酒気帯び運転等の禁止①~飲酒運転、車両提供罪~

酒気帯び運転等の禁止①~飲酒運転、車両提供罪~

酒気帯び運転等の禁止(飲酒運転車両提供罪)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県朝倉市に住むAさんは、地域の会合の打ち上げに参加するため、妻に会場である居酒屋まで車で送ってもらいました。ところが、Aさんは会合中、タバコを買いに行くため、隣席にいるBさんに「コンビニまでたばこを買いに行きたいけど脚がない。」「車を貸してくれないか。」と言いました。Bさんは、Aさんの顔が赤く、酒を飲んでいることは分かりましたがAさんにしつこく頼まれるため、「コンビニは近いし、事故を起こすこともないだろう」という気持ちからAさんに車の運転キーを渡しました。Aさんは、居酒屋の店主Cさんに、「ちょっと、コンビニ行ってくるから。」と言いました。Cさんは、「Aさんは奥さんに車で送りに来てもらっていたけど、どうやっていくのだろう」「歩いていくのかな」などと疑問に思いましたが、Aさんを止めることはしませんでした。そうしたところ、Aさんはコンビニに行く途中、車を電柱に衝突させる自損事故を起こしてしまいました。そのことがきっかえけで、Aさんは福岡県朝倉警察署酒気帯び運転の罪で、Bさんは車両提供罪で事情を聞かれることになりました。
(フィクションです)

~ 酒気帯び運転等の禁止 ~

夏本番といったところで、お酒を飲む機会が増える方も多いのではないでしょうか?
そこで、改めて「酒気帯び運転等の禁止」に関する規定を確認しておきたいと思います。「酒気帯び運転等の禁止」については、道路交通法65条に規定されています。

第65条 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
4 何人も、車両(トロリーバス及び旅客自動車運送事業の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第117条の2の2第6号及び第117条の3の2第3号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。 

~ 65条1項(酒気帯び、酒酔い運転)について ~

65条1項は「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」と規定されています。
「車両等」の中には、自動車のほか原動機付自転車、自転車も含まれます。

この規定を受けて道路交通法117条の2第1号には「酒酔い運転」を、道路交通法117条の2の2第3号には「酒気帯び運転」を処罰する旨の規定が設けられています。
「酒酔い運転」の罰則は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、「酒気帯び運転」の罰則は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

なお、自転車については「酒気帯び運転」の適用はありませんが、「酒酔い運転」の適用はある(処罰される可能性がある)ことから注意が必要です。

~ 65条2項(車両提供罪)について ~

65条2項は「何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。」と規定されています。

「酒気を帯びて」とは、社会通念上酒気帯びといわれる状態をいい、外観上(顔色、呼気等)認知できる状態にあることをいうと解されています。したがって、車両を提供する側(Bさん)が、車両等を提供した時点において、提供を受ける者(Aさん)がその顔色、呼気等から酒気を帯びているとの認識があれば足り、どの程度のアルコール保有量を有しているか、数値はどの程度かといったことまでの認識は必要ではないとされています。
「前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるもの」とは、車両等を提供すれば、酒気を帯びて車両等を運転することとなる蓋然性のあることをいい、車両等提供者(Bさん)において、提供を受ける者が酒気を帯びている者で、酒気を帯びて車両等を運転することとなるおそれがあるとの認識が必要です。
「提供」とは、提供を受ける者が利用し得る状態に置くことをいい、車両等の所在を教え、車のエンジンキーを渡す行為も「提供」に当たります。

以上から、Bさんは車両提供罪に問われる可能性が高いといえます。

車両提供罪の罰則は、運転者が「酒酔い運転」だった場合は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、「酒気帯び運転」だった場合は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。このように、たとえ自ら車を運転していない場合でも、

罰則は運転した場合と同様

ですから注意が必要です。

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