少年事件~親族間の窃盗罪~

少年事件~親族間の窃盗罪~

少年事件親族間の窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

北九州市若松区に住むA君(15歳)は、夏休みに、福岡市内に住む祖父Vさん(70歳)の家に遊びに行った際、小遣い銭欲しさにVの財布の中から1万円札5枚を抜き取りました。A君は、直後に1万円札5枚がなくなったことに気づいたVさんから、「泥棒に入られたばい。」「警察に被害届を提出しに行くけん。」と言われましたが、Vさんに「自分が盗りました。」ということができませんでした。その後、A君は福岡県中央警察署から出頭するよう連絡を受けました。これを聞いたA君の両親は驚き、A君に何をしたのか尋ねたところ、A君は「おじいちゃん家でお金を盗んだ。」と言いました。A君とA君の両親はVさん方へ謝罪に行き、Vさんに被害弁償として10万円を手渡しました。
(フィクションです。)

~ 窃盗罪に当たる ~

A君がVさんの財布の中から1万円札を抜き取る行為は窃盗罪に当たります。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

~ 親族相当例 ~

ただし、親族間で犯したある一定の犯罪については特例が設けられています。これを親族相当例といいます。
親族相当例は

法は家庭に入らず

という思想に基づいています。すなわち、親族間の内部的なことは、それが犯罪であっても、国家が積極的に介入することを差し控え、親族間相互の規律に委ねる方が親族間の秩序維持のためにも望ましいことであり、刑事政策上も妥当であるという考え方です。

窃盗罪(刑法235条)・不動産侵奪罪(刑法235条の2)の親族相当例については刑法244条に規定されています。

刑法244条
1項 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2項 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3項 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

~ 親族相当例の効果(刑法244条1項) ~

刑法244条1項では「刑を免除する」とされています。
刑の免除は有罪判決の一部ですが、通常の有罪判決と異なるのは、刑が執行されない、ということでしょう、つまり、窃盗罪で規定される懲役刑や罰金刑を科されることはありません。この点で、刑を科される可能性が残されている執行猶予とは異なります。
ただし、有罪判決の一部ですから、判決が確定すれば前科は尽きます。

~ 刑を免除される親族 ~

刑を免除される親族は、「配偶者」「直系血族」「同居の親族」です。
「配偶者」とは、いうまでもなく婚姻関係にある相手方のことをいいます。内縁関係にある者は含まれないと解されています。
「直系血族」とは、祖父母-父母-子-孫といった縦の関係の血族をいいます。ですから、兄弟、姉妹といった横の関係は含まれません。養親と養子といった直系の法定血族も「直系血族」に含まれます。
「同居の親族」とは、同一住居内で日常生活を共同にしている親族のことをいいます。 

~ 少年事件の行方 ~

少年事件では、少年の健全な育成、性格の矯正、環境の調整を目的とされますから、直ちに刑が科されることはありません。
したがって、少年事件では「刑の免除」という概念も不要ですが、ときに、未成年者のような行為を起こしやすく、窃盗罪で検挙される少年も多いことからご紹介したしだいです。

仮に、Vさんが警察に被害届を提出し、少年事件となってしまった場合、事件は警察→検察→家庭裁判所へと送られ、最終的には少年審判を受けなければならなくなるかもしれません。
そうした事態に陥らないように、まずは被害者の方へ謝罪し、被害弁償を行うことが賢明です。
被害弁償でお困りの際は弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

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