性Vさんに対して痴漢したとして福岡県中央警察署の警察官に現行犯逮捕されました。専業主婦のBさんは,中央警察署から「旦那さんを逮捕した」との連絡を受けました。Bさんはどうしていいかわからず,インターネットで痴漢事件専門の弁護士を検索し,弁護士に接見を依頼しました。
(フィクション)
~ はじめに ~
ある日,突然,警察からの連絡。「普段,真面目に生活しており,警察沙汰になるようなことはしていないのに,なぜ警察から電話が来るの?」。普段,警察と接点がない方は,警察から電話が来るというだけでも驚きですのに,さらに「夫が痴漢」「逮捕」というワードを聞けば,なおさら驚かれ,ショックを受けられることは間違いないのではないでしょうか?
そして,次に,考えることは,
・家庭,家族=これからの家族の生活はどうなる?
・会社,仕事=会社に連絡した方がいいのか?クビにはならないか?
・夫との関係=夫と離婚できるか?離婚すべきか?
などといったことではないでしょうか?
そこで,このコラムでは
~ 夫(家族)が痴漢で逮捕されたときに取るべき対応 ~
まずは,気持ちを落ち着けましょう。そして,冷静に判断して次の対応を取られるとよいでしょう。
= 痴漢事件に強い弁護士に接見(面会)してもらう =
まずは,夫が痴漢を認めるか,認めないのか,冤罪の可能性があるのか見極める必要があります。それによって,その後の弁護活動が異なってくるからです。その見極めをするためには,ご本人と接見する必要がありますが,逮捕直後のご家族の面会は認められていません。したがって,この時点では,弁護士に接見を依頼するしかありません。また,接見後の有効かつスピーディーな弁護活動をお望みであれば,痴漢事件に強い私選の弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。
= 会社・職場に連絡する =
逮捕された日が勤務日である場合は,会社・職場の連絡先をご存知の場合は一報を入れておいた方が無難です。何の連絡もなく休むと「欠勤」扱いとなり減給出勤停止などの対象となるばかりか,欠勤が続けば「解雇」の対象となり得ます。ケースにもよりますが,2,3日程度であれば痴漢のことは伏せて「体調不良」「家族の所要」などといって誤魔化すことはできるかもしれません。お悩みの場合は弁護士に相談しましょう。
* 逮捕されただけで解雇になるの? *
会社の解雇などの懲戒処分の事由(理由)については,会社の就業規則に定められています。通常,「逮捕」のみでは解雇事由に当たらないことが多いかと思われます。ただし,逮捕されたことが世間に知れ渡り,そのことで会社の信用を失墜させたとか,経済的に大損害を与えたなどという場合,痴漢事件で有罪の判決を受けた場合などは解雇事由に当たるでしょう。
* 早期釈放を! *
このようなことから,一刻も早い釈放が望まれます。刑事処分はともかくとして,釈放されれば,ご本人自身で会社・職場への対応が可能となるからです。また,逮捕から本格的に身柄拘束される(勾留される)まで最大で3日間あります。できれば,この期間内での釈放を目指したいところです。
= 弁護士に協力する =
弁護士が接見したあとは,通常,接見時の内容をご家族(依頼者)に報告してくれます。そこで,まず,ご本人が痴漢を認めているのか,認めていないのか,冤罪の危険はあるかなど事件のことについて報告を受けましょう。そして,それによって,今後の事件の見通しや弁護活動の内容の報告,ご家族としての対応方法などについての助言・アドバイスがあると思います。ご本人が痴漢を認める場合は,被害者との示談が中心となります。ですが,被害者との示談は,事実上弁護士しかできません。ご家族としては早急に示談金を準備しましょう。また,釈放に向けて,いろいろ弁護士から指示があると思います。面倒くさがらず指示に従いましょう。疑問点がある場合は遠慮なく弁護士に尋ねましょう。
~ おわりに ~
これまで,夫などのご家族が逮捕された場合に,ご家族としてできることをご紹介してきました。
ある日,突然,警察から連絡が来て気が動転し,冷静さを保つことは大変だと思います。しかし,ご家族には,夫や家族の日常生活を守る役割が求められます。大変だとは思いますが,家族としてできる限りのことを行いましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,痴漢事件をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。痴漢事件での示談交渉や刑事弁護なら刑事事件専門の弁護士にご用命ください。まずは,0120-631-881で無料法律相談を受け付けております。
盗撮と欠格事由
盗撮と欠格事由
看護学生であるAさんは,通学中の地下鉄内で盗撮したとして福岡県中央警察署に福岡県迷惑防止条例(条例6条2項1号違反)で逮捕されました。逮捕の知らせを受けたAさんのご両親は,Aさんが逮捕されたことからAさんは看護師になれないのではないかと心配になり,盗撮事件に強い弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです)
~ 盗撮はどんな犯罪?罰則は? ~
福岡県では「福岡県迷惑行為防止条例」という条例の6条2項,3項で盗撮行為を禁じています。
6条2項と3項に書かれてあることをまとめると以下のとおりとなります。
★ 6条2項 ★
【禁じられる場所】→公共の場所,公共の乗物,その他の公衆の目に触れるような場所
【禁じられる行為】→のぞき見,写真機,ビデオカメラその他これらに類する機器(以下,写真機等)を用いて撮影すること(以下,盗撮行為)
→盗撮行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること
【上記行為の対象】→通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着
★ 6条3項 ★
【禁じられる場所】→公衆便所,公衆浴場,公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部又は一部を着けないでいつような場所
【禁じられる行為】→盗撮行為
→盗撮行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること
【上記行為の対象】→通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる状態にある人の姿態
罰則については条例の11条2項により「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」,常習として行った場合は,12条1項により「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
~ 盗撮と看護師の欠格事由 ~
ある職種に就くにあたり必要とされる資格を欠くことを欠格といい,その欠格の事由(理由)を欠格事由といいます。たとえば,国家公務員の欠格について規定した国家公務員法38条2号では
禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
と規定され,国家公務員の職に就く能力を有しないとされています。
では,看護師の場合どうでしょうか?
この点,保険師,助産師,看護師,准看護師の免許,試験,業務等について定めた保険師助産師看護師法9条には次の定めがあります。
9条 次の各号のいずれかに該当する者には,前二条による免許を与えないことがある
1 罰金以上の刑に処せられた者
「罰金以上の刑」とは,罰金刑,禁錮刑,懲役刑,死刑のことを指し,処せられたとは裁判を受け,その裁判が確定したことを言います。したがって,逮捕中の場合はまだ裁判すら受けていない段階ですので,逮捕された事実のみをもって看護師等になれないということはありません。また,9条は「与えないことがある」と免許を与えないことにつき任意的としています。つまり,罰金以上の刑に処せられたからといって,必ず免許が与えられないかといえばそうではありません。
ところで,上記でみたように,盗撮の罰則には懲役刑も罰金刑も規定されています。
よって,Aさんは罰金刑を受け,その刑が確定してしまえば「罰金以上の刑に処せられた者」として看護師の免許を受けられない可能性が出てきます。
~ 欠格事由に当たるのを回避するには? ~
では,欠格事由に当たるのを回避するにはどうすればよいでしょうか?
もちろん,裁判で事実関係を争い無罪判決を獲得することができれば回避することはできます。しかし,事実関係に争いのない場合,この手法はあまりにも非現実的です。むしろ,不起訴処分獲得を目指す方がより現実的と言えます。不起訴処分を処分を獲得するには,まずは何より被害者に謝罪し,示談交渉を始めて示談を締結することが何よりも大切です。示談締結により被害者の処罰感情が緩和されれば,不起訴処分獲得の可能性は高まると言えるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,盗撮事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
(福岡県中央警察署までの初回接見費用:35,000円)
準強制わいせつで逮捕
準強制わいせつで逮捕
福岡市西区に住む大学生のAさん(21歳)は友人Bさんとともに,SNSで知り合った女子大生2人(Xさん,Yさん)を誘い,福岡市西区の居酒屋で合コンを開きました。その後,AさんとBさんは,二次会のため,Xさん,YさんをAさんの自宅マンションへ誘いました。Aさんらは,Aさんの自宅マンションで再びお酒などを飲み始めたのですが,しばらくするとXさんと,Yさんはお酒に酔って寝てしまいました。そこで,AさんとBさんはこの機会を利用してXさん,Yさんにわいせつなことをしようと考え,Xさん,Yさんの胸や陰部などを触るなどのわいせつ行為に及び,その様子をスマートフォンで動画撮影しました。そして後日,Aさんがその動画をインターネットの動画投稿サイトに投稿したことから,Xさんが被害を知ることとなり,西警察署に被害届を提出しました。そうしたところ,Aさんと,Bさんは準強制わいせつ罪で逮捕されました。
(フィクションです)
~ 準強制わいせつ罪 ~
準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。
刑法178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,わいせつな行為をした者は,第176条の例による。
= 主体 =
わいせつ行為と聞けば男性が女性に対して行う犯罪と思われがちですが,本罪は「わいせつ行為をした者」とだけ規定しており,本罪の主体(加害者)に男女の区別はありません。また,客体(被害者)についても同様です。したがって,男性が男性に対してわいせつ行為に及んだ場合,女性が男性に対してわいせつ行為に及んだ場合,女性が女性に対してわいせつ行為に及んだ場合でも本罪が成立します。
= 心神喪失 =
精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には,熟睡,泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。責任能力における心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります。
* 責任能力における心神喪失とは *
精神病や薬物中毒などによる精神障害のために,自分のしていることが善いことか悪いことかを判断したり,その能力に従って行動する能力のないことを心神喪失といいます。
= 抗拒不能 =
心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。睡眠中,泥酔中,麻酔中,催眠状態など,心神喪失以外の理由でわいせつな行為をされていることを認識していない場合がこれに当たります。また,わいせつな行為をされること自体認識していても,加害者の言動によりこれを拒むことを期待することが著しく困難な状態なども含まれます。
* 抗拒不能に当たるとされた裁判例 *
上の後者に関する裁判例として
女子高生が家庭教師の巧みな言葉に従えば英語が上達できるようになると誤信しているのに乗じてわいせつな行為をした場合には,「抗拒不能」の状態にあった
として準強制わいせつ罪の成立を認めています。(東京高裁平成15年9月29日)。
= ~乗じ,~させ =
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。当該状態を作出した者とわいせつ行為をした者が同一であることは必要ではありません。ただし,この場合,本罪が成立するには,わいせつ行為をした者が,被害者が当該状態にあることを認識しておく必要があるでしょう。「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬,睡眠薬の投与・使用,催眠術の施用,欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。
= 故意 =
本罪は故意犯です。加害者において,「被害者が心神喪失,抗拒不能の状態にあること」,「被害者を心神喪失,抗拒不能の状態にさせたこと」,「わいせつ行為に及んだこと」を認識している必要があります。なお,わいせつ行為か否かは社会通念から判断されます。胸,陰部を触る行為は,社会通念上「わいせつな行為」と判断されますから,いくら「わいせつな行為ではない」と反論しても意味がありません。
~ 準強制わいせつ罪の刑の重さ ~
準強制わいせつ罪の法定刑は「176条の例による」として強制わいせつ罪と同様,
6月以上10年以下の懲役
です。
頭に「準」とついていますから,強制わいせつ罪よりも刑が軽くなるイメージを持たれる方もおられるかもしれませんが,そうではありませんから注意が必要です。罰金刑がありませんから,起訴されれば正式裁判を受けなければなりません。裁判で「有罪」となれば「実刑」判決を受ける可能性ももちろんあります。起訴を回避する,「実刑」判決を回避するには被害者と示談を締結することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,準強制わいせつ罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
弊所の初回接見
弊所の初回接見
ある日突然,福岡市西区に住む主婦Aさんのもとに,福岡県西警察署の警察官から「旦那さんを痴漢で逮捕しました。」と電話がかかってきました。Aさんは,これからどうしていいか分からず,痴漢事件・刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 初回接見とは ~
弊所の初回接見とは,正式なご契約の前に,弊所の弁護士が警察署などの留置施設に出張して,身柄拘束を受けた方と接見をさせていただくサービスのことをいいます。事例では,逮捕直後にご依頼を受けておりますが,初回接見のタイミングとしては何も「逮捕直後」に限らず,
・捜査中
・公判中
・裁判中
・判決後
のどの段階であっても可能です。刑事訴訟法39条1項は「弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者」の接見を認める規定であり,初回接見では未だ正式な契約を結んでいない段階ですから,「弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者」との接見ということになります。
* 弁護人を選任することができる者 *
まず,「被告人」又は「被疑者」は何時でも弁護人を選任することができます(刑事訴訟法30条1項)。また,被告人又は被疑者の「法定代理人」,「保佐人」,「配偶者」,「直系の親族及び兄弟姉妹」は独立して弁護人を選任することができます(刑事訴訟法30条2項)。「独立して」とは,被告人,被疑者の意思に反してでも選任することができるという意味ですが,被告人・被疑者は,その選任された弁護人をいつでも解任することができると解されています。
~ 初回接見のメリット ~
初回接見(あるいは弁護人接見)を受けたことによるメリットとはどんな点が挙げられるのでしょうか?
= 逮捕期間中から接見可能 =
逮捕期間中とは「逮捕されてから検察官の元に送致されるまでの間」のことを指します。この間,時間で換算すると概ね72時間(=3日間)ありますが,弁護人であれば接見可能です。他方,ご家族など弁護人以外の方との接見は,通常認められません。
= 接見の曜日,時間に制限がない =
弁護人との接見であれば,土日・祝日関係ありませんし,早朝,深夜を問わず接見できます。また,一回の接見時間の制限もありません。他方,弁護人以外の方との接見は,通常,平日の決まった時間に限られており,一日につき,一回の接見時間は15分から20分と決められています。
= 立会人が付かない =
弁護人接見であれば立会人が付きません(刑事訴訟法39条1項)。ですから,弁護人と気兼ねなくなんでも話せます。他方,弁護人以外の方との接見では立会人が付きます。そうすると,「こんなこと話していいのだろうか」などと迷いが生じてしまい,なかなか話したくても話しづらい状況となります。
= 接見禁止決定が出ても接見ができる =
弁護人であれば接見禁止決定が出ても接見することができます。他方,弁護人以外の方との接見については,接見禁止が出ると解除されるまでは接見することができません。接見禁止決定は起訴後も出ることがあり,その場合でも同様です。
= 事件の内容(逮捕・勾留事実)を詳しく知ることができる =
接見では,弁護人が身柄拘束された方から,事件の概要をお聴きします。そして,接見後に,依頼者様に事件の概要をご報告させていただきます。
= 事件の見通し,対応(弁護方針,弁護活動)を知ることができる =
弁護人は,身柄拘束された方からお聴きした話の内容を基に,今後の弁護方針,弁護活動を決めます。例えば,罪を認める場合は,早期釈放,被害者様との示談交渉などに向けた弁護活動を始めることが肝要です。これらについても,依頼者様にご報告させていただきます。
= ご家族等からのご伝言をお伝えすることができる =
弁護人が接見に行く前に,ご家族様からご伝言を預かることが可能です。また,接見後のご報告では,身柄を拘束された方からお預かりしたご伝言をお伝えさせていただくことも可能です。
~ 初回接見後について ~
接見後は,依頼者様に接見のご報告をさせていただきます。遠方にお住まいの方であれば電話によるご報告も可能です。その後,ご希望であれば正式な契約を結ばさせていただきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,痴漢をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までご連絡いただければと思います。専門のスタッフが初回接見のためのご案内をさせていただきます。
勾留と釈放
勾留と釈放
福岡県久山町に住むAさん(28歳)は,Vさんと二人きりになったカラオケボックスの内で,Vさんに無理やりキスをしたり,直接Vさんの胸を揉むなどの行為をした強制わいせつ罪で福岡県粕屋警察署に逮捕されました。その後,Aさんは勾留され,20日間拘束された後起訴されました。Aさんは,起訴後も勾留されています。Aさんのご両親は,Aさんの身柄を釈放してもらうべく刑事事件に強い弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです)
~ 勾留 ~
「勾留」とは,被疑者または被告人の身体の自由を拘束する裁判及び執行のことをいいます。読みは同じですが刑罰の「拘留」(刑法9条)とは異なります。
勾留は,起訴される前の被疑者勾留と起訴された後の被告人勾留に分けられます。
= 被疑者勾留 =
被疑者勾留の場合,捜査の必要性の要素が色濃く出ます。
つまり,被疑者勾留は被告人勾留と異なり,裁判所(あるいは裁判官)の独自の判断での勾留は認められず,事件の全容を把握している「検察官の請求」を前提とします。そして,請求を受けた裁判官が勾留の許否を判断するのです。また,弁護人は勾留されている方と自由に接見できる(刑事訴訟法39条1項)のですが,公訴の提起(起訴)前に限り,弁護人接見に関し条件を付けられることがあります。これを接見指定といいます(刑事訴訟法39条3項)。
* 勾留期間 *
勾留期間は,検察官の請求のあった日から数えて10日間です。例えば,平成31年3月11日に勾留請求があった場合の勾留満了日(勾留が終わる日)は同月20日です。ただし,検察官が勾留期間を延長することにつき「やむを得ない事情」があると判断した場合は,勾留期間の延長を請求されることがあります。請求期間は原則として10日間で,請求を受けた裁判官は独自の裁量で延長期間を決めることができます(例えば,検察官が10日間の延長請求しても,裁判官の判断で8日間に短縮されることがあります)。
* 接見指定と接見等禁止 *
接見指定とは上記のように,弁護人あるいは弁護人となろうとする者が勾留されている方と接見するにあたって指定される条件のことです。他方,接見等禁止とは,弁護人「以外」の者と勾留されている方との接見等を禁止することで(刑事訴訟法81条),法的には接見指定と別個のものと考えられています。なお,接見指定は公訴の提起(起訴)前だけにしかすることができないのに対し,接見等禁止は,必要があれば公訴の提起後にも付けられることがあります。
= 被告人勾留 =
被疑者から被告人となった場合,捜査の必要性は減退します。
よって,被告人の勾留は,裁判所(あるいは裁判官)の職権により行われます。通常,公訴の提起があったのと同時に勾留されますが,検察官が敢えて勾留をしたいという意思表示をしたい場合は,裁判官に職権の発動を促します。被告人勾留の場合,接見指定は認められません。
* 勾留期間 *
勾留期間は,公訴の提起があった日から2か月です。その後は,特に継続の必要がある場合に,決定をもって1か月ごとに更新されます。
~ 勾留と釈放 ~
勾留を解く(釈放する)ために,様々な対抗手段を講じることが必要です。ここでも,被疑者勾留と被告人勾留の場合にわけてご紹介いたします。
= 被疑者勾留 =
被疑者勾留の場合,まず,検察官に勾留請求しないよう働きかけたり,裁判官に勾留の決定を出さないよう働きかけることができます。ただし,これは法的な手段ではありません。法的な手段としては,勾留決定が出た後に勾留裁判に対する不服申し立て(準抗告)をすることが考えられます。なお,被疑者勾留の場合,被告人勾留と比べ身柄拘束期間が短いことから保釈請求は認められていません。
= 被告人勾留 =
被告人勾留の場合の主な対抗手段としては保釈請求でしょう。その他,勾留更新決定に対する準抗告,抗告の手段なども考えられますが,あまり例がないようです。
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GPSでのストーカー行為
GPSでのストーカー行為
福岡市に住むAさん(30歳)は,長年交際していたVさん(28歳)から別れ話を切り出されました。Aさんは何とかVさんとよりを戻そうと,LINEでメールを送りましたが,Vさんからブロックされたためか「既読」にならず,また電話をかけても着信拒否されてしまいました。そこで,Aさんは,Vさんに対する恋愛感情を晴らすため,佐賀市内のVさん方へ行き,多数回にわたり,Vさんが使用する軽自動車に全地球測位システム(略称GPS)機能付き電子機器を「密かに」取り付け,同車の位置を探索してVさんの動静を把握していました。そうしたところ,Aさんは,「ストーカー行為(Vさんに対して「見張り行為」を反復してすること)」をしたとして佐賀県佐賀北警察署にストーカー規制法違反で逮捕され,その後起訴されてしまいました。
(平成30年9月21日,福岡高等裁判所判決を基にして作成したフィクションです)
~ ストーカー行為とは ~
ストーカー規制法(以下,法)では,「ストーカー行為」をした者を1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処すると規定しています(法18条)。では,法でこの「ストーカー行為」をどのように定義付けているのでしょうか?
= 概要 =
ストーカー行為の定義は法2条3項で規定されています。
それによると,「ストーカー行為」とは,
同一の者に対し,つきまとい等(略)を反復してすること
と定義されています。つまり,「ストーカー行為」というためには,同一の者に対する同一性,つきまとい等,反復性の3つの要素がそろってはじめて成立することになります。
= つきまとい等とは =
では,法は「つきまとい等」についてはどう定義付けしているのでしょうか?「つきまとい等」の定義は法2条1項に規定されています。
それによると,「つきまとい等」とは,
特定の者に対する恋愛感情その他の好意感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で,その特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活上密接な関係を有する者に対し,次の各号に掲げる行為をすること
をいうとされています。
次の各号には,1号から8号まであって,今回,Aさんが起訴された「見張り行為」については1号に規定されています。
1号 つきまとい,待ち伏せし,進路に立ふさがり,住居,勤務先,学校その他その通常所在する場合(以下「住居等」という)の付近において見張りをし,住居等に押し掛け,又は住居等の付近にみだりにうろつくこと。
* 1号とストーカー行為 *
ただし,1号の行為が「ストーカー行為」であるというためには,身体の安全,住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えされるような方法で行われた場合に限るとされています(法2条3項括弧書き)。
~ 「見張り」とは ~
事例でご紹介させていただいた平成30年9月21日の福岡高等裁判所判決では,①「見張り」とはどういう行為をいうのか,②Aさんの,Vさんが使用する軽自動車に全地球測位システム(略称GPS)機能付き電子機器を密かに取り付け,同車の位置を探索してVさんの動静を把握する行為は「見張り」に当たるのかなどについて判示しています。
= ①「見張り」とはどういう行為か? =
福岡高裁は,「見張り」とは,一般に,視覚等の感覚器官によって対象の動静を観察する行為と解し,上記1号で規定されているように,法は,「見張り」について,被害者の住居等の付近において行われるものに限って規制の対象としているとしています。
= ②Aさんの行為は「見張り」に当たるか? =
福岡高裁は,Aさんの行為は,被害者の通常所在する場所の付近から離れて,携帯電話を用いて,本件GPS機器による位置情報提供サービスを行う会社のホームページに接続して,本件自動車の位置情報を取得することによって行うもので,被害者の住居等の付近において,視覚等の感覚器官によって被害者の動静を観察するものではないから「見張り」には当たらないとしています。
~ 判決のその後 ~
Vさんが使用する軽自動車に全地球測位システム(略称GPS)機能付き電子機器を密かに取り付け,同車の位置を探索してVさんの動静を把握する行為は「見張り」には当たらないものの,「密かに」取り付けたとあるように,AさんがGPS機器を取り付ける際に,付近に被害者がいないかどうかを確認するなどして,被害者の動静を観察する行為が含まれていると解する余地があり,これが「見張り」に当たる余地があるとして事件を原審である佐賀地方裁判所に差し戻しています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,ストーカー規制法をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件,少年事件でお困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
起訴と不起訴
起訴と不起訴
福岡県中間市に住むAさん(45歳)は,SNSで援助交際を希望していたVさん(19歳)と性交する目的で連絡をとり合い,会うことになりました。AさんはVさんを連れて北九州市八幡西区のホテルに入りましたが,Vさんから性交を断られました。そこで,Aさんは予め用意していた睡眠薬を水の中に入れ,これをVさんに飲ませました。そして,Vさんが眠ったところで,Vさんに性交しました。現段階では警察からの連絡はないものの,Aさんは自分のしたことを後悔し,Vさんに謝罪したいと考えています。そして,できればVさんと示談を成立させ,穏便に解決したいと考えています。Aさんは事件が発覚した場合,起訴され,裁判を受けることを非常におそれています。そこで,示談交渉などを刑事事件に強い弁護士に依頼しました。
(フィクションです)
~ 準強制性交等罪(Aさんの罪) ~
Aさんの行為は,準強制性交等罪に当たる可能性が高いでしょう。準強制性交等罪は刑法178条2項に規定されています。
刑法178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心身を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,性交等をした者は,前条の例による。
刑法177条
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。
「心神喪失」とは,精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。例えば,熟睡,泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。
「抗拒不能」とは,心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。恐怖,驚愕,錯誤などによって行動の自由を失っている場合などはこれに当たります。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。「心神喪失・抗拒不能にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬,睡眠薬の投与・使用,催眠術の施用,欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。
「前条の例よる」の「前条」とは177条のことを指します。「例による」とは,法定刑を177条と同様,「5年以上の有期懲役」とするという意味です。
~ 起訴とは ~
起訴とは,検察官が特定の刑事事件について裁判所の審判を求める意思表示を言います。この起訴の権限は,一部の場合を除いて検察官のみがもっています(起訴独占主義)。起訴されれば被疑者から被告人という立場に変わり,裁判を受けなければなりません。裁判で「有罪」と認定され,言渡された刑が確定すればその刑に服さなければなりません。
準強制性交等罪の場合,最低でも5年の懲役が科されるわけですから,裁判で「有罪」と認定されれば,多くの場合執行猶予付き判決が言渡されることはありません。
~ 不起訴とは ~
不起訴とは文字通り,起訴しないという意味です。起訴権限が検察官に認められているわけですから,起訴するかしないかの判断も検察官に委ねられています(起訴便宜主義)。不起訴となれば,裁判を受ける必要はありませんし,刑罰を科されることもありません。また,前科もつきません(前歴は残ります)。
* 不起訴の理由 *
不起訴の理由には様々ありますが,普段,よく目にするのが「起訴猶予」「嫌疑不十分」「嫌疑なし」の3種類かと思います。
「起訴猶予」は,犯罪が成立することは明白であるものの諸情状(示談成立の有無,被害者の処罰感情の程度,反省・更生意欲の程度,更生の可能性など)に鑑みて不起訴とする場合に付される理由です。
「嫌疑不十分」は,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分な場合に付される理由で,「嫌疑なし」は,被疑者が犯罪事実の行為者でないことが明白は場合,又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白な場合に付される理由です。
不起訴処分獲得を目指すといっても,その理由付けによる不起訴処分の獲得を目指すかで弁護活動の内容は異なってきます。詳しくは弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,準強制性交等罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
福岡県青少年健全育成条例違反で逮捕
福岡県青少年健全育成条例違反で逮捕
福岡市東区に住む会社員のAさん(28歳)は,SNSで知り合ったVさん(16歳)が18歳未満であることは知っていました。ある日,Aさんは,Vさんをホテルに誘おうと思って,Vさんに電話し,Vさんの保護者の承諾を得ないまま,深夜Vさんを自宅から連れ出しました(①)。そして,AさんはVさんを福岡市東区内のホテルへ誘い,Vさんと性交しました(②)。数日後,Aさんは,再びVさんと会いたくなり,Vさんに電話しました。ところが,AさんはVさんから断られたことから,代わりに裸の写真を送るよう求めました(③)。Aさんはこれも断られました。そうしたところ,Aさんは福岡県東警察署に福岡県青少年健全育成条例(以下,条例)違反で逮捕されました。
(フィクションです)
~ 福岡県青少年健全育成条例 ~
青少年健全育成条例は,名称こそ多少の違いはあるものの,全国各都道府県単位で制定されています。条例の目的は,青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止して,青少年の健全な育成を図ることを目的としています(条例1条)。なお,ここで青少年とは,18歳未満の者(他の法令により成年者と同一の能力を有するとされる者を除く。)をいうとされています(条例2条1号)。
では,条例にはどんな罪が規定され,罰則はどうなっているのかご紹介いたします。
~ いん行の罪(行為②) ~
条例31条1項 何人も,青少年に対し,いん行又はわいせつな行為をしてはならない。
罰則は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(条例38条1項1号)。
「いん行」とは,判例によれば「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく,青少年を誘惑し,威迫し,欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか,青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性行為類似行為」とされています。
~ 深夜に外出させる行為の罪(行為①) ~
条例34条2項 何人も,保護者の指示を受け,又はその同意を得た場合その他正当な理由がある場合のほかは,深夜に青少年を連れ出し,同伴し,又はとどめてはならない。
罰則は30万円以下の罰金又は科料です(条例38条5項14号)。
青少年の同意があっても本罪は成立します。ただ,本罪が成立するには
・青少年に対して刑罰法令に触れる行為を行う目的があったこと
・刑罰法令に触れる行為が青少年に対して行われること若しくは刑罰法令に触れる行為を青少年が行うことを知っていたこと
・青少年の不良行為を誘発し,若しくは助長する態様であること
のいずれかであることが必要です。本件のAさんの場合,Vさんにいん行する目的でVさんを連れ出しているわけですから,「青少年に対して刑罰法令に触れる行為を行う目的があったこと」に当たるでしょう。
~ 自撮り画像提供の要求行為の罪(行為③) ~
本罪は,本年2月1日から施行された改正条例によって追加された罪です。
罰則は30万円以下の罰金又は科料です(条例38条4項)。
本罪が成立するには,
・青少年から拒まれたにもかかわらず,当該青少年に係る児童ポルノ等(自撮り画像等)の提供を行うよう求めること
・青少年を威迫し,欺き,若しくは困惑させ,又は青少年に対しお金などを与え,若しくは与える約束をして,当該青少年に係る児童ポルノ等(自撮り画像等)の提供を行うよう求めること
のいずれであることが必要です。本件のAさんの場合,Vさんに拒まれた後は要求していません。ただし,威迫行為などや,お金などを与える約束があった場合は本罪が成立します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,福岡県青少年健全育成条例違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談・初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
(福岡県東警察署まで初回接見費用:36,000円)
盗撮と犯罪
盗撮と犯罪
福岡市中央区に住むAさんは,仕事や家庭のことなどでストレスを溜め込んでいたところ,ストレスを発散しようと盗撮を繰り返していました。そして,Aさんは仕事が休みのある日,また盗撮をしようと思いました。Aさんは,利き足である右足靴の中に特殊な小型カメラを仕込み,それを駅構内のエスカレーター上で前に立っていた女性のスカートの下に差し入れたところ,現場で張り込んでいた福岡県中央警察署の警察官に逮捕されてしまいました。警察から逮捕の通知を受けたAさんの妻は,まずは,弁護士との接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 盗撮とは何罪? ~
テレビやネットなどで,毎週,毎月のように「盗撮」に関するニュースは目にしたり耳にしたりします。盗撮で逮捕された方の中には,盗撮の前科を有していたにもかかわらず再び盗撮した方もおられます。そもそも,どんな人が盗撮する傾向にあるのでしょうか?そして,なぜ,盗撮を繰り返してしまうのでしょうか?今回は,盗撮に関する罪,罰則をご紹介するとともに,その点についてもご紹介したいと思います。
~ 盗撮しやすい傾向・原因? ~
どんな人が盗撮しやすい傾向にあるのでしょうか?ここではその心理的傾向や盗撮の原因についてご紹介します。盗撮に悩まれている方は参考にしていただき,まずは,ご自分の傾向・傾向について見つめなおすきっかけにしていただければ幸いです。
= 興奮,スリルを味わいたい =
向上心が高い,医者や弁護士などのエリート層の方がこの心理を抱く傾向にあると言われています。また,一度この興奮,スリルを味わうとそれが成功体験となり,快感となって盗撮をエスカレートさせる傾向にあります。
= ストレスを発散したい =
ストレスは誰しもつきものですが,ストレスを上手く発散できていない人ほど盗撮に走る傾向にあると言われています。特に,物静かな方,周囲からみて何を考えているのか分からない方,自己表現が苦手な方ほどストレスを上手く発散できていません。ストレス発散のはけ口が盗撮という誤った方向へと導いてしまうのです。
= 盗撮されて当然だ,嫌な気はしないはず =
女性を自分より下の存在だとみなし,「女性に対してなら盗撮くらいやってもいい」「やられて当然だ」などとという女性に対する誤った認識をもたれている方は盗撮に走る傾向にあると言われています。夏場になれば,露出度の多い服を着る女性も目立つようになりますが,それを見ると「露出の多い服装=貞操観念の低い」「盗撮を誘っている」という認識を持ち,これが盗撮に走らせてしまうのです。
= 盗撮行為の容易性 =
技術の進歩によって盗撮が比較的容易となったことも盗撮の原因に挙げられるのではないでしょうか?近年は,カメラ起動時,あるいはシャッター時に音が出ないアプリを容易にダウンロードして入手することができます。また,カメラも段々と小型化されてきており,注意しなければそれとすらわからないものまであります。
~ 福岡県迷惑行為防止条例 ~
では,Aさんの行為はどんな罪に当たり,それについてどんな罰則が設けられているのでしょうか?これについては福岡県迷惑行為防止条例6条2項,3項に規定されていますから,まずはその条文についてひも解いていくことにします。
= 2項について =
* 盗撮行為の場所 *
「公共の場所」,「公共の乗物」,「その他の公衆の目に触れるような場所」とされています。
* 盗撮行為の態様 *
「通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し,又は写真機,ビデオカメラその他これらに類する機器(写真機等)を用いて撮影すること」又は「左の行為をするも目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること」とされています。
= 3項について =
* 盗撮行為の場所 *
「公衆便所」,「公衆浴場」,「公衆が利用することができる更衣室」,「その他の公衆が通常衣服又は全部又は一部を着けない状態でいるような場所」とされています。
* 盗撮行為の態様 *
「当該状態(公衆が通常衣服又は全部又は一部を着けない状態)にある人の姿態をのぞき見し,又は写真機等を用いて撮影すること」あるいは「左の行為をする目的で写真機等を設置し,又は他人の身体に向けること」とされています。
= 罰則は? =
通常の盗撮行為の場合,「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」,常習として盗撮行為を行った場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の範囲で処罰されることが多いです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,盗撮をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
(福岡県中央警察署までの初回接見費用:35,000円)