自販機のお釣りを盗んで窃盗罪

2019-08-13

自販機のお釣りを盗んで窃盗罪

自販機のつり銭窃盗について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県遠賀町に住むAさんは、自動販売機で缶コーヒーを買った後、「お釣りが残っていないかな」などと思って左隣の自動販売機の釣り受けを見たところ、100円硬貨数枚が入っているのに気が付きました。そこで、Aさんは、「タバコ代の足しにしよう」「誰も見ていないから盗んでも構わない」などと思って、その釣り受けに右手を入れ、中から硬貨を取り出しました。そして、Aさんは、そのまま持ち去ろうとしたところ、お釣りの取り忘れに気づいて戻ってきたVさんに行動の一部始終を目撃されており、Vさんから「釣りを返せ。」などと言われました。しかし、Aさんは怖くなってその場から逃走し、右手に持っていた硬貨を川に投げ捨てました。その後、AさんはVさんから被害届の提出のあった福岡県折尾警察署から窃盗罪で呼び出しを受けてしまいました。警察によると、Vさんは1000円札を投入して130円の缶コーヒーを購入し、釣り受けに硬貨は残されていなかったとのことだったので、被害金額を870円と特定したとのことでした。
(フィクションです。)

~ はじめに ~

子どもの頃、学校の帰りなどに「お金はないか」と自動販売機の釣り受けに手を入れ、何度か釣銭を手に入れた記憶があります。ですが、子どもだから見逃されていたからもしれませんが、その行為は窃盗罪に当たり得る行為ですから十分注意する必要があります。

~ 窃盗罪 ~

窃盗罪は刑法235条に規定されています。

刑法235条
 
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

ここで「他人の財物」とは、他人の占有する他人の物のことをいいます。「占有」とは。簡単にいうとその物(本件でいえば釣銭硬貨)に対する支配のことをいいます。この「占有」というためには、現実にその物を把持・監視している必要はなく、社会通念上支配力が認められるという場合ではあれば「占有」が認められます。
「窃取」とは、暴行・脅迫によることなく、占有者(本件の場合Vさん)の意思に反してその占有を排除し、目的物を自己又は第三者の占有に移すことをいいます。なお、自己の占有に移した時点で窃盗の「既遂」となります。本件では、Aさんが右手で硬貨を把持した時点で目的物を自己の占有に移したとみなされ既遂に達します。Aさんは、硬貨を川に投棄していますが、硬貨が現実に使用されたかどうかは窃盗罪の既遂、未遂には関係ありません。

~ 「占有」は誰の元に? ~

先ほど「占有」の話をしましたが、本件では、誰に「占有」が認められるのでしょか?
この点、本件では、釣り受けの硬貨は、Vさんが1000円札で130円の缶コーヒーを購入したお釣りであり、いったんは釣銭を取るのを忘れてその場を立ち去ったものの、その後、取り忘れたことに気づいて取りに帰っていることからすると、硬貨に対するVさんの「占有」はいまだ失われていないものと解されます。そこで、本件の「占有」はVさんにあるものと考えます。

では、Vさんが釣銭の存在に気づかず、その後も取りに戻らなかった場合はどうでしょうか?
その場合は、その自動販売機を管理する会社、所有者に硬貨の「占有」が移転するものと考えられます。そこで、この場合に硬貨を勝手に持ち帰った場合でもやはり窃盗罪が成立しますから注意が必要です。

~ 占有離脱物横領罪は? ~

なお、後者の場合(Vさんが釣銭の存在に気づかず、その後も取りに戻らなかった場合)、占有離脱物横領罪(1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料)が成立するとお考えになる方もおられるかもしれません。しかし、同罪は、あくまで、「占有」が離れた他人の物、を領得した行為を処罰する犯罪です。先ほどもご説明したとおり、後者の場合でもやはり「占有」は失われていませんから窃盗罪が成立します。

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