【刑事事件】お店の無断キャンセルで偽計業務妨害罪~福岡市博多区

【刑事事件】お店の無断キャンセルで偽計業務妨害罪~福岡市博多区

お店の無断キャンセルと偽計業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市博多区に住む会社員Aさんは、嫌がらせのため、同区内の居酒屋V店に電話をし「●●月●●日に17人、1人1万円で3千円の飲み放題を付けてくれ。」などと言いました。ところが、予定の人になってもV店にはお客は現れませんでした。そこで、V店が福岡県博多警察署に被害届を提出したところ、Aさんがこの電話をした疑いがあるとしてAさんを偽計業務妨害罪で逮捕しました。Aさんは以前から周辺の居酒屋店に同様の内容の電話を繰り返していると疑われていたため、警察から目をつけられていたようです。
(フィクションです。)

~ はじめに ~

上記事例は、虚偽の宴会を予約して居酒屋の業務を妨害したとして、警視庁が昨年11月11日、東京都葛飾区の無職男性を偽計業務妨害罪の疑いで逮捕した事案をモデルにしています。
警視庁丸の内警察署によると、被疑者は昨年6月26日、東京都千代田区内の居酒屋に、1人1万3千円の17人の宴会を同28日午後8時から予約する虚偽の電話を入れ、料理を準備させるなど業務を妨害した疑いが持たれています。被疑者は、「電話はしたが予約はしていない」と事実を否認する供述をしているようです。

無断キャンセルで逮捕者が出るのは珍しいと言われています。
しかし、予約が入ると店側としては、空きがでない限り他の客の予約を確保することができず、また、予約日当日までに使った食材も無駄に消費することになり、店側にとっては大損害です。そこで、警察としては、こうした悪質な無断キャンセルに警笛を鳴らすためにも逮捕に踏み切ったものと考えられます。

~ 業務妨害罪とは ~

業務妨害罪刑法233条、234条に規定されています。

刑法233条
 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法234条
 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

刑法233条では、信用棄損罪と業務妨害罪とが併せて規定されています。
刑法233条の業務妨害罪は「偽計業務妨害罪」、刑法234条の業務妨害罪は「威力業務妨害罪」と呼ばれます。

このうちAさんは「偽計業務妨害罪」で逮捕されています。

業務妨害罪といえば、

・牛丼店のアルバイト店員が、メニューに存在しない超大盛りの豚丼を盛りつけ「テラ豚丼」として投稿。
・コンビニの店員がアイスのケースに入り込んで写真を撮影し、フェイスブックに投稿。
・定食店で、マスクをした男性の店員が下半身丸出しにしてお盆を股間にあてる動画を投稿。
・コンビニの店員が、売り物のおでん鍋から直接しらたきを食べて踊る動画をツイッターに投稿。

などのバイトテロを想起される方も多いかと思われますが、バイトテロに限らず様々は場面で適用されます。

~ 偽計業務妨害罪 ~

「偽計を用いて」とは、人を欺罔・誘惑し、又は人の錯誤(簡単にいうと誤解)・不知(知らないこと)を利用する違法な手段一般をいう、と解されています。
そうはいっても、実際上、「偽計」なのか、「威力」なのかはっきりとしない、という場合もあります。この点、裁判所は、業務妨害行為が公然と行われた場合を「威力」、隠密的に行われた場合を「偽計」とする傾向にあるようです。

人の不知を利用する手段で代表的なのが

スーパーの菓子パンに針を差し込む行為

です。
また、昨年7月には、福岡県で、

水道関連工事会社の従業員が、アパートの受水槽の中で泳いだ件

で、偽計業務妨害罪で検挙されています(その後、不起訴(嫌疑不十分))。

偽計業務妨害罪でも、現実に業務妨害の結果が発生したことまでは必要ではなく,業務を妨害するに足りる行為があれば足りるとされています。

とはいっても、無断キャンセルによって店側には多大な損害を与えています。
損害賠償請求など刑事のみならず民事的責任を負わされる可能性もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

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