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小倉北区で飲酒運転発覚をおそれ被害者に現金授与②
小倉北区で飲酒運転発覚をおそれ被害者に現金授与②
福岡県小倉北区に住む会社役員の男性は、仕事の関係者が集う立食パーティーに参加し、そこで多量のお酒を飲んだ後、飲酒運転して(のちの捜査で呼気からアルコール濃度0.5mg/lが検出)帰宅しました。その途中、Aさんは信号待ちのVさんが運転する前車に気づかず追突してしまいました(のちに、Vさんは加療約2週間の怪我を負ったことが判明)。Aさんは「大変なことをしてしまった」と思い、車から降りて運転席に乗車したままのVさんの元へ歩いていきました。Aさんは、ドアガラスを開けたVさんに「大丈夫ですか」と声をかけると、Vさんから「何とか」「きちんと賠償してくれるんでしょうよね」と言われました。Aさんは、「怪我だけは大したことなかった」と思い、Vさんに連絡先の電話番号を書いたメモ紙とお見舞金としての5万円を手渡しました。しかし、Aさんは、「ここで現場に留まり、警察を呼ぶと飲酒運転したことがばれる」と思い、Vさんに別れを告げてその場から離れ帰宅しました。後日、Aさんは、福岡県小倉北警察署に、過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱罪、道路交通法違反(救護義務違反、報告義務違反)で逮捕されてしまいました。
(令和5月16日に掲載された西日本新聞記事を基に作成したフィクションです。)
~ はじめに ~
前回の「小倉北区で飲酒運転発覚をおそれ被害者に現金授与①」では、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪の趣旨や規定の概要、成立要件について解説いたしました。そして、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪の成立要件として、
① アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者であること
② 運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させたこと
③ アルコール又は薬物の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたこと
が必要ということを解説したと思います。そこで、その成立要件について細かく解説したいと思います。
~ 要件①について ~
「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」とは、危険運転致傷罪における「正常な運転が困難な状態」と異なります。すなわち、正常な運転が困難な状態には至っていないが、アルコール等の影響で自動車を運転するのに必要な注意力・判断能力や操作能力が相当程度低下して危険な状態のことをいいます。
具体的には、道路交通法上の
酒気帯び運転程度のアルコール(血中アルコール濃度0.3mg/ml以上、呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上)
が体内にあれば「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」に当たると思います。
* 主観的には「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」である認識が必要 *
ご本人に(アルコールの影響で)「身体が火照っている」「血の巡りが早い」「ボーっとしている」などの自覚症状がある場合、仮になくても、飲酒から検挙までの時間、千鳥足、脚元がふらついている、顔が赤い、目が充血している、言葉の羅列が回らないなどの客観的状況から認識有りとされます。
~ 要件②について ~
「運転上必要な注意義務を怠り」とは、過失、を意味します。自動車を運転する上では守るべきルールがありますが、そのルールを守るべきとされ、当時の状況から守ることができ、事故を回避することができたのに、守らなかっため事故を回避することができなかった場合に「過失」があるとされます。本件では、Aさんが前をよく見て運転することが当然のルールで、前をよく見て運転することは容易にでき、しかも被害者であるVさんは信号待ちのため停まっていただけですから、事故(追突)は容易に回避できたといえます。
「よって人を死傷させたこと」とは、人の死、傷害(怪我など)という結果を発生させ、かつ、その結果と上記の過失行為との間に因果関係がある場合をいいます。基本的に、追突(過失行為)がなければ怪我が発生しなかったであろうといえる場合は、因果関係が認められます。
~ 要件③について ~
実際にアルコールの影響の有無・程度の発覚を免れる必要はなく、 「免れるべき行為」 といえる程度の行為が行われれば足りるとされています。法律4条では、「免れるべき行為」の例として、「アルコールを摂取する行為」、「その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させる行為」を挙げています。どの時点で、 「免れるべき行為」 といえる程度の行為、といえるのか、つまり行為が既遂に達したかについては、前者については、
事故後にアルコールを摂取した時点
後者については、概ね、現場から立ち去ってから
40分が経過した時点
とされています。
なお、「その他の免れるべき行為」としては、アルコールの分解を促進する薬を服用することが挙げられます。大量の水を飲む行為については、立法時は、, 「その他の免れるべき行為」 に含まれるとの見方が示されていますが、 水を大量に体内に入れたとしても, 体内のアルコール量自体が変化するものではないので,当たらないと指摘する人もいます。
* 主観的には「アルコールの有無又は程度が発覚することを免れる目的」が認識が必要 *
通常は、事故後にアルコールを摂取することが発覚免脱になること、 事故現場を離れて身体のアルコール濃度を減少させる行為をその旨認識して行ったときには, 通常は, 発覚免脱の目的もあったとの認定がなされることになるでしょう。
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小倉北区で飲酒運転発覚をおそれ被害者に現金授与①
小倉北区で飲酒運転発覚をおそれ被害者に現金授与①
福岡県小倉北区に住む会社役員の男性は、仕事の関係者が集う立食パーティーに参加し、そこで多量のお酒を飲んだ後、飲酒運転して(のちの捜査で呼気からアルコール濃度0.5mg/lが検出)帰宅しました。その途中、Aさんは信号待ちのVさんが運転する前車に気づかず追突してしまいました(のちに、Vさんは加療約2週間の怪我を負ったことが判明)。Aさんは「大変なことをしてしまった」と思い、車から降りて運転席に乗車したままのVさんの元へ歩いていきました。Aさんは、ドアガラスを開けたVさんに「大丈夫ですか」と声をかけると、Vさんから「何とか」「きちんと賠償してくれるんでしょうよね」と言われました。Aさんは、「怪我だけは大したことなかった」と思い、Vさんに連絡先の電話番号を書いたメモ紙とお見舞金としての5万円を手渡しました。しかし、Aさんは、「ここで現場に留まり、警察を呼ぶと飲酒運転したことがばれる」と思い、Vさんに別れを告げてその場から離れ帰宅しました。後日、Aさんは、福岡県小倉北警察署に、過失運転致傷アルコール等影響発覚免脱罪、道路交通法違反(救護義務違反、報告義務違反)で逮捕されてしまいました。
(令和5月16日に掲載された西日本新聞記事を基に作成したフィクションです。)
~ はじめに ~
上記事例は実際の事例を基に作成しています。新聞記事等では「過失傷害アルコール等影響発覚免脱罪」と書かれていますが、正確には、
過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪
といいます。この罪は
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律)
という法律が新設された際(施行日は平成26年5月20日)に設けられた罪で、法律の4条に規定されています。
~ 新設の趣旨 ~
過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪が新設された趣旨は、学説からは様々な批判があるものの、一般に
「逃げ得」を防止するため
と説明されています。
つまり、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を死亡させた場合には危険運転致死罪が適用されますが (法律2条1号、。法定刑の上限は懲役20年)、 その場合に犯人が逃走することで、 アルコールによる影響の程度を立証できないために危険運転致死罪の適用を免れる事態が生じてしまいます。 こうした法制の下では、 救護義務違反罪 (いわゆる、ひき逃げ) を犯してでも、罪の重たい危険運転致死傷罪の適用を免れるためにその場を逃走する者が生じやすくなり、結果として、過失運転致死罪と救護義務違反でしか処罰できないということになりかねません(この場合の刑(処断刑)の上限は懲役15年)。 そこで, このような「逃げ得」を防止し, 適正な処罰を可能とするために本罪を新設したと説明されています。
~ 過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪とは ~
では、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪の内容について具体的にみていきましょう。法律4条では次の規定が設けられています。
法律4条
アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、さらにアルコールを摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、12年以下の懲役に処する。
仮に、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪と救護義務違反が成立した場合の刑の上限は
懲役18年
で、過失運転致死罪と救護義務違反で処罰する場合よりも刑が重たくなったことがお分かりいただけると思います。
法律4条の規定が長いので、これを箇条書きにしてまとめると、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪は
(行為者):アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者
(条 件):運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させた場合
(行 為):アルコール又は薬物の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為
をした場合に成立し得る犯罪だ、ということをまず押さえておきましょう。次回は、この要件の具体的内容について解説したいと思います。
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福岡県薬物の濫用防止に関する条例②
福岡県薬物の濫用防止に関する条例②
福岡県みやま市に住むAさんは、特定危険薬物を使用しないよう福岡県知事から警告を受けていたにもかかわらずこれを使用したことから、さらに知事から特定危険薬物を使用をしないよう中止命令を受けていました。それでも、Aさんは特定危険薬物を使用したことから、福岡県柳川警察署に福岡県薬物の濫用防止に関する条例違反の件で逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさん母親が、Aさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)
~ 前回の続き ~
福岡県薬物の濫用防止に関する条例(以下、条例)①では、
特定危険薬物を使用して福岡県知事から警告を受けたAさんが、さらに特定危険薬物を使用したことから福岡県から呼び出しを受けた
という事案で、罰則として設けられている過料の意味などについて解説いたしました。前回も解説いたしましたが、過料は刑罰ではありません。しかし、条例では刑罰である懲役刑や罰金刑を設けた規定もありますから、今回は、その規定を中心に解説したいと思います。
~ 基本的には警告→中止命令 ~
まず、刑罰を科すまでの基本的な流れとしては、警告(条例19条)→中止命令(条例20条)という手続を踏みます。条例20条1項では、
知事は、前条第1項の規定による警告に従わず、第17条第1号から第5号までのいずれかに該当する行為をした者に対し、当該行為の中止を命じ、又は特定危険薬物の廃棄、回収その他必要な措置を取るべきことを命ずることができる。
としています。そして、条例22条と条例23条では
第20条第1項又は第2項の規定による命令(略)に違反した者
を処罰する旨を定めているのです。なお、条例22条は、特定危険薬物の製造、加工、販売、授与、販売若しくは授与目的での購入、譲り受け、所持をした者に対する罰則で「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」としています。他方、条例23条は、特定危険薬物の販売又は授与目的での広告、販売又は授与目的による場合を除く、購入・譲り受け・所持、使用、使用するための場所の提供又はあっせんをした者に対する罰則で「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
~ いきなり中止命令の場合も! ~
条例22条2項では、次の場合には、警告を経ずにいきなり中止命令を発することができるとされていますから注意が必要です。
1号 県民の生命、健康又は安全に対する危害を防止するため緊急を要する場合で、警告を発するいとまがないとき
2号 前条(条例21条)第1号から第5号までのいずれかに該当する者が、過去に同項第1号から第5号までの規定による警告を受けたことがあるとき
~ 悪質な場合は逮捕されることも ~
中止命令に違反した場合は懲役刑や罰金刑が科されるおそれがあります。ということは純然たる刑事事件であり、発覚すれば、前回の場合と異なり県職員の調査ではなく、警察の捜査を受けることになります。ということは、逮捕の可能性もあるということです。逮捕されれば間違いなく日常の生活は送れなくなります。様々な不利益を被るおそれがあります。条例での摘発はマスコミの注目を集めやすそうですから、逮捕されれば実名で報道されるかもしれません。
まずは、逮捕されないことが第一ですが、仮に逮捕されてしまった場合は、早めに弁護士に接見をご依頼ください。弁護士であれば逮捕直後からの接見が可能で、身柄の釈放に向けた弁護活動にも移りやすくなります。
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特殊詐欺と接見禁止解除
特殊詐欺と接見禁止解除
北九州市小倉南区に住むAさんは,SNSを通じて知り合った相手から,「キャッシュカードを受け取るだけの簡単なアルバイトの仕事があるけどやってみないか」となどと言われ誘われました。Aさんは、内心「まったく見ず知らずの他人からキャッシュカードを受け取るなんて怪しい仕事に決まっている」と思いましたが、1回の受け取りにつき5000円をもらえるというので引受けました。当日、Aさんは指定された場所に行くと、現場に張り込んでいた福岡県小倉南警察署の警察官に詐欺未遂罪(特殊詐欺)の現行犯で逮捕されてしまいました。Aさんの家族は、逮捕直後に小倉南警察署で面会をしようとしましたが認められず,勾留された後も接見禁止決定が出ているということで認められませんでした。そこで、Aさんの両親は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 特殊詐欺 ~
特殊詐欺とは、不特定の方に対して、対面することなく、電話、はがき、FAX、メール等を使って行う詐欺のことで、2011年4月の警察庁の発表から正式に呼称されています。特殊詐欺は「振り込め詐欺」と「振り込め類似詐欺」に分けられます。
「振り込め詐欺」は、
・オレオレ詐欺
・還付金詐欺
・架空請求詐欺
・融資保証金詐欺
に分類されます。「振り込め類似詐欺」は
・金融商品等取引名目の詐欺
・ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺
・異性との交際あっせん名目の詐欺
・その他の特殊詐欺
に分類されます。
なお、オレオレ詐欺は、
・現金振込み型:ATMから指定した口座に現金を振り込ませる方法
・キャッシュカード受領型:被害者から直接キャッシュカードを受領する方法
・現金受取り型:被害者から直接現金を受け取る方法
の3つに分類されると言われています。Aさんのような被害者から直接、現金やキャッシュカードを受け取る役は「受け子」と呼ばれています。
~ 逮捕された人とはいつから面会(接見)ができる? ~
ご自身の子供さんが「逮捕された」という通知を受けて、一刻も早く面会したいというお気持ちは分かりますが、逮捕直後は法律上、
弁護人または弁護人となろうとする者以外の者との面会
は認められていません。では、法律上いつから面会が認められているかといえば勾留決定が出た後です。刑事訴訟法80条では次の規定を設けています。
刑事訴訟法80条
勾留されている被告人は、第39条第1項(弁護人または弁護人になろうとする者)に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も同様とする。
なお、ここで「被告人(起訴された人)」とありますが、被疑者(起訴される前の人)にも適用されます。
逮捕から勾留まで
おおよそ3日間
は要すると思いますから、この3日間は、原則、面会できないと考えられていたほうがよろしいかと思います。
~ 勾留後も接見できない場合も ~
ところが、勾留後も「弁護人または弁護人となろうとする者以外の者」、つまりご家族らの方との面会が制限されることがあります。それが、
被疑者・被告人に接見禁止決定が出た場合
です。
接見禁止決定とは、通常検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者・被告人が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者・被告人と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じる決定のことをいいます。
特殊詐欺は組織的に行われる犯罪であることから多数の関係者が関与していることが多く、そのため、特殊詐欺で勾留されると接見禁止決定で出ることが比較的多いと思われます。
~ 接見禁止を解除するには? ~
接見禁止を解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば、制限なく接見できます。また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、特殊詐欺をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。

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政治家ポスターへの落書きと器物損壊罪
政治家ポスターへの落書きと器物損壊罪
福岡県飯塚市に住むAさん(70歳)は、政治信条として現在の政権与党の政策に強い反対を示しており、その意思表示のため、同市内にある党事務所前に設置されていた首相や党員ポスターの顔に落書きしました。ちょうどそのとき、Aさんは、落書きを警戒していた党事務職員に犯行を目撃され、通報を受け駆け付けた飯塚警察署の警察官に器物損壊罪で現行犯逮捕されました。逮捕の通知を受けたAさんの妻はショックを隠し切れず、早急にAさんを釈放してもらいたいと思い、Aさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)
~ ポスターへの落書きは器物損壊罪 ~
器物損壊罪は刑法261条に規定されています。
刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
首相や党員のポスターが「他人の物」であることは明らかでしょう。
また、「損壊」とは、物の本来の効用を失わせることをいうとされています。したがって、ポスターの場合、「破った」だけではなく、ポスターに落書きした場合も「損壊」に当たる可能性があるのです。
~ 政治的意図は関係ある? ~
よくこの種の事案が話題となった場合、
・ポスターへの落書きは政治的意思の表明の一環だ
・政治的意思の表明は憲法で保障されている「表現の自由(憲法19条)」の一部だ
・これを取り締まることは、権力の横暴だ、憲法違反だ
などという声を目にすることがあります。確かに、一般的に、形式的には罪に当たる行為であっても、それが正当防衛(刑法36条)、緊急避難(刑法37条)、正当行為(刑法35条)などに当たるのであれば違法性が阻却され(違法性が「ない」ということになり)、罪に問われることはありません。しかし、当該行為が政治的意思表明の一環で、それが憲法の保障する表現の自由の一部だったとしても違法性は阻却されないと考えられます。なぜなら、表現の自由が憲法21条で保障されているといっても、
公共の福祉(憲法12条、13条)による制約があり、他人の権利を侵してまで表現することが認められているわけではない
からです。
憲法12条
この憲法が国民に保障する事由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又は、これを濫用してはならないのであって、公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。
憲法13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
表現の自由といっても全く無制約や権利ではなく「公共の福祉」による制約を受けるということになるのです。
* 公共の福祉とは *
「公共の福祉」の意味については、様々な説がありますが、通説は、憲法上の規定にかかわらずすべての人権に論理必然的に内在している、人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理としています。
本件の場合、Aさんの「表現の自由」と党事務所のポスターへの「財産権」が衝突している場面ですが、本件では「財産権」が優先されるでしょう。なぜなら、Aさんとすれば、当事務所に直接意見を言う、手紙等を郵送する、電話をするなど政治的意思を表明するため他に取り得る手段はいくらでもあったからです。
~ 器物損壊罪は親告罪 ~
器物損壊罪は、刑事告訴がなければ検察官が起訴することができない「親告罪」です。したがって、すでに刑事告訴されたという場合、起訴を回避する(不起訴処分を獲得する)ためには、被害者(本件の場合、党ポスターを管理する管理者)に告訴を取消していただく必要があります。被害者に告訴を取消していただくには、まずは被害者に誠心誠意謝罪し、示談交渉を始めて示談を締結させることが必要でしょう。
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今年3月に相次いだ性犯罪の無罪判決について
今年3月に相次いだ性犯罪の無罪判決について
福岡県久留米市に住むAさんは(48歳)は,妻(46歳)と長女(19歳)の3人暮らしです。ある日,Aさんは,家族3人で外出中,妻には内緒で長女Vさんをホテルへ誘い,Vさんと性交しました。そして,数か月後,Aさんは福岡県久留米警察署に準強制性交等罪で逮捕されました。Aさんは,「Vとは同意の上だった」と話していましたが,結局は,同じ罪で起訴されてしまいました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
平成31年3月28日、名古屋地方裁判所岡崎支部で、準強制性交等罪で起訴され裁判にかけられた男性に対し無罪判決が宣告されました。すでにマスコミ等で大きく報道され、ご存知の方も多いのではないでしょうか?今年3月に出された性犯罪関連の無罪判決は以下のとおりです。
* 今年3月の性犯罪無罪判決 *
3月12日 福岡地裁久留米支部 準強姦罪 女性が抵抗できない状態だったが男性が同意していると誤信する状況にあった 控訴中
3月19日 静岡地裁浜松支部 強制性交致傷罪・傷害罪 男性から見て明らかにわかる形で女性が抵抗していないので男性に故意がなかった 確定
3月26日 名古屋地裁岡崎支部 準強制性交等罪 長女は同意しておらず抵抗できない精神状態であったが、恐怖で拒めなかったとはいえない 控訴中
3月28日 静岡地裁 強姦罪 長女の証言が変遷。家族が気づかなかったのは不自然で不合理 控訴中
これらの判決を受けて、5月13日には、性被害者当事者を中心とした団体が、法務省と最高裁に刑法やその運用の見直しなどを求める要望書を提出しました。なお、数年前に成立した「刑法の一部を改正する法律(以下、改正刑法)」の附則第9条では
この法律の施行後3年を目途として、性犯罪における被害の実情、この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じるものとする
とされています。改正刑法が施行されたのが
平成29年7月13日
でしたから、来年の7月13日頃を目途にさらに法改正の動きが高まる可能性があります。
~ 準強制性交等罪とは ~
ところで、名古屋地裁岡崎支部の裁判で問われた準強制性交等罪とはどんな罪なのでしょうか?同罪は刑法178条2項に規定されていますから,まず,その規定から確認しましょう。
刑法178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心身を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,性交等をした者は,前条の例(刑法177条)による。
準強制性交等罪は、物理的あるいは心理的な方法で被害者の抵抗を封じるか、あるいは少なくとも抵抗が困難な状態にして、性交等を行ったり、そのような状態にある被害者に対して性交等を行ったりすることを処罰する規定です。上記の規定では、そのような状態を「抗拒不能」という言葉で表現しています。これまで判例や裁判例で有罪とされた例では
・睡眠薬やアルコールを飲ませて意識を失わせて性交等をした場合
・被害者に治療が必要であると誤信させて姦淫(性交)をした場合
・姦淫を拒めば身近な者に危難が生じると誤信させて姦淫した場合
などがあります。
~ なぜ無罪? ~
では,なぜ,名古屋地裁岡崎支部は無罪判決を下したのでしょうか?
裁判所は、心理的な「抗拒不能」の程度に関し、
性交に応じなければ生命・身体等に重大な危険を加えられるおそれがあるという恐怖心から抵抗できなかった場合や、相手方の言葉を全面的に信じこれに盲従する状況にあったことから性交に応じるほかには選択肢がないと思い込まされていたような場合
と判示しています。そして、
以前に性交を拒んだ際に受けた暴力は恐怖心を抱くようなものではなく,抵抗を続けて拒んだり,弟らの協力で回避したりした経験もあり,抗拒不能な状態だったとは認められない
として無罪としています。
しかし、過去の判例や裁判例の基準からして、名古屋地裁岡崎支部の「抗拒不能」の程度に関する解釈はあまりにもハードルが高いとして、異論を唱える専門家の方もおられます。名古屋地裁岡崎支部の裁判を含め3つの裁判が現在控訴中です。今後の経過を注視していきたいと思います。
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バイトテロと犯罪
バイトテロと犯罪
福岡市博多区のすし店でアルバイトをしているAさんは,廃棄済みの魚を拾って再度調理する動画をSNSを通じて公開しました。そうしたところ、この動画を見た店長が福岡県博多警察署に被害届を提出。Aさんは、信用毀損罪、偽計業務妨害罪の被疑者として博多警察署から呼び出しを受けました。大変なことをしてしまったと不安になったAさんは、弁護士に今後の対応を相談しました。
(事実を基に作成したフィクションです。)
~ バイトテロとは ~
Aさんの行為は「バイトテロ」と呼ばれています。「バイトテロ」とは、主にアルバイトなどの非正規雇用で雇われている飲食店や小売店の(正社員も含めた)従業員が、勤務先の商品(特に食品)や什器を使用して悪ふざけを行う様子をスマートフォンなどで撮影し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿して炎上させる現象を指す日本の造語です。
これまでには、他に
・牛丼店のアルバイト店員が、メニューに存在しない超大盛りの豚丼を盛りつけ「テラ豚丼」として投稿。
・コンビニの店員がアイスのケースに入り込んで写真を撮影し、フェイスブックに投稿。
・定食店で、マスクをした男性の店員が下半身丸出しにしてお盆を股間にあてる動画を投稿。
・コンビニの店員が、売り物のおでん鍋から直接しらたきを食べて踊る動画をツイッターに投稿。
などの「バイトテロ」がありました。
Aさんとすれば面白半分で行った行為なのでしょうが、最悪の場合、刑事責任、民事責任を問われる場合も出てきます。そこで、今回は、どんな刑事責任を問われ得るのか解説したいと思います。
~ バイトテロは信用毀損罪、業務妨害罪に当たり得る ~
Aさんもしかり、バイトテロを行えば、刑法上の信用棄損罪、偽計業務妨害罪に当たり得ます。両罪は刑法233条に規定されています。
刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
懲役刑が規定されているということは、
刑務所に服役する可能性もある
ということを十分に自覚しましょう。
~ 「信用を毀損」、「業務を妨害」とは ~
まず、「信用を毀損し」の「信用」とは、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼のみならず、
販売される商品の社会的な信頼も含まれる
とされています。「毀損」とは、人の信用を低下するおそれのある状態をつくることをいい、
現実に信用が低下したことを要しない
と解されています。
次に、「業務を妨害」とは、業務の執行自体を妨害する場合に限らず、ひろく業務の経営を阻害する一切の行為をいうとされており、通説・判例は、
業務妨害の結果を発生するおそれのある行為をすれば足り、現実にその結果の発生したことを要しない
としています(大判昭和11年5月7日)。
信用棄損罪も業務妨害罪も、
企業の損失・損害如何に関係なく、バイトテロ行為をしただけで成立する可能性がある
ということは十分自覚するべきでしょう。
~ 刑事責任の他にも民事責任 ~
刑事責任は刑罰を与えられ、与えられた刑に服さなければならない責任のことです。一方、バイトテロにおける民事責任とは、企業が被った損失・損害に対する損害賠償責任です。刑事責任を負ったからといって民事責任を免れるわけではありません。バイトテロによって
・売り上げが減った
・機材等を買い替えた
・株価が暴落した
などという場合は損失・損害が認められ、損害賠償責任を負う必要が出てくるものと考えます
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、信用棄損罪、偽計業務妨害罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。

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刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
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覚せい剤所持の罪、薬物事件の特徴
覚せい剤所持の罪、薬物事件の特徴
密売人のAさんは、休日、自宅にいたところ、突然、福岡県小倉北警察署の捜索(ガサ)を受け、自宅から覚せい剤約30グラムを押収されてしまいました。そして、Aさんは覚せい剤取締法違反(営利目的所持の罪)で逮捕されてしまいました。Aさんから依頼を受けた弁護士がAさんと接見しました。
(フィクションです。)
~ 覚せい剤取締法 ~
覚せい剤取締法で禁止している覚せい剤の所持には、①単純(非営利目的)所持と②営利目的所持の2種類があります。
①の法定刑は「10年以下の懲役」です。他方、②の法定刑は「1年以上の有期懲役又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金」で、①より非常に重たい罪であることが分かります。
* 所持とは *
「所持」とは、「事実上の実力支配関係」とも言われています。すなわち、自分が直接手にしている必要はなく、社会通念上本人の実力支配、管理の及ぶ場所に保管していればいいとされています。ある日、突然、警察のガサが入り、自宅部屋のタンス内から覚せい剤を押収されたとき、覚せい剤(所持の罪)で逮捕されるのはこのためです。
* 営利目的とは *
営利目的とは、覚せい剤を所持する動機が財産上の利益を得る、ないしはこれを確保する目的に出たことをいうとされています。本人が営利目的を有していたかどうかは、専ら本人の内心に関わる事情ですから、以下のような客観的事情から推認されます。
① 覚せい剤を所持する量
覚せい剤を所持する量が多ければ、それだけ他人に売っている疑いが高くなり、営利目的が疑われます。
② 所持の態様
ガサ時に、多量のチャック付きポリ袋(パケ)に入った覚せい剤が押収されたなどという場合も、他人に売っている疑いが高くなり、営利目的が疑われます。
③ 覚せい剤以外の押収品
通常、覚せい剤はパケに2~3回分の使用量を入れて売られます。また、その際、使用道具である注射器も付けれれることがあります。そのため、多量のパケ、注射 器(未使用のもの)が押収された場合は、営利目柄が疑われます。その他、覚せい剤を小分けする量を計るなどする電子計り、小分けに使うピンセット、スプーン等が 押収された場合も同様です。その他、密売事実を裏付ける購入者リスト、メモ、メール・電話履歴等が押収され、そこに密売の形跡が認められる場合は営利目的を疑われるでしょう。
~ 薬物事件の特徴 ~
覚せい剤事件をはじめとする薬物事件の場合、他の刑事事件と異なり、以下の特徴があると言われています。
= 示談できる相手がいない =
覚せい剤事件をはじめとする薬物事件にかかる犯罪は被害者不在の犯罪です。被害者がいる刑事事件では被害者との示談→不起訴処分・執行猶予獲得という絵を描きやすいのですが、薬物事件の場合は被害者が存在しないためそうはいきません。
= 高い確率で逮捕・勾留される =
薬物事件の場合、覚せい剤の入手(輸入等)→売却→譲り受け(譲り渡し)→使用という一連の流れを踏み、その過程には多くの関係者が関与しています。にもかかわらず、その関与者全員が検挙されることは稀です。したがって、たとえ特定の犯人を検挙できたとしても、他の未検挙者と通謀するなどして罪証隠滅行為をすると疑われてしまい、逮捕・勾留される可能性が高いのです。
= 高い確率で接見禁止も =
そのため、薬物事件では、勾留によっては罪証隠滅行為を防止できないとして接見禁止決定を出されることが多いと思われます。接見禁止決定とは、弁護人あるいは弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁止する決定を言います。
~ 薬物事件における弁護活動 ~
上記の特徴から、示談交渉は無意味です。そこで、釈放に向けた弁護活動(保釈請求等)が主となります。その他、執行猶予や一部執行猶予・減軽獲得のため、再犯防止に向けた対策を立案して実行に移せるよう手助けを行います。
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13歳未満の者に対する性犯罪
13歳未満の者に対する性犯罪
北九州市八幡東区に住むAさん(43歳)は、近所の公園で、ランドセルを背負って一人でブランコに乗って遊んでいた小学生の女児Vちゃん(当時11歳)に近づき、「おじさんの言うことを聞けば、好きなお菓子を買ってあげるよ」などと言って、Vちゃんを人目につかない公園内の公衆トイレに連れ込みました。そして、Aさんは下着を脱ぎ、勃起した自己の陰茎をVちゃんの口に含ませたところ、公園を散歩していた人に見つかりその場から逃走しました。しかし、Aさんは通報により駆け付けた福岡県八幡東警察署の警察官にわいせつ目的誘拐罪、強制性交等罪で逮捕されました。
(フィクションです。)
~ 13歳未満の者に対する性犯罪 ~
刑法に定められている性犯罪の中で、13歳未満の者か否かで犯罪の成立要件が区別されている罪は
・強制わいせつ罪(刑法176条)
・強制性交等罪(刑法177条)
・強制わいせつ致死傷罪(刑法181条)
・強制性交等致死傷罪(刑法182条)
の4つです。
法定刑については、強制わいせつ罪は「6月以上10年以下の懲役」、強制性交等罪は「5年以上の有期懲役」、強制わいせつ致傷罪は「無期又は3年以上の懲役」、強制性交等致傷罪は「無期又は6年以上の懲役」です。
~ 被害者が13歳未満の場合は犯罪成立のハードルが低い ~
強制わいせつ罪も強制性交等罪のも、程度の差こそあれ、犯罪が成立するには被害者に対する
暴行・脅迫が必要
とされています。しかし、13歳未満の場合は、それが
不要
なのです。つまり、犯罪成立にとっての要件が一つ不要というわけですから、それだけ、犯罪成立のハードルが低いということになります。犯罪成立の要件を緩めることで、社会に抑止力を与え、13歳未満の者を性犯罪から守ろうという意図があります。
* 強制性交等罪の「性交等」 *
13歳未満の者に対する強制性交等罪は、13歳未満の者に「性交等」さえすれば成立します。「性交等」とは、性交の他に
肛門性交、口腔性交
が含まれます。膣内、肛門内、口腔内に挿入した時点で既遂となり、射精の有無は問わないとされています。
* 強制わいせつ罪の「わいせつな行為」 *
判例によれば,「わいせつな行為」とは,行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって,普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。例として、
・被害者の乳房を触る,揉む,舐める
・被害者の性器を触る,舐める
・自己の性器を触らせる、舐めさせる
・自己の陰茎を性器に押し当てる
などが挙げられます。
~ 誘拐した場合は別の罪も ~
未成年者(20歳未満の者)を誘拐した場合は未成年者誘拐罪、人を誘拐した場合はわいせつ目的等誘拐罪が成立する可能性があります。前者の法定刑は「3月以上7年以下の懲役」、後者は「1年以上10年以下の懲役」です。なお、前者は、検察官の起訴に告訴を必要とする親告罪ですが、後者は、強制わいせつ罪等が非親告罪化されたことに伴い、同様に非親告罪とされています。
「誘拐」とは、欺罔や誘惑を手段として、被害者をその保護された従来の生活環境から自己又は第三者の実力的支配下に置く行為をいうとされており、Aさんの行為もこれに当たります。また、AさんはトイレでVちゃんに口腔性交をしていますから、わいせつ目的も認められるのではないでしょうか?
~ 量刑は非常に重たい ~
13歳未満の者に対する性犯罪については、非常に重い刑となることが予想されます。強制性交等罪の法定刑は最低でも懲役刑が
5年
であり、よほどの減軽が認められない限りは
実刑
となる可能性が高いでしょう。
・量刑を少しでも軽くしたい
・執行猶予を付けられることはできないだろうか
などとお悩みの方は弊所の弁護士までご相談ください。
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通貨偽造罪は重たい罪
通貨偽造罪は重たい罪
少年A君は、千円札2枚の両面をカラーコピーした上で、ハサミなどで本物と同じ形に整え、これを中学校の売店の店員であるVさんに手渡しました。千円札を受け取ったVさんは違和感を感じ、学校へ報告。学校から通報を受けた福岡県筑紫野警察署が捜査したところ、千円札2枚は偽札だったことが判明しました。筑紫野警察署は、通貨偽造・同行使罪、詐欺罪で捜査を進めていますが、現在のところ犯人の特定には至っていません。
(事実を基にしたフィクションです)
~ はじめに ~
先日10日、大野城市内の中学校の売店で、千円札をカラーコピーして偽造したとみられる偽札2枚が見つかったとのニュースが報道され話題となっています。犯人は特定されていないようですが、犯行場所が中学校の売店であること、犯行態様が千円札の両面をカラーコピーしはさみで切り取っただけの稚拙な犯行であることからすれば同中学校に通う中学生の犯行である可能性が高いでしょう。今後、警察は、Vさんへの聞き込み、偽造千円札に付着した指紋の採取とその鑑定、犯行に使われた道具の押収、中学生等への聞き込みなどから犯人を特定していくものと思われます。
ところで、千円札2枚をカラーコピー機で両面印刷するという行為は「通貨偽造罪」という罪に当たり得る立派な犯罪です。そして、偽造した通貨を他人に手渡すなどの行為は「偽造通貨行使罪」という罪に当たります。そこで、今回は、両罪について解説していきたいと思います。
~ 通貨偽造罪は重たい罪 ~
通貨偽造罪は刑法148条1項に規定されています。
刑法148条1項
行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
見てお分かりいただけるように、通貨偽造罪は
無期懲役
が規定されているほか、有期懲役刑も
最低が3年
ですから、他の罪を比べてかなり重たい罪であることが分かります。ちなみに、強盗罪は5年以上の有期懲役ですが、その強盗罪ですら無期懲役の規定はありません。
~ 通貨偽造罪の内容 ~
では、具体的意味について解説いたします。
= 行使の目的 =
「行使」とは、偽造・変造した通貨を真正な通貨として流通に置くことをいいます。つまり、通貨偽造罪が成立するには、偽造した通貨を真正な通貨として流通に置く目的で通貨を偽造することが必要ということになります。したがって、学校の教材で使用するために千円札をカラーコピーしたなどとう場合は、通貨偽造罪は成立しません。
= 通用する貨幣、紙幣又は銀行券 =
「通用する」とは、強制通用力を有していることを意味します(※通用する通貨か否かは日本銀行のホームページなどで確認することができます)。貨幣、紙幣、銀行券を総称して「通貨」といいます。「貨幣」とは政府が発行する硬貨、「紙幣」とは政府が発行する貨幣代用証券(現在は流通してない)、「銀行券」とは日本銀行が発行する貨幣代用証券、すなわち日本銀行券を意味します。千円札はもちろん銀行券です。
= 偽造・変造 =
「偽造」とは、通貨発行権者(政府・日本銀行)でない者が、真正の通貨の外観を有するものを作ること、「変造」とは、通貨発行権者でない者が、真正な通貨に加工して、別個の、真正な通貨と紛らわしい外観を有する物を作ることをいいます。
「偽造」と「変造」の違いが分かりにくいですが、「変造」は常に真正な(本物の)通貨が材料となる点を抑えてください。簡単に言えば、本物の千円札に0を一個加えて1万円札にする行為は「偽造」ではなく「変造」となります。事例では、本物の通貨に手を加えたわけではありませんから「偽造」とされているのです。
~ 偽造通貨行使罪は別に規定 ~
偽造・変造した通貨を行使すれば通貨偽造行使罪に当たります。通貨偽造行使罪は刑法148条2項に規定されています。
刑法148条2項
偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使のも目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項(刑法148条1項)と同様とする。
ちなみに、通貨を偽造し、これを行使した場合は、通貨偽造罪と偽造通貨行使罪の両方が成立しますが、両者は手段と結果の関係にあり一罪として処理されます(牽連犯罪、刑法54条1項後段)。
~ 物品を取った行為は詐欺罪にも!? ~
偽造した通貨を行使し、行使した相手から物品(財物)を受け取った場合は詐欺罪に当たる可能性もあります。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」で、通貨偽造・同行罪とは別個に処罰されます(併合罪)。
~ 少年事件の行方 ~
仮に、犯人が少年だと判明した場合でも、逮捕される可能性は十分あります。逮捕され身柄拘束が継続すれば、最短でも10日間、最長で20日間の身柄拘束を受けます。その後、事件は家庭裁判所に送致されます。家庭裁判所調査官などによる調査が行われ、少年審判が開かれます。少年審判では、
・「少年院送致」「保護観察」「児童自立支援施設又は児童養護施設への送致」の保護処分
・保護処分が必要でない場合の「不処分」
・刑事処分が相当である場合の「検察官送致」
・一定期間、更生の具合を見極める「試験観察」
のいずれかの決定が出されます。ネットなどでは通貨偽造罪は重たい罪だから「少年院送致は確実」などと言われていますが、必ずしも法定されている刑の重さと保護処分の内容とは結び付くものではありません。確かに、通貨偽造罪は社会的影響力が大きい犯罪ですが、今回は、偶然にも学校の売店段階で流通がとどまっていること、犯行態様が稚拙であること、被害額も少ないことなどを考慮すれば「保護観察」の可能性も十分あるのではないかと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、通貨偽造罪をはじめとする刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

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刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
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