未成年者誘拐罪で告訴取消し

2019-01-11

未成年者誘拐罪で告訴取消し

福岡県久留米市内に住むAさん(女性)は,交際相手である高校生のV君(16歳)の承諾を得た上で,V君を自宅に連れ込んだところ,福岡県久留米警察署の警察官に未成年者誘拐罪で逮捕されました。Vさんの母親が帰宅しないV君のことを心配し,警察に相談したところ本件が発覚したようです。Aさんの家族は,警察官からV君側から告訴状が出ていると聞かされました。Aさんの家族は何とか告訴取消してもらえないか,刑事事件に強い弁護士に相談しました。
(フィクションです)

~ 未成年者誘拐罪(刑法224条) ~

未成年者略取誘拐罪は刑法224条に規定されています。関連する規定をご紹介します

刑法224条
 未成年者を略取し,又は誘拐した者は,3月以上7年以下の懲役に処する。

刑法229条
 第224条の罪(略)は,告訴がなければ公訴を提起することができない。

「略取」とは,略取された者の意思に反する方法,すなわち暴行,脅迫を手段とする場合や,誘惑に当たらない場合でしかも相手方の真意に反する方法を手段として,未成年者を自分や第三者の支配下に置くこと,「誘拐」とは,欺罔(騙すこと)や誘惑を手段として,他人を自分や第三者の支配下に置くことをいいます。「誘拐」と「略取」とをあわせて「拐取」ということもあります。
この暴行や脅迫,欺罔や誘惑は,必ずしも誘拐される未成年者に向けられる必要はありません。また,未成年者略取・誘拐罪の主体に制限はないため,未成年者の親族であっても未成年者誘拐罪の犯人となり得ます。ですから,例えば,未成年者の祖父が,その母親に対して,「ちょっと一緒に出掛けてくるから」などと言って,そのまま自宅に連れ去って家に帰さなかった,という場合にも未成年者誘拐罪が成立する可能性があるのです(もっとも,このような連れ去り行為が,例えば母親から虐待されている未成年者を保護するためであった場合など,子の利益に合致するという例外的な場合であれば,当該連れ去り行為は違法性を欠くとして,未成年者誘拐罪が成立しないこともあります。)

~ 未成年者が同意しても犯罪成立? ~

本件では,「未成年者のV君が同意しているのに,未成年者誘拐罪が成立するのはおかしいじゃないか」と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。事実,家出少女を未成年者と知りながら自宅に住まわせていたとして未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されたというニュースは物議を醸しました。

この点については,未成年者誘拐罪が何を保護しよう(守ろう)としているのかと関係があります。すなわち,未成年者誘拐罪は,未成年者の自由のほか,親権者・貢献者など保護監督者の監護権をも保護しようとしている,と考えるのが通説,判例です。よって,未成年者を誘拐した場合には,未成年者の行動の自由・権利を侵害するだけでなく,保護監督者が未成年を保護監督する自由・権利をも侵害したということになるのです。そのため,未成年者が同意をしていたとしても,その保護監督者が同意しない以上は未成年者誘拐罪が成立し得るということになります。

~ その他の犯罪 ~

誘拐の目的がわいせつ目的であったり,あるいは結婚目的であったと認められる場合は,わいせつ目的誘拐罪や結婚目的誘拐罪(刑法225条,1年以上10年以下の懲役)が成立することもあります。また,人を誘拐した者が,近親者その他誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて,その財物を交付させ,又はこれを要求する行為をした場合には,誘拐者身代金要求罪(刑法第225条の2第2項,無期又は3年以上の懲役)が成立することがあります。

~ 未成年者誘拐罪は親告罪 ~

冒頭でご紹介したように,未成年者誘拐罪告訴がなければ公訴提起(起訴)できない親告罪です(刑法229条)。よって,すでに捜査機関に告訴が提出されている場合,告訴取消してもらうことによって公訴提起(起訴)及びその後の刑事裁判を回避することができます。告訴取消してもらうには,未成年者の保護監督者と折り合いがつくまで話し合い,適切な形式,内容で示談する必要が大きいと言えます。

弁護士あいち刑事事件総合法律事務所は,未成年者誘拐罪等をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。被害者側に告訴取消してもらいたい,起訴を回避したいなどという方,その他でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間無料法律相談初回接見サービスを受け付けております。
福岡県久留米警察署までの初回接見費用:弊所までお問い合わせください)

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