少年事件~子どもが逮捕ですべきこと、前科~
福岡市早良区に住むの高校3年生のA君は、日頃の勉強ストレスを発散から、夜道、一人で帰宅途中の女性Vさん(19歳)を背後から襲い、Vさんの胸などを揉むなどしました。ところが、A君は、ある日突然、福岡県早良警察署の警察官から自宅のガサを受け、強制わいせつ罪で逮捕されてしまいました。その場にいたA君の母親は驚き、どうしていいか分からず、少年事件に強い弁護士事務所を探し当て、弁護士にA君との接見を依頼しました。また、A君の母親は、A君に前科が付き、将来に影響が出てしまわないか酷く心配しています。
(フィクションです)
~ 子どもが逮捕されたらすべきこと ~
子どもが逮捕された場合、まず真っ先に考えることは、
・学校への連絡は?
・学校に逮捕されることは通知されるの?
・退学処分となってしまわないだろうか?
などということではないでしょうか?
福岡県では、
ふくおか児童生徒健全育成サポート制度(以下、児童生徒サポート制度という)
というものが制定されており(平成25年1月1日から施行)、これに基づいて警察から学校へ通知されているようです。
児童生徒サポート制度では、
県内の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校に通う児童又は生徒
が、
非行などの問題行動を起こして逮捕などされた場合
に、
非行事案の概要、児童生徒の氏名、その他児童生徒の健全育成に資するために必要な情報
について、
警察(連絡責任者=警察署長)から学校(学校長)へ通知する
ものとされています。
* 通知を回避するには? *
ただし、児童生徒サポート制度では、
捜査、調査その他の理由により連絡をすることが適当でないと認めるときは、連絡をしないことができる
とされています。したがって、通知を回避するには、情報の発信元である警察に働きかけを行う必要があります。しかし、弁護人に弁護活動を依頼し段階ではすでに手遅れという場合もありますから、その場合は、学校に不当な処分をしないよう働きかけを行う必要があります。学校の処分は、その学校の裁量によります。
* 親は何をすべき? *
特に、お子さまが中学生、高校生の場合は、学校に「休む」旨の連絡を入れたほうが無難かもしれません(無断欠席となれば、そのことで処分を受けるおそれがあります)。このとき事件のことは伝えなくてもよいです。しかし、身柄拘束が続けば事件のことを内密にしておくことが難しくなりますし、お子さまの社会復帰も難しくなります。そこで、弁護士に弁護活動を依頼して、一刻も早い釈放(社会復帰)を目指すべきです。
~ 逮捕されたら前科が付くの? ~
逮捕されただけでは前科は付きません。
前科は、刑事裁判を受けて有罪のお墨付きを受け、その裁判が確定したときにはじめてつきます。
しかも、少年(20歳未満の者)の場合、成人とは異なった手続を踏みます。
つまり、逮捕、勾留され、一定期間、捜査機関(警察、検察)の捜査を受けることは成人とほぼ同様ですが、その後、少年事件は家庭裁判所へ送られます(少年は少年鑑別所に収容されます)。そして、家庭裁判所調査官などの調査を受け、少年審判を開くかどうか、開かれた場合は何らかの処分を受けます。
* 少年審判における処分・決定 *
少年審判では「保護処分(保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設への送致、少年院送致のいずれか)」、保護処分を下さない「不処分」、少年事件を検察官の元へ送致する「逆送」、一定期間少年の様子を観る「試験観察」の決定が出されます。
「保護処分」、「不処分」の決定を受けた場合は、
前科は付きません
が、「逆送」の決定を受けた場合、その後の手続は成人と同様に進みますから、前科が付く可能性があります。「試験観察」は中間処分で、一定期間、少年の様子を観た後、「保護処分」などの決定を受けます。
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