万引きと在宅実刑

2019-06-09

万引きと在宅実刑

北九州市小倉南区に住むAさんは,シングルマザーとして子ども2人(5歳児、3歳児)と暮らしていましたが、万引き(窃盗罪)の執行猶予期間中に再度万引きをし、小倉簡易裁判所で懲役10月の実刑判決を受けてしまいました。Aさんとしては控訴する意思はなく、刑に服そうと考えています。Aさんは服役中、子どもを自分の親へ預けようと考えていますが、いつから刑務所に入るのか、いつ出所できるのか心配しています。
(フィクション。)

~ はじめに ~

刑事裁判で実刑の判決を受けた場合、その日から刑務所に入らないといけないかといえばそうではありません。判決で言い渡された刑を執行する(刑務所に入れられる)ことができるのは、その判決を言い渡した裁判が

確定した日

からとなります(刑事訴訟法471条)。
そこで、まず、確定とは何なのかご説明いたします。

~ 確定とは ~

確定とは,判決の内容に対しこれ以上不服申し立てをすることができなくなった状態のことをいいます。被告側,検察側が上訴することなく,上訴期間(14日間)が経過して裁判が確定した場合を「自然確定」といいます。なぜ,自然というのかといいますと,自然確定以外の事由,すなわち,当事者(被告人,検察官)の意思で確定することができるからです。つまり,被告人,検察官は上訴期間経過前に上訴権を「放棄」したり,すでにした上訴を「取り下げ」たりすることができます。一方が上訴権を放棄した場合は、他方が上訴権を放棄するか、上訴期間が経過したときに裁判が「確定」します。上訴を取り下げた場合は、その上訴を取り下げた日に裁判が確定します。

「大阪府寝屋川市の中学1年の男女2人を2015年に殺害したとして殺人罪に問われ、1審・大阪地裁で死刑判決を受けた山田浩二被告人が、先日、控訴を取り下げ、死刑が確定した」というニュースは記憶に新しいところです。

* 具体例を使って *

では、具体的にいつ裁判が確定するのかご説明いたします。
わかりやすく、Aさん判決の第一審裁判が「令和元年6月3日(月)」にあったとします。すると、判決の言い渡しの翌日から控訴期間は14日間ですから、「令和元年6月17日(月)」が控訴申立期限ということになります。そして、その「翌日の6月18日(火)」が裁判の確定日です。したがって、Aさんに対しては、6月18日から刑の執行が可能ということになります。

~ 確定後はどういう流れで刑務所に入るの? ~

刑の執行機関は検察官です(刑事訴訟法472条1項)。しかし、実際には、検察官の指揮を受けた検察庁の職員(検察事務官)が刑務所に入れる手続(事務)を行います。在宅事件の場合、身柄を拘束されていませんから、通常、検察庁から「いつ」出頭するよう手紙が届きます。裁判確定日に出頭を要請されることは少なく、

確定日から数日経過した日

を指定されることが多いと思われます。ここで、正当な理由なく出頭しない場合、強制的に身柄を拘束されることもありますから注意が必要です。出頭後は、検察事務官によって刑務所まで連れていかれます。その後は、出所時まで自宅へ戻ることはできません。

~ Aさんはいつ出所できるの? ~

Aさんは、本件で懲役10月の実刑判決を受けています、それに加えて、執行猶予を言い渡された判決も必ず取消されますから、その刑についても併せて服役しなければなりません。その刑が、仮に、懲役8月だったとすると、Aさんの満期出所日は、

令和2年12月18日

ということになります。しかし、これはくまで満期での出所日ですから、服役態度がよく仮出所が認められた場合は、この日より早く出所できます。そこは、実際に服役してみなければ分かりません。

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