【事例解説】器物損壊罪とその弁護活動(駐車場に停められた車のタイヤにアイスピックを突き刺しパンクさせたケース)
今回は、駐車場に停められた車のタイヤにアイスピックを突き刺しパンクさせたという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説致します。
事例:駐車場に停められた車のタイヤにアイスピックを突き刺しパンクさせたケース
福岡市内の駐車場に停められた車のタイヤにアイスピックを突き刺しパンクさせたとして、福岡市の職員Aさんが器物損壊の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、被害車両の所有者Vさんがパンクに気付き警察に通報し、事件が発覚しました。
その後、犯行現場や付近の防犯カメラの映像を解析するなどの捜査を経てAさんの犯行を特定し、逮捕に至りました。
警察の調べに対して、Aさんは「自分がやったことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)
1,器物損壊罪について
〈器物損壊罪〉(刑法第261条)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
器物損壊罪は、他人の物を損壊し、又は傷害した場合に成立します。
「他人の物」とは、前3条に規定するもの以外のすべての他人の物、すなわち公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊罪の客体となる物以外の他人の物すべてが器物損壊罪の客体となります。
土地や動植物が含まれるだけでなく、例えば公職選挙法に反する選挙ポスターなど法律上違法なものであっても、刑法において保護に値するものであれば、「他人の物」に含まれることになります。
「損壊」とは、その物の効用を害する一切の行為をいいます。
過去の裁判例で、効用を侵害して「損壊」に当たるとしたものは、食器に放尿する行為(大審院判決明治42年4月16日)や自動車のドアハンドルの内側やフェンダーの裏側に人糞を塗り付ける行為(東京高裁判決平成12年8月30日)などがあります。
上記の事例では、AさんはVさんの車のタイヤにアイスピックを突き刺しパンクさせており「損壊し」たといえるため、Aさんには器物損壊罪が成立することが考えられます。
2,前科回避に向けた弁護活動
器物損壊罪は被害者が存在する犯罪であり、また、器物損壊罪で公訴を提起するためには被害者の告訴が必要となります。
公訴の提起に被害者の告訴を必要とする犯罪のことを親告罪といいます。
そして、公訴を提起されないということは刑事裁判が開かれず判決を言い渡されることはないということであり、前科が付くこともありません。
そのため、被害者との間で示談を成立させることが、前科回避には必要不可欠といえます。
示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできます。
もっとも、器物損壊罪の被害者は、被害を受けたことに対して強い憤りや恐怖や不安を抱えているため、当事者同士での示談交渉は上手くいかないことが考えられます。
しかし、弁護士であれば、加害者が被害者に対して、反省・謝罪の意思を有しており、被害弁償や示談金を支払う準備があることなどを被害者の方に冷静かつ丁寧に説明することができるため、被害者に方に安心していただくことで示談交渉に応じてもらえる期待が高まるといえます。
また、示談にも内容はさまざまありますが、上記のような器物損壊罪の場合には、刑事告訴の取消しや刑事告訴をしないことを内容に加えた示談を成立させることが必要不可欠といえます。
被害者の意向を汲み取りながら加害者にとって最大限有利なかたちで示談を成立させるには、刑事事件に関する高度な知識と経験が要求されるため、事件の当事者同士での示談交渉はあまり得策とはいえません。
そのため、示談交渉は、刑事事件に関する高度な知識や経験を有した弁護士に依頼されることをオススメします。
3,まずは弁護士に相談を
福岡県内において器物損壊罪の当事者となってしまった方、あるいはご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部には、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所であり、これまでにさまざまな刑事事件・少年事件を経験しており、示談交渉についても豊富なノウハウや実績がございます。
器物損壊罪の当事者となり在宅捜査を受けている方に対しては初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が器物損壊罪の当事者となり身柄拘束を受けている方に対しては初回接見サービス(有料)をそれぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお電話ください。