【性犯罪】強制わいせつ致傷罪~性犯罪者のための再犯防止プログラム 

2019-12-31

【性犯罪】強制わいせつ致傷罪~性犯罪者のための再犯防止プログラム 

令和元年10月11日、鹿児島地方裁判所で、登校中の女子中学生Vさんにわいせつな行為をしようと企て、Vさんの首を絞めたり、ガラス片のようなもので頭を数回殴るなどの暴行を加え、Vさんに加療約10日間の怪我を負わせるなどして強制わいせつ致傷罪などの罪に問われた男性に対し、懲役8年の実刑判決が言い渡されました。検察の求刑(懲役7年)を超える異例の判決でした。男性は、昨年8月に、熊本県内の自宅に侵入し、就寝中の女性の体を触ろうとした準強制わいせつ未遂罪など、同9月、別の住宅から下着を盗もうとした窃盗未遂罪に問われ、今年3月、熊本地方裁判所で懲役2年、3年間執行猶予(保護観察付)の判決の言い渡しを受けたばかりでした。男性は保護観察期間中、性犯罪の「再犯防止プログラム」を受講していたそうです。
(報道を基に作成しています。)

~ 強制わいせつ致傷罪は重たい罪 ~

まず、強制わいせつ致傷罪がどんな罪か確認します。
強制わいせつ致傷罪は刑法181条1項に規定されています。

刑法181条1項
 第176条若しくは第178条1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって、人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

第176条
 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

以上の規定からすれば、強制わいせつ致傷罪は、

・強制わいせつ既遂罪(刑法176条)又はその未遂罪が成立したこと
・行為の「機会」に人に怪我をさせたこと(因果関係が認められること)

という条件を満たした場合に成立します。

この点、事例の男性は、わいせつな行為をする目的でVさんの首を絞めたり、ガラス片のようなもので頭を数回殴る「暴行」を加えてたことが認められます。もっとも、わいせつな行為にまでは及んでいないことから強制わいせつ未遂罪が成立するにとどまります。次に、男性は上記に暴行によってVさんに怪我させたものと認められますから、行為の「機会」に人に怪我をさせたといえます。
このことから男性に強制わいせつ致傷罪が成立しています。

~ 再犯防止プログラムとは ~

今回、男性が執行猶予期間中であったこと、保護観察期間中であったこと、再犯防止プログラムを受けていたにもかかわらず同じ性犯罪に及んでいたことや犯行態様の悪質性から求刑を上回る判決が言い渡されたようです。

ところで、この再犯防止プログラムは、2004年に奈良市で起きた小学生女児の殺害事件がきっかけとなり、2006年から導入されたものです。性犯罪につながる認知の偏り、自己統制力の不足等の自己の問題性を認識させ、その改善を図るとともに、再犯をしないための具体的な方法を習得させることを目的としています(犯罪白書より)。
受講の対象者は、性犯罪の傾向が進んでいると認められる受刑者や保護観察付きの執行猶予判決を受けた人で、一定の事由が認めらえる場合を除いて原則受講がき義務付けられています。

近年では、下着窃盗を繰り返す被告人に対し、検察が敢えて保護観察付執行猶予判決を求めるなど、性犯罪傾向が進んでいる人に対しては、検察、保護観察所が連携して裁判後も国の監視、監督下に置いて更生の道を歩ませようとする取り組みも行われています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

ページの上部へ戻る