少年の逮捕、試験観察

少年の逮捕、試験観察

かつて、学校内で暴行事件を起こし保護観察中だったA君(16歳)は,またしても学校内で暴行事件を起こして警察に逮捕されてしまいました。その後、A君の暴行事件は家庭裁判所へ送られ、A君は少年審判で「試験観察」の決定を受けました。A君とA君の母親は少年院だけは行きたくないと思い、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

~ 少年でも逮捕される? ~

少年とは20歳に満たない者(男女)をいいます。少年だから、警察、検察は甘く扱ってくれるのでは?などと考えていたら大間違いです。少年であっても、成人と同様

逮捕されることはあります

し、その後、勾留という逮捕よりも長い身柄拘束を受けることだってあります。

* 逮捕・勾留,観護措置への対応 *

仮に、少年逮捕された場合、弁護人は、釈放に向けて以下の対応を取ります。

逮捕段階
 警察官,検察官、裁判官宛に意見書を提出したり、場合によっては直接面談するなどして釈放を求めていきます。
勾留,勾留に代わる観護措置段階
 これらの決定に対しては準抗告申立てという異議申立てを行って釈放を求めていきます。
家庭裁判所送致段階
 勾留されている少年については,家庭裁判所送致時に,観護措置決定を出すか否かの判断がなされます。観護措置決定が出された場合,少年は 少年鑑別所に収容されます。そこでまず、裁判官宛に観護措置決定を出さないよう意見書等を提出するなどして釈放を求めていきます。勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に収容されている少年については,事件が家庭裁判所に送致された場合,観護措置決定が出されたものとみなされます(つまり,引き続き少年鑑別所に収容されたままになります)。この場合の活動も勾留の場合と同様です。なお、観護措置決定が出た後でも異議申立てにより釈放を求めていくことは可能です。

~ 少年審判のおける試験観察とは ~

試験観察とは,保護処分を決定するために必要があると認めるときに,決定をもって,相当の期間,少年を調査官の観察に付するというもので,少年に対する終局処分を一定期間留保し,その期間の少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。試験観察は,保護観察中に再非行を犯したような場合など,保護観察所・保護司による指導・監督・教育制度だけでは処遇として不十分と認められる場合などに行われるようです。
なお,試験観察はあくまで中間処分に過ぎないので,試験観察が終わってもそれで終了というわけではなく,最終的には試験観察の経過を見て終局処分(保護処分等)が決定されます。

* 試験観察の種類 *

試験観察の種類は2種類あります。一つは「在宅試験観察」と呼ばれるもの、もう一つは「補導委託」と呼ばれるものです。 
「在宅試験観察」の場合、少年審判の日に「釈放」され、自宅等へ戻ることができます。その後は、日記などを付けたり、定期的に家庭裁判所に出頭して調査官と面札するなどして、最終的に終局処分が下されます。
他方、「補導委託」の場合、少年審判の日に自宅へ戻ることはできません。つまり、補導委託先(農家やお寺など)へ身柄を移され、そこでの生活を経た後、最終的に終局処分が下されます。

* 試験観察と保護観察との違い *

試験観察と保護観察との違いについてご質問を受けることがあります。
保護観察処分は、保護観察所の指導監督の下、少年の更生を図る処分で「最終的な処分」、試験観察処分は、上記でもご説明したとおり、少年を少年院送致にするか保護観察処分にするかなどを判断する「中間的な処分」です。試験観察中の順守事項を言い渡されますが、それを破ると重い保護処分(少年院送致)を言い渡される可能性が高くなります。

~ 試験観察が予想される場合、試験観察となった場合の弁護活動 ~

試験観察が予想される場合は、まずは、在宅試験観察を求めていきます。そのためにも、早い段階から少年に更生を促し、在宅でも更生できる環境を整えておく必要があります。試験観察となった場合は、定期的に少年や保護者と面談するなどして、不処分や保護観察などの軽い処分を獲得できるよう努めます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

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