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【強盗】モデルガンを突き付けて強盗?~福岡市城南区

2020-01-14

【強盗】モデルガンを突き付けて強盗?~福岡市城南区

モデルガンの突き付けと強盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市城南区に住むAさんは、同区内のコンビニエンスストアにおいて、レジを担当していた店員Vさんに対してモデルガンを突き付けて「金を出せ」と言って現金10万円を奪った疑いで、福岡県早良警察署の警察官により強盗罪で緊急逮捕されました。「Aさんと似た人物がいる」とのVさんの通報により駆け付けた早良警察署の警察官が現場に駆け付けたところ、日頃から把握していたAさんの特徴と似た人物がいたため職務質問を始めたところ、Aさんが犯行を認めたことから逮捕に至ったようです。Aさんの逮捕を知った家族は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(事実を基にしたフィションです。)

~ 強盗罪 ~

上記事例は、今年9月、男性が、東京都杉並区内のコンビニエンスストアで、コンビニで店員に対しモデルガンを突き付けて脅し現金9万8000円を奪った疑いで警視庁捜査1課は強盗罪で逮捕された、という報道を基に作成しました。男性は、アニメの「ルパン三世」が好きと話しているとのことで、逮捕時には、主人公が使う「ワルサーP38」というモデルガンを所持していたとのことです。

では、この強盗罪とはどんな罪なのでしょうか?

強盗罪は刑法236条に規定されています。

刑法236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、前項と同様とする。

一般に、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使、「脅迫」とは人に畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいますが、強盗罪の「暴行」「脅迫」の程度は、

相手方の反抗を抑圧する程度

に強いものでなければならないとされています。

AさんはVさんに対してモデルガンを突き付けて「金を出せ」と言っています。
このような行為は、「金を出さなければ撃って殺すぞ」ということを暗示的に示す態度であると考えられます。
しかし、AさんがVさんに突き付けたのは「本物銃」ではなく、「偽物」の銃であるモデルガンです。
モデルガンは、客観的には、人を殺傷しうる程度の効力を有するものではありません。
そこで、Aさんのかかる行為が強盗罪の「脅迫」に当たるかどうかが問題となります。

この点、裁判所は、相手方の反抗を抑圧する程度の「脅迫」であるかどうかは、

・犯行の時刻・場所その他周囲の状況
・凶器使用の有無
・凶器の形状性質
・凶器の用い方など犯行の手段方法
・犯人、相手方の性別、年齢、体力

などを総合的に考慮し、

社会通念に従って相手方の反抗を抑圧する程度のものであるかどうか

を判断するとしています。

そうすると、一見明らかに偽物と分かるようなモデルガンは別として、巧妙に作られたモデルガンであれば、それを突き付けられた人は「本物の銃だ」と認識し、したがって「怖い」「殺される」と思うはずですから、そのようなモデルガンを人に突き付ける行為は「社会通念上、反抗を抑圧する程度のもの」ということができるでしょう。

なお、仮に、Aさんが犯行時に「ワルサーP38」を突き付けていれば強盗罪の「脅迫」に当たる可能性は高いと思われます。

最後に、強盗罪は未遂規定も設けられています(刑法243条、43条)。
未遂は犯行(罪)の「実行に着手」したものの、犯行を実現できなかった場合に成立するものです。
この点、強盗罪の「実行の着手」は「暴行、脅迫」が開始された時点です。
したがって、強盗罪の暴行、脅迫を開始したものの、物を強取できなかった場合に強盗未遂罪が成立します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

【飲酒運転】新年会と飲酒運転~福岡県久留米市

2020-01-11

【飲酒運転】新年会と飲酒運転~福岡県久留米市

福岡県久留米市に住む会社員のAさんは、会社の新年会に参加し、ビール中ジョッキ2杯、焼酎水割り3杯、日本酒約1合を飲みました。その後、Aさんは体がかなり火照っていることを認識し、飲酒運転がいけないことだとわかっていながら、車を運転して自宅に帰る途中、交差点の赤色信号表示に従って車を停止させたところ、お酒の影響でその場で寝てしまいました。Aさんが次に目を覚ましたのは、現場に駆け付けた福岡県久留米警察署の警察官に声をかけられたときでした。Aさんは、青色信号になってもなかなか発進しなかったため、この様子を見て飲酒運転を疑った後方の車の運転手に110番通報されたようでした。Aさんは、警察官の飲酒検査の結果、「酒酔い運転」と判断され、その場で道路交通法違反の被疑者として現行犯逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの妻がAさんとの接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)

~ 忘新年会のシーズンには飲酒運転に気を付けて ~

「酒酔い運転」とは、アルコールの影響によって正常な運転ができないおそれがある状態で運転をすることをいいます。
「酒気帯び運転」とは、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上のアルコールまたは血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム以上のアルコールを身体に含んだ状態で運転することをいいます。
このように、酒気帯び運転は、具体的な数値基準が設けられているのに対して、酒酔い運転はそうした基準は特に設けられていません。酒気帯び運転に呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上、という基準を設けていることから、これ以下の数値であれば酒酔い運転に問われることはない、と勘違いされている方もおられます。
しかし、酒酔い運転かどうかは、お酒の量、警察官に対する受け答えの様子、歩行状況などを総合的に勘案して決められるのであって決して具体的数値を基準として決められるのではありません。

また、飲酒運転によって人身事故を起こした場合は、道路交通法違反(酒気帯び運転若しくは酒酔い運転)に加えて過失運転致傷罪が適用されるのが通常です。しかし、アルコールの影響により正常な運転ができないのに運転をして、人身事故を起こしてしまったと判断された場合は、危険運転致傷罪に問われる可能性があります。危険運転致傷罪の法定刑は、非常に厳しく「15年以下の懲役」で罰金刑の規定はありません。

これから忘新年会シーズンとなり、お酒を飲む機会が増える方も多いと思われます。
飲酒運転をしないよう、ハンドルキーパーを確保するなどして、会場までの行き方、会場からの帰宅方法には十分気を払う必要があります。

~ 飲酒運転の処分 ~

飲酒運転単独で、かつ、前科前歴がない場合(初犯の場合)は、略式起訴(→略式裁判→略式命令→罰金刑)で終わる場合が多いでしょう。
他方、過去にも飲酒運転をした前科前歴があるなど、情状が悪質な場合は正式起訴(→正式裁判→判決→懲役刑)となるおそれが高くなります。
正式起訴となれば、実刑を受け、刑務所に服役しなければならない可能性も捨てきれません。
そこで、こうした場合は、実刑回避に向けた情状弁護の準備をする必要があります。

情状弁護とは、裁判において被告人にとって有利な事情(情状)を明らかにし、量刑の軽減や執行猶予付き判決を求めるものです。
裁判で被告人に有利な事情を酌んでもらうには、被告人の方から積極的に事情を明らかにしなければなりません。

情状弁護活動は、弁護士に事件を依頼することをおすすめします。
弁護士であれば、法律の専門家として最適な対応をし、効果的な情状弁護を行うことが期待できるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、飲酒運転をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談、初回接見のご予約を承っております。

【窃盗罪】アルバイトがお店のお金を盗んで窃盗罪~佐賀市

2020-01-10

【窃盗罪】アルバイトがお店のお金を盗んで窃盗罪~佐賀市

窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

佐賀市に住むAさんは、同市内のコンビニで深夜アルバイトの仕事をしていました。そして、Aさんは、深夜、誰もいなくなったところを見計らって、店のレジの中から1万円札10枚を取り、これを自分のものにしました。ところが、それから週数間経ったある日、Aさんは店長に呼ばれ、「お店の売上額と実際に手元に残っている額が異なる。」「あなたがレジのお金を盗ったのではないか。」「佐賀北警察署に被害届を提出する。」と言われました。そこで、Aさんは、「このままでは逮捕されるかもしれない」と思い、お店側に被害弁償することを申し出ましたが、「本当に被害弁償してくれるか分からない。」「被害金額が大きいので、警察に被害届を出すことになると思う。」などと言われて受け付けてもらえませんでした。困ったAさんは、被害弁償と示談交渉を弁護士に依頼するため、無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 窃盗罪について ~

他人の物を勝手に盗った場合は窃盗罪に問われます。
Aさんも窃盗罪に問われています。
窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

また、他人の物を勝手に盗った場合でも、その物が自己の占有下にあると認められる場合は横領罪、業務上横領罪に問われます。
横領罪は刑法252条、業務上横領罪は刑法253条に規定されています。

刑法252条1項
自己の占有する他人の者を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

刑法253条 
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

この点、Aさんはアルバイトです。
アルバイトの場合、通常、お店のお金の管理までは任されておらず、お金に対して「自己の占有下にある」と認めることは困難でしょう。
よって、Aさんは窃盗罪に問われる可能性が高いです。

~ 警察に被害届を提出すると言われたら? ~

刑事事件化する前に、一刻も早く相手方と被害弁償、示談交渉に臨みましょう。
もちろん、被害弁償、示談交渉はご自身で行うことも可能です。
しかし、場合によっては、事例のように門前払いを受けることも予想されます。

そうした場合は、被害弁償、示談交渉は交渉に慣れた弁護士に任せましょう。
弁護士は示談交渉に関する知識、経験を有していますから、弁護士であれば適切な形式、内容で示談を締結できる可能性が高くなります。
示談締結の際に、「捜査機関に告訴や被害届を提出しない」旨の条項を盛り込むことができれば、逮捕などの捜査を受けるおそれもなくなるでしょう。
弁護士が当事者の間に入ることによって、相手方からの不当な要求や態度に対しても毅然とした態度で交渉に臨むことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪、横領罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談、初回接見のご予約を承っております。

【刑事事件】お店の無断キャンセルで偽計業務妨害罪~福岡市博多区

2020-01-09

【刑事事件】お店の無断キャンセルで偽計業務妨害罪~福岡市博多区

お店の無断キャンセルと偽計業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市博多区に住む会社員Aさんは、嫌がらせのため、同区内の居酒屋V店に電話をし「●●月●●日に17人、1人1万円で3千円の飲み放題を付けてくれ。」などと言いました。ところが、予定の人になってもV店にはお客は現れませんでした。そこで、V店が福岡県博多警察署に被害届を提出したところ、Aさんがこの電話をした疑いがあるとしてAさんを偽計業務妨害罪で逮捕しました。Aさんは以前から周辺の居酒屋店に同様の内容の電話を繰り返していると疑われていたため、警察から目をつけられていたようです。
(フィクションです。)

~ はじめに ~

上記事例は、虚偽の宴会を予約して居酒屋の業務を妨害したとして、警視庁が昨年11月11日、東京都葛飾区の無職男性を偽計業務妨害罪の疑いで逮捕した事案をモデルにしています。
警視庁丸の内警察署によると、被疑者は昨年6月26日、東京都千代田区内の居酒屋に、1人1万3千円の17人の宴会を同28日午後8時から予約する虚偽の電話を入れ、料理を準備させるなど業務を妨害した疑いが持たれています。被疑者は、「電話はしたが予約はしていない」と事実を否認する供述をしているようです。

無断キャンセルで逮捕者が出るのは珍しいと言われています。
しかし、予約が入ると店側としては、空きがでない限り他の客の予約を確保することができず、また、予約日当日までに使った食材も無駄に消費することになり、店側にとっては大損害です。そこで、警察としては、こうした悪質な無断キャンセルに警笛を鳴らすためにも逮捕に踏み切ったものと考えられます。

~ 業務妨害罪とは ~

業務妨害罪刑法233条、234条に規定されています。

刑法233条
 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法234条
 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

刑法233条では、信用棄損罪と業務妨害罪とが併せて規定されています。
刑法233条の業務妨害罪は「偽計業務妨害罪」、刑法234条の業務妨害罪は「威力業務妨害罪」と呼ばれます。

このうちAさんは「偽計業務妨害罪」で逮捕されています。

業務妨害罪といえば、

・牛丼店のアルバイト店員が、メニューに存在しない超大盛りの豚丼を盛りつけ「テラ豚丼」として投稿。
・コンビニの店員がアイスのケースに入り込んで写真を撮影し、フェイスブックに投稿。
・定食店で、マスクをした男性の店員が下半身丸出しにしてお盆を股間にあてる動画を投稿。
・コンビニの店員が、売り物のおでん鍋から直接しらたきを食べて踊る動画をツイッターに投稿。

などのバイトテロを想起される方も多いかと思われますが、バイトテロに限らず様々は場面で適用されます。

~ 偽計業務妨害罪 ~

「偽計を用いて」とは、人を欺罔・誘惑し、又は人の錯誤(簡単にいうと誤解)・不知(知らないこと)を利用する違法な手段一般をいう、と解されています。
そうはいっても、実際上、「偽計」なのか、「威力」なのかはっきりとしない、という場合もあります。この点、裁判所は、業務妨害行為が公然と行われた場合を「威力」、隠密的に行われた場合を「偽計」とする傾向にあるようです。

人の不知を利用する手段で代表的なのが

スーパーの菓子パンに針を差し込む行為

です。
また、昨年7月には、福岡県で、

水道関連工事会社の従業員が、アパートの受水槽の中で泳いだ件

で、偽計業務妨害罪で検挙されています(その後、不起訴(嫌疑不十分))。

偽計業務妨害罪でも、現実に業務妨害の結果が発生したことまでは必要ではなく,業務を妨害するに足りる行為があれば足りるとされています。

とはいっても、無断キャンセルによって店側には多大な損害を与えています。
損害賠償請求など刑事のみならず民事的責任を負わされる可能性もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

【強盗】起訴後に保釈~福岡県春日市

2020-01-07

【強盗】起訴後に保釈~福岡県春日市

強盗罪と保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県春日市に住むAさんは、ギャンブルで借金を繰り返し、その返済に追われていました。そこで、何か簡単にお金を手に入れる方法はないかと考えた結果、コンビニ強盗を行うことにしました。
Aさんは犯行がばれないようにと口にはマスクを付け、頭には帽子を被り、店員を脅すための包丁を持って春日市内にあるコンビニへ行きました。そして、Aさんは店に入り、店内に人がいないかどうか確認した後、レジにいる店員Vさんに包丁を示して「金を出せ。殺すぞ。」と言い、Aさんの脅しに怯んだVさんから現金2万円を受け取りました。ところが後日、Aさんは福岡県春日警察署に強盗罪で逮捕され、その後、強盗罪で起訴されました。Aさんと接見した弁護士は、Aさんが犯行を認めていること、前科前歴がないこと、家族が監督を誓約していることに鑑みて保釈請求することにしました。
(フィクションです。)

~ 強盗罪 ~

強盗罪は刑法236条に規定されています。

刑法236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

一般に、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使、「脅迫」とは人に畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいますが、強盗罪の「暴行」「脅迫」の程度は、

相手方の反抗を抑圧する程度

に強いものでなければならないとされています。そして、程度であるか否かは、

・犯行の時刻・場所その他周囲の状況
・凶器使用の有無
・凶器の形状性質
・凶器の用い方など犯行の手段方法
・犯人、相手方の性別、年齢、体力

などを総合的に考慮して判断されます。
「強取」とは、上記の「暴行」「脅迫」により、相手方の反抗を抑圧して財物を自己又は第三者に移すことをいいます。

強盗罪によく似た罪として、恐喝罪(刑法249条)があります。
恐喝罪も暴行または脅迫を手段とする罪ですが、恐喝罪の暴行、脅迫は両者は相手方の反抗を抑圧するに至らない程度でもよいとされています。
言い方を変えると、財物の交付(犯人にお金などを渡すこと)について被害者の意思に基づくものといえる場合は恐喝罪ですが、基づくものといえない場合は強盗罪です。

~ 保釈 ~

保釈許可の要件は、大きく分けて、「権利保釈」と「裁量保釈」の2つがあります。
「権利保釈」とは、刑事訴訟法89条各号に掲げる事由に該当しない限りは保釈を許可するというものです。「裁量保釈」とは、たとえ、刑事訴訟法89条各号に掲げる事由に該当したとしても、裁判所が、「被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度のその他の事情」を考慮し、保釈を許可するというものです。

強盗罪は法定刑が5年以上の有期懲役ですから、残念ながら刑事訴訟法89条1号に当たり「権利保釈」で保釈されることはありません。しかし、「裁量保釈」で保釈されることはあります。
お金がなく保釈保証金の準備が難しい方は、日本保釈支援協会が提供する「保釈保証金立替システム」の利用もご検討ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

【のぞき】のぞき見と犯罪~福岡県大牟田市

2020-01-05

【のぞき】のぞき見と犯罪~福岡県大牟田市

のぞき見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県大牟田市に住むAさんは、同市内の他人方敷地内に立ち入り、浴室の窓からスマートフォンをを差し入れて入浴中のVさん(25歳)の裸体をのぞき見ました。しかし、Vさんがスマートフォンの存在に気づき「のぞき見!」と大声を出したことで、Aさんは外に出てきた家族により現行犯逮捕されました。なお、Aさんのスマホに映像は保存されていませんでした。
(フィクションです)

~ のぞき見と犯罪 ~

のぞき見で適用される法令は、福岡県迷惑行為防止条例と軽犯罪法です。
福岡県迷惑行為防止条例第6条には以下の規定が設けられています。

条例6条2項 何人も、公共の場所、公共の乗物その他の公衆の目に触れるような場所において、正当な理由がないのに、前項に規定する方法(人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法)で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 通常衣服で隠されている他人の身体又は他人が着用している下着をのぞき見し、又は写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下この条にお  いて「写真機等」という。)を用いて撮影すること。
2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること 」

条例6条3項 何人も、正当な理由がないのに、第一項に規定する方法で次に掲げる行為をしてはならない。
1号 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態をのぞき見し、又は写真機等  を用いて撮影すること。
2号 前号に掲げる行為をする目的で写真機等を設置し、又は他人の身体に向けること。

今回、Aさんは、浴場にいるVさん(の裸)に対して、カメラを差し向けています。
したがって、Aさんの行為は条例6条3項2号に当たるおそれがあります。実際に、身体、裸が映っていなくても条例違反に問われることがあります。
罰則は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですが、常習として行った場合は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。

軽犯罪法第1条第23号は

正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

「拘留または科料」に処することを定めています。
仮に、のぞき見行為が条例に当たらない場合は、軽犯罪法違反に問われるおそれがあります。

さらに、他人の敷地内に勝手に立ち入った場合は住居侵入罪に問われるおそれがあります。
同罪の住居とは住居の一部と認められる敷地も含まれるからです。
同罪の罰則は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。

~ のぞき見で逮捕されると ~

逮捕されると警察の留置場に収容されます。
それから約3日程度の身柄拘束を受けて、勾留(逮捕に引き続く身柄拘束)か否か判断されます。
この間、捜査機関や裁判所に釈放を求めることも可能です。
ただ、国選弁護人は選任されませんから、釈放を求める場合は私選弁護人を選任する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

【少年事件】福岡県糸島市の暴走行為

2020-01-04

【少年事件】福岡県糸島市の暴走行為

暴走行為について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県糸島市の高校に通うA君(18歳)はバイクが好きで、自身の誕生日祝いに、同市内の道路をバイク仲間10人と原動機付自転車を集団暴走していました。そうしたところ、A君他10人は福岡県糸島警察署のパトカーに制止するよう呼び止められました。しかし、A君らはその制止を振り切り集団暴走を継続したところ、増員された警察官によって制止されてしまいました。そして、A君他5人は、道路交通法違反(共同危険行為など)で現行犯逮捕されましたが、残り5人はいまだ逃走中で未検挙です。A君は、逮捕後勾留され、接見禁止決定が出てしまいました。A君の両親は、弁護士に早期釈放と接見禁止の解除のための弁護活動を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 集団暴走 ~

報道によると、福岡県糸島市で今年4月、オートバイ7台で集団暴走行為をしたとして、17歳~19歳の暴走族メンバー12人が道路交通法違反(共同危険行為など)の疑いで逮捕・書類送検されたとのことです。暴走族メンバーが暴走行為を自らスマートフォンで撮影しており、この動画が検挙の決め手となったようです。

少年(20歳未満の者)の暴走行為は、道路交通法上の

共同危険行為

に当たります。

この共同危険行為は道路交通法68条で、

二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

と定められています。

~ どうして暴走行為をするの?辞めさせるには? ~

暴走行為を行う少年については、暴走行為を行う少年自身に問題があることはもちろん、少年がその所属する不良集団に大きな影響を受けていることが多いと思われます。

そのため、少年に暴走行為を辞めさせるには、少年をその不良集団から脱退させ、関係性を断ち切らせることが重要です。ただ、この手の不良集団は地域に根付いている場合が多く、少年を不良集団から脱退させるためには、引っ越すするなどして生活環境を変えるしかない場合もあります。
また、暴走行為を行う少年の中には、人に危害を加えていないから問題ないという誤った考えを持ってしまっている少年もいます。そのような場合には、審判までの間に、弁護士が少年に対して、少年の考えがいかに幼稚で誤った考え方であるのかを諭していく必要があります。

~ 早期釈放のためには ~

少年であっても逮捕後は勾留されることがあります。
勾留とは、逮捕よりも比較的長い身柄拘束のことです。
しかし、勾留期間中に釈放されることもあります。
釈放されるためには、まずしっかりと反省し、二度と暴走行為を行わないことを誓約する必要があります。
また、暴走行為を行う少年は交通規範意識が欠如している可能性がありますので、その点も矯正する必要がありますし、上記で述べたように矯正のための環境も整えていく必要があります。

~ 接見禁止 ~ 

また、少年には接見禁止決定が出ています。
接見禁止とは、原則として検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者(少年)が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じることをいいます。本件の場合、未検挙の者が5人いることから、これらの者と通謀するなどして罪証隠滅行為を働くおそれが高いとして接見禁止決定が出る可能性が高いでしょう。

接見禁止の効力を解き、弁護人又は弁護人となろうとする者以外との接見(面会)を可能とすることをいいます。
接見禁止を解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば、制限なく接見できます。また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。

事件関係者との接見は認めないが、事件に全く関係のない家族等なら接見を認める

などという場合に一部解除となります。
ですから、子ども様との一刻も早い接見をお望みの場合は、弁護士に法律上の異議申立てや全部又は一部解除の申し立てを行ってもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。接見禁止が付いてお困りの方、その他刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

【児童虐待】エアガン事件~保護責任者遺棄致死罪で再逮捕(福岡県飯塚市)

2020-01-02

【児童虐待】エアガン事件~保護責任者遺棄致死罪で再逮捕(福岡県飯塚市)

保護責任者遺棄致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県飯塚市の県営団地に住むAは、妻B、子Vちゃん(1歳)と3人暮らしです。
A、BはVちゃんに必要な食事を与えず栄養失調で死亡させたとして保護責任者遺棄致死罪で福岡県飯塚警察署に逮捕されてしまいました。
A、Bは「必要な食事は与えていた。」、「死ぬとは思わなかった。」などと話しています。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ 保護責任者遺棄致死傷罪 ~

福岡県田川市では、団地に住む両親が、昨年9月上旬~12月にかけて、子に医師の診察を受けさせず、重度の低栄養状態による肺炎で死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪で再逮捕されています。当初の逮捕容疑は、エアガンを使って子にBB弾を複数命中させて傷害を負わせた傷害罪でしたが、処分保留で釈放されています。BB弾の命中行為と傷害との因果関係の立証が難しいと判断された可能性もあります。

報道によると、両親は生後8カ月ごろを最後に診察を受けさせていなかった、と言われています。また、1歳4カ月だった子の死亡時の体重は6キロ未満だったといいます。これは平均体重の約10キロを大きく下回っており、捜査機関は、子に医師の診察を受けさせなかったことが子の死亡につながった(つまり因果関係がある)とみて保護責任者遺棄致死罪の逮捕に踏み切ったのでしょう。

子に必要な保護を与えないのネグレクトと呼ばれます。
ネグレクトは児童虐待防止法で児童虐待の一つとして明確に定義されています。

児童虐待防止法ではネグレクトを「児童の心身の発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること」と定義されています。

しかし、ネグレクトをはじめとする児童虐待で逮捕される事案が後を絶ちません。
ネグレクトで子を死亡させた場合は上の事例のように保護責任者遺棄致死罪という罪で逮捕されることが多いかと思います。
今年7月には、2歳11カ月の長女を3日間以上のあいだ自宅に放置し低体温症で死なせたとして、宮城県仙台市在住の母親の飲食店従業員女性が保護責任者遺棄致死罪の疑いで逮捕されています。室内に幼児が摂取できる飲食物はなかったとみられ、司法解剖の結果、死亡時の体重は約8.6キロで目立った外傷はなかったと言われています。

保護責任者遺棄致死罪は刑法219条に規定されています。

刑法219条
 前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処する。

「前2条の罪」とは、単なる遺棄罪(刑法217条)と保護責任者遺棄罪(刑法218条)のことを指します。
このうち、親が子に対するネグレクトは「保護責任者遺棄」にあたり、これに「人の死傷」が加わり、「保護責任者遺棄」と「人の死傷」との間に因果関係が認められれば保護責任者遺棄致死罪に問われます。

刑法218条
 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。

「生存に必要な保護をしなかった」という点がネグレクトに当たる部分です。

・食事を与えない
・入浴させない
・オムツを取り替えない

などは全てネグレクトに当たります。

保護責任者遺棄致死傷罪の法定刑は、傷害を負わせた場合は「3月以上15年以下の懲役」、死亡させた場合は「3年以上の有期懲役」です。

保護責任者遺棄致死罪は、「殺す意図はなかった。」という場合、つまり死の結果について認識、認容がなかった場合に適用される罪です。
反対に、死の結果について認識、認容があったと認められた場合は殺人罪(刑法199条)に問われる可能性もあります。

刑法199条
 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

~ まずは児童相談所に相談を ~

子育ては大変です。
子育てに困った、児童虐待をしてしまいそうだ、などという方は迷わず児童相談所に相談されることをお勧めいたします。
子育てなどの悩みは決して一人で解決できるものではありません。
周囲の方を巻き込んで解決していく必要があります。

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【少年事件】カツアゲは恐喝罪~福岡県久留米市

2020-01-01

【少年事件】カツアゲは恐喝罪~福岡県久留米市

カツアゲと恐喝罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県久留米市の高校に通うA君17歳)は、同級生のB君と共に自宅近くのゲームセンターへ行きゲームを楽しんでいましたが、お金を使い果たしてしまいました。そんなとき、A君は見るからにA君よりも体格の劣っている中学生のV君(14歳)が一人でゲームを楽しんでいるのを見かけました。そこで、A君はB君に「あいつからカツアゲしよう。」と誘ったところ、B君もこの誘いに乗ってきたため、二人はV君に近づきました。そして、二人はV君を囲み、A君がV君に、「ねえ、君、どこ中?」「ちょっと金貸してくんね。」などと言いました。二人ははじめV君から断られましたが、B君が無理やりV君を一目のないところへ連れていき、さらにV君に「痛い目遭いたくないよね?」といいました。すると、B君がV君から千円札3枚を受け取りました。そして、A君とB君はこの3000円を使ってゲームなどを楽しみました。ところが、その後、A君とB君は恐喝罪で福岡県久留米警察署に逮捕され、事件は福岡地方検察庁久留米支部を経て福岡家庭裁判所久留米支部へ送致されました。そして、A君、B君は家庭裁判所で少年審判を受け、保護観察の保護処分を受けました。
(フィクションです。)

~ 恐喝罪 ~

カツアゲは恐喝罪に当たります。
恐喝罪は刑法249条に規定されています

刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

「恐喝」とは、財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが、恐喝罪の場合、一般的に「脅迫」が行われることが多いと思われます。「暴行」、「脅迫」の程度は、

相手方の反抗を抑圧するに至らない程度

であること、つまり、相手方に畏怖あるいは困惑の念を抱かせる程度(人の意思決定、意思実行の自由を制限、妨害するに足りる程度)であることが必要とされています。
この点、体格の勝っている高校生が中学生のV君を人目のつかないところへ連れていき、「痛い目遭いたくないよね?」という行為は「脅迫」に当たるでしょう。

そして、恐喝罪が成立するには、①恐喝、②①による相手方の畏怖あるいは困惑、③畏怖、困惑した状態での財物の交付、という流れが繋がっていることが必要ですが、本件ではこの要件をすべて満たしそうです。

~ 保護観察 ~

保護観察は、少年を施設に収容せず、日常生活を送らせながら、保護観察所の行う指導監督及び補導援護によって少年の改善更生を図るものです。
保護観察は少年審判で家庭裁判所から下される保護処分の一種です。
保護処分には、保護観察のほかにも、少年院送致、児童養護施設・児童自立支援施設送致、があります。

保護観察は、施設に入所する必要がないという点では他の保護処分よりも軽いと考えられていますが、保護観察期間中は遵守事項(一般遵守事項、特別遵守事項)を科せられ、これを遵守しなければ、少年院送致や児童養護施設・児童自立支援施設送致の保護処分を受けなければならないおそれも出てきますから、保護観察期間中の生活には十分注意する必要があります。

少年事件の詳細はこちら→★少年事件

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【性犯罪】強制わいせつ致傷罪~性犯罪者のための再犯防止プログラム 

2019-12-31

【性犯罪】強制わいせつ致傷罪~性犯罪者のための再犯防止プログラム 

令和元年10月11日、鹿児島地方裁判所で、登校中の女子中学生Vさんにわいせつな行為をしようと企て、Vさんの首を絞めたり、ガラス片のようなもので頭を数回殴るなどの暴行を加え、Vさんに加療約10日間の怪我を負わせるなどして強制わいせつ致傷罪などの罪に問われた男性に対し、懲役8年の実刑判決が言い渡されました。検察の求刑(懲役7年)を超える異例の判決でした。男性は、昨年8月に、熊本県内の自宅に侵入し、就寝中の女性の体を触ろうとした準強制わいせつ未遂罪など、同9月、別の住宅から下着を盗もうとした窃盗未遂罪に問われ、今年3月、熊本地方裁判所で懲役2年、3年間執行猶予(保護観察付)の判決の言い渡しを受けたばかりでした。男性は保護観察期間中、性犯罪の「再犯防止プログラム」を受講していたそうです。
(報道を基に作成しています。)

~ 強制わいせつ致傷罪は重たい罪 ~

まず、強制わいせつ致傷罪がどんな罪か確認します。
強制わいせつ致傷罪は刑法181条1項に規定されています。

刑法181条1項
 第176条若しくは第178条1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって、人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

第176条
 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

以上の規定からすれば、強制わいせつ致傷罪は、

・強制わいせつ既遂罪(刑法176条)又はその未遂罪が成立したこと
・行為の「機会」に人に怪我をさせたこと(因果関係が認められること)

という条件を満たした場合に成立します。

この点、事例の男性は、わいせつな行為をする目的でVさんの首を絞めたり、ガラス片のようなもので頭を数回殴る「暴行」を加えてたことが認められます。もっとも、わいせつな行為にまでは及んでいないことから強制わいせつ未遂罪が成立するにとどまります。次に、男性は上記に暴行によってVさんに怪我させたものと認められますから、行為の「機会」に人に怪我をさせたといえます。
このことから男性に強制わいせつ致傷罪が成立しています。

~ 再犯防止プログラムとは ~

今回、男性が執行猶予期間中であったこと、保護観察期間中であったこと、再犯防止プログラムを受けていたにもかかわらず同じ性犯罪に及んでいたことや犯行態様の悪質性から求刑を上回る判決が言い渡されたようです。

ところで、この再犯防止プログラムは、2004年に奈良市で起きた小学生女児の殺害事件がきっかけとなり、2006年から導入されたものです。性犯罪につながる認知の偏り、自己統制力の不足等の自己の問題性を認識させ、その改善を図るとともに、再犯をしないための具体的な方法を習得させることを目的としています(犯罪白書より)。
受講の対象者は、性犯罪の傾向が進んでいると認められる受刑者や保護観察付きの執行猶予判決を受けた人で、一定の事由が認めらえる場合を除いて原則受講がき義務付けられています。

近年では、下着窃盗を繰り返す被告人に対し、検察が敢えて保護観察付執行猶予判決を求めるなど、性犯罪傾向が進んでいる人に対しては、検察、保護観察所が連携して裁判後も国の監視、監督下に置いて更生の道を歩ませようとする取り組みも行われています。

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