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児童虐待で懲役2年求刑~北九州市
児童虐待で懲役2年求刑~北九州市
児童虐待と刑事罰(懲役)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
北九州市小倉南区に住むAさんは、自宅で、犬のしつけ用の通電装置を使用し、同居する長女V1さん(15歳)、次女V2ちゃん(10歳)、長男V3君(8歳)の腕に同装置を押し当て、V3君に加療約1週間を要する怪我を負わせました。Aさんは、福岡県小倉南警察署に暴行罪、傷害罪で逮捕され、捜査を経た後、福岡地方裁判所小倉支部宛てに起訴されました。Aさんは、裁判で起訴事実を認め、検察官から懲役2年を求刑されてしまいました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
先日、8月19日、子ども3人に電気ショックを与えて虐待したとして暴行罪と傷害の罪で起訴された北九州市小倉南区の無職男性の初公判が福岡地方裁判所小倉支部で開かれ、検察側から懲役2年を求刑されています。この求刑を受けて、裁判所がどのような量刑を科すのか注目されます。
ちなみに、千葉県野田市で小学4年の少女を児童虐待死したとして傷害罪の幇助犯に問われた女性には、検察側から懲役2年の求刑がなされましたが、判決ではそれを超える懲役2年6か月(保護観察付き執行猶予5年)が言い渡されています。
~ 児童虐待とは ~
ところで、児童虐待といいますが、「児童虐待罪」という罪やその罪を規定した法律はありません。
ただし、児童虐待の定義については、児童虐待の防止等に関する法律という法律(2条)(以下、児童虐待防止法)に明確に規定されています。
それによると、児童虐待とは、
保護者(略)がその監護する児童(18歳に満たない者をいう。以下同じ)について次に掲げる行為をいう
とされています。
そして、「次に掲げる行為」とは、以下の行為です。
1号 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれがある暴行を加えること(身体的虐待)
2号 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること(性的虐待)
3号 児童の心身の発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること(ネグレクト)
4号 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(略)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと(心理的虐待)
以下、「北九州市子どもを虐待から守る条例」に記載されている身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の例をご紹介します。
身体的虐待の例
・殴る、蹴る、叩く、投げ落とす
・激しく揺さぶる
・戸外に締め出す
・あざや火傷など外傷を負わせる
・溺れさせる
・首を絞める
性的虐待の例
・子どもへの性的行為(そそのかしを含む)
・性的行為を見せる
・ポルノグラフィの被写体とする
ネグレクト(保護の怠慢、拒否)の例
・衣食住の世話をしない
・重大な病気になっても病院へ連れていかない
・乳幼児を家や車に放置する
・子どもの意思に反して学校に登校させない
・保護者以外の人による虐待を放置する
・ひどく不衛生にする
心理的虐待の例
・言葉による脅し・脅迫
・拒否的な態度や無視
・きょうだい間で差別的な扱い
・自尊心を傷つける
・子どもの目の前で配偶者や家族に暴力や暴言を行う(面前DV)
~ 児童虐待と刑事罰 ~
児童虐待に当たる行為は、刑法などに規定される罪によって処罰され得ることになります。
本件は、身体的虐待の事例で、暴行罪(208条)、傷害罪(204条)に問われています。
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
さらに、児童を死亡させた場合は、傷害致死罪(刑法205条)に問われる可能性もあります。
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
わいせつ動画をライブ配信~久留米市
わいせつ動画をライブ配信~久留米市
わいせつ動画のライブ配信行為により成立し得る公然わいせつ罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県久留米市に住む女性Aさん(50歳)、男性Bさん(42歳)、男性Cさん(48歳)は共謀し、ライブ動画配信サイトを利用し、今年の2月と6月の2度にわたり、福岡市のマンションの一室で、女性が下半身を露出するなどの行為をしている映像をライブ配信し、インターネットを通じてわいせつ行為のライブ映像を不特定多数の視聴者らに閲覧させた公然わいせつの疑いで逮捕されました。Aさんの家族から接見の依頼を受けた弁護士がAさんと接見しました。
(事実を基にしたフィクションです。)
~ 公然わいせつ罪とはどんな罪? ~
公然わいせつ罪といえば、公園や駅などの公共の場で、全裸姿、あるいは、一部の性的部位を露出するなどしてわいせつ行為に及ぶという態様が典型的ですが、最近ではインターネットなどの普及によって、インターネット上でわいせつな行為をし、公然わいせつ罪で逮捕されるという事例が散見されます。今年6月には、東京都内に住む自称ユーチューバーの女性が同様の行為で逮捕されたことは記憶に新しいところです。
では、この公然わいせつ罪とはどんな罪なのでしょうか?
公然わいせつ罪は刑法174条に規定されていますから規定の内容から確認しましょう。
刑法174条
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
まず、「公然と」とは、不特定又は多数人が認識することができる状態をいいます。「認識することができる状態」であれば公然となるわけですから、必ずしも認識されている必要はありません。インターネットの世界では、世界中の誰もがいつでも、どこでも、好きなときに情報を得ることがでいる世界であることは既に周知の事実であるといっても過言ではありません。そこで、全裸でわいせつな行為をする動画を生配信している際、たまたま誰からも閲覧されていなかったとしても「公然」に当たりますし、閲覧されいたとすればなおさら「公然」に当たるでしょう。
次に、「わいせつな行為」とは、行為者又はその他の物の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの、とされています。全裸となる行為はもちろん、自らの下半身を露出する行為や、性交渉を見せつける行為などもこれに当たります。
~ 共謀とは? ~
ところで、事例の中でも出てきた「共謀」とはどういう意味なのでしょうか?
この「共謀」とは共謀共同正犯のことを意味します。
共謀共同正犯とは、共犯者間(本件では、Aさん、Bさん、Cさんの間)で特定の犯罪(本件では公然わいせつ罪)を犯す意思があり、自己の犯罪を実現する意思で他者の行為を利用した(または他者から利用された)という関係が認められる場合に、特定の犯罪の行為(本件では、公然わいせつ罪の「わいせつな行為」)を行っていない者(本件では、Bさん、Cさん)も正犯とする、というものです。
つまり、事例からすれば、公然わいせつ罪の実行行為を行ったのはAさん(正犯者)です。
しかし、Bさん、Cさんが、例えば、動画を配信するための機材や部屋にかかる費用を負担するなどしていれば、たとえわいせつな行為を行っていなくても、わいせつな行為をしたのと同様(Aさんと同様)の責任を負う、ということになります。
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盗撮で私選弁護人か国選弁護人か
盗撮で私選弁護人か国選弁護人か
盗撮事件と私選弁護人・国選弁護人について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市中央区に住むAさんの妻Bさんは、福岡県中央警察署から「旦那さんを盗撮で逮捕しました。」との連絡を受けました。
突然の逮捕に驚いたBさんは、まずは旦那と面会しようと思い警察に連絡しましたが、「しばらくは面会できない」と断られてしまいました。
そこで、Bさんは弁護士に接見してもらうべく、刑事事件に強い法律事務所に接見を依頼しました。
Bさんは、弁護士の接見後の報告を受け、その際、私選弁護人と国選弁護人の違い、私選弁護人を選任するメリットなどについて説明を受けました。
(フィクションです)
~ 私選弁護人と国選弁護人 ~
刑事事件の弁護士は私選弁護人と国選弁護人に分けられます。
私選弁護人は個人が自由に選ぶ弁護士、国選弁護人は国(最終的には裁判所)が選ぶ弁護士です。
盗撮事件の場合でも、私選、国選、両方の弁護士を選任することができますが、以下でご説明するとおり、両者には様々な違いがありますから注意が必要です。
~ 私選弁護人と国選弁護人の違い ~
まずは、費用面でしょう。
私選弁護人の場合、弁護活動によって生じた必要は全額自己負担です。また、その額も決して安い額ではありません。対して、国選弁護人の場合は、原則、国が負担してくれます。
ただし、国選弁護人を選ぶには、貧困その他の事由により弁護人を選任できない(具体的には、資力(現金と預金等の合計)が50万円に満たないこと)、という条件が必要です。また、その資力を証明する書面として、資力申告書を提出しなければなりません(虚偽記載をした場合は、10万円以下の過料に処せられることがあります)。対して、私選弁護人の場合は選ぶ条件などありません。弁護士から提示された条件面に納得できれば、あなたの判断で選ぶことが可能です。
最後に、注意していただきたいのは実際に選ぶことのできる「時期」です。
私選弁護人の場合は、逮捕前であろうがなかろうが、いつでも選ぶことができます。対して、国選弁護人の場合は「被疑者に勾留状が発せられてから」となります。
勾留状が発せられるまでには、おおまかに、逮捕→送検→裁判官による勾留質問、という手続きを踏み、この裁判官による勾留質問を経た後に勾留状が発せられます。この間、約3日間の日数を要し国選弁護人は選任されません。つまり、弁護活動の開始時期がその分だけ遅れてしまう、ということです。
一刻もはやい釈放等を望まれる場合は私選弁護人の選任を検討すべきでしょう。
~ 私選弁護人を選任するメリット ~
弁私選弁護人にしようか、国選弁護人にしようか迷われている方などはぜひ参考にされてください。
先ほども少し触れましたが、逮捕期間中から接見してくれる、ということです。逮捕期間中とは、逮捕から裁判官の勾留質問までの期間のことをいいます。
一日でも早く家庭に戻ってきて欲しい、はやく釈放させてあげたい、などとお考えの方は私選弁護人を選任された方がいいでしょう。
また、私選弁護人であれば、逮捕期間中から弁護活動を開始することが可能ですから、警察官や検察官、裁判官に働きかけて、早期釈放を目指してもらえます。
仮に勾留された場合でも、不服申し立てをしてもらえます。不服申し立てが認められた場合は10日間の勾留満了日を迎える前に釈放されます。
最後に、盗撮行為を認める場合は示談交渉を行ってくれます。もちろん、国選弁護人も示談交渉を行ってくれますが、私選であればよりスピーディーに、より円滑に示談を成立してもらうことが期待できます。
そして、示談交渉を始めるにあたっては、被害者の個人情報(氏名、住所、電話番号等)を取得しなければなりません。しかし、被害者はもちろん、警察や検察の捜査機関も被害者の個人情報を本人に教えません。この点、弁護人であれば個人情報を取得できる可能性が高いです。また、弁護人であれば適切な形式・内容で示談を成立させることが可能で、のちのちのトラブルも回避することができます。
示談を成立させることができれば不起訴処分を獲得できる可能性も高くなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
児童ポルノとその犯罪類型と罰則
児童ポルノとその犯罪類型と罰則
児童ポルノとその犯罪類型・罰則について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県城南区に住むのAさん(40歳)は、インターネットのSNS上で知り合った高校生(16歳)の女性Vさんと仲良くなりました。そして、Aさんは、ある日、Vに頼んで、Vさんの裸の写真画像5枚をLINEメールで送ってもらいました。
ところが、後日、Vさんが別件で警察官に補導され、Vさんのスマートフォンの履歴等を精査されたことをきっかけに、Aさんの上記行為が発覚し、Aさんは児童ポルノ法違反の疑いで、福岡県早良警察署より呼び出しを受けてしまいました。
Aさんは警察の取調べに対してどのように対応すればよいのか不安になったため、児童ポルノに詳しい弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~ 児童ポルノとは? ~
皆さんは、「児童ポルノ」といったらどんなものをイメージされるでしょうか?
この点、児童ポルノは、具体的には、以下の児童の姿を記録した写真やハードディスク、BL、DVD、USBメモリー,フラッシュメモリー,インターネット上のサーバー(以下、写真等といいます)などを指します。
・児童を相手とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
・他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態(性欲を興奮させ又は刺激するもの)
・衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態(殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するもの)
ここで「児童」とは18歳未満の者をいいます。
そこで、「児童ポルノ」とは、18歳未満の者の性的姿(上記3種類の姿態)を描写した写真等をいいます。
~ 児童ポルノと犯罪類型 ~
では、法律(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)では、「児童ポルノ」につきどのような行為を規制しており、どのような罰則を設けているのでしょうか?
= 所持行為 =
自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した場合(自己の意思に基づいて所持するに至り、かつ、当該者であることが明らかに認められる場合に限る)は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処せられます。
また、他人に提供する目的で児童ポルノを所持した場合は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」に処せられます。
= 提供行為 =
児童ポルノを提供した場合、あるいはインターネットを通じて児童ポルノを提供した場合は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」に処せられます。
また、同様の方法で、児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供した場合は「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又は併科」とされます。
= 製造行為 =
製造行為については、
・提供する目的で児童ポルノを製造した場合
・児童ポルノを製造した場合
・ひそかに児童ポルノを製造した場合
は、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」に処せられます。
また、
・児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供する目的で製造した場合
は、「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又は併科」とされます。
= その他(保管、運搬、輸出入行為) =
保管はその態様により「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、又は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」、あるいは「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又は併科」。
運搬はその態様により「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」、又は「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又は併科」。
輸出入もその態様により「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」、又は「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又は併科」とされます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
類型別交通事故の発生状況~車両相互で多い「追突」事故について~
類型別交通事故の発生状況~車両相互で多い「追突」事故について~
車両相互の交通事故で多い追突事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
佐賀県鳥栖市に住むAさんは、佐賀県三養基郡基山町内の国道3号線を普通乗用自動車を運転中、スマートフォンの操作に気を取られ、信号待ちのため停止していたVさん運転の軽自動車に気づかず自車を衝突させてしまいました。Aさんはすぐさま車を止め、車から降りてVさんに対する救護活動や、警察への110番通報をしました。その後、Vさんは病院に運ばれ、加療約3週間の怪我を負ったことが判明しました。また、Aさんは佐賀県鳥栖警察署において過失運転致傷罪で事情を聴かれることになりました。
(フィクションです。)
~ はじめに ~
前回の「類型別交通事故の発生状況~人対車両~」では、平成30年中の交通事故の発生状況の中で
車両相互
が
370,614件
と一番件数が多いこと、さらに車両相互の交通事故状況を細かくみると、
1 追突 149,561件
2 出会い頭 106,331件
3 その他 39,123件
4 右折時 35,037件
5 左折時 19,149件
という順となっていることをご紹介いたしました。そこで、今回は、追突の原因などについてご紹介したいと思います。
~ 追突の原因 ~
交通事故の状況の中で「追突」が多いことからすれば、追突事故を減らせば交通事故も減る、といっても過言ではないと思います。
そこで、まず、交通事故を減らすためには追突事故の原因を知ることからはじめなければなりません。
追突事故の原因としてまず挙げられるのが「前方不注視」です。
前方不注視とは、文字通り、前方をよく見ることがおろそかになっていた、ということです。その意味では、前方不注視には、
全く前方を見ていなかった
ということはもちろん、
前方は見ていることは見ていたのだけれども、よく注意して見ていなかった
ということも含まれます。脇見と呼ばれるものがこれに当たりますね。前方不注視の原因としては、
・看板や店の外観が気になっていた
・カーナビ操作で画面に夢中になっていた
・携帯、スマートフォンの操作で画面等に夢中になっていた
などが挙げられます。
次に、挙げられるのが「動静不注視」です。
いわゆる思い込み運転というもので、
・前の車は止まらないだろう
・前の車は発進するだろう
・前の車は車線変更しないだろう
などと思っていたところ、予想に反した行動に出たため交通事故を起こしてしまったという場合です。結局は、前の車の動きをよく確認していなかったということですから、
その意味では、動静不注視は前方不注視の一部に含まれるのかもしれません。
~ 追突事故を防ぐには? ~
佐賀県は、他県に比べて追突事故が特に多く、平成28年中に発生した全人身交通事故7783件のうち追突事故が3651件と4割を超える高い割合となっています。
そこで佐賀市のホームぺージでは、追突事故を防止するために次の3つのことを心掛けましょう、と呼びかけられています。
= 3秒間の車間距離(後続車向け) =
速度や交通状況によって異なりますが、適切な車間距離が追突事故を防止するのに役立ちます。
車間距離が短いと前車の急な動きに即応できませんし、たとえ前方不注視などで前車に気づくのが遅れても追突事故を起こさずに済むかもしれません。
= 3秒、30メートルルール(先行車向け) =
追突事故は後続車だけの努力で防げるものではありません。
先行車であっても急停車、急発進などの急な動きは避け、右左折等する場合ははやめに合図を出して後続車に自己の動きを知らせる必要があります。
= 3分前の出発 =
運転する前の心がけです。
心理的に急いでいると、どうしても車間距離が詰まったり、安全確認等が疎かになりがちです。
気持ちに余裕を持って運転することで、追突事故、交通事故の防止につなげることができます。
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風俗トラブルで知っていただきたいこと
風俗トラブルで知っていただきたいこと
風俗トラブルについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡市博多区に住む会社員のAさんは中洲のソープランドX店へ行き、風俗嬢Vさんから60分間の性的サービスを受けました。その後、AさんはVさんのことが気に入ったことから、Vさんに「3万で本番できない?」というと、Vさんから「お店からは本番禁止と言われているけど、3万出してくれるならいいよ」などと言いました。そこで、AさんはVさんと本番行為をしました。ところが、その後、Aさんが再びX店へ行くと、AさんはX店店長から「お前、風俗嬢と本番したよな?」「風俗嬢が本番したと言っている。」などと言われ、罰金100万円を支払うよう求められ、「もし支払わなければ警察に強制性交等罪で訴える」などと言われています。困り果てたAさんは弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
いわゆるソープやデリヘルのような風俗では、(1)本番行為(2)盗撮、(3)薬物使用、(4)暴力行為、(5)スカウト行為――などが禁止事項とされていることが多いようです。そして、禁止事項を破り、そのことが店側にバレたら、店から「罰金」の支払いを求められるというケースはよく目にしたり、耳にしたりすることがあるかと思います。
ところで、この「罰金」とは法的にはどんな性質のものなのでしょうか?そして、支払う必要があるのでしょうか?「罰金」の支払を求められた方からすれば、「悪いことをした」などという負い目から、ただなんとなく「支払わないといけない」という気持ちに陥ってはいませんか?
そこで、今回は、この罰金の法的性質や刑事事件における「罰金」との違いなどについて解説いたします。
~ お店から求められる「罰金」の性質 ~
風俗店を利用した場合、通常、利用客はお店と風俗利用の「契約」をしていると考えられます。
契約は書類にサインするなど書面で行われる場合のほか、口頭やある一定の行為をすることによっても成立することがあります。
風俗店の利用の場合でも、利用客が風俗嬢を指名してサービスを受けたい旨を店側に伝え、店側がこれに応じた時点で契約が成立すると考えてよいでしょう。
そこで、お店が「本番禁止」としているにもかからわず、風俗嬢と本番行為に及んだ場合は契約違反を理由にお店から損害賠償額を請求される、というわけです。
そして、お店側の「本番行為をしたら罰金100万円をいただきます」という定めは法律上は「損害額の予定」、つまり「違約金」と解されており、違約金はお店側が損害額について立証しなくても請求できると考えられています。お店側は、この違約金を根拠にあなたにお金を請求してきているのです。
ただ、この「本番行為をしたら罰金100万円をいただきます」という定め自体、公序良俗に反し「無効」と考えられることもあります。また「罰金」といいますが、通常、「罰金」というときは刑罰の「罰金」であって、この刑罰を科すことができるのは裁判官だけです。ですから、裁判官でもない風俗の店長が「罰金」という言葉を使っても、慌てふためくことなく冷静に対処することが大切です。
~ 要求が悪質な場合は脅迫罪、恐喝罪などにも!? ~
また、その他に知っていただきたいこととしては、あまりにも金銭の要求が悪質な場合は、相手を恐喝罪(刑法249条)などの罪に問える可能性があるということです。
刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
また、金銭を要求されていなくても、「殺すぞ。」「命がないぞ。」「ネット上で言いふらすぞ。」などと言われた場合は脅迫罪(刑法222条)に問える可能性もあります。
刑法222条
1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
下手な争いごとに巻き込まれないためには、禁止行為をしないこと、が一番大切ですが、仮に巻き込まれてしまった場合は、上記の知識も抑えておくことも必要かなと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
類型別交通事故の発生状況~人対車両~
類型別交通事故の発生状況~人対車両~
人対車両の交通事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県飯塚市に住むAさんは、福岡県飯塚市内の道路で普通乗用自動車を運転中、交差点を右折しようと対面の青色信号に従い交差点に進入し、直進車の通過を待って同交差点で右折を始めたところ、青色の信号表示に従って横断歩道上を横断してきたVさん(85歳)に自車を衝突させてVさんを路上に転倒させてしまいました。Aさんはすぐさま車を止め、車から降りてVさんに対する救護活動や、警察への110番通報をしました。その後、Vさんは病院に運ばれ、加療約3週間の怪我を負ったことが判明しました。また、Aさんは福岡県飯塚警察署において過失運転致傷罪で事情を聴かれることになりました。
(フィクションです。)
~ 類型別交通事故の発生状況 ~
交通事故を起こさないためには、事前に、どんな類型の交通事故が多いのか知っておくことも大切ではないかと思います。
警察庁交通局が発表した「平成30年中の交通事故の発生状況」によれば、
1 車両相互 370,614件
2 人対車両 48,618件
3 車両単独 11,286件
としており、やはり「車両相互」間の交通事故件数が一番多いことが分かります。
さらに、統計では、この交通事故類型ごとに、細かく交通事故の類型及びその件数を分析しています。
たとえば、「車両相互」では、
① 追突 149,561件
② 出会い頭 106,331件
③ その他 39,123件
④ 右折時 35,037件
⑤ 左折時 19,149件
という順となっています。また、「人対車両」では、
① 横断中 29,236件
② その他 11,391件
③ 対面通行中 3,017件
④ 背面通行中 4,539件
という順となっており、「人対車両」では「相手方横断中」の交通事故が圧倒的といっていいほど多いことが分かります。
~ 横断歩道を通過しようとする際の注意点 ~
そこで、今回は、車両等の運転者が横断歩道上を通過しようとする際の注意点について改めて確認したいと思います。
この点、道路交通法38条では以下の規定が置かれています。
【道路交通法38条】
1 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進 路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による 停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断 歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければな らない。
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除 く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その 前方に出る前に一時停止しなければならない。
3 車両等は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路の部分においては、第三十条第三号の規定に該当する場合のほか、その前方を進行している他 の車両等(軽車両を除く。)の側方を通過してその前方に出てはならない。
1項前段(~「速度で進行しなければならない」まで)は横断歩道等に近接する車両等の速度に関する義務、1項後段は、車両等の一時停止、歩行者等の通行を妨げない義務を定めたものです。
2項は、横断歩道等あるいはその直前に車両等がある場合の同車両等の側方を通過する際の一時停止義務、3項は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路における追い抜き禁止義務を定めたものです。
2項、3項は、横断歩道等には歩行者等がいるが蓋然性が高いにもかかわらず、各状況下で一時停止することなく車両等を追い抜こうとすれば、横断歩道等に対する見通しが悪いことから、車両等の運転手に一時停止義務や追い抜き禁止義務を課したものです。
~ 罰則規定も? ~
なお、故意に道路交通法38条1項から3項までの義務に違反した場合は
3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
過失による場合は、
10万円以下の罰金
に処せられる場合がありますから注意が必要です。
もっとも、今回は、自動車の運転によって人に怪我をさせていますから道路交通法の適用はなく、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」の第5条(過失運転致傷罪)が適用され、
7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金
に処せられる可能性があります(ただし、初犯の場合など情状が悪質でない場合は罰金刑、あるいは不起訴で終わることもあります)。
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泥酔者を放置して軽犯罪法違反!?
泥酔者を放置して軽犯罪法違反!?
泥酔者を放置する行為による軽犯罪法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県福岡市東区に住むAさんは、自己の敷地内に顔を赤くし、酒臭がする一見して明らかな泥酔者Bさんが寝込んでいるのを発見しました。ところが、Aさんは、「下手に声をかけたら怖い。」「うちとは関係ない人だからそっとしておこう」などと思って警察に通報することなくそのまま放置していました。すると、たまたまAさん宅近辺を巡回中の警察官XがBさんを発見しました。そして、Aさんは警察官Xから職務質問を受け、「自分には保護する義務はないからそのまま放置した。」などと言ったところ、警察官Xから、「それはいけませんよ。」「少なくともわれわれ警察官に通報してもらわないと。」「軽犯罪法違反に当たりますよ。」などと言われてしまいました。Aさんとしては、軽犯罪法の何という罪に当たるのか気になり、刑事事件専門の弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです)
~ 要扶助者・死体等不申告の罪 ~
軽犯罪法1条18号には要扶助者・死体等不申告の罪が規定されています。
どういう罪なのか、まずは条文から確認しましょう。
18号
自己の占有する場所内に、老幼、不具若しくは傷病のため扶助を必要とする者又は人の死体若しくは死胎のあることを知りながら、速やかにこれを公務員に申し出なかった者
つまり、18号に当たる者は「拘留又は科料」に処する、というのが軽犯罪法1条18号の趣旨です。
要扶助者・死体等不申告の罪と似ている罪として刑法217条の遺棄罪があります。
刑法217条
老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、1年以下の懲役に処する。
ただ、刑法217条の「遺棄」とは、移置、つまり被遺棄者(老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者)を従来の場所から生命・身体に危険な場所に移転することをいい、その移転する場所は特に限定を設けていません。
他方、要扶助者・死体等不申告の罪では、「自己の占有する場所内」にある要扶助者、死体等を対象としており、場所の移転を予定しておらず、単に放置するだけ(つまり、公務員に申し出なかっただけ)で罪に問われてしまう可能性があります。
なお、「自己の占有する場所」とは、現実に支配している場所をいいますから、自宅敷地がこれに当たることは明らかでしょう。
次に「扶助を必要とする者(要扶助者)」とは、老年、幼年、不具(身体器官の不完全なこと)若しくは傷病のため精神的・肉体的欠陥を生じ、他人の力なしでは自力で行動をとることが困難な者をいいます。
「老年」、「幼年」かどうかにうちては明確な年齢の基準はなく、その人その人の個別具体的事情により決まります。
「病」については、精神病者はもちろんのこと、白痴、催眠術にかかった者、飢餓者、疲労困ぱい者、泥酔者などもこれに含まれると解してよいでしょう。
最後に、「速やかに」というのがどの程度の時間の経過をいうのでしょうか?
これについても明確な基準はなく、要扶助者の状態、発見時刻等や、応急処置を施すのに時間を要したものであるかどうかといったこと、その他具体的状況に照らして、社会通念に従って判断されます。
~ 場合によっては遺棄罪、保護責任者遺棄罪等に問われるかも? ~
「遺棄」とは、先ほども申し上げたとおり、場所的移転を伴う行為ですから、たとえばAさんが「邪魔だ」と思ってBさんを公園などの他の場所に運んだ、という場合は先ほどご紹介した遺棄罪に問われる場合があります。
また、まったく赤の他人でも、一度介抱したり保護すれば、あなたは法律上の保護義務を負う場合があります。その場合、面倒臭くなって途中で保護をやめた場合などは保護責任者遺棄罪に問われる可能性がありますから注意が必要です。
また、両罪の結果、人を死傷させた場合は遺棄等致死傷罪、保護責任者遺棄致傷罪(刑法219条)に問われる可能性もありますから注意が必要です。
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強制わいせつ致傷罪と示談
強制わいせつ致傷罪と示談
強制わいせつ致傷罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県春日市に住むAさんは、深夜、人通りの少ない市内の路上を歩いて帰宅していたところ、少し先を一人で歩く女性Vさんを見つけました。
背格好などから自分の好みのタイプだと思ったAさんはVさんにわいせつな行為をしようと考え、Vさんに気付かれないように近づき、Vさんの背後から両手を回し、衣服の上からVさんの乳房を揉みました。ところが、Aさんは、Vさんから大声を上げられたためその場から立ち去ろうとしたところ、Vさんに追いかけられてきたことからVさんの顔面を手拳で1回殴打し、Vさんに鼻骨を骨折させる怪我を負わせました。その後、Aさんは、福岡県春日警察署に強制わいせつ致傷罪で逮捕されました。
(フィクションです)
~ 強制わいせつ致傷罪 ~
強制わいせつ致傷罪は刑法181条1項に規定されています。
本罪は、強制わいせつ既遂罪、あるいは強制わいせつ未遂罪を犯し、よって人を死傷させた場合に成立する罪です。
法定刑は、無期又は3年以下の懲役です。
~ 強制わいせつ罪既遂、あるいは未遂罪が成立していること ~
強制わいせつ罪は刑法176条に規定されています。
刑法176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
「暴行」とは、他人の身体に対する有形力の行使をいい、脅迫とは、人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。
そして、強制わいせつ罪における暴行、脅迫の程度は、一般には、被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度のものでなければならないとされています。
具体的には、
・殴る、蹴る、叩く
・首を絞める、馬乗りになる
・「殺すぞ」「家を焼くぞ」「裸の写真ネットにばらまくぞ」などと言う
などが挙げられます。
また、暴行それ自体がわいせつ行為であってもよいとされています。
「わいせつな行為」とは、徒に性欲を興奮又は刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為をいうと解されています。
具体的には、
・膣を触る
・陰部に手を入れる
・乳房を弄ぶ
・相手方の感情を無視した接吻
などがこれに当たるでしょう。
以上からすると、Aさんには強制わいせつ既遂罪が成立する可能性が高いと思われます。
~ 傷害が発生し、因果関係が認められること ~
その他に、強制わいせつ致傷罪が成立するための要件としては、「相手方に怪我が生じたこと」が必要です。
どの程度の怪我であることを必要とするのかについては争いのあるところですが、判例の大勢は、傷害罪の「傷害」と統一的に解釈すべきものとしています。なお、骨折は明らかに怪我と認定されます。
次に、強制わいせつ行為と怪我との間に「因果関係」の存在することが必要です。
この点、本件では、Aさんがわいせつ行為を行い終わった後、つまり、わいせつ行為を行う意思を喪失した後にVさんに暴行を加え、怪我をさせていることから、「因果関係」を認めることができるのか争点となり得るところです。
しかし、同様の事例で判例(平成20年1月22日)は、同様の事案で「因果関係」有りと判示しています。
~ 強制わいせつ致傷罪と示談 ~
罪を認める場合は、一刻も早く被害者と示談交渉を進めることが肝要です。
示談交渉を進めているということは、基本的に罪を認めていることが前提で、その結果罪証隠滅のおそれはないと判断され、早期釈放に繋がりやすくなります。また、示談が成立すれば、被疑者に有利な情状として考慮され、不起訴獲得の可能性が高くなります。被害者様から「被疑者を処罰しないで欲しい」などという宥恕条項を獲得できれば、その可能性はさらに上がることとなるでしょう。
示談交渉は弁護士にお任せください。
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示談を強要して強要未遂罪で逮捕
示談を強要して強要未遂罪で逮捕
示談強要行為による強要未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。
福岡県柳川市に住むAさんは、元交際相手だったVさんと喧嘩になり、Vさんに対し暴行を加えた件で柳川警察署に被害届を出されました。Aさんは自らのしたことを認めて反省し、Vさんと示談交渉をはじめました。しかし、Vさんの態度はかたく、示談交渉は一向に進展しませんでした。そこで業を煮やしたAさんは、Vさんに「はやく示談書にサインしろ」「示談しなければ、お前の過去のこととか写真をインスタに挙げるからな」などというメールを送りました。Aさんは、これでVさんが示談に応じるだろうと思っていましたが、Vさんから何ら音沙汰はなく、反対に強要罪の被害届を柳川警察署に提出され、その結果、暴行罪、強要未遂罪で逮捕されてしまいました。Aさんの家族は、刑事事件に強い弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 示談とは ~
「示談」とは、紛争の当事者同士が合意によって事件を解決することをいいます。広い意味で和解といいます。通常、示談に記載された内容以外の損害賠償請求はできなくなるという条項が示談書に記載されます(清算条項)。一方、「被害弁償」とは、単に相手方に損害賠償金(示談金)を支払うことをいい、それ以上の損害賠償請求されないことを確約するものではありません。両者の違いに注意する必要があります。
~ 刑事事件で示談すると? ~
被害者が示談を成立させる場合、そこには事件に対する被害者の一定の納得が示されていることになります。
そして、被害者との間で交わした示談書を捜査機関(警察、検察)に提出すれば、警察の場合、
・事件の立件化の見送り
・立件されていたとしても検察への送致の見送り(不送致)
などという効果が期待できます。検察の場合、
・不起訴処分の獲得
などという効果が期待できます。なお、被害者が捜査機関に被害届や告訴状を提出する前に示談を成立させることができれば、捜査機関へ被害届、告訴状を提出されることを阻むことができるかもしれません。
~ 示談交渉は弁護士を入れなくてもできる? ~
もっとも、これらの効果は、示談が有効に成立した場合に期待できるものです。あなたがごり押しして作成した示談、内容に不備がある示談では有効とはいえず、上記の効果を期待できないかもしれません。
もちろん、示談は、当事者の紛争を話し合いによって解決するものですから、示談交渉は弁護士を入れず紛争の当事者同士(加害者、被害者)で進めていくことも可能です。しかし、法律の素人である当事者同士では、そもそも感情の縺れなどから示談交渉を進展させることが難しいでしょうし、仮に進展させることができたとしても、有効な示談かどうかが分かりません。
よって、示談交渉は弁護士に依頼した方が無難です。
~ もしもごり押しした場合は? ~
もしも、被害者に示談することを強要した場合は、Aさんのように強要罪で逮捕される可能性もあるということを頭に入れておかなければなりません。
強要罪は刑法223条に規定されています。
刑法223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
Aさんの「示談しなければ、お前の過去のこととか写真をインスタに挙げるからな」という行為は、Vさんの「名誉」に対し「害を加える旨の告知(害悪の告知)」に当たるでしょう。また、示談するかどうかは、Vさんの意思に委ねられる事柄ですから、これを強要することは「人に義務のないことを行わせ」たことに当たるでしょう。なお、本件は、Vさんが実際に示談書にサインをしなかったことから未遂罪にとどまった模様です。強要罪は未遂罪を処罰する旨の規定も置かれていますから注意が必要です。
刑法223条3項
前2項の罪の未遂は、罰する。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
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