【刑事事件】うその110番通報で偽計業務妨害罪~西区

【刑事事件】うその110番通報で偽計業務妨害罪~西区

うその110番通報で偽計業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡市西区に住む少年A君(15歳)は、110番通報し、電話口の警察官に「〇〇のスーパーで男性からいちゃもん付けられて喧嘩しています。」「ただちに来てください。」などと言いました。ところが、福岡県西警察署の警察官が現場に到着し、スーパーの店員に男性同士の喧嘩はなかったかと尋ねても、そのような喧嘩は一切なかったとの返答でした。また、現場には通報者らしき人物はいませんでした。警察官は110番通報した者に嘘をつかれたと思い捜査したところ、A君の犯行の疑いが生じました。そこで、A君は西警察署に偽計業務妨害罪の疑いで逮捕されました。逮捕の知らせを受けたA君の母親は、刑事事件専門の弁護士にA君との接見を依頼しました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ はじめに ~

上記事例は、今年10月29日午後7時前、「スーパーで25歳の女性ともめています。」などとうその110番通報した福岡市早良区の少年が偽計業務妨害罪の疑いで逮捕されて事例をモデルに作成しています。報道によると、警察官が上記110番通報を受け、パトカー2台に分乗した警察官4人が急行しましたが通報者の姿はなく、店員に聞き込みをしてもトラブルを確認することはできなかったとのことです。

福岡県ではこうしたうその110番通報が横行しているようです。
特に、福岡市西区の少年を中心に広まっているようで、今年だけで76件(10月末現在)うその110番とみられる通報があったと報道されています。

少年は110番通報すれば本当に警察官が現場に来る「リアル感」、「スリル感」を体感したいようです。
近年は、インターネットやスマートフォンの普及などもあって、手軽にゲームを行うことができます。
ゲームでは味わえない世界を現実の世界で体感したかったのでしょうか?
さらには、SNSの普及により、手軽に写真や動画を投稿することもできます。
いわゆるバイトテロでは、たとえば、牛丼店のアルバイト店員が、メニューに存在しない超大盛りの豚丼を盛りつけ「テラ豚丼」として投稿、コンビニの店員がアイスのケースに入り込んで写真を撮影し、フェイスブックに投稿、定食店で、マスクをした男性の店員が下半身丸出しにしてお盆を股間にあてる動画を投稿、コンビニの店員が、売り物のおでん鍋から直接しらたきを食べて踊る動画をツイッターに投稿、などの行為が話題となりました。
こうした行為がさらなる共感者を呼び、次から次へと同様の行為を模倣する者を産んでいるようです。

~ 発覚すれば逮捕される ~

そこで、警察は悪質な犯罪行為として取締りを強化しているようです。
うその110番通報は、偽計業務妨害罪という罪に問われる可能性があります。
偽計業務妨害罪は刑法233条に規定されています。

刑法233条
 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

「偽計を用いて」とは、人を欺罔・誘惑し、又は人の錯誤(簡単にいうと誤解)・不知(知らないこと)を利用する違法な手段一般をいう、と解されています。
うその110番通報をすることが「偽計を用いて」に当たるでしょう。
「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う事務をいいます。
警察官の活動全般は「業務」に当たるでしょう。
「妨害」したとは、現実に妨害が発生している必要はなく、業務を妨害しうるような行為をすれば足りる、と解されています。
もっとも、警察官を現場に向かわせるということは、

その分だけ、本当に必要な捜査に人員を割けず、本当に被害に遭っている人を救えない

という可能性だってあるわけです。
その意味では、うその110番通報は社会的に被害を及ぼす行為であり悪質です。
絶対にしてはいけません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

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