風俗~本番禁止の理由、罰金の理由~ 

風俗~本番禁止の理由、罰金の理由~ 

福岡市博多区に住むAさんは、中州にある風俗店に入りました。風俗店には、「次の禁止行為が発覚した場合は、ただちに100万円を請求します。(1)本番行為(2)盗撮,(3)薬物使用,(4)暴力行為,(5)スカウト行為。」と書かれた張り紙が、誰でも見える位置に掲示されていました。
Aさんは、好みの風俗嬢Vさんを指名し、風俗嬢が待つ個室へ入りました。Aさんは、Vさんからサービスを受けるうち徐々にいい気持ちになり、本番行為は禁止されていることは知りながら、「誰からも見られていないからいいや。」などと考え、Vさんに現金3万円を渡しVさんと性交しました。後日、Vさんが体調を崩したことをきっかけに、店側に本番行為が発覚し、Aさんは店側から100万円の支払を請求をされています。

~ 風俗店が本番行為を禁止する理由 ~

いわゆるソープやデリヘルのような風俗店では,(1)本番行為(2)盗撮,(3)薬物使用,(4)暴力行為,(5)スカウト行為――などを禁止行為とし,禁止行為をし発覚すれば、「罰金」の支払いを求められることがあるかと思います。では,なぜ,そもそも風俗店は本番行為を禁止しているのでしょうか?それには次に掲げる理由が大きいと思われます。

= 売春防止法で処罰されるおそれがある =

売春防止法では「売春」行為を援助・助長する行為を禁じています。例えば,売春防止法11条では売春の場所を提供する行為を禁止しています。

売春防止法11条
1項 情を知って,売春を行う場所を提供した者は,3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
2項 売春を行う場所を提供することを業とした者は,7年以下の懲役及び30万円以下の罰金に処する。

店側が,風俗嬢の本番行為を容認して店で本番行為をさせていた場合,店あるいはその代表者等が「売春を行う場所を提供した者」あるいは「売春を行う場所を提供することを業とした者」に当たることになって処罰されるおそれがあるのです。

* 「売春」とは * 

売春防止法2条で「売春」とは,対償(現金等)を受け,又は受ける約束で,不特定の相手方と性交をすること,と定義されています。

= 風営法による営業停止を命ぜられるおそれがある =

風営法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)31条1項では,店舗型性風俗特殊営業店の営業停止に関する規定を設けています。
すなわち,

店舗型性風俗特殊営業を営む者又はその代理人が,風営法に規定する罪や風営法4条1項2号ロからへなどに掲げる罪に当たる違法な行為をしたときなどは,公安委員会は,当該店舗型性風俗特殊営業を営む者に対し,8月を超えない範囲で期間を定めて当該店舗型性風俗特殊営業の全部又は一部の停止を命じることができる

とされています。「風営法4条1項2号ロからへ」に含まれる「二」には,先ほどご紹介した

売春防止法11条の罪(場所の提供の罪)

も含まれています。営業停止となれば,店側とすれば大きな経済的損失を被ることになります。

= 風俗店に対する悪評が広まる =

以上は法律上の効果・影響ですが,それだけにとどまりません。店側が何らかの法律に当たる行為をしたとなれば,警察の捜査を受けることになります。お店には警察のガサが入り,代表者はもちろん,風俗嬢らにも捜査の手が及ぶことになるでしょう。そうなれば,ネット等を通じて客からの悪評はいっきに広まり,お店で働こうとする風俗嬢も減っていくでしょう。店としては大きな経済的損失を被ることになります。

~ お店から求められる「罰金」の性質 ~

では、そもそもAさんは「罰金」を支払う必要があるのか、「罰金」の法的性質は何なのか検討していきたいと思います。

風俗店を利用した場合,お客は,通常,お店と風俗利用の「契約」をしていると考えられます。そして,その契約違反があった場合(今回でいえば,お客が禁止事項を破った場合)にお店はお客に対し損害額を請求することができます。そして,お店は予め「~~したら●●円払え」と予告しているのですから,これは賠償額の予定,つまり違約金(民法420条3項)と解されています。

お店側からの「罰金」請求=「違約金」の請求=損害額の予定

そして,「違約金」は損害額についての証明がなくても請求することができると考えられています。
以上から、Aさんはお店に違約金(罰金)を支払わなければなりません。

* 高額な金額は無効 *

しかし、違約金があまりに高額な場合は、公序良俗に反し「無効」(民法90条)とされる場合もあります。また、お金を要求する手段が社会通念上許容される程度を超えている場合は、恐喝罪等で告訴状、被害届を提出することもできます。お困りの際は弁護士に相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの予約受付を承っております。

keyboard_arrow_up

0120631881 無料相談予約はこちら LINE予約はこちら