強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪

改正前
【強制わいせつ罪(刑法176条)】
13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。 

【準強制わいせつ罪(刑法178条1項)】
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、176条の例による。

【強制わいせつ等致死傷罪(刑法181条1項)】
第176条若しくは第178条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

改正後
【強制わいせつ罪(刑法176条)】
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

【準強制わいせつ罪(刑法178条1項)】
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、176条の例による。

【監護者わいせつ罪(刑法179条1項)】
18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による。

【強制わいせつ等致死傷罪(刑法181条1項)】
第176条、第178条第1項若しくは第179条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

1.各犯罪の説明

強制わいせつ罪といっても、犯行態様等によって罪名や法定刑が異なります。

(1)強制わいせつ罪

暴行又は脅迫を用いて、相手の意思に反してわいせつな行為を行なう犯罪です。
相手が13歳未満の場合は、手段を問わず、同意があったとしても強制わいせつ罪になります。
法定刑は6月以上10年以下の有期懲役です。

なお、以前は、強制わいせつ罪は、告訴がなければ検察官は公訴を提起(起訴)することができない「親告罪」とされていましたが、平成29年の「刑法の一部を改正する法律」により、「非親告罪」となり,告訴がなくても起訴ができるようになりました。

(2)準強制わいせつ罪

女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心身を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした場合に成立します。つまり、女性を酔いつぶす等して、抵抗できない状態にさせた上でわいせつな行為をした場合に成立します。
法定刑は6月以上10年以下の有期懲役です。

(3)監護者わいせつ罪

18歳未満の者に対して,その者の監護者が,監護者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした場合に成立します。
法定刑は6月以上10年以下の有期懲役です。

(4)強制わいせつ等致死傷罪

強制わいせつ罪または強制わいせつ未遂罪、準強制わいせつ罪または準強制わいせつ未遂罪を犯し、よって人を死傷させた場合に成立する犯罪です。
法定刑は無期または3年以上の有期懲役です。

なお、死傷の結果は、わいせつ行為から生じた場合に限られず、その手段である暴行又は脅迫行為によって生じた場合でもよいです。

最高裁決定平成20年1月22日は、準強制わいせつ罪を犯した者が、わいせつ行為を行う意思をなくした後、逃走するために被害者に暴行を加え傷害を負わせた事例で、準強制わいせつ致死傷罪の成立を認めています。

2.告訴に関して

(1)告訴期間について

強制わいせつ罪については告訴期間が撤廃されました。
被害者は精神的ショックを受けているため、短期間で告訴するかどうかを決めるのは困難であると考えられたためです。

(2)被害届との違いは何ですか?

「告訴」は、捜査機関に対し犯罪事実を申告しその訴追を求める意思表示をいいます。
一方、「被害届」は犯罪による被害の事実を申告することで、起訴を求める意思がない点で告訴と異なります。

(3)告訴権者

①被害者が生存している場合
・被害者本人
・被害者の法定代理人
→法定代理人は、被害者の意思とは関係なく、独立して告訴することができます。

②被害者が死亡している場合
・被害者の配偶者、直系親族(父母、子など)、兄弟姉妹(ただし、被害者が生前に「告訴を希望しない旨」を明らかにしていたときは告訴できません)

③被害者の法定代理人が被疑者である場合など
・被害者の親族

④告訴をできる者がいない場合(刑訴法234条)
利害関係人の申立により、検察官が、告訴をすることができる者を指定することができます。

~強制わいせつ事件における弁護活動~

1.示談活動

示談を行い、可能であれば告訴の取消しを得ることができるよう最善の活動を行います。告訴取消を公訴提起前に得ることができれば不起訴になる可能性があります。

弁護士を通して被害者とコンタクトをとれる可能性が上がります。また、直接、被疑者が被害者と交渉を行うと被害者の気持ちを逆なでして示談交渉が決裂したり、不相当に過大な金額での示談解決になる可能性があります。

弁護士が間に入れば、冷静な交渉により妥当な金額での示談解決が図りやすいです。
詳しくは ~ 示談で解決したい ~へ

2.身体拘束解放活動

仮に身体拘束(逮捕・勾留)がなされても、前述の示談活動及び取調対応を適切にとることで解放されやすくなります。

弁護士による適切なアドバイスを受けることにより、身体拘束解放に向けて大きく前進することができます。

3.情状弁護

早い段階から公判準備をすることにより、少しでも有利な処分を得ることが可能となります。例えば、依頼者の方と相談しつつ、必要であれば矯正プログラムの検討とともに証拠提出の上、再犯防止に向けてサポートします

4.否認事件

例えば、相手の同意があったにもかかわらず、強制わいせつの容疑をかけられてしまった場合、適切な取調対応アドバイスするとともに、本人と相手の関係、わいせつ行為前後のやりとり等から、そもそも強制わいせつ罪には当たらないことを主張してゆき不起訴・無罪を目指します。

5 被害者対応

加害者に対し、刑事手続きにより適切に処罰を求める場合には、告訴が必要となることがあります。しかし、実際に一般の方が警察に直接行って告訴したいと言っても取り合ってもらえない場合も数多くあります。そういった場合にも、告訴に必要な情報を収集し、弁護士が代わりに警察に告訴を受理してもらえるよう交渉することが可能です。

強制わいせつ事件等でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へお問い合わせください。刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。

 

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