Archive for the ‘刑事事件’ Category
準強制わいせつで逮捕
準強制わいせつで逮捕
福岡市西区に住む大学生のAさん(21歳)は友人Bさんとともに,SNSで知り合った女子大生2人(Xさん,Yさん)を誘い,福岡市西区の居酒屋で合コンを開きました。その後,AさんとBさんは,二次会のため,Xさん,YさんをAさんの自宅マンションへ誘いました。Aさんらは,Aさんの自宅マンションで再びお酒などを飲み始めたのですが,しばらくするとXさんと,Yさんはお酒に酔って寝てしまいました。そこで,AさんとBさんはこの機会を利用してXさん,Yさんにわいせつなことをしようと考え,Xさん,Yさんの胸や陰部などを触るなどのわいせつ行為に及び,その様子をスマートフォンで動画撮影しました。そして後日,Aさんがその動画をインターネットの動画投稿サイトに投稿したことから,Xさんが被害を知ることとなり,西警察署に被害届を提出しました。そうしたところ,Aさんと,Bさんは準強制わいせつ罪で逮捕されました。
(フィクションです)
~ 準強制わいせつ罪 ~
準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。
刑法178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,わいせつな行為をした者は,第176条の例による。
= 主体 =
わいせつ行為と聞けば男性が女性に対して行う犯罪と思われがちですが,本罪は「わいせつ行為をした者」とだけ規定しており,本罪の主体(加害者)に男女の区別はありません。また,客体(被害者)についても同様です。したがって,男性が男性に対してわいせつ行為に及んだ場合,女性が男性に対してわいせつ行為に及んだ場合,女性が女性に対してわいせつ行為に及んだ場合でも本罪が成立します。
= 心神喪失 =
精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には,熟睡,泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。責任能力における心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります。
* 責任能力における心神喪失とは *
精神病や薬物中毒などによる精神障害のために,自分のしていることが善いことか悪いことかを判断したり,その能力に従って行動する能力のないことを心神喪失といいます。
= 抗拒不能 =
心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。睡眠中,泥酔中,麻酔中,催眠状態など,心神喪失以外の理由でわいせつな行為をされていることを認識していない場合がこれに当たります。また,わいせつな行為をされること自体認識していても,加害者の言動によりこれを拒むことを期待することが著しく困難な状態なども含まれます。
* 抗拒不能に当たるとされた裁判例 *
上の後者に関する裁判例として
女子高生が家庭教師の巧みな言葉に従えば英語が上達できるようになると誤信しているのに乗じてわいせつな行為をした場合には,「抗拒不能」の状態にあった
として準強制わいせつ罪の成立を認めています。(東京高裁平成15年9月29日)。
= ~乗じ,~させ =
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。当該状態を作出した者とわいせつ行為をした者が同一であることは必要ではありません。ただし,この場合,本罪が成立するには,わいせつ行為をした者が,被害者が当該状態にあることを認識しておく必要があるでしょう。「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬,睡眠薬の投与・使用,催眠術の施用,欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。
= 故意 =
本罪は故意犯です。加害者において,「被害者が心神喪失,抗拒不能の状態にあること」,「被害者を心神喪失,抗拒不能の状態にさせたこと」,「わいせつ行為に及んだこと」を認識している必要があります。なお,わいせつ行為か否かは社会通念から判断されます。胸,陰部を触る行為は,社会通念上「わいせつな行為」と判断されますから,いくら「わいせつな行為ではない」と反論しても意味がありません。
~ 準強制わいせつ罪の刑の重さ ~
準強制わいせつ罪の法定刑は「176条の例による」として強制わいせつ罪と同様,
6月以上10年以下の懲役
です。
頭に「準」とついていますから,強制わいせつ罪よりも刑が軽くなるイメージを持たれる方もおられるかもしれませんが,そうではありませんから注意が必要です。罰金刑がありませんから,起訴されれば正式裁判を受けなければなりません。裁判で「有罪」となれば「実刑」判決を受ける可能性ももちろんあります。起訴を回避する,「実刑」判決を回避するには被害者と示談を締結することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,準強制わいせつ罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。

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刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
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暴行罪と微罪処分
暴行罪と微罪処分
福岡県直方市に住むのAさんは会社の送別会の席で,Vさんから陰口を言われたことに憤慨し,Vさんを店の外に呼び出し,いきなり左拳でVさんの左頬を1回殴りました。ちょうどそのとき,二人のことが心配になって後をついてきたAさんとVさんの上司が二人の間に入り,事はいったん収まりました。ところが,Vさんが福岡県直方警察署に電話し,被害届を提出したいなどと言ったため,Aさんは警察官から事情を聴かれることになりました。その数日後,事件のことを振り返り反省したAさんは,Vさんと示談したいと考えています。Aさん微罪処分獲得を目指し,示談交渉を弁護士に依頼しました。
(フィクションです)
~ 傷害未遂罪って存在するの? ~
人の物を盗もうとして盗めなかったら窃盗未遂罪,人を殺すつもりでナイフで刺そうとしたところ失敗して人を殺すことができなかった場合は殺人未遂罪となります。では,人に怪我させるつもりで人に暴行を加えたところ怪我させることができなかった場合はどうでしょうか?
この点,未遂罪を処罰するには,その罪について「未遂罪を処罰する」旨の規定を設けられていなければならないところ(刑法44条),傷害罪には「未遂罪を処罰する」旨の規定が設けられていません。したがって,傷害未遂罪という罪は存在しません。では,Aさんは無罪放免かというとそうではありません。
実は,暴行罪を規定する刑法208条に,傷害未遂罪的な文言が取り込まれています。
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかった」という文言が,まさに傷害未遂罪的な文言です。つまり,人に怪我させるつもりで人に暴行を加えたところ怪我させることができなかった場合は刑法208条により「暴行罪」に問われることになります。
~ 微罪処分 ~
微罪処分とは,警察が事件を検察庁を送致せず,被疑者への厳重注意,訓戒等で終了させる手続きのことをいいます。微罪処分と聞けば,万引きなどの窃盗罪
を最初に思い浮かべる方も多いかもしれませんが,実は,暴行罪も対象事件に含まれていることが多いです。どんな罪を,どんな要件に従って微罪処分とするかは各都道府県の検察庁の検事正という方が決め,それを各警察本部を通じて警察官に指示しています。暴行罪については,概ね,
・示談が成立していること
・被害者が処罰を望んでいないこと
・犯行態様が軽微であること(武器を使用していないことなど)
・粗暴歴(前科,前歴)がないこと
が要件として考えられます。
最終的には,警察官が,検察官から指示さた要件を満たしているかどうかを確認し微罪処分を下します。「処分」と言われていますが,何らかの刑罰がくだるというわけではありません。警察署に呼び出され,警察官から注意,訓戒を受け,二度と再犯をしない旨の誓約書を書いて終わり,というケースが多いです。事件は検察庁へ送致されませんから,検察庁から呼び出しを受けたり,刑事処分(起訴,不起訴)を受けたり,裁判を受ける必要がなくなります。裁判を受ける必要がないということは,刑罰を科されることはありまえせんし,前科が付くこともありません。
~ 微罪処分を受けるには? ~
上記要件のところでご紹介したように,微罪処分を受けるには,
被害者と示談を成立させること
が重要だということがお分かりいただけるかと思います。ただし,暴行事件の場合,当事者同士で示談交渉をすることは,感情の縺れなどから決裂する可能性が高いですから避けた方が無難です。これはたとえ顔見知り,同僚等関係が近い場合であっても同様です。最初は,「知っている人だからこのくらいで示談してくれるだろう」と軽い気持ちで交渉したつもりが,その過程で思わぬ方向へと話が縺れ,結局示談を締結できなかったということがあります。また,微罪処分の獲得を目指すには,警察官が事件を検察庁へ送致する前に示談を締結させ,その結果を警察へ報告しなければなりません。つまり,警察の捜査状況も確認しながら示談交渉を進めていく必要があるのです。
このように,対被害者の面でも,対警察の面でも,ご自身一人で示談交渉を進めていくことには限界がありますから,示談交渉は法律の専門家である弁護士に任せた方が安心,安全です。
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強盗と中止未遂
強盗と中止未遂
福岡市城南区に住む無職のAさん(26歳)は,小遣い銭欲しさに,深夜,一人で自宅に帰宅途中のBさんにナイフを突きつけて脅迫し現金を強取しようしましたが,風で木立が揺れた音を他人の通行人が来た音と誤認し,事件の発覚を恐れて何も奪わずに逃走しました。ところが,後日,Bさんの被害状況などに関する供述や現場周辺の防犯ビデオカメラの解析結果などからAさんの犯行であることが判明し,Aさんは,福岡県早良警察署に強盗未遂罪で逮捕されました。Aさんの家族は,刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 強盗既遂罪が成立するまで ~
強盗罪は刑法236条に規定されています。その1項をご紹介すると次の規定となっています。
刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。
これからすると強盗罪が成立するには,通常,
①強盗をするぞという意図・動機(故意・犯意)→②実行の着手(強盗罪の暴行・脅迫)→(③相手方の反抗抑圧)→④他人の財物の取得(強取)
という経過をたどることになります。
~ 未遂犯とは ~
未遂犯とは,特定の犯罪の②実行に着手したものの,何らかの事情によって結果が発生しなかった場合をいいます。本件における②実行の着手とは,AさんがBさんにナイフを突きつけるという脅迫行為です。強盗罪における「結果」とは,④他人の財物を取得することです。しかしながら,AさんはBさんの財物を取得していません。つまり,④まで至っていないことからAさんは強盗未遂罪で逮捕されているのです。未遂罪について規定する刑法43条前段には次のように書かれています。
刑法43条前段
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は,その刑を減軽することができる。
未遂犯として処罰されるためには,罪ごとに未遂犯の規定を設けていなければなりません。強盗罪については243条に未遂犯を罰する旨の規定が設けられています。
~ 中止未遂とは ~
ところで,刑法43条には,先ほどの規定に続いて,次の規定が設けられています。
刑法43条前段
(略),その刑を軽減することができる。ただし,自己の意思により犯罪を中止したときは,その刑を減軽し,又は免除することができる。
このように,犯罪の実行に着手したものの,「自己の意思により犯罪を中止した」ため,結果が発生しなかった(犯罪が既遂とならなかった)場合を中止未遂といいます。これに対して,犯罪の実行に着手したものの,「自己の意思により犯罪を中止した」場合以外で,結果が発生しなかった(犯罪が既遂とならなかった)場合を障害未遂といいます。
中止未遂が成立するためには,
①犯罪の実行に着手した者が
②自己の意思により
③犯罪を中止し
④結果発生が防止されること
が必要です。Aさんは強盗罪の脅迫行為を行っていますから①の要件は満たします。では,②についてはどうでしょうか?これについての考え方はいろいろありますが,最高裁は,客観説の立場を採っていると理解されています。客観説とは,未遂に終わった原因が,一般人を基準とした場合,通常障害と考えられるものは否かを基準とする見解です。障害と考えらえる場合は障害未遂となり,障害と考えられない場合は中止未遂となります。
この基準を本件に当てはめると,Aさんは木立が揺れた音を通行人が来た音と誤認しているようですが,通常,通行人が来て犯行が発覚するという事情は,犯行を継続する上で障害となるものと考えられます。よって,Aさんには中止未遂は成立せず,障害未遂が成立するにとどまります。
* 障害未遂と中止未遂 *
障害未遂と中止未遂は上記の違いがありますが,その他に,障害未遂は刑が任意的に減軽されるのに対し,中止未遂は必要的に(必ず)減軽されます。障害未遂の場合,刑を減軽するかづおかは裁判官しだいとなります。
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スピード違反で逮捕
スピード違反で逮捕
会社員のAさんは,福岡県朝倉郡筑前町の一般市道で,指定速度(40キロメートル)を60キロメートル超える時速100キロメートルで普通乗用自動車を運転していました。そうしたところ,Aさんは,一般市道でスピード違反の取り締まりを実施していた朝倉警察署の警察官に検挙され,道路交通法違反(速度違反の罪)で逮捕されてしまいました。逮捕の連絡を受けたAさんの家族は驚き,まずは,刑事事件に強い弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 道路交通法違反(速度違反の罪)~
速度違反の罪といっても2種類あります。一つは指定最高速度違反の罪,もう一つは法定最高速度違反の罪です。Aさんは前者の罪で検挙されたようです。
= 指定最高速度違反が成立する場合 =
指定最高速度違反の故意犯が成立するには,
①当該日時に,公安委員会によって適式な道路標識等による最高速度の指定がなされていること
②指定最高速度を超えて走行したこと
に加えて,運転者が上記①,②を認識していることが必要です。故意による速度違反の罪の罰則は「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」です(道路交通法118条1項1号)。
* 過失による速度違反の罪 *
仮に,運転者に①,②につき認識がないと認められる場合は,過失による速度違反の罪に問われることになります。罰則は「3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金」です(道路交通法118条2項)。
* 速度違反の罪を錯誤 *
本件道路のように,法定最高速度(60キロメートル)を下回る最高速度指定(40キロメートル)がなされている道路において,Aさんが最高速度の道路標識を看過して(つまり,上記①の認識がなく),法定最高速度(60キロメートル)を超える速度(100キロメートル)で運転した場合の罪責はどうなるのでしょうか?
この点については,次の3つの考え方があります。
ア 法定最高速度違反の故意犯が成立
イ 指定最高速度違反の過失犯が成立
ウ 指定最高速度違反の故意犯が成立
裁判例の多くはウ説を採っています。
= 法定最高速度違反が成立する場合 =
法定最高速度違反が成立するのは,
・当該区域,区間等において公安委員会による速度指定がなされていないこと
・当該車両について定められている法定最高速度を超えて進行したこと
が必要です。なお,法定最高速度を知らなかったといっても,それは理由とはならず,速度違反の故意を阻却する(故意がなかった)ものではありません。法定最高速度違反の場合の罰則も指定最高速度違反の罰則と同じです。
~ 検挙されたその後 ~
速度違反の場合,一般道なら30キロ未満,高速道なら40キロ未満の速度超過であれば,交通反則通告制度(青切符)によって処理されます。それ以上を超過すると,通常の刑事手続(赤切符)で処理されます。
Aさんは,後者の手続で処理されたようです。あまりにも悪質,逃亡のおそれがある場合などはその場で逮捕されることもあります。また,すでにご紹介したように,速度違反の罪についても懲役刑が規定されていますから,起訴されれば正式裁判を受けなければならない場合もあります。初犯であれば執行猶予が付く可能性が高いと思われますが,執行猶予期間中である場合,常習性が認められ悪質な場合などは実刑となる可能性もないわけではありません。
* 交通反則通告制度 *
この制度は,数ある交通違反の中でも比較的軽微な交通違反を「反則行為」とし,ある一定の場合を除いて,「反則行為」をした者を「反則者」として(道路交通法125条1項,2項),反則者に反則金(罰金ではない)を科す制度です。あくまで刑罰に先行する行政上の措置です。ですから,反則金を納付すれば,交通違反(反則行為)の件が検察庁へ送致されることはなく,検察官の起訴(公訴提起)を受け,刑事裁判にかけられることもありません。また,反則金を納付したからといって前科は付きません。
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詐欺罪の受け子と接見等禁止
詐欺罪の受け子と接見等禁止
大学生のAさん(20歳)は親と喧嘩をしたことで家出をし,全国各地のネットカフェで寝泊まりしながら生活していました。そして,その間の生活費等は,特殊詐欺組織の受け子役で得た報酬等で賄っていました。
そして,ある日,Aさんが所属する特殊詐欺組織が組織が福岡県中間市に住むお年寄りVさんに対しオレオレ詐欺を実行しました。Aさんは指示されたとおり,Vさん方へ行き,Vさんからお金を受け取ろうとしたところ,現場に張り込んでいた福岡県折尾警察署の警察官に詐欺未遂罪の現行犯人として逮捕されました。その後,Aさんは勾留され,接見等禁止決定が出ました。勾留の通知を受けたAさんのご両親はAさんと面会しようとしましたが,接見等禁止が付いていたので面会することができませんでした。そこで,Aさんのご両親は,接見等禁止の解除を弁護士に依頼しました。
(フィクションです)
~ オレオレ詐欺(特殊詐欺) ~
オレオレ詐欺とは,特殊詐欺の犯行態様の一つです。特殊詐欺には,オレオレ詐欺のほか,架空請求詐欺,還付金等詐欺などがあります。特殊詐欺は捜査機関の摘発を免れるため,複数の者が役割を分担して組織的に行われています。オレオレ詐欺の場合,Vさんのような被害者に電話をかける役割のことを「かけ子」,Aさんのように実際に被害者から現金等を受け取る役割のことを「受け子」と呼ばれています。
~ 特殊詐欺と詐欺罪 ~
特殊詐欺は,申すまでもなく刑法246条1項の詐欺罪に当たります。
刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
オレオレ詐欺の場合,「欺く」行為をする役割を担うのは,Aさんのような「受け子」ではなく「かけ子」です。しかし,詐欺罪の成立には「欺く」行為の他に財物を「受け取る」行為(その裏の意味として「交付させる」行為)が必要です。Aさんは,この「受け取る」行為を担ったとして詐欺未遂罪に問われています。このように,犯罪の一部の行為しか担っていない場合でも,その罪の全部の責任を問われることを「一部実行全部責任」と呼ばれています。
* 「受け子」の刑の重さは? *
「受け子」は主犯格から指示を受けているなど従属的な立場に立たされている場合が多いと思われます。また,主犯格に比べ報酬は低いでしょう。したがって,主犯格よりかは刑は軽くなると思われます。ただし,事案にもよりますが,必ず執行猶予が約束されているわけではありません。組織との関係が深い場合,常習性が認められる場合などは実刑となることも十分予想されます。
~ 被疑者段階における接見等禁止 ~
被疑者段階における接見等禁止とは,原則として検察官の請求を受けた裁判官が,被疑者が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に,勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見等を禁じることをいいます。裁判官が「公訴の提起があるときまで」と接見等禁止の期間を決めて禁じることが通常のようです。このような裁判官の決定が出てしまうと,ご家族の方は被疑者と面会することができません。
* 一刻でも早く面会したい場合は? *
弁護人であれば,接見等禁止が出されても自由に面会することができます。したがって,間接的にはなりますが,まずは弁護人に被疑者の方との面会を依頼することが考えられます。
直接の面会をご希望の場合は,接見等禁止を解除するしかありません。接見等禁止を解除するには,その判断が間違っていたとして不服申し立てをするか,検察官あるいは裁判官に意見書などを提出するなどして接見等禁止を解除してもらうよう促すしかありません。その場合でも,手続は弁護人に依頼しましょう。
* 起訴後の接見等禁止もあり得る *
先ほど,通常,接見等禁止の期間は検察官の「公訴の提起があるまで」つまり,起訴されるまでという話をしましたが,起訴後でも接見等禁止が出される可能性はあります。特に,特殊詐欺などの組織性の高い犯罪,余罪が多数認められる犯罪などは注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,詐欺罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。ご家族の方が詐欺事件などで逮捕され,面会できない等お悩みの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。

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弊所の初回接見
弊所の初回接見
ある日突然,福岡市西区に住む主婦Aさんのもとに,福岡県西警察署の警察官から「旦那さんを痴漢で逮捕しました。」と電話がかかってきました。Aさんは,これからどうしていいか分からず,痴漢事件・刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 初回接見とは ~
弊所の初回接見とは,正式なご契約の前に,弊所の弁護士が警察署などの留置施設に出張して,身柄拘束を受けた方と接見をさせていただくサービスのことをいいます。事例では,逮捕直後にご依頼を受けておりますが,初回接見のタイミングとしては何も「逮捕直後」に限らず,
・捜査中
・公判中
・裁判中
・判決後
のどの段階であっても可能です。刑事訴訟法39条1項は「弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者」の接見を認める規定であり,初回接見では未だ正式な契約を結んでいない段階ですから,「弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者」との接見ということになります。
* 弁護人を選任することができる者 *
まず,「被告人」又は「被疑者」は何時でも弁護人を選任することができます(刑事訴訟法30条1項)。また,被告人又は被疑者の「法定代理人」,「保佐人」,「配偶者」,「直系の親族及び兄弟姉妹」は独立して弁護人を選任することができます(刑事訴訟法30条2項)。「独立して」とは,被告人,被疑者の意思に反してでも選任することができるという意味ですが,被告人・被疑者は,その選任された弁護人をいつでも解任することができると解されています。
~ 初回接見のメリット ~
初回接見(あるいは弁護人接見)を受けたことによるメリットとはどんな点が挙げられるのでしょうか?
= 逮捕期間中から接見可能 =
逮捕期間中とは「逮捕されてから検察官の元に送致されるまでの間」のことを指します。この間,時間で換算すると概ね72時間(=3日間)ありますが,弁護人であれば接見可能です。他方,ご家族など弁護人以外の方との接見は,通常認められません。
= 接見の曜日,時間に制限がない =
弁護人との接見であれば,土日・祝日関係ありませんし,早朝,深夜を問わず接見できます。また,一回の接見時間の制限もありません。他方,弁護人以外の方との接見は,通常,平日の決まった時間に限られており,一日につき,一回の接見時間は15分から20分と決められています。
= 立会人が付かない =
弁護人接見であれば立会人が付きません(刑事訴訟法39条1項)。ですから,弁護人と気兼ねなくなんでも話せます。他方,弁護人以外の方との接見では立会人が付きます。そうすると,「こんなこと話していいのだろうか」などと迷いが生じてしまい,なかなか話したくても話しづらい状況となります。
= 接見禁止決定が出ても接見ができる =
弁護人であれば接見禁止決定が出ても接見することができます。他方,弁護人以外の方との接見については,接見禁止が出ると解除されるまでは接見することができません。接見禁止決定は起訴後も出ることがあり,その場合でも同様です。
= 事件の内容(逮捕・勾留事実)を詳しく知ることができる =
接見では,弁護人が身柄拘束された方から,事件の概要をお聴きします。そして,接見後に,依頼者様に事件の概要をご報告させていただきます。
= 事件の見通し,対応(弁護方針,弁護活動)を知ることができる =
弁護人は,身柄拘束された方からお聴きした話の内容を基に,今後の弁護方針,弁護活動を決めます。例えば,罪を認める場合は,早期釈放,被害者様との示談交渉などに向けた弁護活動を始めることが肝要です。これらについても,依頼者様にご報告させていただきます。
= ご家族等からのご伝言をお伝えすることができる =
弁護人が接見に行く前に,ご家族様からご伝言を預かることが可能です。また,接見後のご報告では,身柄を拘束された方からお預かりしたご伝言をお伝えさせていただくことも可能です。
~ 初回接見後について ~
接見後は,依頼者様に接見のご報告をさせていただきます。遠方にお住まいの方であれば電話によるご報告も可能です。その後,ご希望であれば正式な契約を結ばさせていただきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,痴漢をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までご連絡いただければと思います。専門のスタッフが初回接見のためのご案内をさせていただきます。

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玄関ドアに落書きで建造物損壊罪
玄関ドアに落書きで建造物損壊罪
福岡県糸島市に住むAさんは,飲み会の帰り,酒に酔った勢いで,同市内に住むVさん方の玄関ドアに,持っていたラッカースプレーを用いて,赤色及び黒色のペンキを吹き付けて,「××××」,「△△△△」などと大書きしました。Vさんによると,玄関ドアの取り換え費用に約15万円かかったとのことです。Aさんは,後日,福岡県糸島警察署から建造物損壊罪で呼び出しを受けました。今後のことが不安になったAさんは,弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 建造物損壊罪 ~
建造物損壊罪は刑法260条に規定されています。
刑法260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は,5年以下の懲役に処する。
以下,ご説明いたします。
= 他人の建造物 =
「他人の」とは,他人所有のという意味です。「建造物」とは,屋蓋を有し,障壁又は柱材で支持されて土地に定着し,その内部に人が出入りできる構造を持つ家屋その他これに類する工作物をいうとされています。
* 「建造物」と「器物」の区別 *
「建造物」と器物損壊罪(刑法261条)の器物(規定上は「他人の物」)との区別は,分離に毀損を要するかによって決定されるとするのが通説・判例です。壁板などは,これを毀棄しなければ取り外すことはできないことから「建造物」です。他方,容易に取り外すことができる雨戸,畳,建具などは「建造物」ではなく,器物損壊罪の「他人の物」となります。
では,本件の玄関ドアはどうでしょうか?
確かに,玄関ドアは取り外しが可能ですから「建造物」ではなく器物損壊罪の「他人の物」に当たるような気がします。しかし,判例(平成19年3月20日
)は,玄関ドアの外界との遮断,防犯,防風,防音という玄関ドアの機能に鑑みて,玄関ドアを「建造物」であると判示しています。このように,近年では,「建造物」と「器物」との区別につき,単に分離に毀損を要するか,取り外しが可能か,といった点のみならず,その物の機能的側面も考慮して建造物と一体化しているかどうかという点も基準として加えるようになってきています。
= 損壊 =
「損壊」とは,建造物・艦船の実質を毀損すること,又はその他の方法で,それらの使用価値を滅却し,あるいは減損することをいいます。物理的に形態を変更又は滅却させる場合だけでなく,事実上その本来の用法・効用に従い使用することができない状態に至らせる場合も含まれます。最高裁は,落書き(平成18年1月18日),ビラ張り行為(昭和41年6月10日)も「損壊」に当たると判示しています。
~ 器物損壊罪との違い ~
上記で見たように,まず,「建造物」と「その他の物」の意味内容に違いがあります。その他,次の違いに注意が必要です。
= 罰則 =
器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」であるのに対し,建造物損壊罪は「5年以下の懲役」と罰金刑以下の刑の記載がありません。つまり,起訴されてしまえば正式裁判を受けなければなりませんし,逮捕・勾留されれば身柄拘束期間が長引くことも予想されます(他方,略式裁判によって罰金刑の命令を受けた場合,命令の告知と同時に釈放される)。
= 親告罪,非親告罪 =
器物損壊罪は,起訴するにあたり,告訴を必要とする親告罪です。他方,建造物損壊罪は非親告罪です。つまり,建造物損壊罪の場合,被害届や告発状によっても捜査を受けたり,起訴されたりする可能性があります。
~ いたずらでも罪に! ~
街中を歩いていると,壁などにスプレーで落書きされてあるのを見かけます。また,テレビやネットでは,学校の壁や重要な文化財などに落書きして逮捕されたというニュースを見たり聞いたりします。ちょっとしたいらずか感覚が重大事件に発展しかねませんから十分注意する必要がります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,建造物損壊罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは,0120-631-881までお気軽にお電話ください。

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麻薬特例法とコントロールド・デリバリー
麻薬特例法とコントロールド・デリバリー
Aさんが常習的に覚せい剤の取引に関与しているとの情報を得た福岡県博多臨港警察署の警察官は,港で押収され,箱の中に隠匿されていた覚せい剤(100キログラム)を抜き取って同量の砂袋と取り換え,これを宅急便でAさん宅まで運ぶ手続きをしました。そして,Aさんがこの箱を受領したところをを,麻薬特例法違反(規制薬物としての薬物等の所持)で現行犯逮捕しました。
(フィクションです)
~ 麻薬特例法とは ~
麻薬特例法は,正式名称「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(以下,法律)といいます。
薬物犯罪による薬物犯罪収益等のはく奪,規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図ることなどを目的としており(法律1条),平成4年7月1日から施行されています。
= 「規制薬物」「薬物犯罪」とは? =
「規制薬物」とは,麻薬,向精神薬,大麻,あへん,けしがら,覚せい剤をいいます(法律2条1項)。
また,「薬物犯罪」とは,覚せい剤に限っていえば,覚せい剤の輸出入,製造の罪(営利目的を含む),又はこれらの未遂罪,所持,譲渡し及び譲受けの罪(営利目的を含む),又はこれらの未遂罪,譲渡しと譲受け(営利目的を含む)の周旋の罪をいいます(法律2条2項5号)。
= どんな行為が処罰されるの? =
法律は以下の行為を処罰の対象としています。
1 業として行う不法輸入等(法律5条)
→ビジネスとして行われる薬物等の不正取引行為を加重処罰するとともに,そのビジネスとして行われた期間内に犯人が得た一定の財産についてこれを薬物犯罪収益(法律2条3項)と推定する規定(法律14条)を設けるなどして薬物犯罪収益等のはく奪を徹底することを狙いとして設けられた規定です。
2 薬物犯罪収益等隠匿(法律6条)
→いわゆるマネー・ロンダリング行為を処罰するために設けられた規定です。マネー・ロンダリングは「資金洗浄」とも言われています。同条では,薬物犯罪によって得た利益を口座を転々とすることなどによって,あたかも合法な活動によって得られたクリーンな財産であるかのような外観を有する財産に変えて,薬物犯罪との関連を隠し,あるいはこれらの財産を隠匿する行為を処罰しています。
3 薬物犯罪収益等収受(法律7条)
→薬物犯罪から生じた不法な収益を収受する行為を処罰するために設けられた規定です。薬物犯罪収益等を収受する行為は,薬物犯人の不法な利益の保持,イ運用を助ける効果をもたらし,そのような行為の存在が薬物犯罪を助長することにもなり,また,薬物犯罪収益等を収受する行為は薬物犯罪収益等隠匿罪い結び付きやすい行為でもあることから処罰されることとされています。
4 規制薬物としての物品の輸入等(法律8条)
→薬物犯罪を犯す意思で,規制薬物として薬物その他の物品を輸入する等の行為を薬物濫用を助長する危険性のある行為だとして処罰する規定です。また,本条は,麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約で規定する「コントロールド・デリバリー」を実施するための規定ともいわれています。
5 あおり又は唆し(法律9条)
→これも薬物犯罪を助長する行為として処罰するため設けられた規定です。
* コントロールド・デリバリー *
コントロールド・デリバリーとは,捜査機関が覚せい剤などの禁制品であることを知りつつその場では押収せず,監視下の下に禁制品を流通させ,不正取引の関係者を特定する捜査手法をいいます。その中でも,禁制品を無害の物品に入れ替えて流通させる方法をクリーン・コントロールド・デリバリーといいます。
コントロールド・デリバリーは任意捜査(刑事訴訟法197条1項)として許容されています。
~ 法律8条2項について ~
Aさんの行為は,上記4の「規制薬物としての物品の輸入等」に当たりそうです。また,法律8条1項は輸出入,2項は譲り渡し,譲り受けなどを処罰するための規定ですから,今回は法律8条2項を確認しましょう。
法律8条2項
薬物犯罪(規制薬物の譲渡,譲受け,又は所持に係るものに限る。)を犯す意思をもって,薬物その他の物品を規制薬物として譲り渡し,又は譲り受け,又は規制薬物として交付を受け,若しくは取得した薬物その他の物品を所持した者は,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
* 薬物を受け取っていなくても処罰される!? *
仮に,本件のように,クリーン・コントロールド・デリバリーが実施された場合,その受け取った中身は薬物ではありません。しかし,先ほど,法律8条はコントロールド・デリバリー(あるいはクリーン・コントロールド・デリバリー)を実施するための規定でもあるとご説明いたしました。そのため,法律8条2項では「薬物その他の物品」と規定して,薬物でない物を受け取った場合でも処罰としているのです。
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職務質問と公務執行妨害罪
職務質問と公務執行妨害罪
福岡市博多区の路上を歩いていたAさんは,福岡県博多警察署の警察官から職務質問を受けました。
Aさんはその際,警察官から所持品検査を求められました。Aさんは,上衣の右ポケット内に大麻を隠匿していたことから,前方に立っていた警察官に体当たりしてその場から逃げ出しました。しかし,Aさんは追いかけてきた警察官数名に捕獲され,公務執行妨害罪の現行犯で逮捕されました。その後,Aさんは,大麻取締法違反(所持罪)でも逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~ 職務質問 ~
警察官職務質問執行法(以下,警職法)2条1項では
警察官は,異常な挙動その他の周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し,若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について,若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる
と規定されています。この規定に基づいて行う質問を職務質問といいます。
= 職務質問は拒否できる!? =
職務質問は任意で行われることが原則です。したがって,職務質問を拒否することはできます。しかし,警察官は拒否されたからといって「あっそうですか」などとあっさり拒否を認めてくれるわけではありません。なぜなら,警察官は,
拒否するからには,何か疑わしい事情・理由があるからだろう
と疑ってかかるからです。こう疑われたからには,警察官の質問から容易に逃げ出すことはできません。しかも,判例は,
職務質問の必要性,緊急性なども考慮した上,具体的状況の下で相当と認められる限度内での有形力の行使
を認めています。判例で許容された有形力の行使として
・職務質問中突然逃げ出した者を130メートル追跡し,背後から腕に手をかけて停止させた行為
・酒気帯び運転の疑いのある者が運転する車両のエンジンキーを回転してスイッチを切った行為
などがあります。これからすると,
・警察官が一定時間,職務質問対象者の前に立ちふさがる行為
・現場から離れる対象者について行くなどの行為
などは判例の許容する有形力の行使の範囲内であり適法と考えられます。これらの行為が許容されるならば,警察官の職務質問から容易に抜け出すことは簡単ではないでしょう。つまり,職務質問は,建前としては「拒否できる」とはいっても,実際上は「拒否できない」のが実情です。
= 違法な職務質問 =
しかし,違法な職務質問についてはきちんと異議を唱えていくべきです。例えば,あまり考えられませんが,
・手錠をかけて警察署に連行する行為
・数人で引っ張って警察署に連行する行為
・対象者の住居,敷地内に無断で立ち入る行為
はもはや職務質問の許容限度を超え,裁判官の令状を必要とするほどの行為ですから職務質問の行為としては違法と考えられます。
~ 職務質問と公務執行妨害罪 ~
職務質問の際,警察官に暴行などを加えて公務執行妨害罪で逮捕されるケースをよく見かけます。公務執行妨害罪は,公務員(警察官など)が職務の執行中,公務員に対して暴行又は脅迫を加えた場合に成立する犯罪です。法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり,これに対して暴行又は脅迫を加えた者は,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
ただし,公務員の職務は適法であることが条件とされています。違法な公務については保護する必要がないからです。職務質問の場面でも,仮に,警察官に違法行為が認められる場合には,たとえ警察官に暴行・脅迫を加えていたとしても公務執行妨害罪は成立しません。
職務質問時の警察官の対応に不満がある,納得いかないという方は,一度,弊所の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,職務質問の対応など刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

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美人局?と恐喝・詐欺罪
美人局?と恐喝・詐欺罪
福岡県久留米市の風俗店で働く風俗嬢のAさんは,お金に困っていました。ある日,Aさんが,お金に困っていることを店長(Aとは婚姻関係にはない)に相談したところ,店長から「俺に暴力団組員の知り合いがいる」「お前は客と本番しろ」「本番した後に,俺が客から金を巻き上げるから」などと言われました。そして,Aさんが,風俗店を利用したVさんの接客中,店長から言われたとおりにしたところ,店長がいきなり部屋に入ってきて,Vさんに「お前,おれの妻(A)と本番したやろ!」「罰金として50万払え」「俺は〇〇組の組員だからな」「はらわんとどうなるかわかっとるやろうな」などと言い,Vさんから5万円を受けとり,そのうち1万円をAさんに渡しました。そうしたところ,Aさんと店長は,福岡県中央警察署に恐喝罪で逮捕されました。
(フィクションです。)
~ 美人局とは ~
美人局とは,夫婦が共謀し,妻が「かも」になる男性を誘って性交等をし,行為の最中または終わった瞬間に夫が現れて,妻と性交等をしたことに因縁をつけ,法外な金銭を脅し取る行為のことをいうとされています。
しかし,実際には,婚姻関係にないにもかかわらず,それがあるかのように装ったり,交際中の女性を利用するなどして美人局に似た手口で金銭を脅し取ったり,騙し取ったりする行為も美人局と呼ばれていることがあります。
~ 美人局と刑事責任 ~
それでは,美人局ではどんな刑事責任に問われうるのかご紹介したいと思います。
= 恐喝罪 =
恐喝罪は刑法249条に規定されています。
刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。
「恐喝」とは,財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが,恐喝罪の場合,一般的に「脅迫」行為が行われることが多いと思われます。「脅迫」とは,人を畏怖させる足りる害悪の告知をいいます。具体的には,相手方(Vさん)またはこれと密接な連帯感情にある者の生命,身体,自由,財産に対する危害を加える旨を言うことをいいます。Aさんが,Vさんに,
「俺は〇〇組の組員だからな」「はらわんとどうなるかわかっとるやろうな」
という行為は,それを受け取った側からすれば,
「殺されるかもしれない」「家を焼かれるかもしれない」
という思いを想起させるものであり,「人を畏怖させる足りる害悪の告知(脅迫)」ということができるでしょう。
= 詐欺罪 =
AさんがVさんに何を言ったによって,詐欺罪に問われることもあります。
詐欺罪は刑法246条に規定されています。
刑法246条
1項 人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。
例えば,店長が,Aさんが性病にかかっていないにもかかわらず,Vさんに,
「うちの妻(Aさん)が性病にかかった」「慰謝料として○○万円払え」
などと言った場合は詐欺罪(又は詐欺未遂罪)に問われる可能性があります。
~ 美人局と共犯 ~
本件で,恐喝行為(脅迫行為)を行っているのはAさんではなく店長です。しかし,Aさんも店長と同じように恐喝罪で逮捕されています。このように犯罪にかかる行為を行っていなくても全部の責任を問われることを
共謀共同正犯あるいは一部行為の全部責任の原則
と呼ばれます。この犯罪に問われるためには,共犯者間(Aさんと店長との間)での「意思の連絡(共謀)=話し合い,打合せ」があることが必要です。本件では,Aさんと店長との間で,話し合い,打合せが行われていたことが認められ,Aさんも逮捕されるに至ったのだと考えられます。
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