保護命令下での未成年者略取罪

2019-04-24

保護命令下での未成年者略取罪

会社員のAさん(37歳)は,大牟田市内の一軒家で,妻(33歳)と長女(3歳)の3人で暮らしています。しかし,Aさんは,日頃の妻に対する不満などから日常的に暴力を繰り返すようになり,お互い別居することとなりました(長女は妻が引き取る)。そして,Aさんは,ある日突然,裁判所から「保護命令」を受けました。その内容を見ると,「6か月間,申立人(妻)の身辺につきまとったり,申立人の住居や勤務先等の付近をうろつくことを禁止する」「6か月間,申立人と同居している子の身辺につきまとったり,住居や学校等その通常いる場所の付近をうろつくことを禁止する」と書かれておりました。一方的に保護命令を申し立てられたことや,子供との接触を禁止されたことに激怒したAさんは,妻と長女が住む自宅へ行き,妻が不在の間に長女を無理矢理自宅へ連れ戻しました。その後,Aさんは,未成年者略取罪福岡県大牟田警察署に逮捕されてしまいました。そこで,Aさんの両親が,弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ 保護命令とは ~

保護命令とは,裁判所が,被害者からの申し立てに基づき,その生命又は身体に危害を加えられることを防止するため,相手方に対し,次の行動をしてはならない旨の命令をいい,要件や手続等は,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律という法律に規定されています。

①被害者への接近(つきまとい,住居,勤務先その他通常所在する場所の付近のはいかい)
②被害者と生活の本拠としている住居からの退去及び当該住居付近のはいかい
③被害者への電話等
④子への接近
⑤親族等への接近

* 保護命令に違反したら? *

保護命令に違反したら,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律29条により処罰される可能性があります。法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。

~ 未成年者略取罪とは ~

未成年者略取誘拐罪は刑法224条に規定されています。関連する規定をご紹介します。

刑法224条
 未成年者を略取し,又は誘拐した者は,3月以上7年以下の懲役に処する。

刑法229条
 第224条の罪(略)は,告訴がなければ公訴を提起することができない。

「略取」とは,略取された者の意思に反する方法,すなわち暴行,脅迫を手段とする場合や,誘惑に当たらない場合でしかも相手方の真意に反する方法を手段として,未成年者を自分や第三者の支配下に置くこと,「誘拐」とは,欺罔(騙すこと)や誘惑を手段として,他人を自分や第三者の支配下に置くことをいいます。「誘拐」と「略取」とをあわせて「拐取」ということもあります。

* 未成年者誘拐罪は親告罪 *

刑法229条からわかるように,本罪は告訴がなければ公訴提起(起訴)できない親告罪です。よって,すでに捜査機関に告訴が提出されている場合,告訴を取消してもらうことによって公訴提起(起訴)及びその後の刑事裁判を回避することができます。

~ 本件の弁護活動 ~

まずは,妻と示談交渉を始め,示談成立を目指します。示談を成立させることができれば,妻に告訴を取消してもらえる可能性が高くなります。その場合,弁護士が間に入ることが必要です。本件のような場合,当事者同士では,まず示談を成立させることは期待できないでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,未成年者略取罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

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