遊び半分が威力業務妨害罪

2019-02-22

遊び半分が威力業務妨害罪

福岡県古賀市に住むAさんは,遊び半分のつもりで,営業中の路線バスの運転手であるVさんに向けてレーザーポインターの光を照射しました。そうしたところ,通報を受け駆け付けた福岡県粕屋警察署の警察官に暴行罪及び威力業務妨害罪の容疑で逮捕されました。Aさんの家族は,刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼し,Vさん及びバス会社との間で示談をしたいと考えています。
(事実を基にしたフィクションです)

~ Vさんに対する暴行罪 ~

刑法208条 
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは,2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

= 暴行とは? =

「暴行」とは,人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。
素手で殴ったり足で蹴ったりする行為や,バットや竹刀などの武器を用いて殴打する行為がその典型といえるでしょう。また,直接,人の身体に接触しない行為,例えば,

・狭い部屋の中で日本刀を振り回す行為
・音や光,電気や冷気などのエネルギーを用いた行為(例えば,大太鼓を耳元で連打したという行為)

も「不法な有形力の行使」に当たると判示した裁判例があります。

これからすると,Aさんの行為も「不法な有形力の行使」といえ,暴行罪の「暴行」に当たるといえそうです。

= 暴行罪が成立する場合とは? =

暴行罪が成立するには,「暴行の故意」,あるいは「傷害の故意」(怪我させてやろう,あるいはするかもしれないという意図)が必要です。しかし,後者の場合は結果として「傷害するに至らなかった」ことが必要です。反対に,「暴行の故意」で暴行を加えたものの,結果として傷害(怪我等)が発生した場合は暴行罪ではなく傷害罪(刑法204条)が成立します。

~ バス会社に対する威力業務妨害罪 ~

刑法234条
 威力を用いて人の業務を妨害した者も,前条の例による。

刑法233条 
 (略)偽計を用いて,人の信用を毀損し,又はその業務を妨害した者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

= 威力とは? =

「威力」とは,犯人の威勢,人数・四囲の状勢などからみて,人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことをいいます。暴行・脅迫に場合はもちろん,地位・権勢を利用して威迫する場合なども含まれます。

これからすると,Aさんの行為は「暴行」に当たりますので「威力」に当たるでしょう。

= 人の業務とは? =

「人」とありますが,自然人のみならず法人・法人格を有しない団体も含まれます。
「業務」とは,人が社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う事務をいいます。電車,バスの運行はまさに「業務」の典型といえるでしょう。

これからすると,本件では,Vさんが所属するバス会社の運行業務が「人の業務」に当たるでしょう。

= 妨害とは =

業務の執行自体を妨害する場合に限らず,ひろく業務の経営を阻害する一切の行為を含むとされています。通説・判例は,業務妨害の結果を発生するおそれのある行為をすれば足り,現実のその結果の発生したことを要しないとしています。

本件でいえば,必ずしも,バスを停止させたとか,停止させたことにより運行に支障が生じたなどということは必要ないということになります。ですが,その可能性も残されており,Aさんの行為は業務の執行を妨害するおそれがある行為として「妨害」に当たる可能性があるでしょう。

~ 終わりに ~

以上からすれば,Aさんの行為は威力業務妨害罪に当たる可能性は十分にあるといえます。Aさんとすれば遊び半分で行ったつもりでしょうが,場合によっては,遊び半分が犯罪に当たることもあり得ます。最悪の場合,逮捕されることもありますから,普段の行動には十分注意する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,威力業務妨害罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

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