Archive for the ‘暴力事件’ Category
玄関ドアに落書きで建造物損壊罪
玄関ドアに落書きで建造物損壊罪
福岡県糸島市に住むAさんは,飲み会の帰り,酒に酔った勢いで,同市内に住むVさん方の玄関ドアに,持っていたラッカースプレーを用いて,赤色及び黒色のペンキを吹き付けて,「××××」,「△△△△」などと大書きしました。Vさんによると,玄関ドアの取り換え費用に約15万円かかったとのことです。Aさんは,後日,福岡県糸島警察署から建造物損壊罪で呼び出しを受けました。今後のことが不安になったAさんは,弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 建造物損壊罪 ~
建造物損壊罪は刑法260条に規定されています。
刑法260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は,5年以下の懲役に処する。
以下,ご説明いたします。
= 他人の建造物 =
「他人の」とは,他人所有のという意味です。「建造物」とは,屋蓋を有し,障壁又は柱材で支持されて土地に定着し,その内部に人が出入りできる構造を持つ家屋その他これに類する工作物をいうとされています。
* 「建造物」と「器物」の区別 *
「建造物」と器物損壊罪(刑法261条)の器物(規定上は「他人の物」)との区別は,分離に毀損を要するかによって決定されるとするのが通説・判例です。壁板などは,これを毀棄しなければ取り外すことはできないことから「建造物」です。他方,容易に取り外すことができる雨戸,畳,建具などは「建造物」ではなく,器物損壊罪の「他人の物」となります。
では,本件の玄関ドアはどうでしょうか?
確かに,玄関ドアは取り外しが可能ですから「建造物」ではなく器物損壊罪の「他人の物」に当たるような気がします。しかし,判例(平成19年3月20日
)は,玄関ドアの外界との遮断,防犯,防風,防音という玄関ドアの機能に鑑みて,玄関ドアを「建造物」であると判示しています。このように,近年では,「建造物」と「器物」との区別につき,単に分離に毀損を要するか,取り外しが可能か,といった点のみならず,その物の機能的側面も考慮して建造物と一体化しているかどうかという点も基準として加えるようになってきています。
= 損壊 =
「損壊」とは,建造物・艦船の実質を毀損すること,又はその他の方法で,それらの使用価値を滅却し,あるいは減損することをいいます。物理的に形態を変更又は滅却させる場合だけでなく,事実上その本来の用法・効用に従い使用することができない状態に至らせる場合も含まれます。最高裁は,落書き(平成18年1月18日),ビラ張り行為(昭和41年6月10日)も「損壊」に当たると判示しています。
~ 器物損壊罪との違い ~
上記で見たように,まず,「建造物」と「その他の物」の意味内容に違いがあります。その他,次の違いに注意が必要です。
= 罰則 =
器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」であるのに対し,建造物損壊罪は「5年以下の懲役」と罰金刑以下の刑の記載がありません。つまり,起訴されてしまえば正式裁判を受けなければなりませんし,逮捕・勾留されれば身柄拘束期間が長引くことも予想されます(他方,略式裁判によって罰金刑の命令を受けた場合,命令の告知と同時に釈放される)。
= 親告罪,非親告罪 =
器物損壊罪は,起訴するにあたり,告訴を必要とする親告罪です。他方,建造物損壊罪は非親告罪です。つまり,建造物損壊罪の場合,被害届や告発状によっても捜査を受けたり,起訴されたりする可能性があります。
~ いたずらでも罪に! ~
街中を歩いていると,壁などにスプレーで落書きされてあるのを見かけます。また,テレビやネットでは,学校の壁や重要な文化財などに落書きして逮捕されたというニュースを見たり聞いたりします。ちょっとしたいらずか感覚が重大事件に発展しかねませんから十分注意する必要がります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,建造物損壊罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは,0120-631-881までお気軽にお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
刑事事件や少年事件に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
職務質問と公務執行妨害罪
職務質問と公務執行妨害罪
福岡市博多区の路上を歩いていたAさんは,福岡県博多警察署の警察官から職務質問を受けました。
Aさんはその際,警察官から所持品検査を求められました。Aさんは,上衣の右ポケット内に大麻を隠匿していたことから,前方に立っていた警察官に体当たりしてその場から逃げ出しました。しかし,Aさんは追いかけてきた警察官数名に捕獲され,公務執行妨害罪の現行犯で逮捕されました。その後,Aさんは,大麻取締法違反(所持罪)でも逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~ 職務質問 ~
警察官職務質問執行法(以下,警職法)2条1項では
警察官は,異常な挙動その他の周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し,若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について,若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる
と規定されています。この規定に基づいて行う質問を職務質問といいます。
= 職務質問は拒否できる!? =
職務質問は任意で行われることが原則です。したがって,職務質問を拒否することはできます。しかし,警察官は拒否されたからといって「あっそうですか」などとあっさり拒否を認めてくれるわけではありません。なぜなら,警察官は,
拒否するからには,何か疑わしい事情・理由があるからだろう
と疑ってかかるからです。こう疑われたからには,警察官の質問から容易に逃げ出すことはできません。しかも,判例は,
職務質問の必要性,緊急性なども考慮した上,具体的状況の下で相当と認められる限度内での有形力の行使
を認めています。判例で許容された有形力の行使として
・職務質問中突然逃げ出した者を130メートル追跡し,背後から腕に手をかけて停止させた行為
・酒気帯び運転の疑いのある者が運転する車両のエンジンキーを回転してスイッチを切った行為
などがあります。これからすると,
・警察官が一定時間,職務質問対象者の前に立ちふさがる行為
・現場から離れる対象者について行くなどの行為
などは判例の許容する有形力の行使の範囲内であり適法と考えられます。これらの行為が許容されるならば,警察官の職務質問から容易に抜け出すことは簡単ではないでしょう。つまり,職務質問は,建前としては「拒否できる」とはいっても,実際上は「拒否できない」のが実情です。
= 違法な職務質問 =
しかし,違法な職務質問についてはきちんと異議を唱えていくべきです。例えば,あまり考えられませんが,
・手錠をかけて警察署に連行する行為
・数人で引っ張って警察署に連行する行為
・対象者の住居,敷地内に無断で立ち入る行為
はもはや職務質問の許容限度を超え,裁判官の令状を必要とするほどの行為ですから職務質問の行為としては違法と考えられます。
~ 職務質問と公務執行妨害罪 ~
職務質問の際,警察官に暴行などを加えて公務執行妨害罪で逮捕されるケースをよく見かけます。公務執行妨害罪は,公務員(警察官など)が職務の執行中,公務員に対して暴行又は脅迫を加えた場合に成立する犯罪です。法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり,これに対して暴行又は脅迫を加えた者は,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
ただし,公務員の職務は適法であることが条件とされています。違法な公務については保護する必要がないからです。職務質問の場面でも,仮に,警察官に違法行為が認められる場合には,たとえ警察官に暴行・脅迫を加えていたとしても公務執行妨害罪は成立しません。
職務質問時の警察官の対応に不満がある,納得いかないという方は,一度,弊所の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,職務質問の対応など刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

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過失傷害罪で告訴取消し
過失傷害罪で告訴取消し
北九州市若松区に住むAさん(31歳)は,交際中のVさん(28歳)と居酒屋へ行きました。AさんとVさんはお座敷の小さなテーブルを挟んで対面して座りました。Aさんは,そこで突然,Vさんから別れ話を突き付けられました。驚いたAさんは,Vさんに理由を聞きましたが納得できず,Vさんと口論となりました。そして,タバコを吸っていたAさんは,テーブルの上に置いてあったガラス製の灰皿を机の上に向けて叩きつけたところ,ガラスコップが割れ,破片の一部をVさんの顔面部に飛散させてしまいました。Vさんは,それにより,加療約10日間の前額部切創の傷害を負いました。後日,Aさんは,Vさんから福岡県若松警察署宛に告訴状が提出され,過失傷害罪で取調べを受けることになりました。
(フィクションです)
~ 過失傷害罪(刑法209条) ~
過失傷害罪は,刑法209条1項に規定されています。
刑法209条1項
過失により人を傷害した者は,30万円以下の罰金又は科料に処する。
同罪の「過失」とは,不注意により,人を傷害することに対する認識,認容(そうなっても構わない,仕方がないという意図)を欠いていることをいいます。「不注意」があったというためには,①傷害の発生を認識,予見することができ,②傷害の発生を回避するために必要な措置を講ずることができた,といえることが必要です。
まず,①についてですが,AさんとVさんは小さなテーブルを挟んで座っていたのですから,ガラスコップをテーブルに叩きつければガラスコップが割れ,破片が飛散してVさんに危害を与えるであろうことは容易に認識,予見できたと考えられます。また,②ガラスコップを叩きつけなければ,ガラスコップは割れなかったですし,ガラスコップを叩きつけないという行為は容易に取ることができます。
つまり,今回のケースでは,Aさんには「過失」ありと判断されるおそれが極めて高いです。
* 故意ありとされた場合は? *
過失ではなく故意がある(人の傷害に対する認識,認容がある)と判断された場合は傷害罪に問われるおそれがあります。傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。傷害罪は過失傷害罪と異なり親告罪(検察官の公訴提起(起訴)に告訴を必要とする罪)ではありません。
~ 過失傷害罪は親告罪 ~
検察官が公訴を提起(起訴)するにあたって被害者等の告訴を必要とする犯罪を親告罪といいます。そもそも,告訴とは,被害者等が捜査機関に対し,犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示をいいます。よって,親告罪が設けられたのは「被害者の処罰を求める意思」を尊重するためにあるとも考えられるのです。
刑法209条2項
前項の罪(過失傷害罪)は,告訴がなければ公訴を提起することができない。
* 刑法に規定される親告罪 *
刑法に規定される親告罪は,過失傷害罪の他にも,未成年者略取・誘拐罪(刑法224条),名誉棄損罪(刑法230条),侮辱罪(刑法231条),器物損壊罪(刑法261条)などがあります。
~ 親告罪で不起訴を目指すなら ~
先ほどもご説明したとおり,親告罪は被害者等の処罰意思を尊重する制度ですから,検察官が公訴を提起する前に被害者等が「処罰は望まない」「許してほしい」などといって告訴を取消すことができます。被害者等が告訴を取消せば,刑事処分は自動的に「不起訴(親告罪の告訴の取消し)」となります。
このように,被害者の方々の処罰感情を緩和させ,告訴を取消していただくには,まずは被害者の方々に誠心誠意謝罪した上で,示談交渉を開始し,お互い納得のいく条件で示談を成立させることが肝要かと考えます。交渉には様々な困難が伴いますし,のちのちのトラブルを防ぐには適切な内容・形式で示談を成立させる必要があります。そのためには弁護士の力が必要です。
* 起訴後を告訴を取消すことは可能か? *
起訴後に告訴を取消すことはできません(刑事訴訟法237条1項)。よって,示談による告訴取消しを目指す場合は,検察官の公訴提起(起訴)前に示談を成立させる必要があります。
刑事訴訟法237条1項
告訴は,公訴の提起があるまでにこれを取り消すことができる。
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少年事件と逆送の流れ(少年法20条の場合)
少年事件と逆送の流れ(少年法20条の場合)
福岡県柳川市に住むA君(17歳)は,傷害致死罪で福岡県柳川警察署に逮捕,検察庁に送致された後勾留されました。その後,A君の事件は家庭裁判所に送致されましたが,少年審判で「刑事処分相当」であるとして「逆送決定」が出てしまいました。A君は,現在,柳川警察署に収容されているようです。A君のご両親は今後のことが不安になって少年事件に詳しい弁護士に相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 逆送とは ~
逆送とは,家庭裁判所の調査の過程,あるいは少年審判で本人が20歳以上であることが判明したとき(少年法19条2項,23条3項),又は,家庭裁判所の審判において,刑事処分が相当であると判断されたとき(少年法20条1項),あるいは,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件(※)であって,その罪を犯したときに少年が16歳以上だったとき(少年法20条2項)に,事件を家庭裁判所から検察官に送致される手続のことをいいます。手続的には,検察官から家庭裁判所へ送られた事件が,再度,家庭裁判所から検察官の元へ送られるわけですから「逆」送と呼ばれています。
逆送されれば,成人と同様の刑事手続に移行します。正式起訴されれば,成人同様,正式裁判を受けなければなりませんし,裁判で有罪となり裁判が確定すれば刑に服さなければなりません。前科も付きます。
※ 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件
原則的に検察官への送致を義務付ける事件で「原則逆送事件」とも呼ばれています。1997年に少年が起こした「神戸児童連続殺傷事件」を受け,平成 12年の少年法改正により新設された規定です。故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件とは,殺人罪(刑法199条),傷害致死罪(205条),強盗致死罪,強盗殺人罪(刑法240条)などがあります。
~ 逆送後の流れ(少年法20条の場合) ~
逆送後の流れを図にすると以下のとおりです。
家庭裁判所による逆送決定(①)
↓
検察官送致(②)
↓
強制起訴(③)(※)
↓
裁判(④)
↓
判決(⑤)
= ①~②について =
少年法20条の場合,少年の身柄は拘束されている場合がほとんどでしょう。①の段階では,まだ「少年鑑別所」にいます。しかし,②の段階になると,少年の身柄の措置は「観護措置」から「勾留」に変わります(呼称も少年から被疑者に変わる)。そして,被疑者(少年)の身柄は,捜査の便宜上,「少年鑑別所」から警察の留置施設(留置場)へ移されることもあります。勾留の期間は,検察官が事件の送致を受けた日から数えて10日間です。期間の延長(最大10日間)はほとんど認められないでしょう。
= ②~③について =
②の段階に入ると,検察,警察による連日の取調べなどを受けます。そして,嫌疑が固まりしだい起訴されます(③)。
※ 強制起訴と呼ばれていますが,次の場合は,起訴しないこともできるとされています(少年法45条5号但書)。
・送致を受けた事件の一部について公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がないとき
・犯罪の情状等に影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため,訴追を相当でないと思料するとき
・送致後の情況により訴追を相当でないと思料するとき
= ④~⑤について =
起訴されれば,成人と同様の刑事手続で刑事裁判を受けなければなりません。事件が裁判員裁判対象事件である場合は,一般市民である裁判員6名の参加する合議体によって裁判が行われます。ただし,少年に対する刑事事件の審理は,少年のプライバシー等に配慮して行わなければならないとされています(少年法50条)。また,マスコミ等に対しては,刑事被告人が本人であることを推知させる記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならないことを求めている(少年法61条)など,一定の配慮をしています。
~ 本件における弁護活動 ~
逆送決定自体に対する不服申し立ては認められないと解されています。そこで,まずは,逆送決定が出る前に,少年の環境調整を行うなどして家庭裁判所(あるいは調査官に)に逆送決定は相当でない旨の意見書を提出します。
次に,②段階での勾留に対する不服申し立て(準抗告)をすることが考えられます。不服申し立てが認められた場合は釈放されます。
起訴された場合は,裁判で,懲役刑や禁錮刑などの刑事罰ではなく,保護観察や少年院送致などの保護処分が相当である旨の主張を行います。この主張を行う前提として,当然,少年の環境調整を行っておく必要があることはいうまでもありません。この主張が認められた場合は,事件は再び家庭裁判所へ移送されます(55条移送)。
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殺人罪と傷害致死罪
殺人罪と傷害致死罪
北九州市若松区に住むAさんは,福岡県若松警察署に殺人罪で逮捕されました。Aさんと接見しAさんから細かく話を聴いた弁護士は,Aさんに殺意が認められず傷害致死罪の成立を主張していこうかと検討しています。
(フィクションです)
~ はじめに ~
殺人罪と傷害致死罪は,同じ「死」という結果を発生させた点では同じです。では,殺人罪と傷害致死罪はどこで区別されるのか?殺意はどのような要素から認定されるのかご紹介したいと思います。
~ 殺人罪,傷害致死罪とは? ~
殺人罪は刑法199条に規定があります。
刑法199条
人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
非常に簡素な規定です。これからすると「人」を「殺す行為」があれば殺人罪が成立しそうです。
次に,傷害致死罪は刑法205条に規定があります。
刑法205条
身体を傷害し,よって人を死亡させた者は,3年以上の有期懲役に処する。
これもまた簡素な規定です。「傷害」とは,要は怪我をさせた,ということです。ただし,怪我をさせる過程には次の2パターンがあります。つまり
・傷害の故意(怪我をさせる意図)で怪我をさせた場合(1パターン)
・暴行の故意(怪我をさせる意図はなく)で怪我をさせた場合(2パターン)
です。2パターンの場合でも,結果的に傷害の結果が生じ,それが原因で死亡させた場合は傷害致死罪に問われることになります。
~ 殺人罪と傷害致死罪の分水嶺 ~
傷害致死罪は,人に怪我させる意図(1パターン),暴行を加える意図(2パターン)で結果的に「死」という結果を発生させた場合に成立する罪です。ですから,殺人罪との区別は
人を殺す意図があったかなかったか(殺意の有無)
で区別されます。
包丁を持ち出し,「殺してやる」などと思って人の心臓を刺して死亡させた場合は殺人罪が成立します。他方,包丁は持ち出しても,腕を切り付ける意図しかなかったものの,偶然,心臓に突き刺してしまったというような場合は傷害致死罪が成立します。
~ 殺意の認定要素 ~
殺意とは,要は「人の内心」ですから,本人が語らなければ殺意があったかどうか認定することは難しくなります。しかし,本人が語らないからといって全て傷害致死罪とすることは,真実発見を目的とした刑事手続,刑事裁判の存在意義にも反します。そこで,刑事実務では,概ね次の要素から殺意を推認することとしています。
・被害者の受傷の部位(死に至る危険性が高い部位であればあるほど殺人罪に傾く)
・受傷の程度(例えば,包丁の場合,どの程度まで体内に入り組んでいるか。深ければ深いほど殺人罪に傾く)
・犯行道具の有無(包丁,日本刀,拳銃など死の結果を発生させる危険度の高い道具を使った場合は殺人罪に傾く)
・犯行に至るまでの経緯(計画性が高い場合は殺人罪,偶然性・突発性が高い場合は傷害致死罪に傾く)
・犯行時の加害者の言動(「殺すぞ」「死ね」などと言っていた場合は殺人罪に傾く)
・犯行後の言動(現場から逃走した場合は殺人罪に傾きますし,救護措置を取っていた場合は傷害致死罪に傾きます)
もちろん,以上の要素が全てではありませんし,特定の要素がそろったからといって殺人罪あるいは傷害致死罪になると決められているわけでもありません。刑事裁判では,最終的には,これらの要素を総合考慮して裁判官が判断します。
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強要罪と執行猶予
強要罪と執行猶予
福岡県大川市に住むAさんは,福岡県筑後警察署に強要罪で逮捕され,その後起訴されました。まさか起訴されるとは思っていなかったAさんのご両親でしたが,Aさんが5年前に犯した暴行罪で罰金刑を受けていることから,今度は裁判で執行猶予を獲得できるのか,刑事事件に強い弁護士に相談しました。
(フィクションです)
~ 執行猶予とは ~
皆さんもご存知のように,執行猶予とは,その罪で有罪ではあるが,言い渡された刑(懲役刑,罰金刑)の執行を一定期間猶予する(見送る)ことをいいます。たとえば,懲役刑を受けた方であれば,刑の確定後,猶予期間中に犯罪などしなければ刑務所に入らなくて済みますし,罰金刑を受けた方であれば,罰金を納付する必要はありません。
= 執行猶予を受けるための要件 =
執行猶予を受けるための要件は,刑法25条1項に規定されています。
刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは,情状により,裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間,その刑の全部の執行を猶予することができる
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
つまり,執行猶予を受けるには
1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号,あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること
が必要ということになります。
= 強要罪ではどうか? =
* 上記1の点 *
まず,上記1からすると,執行猶予を獲得する可能性があるかどうか,その可能性はどの程度のものかどうか知るには,犯した罪について定められている刑(法定刑)を確認する必要があります。
この点,強要罪は刑法223条に規定があります。
刑法223条1項
生命,身体,自由,名誉若しくは財産に対して害を加える旨を告知して脅迫し,又は暴行を用いて,人に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害した者は,3年以下の懲役に処する。
これからすると,強要罪だけで処罰される場合は,3年以上の懲役に処せられることはありませんから,上記1の要件を満たすことになります。
* 上記2の点 *
「前に」とは,執行猶予判決を言い渡される前にという意味です。「禁錮以上の刑に処せられた」とは,禁錮以上の刑を言い渡した判決確定したことをいうのであって,その確定判決の執行を受けたことを意味しませんから,刑の執行を猶予された場合も含まれます。つまり,刑法25条1項1号の「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」とは,
・なんら前科のない人
・前科があっても罰金刑(実刑,執行猶予付きを含む)以下の前科を有する人
を意味することになります。なお,裁判を受けたものの無罪判決を獲得し,その裁判が確定した人も「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に含まれることはいうまでもありません。Aさんの場合,前科こそ有するものの,その内容とは罰金刑ということですから,刑法25条1項1号の「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に当たります。
* 上記3について *
「情状」は,犯罪そのものに関する情状(犯情)とその他の一般情状に区別されます。犯情とは,犯行動機・態様,被害結果などの要素があり,犯行が終わった後ではいかんともしがたい事実です。他方,一般情状とは,
・被害弁償(示談)の有無,被害感情
・被告人の反省の有無
・反省の態度,更生可能性(被告人の更生意欲や家族等の支援,就職先の確保等),再犯可能性(前科前歴の有無,常習性の有無,犯行原因の消滅等)
などの要素があります。
~ 執行猶予を獲得するためには? ~
執行猶予を獲得するためには,上記1から3の要件を満たさなければならないことはお分かりいただけたと思いますが,上記1,2については弁護活動によってもどうすることもできません(前科があったことをなかったとすることはできません)。他方で,上記3の情状,特に一般情状に関する事実については,犯行後,逮捕後,起訴後でも弁護活動によって有利にもっていくことが可能です。
例えば,被害者との示談交渉がその一例でしょう。示談交渉によって,上手く示談を成立させることができれば,被告人に有利な情状として認められ(上記3の要件に該当し),執行猶予を獲得できる可能性は高まるといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,強要罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件での執行猶予獲得をお考えの方は,フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。

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遊び半分が威力業務妨害罪
遊び半分が威力業務妨害罪
福岡県古賀市に住むAさんは,遊び半分のつもりで,営業中の路線バスの運転手であるVさんに向けてレーザーポインターの光を照射しました。そうしたところ,通報を受け駆け付けた福岡県粕屋警察署の警察官に暴行罪及び威力業務妨害罪の容疑で逮捕されました。Aさんの家族は,刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼し,Vさん及びバス会社との間で示談をしたいと考えています。
(事実を基にしたフィクションです)
~ Vさんに対する暴行罪 ~
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
= 暴行とは? =
「暴行」とは,人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
素手で殴ったり足で蹴ったりする行為や,バットや竹刀などの武器を用いて殴打する行為がその典型といえるでしょう。また,直接,人の身体に接触しない行為,例えば,
・狭い部屋の中で日本刀を振り回す行為
・音や光,電気や冷気などのエネルギーを用いた行為(例えば,大太鼓を耳元で連打したという行為)
も「不法な有形力の行使」に当たると判示した裁判例があります。
これからすると,Aさんの行為も「不法な有形力の行使」といえ,暴行罪の「暴行」に当たるといえそうです。
= 暴行罪が成立する場合とは? =
暴行罪が成立するには,「暴行の故意」,あるいは「傷害の故意」(怪我させてやろう,あるいはするかもしれないという意図)が必要です。しかし,後者の場合は結果として「傷害するに至らなかった」ことが必要です。反対に,「暴行の故意」で暴行を加えたものの,結果として傷害(怪我等)が発生した場合は暴行罪ではなく傷害罪(刑法204条)が成立します。
~ バス会社に対する威力業務妨害罪 ~
刑法234条
威力を用いて人の業務を妨害した者も,前条の例による。
刑法233条
(略)偽計を用いて,人の信用を毀損し,又はその業務を妨害した者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
= 威力とは? =
「威力」とは,犯人の威勢,人数・四囲の状勢などからみて,人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことをいいます。暴行・脅迫に場合はもちろん,地位・権勢を利用して威迫する場合なども含まれます。
これからすると,Aさんの行為は「暴行」に当たりますので「威力」に当たるでしょう。
= 人の業務とは? =
「人」とありますが,自然人のみならず法人・法人格を有しない団体も含まれます。
「業務」とは,人が社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う事務をいいます。電車,バスの運行はまさに「業務」の典型といえるでしょう。
これからすると,本件では,Vさんが所属するバス会社の運行業務が「人の業務」に当たるでしょう。
= 妨害とは =
業務の執行自体を妨害する場合に限らず,ひろく業務の経営を阻害する一切の行為を含むとされています。通説・判例は,業務妨害の結果を発生するおそれのある行為をすれば足り,現実のその結果の発生したことを要しないとしています。
本件でいえば,必ずしも,バスを停止させたとか,停止させたことにより運行に支障が生じたなどということは必要ないということになります。ですが,その可能性も残されており,Aさんの行為は業務の執行を妨害するおそれがある行為として「妨害」に当たる可能性があるでしょう。
~ 終わりに ~
以上からすれば,Aさんの行為は威力業務妨害罪に当たる可能性は十分にあるといえます。Aさんとすれば遊び半分で行ったつもりでしょうが,場合によっては,遊び半分が犯罪に当たることもあり得ます。最悪の場合,逮捕されることもありますから,普段の行動には十分注意する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,威力業務妨害罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

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刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
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名誉毀損罪で警察から呼び出し
名誉毀損罪で警察から呼び出し
Aさんは,学生時代の友人であるVさんが有名会社Xの社長になったという話を聞いて,これを妬ましく思い,インターネット掲示板に「X社の社長には愛人が複数人存在する」という書き込みをしてしまいました。後日,Aさんは,福岡県西警察署から名誉毀損罪の件で呼び出しを受けました。Aさんはどうしていいか困り,刑事事件専門の弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 名誉毀損罪(刑法230条) ~
刑法230条1項
公然と事実を摘示し,人の名誉を棄損した者は,その事実の有無にかかわらず,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
= 「公然と」とは =
「公然と」とは,不特定又は多数人が認識できる状態をいい,必ずしも現実に認識したことは必要ではありません。
特定であっても多数であれば,あるいは,少数であっても不特定であれば,「公然と」と言えることになり,特定かつ少数である事のみが「公然と」から除外されることになります。
もっとも,特定かつ少数人に対する事実の摘示であっても,それが不特定多数人へと伝播する可能性があれば「公然と」に当たると考えられており(伝播性の理論),直接には2,3人に告げたに過ぎないという事案について「公然と」といえると判断した裁判例があります。
Aさんのように,インターネット掲示板へ書き込む行為は,インターネット掲示板はインターネットにアクセスできる人であれば誰もが閲覧できますので,これへの書き込みは「公然と」に当たるでしょう。
= 「事実を摘示し」とは =
「事実を摘示」とは,人の社会的評価を低下させるに足りる具体的な事実を表示することをいいます。
ここでの事実は,真実又は虚偽のいずれであってもよく,公知の事実であっても良いと考えられています。
「愛人が複数人存在する」という事実は,民法上倫理上許されるべきものではないことから,その人の評価を低下させるに足りる具体的な事実であるといえ「事実を摘示し」に当たるでしょう。
= 「人」とは =
「人」には,自然人だけでなく法人その他の団体をも含みます。
被害者は特定されている必要がありますので,例えば,「福岡県民は詐欺をしている」などと漠然とした集団・団体に対する名誉毀損罪は成立しない可能性が高いです。
Aさんは「X社の社長」と摘示したのみで,「Vさん」と摘示したわけではありませんが,通常,会社の社長は一人しかいませんから,「X社の社長」と摘示すれば被害者は特定されたことになるでしょう。
= 「名誉を毀損」とは =
「名誉」とは人の社会的評価又は価値のことをいいます。「毀損」とは,人の社会的評価又は価値を低下させることをいいます。ただし,その評価が現実に害されたことを必要とするものではなく,これが害されるおそれのある状態が発生したことで足りると考えられています。
「愛人が複数人存在する」と摘示すれば,通常,人の社会的評価は低下すると言えますので,「名誉を棄損」したに当たるでしょう。
~ 名誉棄損罪が成立した場合の例外 ~
以上から,Aさんの行為は名誉棄損罪に当たる可能性が高いです。
しかし,名誉毀損罪に当たる行為であっても,
① 「公共の利害に関する事実」であって,
② 摘示行為の目的が公益を図ることにあったと認められ,
③ 摘示された真実であったことの証明があったとき
は処罰されません(刑法230条の2)。
これは,名誉毀損罪による個人の名誉の保護と,新聞や雑誌など報道機関などの言論の自由の保証との調和図るための規定です。
ただ,本件では,AさんはVさんを妬ましく思ったことから上記の行為をとっており,公益を図ると目的はおよそ認められない(上記②の要件を欠く)として,名誉毀損罪で処罰される可能性が高いでしょう。
~ 最後に ~
名誉棄損罪は,被害者の告訴がなければ公訴提起(起訴)できない親告罪です。名誉棄損罪による処罰を免れたい方は,まずは被害者に謝罪し,示談交渉をはじめることが肝要です。示談を成立させるには,法律の専門家である弁護士の力が必要といっても過言ではないでしょう。
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北九州市門司区の暴行事件
北九州市門司区の暴行事件
福岡県北九州市門司区に住むAさんは,職場の同僚であるVさんの胸ぐらをつかんだ暴行罪の容疑で福岡県門司警察署から呼び出し受けました。Aさんとしてはまさか刑事事件に発展するとは思ってもおらず,慌てて刑事事件に強い弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 暴行罪 ~
暴行罪の規定は以下のとおりです。
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
以下,どんな行為が暴行罪の「暴行」に当たるのか,傷害罪との違いはどの点にあるのかなどについて解説いたします。
= どんな行為が暴行罪の「暴行」に当たるのか =
暴行罪の「暴行」とは,人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。もっとも典型なのが
殴る,蹴る,突く,押す,投げ飛ばすなど
直接人の身体に触れる行為が挙げられます。もっとも,暴行罪の「暴行」は直接人の身体に触れる行為に限らず,
・着衣を強く引っ張る行為
・胸ぐらをつかむ行為
・人に向かって石やガラスコップを投げる行為,棒を振りかざす行為
・毛髪等を切断する行為
・室内で太鼓等を連打する行為
・耳元で拡声器を通じて大声で怒鳴りつける行為
・狭い室内で日本刀を振り回す行為
などがあります。また,最近では,自動車のあおり運転が話題となっていますが,あおり運転行為も暴行罪の「暴行」に当たることがあります。
= 傷害罪との違い =
次に,暴行罪と傷害罪の違いについて解説いたします。
・結果の違い
暴行罪は暴行を加えたが怪我が発生しなかったときに成立し,傷害罪は暴行を加え怪我(傷害)が発生したときに成立します。通常,怪我の有無は医師の診断書に基づいて認定されます。
・法定刑,量刑の違い
暴行罪は2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料で,傷害罪は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。量刑にも大きく影響します。通常,初犯者の場合,暴行罪では罰金10万円から20万円が相場ですが,傷害罪ではそれより高額か,あるいは正式裁判で懲役刑を言い渡されることもあります。
~ 暴行罪の刑事弁護 ~
暴行罪でも逮捕されることはあります。逮捕されれば,長期間身柄を拘束されることもありますし,長期間身柄を拘束されれば生活に大きな影響が出ることは間違いありません。では,このような事態を回避するためには,どんな弁護活動が必要なのでしょうか?
= 暴行事実を認める場合 =
被害者に真摯に謝罪することから始まります。本来なら,直接会って謝罪することが筋でしょうが,被害者がこれを拒否するのであれば謝罪文を郵送する等の方法が考えられます。しかし,その内容によっては,被害者の気持ちを逆なでしてしまうおそれもありますから,謝罪文の内容は弁護士にチェックしてもらった方がいいでしょう。次に,示談交渉に入ります。しかし,ここで被害者と直接会うことは避けた方が無難です。謝罪文同様,被害者の気持ちを逆なでして示談交渉が決裂してしまうおそれがあるからです。やはり,弁護士に間に入ってもらう方がスムーズに示談交渉を進めることができます。
= 暴行事実を認めない場合 =
まずは,被疑者,被害者,目撃者がいる場合は目撃者から話を聴くなどして事実関係を確かめます。そして,その結果を意見書などの書類にまとめ,刑事処分を決める検察官に提出し,不起訴処分,早期釈放を求めます。仮に,起訴され,裁判となった場合でも,証人尋問等で被害者,目撃者の証言の信用性に疑いを生じさせ,無罪判決を獲得しなければなりません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,暴行罪,傷害罪等の刑事事件・少年事件を専門の法律事務所です。お困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

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刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
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公務執行妨害罪で逮捕
公務執行妨害罪で逮捕
Aさんは,知人のBさんが福岡県八幡東警察署の警察官Vさんから職務質問を受けているのを見てこれを助けようと思い,Vさんを背後から押し倒しました。そうしたところ,Aさんは,周囲にいた警察官により,公務執行妨害罪で逮捕されました。Aさんが逮捕されたことを知ったAさんの家族は,刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(フィクションです)
~ 公務執行妨害罪(刑法95条1項) ~
刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり,これに対して暴行又は脅迫を加えた者は,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
= 公務員 =
「公務員」とは,日本国内の公務員を指します。警察官は多くの場合「地方公務員」に当たります。
= 職務 =
「職務」については,条文の文言上明示されてはいませんが,適法であることが必要と解されています。
本件の「職務」とは,警察官の職務質問を指しますが,職務質問は警察官職務執行法2条1項に規定されています。それによれば,
警察官は,異常な挙動その他の周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し,若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について,若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる
とされています。「停止させて」の意義について,純粋に相手方の任意であることが必要なのか,ある程度の警察官の実力行使を許容するものなのか問題となりますが,判例は,(職務質問の)必要性,緊急性なども考慮した上,具体的状況の下で相当と認められる実力行使は許容されるとしています。したがって,警察官の職務質問が判例が示す基準の範囲内に収まる限り適法とされるでしょう。
= 執行するに当たり =
「執行するに当たり」とは,職務執行に際してという意味で,現に執行している場合に限らず,まさにその職務の執行に着手しようとする場合やそれを終えたばかりの段階も含みます。また,公務執行妨害罪は公務員ではなく公務を保護する犯罪ですから,公務員が休暇中の場合は「執行するに当たり」には当たりません。
= 暴行・脅迫 =
一般的に,「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使を,「脅迫」とは人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいうとされています。ただ,公務執行妨害罪は,公務の円滑な執行を保護する犯罪ですから,公務執行妨害罪の「暴行」「脅迫」は,公務員の身体に対して直接加えられる有形力の行使(直接暴行)に限られず,公務員に向けられてはいるが直接公務員の身体に対して加えられたものではない有形力の行使(間接暴行)をいうとされており,通常の「暴行」「脅迫」よりも概念が若干広くなっています。
では,具体的にどのような行為が公務執行妨害罪の「暴行」・「脅迫」に当たるでしょうか。
・公務員を押し倒す行為
→直接暴行に当たります。
・警察官が適法に差し押さえた証拠物を踏みつけて破壊するという行為
→間接暴行に当たります。このように,直接は物に対する行為であっても公務員に対する行為と認められれば公務執行妨害罪の「暴行」に当たります。
・警察官から職務質問を受けている友人の手を掴んで逃走しようとした結果,警察官がこれを追いかける途中に転んでけがをした場合
→「暴行」には当たりません。警察官に向けられた有形力を行使とは言えないからです。
ところで,公務執行妨害罪の「暴行」「脅迫」は,職務執行の妨害となるべき程度のものでなければなりませんが,同罪はあくまで公務の円滑な執行を保護するものでありますから,現実に職務が妨害されたことまでは必要とされていません。
~ 最後に ~
公務執行妨害罪で逮捕された場合には,早い段階で刑事弁護に強い弁護士に初回接見を依頼することをお勧めします。早い段階で初回接見を依頼することで、身柄開放活動や執行猶予の獲得など,今後の弁護方針の見通しをは役に立てることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,公務執行妨害罪をはじめとする刑事事件専門法律事務所です。ご家族が刑事事件で逮捕されお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。

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