博多区の卑わいな言動と釈放

2019-05-30

博多区の卑わいな言動と釈放

福岡市博多区に住むAさんは、同区内の公園において、スパッツの股間部分にペットボトルなどを入れた状態で、同公園にいた女子中学生2人にその状態を見せつけるつもりで背後から近づいたところ、その様子を不審に思った男性のWさんに「おい、何しているんだ」などと声をかけられたことから、その場を立ち去りました。しかし、Aさんは追いかけてきたWさんらにつかまり、通報を受け駆け付けた福岡県博多警察署の警察官に、福岡県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動の罪)の被疑者として現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ 条例の卑わいな言動 ~ 

福岡県迷惑行為防止条例(以下、条例)といえば、

盗撮、痴漢を禁止する条例

とイメージしがちですが、実は、盗撮、痴漢を禁止する条文と同じ条文の中で「卑わいな言動」を禁止する規定を設けています。条例6条1項では

何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。

とし、その1号、2号で、

1号 他人の身体に直接触れ、、又は衣服の上から振れること。
2号 前号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

としています。1号が、いわゆる痴漢に関する規定で、2号が「卑わいな言動」に関する規定です。ここで、「卑わいな言動」とは

社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいう

とされています。Aさんの行為は、世間一般人の目から見れば、男性の陰茎を勃起させることを想起させるもので「社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな動作」ということができ、「卑わいな言動」に当たるでしょう。なお、過去には、

・女性に対して執拗に卑わいな言葉をかけ続ける
・女子学生に卑わいな画像や動画を見せる

などの行為も「卑わいな言動」に当たるとされています。

* 女子中学生は見ていないが?? *

本件で、Aさんは女子中学生の背後から近づいていますので、女子中学生はAさんの行為を認識していないと思われます。しかし、このような場合、つまり直接の被害者が犯人の行動を認識していなくても罪は成立します。条例は、個人というよりかは社会の平穏な生活を保持することを目的(条例1条)としているからです。公共の場所や乗物において、他人から見て嫌悪感を催す行為をすれば、直接の被害者が認識していなくても処罰の対象となり得ますので注意しましょう。

~ 罰則は ~

条例11条2項では

 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

また、「卑わいな言動」を常習として行った場合の条例12条1項では

 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金

としています。

~ 釈放に向けた弁護活動 ~

Aさんは逮捕後は,「警察→検察→裁判所」での手続を踏むことが予定されます。ただし、「警察」、「検察」、「裁判所」の段階で釈放との判断がなされることがあります。仮に、「裁判所」でも釈放と判断されない場合は、勾留されたことになるでしょう。勾留期間は、検察官の勾留請求があってから10日間,その後は「やむを得ない事由」がある場合に限り,最大10日間の勾留延長が認められています。このように,勾留されてしまうと,比較的長期間の身柄拘束を受け,その期間が長引けば長引くほど,日常生活へ与える影響は大きくなります。したがって,早めの早めに釈放に向けた弁護活動を開始することが望まれます。

釈放に向けた弁護活動(起訴前)には,①検察官に送致前,②検察官の勾留請求前,③勾留後の3段階があります。①,②の段階では,警察や検察官,裁判官に対し意見書などを提出するなどして身柄を拘束しないよう働きかけます。また,③の段階では,法律上の不服申し立ての手段を用いたり,不起訴処分を求める意見書を提出するなどして,満期(勾留請求から10日後)前の身柄解放,勾留延長期間の短縮などにも努めます。

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