Archive for the ‘暴力事件’ Category
受水槽の中で泳ぎ偽計業務妨害罪
受水槽の中で泳ぎ偽計業務妨害罪
偽計業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県志免町に住むAさんは、アパート施工業者の委託を受けた水道設備設置会社に所属し、同町内にあるアパートの受水槽設置等の作業に従事していたところ、その作業中、「他の従業員を笑わせよう」「インターネットに投稿すると面白い」との思いから、受水槽の中を泳ぎその場面を撮影した動画をSNSで公開しました。そうしたところ、その動画がアパート施行業者の担当者の目にとまり、福岡県粕屋警察署に被害届を提出されてしまいました。そして、Aさんは、偽計業務妨害罪の被疑者として粕屋警察署で事情を聴かれ、その後、福岡地方検察庁へ事件を送検されてしまいました。今後のことが不安になったAさんは刑事事件に詳しい弁護士に無料法律相談を申込みました。
(事実を基に作成したフィクションです。)
~ はじめに ~
上記事例は、マスコミでも大きく報じられたニュースを基に作成しています。このような事例は「●●テロ」と言われ、今年に入ってから急速に拡散しているような気がします。これまでマスコミで報じられた一例を挙げると、
・関東地方の牛丼チェーン店で、店員が、従業時間内に氷のようなもの投げ合っている動画を投稿
・大阪府内の回転ずしチェーン店で、店員が、食材の魚をゴミ箱に捨てた後、まな板に乗せる動画を投稿
・横浜市内のコンビニエンスストアで、店員が、おでんの具を口の中に入れ、吐き出すなどの動画を投稿
などがあります(この他にも数えきれないほどあります)。
注意しなければならないのは、こららの行為で問題となっているのは「店舗内における行為」であって、動画をSNS等にアップした行為ではありません。つまり、店舗内での悪質な行為によって、その店舗のみならず、その店舗を利用する、あるいは利用しようとする人にまで影響を与え、結果、様々な損失を及ぼしてしまうことになるのです。動画をSNSにアップする行為はあくまで、その行為のきっかけ、あるいは発覚のきっかけにしかすぎません。
~ 受水槽とは ~
そもそも、今回、Aさんが泳いだ受水槽とは、ビル・マンション・学校・病院など多量の水を使用する建物などで、水道局から供給された水をいったんためておく容器のことをいいます。
高層建築物で屋上等に高架水槽がある場合、地階もしくは1階に設けられている受水槽に水をため、高架水槽にポンプで水をくみ上げ、これにより、配水管の水圧が変動しても給水圧・給水量を一定に保持できること、一時に多量の水使用が可能であること、断水時や災害時にも給水が確保できること等の効果があると言われています。受水槽から各入居者の蛇口までは、建物所有者の責任の下で管理されています。
したがって、受水槽の中で泳ぐということは、建物所有者(アパート施工業者)のみならず、抽象的にも、そのアパートに住む住民にも影響を与えることになるのです。
~ 偽計業務妨害罪とは ~
そして、今回、「受水槽の中で泳ぐという行為」は偽計業務妨害罪に当たる行為だとして立件、送検されています。
偽計業務妨害罪(信用棄損罪も含む)は刑法233に規定されています。
刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
今回、Aさんは、「偽計を用いて」、「人の業務を妨害」した者として立件されています。
「偽計を用いて」とは、ごく簡単にいえば、
ひっそりとこっそりと
という意味です。
お店のパンなどの食材に針を混入する行為
も「偽計」に当たるといえばお分かりいただけるでしょうか?
「人の業務を妨害」の「人」とはある特定の個人(自然人)のみならず、会社(法人)、団体であってもよいとされています。本件ではアパート施工業者が「人」に当たるでしょう。「業務」とはアパート施工業者の受水槽に対する維持・管理業務といったことでしょうか。「妨害」したとは、
現実に妨害が発生している必要はなく、業務を妨害しうるような行為をすれば足りる(犯罪は成立する)
とされています。
~ おわりに ~
以上が、本件における「刑事責任」についてのお話ですが、本件によってアパート施工業者に損失を与えたとすれば、不法行為責任に基づく損害賠償義務(民事責任)を負わなければならなくなる可能性も出てきます。そうすると、ご自身が所属している会社にも迷惑をかけることになりかねませんので、くれぐれも注意する必要があります。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
神奈川県愛川町での逃走事件について①~公務執行妨害罪~
神奈川県愛川町での逃走事件について①~公務執行妨害罪~
公務執行妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します
Aさんは、福岡地方裁判所で窃盗罪、覚せい剤取締法違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反などで審理を受け、懲役4年の実刑判決を受けました。Aさんは、審理の対象となった事実については全面的に認めていたものの、量刑に不服がありました。そこで、Aさんは、福岡高等裁判所宛に控訴の申し立てをすると同時に、選任されていた国選弁護人に保釈請求してもらったところ、請求が許可されたため、知人の援助を得て保釈保証金を納付し釈放されました。その後、控訴審では、Aさんの控訴申し立ては棄却され、裁判は確定したことから、Aさんは、福岡高等検察庁から、刑(懲役4年)執行のため検察庁へ出頭するよう要請されました。Aさんは刑務所に入所するのが嫌でその要請を無視し続けていたところ、突然、検察庁職員らの訪問を受け、職員から収容状を呈示されながら、「あなたに収容状が出ている。」「今すぐ荷物をまとめて刑務所に行く準備をしてください。」などと言われました。しかし、Aさんは、「なんで突然くっとや。」「心の準備ができとらんばってん。」などと言いながら台所から包丁を取り出し、職員との距離約1メートルのところで職員に包丁を示しながら、「オレに近づくとこれで刺すけんな。」などと言って職員の間を走り抜け、玄関を出てそのまま逃走してしまいました。Aさんは、検察庁職員などに対する公務執行妨害罪で逮捕状が出て全国に指名手配されてしまいました。
(事実を基に作成したフィクションです。)
~ はじめに ~
上記事例は、先日、神奈川県愛川町で起きた事件を基に作成しています。実際の事件では、男性は控訴審で保釈中であったところ控訴棄却の判決を受け裁判が確定し、検察庁職員の再三の呼び出しにも応じず、職員が男性宅に収容に訪れたところ、台所から包丁を持ち出して自宅から逃走した、とのことでした。
この事件に関するニュースなどを見られて、
・なぜ、公務執行妨害罪で逮捕状?
・なぜ、逃走罪ではないの?
などという疑問を持たれた方も多いかと思います。そこで、本日は、はじめに公務執行妨害罪についてご説明したいと思います。
~ 公務執行妨害罪とは ~
本罪は刑法95条1項に規定されています。
刑法95条1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
とされています。
ここでいう「暴行」とは、公務員の職務執行にあたり、公務員に対し、その執行を妨害するに足りる不法な有形力を行使すること(直接暴行、間接暴行を含む)をいいます。「有形」とは目に見えるもの、という意味ですから、有形力とは、殴る、蹴る、投げ飛ばすなどの人の身体に接触するものだけとは限らず、本件のように包丁を示す差し出す、振り回す、物を投げつけるなど人の身体に接触しない行為も含まれます(なお、事例のAさんは、包丁を示しながら「オレに近づくとこれで刺すけんな。」と言った行為は、公務執行妨害罪の「脅迫」に当たります)。
また、刑の執行は検察官がこれを指揮します(刑事訴訟法472条)。そして、まずはじめに執行のために呼び出しを行い(刑事訴訟法484条)、これにも応じなければ収容状が発布されます(刑事訴訟法485条)。収容状は、基本的には、検察官から指揮を受けた検察事務官が執行します(刑事訴訟法489条、70条)。検察事務官は国家公務員ですから、検察事務官の職務執行に違法な点が認められなければ、本事例の場合でも、神奈川県のケースの場合でも、「公務員が職務を執行するに当たり」に当たるものと考えられます。
ところで、検察事務官は警察官と異なり、逮捕術などを専門的に学んでいるわけではありません。そこで、収容の現場で対象者が逃走したり、その場で暴れるおそれが高い場合は警察官に協力を求めることもあります。神奈川県のケースでも警察官に協力を求め、警察官と一緒に対応していたようですが、結局は逃走を図られてしまったようです。
次回は逃走罪について解説いたします。
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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
養護者による高齢者虐待②
養護者による高齢者虐待②
高齢者虐待について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
会社員のAさん(55歳)は、重度の認知症の母親Vさん(83歳)と福岡県春日市内のアパートで二人暮らしでした。Aさんは、10年程前から認知症だった母親を一人で支えてきましたが、日に日に病状が悪化する母親を介護しつづけるのも我慢の限界に達しようとしていました。Aさんは、日頃から母親の介護に対するストレスを抱え込むようになり、趣味のパチンコをする他ストレスを吐き出すはけ口を見失い、母親に対し、殴る、蹴るの暴力を繰り返すようになりました。また、Aさんはケアマネジャーの勧めにかかわらず介護サービスを利用しようともせず、食事も一日一回だけコンビニ弁当を買い与えるだけという生活のため、Vさんの健康状態は寝たきりに近い状態まで悪化してしまいました。そうしたところ、ケアマネジャーがAさんがパチンコに行っている間、Aさん宅を訪問した際、Vさんの異変に気づき、Vさんが高齢者虐待を受けて生命及び身体に危険が生じていると判断し、高齢者虐待防止法により市町村に通報しました。その後、Aさんは立入り調査を受け、事態を重く見られ、春日警察署に保護責任者遺棄罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~ はじめに ~
先日の、養護者による高齢者虐待①では、高齢者虐待が増加していることや高齢者虐待の定義、高齢者虐待の中でも「身体的虐待」が多いことなどをご紹介しました。本日は、高齢者虐待の種別(身体的虐待、介護等放棄、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待)ごとにどんな罪に問われうるのかみていきたいと思います。
ところで、高齢者虐待法では、高齢者虐待に当たる行為に対する処罰・罰則を設けていませんから、刑法上の罪に問われることはあっても高齢者虐待防止法で処罰されることはありません。ちなみに、高齢者処罰防止法では、正当な理由なく、地域包括支援センターの職員等の立ち入り調査を拒むなどしたり、職員等の質問に答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした場合などに、30万円以下の罰金に処する旨規定しています。
~ 身体的虐待 ~
身体的虐待とは、高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること、をいいます。
・殴る
・蹴る
・無理矢理食事を口に入れる
・どこかに拘束する・監禁する
などの行為がこれに当たります。
刑法上は、暴行罪(刑法208条、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)、傷害罪(刑法204条、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)、強要罪(刑法223条、3年以下の懲役)、逮捕・監禁罪(刑法220条、3月以上7年以下の懲役)、逮捕・監禁致傷罪(刑法221条、3月以上15年以下の懲役)に問われる可能性があります。さらに、高齢者を死亡させた場合は、傷害致死罪(刑法205条、3年以上の有期懲役)、逮捕・監禁致死罪(刑法221条、3年以上の有期懲役)に問われる可能性があります。
~ 介護等放棄 ~
介護等放棄とは、高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、養護者以外の同居人による身体的虐待、心理的虐待、性的虐待と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること、をいいます。
・食事を与えない
・入浴させない
・オムツを取り替えない
などの行為がこれに当たります。
刑法上は、保護責任者遺棄等罪(刑法218条、3月以上5年以下の懲役)に問われる可能性があります。さらに、介護等放棄によって、高齢者を死傷させた場合は保護責任者遺棄等致死傷罪(刑法219条、死亡の場合、3年以上の有期懲役、傷害の場合、3月以上15年以下の懲役)に問われる可能性があります。また、介護等放棄は、「養護者以外の同居人による身体的虐待、心理的虐待、性的虐待と同様の行為の放置等」も含まれますから、養護者以外の同居人が犯した刑法上の罪の共犯(共同正犯、教唆犯、幇助犯)に問われる可能性もあります。
~ 心理的虐待、性的虐待、経済的虐待 ~
心理的虐待とは、高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと、をいいます。
刑法上は、名誉棄損罪(刑法230条、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金)、侮辱罪(刑法231条、拘留又は科料)、場合によっては脅迫罪(刑法222条、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金)に問われる可能性があります。
性的虐待とは、高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること、をいいます。
刑法上は、強制わいせつ罪(刑法176条、6月以上10年以下の懲役)、準強制わいせつ罪(刑法178条1項、6月以上10年以下の懲役)、強制性交等罪(刑法177条、5年以上の有期懲役)、準強制性交等罪(刑法178条2項、5年以上の有期懲役)に、さらにその際、高齢者に怪我をさせたり、高齢者を死亡させた場合は強制わいせつ致死傷罪(刑法181条1項、無期又は3年以上の懲役)、強制性交等致死傷罪(刑法181条2項、無期又は6年以上の懲役)に問われる可能性があります。
経済的虐待とは、養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること、をいいます。
・高齢者の現金(お金)を勝手に使う
・高齢者のクレジットカードを利用して決済する
などの行為がこれに当たります。
刑法上は、窃盗罪(刑法235条、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)、詐欺罪(刑法246条、10年以下の懲役)、横領罪(刑法252条1項、5年以下の懲役)、業務上横領罪(刑法253条、10年以下の懲役)に問われる可能性があります。
~ 刑事裁判になったら?? ~
高齢者虐待は絶対に許される行為ではありません。しかし、それに至るまでの経緯やそれに至った理由などは人それぞれ異なり、それぞれの事情を詳細にみていくと、一概に、養護者を非難できない事情もあると思います。仮に、上記の罪で刑事裁判に至ってしまった場合は、そうした事情を裁判で明らかにし、適切な量刑を獲得すべく努めなければなりません。
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養護者による高齢者虐待①
養護者による高齢者虐待①
高齢者虐待について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
会社員のAさん(55歳)は、重度の認知症の母親Vさん(83歳)と福岡県春日市内のアパートで二人暮らしでした。Aさんは、10年程前から認知症だった母親を一人で支えてきましたが、日に日に病状が悪化する母親を介護しつづけるのも我慢の限界に達しようとしていました。Aさんは、日頃から母親の介護に対するストレスを抱え込むようになり、趣味のパチンコをする他ストレスを吐き出すはけ口を見失い、母親に対し、殴る、蹴るの暴力を繰り返すようになりました。また、Aさんはケアマネジャーの勧めにかかわらず介護サービスを利用しようともせず、食事も一日一回だけコンビニ弁当を買い与えるだけという生活のため、Vさんの健康状態は寝たきりに近い状態まで悪化してしまいました。そうしたところ、ケアマネジャーがAさんがパチンコに行っている間、Aさん宅を訪問した際、Vさんの異変に気づき、Vさんが高齢者虐待を受けて生命及び身体に危険が生じていると判断し、高齢者虐待防止法により市町村に通報しました。その後、Aさんは立入り調査を受け、事態を重く見られ、春日警察署に保護責任者遺棄罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~ 高齢者虐待の増加 ~
高齢化が進み、被介護者の人数が増えるとともに、高齢者虐待の問題が深刻化しています。
そして、近年では、自宅のみならず、高齢者が安心して生活できるはずの養介護施設での高齢者虐待に関するニュースをよく見かけます。
平成18年4月1日に施行された高齢者虐待防止法(正式名称:高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)では、
・養護者による高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等
と、
・養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等
の2つの章をそれぞれ別に設け、必要な措置、規制に関する規定を設けています。ここで、「養護者」とはAさんのような高齢者の家族、親族、同居人など、高齢者を現に養護する者であって、養介護施設従事者等以外のものをいい、「養介護施設従事者等」とは老人ホームなどの養介護施設の業務に従事する者などをいいます。
~ 養護者による「高齢者虐待」とは ~
ところで、養護者による高齢者虐待とは何かというと、高齢者虐待防止法2条4項では次のように規定しています。
この法律において「養護者による高齢者虐待」とは、次のいずれかに該当する行為をいう。
一 養護者がその養護する高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、養護者以外の同居人によるイ、ハ又はニに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
二 養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
通常、一イは「身体的虐待」、一ロは「介護等放棄」、一ハは「心理的虐待」、一二は「性的虐待」、二は「経済的虐待」と呼ばれています。
~ 養護者による高齢者虐待の増加 ~
養護者による高齢者虐待の件数は増えてきていると言われています。
平成30年度版犯罪白書によると、平成28年度の高齢者虐待に関する市町村への通報・相談件数は
2万7940件
と、高齢者虐待防止法が施行された平成18年度(1万8390件)の
約1.5倍
だったとのことです。また、平成28年度に高齢者虐待と判断された件数は
1万6384件
と、平成18年度(1万2569件)の
約1.3倍
だったとのことです。
虐待種別に見ると(重複計上)、
身体的虐待 1万1383人
心理的虐待 6922人
介護等放棄 3281人
経済的虐待 3041人
の順で、身体的虐待が一番多かったとのことでした。
~ 福岡県でも公表 ~
福岡県のホームページでも高齢者虐待の状況に関して、市町村からの報告を取りまとめた結果を公表しています。
それによると、平成29年度中、福岡県内の市町村が相談・通報を受け対応した件数は「896件(うち、高齢者虐待と判断したものは495件)」だったとのことです。また、虐待種別では、上の順位どおり、身体的虐待が最も多かった(重複計上で332件)とのことでした。
次回は、養護者による高齢者虐待と刑事責任などについてご紹介できたらと思います。
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傷害事件で正当防衛を主張
傷害事件で正当防衛を主張
福岡県筑紫野市に住むAさんは、天神でお酒を飲んだ後、一人で西鉄天神駅へと向かっていたところ、すれ違いざまに男性Vさんの肩と軽くぶつかってしまいました。Aさんは酒に酔っていたこともあって、Vさんがわざと自分にぶつかってきたものと思い、Vさんに「なんやこのやろう!」と大声を上げました。すると、Aさんは、「何だって。」などと言いながら近づいてくるVさんに胸ぐらをつかまれたため、Vさんの両肩を両手で押して払いのけた、Vさんを地面に転倒させました。その後、周囲の人がAさんとVさんとの間に割って入り、事が収まりました。AさんとVさんは現場に駆けつけてきた福岡県中央警察署の警察官に事情を聴かれました。Aさんは警察官に「正当防衛だ。」などと主張しています。Vさんは、病院へ連れていかれ、診断の結果、加療約2週間の傷害と診断されました。
(フィクションです。)
~ 正当防衛 ~
ある行為が犯罪に当たると思われても、その行為に違法性がなければ犯罪は成立しません。この違法性に該当しない事由のことを「違法性阻却事由」といいます。Aさんが主張している「正当防衛」(刑法36条)は違法性阻却事由の一つです。違法性阻却事由は、正当防衛のほかにも緊急避難(刑法37条)、正当行為(刑法35条)があります。
刑法36条
急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。
今回、Aさんのは、Vさんの両肩を両手で押すという「暴行」を加え、それによってVさんに怪我を負わせているのですからAさんの行為は刑法204条の傷害罪に当たります。しかし、Aさんの行為が上の正当防衛の要件に該当する場合は、傷害罪は成立しません。以下では、正当防衛が成立するための要件についてみていきたいと思います。
* 急迫不正の侵害 *
「急迫」とは、法益(今回でいえば、Aさんの身体)侵害が現に存在するか、目前に差し迫っていることをいいます。ですから、過去の侵害や将来の侵害に対しては正当防衛は認められません。例えば、相手から足を蹴られ、その侵害が一応去った後、相手を追っかけて相手の顔面を殴ったとしても正当防衛は成立しません。「不正」とは違法であることをいいます。「侵害」とは、法益に対する実害又はその危険を生じさせる行為をいいます。
* 自己又は他人の権利を防衛するため *
「権利」とは、法律で「〇〇権」と明文化されているものに限らず、広く法律上保護されている法益をいいます。
「防衛」とは、侵害から法益を守ることをいいます。防衛行為は、侵害者に向けられた行為でなければなりません。例えば、AさんがVさんから刃物で襲われたため、その場にいたWさんを盾にしてWさんに傷害を負わせたという場合、Wさんとの関係で緊急避難(刑法37条)が成立する余地はあっても正当防衛は成立しません。
※防衛の意思(防衛するため)
防衛行為は、自己又は他人の権利を防衛するためのものでなければなりません。そこで、正当防衛が成立するには、防衛行為が防衛の意思に基づくことを要するかが問題となります。この点、判例は必要との立場をとっています(最判昭和46年11月16日など)。ただし、防衛行為は、緊急状況下で行われることが多いと思われますから、防衛の意思の意義を「急迫不正の侵害を認識しつつ、これを避けようとする単純な心理状態」と解する説もあります。
* やむを得ずにした行為 *
「やむを得ずにした」とは、具体的事情の下において、その防衛行為が、侵害を排除し、又は法益を防衛するために必要かつ相当なものであったことをいいます。防衛行為の相当性ともいわれています。防衛行為の相当性を超えたものが過剰防衛です(刑法36条2項)。防衛行為の相当性は、法益の権衡と防衛行為事態の態様の2つの面から検討し、具体的事情の下で社会的・一般的見地から見て必要かつ相当か否かと判断します。例えば、素手で向かってくる相手に対し、刃物を用いて対抗する場合は相当性を欠く場合が多いでしょうが、体格、腕力等において優勢な者に対して刃物で対抗してもなお相当性が認められる場合もあります。
~ おわりに ~
正当防衛を主張するケースでは、当事者双方から事件当時の出来事を詳細に聴き出した上で、上記要件に当てはまるかどうか判断するという極めて高度な技術と知識が必要となります。正当防衛を適切に主張するなら、刑事事件専門の弁護士に刑事弁護を依頼しましょう。
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間接正犯で器物損壊罪の告訴取消し
間接正犯で器物損壊罪の告訴取消し
福岡県太宰府市に住むAさんは隣に住むVさん家族が夫婦仲睦まじく、週末は必ず遠出するなど裕福な生活を送っていることを妬んでいました。そこで、Aさんは、Vさんの夫が日頃運転している、Vさん方駐車場に停められている高級外車に傷をつけてやろうと考えました。しかし、自ら直接傷をつけると万が一見つかった場合に、今後の付き合いに支障が出てはいけないと思い、いたずら好きな息子B君(9歳)に、「ねえ、B君、あの車、隣の人が傷つけていいっていってたよ。」「傷つけてきてごらん。」といいました。B君はAさんから言われるがまま、Vさん夫が運転する高級外車の運転席ドアに長さ10センチほどの傷をつけました。そのとき、Vさんが自宅から出てきてB君を捕まえました。VさんがB君から事情を聴くと、B君は「お母さんから傷つけていいって言われたから。」といいました。そうして、後日、Aさんは、Vさんから福岡県筑紫野警察署に告訴状を提出され、器物損壊罪で事情を聴かれることになりました。
(フィクションです)
~ 器物損壊罪とは ~
器物損壊罪は、刑法261条に規定されています。
刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
「前三条に規定するもの」とは、公用文書等(刑法258条)、私用文書等(刑法259条)、建造物等(刑法260条)を指しますから、器物損壊罪の対象(客体=「他人の物」)とは、これら以外の有体物ということになります。ちなみに、動物も「物」に含まれます。
ここでの「損壊」とは動物以外への毀棄、「傷害」とは動物に対する毀棄をいいます。毀棄とは、物理的な毀損・破壊行為のみならず、ひろく物の本来の効用を失わせる行為を含むと解されています。
器物損壊罪の罰則は、上記のとおり
3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料
です。科料(1万円未満)も定められていますが、器物損壊罪において科料が科されるケースは稀だと思います。
~ Aさんは処罰される?(間接正犯について) ~
ところで、今回、実際に車に傷つけている人(これを「正犯」といいます)はV君です。法律上は、実際に犯罪に当たる行為をした者を処罰するのが原則です。しかし、V君は14歳未満の刑事未成年者であり、V君を刑法上の罪に問うことはできません。
では、Aさんはどうでしょうか?この場合、Aさんは実際に犯罪に手を下していない、犯罪に当たる行為をしていないからといって処罰できないとするのでは、あまりにも不合理です。そこで、実務などでは、Aさんを間接正犯として処罰できるとしています。
間接正犯とは、間接的に正犯を実行する、つまり
人を道具として使って犯罪を実行すること
をいいます。間接正犯には
・被利用者(V君)が責任能力を欠く場合(本件の場合)
・被利用者が強制により意思を抑圧されている場合
・被利用者に故意がない場合
・被利用者の行為が適法である場合
などがあります。
間接正犯も正犯と刑責は同じですから、減軽事由などはありません。正犯と同じく、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処せられる可能性があります。
~ 器物損壊罪は親告罪 ~
告訴がなければ、検察が公訴を提起(起訴)できない犯罪を親告罪といいます。器物損壊罪は親告罪です。他にも,未成年者略取・誘拐罪(刑法224条),名誉棄損罪(刑法230条),侮辱罪(刑法231条),過失傷害罪(刑法209条),親族間の窃盗罪(刑法244条2項,235条等)などがあります。
* かつては親告罪,現在は非親告罪 *
他方で、告訴が不要な犯罪を非親告罪といいます。ほとんどの罪が非親告罪ですが,性犯罪の中には親告罪だと誤解されやすい犯罪もありますから注意が必要です。以下の犯罪は、すべて非親告罪です。強制わいせつ罪(刑法176条),準強制わいせつ罪(刑法178条1項),強制性交等罪(旧強姦罪)(刑法177条),準強制性交等罪(旧準強姦罪)(178条2項),ストーカー規制法のストーカー行為の罪(同法18条),営利目的等(わいせつ・結婚目的等)略取・誘拐の罪(刑法225条)など。
~ 告訴取消し,不起訴を求めるなら示談を ~
親告罪において,告訴が取消されれば起訴されることは絶対にありません。つまり,確実に不起訴処分を獲得できます。不起訴処分の獲得を目指すに当たっては,まずは被害者様に謝罪の意を示し,示談交渉を始めて示談締結を目指します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、器物損壊罪など親告罪などの刑事事件を専門の法律事務所です。被害者との示談から告訴取消し、不起訴処分獲得をご検討中の方は、弊所の無料法律相談、初回接見サービスのご利用をご検討ください。

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刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
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暴行再犯で逮捕されたら?
暴行再犯で逮捕されたら?
福岡県直方市在住のAさんは、居酒屋店において、同じ客の男性Vさんと口論となり、Vさんの顔面を右拳で1回殴る暴行を加えました。その後、Aさんは、店員の110番通報により駆け付けた福岡県直方警察署の警察官により逮捕されてしまいました。実は、Aさんは、1年前に同じ暴行罪(懲役6月)で刑務所を出所したばかりでした。Aさんは、Vさんに暴行を加えたことは自分に非があることを素直に認め、Vさんに謝罪と被害弁償をしたいと考えています。また、接見に来た弁護士に、何とか不起訴処分を獲得できないか相談しました。
(フィクションです)
~ 法律上の再犯とは~
一般的に「再犯」という言葉は
・前科(古い、新しいにかかわらず)がありながら再び罪を犯した
・執行猶予期間中に再び罪を犯した
などという場合に使われるのではないでしょうか?しかし、法律上の再犯は若干これとは意味が異なります。法律上の再犯とは、
1 懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に罪を犯したこと
2 その罪で有期懲役に処せられること
の2つの要件を満たした場合をいいます(刑法56条1項)。
刑法56条1項
懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。
* Aさんの場合 *
では、Aさんの場合、今回犯した罪(暴行罪)が「再犯」に当たるのでしょうか?
まず、Aさんは1年前に懲役6月の服役を終え出所したばかり、ということでした。したがって、上記1の「懲役に処せられた者がその執行を終わった日から5年以内に罪を犯した」に当たり、上記1の要件は満たします。
次に、暴行罪の法定刑は
2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
ですので、暴行罪が上記2の「その罪で有期懲役に処せられること」に当たり、Aさんが今回犯した暴行罪が「再犯」に当たる可能性は十分にあります。
* 執行猶予期間が経過した場合はどうなの? *
執行猶予期間が経過した場合は、その刑の言渡しの効力は失われます(刑法27条)。
したがって、懲役刑の執行猶予期間が経過した後に、再び罪を犯したとしても、「懲役に処せられた者がその執行を終わった」ことには当たらず、再び犯した罪は「再犯」には当たりません。
~ 「再犯」とされた場合の効果は? ~
再び犯した罪が「再犯」に当たる場合は、
その罪について定めた懲役の長期の2倍以下の刑が科される
ことになります。つまり、暴行罪でいえば、懲役の法定刑は「2年以下」ですから、「再犯」とされた場合は
4年以下の懲役
の範囲で刑を科せられることになります。「再犯」の場合、執行猶予付き判決の言い渡しを受けることはかなり難しいと考えた方がいいでしょう。
~ 暴行罪で「再犯」なら罰金刑、不起訴を目指そう ~
上記でご説明したとおり、「再犯」となるのは、
暴行罪で有期懲役を受けたとき
ですから、罰金刑以下の罪であれば「再犯」とはならないのです。したがって、「再犯」となり、重い量刑を受けるのを避けるには、
罰金刑(略式起訴、略式裁判)か不起訴
を獲得する必要があります。そのためには、被害者に真摯に謝罪をした上で、
早期に示談交渉に入り、示談を締結させること
が先決といえます。示談交渉をするためには
弁護士の力が必要
ですから、お困りの方は、弊所の弁護士までお気軽にご相談ください。
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少年の逮捕、試験観察
少年の逮捕、試験観察
かつて、学校内で暴行事件を起こし保護観察中だったA君(16歳)は,またしても学校内で暴行事件を起こして警察に逮捕されてしまいました。その後、A君の暴行事件は家庭裁判所へ送られ、A君は少年審判で「試験観察」の決定を受けました。A君とA君の母親は少年院だけは行きたくないと思い、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
~ 少年でも逮捕される? ~
少年とは20歳に満たない者(男女)をいいます。少年だから、警察、検察は甘く扱ってくれるのでは?などと考えていたら大間違いです。少年であっても、成人と同様
逮捕されることはあります
し、その後、勾留という逮捕よりも長い身柄拘束を受けることだってあります。
* 逮捕・勾留,観護措置への対応 *
仮に、少年が逮捕された場合、弁護人は、釈放に向けて以下の対応を取ります。
・逮捕段階
警察官,検察官、裁判官宛に意見書を提出したり、場合によっては直接面談するなどして釈放を求めていきます。
・勾留,勾留に代わる観護措置段階
これらの決定に対しては準抗告申立てという異議申立てを行って釈放を求めていきます。
・家庭裁判所送致段階
勾留されている少年については,家庭裁判所送致時に,観護措置決定を出すか否かの判断がなされます。観護措置決定が出された場合,少年は 少年鑑別所に収容されます。そこでまず、裁判官宛に観護措置決定を出さないよう意見書等を提出するなどして釈放を求めていきます。勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に収容されている少年については,事件が家庭裁判所に送致された場合,観護措置決定が出されたものとみなされます(つまり,引き続き少年鑑別所に収容されたままになります)。この場合の活動も勾留の場合と同様です。なお、観護措置決定が出た後でも異議申立てにより釈放を求めていくことは可能です。
~ 少年審判のおける試験観察とは ~
試験観察とは,保護処分を決定するために必要があると認めるときに,決定をもって,相当の期間,少年を調査官の観察に付するというもので,少年に対する終局処分を一定期間留保し,その期間の少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。試験観察は,保護観察中に再非行を犯したような場合など,保護観察所・保護司による指導・監督・教育制度だけでは処遇として不十分と認められる場合などに行われるようです。
なお,試験観察はあくまで中間処分に過ぎないので,試験観察が終わってもそれで終了というわけではなく,最終的には試験観察の経過を見て終局処分(保護処分等)が決定されます。
* 試験観察の種類 *
試験観察の種類は2種類あります。一つは「在宅試験観察」と呼ばれるもの、もう一つは「補導委託」と呼ばれるものです。
「在宅試験観察」の場合、少年審判の日に「釈放」され、自宅等へ戻ることができます。その後は、日記などを付けたり、定期的に家庭裁判所に出頭して調査官と面札するなどして、最終的に終局処分が下されます。
他方、「補導委託」の場合、少年審判の日に自宅へ戻ることはできません。つまり、補導委託先(農家やお寺など)へ身柄を移され、そこでの生活を経た後、最終的に終局処分が下されます。
* 試験観察と保護観察との違い *
試験観察と保護観察との違いについてご質問を受けることがあります。
保護観察処分は、保護観察所の指導監督の下、少年の更生を図る処分で「最終的な処分」、試験観察処分は、上記でもご説明したとおり、少年を少年院送致にするか保護観察処分にするかなどを判断する「中間的な処分」です。試験観察中の順守事項を言い渡されますが、それを破ると重い保護処分(少年院送致)を言い渡される可能性が高くなります。
~ 試験観察が予想される場合、試験観察となった場合の弁護活動 ~
試験観察が予想される場合は、まずは、在宅試験観察を求めていきます。そのためにも、早い段階から少年に更生を促し、在宅でも更生できる環境を整えておく必要があります。試験観察となった場合は、定期的に少年や保護者と面談するなどして、不処分や保護観察などの軽い処分を獲得できるよう努めます。
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脅迫罪で示談を目指す
脅迫罪で示談を目指す
福岡県春日市に住むAさんは,交際していた女性Vさんのスマートフォンに,LINEで「俺と復縁しなければ,お前の家焼き払うぞ」などとメールを送りました。Aさんは福岡県春日警察署に脅迫罪で逮捕されました。Aさんの母親は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 脅迫罪 ~
脅迫罪は刑法222条に規定されています。
1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫したものは、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
害悪の告知は,一般に人を畏怖させる程度のものでなければなりません。
ただし,本罪は危険犯と言われ,人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば足り,それによって現実に相手方が畏怖したことは必要ではないと解されています。
また,害悪を告知する方法には制限がありません。その程度に達しているかどうかは、その内容を四囲の状況に照らして判断すべきとされています。しかし、これが真意にでたこと(本当に家を焼き払う気があったか、など)、相手が現実に畏怖したことなどを必要とするものではありません。
害悪告知の手段には制限はありません。直接言葉で伝えることはもとより、文書の掲示、郵送、最近では、事例のようにメール送信の他,SNS・ブログなどネット上への投稿で脅迫罪に問われた例もあります。
* 脅迫罪と強要罪の違い *
脅迫罪は人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば成立します。他方,強要罪は脅迫行為等の結果として,相手方に義務なきことを行わせ,又は行うべき権利を妨害したことで成立するという点に違いがあります。また、強要罪の法定刑は3年以下の懲役と、脅迫罪と異なり罰金刑が設けられていないことも大きな違いです。
* ストーカー行為に当たるかも!? *
ストーカー行為とは、同一の者に対し、「つきまとい等」を反復してすることをいいます。この「つきまとい等」には、相手方から拒まれたにもかかわらず、連続して電子メールを送信する行為も含まれています。恋愛絡みのこの種事件では、事案によっては、ストーカー行為に当たることもあります。
~ 脅迫罪において示談を目指す理由 ~
脅迫行為を認める場合は,被害者に真摯に謝罪し,慰謝の措置を取ることが必要不可欠です。これが脅迫罪において示談を目指す一番の理由です。その他,脅迫罪において示談を目指す理由としては以下の点が挙げられます。
= 早期釈放が可能となる =
一般的に,示談意向=罪を認める=罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれはないと判断されやすくなり,早期釈放に繋がりやすくなります。
* 勾留中に略式命令が出た場合 *
脅迫罪には罰金刑が設けられていますから、勾留中に略式裁判を受け、罰金刑の略式命令を受ける、という事態も想定しえます。略式命令が出ると、その時点で勾留状の効力は失われますから、その時点で釈放されます。正式起訴されるか、略式起訴されるか微妙な場合は、略式起訴するよう積極的に検察官に訴えかける必要があります。
= 不起訴獲得が可能となる =
被疑者に有利な情状として考慮され,不起訴獲得の可能性が高くなります。被害者から「被疑者を処罰しないで欲しい」などという宥恕条項を獲得できれば,その可能性はさらに上がります。
= 執行猶予獲得が可能となる =
起訴され、仮に裁判になった場合でも、示談が成立していれば執行猶予獲得の可能性は高くなるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脅迫罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

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八女市で刃物を示して脅迫
八女市で刃物を示して脅迫
福岡県八女市に住むAさんは、路上を歩いていた女性のVさん(70歳)に対し、剪定ばさみを見せながら「オレは刃物持っとるけんな」などと脅迫したところ、Vさんの110番通報により駆け付けた福岡県八女警察署の警察官に「暴力行為等処罰に関する法律違反」で逮捕されてしまいました。
(令和元年5月15日西日本新聞に掲載されたニュースを基に作成)
~ 認知度が低い?暴力行為等処罰に関する法律 ~
刑法の暴行罪(刑法208条)、脅迫罪(刑法222条)、器物損壊罪(刑法261条)はよく知られていると思いますが、
暴力行為等処罰に関する法律
はなかなか認知されていないのではないでしょうか?しかし、私たちに身近な暴力罪、脅迫罪、器物損壊罪に関連した法律ですし、実際に検挙者が出ていることも事実です。
~ 暴力行為等処罰に関する法律とは? ~
では、暴力行為等処罰に関する法律とはどんな法律なのでしょうか?
暴力行為等処罰に関する法律(以下、法律)は、集団的、常習的あるいは兇器を用いて行われる暴行罪、脅迫罪、器物損壊罪、傷害罪(刑法204条)について刑法の刑を加重する(法律1条関係(2条関係の説明は省略します)などした法律です。
大正15年4月に制定されたふる~い法律で、第一次世界大戦後の社会的、経済的不満がまん延する大正末期に続発した集団的・常習的な暴力行為、面会強請、強談威迫などに対処するために制定されたと言われています。
~ 法律が適用される例 ~
2014年12月、神奈川県横浜市鶴見区の鶴見川河川敷で、少年3人が被害者(当時17歳)に殴るなどの暴行を加えた上、川で溺死させた事件ではこの法律が適用されています(加えて保護責任者遺棄致死罪も適用。少年3名はのちに少年院送致の保護処分を受けています)。
法律1条では、
多衆の威力を示して刑法208条の罪を犯した場合
は処罰する旨規定されています。「多衆」とは、多数自然人の単純な集合を意味し、何人以上なら「多衆」と決まっているわけではありません。具体的事案に応じて集合時間・場所、集合者各人の年齢・性別など各種事情を総合して判断されます。
法律1条に規定された刑法上の罪は暴行罪、脅迫罪、器物損壊罪で、それぞれの罪を犯した場合に、
加重●●罪
と言われます。罰則は、
3年以下の懲役又は30万円以下の罰金
です。
~ 本件では? ~
本件でも法律1条が適用されます。法律1条では、上記のほかにも、
兇器を示して刑法222条の罪を犯した場合
を処罰する旨規定しています。「兇器」とは、人の生命・身体に害を加えるのに使用されるような器具をいいます。鉄棒、こん棒のように本来用途においては人を殺傷すべきものではないが、殺傷のために使えば使いえる器具(いわゆる「用法上の兇器」)も含むとされています。
~ 常習犯の場合はさらに重たい罪にも! ~
法律1条の3では、常習として傷害罪、暴行罪、脅迫罪、器物損壊罪を犯した者が人を傷害した場合としなかった場合とで罰則を分けています。
前者の場合は「1年以上15年以下の懲役」、後者の場合は「3月以上5年以下の懲役」です。
いずれにしても罰金刑がありませんから、法律1条よりかは刑が重たくなっていることが分かります。
~ 示談交渉は弁護士に依頼 ~
この種事件においても示談交渉が、今後の刑事処分や量刑を決める上で大切になってきます。お困りの方は弁護士へご相談ください。
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