【暴力事件】傷害致死罪と正当防衛~福岡県田川市

2019-12-26

傷害致死罪と正当防衛

傷害致死罪と正当防衛について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

 福岡県田川市に住むAさんは、夫Vさんから日常的にDVを受け続けていました。そこで、Aさんは今後夫から暴力を振るわれたときにそなえて常にバタフライナイフをズボンのポケットに隠し持っていました。そして、ある日、AさんはまたVさんから殴りかかられそうになりました。そこで、Aさんはズボンのポケットからバタフライナイフを取り出し、Vさんに示して「近づいたら殺すぞ。」などと言ってVさんを脅しました。しかし、それでもAさんはVさんから襲いかかられそうになったことからとっさにバタフライナイフを突き出したところ、ナイフがVさんの心臓部に突き刺さってしまいました。AさんはVさんが大量の血を流しながらその場に意識のない状態で転倒したことから、「大変なことをしてしまった。」と思い、自ら110番、119番通報したところ、駆け付けた福岡県田川警察署の警察官により傷害罪で緊急逮捕されてしまいました。また、その後、搬送先の病院でVさんの死亡が確認され、Aさんに対する容疑は傷害罪から傷害致死罪に切り替わりました。

(フィクションです。)

 ~ 傷害致死罪 ~

 傷害致死罪は刑法205条に規定されています。

 刑法205条

  身体を傷害し,よって人を死亡させた者は,3年以上の有期懲役に処する。

 「傷害」の意味については様々な説がありますが、人に怪我をさせることが「傷害」に当たることは明らかです。

これからすると、AさんがVさんの身体にバタフライナイフを突き刺す行為は「傷害」に当たります。

加えて、傷害致死罪は「死亡」という結果が発生し、「傷害」と「死亡」との間に因果関係が存在してはじめて成立します。

 

では、殺人罪(刑法199条)はどうでしょうか?

殺人罪と傷害致死罪の適用と分ける大きな要素は、殺意の有無です。

殺意が認められれば殺人罪、殺意が認められなければ傷害致死罪です。

殺意とは,要は「人の内心」ですから,被疑者・被告人の供述のほか、以下の要素から認定されていきます。

 

・被害者の受傷の部位

・受傷の程度

・計画性の有無

・犯行道具の有無

・犯行に至るまでの経緯

・犯行時の加害者の言動

・犯行後の言動

 

この点、確かにAさんはバタフライナイフという大変危険な凶器を使用しています。

しかも、普段からこのナイフをズボンのポケットに忍ばせていた、というのです。

この点だけ見れば確かに、Aさんに殺意が認められてもおかしくはなさそうです。

しかし、AさんはVさんから日常的にDVを受け続けており、万が一のときにそなえてズボンに忍ばせていたのです。

また、実際にVさんから殴りかかられそうになったときも防御に終始しており、Vさん殺害のために積極的にナイフを使った、とは言い難いです。

したがって、この点をも含めて考えると殺意は否定される方向に働きそうです。

 

~ 正当防衛 ~

 また、仮に傷害致死罪が成立するとしても、正当防衛の成否を検討しなけばなりません。

正当防衛は刑法36条1項に規定されています。

 

刑法36条1項

 

①急迫②不正の③侵害に対して、④自己又は他人の権利を防衛するため、⑤やむを得ずにした行為は、罰しない

※数字は筆者が記載

 

AさんはVさんから殴りかかられそうになった、というのですから①急迫、②不正の③侵害、を受けたことは明らかです。

問題は④と⑤です。

 

~ ④自己又は他人の権利を防衛するため ~

 ここでよく問題となるのは、防衛の意思(身を守ろうとする意思)があったか否か、という点です。

 防衛の意思○→正当防衛成立

防衛の意思×→正当防衛不成立

 ~ ⑤やむを得ずにした行為 ~

 誤解を恐れず言うと「やり過ぎたらダメ」ということです。

 やり過ぎではない→正当防衛成立

やり過ぎ→正当防衛不成立

 通常、攻撃者(Vさん)が素手であるのに対し反撃者(Aさん)が武器の場合は「やり過ぎ」と評価されるでしょう。

しかし、本件のように日頃DVを受けていた体格的のも劣る女性のAさんが、素手で襲い掛かってくる男性Vさんに武器で対抗した場合はどうでしょうか?

この場合、Aさんとしては素手で対抗してもまたVさんから暴力を受ける可能性が高かったといえます。

また、Aさんの防御態様としては、ナイフをVさんに示すにとどまっています。

したがって、この場合、「やり過ぎ」と評価することは困難です。

 具体的状況にもよりますがAさんに正当防衛が成立する可能性もあります。

詳細は弁護士に相談しましょう。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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