【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(知人の乗用車のタイヤから部品を取り外して脱輪させたケース)
今回は、公務員Aさんが、福岡市早良区在住の公務員Vさんの乗用車のタイヤから部品を取り外して脱輪させたというニュース記事をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:知人の乗用車のタイヤから部品を取り外して脱輪させたケース
福岡市早良区で、知人の乗用車のタイヤから部品を取り外して脱輪させたとして、消防士のAさんが器物損壊の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、公務員Aさんは去年11月、福岡市早良区に住む公務員男性Vさんの自宅敷地内で、車の左後輪からナット4本を外して損壊した疑いが持たれています。
Vさんが出勤のために車に乗った際に脱輪したことから被害に気付き、警察に相談しました。
警察は周辺の防犯カメラの映像などから、Vさんの知人であるAさんが関与した疑いが強まったとしています。
Aさんは、容疑を認めているということで、警察が詳しい動機を調べています。
(KBC 福岡 03/05 17:08の記事を一部変更し引用しています。)
1,器物損壊罪について
〈器物損壊罪〉
「前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」(刑法261条)
器物損壊罪は、①他人の物を②損壊し又は傷害した場合に成立する犯罪です。
①「他人の物」とは、「前3条に規定するもの」(公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊及び同致死傷罪)の客体として保護されるもの以外のすべての他人の物を言います。
例えば、土地などの不動産、動物や植物、また法令上違法なもの(公職選挙法違反の選挙ポスターなど)であっても刑法的な保護に値するものであれば、器物損壊罪の客体に含まれます。
②「損壊」とは、財物の効用を害する一切の行為(効用侵害説)を言い、財物の効用を害すれば足り、財物を物理的に破壊する必要はありません。
効用とは使い道や用途のことを言うため、飲食店等で使われている食器に放尿した場合には、その後そのお店では洗って他のお客に提供するために使うわけにはいかなくなり、食器という財物の効用を害し「損壊し」たといえるため、放尿した者に器物損壊罪が成立するとした判例があります。(大審院判決明治42年4月16日)
また、「傷害」とは、傷害罪にいうそれとは意味が異なり、動物を客体とする場合を言います。
例えば、他人のペットを殺傷する行為や、勝手に逃がす行為などがこれに当たります。
2,器物損壊罪とその弁護活動
器物損壊罪で逮捕・勾留されると最長で23日間、身柄を拘束され、警察と検察の取調べを受けることになります。
被疑者が取調べで供述したことは調書となり、供述調書は裁判で証拠として使用されるため、取調べには慎重に臨む必要があります。
身柄を拘束されている被疑者は一人きりで検察と検察の取調べを受けることになるため、肉体的・精神的に不安を抱えていることが多く、冷静な態度で臨むことができず、警察や検察の都合のいい供述調書が作られるといったことも珍しくはありません。
弁護士であれば、どのように取調べに臨めば良いかについて法律の専門家として丁寧かつ適切なアドバイスをすることができます。
また、身柄を拘束されている被疑者としてもそのようなアドバイスを受けることができれば、精神的な不安の解消に繋がることが期待できます。
そのため、逮捕・勾留されてしまった場合には、少しでも早く弁護士のアドバイスを受けることが必要といえるでしょう。
また、器物損壊罪は親告罪(刑法264条)であるため、被害者の告訴が無ければ検察官は公訴を提起できません。
被害者に対して謝罪や被害の弁償をすることで告訴を取り消してもらえれば、検察官は起訴できず不起訴処分となり、前科が付くことを回避することができます。
被疑者が身柄拘束されて起訴されるまでは最長で23日間しかないため、その間に被害者との示談を成立させる必要があります。
以上より、刑事事件はスピードが大事であり、少しでも早く刑事弁護について経験や実績が豊富な刑事事件に特化した弁護士したサポートを受けることが重要となってきます。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において器物損壊罪でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部に一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には刑事事件に特化した弁護士が在籍しており、器物損壊罪でお困りの方からの法律相談を初回無料で承っております。
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