痴漢行為と略式手続

2019-05-17

痴漢行為と略式手続

福岡県久山町に住むAさんは,博多駅に向かう電車内で,隣の席に座っていた女性Vさんの太ももや脚などを触りました。そうしたところ,Aさんは,Vさんに手を握られ、「さっき痴漢しましたよね?」「触りましたよね?」などと声をかけられ、博多駅において駆け付けた駅員とともに駅員室へ連れていかれました。そして、駅員室へ駆けつけた福岡県博多警察署の警察官に身柄を引き渡されました。その後、Aさんは勾留され、勾留期間中、弁護人を通じて示談交渉を試みましたが示談を成立させることはできませんでした。そして、Aさんは、検察庁での取調べで検察官から略式裁判に応じるかどうかの確認を求められました。
(フィクションです)

~ 痴漢行為とは ~

福岡県迷惑行為防止条例(以下、条例)6条1項には次の規定が設けられています。

条例6条1項
 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で次に掲げる行為をしてはならない。
 1号 他人の身体に直接触れ、又は衣服の上から振れること。
 2号 前号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。

痴漢行為に関する規定は1号です。ただし、本項で処罰されるには、当該行為が「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法」である必要があります。
「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法」とは、「社会通念上人に著しく性的恥じらいを感知させ、又は不安を覚えさえるであろう程度の方法」とされており、社会通念上客観的に判断されます。

罰則は条例11条2項及び12条1項に設けられています。条例11条2項は通常の痴漢行為に対する罰則で「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金」、12条1項は、常習として痴漢行為を行った際の罰則で「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。

~ 略式裁判とは? ~

略式裁判は,公開の法廷に出頭する必要がなく,裁判官が書面だけで審理を行う裁判のことをいいます。国民には通常の裁判を受ける権利が認められていますから,略式裁判をするには,被疑者の同意が必要です。ここで、略式裁判を受けるメリットとしては,

1 懲役刑を受けるおそれがない(略式命令では100万円以下の罰金又は科料の刑の命令しか出せない)
 →将来,刑務所で服役するおそれがなくなる
2 公開の法廷に出廷する必要がない
 →会社を休む必要がない(通常の日常生活を送れる),裁判を他人の目に晒されることはない(事件を秘密にできる)

などといった点が挙げられます。略式裁判は、通常の裁判手続を省略する裁判です。ですから、痴漢行為を否認する場合は、略式手続に応じてはいけません。通常の裁判で事実を争う必要があります。

* 他にもメリット *

略式裁判を受けるメリットとしては、

略式命令が出た時点で釈放される

という点も挙げられます。つまり、例えば、勾留中の場合、勾留期間9日目で検察官により略式起訴されたとしましょう。その場合、通常、その日に裁判官による略式裁判が行われ(先ほども申しましたように裁判への出廷の必要はない)、略式命令をすることができないこと、略式命令をすることが相当でないこと以外は、その日に略式命令が出されます。略式命令が出されると勾留状の効力が失効するとの規定があります(刑事訴訟法345条)から、その時点で釈放されるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、痴漢事件をはじめとする刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。痴漢事件その他の刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。
福岡県博多警察署までの初回接見費用:34、300円)

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