示談強要が犯罪
示談強要と犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県小郡市に住むAさんは、会社の部下Vさんと仕事の進め方のことで口論となり、Vさんの胸ぐらをつかみ、左拳でVさんの顔面を殴る暴行を加え、結果、VさんにVさんの歯を折るなどの怪我を負わせてしまいました。しかし、Aさんは、会社上司の説諭から、自分に非があったことを認め、Vさんはまだ警察に被害届を出していないようでしたので、Vさんに謝罪し、被害弁償をして事を穏便に解決したいと考えました。そこで、Aさんは、会社上司を通じてVさんに、「謝罪したい」「被害弁償したい」旨を伝えたところ、会社上司を通じて、「お断りする」「警察に被害届を出す」と言われてしまいました。これに激高したAさんは、会社内部のメール機能を使って、Vさん宛に「謝罪、被害弁償を断るなんてどういうことだ」「断るとお前の将来どうなるか分かっているんだろうな」「おれが会社にこれなくすることぐらい簡単なんだぞ」などというメールを送って、謝罪や被害弁償に応じるように言いました。そうしたところ、Aさんは、福岡県小郡警察署に傷害罪、強要未遂罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~ 被害弁償、示談交渉は弁護士へ依頼 ~
何らかの犯罪を犯したとき、その事実を認める場合に、すみやかに被害者に謝罪、被害弁償をすることは加害者としての当然の義務といえるでしょう。そして、加害者にとっても、被害弁償からさらに進んで示談を締結することは、その後の刑事処分や裁判での量刑を決める要素として非常に大切になってきます。
被害弁償がなされ、示談が締結されている場合は、そうでないときに比べ、検察官が不起訴処分とする可能性、裁判官が裁判で執行猶予付き判決を言い渡す可能性は高くなるからです。
しかし、被害弁償、示談交渉は、直接ご自身でなさってはいけません。
直接被害者と接触することは、それ自身、罪証隠滅行為をとらえられかねず本件(傷害罪)での逮捕のリスクを高めてしまうことに繋がりかねません。また、あとでご説明するとおり、他の犯罪を引き起こしてしまう可能性もあります。さらに、何より被害者の処罰感情が厳しいことが通常であるため、被害弁償、示談交渉を円滑に進めることができません。仮に示談に応じてくれたとしても、内容、形式が適切なものかどうか判断がつかないことが多いかと思われます。
そこで、被害弁償、示談交渉を円滑に進めるためには、弁護士に依頼した方がよろしいかと思います。
~ 示談を強要すると犯罪? ~
直接示談交渉を行うと、別の犯罪に当たる行為もしてしまいかねませんから注意が必要です。たとえば、強要罪です。強要罪は刑法233条に規定されていますが、本件と関係する同条1項をご紹介いたします。
刑法223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して」とは「害悪の告知」と呼ばれ、一般に人を畏怖させるに足りる程度のものでなければなりません。Aさんの「おれが会社にこれなくすることぐらい簡単なんだぞ」というメールの意図が不明ですが、メールの前後関係などから「害悪の告知」とされてしまう可能性があります。また、被害弁償に応じるか、示談に応じるか否かは、Vさんの意思の事由ですから、これらを強要することは「人に義務のないことを行わせ」たことに当たるでしょう。
~ 示談交渉は弁護士にご相談を ~
先ほども申し上げましたが、示談交渉は弁護士にお任せください。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、円滑、適切な形で示談を成立させることが可能です。Aさんのように、本件とは別の犯罪で逮捕されるという事態も防ぐことができますし、本件での不起訴処分獲得の可能性も高くなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。