DV法と保護命令①

2019-04-05

DV法と保護命令①

北九州市小倉北区に住むAさんは,妻Vさんと口論となり,Vさんの顔面や腹部等を足蹴にするなどの暴行を加え,Vさんに加療約1か月間を要する傷害を負わせた傷害罪で福岡県小倉北警察署に逮捕されてしまいました。その後,Aさんは勾留期間中に,VさんからDV法に基づき保護命令の申し立てをされました。
(フィクションです)

~ DV法とは ~

DV法とは,正式名称,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律といいます。
DV法では,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的として,配偶者からの暴力に係る通報,相談,保護,自立支援等に関する規定を設けており,平成26年1月3日から施行されています。

夫婦間での暴力・傷害事件では,相手方から保護命令というものを申し立てられることがあります。そこで,今回は,DV法に基づく保護命令に関しご紹介いたします。

~ 保護命令とは ~

DV法では「保護命令」に関する規定を設けています。
保護命令とは,相手方(Aさん)からの申立人(Vさん)に対する身体への暴力を防ぐため,裁判所が相手方に対し,申立人に近寄らないよう命じる決定のことをいいます。

= どんな決定が出るの? =

まずは,①接近禁止命令,②退去命令を受けることが考えられます。
①接近禁止命令とは,6か月間,申立人の身辺につきまとったり,申立人の住居(同居する住居は除く。)や勤務先等の付近をうろつくことを禁止する命令です。②退去命令とは,申立人と相手方とが同居している場合で,申立人が同居する住居から引越しをする準備等のために,相手方に対して,2か月間家から出ていくことを命じ,かつ同期間その家の付近をうろつくことを禁止する命令です。

= その他の命令は? =

その他の命令として③子へ接近禁止命令,④親族等への接近禁止命令,⑤電話等禁止命令があります。③から⑤の命令は,必要な場面に応じて被害者本人への接近禁止命令の実効性を確保する付随的な制度ですから,単独で発令されることはなく,申立人に対する接近禁止命令が同時に出る場合か,既に出ている場合のみ発令されます。

③子への接近禁止命令とは,子を幼稚園から連れ去られるなど子に関して申立人が相手方に会わざるを得なくなる状態を防ぐため必要があると認められるときに,6か月間,申立人と同居している子の身辺につきまとったり,住居や学校等その通常いる場所の付近をうろつくことを禁止する命令です。
④親族等への接近禁止命令とは,相手方が申立人の実家など密接な関係にある親族等の住居に押し掛けて暴れるなどその親族等に関して申立人が相手方に会わざるを得なくなる状態を防ぐため必要があると認められるときに,6か月間,その親族等の身辺につきまとったり,住居(その親族等が相手方と同居する住居は除く。)や勤務先等の付近をうろつくことを禁止する命令です。
⑤電話等禁止命令とは,6か月間,相手方から申立人に対する面会の要求,深夜の電話やFAX送信,メール送信など一定の迷惑行為を禁止する命令です。

= 誰が申立てできるのか? =

被害者です。ここでいう「被害者」とは,配偶者(Aさん)からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫(被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫)を受けた者のことをいいます。

= どのような場合に申立される(できる)のか? =

基本的には申立て現在において婚姻関係にあることが必要ですが,離婚をし,婚姻関係が解消された場合でも申立てされることがあります。

* 婚姻関係にある場合 *

身体への暴力(性的暴力・精神的暴力はこれに含まれません。)又は生命・身体に対する脅迫を受けた申立人が,今後,身体に対する暴力を受けて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき。

* 婚姻関係が解消されている場合 *

暴力・脅迫を受けた申立人が,離婚をし,又はその婚姻が取り消された場合にあっては,当該配偶者であった者から引き続き身体に対する暴力を受けて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき。つまり,この場合,以前に受けた暴力・脅迫を基に保護命令を申し立てられるのであって,婚姻関係解消後の暴力・脅迫を基に保護命令を申し立てられることはありません。

次回は,DV法に規定されている罪などについてご紹介いたします。

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