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遊び半分が威力業務妨害罪
遊び半分が威力業務妨害罪
福岡県古賀市に住むAさんは,遊び半分のつもりで,営業中の路線バスの運転手であるVさんに向けてレーザーポインターの光を照射しました。そうしたところ,通報を受け駆け付けた福岡県粕屋警察署の警察官に暴行罪及び威力業務妨害罪の容疑で逮捕されました。Aさんの家族は,刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼し,Vさん及びバス会社との間で示談をしたいと考えています。
(事実を基にしたフィクションです)
~ Vさんに対する暴行罪 ~
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
= 暴行とは? =
「暴行」とは,人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
素手で殴ったり足で蹴ったりする行為や,バットや竹刀などの武器を用いて殴打する行為がその典型といえるでしょう。また,直接,人の身体に接触しない行為,例えば,
・狭い部屋の中で日本刀を振り回す行為
・音や光,電気や冷気などのエネルギーを用いた行為(例えば,大太鼓を耳元で連打したという行為)
も「不法な有形力の行使」に当たると判示した裁判例があります。
これからすると,Aさんの行為も「不法な有形力の行使」といえ,暴行罪の「暴行」に当たるといえそうです。
= 暴行罪が成立する場合とは? =
暴行罪が成立するには,「暴行の故意」,あるいは「傷害の故意」(怪我させてやろう,あるいはするかもしれないという意図)が必要です。しかし,後者の場合は結果として「傷害するに至らなかった」ことが必要です。反対に,「暴行の故意」で暴行を加えたものの,結果として傷害(怪我等)が発生した場合は暴行罪ではなく傷害罪(刑法204条)が成立します。
~ バス会社に対する威力業務妨害罪 ~
刑法234条
威力を用いて人の業務を妨害した者も,前条の例による。
刑法233条
(略)偽計を用いて,人の信用を毀損し,又はその業務を妨害した者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
= 威力とは? =
「威力」とは,犯人の威勢,人数・四囲の状勢などからみて,人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことをいいます。暴行・脅迫に場合はもちろん,地位・権勢を利用して威迫する場合なども含まれます。
これからすると,Aさんの行為は「暴行」に当たりますので「威力」に当たるでしょう。
= 人の業務とは? =
「人」とありますが,自然人のみならず法人・法人格を有しない団体も含まれます。
「業務」とは,人が社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う事務をいいます。電車,バスの運行はまさに「業務」の典型といえるでしょう。
これからすると,本件では,Vさんが所属するバス会社の運行業務が「人の業務」に当たるでしょう。
= 妨害とは =
業務の執行自体を妨害する場合に限らず,ひろく業務の経営を阻害する一切の行為を含むとされています。通説・判例は,業務妨害の結果を発生するおそれのある行為をすれば足り,現実のその結果の発生したことを要しないとしています。
本件でいえば,必ずしも,バスを停止させたとか,停止させたことにより運行に支障が生じたなどということは必要ないということになります。ですが,その可能性も残されており,Aさんの行為は業務の執行を妨害するおそれがある行為として「妨害」に当たる可能性があるでしょう。
~ 終わりに ~
以上からすれば,Aさんの行為は威力業務妨害罪に当たる可能性は十分にあるといえます。Aさんとすれば遊び半分で行ったつもりでしょうが,場合によっては,遊び半分が犯罪に当たることもあり得ます。最悪の場合,逮捕されることもありますから,普段の行動には十分注意する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,威力業務妨害罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、福岡県を中心として刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
名誉毀損罪で警察から呼び出し
名誉毀損罪で警察から呼び出し
Aさんは,学生時代の友人であるVさんが有名会社Xの社長になったという話を聞いて,これを妬ましく思い,インターネット掲示板に「X社の社長には愛人が複数人存在する」という書き込みをしてしまいました。後日,Aさんは,福岡県西警察署から名誉毀損罪の件で呼び出しを受けました。Aさんはどうしていいか困り,刑事事件専門の弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 名誉毀損罪(刑法230条) ~
刑法230条1項
公然と事実を摘示し,人の名誉を棄損した者は,その事実の有無にかかわらず,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
= 「公然と」とは =
「公然と」とは,不特定又は多数人が認識できる状態をいい,必ずしも現実に認識したことは必要ではありません。
特定であっても多数であれば,あるいは,少数であっても不特定であれば,「公然と」と言えることになり,特定かつ少数である事のみが「公然と」から除外されることになります。
もっとも,特定かつ少数人に対する事実の摘示であっても,それが不特定多数人へと伝播する可能性があれば「公然と」に当たると考えられており(伝播性の理論),直接には2,3人に告げたに過ぎないという事案について「公然と」といえると判断した裁判例があります。
Aさんのように,インターネット掲示板へ書き込む行為は,インターネット掲示板はインターネットにアクセスできる人であれば誰もが閲覧できますので,これへの書き込みは「公然と」に当たるでしょう。
= 「事実を摘示し」とは =
「事実を摘示」とは,人の社会的評価を低下させるに足りる具体的な事実を表示することをいいます。
ここでの事実は,真実又は虚偽のいずれであってもよく,公知の事実であっても良いと考えられています。
「愛人が複数人存在する」という事実は,民法上倫理上許されるべきものではないことから,その人の評価を低下させるに足りる具体的な事実であるといえ「事実を摘示し」に当たるでしょう。
= 「人」とは =
「人」には,自然人だけでなく法人その他の団体をも含みます。
被害者は特定されている必要がありますので,例えば,「福岡県民は詐欺をしている」などと漠然とした集団・団体に対する名誉毀損罪は成立しない可能性が高いです。
Aさんは「X社の社長」と摘示したのみで,「Vさん」と摘示したわけではありませんが,通常,会社の社長は一人しかいませんから,「X社の社長」と摘示すれば被害者は特定されたことになるでしょう。
= 「名誉を毀損」とは =
「名誉」とは人の社会的評価又は価値のことをいいます。「毀損」とは,人の社会的評価又は価値を低下させることをいいます。ただし,その評価が現実に害されたことを必要とするものではなく,これが害されるおそれのある状態が発生したことで足りると考えられています。
「愛人が複数人存在する」と摘示すれば,通常,人の社会的評価は低下すると言えますので,「名誉を棄損」したに当たるでしょう。
~ 名誉棄損罪が成立した場合の例外 ~
以上から,Aさんの行為は名誉棄損罪に当たる可能性が高いです。
しかし,名誉毀損罪に当たる行為であっても,
① 「公共の利害に関する事実」であって,
② 摘示行為の目的が公益を図ることにあったと認められ,
③ 摘示された真実であったことの証明があったとき
は処罰されません(刑法230条の2)。
これは,名誉毀損罪による個人の名誉の保護と,新聞や雑誌など報道機関などの言論の自由の保証との調和図るための規定です。
ただ,本件では,AさんはVさんを妬ましく思ったことから上記の行為をとっており,公益を図ると目的はおよそ認められない(上記②の要件を欠く)として,名誉毀損罪で処罰される可能性が高いでしょう。
~ 最後に ~
名誉棄損罪は,被害者の告訴がなければ公訴提起(起訴)できない親告罪です。名誉棄損罪による処罰を免れたい方は,まずは被害者に謝罪し,示談交渉をはじめることが肝要です。示談を成立させるには,法律の専門家である弁護士の力が必要といっても過言ではないでしょう。
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北九州市門司区の暴行事件
北九州市門司区の暴行事件
福岡県北九州市門司区に住むAさんは,職場の同僚であるVさんの胸ぐらをつかんだ暴行罪の容疑で福岡県門司警察署から呼び出し受けました。Aさんとしてはまさか刑事事件に発展するとは思ってもおらず,慌てて刑事事件に強い弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~ 暴行罪 ~
暴行罪の規定は以下のとおりです。
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
以下,どんな行為が暴行罪の「暴行」に当たるのか,傷害罪との違いはどの点にあるのかなどについて解説いたします。
= どんな行為が暴行罪の「暴行」に当たるのか =
暴行罪の「暴行」とは,人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。もっとも典型なのが
殴る,蹴る,突く,押す,投げ飛ばすなど
直接人の身体に触れる行為が挙げられます。もっとも,暴行罪の「暴行」は直接人の身体に触れる行為に限らず,
・着衣を強く引っ張る行為
・胸ぐらをつかむ行為
・人に向かって石やガラスコップを投げる行為,棒を振りかざす行為
・毛髪等を切断する行為
・室内で太鼓等を連打する行為
・耳元で拡声器を通じて大声で怒鳴りつける行為
・狭い室内で日本刀を振り回す行為
などがあります。また,最近では,自動車のあおり運転が話題となっていますが,あおり運転行為も暴行罪の「暴行」に当たることがあります。
= 傷害罪との違い =
次に,暴行罪と傷害罪の違いについて解説いたします。
・結果の違い
暴行罪は暴行を加えたが怪我が発生しなかったときに成立し,傷害罪は暴行を加え怪我(傷害)が発生したときに成立します。通常,怪我の有無は医師の診断書に基づいて認定されます。
・法定刑,量刑の違い
暴行罪は2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料で,傷害罪は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。量刑にも大きく影響します。通常,初犯者の場合,暴行罪では罰金10万円から20万円が相場ですが,傷害罪ではそれより高額か,あるいは正式裁判で懲役刑を言い渡されることもあります。
~ 暴行罪の刑事弁護 ~
暴行罪でも逮捕されることはあります。逮捕されれば,長期間身柄を拘束されることもありますし,長期間身柄を拘束されれば生活に大きな影響が出ることは間違いありません。では,このような事態を回避するためには,どんな弁護活動が必要なのでしょうか?
= 暴行事実を認める場合 =
被害者に真摯に謝罪することから始まります。本来なら,直接会って謝罪することが筋でしょうが,被害者がこれを拒否するのであれば謝罪文を郵送する等の方法が考えられます。しかし,その内容によっては,被害者の気持ちを逆なでしてしまうおそれもありますから,謝罪文の内容は弁護士にチェックしてもらった方がいいでしょう。次に,示談交渉に入ります。しかし,ここで被害者と直接会うことは避けた方が無難です。謝罪文同様,被害者の気持ちを逆なでして示談交渉が決裂してしまうおそれがあるからです。やはり,弁護士に間に入ってもらう方がスムーズに示談交渉を進めることができます。
= 暴行事実を認めない場合 =
まずは,被疑者,被害者,目撃者がいる場合は目撃者から話を聴くなどして事実関係を確かめます。そして,その結果を意見書などの書類にまとめ,刑事処分を決める検察官に提出し,不起訴処分,早期釈放を求めます。仮に,起訴され,裁判となった場合でも,証人尋問等で被害者,目撃者の証言の信用性に疑いを生じさせ,無罪判決を獲得しなければなりません。
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公務執行妨害罪で逮捕
公務執行妨害罪で逮捕
Aさんは,知人のBさんが福岡県八幡東警察署の警察官Vさんから職務質問を受けているのを見てこれを助けようと思い,Vさんを背後から押し倒しました。そうしたところ,Aさんは,周囲にいた警察官により,公務執行妨害罪で逮捕されました。Aさんが逮捕されたことを知ったAさんの家族は,刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(フィクションです)
~ 公務執行妨害罪(刑法95条1項) ~
刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり,これに対して暴行又は脅迫を加えた者は,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
= 公務員 =
「公務員」とは,日本国内の公務員を指します。警察官は多くの場合「地方公務員」に当たります。
= 職務 =
「職務」については,条文の文言上明示されてはいませんが,適法であることが必要と解されています。
本件の「職務」とは,警察官の職務質問を指しますが,職務質問は警察官職務執行法2条1項に規定されています。それによれば,
警察官は,異常な挙動その他の周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し,若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について,若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる
とされています。「停止させて」の意義について,純粋に相手方の任意であることが必要なのか,ある程度の警察官の実力行使を許容するものなのか問題となりますが,判例は,(職務質問の)必要性,緊急性なども考慮した上,具体的状況の下で相当と認められる実力行使は許容されるとしています。したがって,警察官の職務質問が判例が示す基準の範囲内に収まる限り適法とされるでしょう。
= 執行するに当たり =
「執行するに当たり」とは,職務執行に際してという意味で,現に執行している場合に限らず,まさにその職務の執行に着手しようとする場合やそれを終えたばかりの段階も含みます。また,公務執行妨害罪は公務員ではなく公務を保護する犯罪ですから,公務員が休暇中の場合は「執行するに当たり」には当たりません。
= 暴行・脅迫 =
一般的に,「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使を,「脅迫」とは人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいうとされています。ただ,公務執行妨害罪は,公務の円滑な執行を保護する犯罪ですから,公務執行妨害罪の「暴行」「脅迫」は,公務員の身体に対して直接加えられる有形力の行使(直接暴行)に限られず,公務員に向けられてはいるが直接公務員の身体に対して加えられたものではない有形力の行使(間接暴行)をいうとされており,通常の「暴行」「脅迫」よりも概念が若干広くなっています。
では,具体的にどのような行為が公務執行妨害罪の「暴行」・「脅迫」に当たるでしょうか。
・公務員を押し倒す行為
→直接暴行に当たります。
・警察官が適法に差し押さえた証拠物を踏みつけて破壊するという行為
→間接暴行に当たります。このように,直接は物に対する行為であっても公務員に対する行為と認められれば公務執行妨害罪の「暴行」に当たります。
・警察官から職務質問を受けている友人の手を掴んで逃走しようとした結果,警察官がこれを追いかける途中に転んでけがをした場合
→「暴行」には当たりません。警察官に向けられた有形力を行使とは言えないからです。
ところで,公務執行妨害罪の「暴行」「脅迫」は,職務執行の妨害となるべき程度のものでなければなりませんが,同罪はあくまで公務の円滑な執行を保護するものでありますから,現実に職務が妨害されたことまでは必要とされていません。
~ 最後に ~
公務執行妨害罪で逮捕された場合には,早い段階で刑事弁護に強い弁護士に初回接見を依頼することをお勧めします。早い段階で初回接見を依頼することで、身柄開放活動や執行猶予の獲得など,今後の弁護方針の見通しをは役に立てることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,公務執行妨害罪をはじめとする刑事事件専門法律事務所です。ご家族が刑事事件で逮捕されお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。

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刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
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強制性交等未遂罪が暴行罪?
強制性交等未遂罪が暴行罪?
Aさんは,知人女性Vさん方で,Vさんに対し,殴る,蹴るの暴行を加えた上,床に押し倒してVさんが履いていたズボンを,Vさんの膝半分まで脱がしました。しかし,ちょうどそのとき,Vさん方近くをサイレンを鳴らしたパトカーが通ったことから,Aさんは「Vさんが110番通報したのではないか」と怖くなり,それ以上,Vさんに危害を加えることを止め,Vさん方を後にしました。Aさんは,後日,福岡県折尾警察署の警察官に強制性交等未遂罪(旧:強姦未遂罪)で逮捕されました。Aさんの家族から接見の依頼を受けた弁護士がAさんと接見したところ,弁護士は,本件では暴行罪が成立するにとどまるのではないかと考えました。
(フィクションです)
~ 強制性交等罪(刑法第177条) ~
刑法177条
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は,強制性交等の罪とし,5年以上の有期懲役い処する。13歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。
= 13歳以上の者とは =
改正前の刑法177条は
13歳以上の「女子」を姦淫した者は
と規定されていました。しかし,改正後は13歳以上の「者」と改められ,男子も保護の対象となりました。したがって,女子による男子への,男子による男子への性交等も処罰の対象となります。
= 暴行・脅迫とは =
一般に,暴行とは,人の身体に対する有形力の行使,脅迫とは,人を畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいます。ただし,同じ暴行や脅迫と言っても,罪名により犯罪成立に必要とされる暴行,脅迫の「程度」が異なります。
例えば,強盗罪(刑法236条)の場合は,
相手方(被害者)の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫
が必要とされているのに対し,強制性交等罪の場合は,必ずしもそこまで必要とせず,
相手方(被害者)の反抗を著しく困難しらしめる程度の暴行・脅迫
で足りるとされています。
ただ,実際の事件では,相手方(被害者)の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫が加えられることが多いと言われており,この場合でも強制性交等罪に問われることになります。
= 性交等とは =
規定にも記載されているとおり,性交の他に,肛門性交,口腔性交も含まれます。ただし,手淫,口淫などの性交類似行為は含まれません。
~ 強制性交等未遂罪(刑法第180条・177条) ~
刑法180条
第176条から前条までの罪の未遂は,罰する。
刑法では,未遂罪を罰する場合は,新たにその旨規定を設けるとしており(刑法44条),強制性交等罪の未遂規定がこの刑法180条になります。
= 未遂罪とは =
さらに,刑法43条では,未遂罪が成立する場合を以下のように規定しています。
刑法43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は,その刑を減軽することができる。ただし,自己の意思により犯罪を中止したときは,その刑を減軽し,又は免除する。
すなわち,未遂罪が成立するには
・犯罪の実行に着手したこと(実行の着手)
・犯罪が既遂に至らなかったこと(犯罪の不成立)
が必要となるのです。
また,刑法43条前段は障害未遂と呼ばれ,任意的に(裁判官の裁量で)刑が減軽されるのに対し,後段は中止未遂と呼ばれ,必要的に刑が減軽されます。
= 強制性交等罪の未遂罪とは =
上記の未遂罪の成立要件からすると,強制性交等罪の未遂罪が成立するには
・相手方に対し,暴行・脅迫を加えたこと(実行の着手)
・性交等に至らなかったこと(犯罪の不成立)
が必要となるのです。男子の女子に対する性交についていえば,男子の陰茎を女子の膣内に挿入すること(必ずしも射精は要しない)により既遂に達すると解せられていますが,暴行・脅迫を加えたものの,何らかの事情により,陰茎を膣内に挿入できなかったという場合に強制性交等罪の未遂罪が成立することになります。
~ なぜ,強制性交等罪が暴行罪? ~
他方で,外形的事実(客観的事実)だけ見れば,Aさんの行為は暴行罪にしか当たらないようにも思えます。では,強制性交等罪の未遂罪と暴行罪を区別する基準はどこにあるのでしょうか?それは,
Aさんが,Vさんに暴行・脅迫を加える時点で,Vさんに対する性交等の意図があった否か
によるものと考えられます。そのような意図があったか否かはAさんの内心の問題ですから,そのような意図があったか否かは,犯行時のAさんの言動や行為態様,犯行動機,犯行に至るまでの経緯,犯行後の状況などから判断されます。Aさんが,Vさんに「させろや!」などと言いながら暴行を加えていた場合は強制性交等罪の未遂罪が成立しやすくなりますし,Vさんに恨みつらみがあって暴行を加えたというような場合は暴行罪が成立するに留まることも考えられます。
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久留米市の傷害事件
久留米市の傷害事件
福岡県久留米市で工場を経営するAさんは,日頃のVさんの勤務態度やVさんの営業成績に不満を持っていました。そして,ある日,AさんはVさんに勤務態度や営業成績について口頭で指導,注意したところ,Vさんから「あんたの指示が曖昧やけん,こっちも困っとるちゃんね」「毎日,2時間も,3時間も残業させられりゃ,そりゃ効率も悪くなりますよ」などと言われました。AさんはVさんからそう言われたことに腹を立て,近くにあった鉄パイプで1回,Vさんの脚を叩き,地面に転倒したVさんの腹部等を鉄パイプで数回殴打しました。周囲にいた社員がAさんとVさんを引き離し,なんとか自体は沈静化しましたが,Vさんは病院に運ばれ,医師の診察を受けた結果「加療約1か月間」との診断を受けました。Aさんは,110番通報により現場に駆け付けた久留米警察署の警察官に傷害罪で逮捕されました。
~ 犯罪が成立する場合とは? ~
犯罪が成立するためには,行った行為が
1 法律に規定する構成要件に該当し(構成要件該当性)
2 違法であり(違法性)
3 行った行為の責任を行為者に帰責できる(有責性)
ことが必要とされています。
1の構成要件該当性とは,行った行為が,法律などで規定されている文言に該当することをいいます。例えば,殺人罪を規定する刑法199条には「人を殺した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」と書かれていますが,これからすると殺人罪の構成要件該当性とは,ある行為が「人を殺した」ことに該当すること,ということになります。
2の違法性とは,行った行為が正当防衛(刑法35条1項)や緊急避難(刑法37条1項)など正当化事由に当たらないことをいいます。正当防衛や緊急避難は刑法で規定されている要件に該当しなければ成立しません。単に,悪口を言われていた,金を返さなかったから殴ったなどというだけでは,情状面では一定の配慮があるとしても,違法性のレベルでは検討される余地はありません。
3の有責性とは,行為者が責任能力を有すること(心神喪失や心神耗弱(刑法39条)などに該当しないこと)をいいます。暴行・傷害事件ではよく「酔っていて覚えていない」と言われる方がおられます。しかし,あくまで,有責性は行為時を基準に判断されます。行為時に酩酊状態だったという場合は話は別ですが,言動,態度がしっかりしていて意識が明瞭だったと認められる場合は,やはり責任能力はあるとされてしまうでしょう。
~ 傷害罪が成立する場合とは? ~
では,傷害罪が成立する場合とはどんな場合なのでしょうか?
まず,傷害罪の構成要件該当性を検討するにあたって,傷害罪が規定されてある刑法204条の規定を確認しましょう。
刑法204条
人の身体を傷害した者は,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
まず,傷害罪の規定から分かることは,傷害の対象者は「人」の身体だということです。つまり,「人」以外の動物などを傷害しても傷害罪に問われることはありません(この場合は,器物損壊罪(刑法261条)に問われることになります)。また,「傷害」の意義については諸説ありますが,判例,裁判例は,人の生理機能に障害を与えること,又は人の健康状態を不良に変更することとする生理機能障害説に立っているものと思われます。打撲,骨折,創傷が「傷害」に当たることは明らかですが,中毒症状を惹起し,めまい,嘔吐をさせる,病菌を感染させるなども「傷害」に当たるとされています。
次に,規定上は単に「人の身体を傷害した」と行為の結果しか書かれていませんが,その前提として,
1 暴行の故意+暴行行為
2 傷害の故意+傷害行為
が必要とされています。暴行とは人の身体に対する不法な有形力の行使をいい,殴る,蹴る,突く,押す,投げ飛ばすなどがその典型といえるでしょう。暴行の故意とは,要は,怪我させるつもりはなかったという場合です。この,暴行の故意で暴行行為を働き,結果,傷害を発生させた場合でも傷害罪に問われ得ることになります。他方,傷害の故意とは,傷害させるつもりだったという場合です。傷害の故意で傷害行為を働き,結果,傷害を発生させた場合は傷害罪に,傷害を発生させなかった場合は暴行罪(刑法208条)に問われ得ることになります。
最後に,暴行行為,又は傷害行為と傷害との間に因果関係があることが必要です。この因果関係の考え方についても諸説ありますが,基本的には「その行為がなかったならばその結果は発生しなかった」という関係が認められれば因果関係を認められるとされています。よって,例えば,暴行行為により被害者に骨折を負わせたとされても,暴行行為の前に,被害者が別の原因で骨折していたということが判明した場合は,「その行為がなくても結果は発生していた」といえますから因果関係は否定されることになり,傷害罪は成立しないことになります。
~ 重大犯罪・事件に発展する可能性も? ~
本件では,幸いにもVさんの一命は取り留められたようですが,仮に,その後Vさんが死亡した場合,Aさんはどんな罪に問われるのでしょうか?
刑法205条
身体を傷害し,よって人を死亡させた者は,3年以上の有期懲役に処する。
これは傷害致死罪と呼ばれる罪名の規定で,Vさんが死亡した場合,Aさんは傷害致死罪に問われる可能性が出てきます。有期懲役の上限は20年(刑法12条1項)ですから,傷害罪に比べると格段に刑は重くなっています。また,裁判員裁判対象事件であるため,起訴されれば一般人が裁判員としえ裁判に参加することになります。ただし,傷害致死罪の場合も,行為(暴行行為,傷害行為)と死亡との間に因果関係があることが必要です。したがって,Vさんの入院中に,医師の手術が原因でVさんが死亡したという場合は,傷害致死罪ではなく傷害罪が成立する可能性が高いでしょう。
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煽り運転を殺人罪で起訴
煽り運転を殺人罪で起訴
Aさんは,一般道において普通乗用自動車を時速100メートルで運転中,前方を走っていたVさんが死んでも構わないという意図の下,Vさん運転の大型バイクを執拗に煽った末,同バイクに自車を衝突させるなどしてVさんを死亡させたとして,殺人罪で起訴されました。Aさんの弁護を担当する弁護人は,公判で殺人罪の殺意(故意)を争い,殺人罪は成立せず,過失運転致死罪が成立するにとどまるなどと主張しています。
(フィクションです)
~ 危険運転致死罪,過失運転致死罪 ~
通常,交通事故によって人を死亡させた場合,
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
という法律に規定されている,危険運転致死罪(法律2条)や過失運転致死罪(法律5条)が適用される場合がほとんどです。
前者は,法律2条各号に危険運転の類型が定めらており,行為者(運転者)が各類型の事実や相手方が死亡するであろうという結果を認識しなければ罪が成立しない故意犯です。ちなみに,煽り運転で一番該当しそうな類型は,法律2条4号の
人又は車の通行を妨害する目的で,走行中の自動車の直前に進入し,その他通行中の人又は車に著しく近接し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
だと思われます。法定刑は,1年以上の有期懲役です。
次に,後者の過失運転致死罪ですが,これは名称からもわかる通り,故意犯ではなく過失犯です。過失とは,とある注意義務を不注意によって怠って結果(死亡)を発生させ,かつ,その結果(死亡)発生につき認識・認容がない場合をいいます。法定刑は,7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。Aさんの弁護人は,AさんはVさんが死んでも構わないと思って煽り運転をしていたわけではないなどと主張し,殺意(故意)を否認して過失運転致死罪の成立を主張しているのです。
~ 殺意 ~
殺意とは,一般的には人を殺害する意思を意味しますが,刑法上は,人を殺害することを認識し,認容している心理状態をいうとされています。
このような内心の心理状態は本人にしか分からないため,殺意の有無の判断においては,客観的に死亡の危険性が高い行為をしたのか,あるいはその認識があったのか,などという点が考慮されます。
具体的にいうと,例えば,凶器として日本刀のように刃渡りが長く大きな傷を与えうる刃物を用いたという場合には殺意を肯定する方向に評価が傾きますが,他方で,100円ショップ等で売っているような刃渡りの短いカッターナイフを用いたという場合には殺意が否定される方向に評価が傾きます。
また,同じ刃物を用いた場合でも,心臓や首など,人体の生命活動に必要不可欠な部位を刺したという場合には殺意を肯定する方向に評価が傾きますが,手首など傷を負っても死亡という結果に至りにくい部位を刺したという場合には殺意が否定される方向に評価が傾きます。
用いた凶器や傷の部位,凶器の使い方など実行行為時の事実だけでなく,実行行為終了後の事実が殺意の有無に影響を与えることもあります。
例えば,相手に怪我をさせた後直ちに傷の手当てをするなど相手を死亡させないように努力したという場合には殺意が否定される方向に評価が傾くこともあります。
では,本事例の煽り運転ではどうでしょうか?
今回,明らかになっている事実,つまり,Aさんが時速100キロメートルで普通乗用自動車を運転していたという行為は,死亡という結果発生を惹起しうる危険な行為ですから殺意を肯定する方向に働くでしょう。その他,速度のみならず,走行方法,バイクとの距離,車内の物音,ブレーキの有無などが殺意を認定する上での考慮事情となるでしょう。
また,現在(平成31年1月18日現在),大阪地方裁判所堺支部で公判係属中の煽り運転の事件では,被告人がバイクに追突したその約10秒後に,「はい,終わりー」と陽気に?言ったことが,殺意を認定する上での考慮事情とされているようです。検察側は,これを被害者に向けた言葉だと解釈して殺意有りと主張しているのに対し,被告人側は「事故を起こしたら仕事を辞めやきゃいけない。自分の立場や生活が「終わった」ことだ」と反論し殺意を否定しています。今後,裁判所がどういう判断を下すのか注目です。
~ 起訴 ~
起訴とは,検察官が当該事件を刑事裁判にかけることをいいます。刑事裁判では,被告人が何を行ったのか,行ったとしてそれは犯罪に当たるのか,犯罪に当たるとしてどんな罪が成立するのか,犯罪が成立するとして被告人にはどんな刑罰を科すのが適当かといったことが争われます。
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宮若市の暴力事件(公務執行妨害罪)
宮若市の暴力事件(公務執行妨害罪)
福岡県宮若市に住むAさんは,福岡県直方警察署の警察官(最終的な人数5名)から職務質問を受けた際,警察官の言動に立腹し,脚元にあった石をパトカーに投げつけ,パトカーのフロントガラスにひびを入れました。そこでAさんは,公務執行妨害罪で現行犯逮捕されました。Aさんは,パトカーを壊しただけなのに,なぜ逮捕されなければならないのか納得がいってないようです。
(フィクションです)
~ 公務執行妨害罪(刑法95条1項) ~
公務執行妨害罪は刑法95条1項に規定されています。
刑法95条1項
公務員が職務を執行するにあたり,これに対して暴行・脅迫を加えた者は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
Aさんが納得していないのは,
1 石を直接,警察官にぶつけたわけではないのに公務執行妨害罪の「暴行」と言えるのか
2 石をパトカーに投げつけただけで,実際に,公務員の職務を「妨害」してないではないか
という点だと思います。以下,1,2につきご説明します。
~ 上記1(公務執行妨害罪の「暴行」とは) ~
刑法の規定の中には「暴行」という言葉がよくつかわれますが,その意味は各罪名によって異なりますから注意が必要です。刑法の「暴行」は次の4種類に分けられます。
① 最広義の暴行(例:騒乱罪(刑法106条))
有形力の行使すべてを含み,対象は人であっても物であってもよいとされています。
② 広義の暴行(例:強要罪(刑法223条))
人に対する有形力の行使をいいますが,直接暴行だけではなく,間接暴行も含むとされてます。
③ 狭義の暴行(例:暴行罪(刑法208条))
人の身体に対する有形力の行使をいいます。
④ 最狭義の暴行(例:強盗罪(刑法236条),事後強盗罪(238条),強制性交等罪(177条),強制わいせつ罪(刑法176条))
人の身体に対する有形力の行使で,人の反抗を抑圧するか,著しく困難にする程度のものとされています。
このうち,公務執行妨害罪の「暴行」は上記②に当たります。直接暴行とは,人の身体に直接に有形力を加えることですが,間接暴行とは,物に対する有形力で,それにより間接的に一定の人に物理的・心理的に感応を与えるようなものを意味します。すなわち,後者の場合,直接人の身体に暴行を加える必要はありません。Aさんの「パトカーに石を投げつけ,フロントガラスにひびを入れた」という行為もこの間接暴行に当たりそうです。
~ 上記2(公務執行妨害罪の「妨害」とは) ~
上の暴行の程度ですが,当然,職務執行の妨害となる程度のものである必要がありますが,それによって現実に職務の執行が妨害されたことを必要とされません。これは,公務執行妨害罪の目的が公務の円滑な執行を保護するためにあるからです。過去には,警備中の警察官に対する1回だけの命中しなかった投石行為につき公務執行妨害罪の成立を認めた判例(最判昭33年9月30日)があります。
Aさんの周囲には警察官が5名おり,しかも,パトカーに損害を加えただけで,実際に職務に当たる警察官には危害を加えていないから公務を「妨害」したというには違和感を感じます。しかし,それでも公務執行妨害罪が成立するおそれがありますから注意が必要です。
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暴力事件【監禁罪】なら刑事事件に強い福岡の弁護士に接見依頼
暴力事件【監禁罪】なら刑事事件に強い福岡の弁護士に接見依頼
Aさんは,入浴中である女性Vさんの衣服を隠し,Vさんが浴室から出ることを困難にしたとして,福岡県小倉北警察署に監禁罪で逮捕されました。Aさんの妻は,刑事事件に強い弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 監禁罪(刑法220条) ~
監禁罪は,不法に人を監禁した場合に成立する犯罪です。
監禁罪は逮捕罪と同じ刑法220条に規定されており,人の行動の自由を侵害する犯罪と言われています。
法定刑は3月以上7年以下の懲役と罰金刑はありません。
~ 監禁罪と逮捕罪の違い ~
では,監禁と逮捕にはどのような違いがあるのでしょうか??
この点,逮捕とは,例えば,人の身体を縄で縛るなど,人の身体を直接的に拘束することで人の行動の自由を奪うことをいいます。他方,監禁とは,例えば,走行する自動車に乗せる行為など,一定の場所からの脱出を不可能にしたり,著しく困難にすることをいいます。そして,監禁には,物理的に脱出を困難することだけでなく,心理的に脱出を困難にすることも含むとされています。
したがって,Aさんのように,入浴中の女性Vさんの衣服を隠し,Vさんを心理的に浴室からの脱出を困難にさせることも監禁にあたるとして,監禁罪が成立する可能性があるのです。
~ 逮捕されたら弊所の初回接見サービスを ~
監禁罪や逮捕罪の疑いがかけられると,悪質であるなどとして逮捕される可能性が高いです。そこから人を死傷させた場合は逮捕監禁致死傷罪が成立しますが,その場合はなおさら逮捕の可能性が高いでしょう。監禁罪などの刑事事件で逮捕された場合は,あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスのご利用をご検討ください。依頼を受けた弁護士が速やかに九州,山口の留置施設等まで出張し,逮捕された方と接見いたします。
(福岡県小倉北警察署までの初回接見費用:39,740円)

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暴力事件【殺人未遂】で執行猶予は可能? 福岡県宇美町に対応する弁護士
暴力事件【殺人未遂】で執行猶予は可能? 福岡県宇美町に対応する弁護士
福岡県粕屋郡宇美町に住むAさんは,知人V男さんの腕や顔を包丁で切り付け,V男さんに加療約2週間の怪我を負わせたとして殺人未遂罪で福岡県粕屋警察署に逮捕され,その後起訴されました。Aさんのご家族から依頼を受けた弁護士は,裁判で傷害罪の成立を主張して執行猶予付き判決を獲得しようと考えています。
(フィクションです)
~ 殺人未遂罪で執行猶予獲得は可能? ~
平成20年4月から平成23年8月までの殺人未遂罪に関する判決では,執行猶予付き判決を含む懲役7年以下の判決が全体の80%を占めています。具体的にいうと,懲役3年以下執行猶予付き判決が181件(※執行猶予付き判決を受けるには懲役刑が3年以下でなければなりません),懲役3年以下の実刑判決が38件,懲役5年以下が132件,懲役7年以下が116件,懲役7年以上が104件です(参考「裁判所 特別資料1(量刑分布)平成20年4月から平成23年8月までの判決宣告分)。このことからすれば,殺人未遂罪でも執行猶予判決を受けることは十分可能という結論になります。
~ 殺人未遂罪で執行猶予判決を受けるには? ~
1 殺意の有無を争う
本件の弁護士のように,殺意の有無を争うことが考えられます。仮に,裁判で殺意がないと認定されれば傷害罪が成立するにとどまり,傷害罪の法定刑は殺人罪より軽いですから執行猶予を獲得できる可能性も上がります。殺意とは要は人の内心ですから,それがあったかなかったかの判断は容易ではありません。そこで,特に,①被害者の受傷の部位,②受傷の程度,③犯行道具の有無・形状,④犯行に至るまでの経緯(加害者と被害者の関係性,計画性等),⑤犯行時の加害者の言動などの事情を考慮して判断されています。
2 有利な情状事実を主張・立証する
情状には,①殺人未遂罪に固有の情状(犯情)と②その他の一般情状に分けられます。特に,各情状に関する以下の事項の中で,Aさんにとって有利な情状事実を拾い上げ,裁判で主張・立証する必要があります。
① 犯情について
ア 犯行態様 →素手か凶器使用か
イ 計画性 →突発的,偶発的犯行か,それとも前々から周到に計画されたものか
ウ 怪我の程度→軽症(怪我の部位・箇所にもよりますがおおよそ加療約1週間)か重症か
② 一般情状について
ア 被害弁償,示談の有無
イ 処罰感情の程度
ウ 再犯可能性の有無(監督者の有無,更生に向けた環境の有無など)
エ 前科・前歴の有無
オ 反省の程度
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,殺人未遂罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。刑事事件で執行猶予獲得をお望みの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。
(福岡県粕屋警察署までの初回接見費用:37,200円)

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