Archive for the ‘強制わいせつ・強制性交等’ Category
逮捕前に自首
逮捕前に自首
強制わいせつ罪と自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県久留米市に住むAさんは、仕事でストレスが溜まっていたため、女性に対しわいせつな行為してストレスを発散しようと思いました。そこで、Aさんは、仕事終わりに歩いて帰宅途中、前方を歩いていた女性Vさん(25歳)に背後から近づき、いきなり両手でVさんの両胸を揉みました。Aさんは、Vさんが「誰か助けて~!!」と大声を出したことから、「誰かに見つかるかもしれない」と思って慌ててその場から走って逃げました。自宅に帰りつき冷静になって大変なことをしたと思ったAさんは、すぐにでも警察に自首したいおt考えましたが勇気が出ず、インターネットで自首に詳しい弁護士を探し当てて弁護士に今後のことにつき相談することにしました。
(フィクションです。)
~ 強制わいせつ ~
強制わいせつ罪は刑法176条に規定されています。
刑法176条
13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は,6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し,わいせつな行為をした者も,同様とする。
「暴行」とは一般に、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいますが、強制わいせつ罪の「暴行」の程度は、被害者の犯行を著しく困難ならしめる程度であることが必要とされています。わいせつな行為とは、徒らに性欲を興奮又は刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為をいうとされています。したがって、
・陰部に手を入れる
・乳房を弄ぶ
などの行為はこれに当たるでしょう。また、暴行それ自体がわいせつな行為(暴行=わいせつな行為)であってもよいとされています。
本件のように、Vさんの背後からVさんの胸を両手で揉む行為は「暴行」に当たる一方で「わいせつな行為」にも当たります。こうした場合にも、強制わいせつ罪に問われる可能性があるのです。
また、わいせつな行為を行った機会にVさんが怪我をしていたら強制わいせつ致傷罪に問われる可能性があります。
同罪は「3年以上の懲役」と大変重たい罪です。
しかし、同罪は結果的加重犯といい、AさんがVさんに怪我を負わせることを意図していなくても問われるおそれのある罪です。
たとえば、VさんがAさんを捕まえるため追いかけた際、怪我をしたという場合でも強制わいせつ致傷罪に問われるおそれがあります。
~ 自首 ~
Aさんは自首を検討しているようです。
自首とは、捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に、犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、その処分を委ねる意思表示のことをいうとされています。
「捜査機関」とは,主に検察官,警察官のことをいいます。
「自首」というためには、捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に申告することが必要です。
ただし、「犯罪事実又は犯人」とされていますから、犯罪事実は発覚していても,まだ犯人が誰であるか発覚していない段階でも自首に当たる可能性はあります。
自首の方法としては自ら申告する場合のほか、他人を介して自己の犯罪事実を申告させることもできます。また,書面による申告も有効と解されています。ただし,こうした場合は、犯人がいつでも捜査機関の支配下にいることが条件となると解されています。
なお、自首というためには「捜査機関に処分を委ねること」、つまり、犯罪事実を認めていることが前提です。書面のみを提出して所在不明となった場合,氏名を秘匿している場合などは,処分を委ねる意思がないものとみなされるでしょう。
このように、「自首」を主張するためにはいくつかのハードル(要件)を超えなければならないことが分かります。
自首の要件を満たさないのに捜査機関に申告しても、それは「自首」ではなく単なる「出頭」にしか当たりません。
「自首」の最大の特徴は、
必ず減刑されること
です。
しかし、減軽といっても、その対象は法定刑(強制わいせつ罪であれば6月以上10年以下の懲役、強制わいせつ致傷罪であれば3年以上の懲役)であって、実際の「量刑」は法定刑が減軽された後の範囲で決せられます。したがって、自首に当たるからといって必ずしも執行猶予が確約されたわけではなく、やはり実刑に処せられることもあります。
もう一つの特徴としては、逮捕を免れる可能性があるということです。これは「自首」ではなく「出頭」に当たる場合でも同様です。
罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないと判断されやすいからです。
ただし、反対に、そのおそれがやはりあるとして逮捕される可能性もあります。
ですから、捜査機関に申告する前に、弁護士とよく相談して様々なアドバイスを受け、対策を取る必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 福岡支部 弁護士紹介
【強制わいせつ事件】警察の出頭拒否から逮捕
強制わいせつ事件の出頭拒否から逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市城南区に住むAさんは、福岡県早良警察署から強制わいせつ罪で出頭要請を受けたものの、自分には関係ないとなどと勝手にこれを拒否していたところ逮捕されてしまいました。
Aさんの母親は早期釈放のため、弁護士に接見を依頼しました。
(フィクションです。)
◇強制わいせつ罪◇
強制わいせつ罪は、刑法第176条で
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
と規定されており、罰則が6月以上10年以下の懲役と比較的重たい罪です。また、出頭→逮捕された場合は日常生活にも支障をきたしますから「できれば出頭したくない」と思うのも当然なことでしょう。
出頭要請はあくまで捜査機関の任意処分であり、被疑者(Aさん)の意思に基づいて行われることを要しますから、拒否することはできます。
しかし、正当な理由なく任意要請に応じない、不出頭を繰り返す、ということになれば、それが「逃亡又は罪証隠滅のおそれ」の一つの微表として逮捕されることがあることから注意が必要です。
被疑者の方からすれば「出頭すれば逮捕される可能性がある、出頭しなくても逮捕される可能性がある」という板挟み状態だといえます。
しかし、警察から出頭要請を受けたということは、少なくとも被害者が判明しているということが多いですから、たとえば逮捕を回避するために、警察に被害者との示談交渉を申し入れることも方法の一つとして考えられます。警察に示談の意思があることを申し入れ、それを書面に残すだけでも逮捕の可能性を下げることに繋がりますし、仮に逮捕された場合もその書面は有効な証拠として使うことができます。また、仮に逮捕された場合にそなえて警察からの出頭要請には誠実に対応する必要があります。
◇逮捕と早期釈放に向けて◇
仮に逮捕された場合の最策のシナリオを見ていきます。
逮捕後の流れは
①逮捕→②警察署の留置施設へ収容→③警察官の弁解録取→④送検→⑤検察官の弁解録取→⑥勾留請求→⑦裁判官の勾留質問→⑧勾留決定
と進んできます。
①逮捕は突然やってきます。
警察は親切にも「今から逮捕に行きます」と教えてくれるわけではありません。
逮捕の際は逮捕状を呈示され、手錠を嵌められます。
その後、警察署内にある留置施設(留置場)へ収容されます(②)。
そして、警察署で「弁解録取」という手続きを受けます(③)。
その上で警察官が被疑者の身柄を拘束するかしないか(釈放か)を判断します。
ここで釈放されない場合は、逮捕(①)から48時間以内に検察官の元に送致する手続き(送検)を取られます(④)。
なお、警察官は逮捕の必要があると判断して自ら逮捕したわけですから、その警察官が被疑者を釈放するということは特段の事情がない限りは通常考えられません。
送検後は検察官の元でも「弁解録取」という手続きを受けます(⑤)。
その上で検察官が被疑者の身柄を拘束するかしないか(釈放か)を判断します。
ここで釈放されない場合は、勾留請求されたと考えましょう(⑥)。
勾留請求は、検察官の元に送致される手続きが取られて(送検)から24時間以内です。
勾留請求後は、裁判官による「勾留質問」を受けます(⑦)。
その上で裁判官が被疑者の身柄を拘束するかしないか(釈放か)を判断します。ここで釈放されない場合は、勾留決定が出されたと考えていいでしょう(⑧)。
勾留決定が出た場合は「勾留状」という裁判官名義の令状が発布され、勾留状に基づき指定の留置場等へ収容されます。
通常、弁護士が逮捕後に接見のご依頼を受けてから逮捕された方と接見するのは、早くても③あるいは⑤の後になると思われます(なお、弁護人以外のご家族などは⑧までは、逮捕された方と接見することができません)。
早期釈放を目指す場合は、接見に引き続き、弁護士と委任契約を締結していただく必要があります。
そうすれば、弁護士は検察官や裁判官に被疑者を釈放するよう働きかけを行うことが可能となります。
勾留されれば10日間という身柄拘束が待っていますから(ただし、不服申し立てにより早期釈放は可能)、勾留前の早期釈放をお望みの場合は、はやめに弁護士へご依頼ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、強制わいせつ事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

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【強制性交等】少年が強制性交等未遂罪
【強制性交等】少年が強制性交等未遂罪
少年と強制性交等未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市城南区に住むA君(高校3年生)は友人が彼女と性交したとの噂を聞きました。性交体験がなかったA君はこの噂を聞いて「女性とセックスしてみたい」と思うようになりました。彼女のいなかったA君はどうやって女性とセックスしよう考えていたところ、インターネットサイトで「女性の襲い方」という動画を見て、人通りの少ない路上で背後から女性を襲う方法を選択しました。そして、A君はある日、福岡市城南区市内の路上を歩いていた女性Vさんを後ろから羽交い絞めにして路地裏に連れ込み押し倒し、馬乗りになり「やらせろ!」などと言って服を脱がせようとしました。しかし、A君は想像以上にVさんに抵抗された上、Vさんが大声をあげて助けを求めたため怖くなってその場から逃走しました。後日、Aさんの自宅に福岡県早良警察署の警察官がやってきて、A君は自宅の家宅捜索を受けるとともに、強制性交等未遂罪で逮捕されてしまいました。その場にいたAさんの両親は息子が逮捕されたことに驚き、警察官に詳しく事情を聞こうとしましたが詳しく教えてもらえませんでした。そこで、A君の両親は少年事件を専門に取り扱う弁護士にA君との接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~強制性交等未遂罪~
強制性交等未遂罪とはどんな罪なのでしょうか?
強制性交等罪は刑法177条に規定されています。
刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有機懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
一般に、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使をいいます。そして、強制性交等罪の暴行の程度は、相手方(被害者)の反抗を著しく困難しらしめる程度であることが必要とされています。具体的には、相手方を殴る、蹴る、叩く、武器を使用して殴る、叩く、馬乗りになる、羽交い絞めにする、縄などで縛るなどが「暴行」に当たるでしょう。
「性交等」には、性交の他に、肛門性交(アナルセックス)、口腔性交(オーラルセックス)も含まれます。性交とは膣内に陰茎を入れる行為、肛門性交とは肛門内に陰茎を入れる行為、口腔性交とは口腔内に陰茎を入れる行為をいいます。
今回、A君は性交する目的でVさんに「暴行」を加えたものの「性交」までには至っていないため、強制性交等未遂罪で逮捕されています。
★少年事件の流れ(逮捕後から少年審判までの流れ)についてはこちらもご参照ください→★少年事件の流れ★
~少年に対する処分と弁護活動~
少年は身体的にも精神的にもまだまだ未熟ですから、その未熟さゆえに犯行に至ってしまった、という側面もなくはありません。
そこで、少年事件で適用される少年法では、原則として少年に刑罰を科さないことを前提としています。
その代わりに、なぜ少年が犯行に至ってしまったのか、どうすれば将来、再び罪を犯さないことができるのかについて詳しく調査を受けます。
その上で、少年に保護処分を科す必要があるのか否か、必要があるとしていかなる処分が適当かが決められます。
なお保護処分には
①少年院送致
②児童養護施設・児童自立支援施設送致
③保護観察
の3種類があります。
①少年院送致は、少年を少年院に入所させ、そこで一定期間矯正教育などを受けさせる措置です。
②児童養護施設・児童自立支援施設送致は、児童養護施設・児童自立支援施設で、少年の更生を図るものです。施設に入所する点では少年人と同様ですが、少年院よりかは比較的制限の緩やかな生活を送ることができます。少年に頼るべき親などがいない場合に下されることの多い処分です。
③保護観察は、どの施設にも入所せず、通常の日常生活を送りながら少年の更生を図るものです。ただし、一定期間、保護観察所の指導・保護下に置かれることになります。親などの監督が規定できる場合は、比較的この処分がくだされることが多いでしょう。
そのほか、少年に成人同様刑事処分、刑事処罰を受けさせる必要が相当と判断された場合は、
検察官送致(いわゆる逆送)
という決定を受ける可能性もあります。
少年に社会内での更生可能性が期待できれば期待できるほど保護観察などの軽い処分を受ける可能性は高くなります。
だからこそ、少年による強制性交等事件では、その少年本人だけでなく、その周囲のご家族等が協力して更生のための環境づくりをしていく必要があります。
少年事件に強い弁護士がいれば、そのサポートを行うことができます。
例えば、被害者の方への謝罪は、少年自身やその家族がどういったことをしてしまったのか反省し受け止めることにつながると考えられますが、特に強制性交等事件のような暴力や脅迫をともなう性犯罪事件では、被害者の方へ直接連絡を取りお詫びをすることは非常に難しいです。
弁護士が間に入ることで、少しでも被害者の方の不安を軽減し、かつ少年やその家族の謝罪や反省を伝えられることが期待できます。
また、少年が再犯をしない環境づくりのためには、少年自身の反省だけでなく、その原因を探り対策を立てることも重要です。
第三者であり少年事件の知識・経験のある弁護士であれば、家族には相談しづらいことも相談しやすく、客観的なアドバイスをもらうことも可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談(ご案内はこちら→無料法律相談のご案内)、初回接見サービス(ご案内はこちら→初回接見サービスのご案内)を受け付けております。

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刑事事件・少年事件の弁護経験が豊富な弁護士が、初回の相談や接見から事件解決まで一貫して、適切な対応を致します。
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【準強制性交等】準強制性交で逮捕
【準強制性交等】準強制性交で逮捕
準強制性交等罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市西区に住む大学生のAさん(21歳)はサークルで知り合った女性Vさんと意気投合し、Vさん宅でお酒を飲んでいました。すると、Vさんがお酒に酔って寝込んでしまったため、Aさんは「これを機会にVさんと性交してしまえ」と思い、Vさんの下着を脱がせてVさんと性交しました。すると、Vさんが目を覚まし被害に気付きました。AさんとVさんは口論となり、AさんはVさん宅を後にした後、福岡県西警察署から出頭するよう言われました。そして、Aさんは警察に出頭後、準強制性交等罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~準強制性交等罪~
準強制性交等罪は刑法178条2項に規定されています。
刑法178条2項【準強制性交等罪】
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心身を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
刑法177条【強制性交等罪】
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
「心神喪失」とは、精神の障害によって正常な判断能力を失っている状態をいいます。例えば、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。恐怖、驚愕、錯誤などによって行動の自由を失っている場合などはこれに当たります。
いずれにしても、被害者がおよそ抵抗することが困難な状態に陥っていることが必要です。
そして、被害者が当該状態にあるかどうかは、被害者の性交等の前後の行動を詳細に検討しなければなりません。
被害者が抵抗することが困難な状態であることを肯定し得る被害者の行動としては
・酔って寝込んでしまっていた
・自分で起き上がれない
・自分で衣服を脱いだり着たりできない
・ろれつが回らない
・千鳥足になっていた
・意味不明のことを叫んでいた
・帰宅して目が覚めたとき下着を裏返しにはいていた
などがあります。他方で、否定する被害者の行動としては、
・性交前後に,被害者が携帯電話を操作していた
・写真撮影をしたりしていた
・自分の足で歩いていた
・自分で衣服を脱いだり着たり出来た
・場所や状況を的確に把握して行動していた
などがあります。
もっとも、いずれかの行動があれば肯定、否定というわけではなく、被害者の全ての言動などを勘案して判断されます。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。
「前条の例よる」の「前条」とは177条のことを指します。「例による」とは、法定刑を177条と同様、「5年以上の有期懲役」とするという意味です。
「準」とついていますから、一見すると、強制性交等罪より罪が軽そうにもみえますが、罪の重さは同じです。
以上からすると、準強制性交等罪は、
①心神喪失又は抗拒不能に乗じる+性交等
②心神喪失又は抗拒不能にさせる+性交等
の2つの場合のいずれかの要件が必要であることが分かります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、準強制性交等罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談(★無料法律相談サービスのご案内はこちら→★無料法律相談のご案内★)、初回接見サービス(★初回接見サービスのご案内はこちら→★初回接見サービスのご案内★)を24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。

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【強制わいせつ】強制わいせつで示談
【強制わいせつ】強制わいせつで示談
強制わいせつと示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
北九州市若松区に住む会社員のAさんは同僚の女性社員と残業で二人きりになった際に、女性に抱き着いてしまいました。Aさんは上司を通じて、女性はが福岡県若松警察署に被害届を出すつもりであることを聞きました。しかし、事件が刑事事件化してしまっては困ると考えたAさんはVさんと示談を成立させることで、事件を解決しようと示談交渉に強い弁護士に示談交渉を依頼することにしました。Aさんから依頼を受けた弁護士はすぐに女性と示談交渉を行い、示談を締結することに成功し、事件を刑事事件化せずに事件を解決することができました。
(この事例はフィクションです。)
~示談締結によるメリット~
強制わいせつ事件など被害者がいる刑事事件では、早期の示談成立が早期の事件解決につながります。
強制わいせつ罪は「6月以上10年以下の懲役」と罰金刑の規定もない比較的重い罪となっていますが、示談を締結することができれば、今回の事例のように事件化を防ぐことができるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所で示談交渉に慣れた弁護士が所属しています。
被害者との示談成立をご希望の方は、ぜひ弊所に一度ご相談ください。
示談締結によるメリットは以下のとおりです。
一つ目に、刑事事件化を防止できたり、不起訴処分につながることです。
被害者が警察に届け出る前に示談を成立させることができれば、事件が刑事事件化することを防止することができます。
また、仮に、本件のように被害届を提出された後でも、検察官による刑事処分前に示談を成立させることができれば不起訴処分を獲得できる可能性は高くなります。
二つ目に、減刑や執行猶予につながることです。
示談締結は、起訴された後の刑事裁判の段階でも被告人に有利な事情として働きます。
示談が成立している場合、懲役刑の刑期が短くなったり、執行猶予がついたりします。
三つ目に、釈放・保釈につながることです。
示談が成立している場合、多くの場合、当事者間では事件を終わらせたいという合意が成立していることを意味します。
そのため、その時点で身柄拘束の要件である被疑者・被告人が逃亡や証拠隠滅を図るおそれはないと判断されやすいのです。
四つ目に、民事裁判の防止なども実現できることです。
将来、被害者の損害賠償請求権の行使を禁止する条項を示談条項に加えることもできます、
今回みてきたように、示談にはさまざまなメリットがあります。
しかし、被害を受けた方と示談を締結することは簡単ではありませんので、示談交渉については専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。また、示談交渉は知識、経験が重要になってきますので、示談交渉の経験も豊富な刑事事件専門の弁護士に依頼することが後悔のない事件解決への最善策であるといえるでしょう。
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【強制わいせつ】不起訴獲得
【強制わいせつ】不起訴獲得
強制わいせつ罪と不起訴獲得について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県福津市に住むAさんは、援助交際の目的で、出会い系サイトで知り合った女子高生のVさんと会うことにしました。Aさんは、Vさんと会いホテルに入りましたが、Vさんから援助交際を断られてしまいました。そこで、Aさんは部屋から出ていこうとするVさんの腕を引っ張り、ベットに羽交い絞めにして胸を揉むなどしました。Aさんは、さらに陰部を触ろうとしましたがVさんから抵抗されたことから、それ以上Vさんに手を出すことはできませんでした。後日、Aさんは福岡県宗像警察署に強制わいせつ罪で逮捕されてしまいました。Aさんは接見に来た弁護士に、Vさんと示談して不起訴を獲得できないか相談しました。
(フィクションです。)
~強制わいせつ罪~
援助交際目的で出会ったものの、相手の受け取る印象が違い、援助交際を断れた結果、強制わいせつ罪、強制性交等罪などの性犯罪にまで発展するというケースも散見されます。
事例は強制わいせつ罪に発展したケースです。
強制わいせつ罪は刑法176条に規定されています。
刑法176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
「暴行」とは、他人の身体に対する有形力の行使をいい、脅迫とは、人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。
そして、強制わいせつ罪における暴行、脅迫の程度は、一般には、被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度のものでなければならないとされています。
具体的には、殴る、蹴る、叩く、首を絞める、馬乗りになるなどが「暴行」の典型ですが、そのほかAさんのようにわいせつ行為の手段として腕を引っ張る、羽交い絞めにするなどの行為も「暴行」に当たります。
「わいせつ行為」については、膣を触る、陰部に手を入れる、乳房を揉む、相手方の感情を無視したキスなどが典型です。
なお、強制性交等罪は強制わいせつ罪よりさらに重たい罪です。
強制性交等罪は刑法177条に規定されています。
刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も同様とする。
★強制わいせつについてはこちらもご参照ください→★強制わいせつについて★
~不起訴獲得に向けて~
強制わいせつ罪は懲役刑しか規定されていません。
ですから、起訴されれば必ず正式裁判を受けなければなりません。
起訴後は保釈されなければ裁判が終わるまで身柄を拘束され続けます。
このような事態を避けるには,起訴を回避する,つまり不起訴を獲得することが必要です。
不起訴を獲得するには,事実を認め,被害者に真摯に謝罪し,示談を成立させる必要があります。
また、起訴か不起訴かを判断するのは検察官ですから、示談は検察官が刑事処分の決める前に成立させ、その結果を検察官にアピールしなければなりません。
時間との勝負でもありますから、事件に対してどのような態度で臨むのか迷われている方ははやめに弁護士に相談する必要があります。
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★不起訴についてはこちらもご参照ください→★不起訴について★
★無料法律相談のご案内はこちら→無料法律相談のご案内
★初回接見のご案内はこちら→初回接見のご案内
★弁護士費用のご案内はこちら→弁護士費用のご案内

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【強制性交等罪】否認事件の典型事例
【強制性交等罪】否認事件の典型事例について弁護士が解説
強制性交等罪の否認事件の典型事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部がご紹介します。
北九州市戸畑区に住む会社員のAさん(28歳)は,知人女性Vさん(29歳)の自宅においてVさんを羽交い絞めにするなどした上Vさんと性交したとして強制性交等罪で逮捕されてしまいました。逮捕のきっかけは、VさんがAさんから性交された直後にVさんの知人宛に「レイプ被害に遭った」などというメールを送り、知人の勧めで被害から約3時間後に福岡県戸畑警察署に相談に行き、被害届を提出したことでした。また、Vさんは過去を振り返りたくないと思いつつも、今後のために役に立てばと思い、被害状況に関する詳細なメモを作成しました。一方、Aさんは逮捕直後の警察官の弁解録取で警察官に対し、「Vさんに暴行は加えていない。」「Vさんと性交したことは認めるが、Vさんの同意があると思っていた。」などと供述し、強制性交等罪の成立につき争う姿勢を示しています。Aさんは接見に来た弁護士にも同様のことを話しました。弁護士は嫌疑不十分での不起訴獲得に向けて弁護活動を始めることにしました。
(フィクションです。)
~強制性交等罪の成立要件~
強制性交等罪は刑法177条に規定されています
刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
まず、強制性交等罪は「暴行」、「脅迫」を手段とする犯罪です。
相手を殴る、蹴る、羽交い絞めにする、押し倒すなどが暴行の典型です。
しかし、強制性交等罪は後で解説するように大変重たい罪ですから、暴行、脅迫の程度は、通常の暴行、脅迫よりも程度の重たいもの、つまり、相手方の反抗(抵抗)を著しく困難にさせる程度のものが必要とされています。
なお、相手が13歳未満の場合は「暴行」、「脅迫」の手段は不要です。つまり、相手が13歳未満の場合は、加害者が相手を13未満の者と認識しつつ「性行等」を行っただけで強制性交等罪が成立します。
次に、「性行等」についてですが、強制性交等罪の場合、単なる「性行=男性が加害者の場合は自己の陰茎を女性の膣内に挿入する行為、女性が加害者の場合はその反対」のみならず、肛門性行、口腔性行も含まれます。この点、児童買春の罪の「性行等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせること)」とは意味が若干異なることにも注意が必要です。
~強制性交等罪の罰則~
罰則は5年以上の有期懲役です。「有期」ですから無期懲役はありません。懲役刑の上限は20年です(刑法12条1項)。
ちなみに、同じ「暴行」、「脅迫」を手段とする強盗罪(刑法236条)の法定刑も「5年以上の有期懲役」です。
なお、執行猶予を受けるためには「3年以下」の懲役又は禁錮の言い渡しを受ける必要があります。
しかし、強制性交等罪は再下限が「懲役5年」です。
つまり、刑事裁判で有罪とされれば
執行猶予付き判決を受けることはほぼ不可能
ということになります(「ほぼ不可能」と表現したのは、酌量減軽(刑法66条)などにより法律上の減軽措置を受けることができ、その結果執行猶予付き判決を受けることができる可能性が残っているからです)。
~強制性交等罪の否認パターン~
強制性交等罪の否認事件では、Aさんが言うように、
・強制性交等罪の「暴行」、「脅迫」の有無
・強制性行等罪の故意の有無
が争われることが多くあります。
では、上記の有無はどのように決せられるのでしょうか?
強制性交等罪をはじめとする性犯罪の場合、被疑者・被告人の供述に対して必ず被害者の供述が存在し、否認事件の場合、被疑者・被告人が黙秘しない限りは双方の供述が相反していることになります。
したがって、最終的には
・どちらの供述が信用できるか
・被害者の供述は信用できるのか
という点に焦点が当てられます。
では、本件Vさんの供述は信用できるのでしょうか?
この点、事例に現れた事実のみでは断定することはできないものの、少なくとも
・Vさんが被害直後に知人宛に「レイプの被害に遭った。」というメールを送っている
・警察に相談に行き被害届を提出している
・被害状況に関する詳細なメモを作成している
という事実は、Vさんの供述の信用性を高める一つの要素にはなりえます。
否認事件では冤罪の危険もありますから、否認すべきところは否認し、主張すべきところはしっかり主張していかなくてはなりません。
しかし、ほぼ間違いなく有罪と認められる場合にまで否認を貫いてしまうと、反対に「反省していない」と判断され、予想もつかなかった量刑を言い渡される可能性もあります。
否認を貫くべきか否かはよく弁護人と相談して決めた方がよいでしょう。
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【性犯罪】主たる性犯罪と未遂規定
【性犯罪】主たる性犯罪と未遂規定
性犯罪と未遂について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市西区の会社員Aさん(30歳)は、福岡市市の居酒屋でお酒を飲んだ後歩いて自宅へ帰る途中、性的欲求を満たすため、前を歩いていたで女性Vさん(25歳)と性行しようと考えました。そこで、AさんはVさんを尾行し、Vさんが人気のない公園に入ったところでVさんに「すみません。ここら辺の地理に疎いもので、今宿駅までの行き方を教えてくれませんか?」と言って声をかけVさんに近づきました。そして、Aさんは、Vさんがスマートフォンを出してアプリの地図を使って案内している隙に、「ちょっとこい、言うことを聞け」などと言いながらVさんの腕を両手でつかんでさらに人気の少ない場所へと連れて行きました。ところが、AさんはVさんの腕を離した隙にVさんに逃げられたことから性行を行うことはできませんでした。Aさんは、後日、福岡県西警察署に強制性交等未遂罪で逮捕されました。Aさんの家族から依頼を受けた弁護士が、Aさんと接見をしました。
(フィクションです。)
~ 主たる性犯罪と未遂規定 ~
未遂と聞くと、罪に問われないなどと軽く考えられる方も中にはおられるのではないでしょうか?
しかし、犯罪の「未遂」も立派な犯罪です。
ある犯罪の未遂犯として処罰されるには、その犯罪について未遂を処罰する旨の規定が設けられている必要があります。
刑法は、既遂犯を処罰するのを原則としており、その前の段階である未遂を処罰するのはあくまで例外としているためです。
刑法44条
未遂を罰する場合は、各本状で定める。
たとえば、今回、Aさんに疑いがかかっている強制性交等罪についてみていきます。
強制性交等罪は刑法177条に規定されています。
(強制性交等)
刑法177条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
そして、刑法180条に
(未遂)
刑法180条
第176条から前条までの罪の未遂は、罰する。
という規定が設けられています。
この規定によって、強制性交等罪の未遂も処罰されるというわけです。
ちなみに、強制わいせつ罪は刑法176条に規定されており、やはり、刑法180条によってその未遂罪も処罰されます。
(強制わいせつ)
刑法176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
~ どこからが未遂、どこからが既遂? ~
では、どこからが未遂で、どこからが既遂でしょうか?
この点、未遂に関する刑法43条では次のように規定されています。
刑法43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
つまり、犯罪の「実行に着手(実行の着手)」してからが未遂ということになります。
犯罪の実行に着手したかどうかは、犯罪実現の現実的具体的危険性が認められるかどうか、という観点から決められます。
強制性交等罪の場合、「暴行・脅迫」が加えられた時点で、一応、「実行の着手」ありとされます。
本件では、AさんがVさんの腕を両手で引っ張る行為が「暴行」に当たるでしょう。
しかし、外形的には単なる暴行罪(刑法208条)の「暴行」か強制性交等罪の「暴行」か分かりません。
そこで、もっとより具体的に、犯罪実現の現実的具体的危険性が認められるかどうか、という観点から「実行の着手」の有無を決めるのです。
そして、犯罪実現の現実的具体的危険性の有無は、行為者の主観(犯意)のほか、客観的事情(犯行現場の状況など)を総合考慮して決められます。
たとえば、仮に、AさんがVさんに「やらせろ。」などと言っていた場合は、AさんがVさんの腕を両手で引っ張る行為は、強制性行等罪の犯意がより具現化しているものといえ、強制性交等罪の実行の着手ありと認定され得る材料となるでしょう。
このように、どこからが未遂か既遂かの判断は難しいですから、お困りの方は弁護士までご相談ください。
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【性犯罪】強制わいせつ致傷罪~性犯罪者のための再犯防止プログラム
【性犯罪】強制わいせつ致傷罪~性犯罪者のための再犯防止プログラム
令和元年10月11日、鹿児島地方裁判所で、登校中の女子中学生Vさんにわいせつな行為をしようと企て、Vさんの首を絞めたり、ガラス片のようなもので頭を数回殴るなどの暴行を加え、Vさんに加療約10日間の怪我を負わせるなどして強制わいせつ致傷罪などの罪に問われた男性に対し、懲役8年の実刑判決が言い渡されました。検察の求刑(懲役7年)を超える異例の判決でした。男性は、昨年8月に、熊本県内の自宅に侵入し、就寝中の女性の体を触ろうとした準強制わいせつ未遂罪など、同9月、別の住宅から下着を盗もうとした窃盗未遂罪に問われ、今年3月、熊本地方裁判所で懲役2年、3年間執行猶予(保護観察付)の判決の言い渡しを受けたばかりでした。男性は保護観察期間中、性犯罪の「再犯防止プログラム」を受講していたそうです。
(報道を基に作成しています。)
~ 強制わいせつ致傷罪は重たい罪 ~
まず、強制わいせつ致傷罪がどんな罪か確認します。
強制わいせつ致傷罪は刑法181条1項に規定されています。
刑法181条1項
第176条若しくは第178条1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって、人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
以上の規定からすれば、強制わいせつ致傷罪は、
・強制わいせつ既遂罪(刑法176条)又はその未遂罪が成立したこと
・行為の「機会」に人に怪我をさせたこと(因果関係が認められること)
という条件を満たした場合に成立します。
この点、事例の男性は、わいせつな行為をする目的でVさんの首を絞めたり、ガラス片のようなもので頭を数回殴る「暴行」を加えてたことが認められます。もっとも、わいせつな行為にまでは及んでいないことから強制わいせつ未遂罪が成立するにとどまります。次に、男性は上記に暴行によってVさんに怪我させたものと認められますから、行為の「機会」に人に怪我をさせたといえます。
このことから男性に強制わいせつ致傷罪が成立しています。
~ 再犯防止プログラムとは ~
今回、男性が執行猶予期間中であったこと、保護観察期間中であったこと、再犯防止プログラムを受けていたにもかかわらず同じ性犯罪に及んでいたことや犯行態様の悪質性から求刑を上回る判決が言い渡されたようです。
ところで、この再犯防止プログラムは、2004年に奈良市で起きた小学生女児の殺害事件がきっかけとなり、2006年から導入されたものです。性犯罪につながる認知の偏り、自己統制力の不足等の自己の問題性を認識させ、その改善を図るとともに、再犯をしないための具体的な方法を習得させることを目的としています(犯罪白書より)。
受講の対象者は、性犯罪の傾向が進んでいると認められる受刑者や保護観察付きの執行猶予判決を受けた人で、一定の事由が認めらえる場合を除いて原則受講がき義務付けられています。
近年では、下着窃盗を繰り返す被告人に対し、検察が敢えて保護観察付執行猶予判決を求めるなど、性犯罪傾向が進んでいる人に対しては、検察、保護観察所が連携して裁判後も国の監視、監督下に置いて更生の道を歩ませようとする取り組みも行われています。
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準強制わいせつ罪と不起訴
準強制わいせつ罪と不起訴
本日は、準強制わいせつ罪と不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市東区に住む大学生のAさん(22歳)は、サークルの活動の飲み会に参加しました。そして、Aさんは飲み会がお開きになった後、トイレに行こうとしたところ、別室で泥酔状態でぐったりとしているVさん(21歳)を見つけました。AさんはVさんとは日頃から良く話す仲で、お互い少しずつ好意を寄せていることを感じていました。そこで、Aさんは「この隙に」と思い、Vさんの胸を数回揉みながらVさんの口にキスをしました。すると、Vさんが意識を取り戻し、Vさんから「触ったでしょ?」と言われました。そして、Aさんは、後日、福岡県東警察署に準強制わいせつ罪で逮捕されてしまいました。Vさんが東警察署に被害届を提出したようです。
~ 準強制わいせつ罪 ~
準強制わいせつ罪は刑法178条1項に規定されています。
刑法178条1項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
「心神喪失」とは、精神上の障害によって正常な判断を失っている状態をいいます。具体的には、熟睡、泥酔・麻酔状態・高度の精神病などがこれに当たります。責任能力における心神喪失(刑法39条1項)とは若干意味が異なります(責任能力における心神喪失とは、精神病や薬物中毒などによる精神障害のために、自分のしていることが善いことか悪いことかを判断したり、その能力に従って行動する能力のないことをいいます)。
「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由によって心理的・物理的に抵抗することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。睡眠中、泥酔中、麻酔中、催眠状態など、心神喪失以外の理由でわいせつな行為をされていることを認識していない場合がこれに当たります。また、わいせつな行為をされること自体認識していても、加害者の言動によりこれを拒むことを期待することが著しく困難な状態なども含まれます。
「(心身喪失・抗拒不能に)乗じる」とは既存の当該状態を利用することをいいます。当該状態を作出した者とわいせつ行為をした者が同一であることは必要ではありません。「(心神喪失・抗拒不能)にさせる」手段には制限はありません。麻酔薬、睡眠薬の投与・使用、催眠術の施用、欺罔などはいずれもその手段となり得るでしょう。
~ 今年3月には無罪判決も ~
今年3月には、福岡地方裁判所久留米支部で、罪名は異なりますが、
泥酔状態にあった被害者に対して被告人が性交を行ったという準強姦(現在、準強制性交等罪)
で、被告人に無罪判決が言い渡されています(現在、検察側控訴中)。
裁判所は、被害者が抗拒不能状態にあったことは認めたものの、被告人が被害者の同意があったと誤信するにつき無理からぬ事情があり犯行の故意がない、としたのです。この考え方は、準強制わいせつ罪でも応用することができるのではないでしょうか?
~ 不起訴 ~
久留米支部の事例は、起訴され、刑事裁判となったケースですが、そこまでには至らないケースもございます。それが、検察官の判断で「不起訴」とされた場合です。
不起訴理由には、主として、起訴猶予と嫌疑不十分の2種類があります。
起訴猶予は、犯人が罪を犯したことは明白ではあるが、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により不起訴(公訴を提起しない)とする場合の理由とされます。
他方、嫌疑不十分とは、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分で不起訴とする場合の理由とされます。
不起訴(起訴猶予)の獲得を目指す場合、まずは犯人に猛省していただき、再犯防止に向けた具体的行動、対策を取っていただく必要があります。
それと併行して、被害者側との示談交渉、示談も大切です。
犯人の反省の程度、示談締結の事実、被害者の処罰感情の緩和といった事情が「犯罪後の情況」として考慮されうるからです。
不起訴(嫌疑不十分)の獲得を目指す場合は、犯人が事実を否認しているのが通常です。
その場合は、まず、捜査官(警察官、検察官)に対する取調べの対応が大切になってきます。
しかし、相手は取調べのプロですから、どう対応すべきかは痴漢事件、刑事事件のプロである弁護士のアドアイスを受けた方が賢明です。
しかも、特に、事実を否認している場合、取調べが一回(一日)で終わるとうことまずないでしょう。
ですから、各取調べごとに綿密に弁護士と打合せを行い、取調べに対応する必要があります。
また、性犯罪においては、被害者や目撃者の供述が「犯罪の成立を認定すべき証拠」として重要となってきます。
ですから、事実を否認する場合は、被害者や目撃者の供述の信用性を争っていかなくてはなりません。
仮に、被害者や目撃者の供述の信用性がない、あるいは低いと認定されれば「犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分」であるとして不起訴(嫌疑不十分)を獲得できるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。

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当事務所は、土日祝日を含め、24時間体制で、無料相談や接見(面会)・同行サービスのお電話を受け付けております。お急ぎの方につきましては、お電話をいただいたその日中に相談・接見等の弁護サービスをご提供しております。
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