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【事例解説】現住建造物等放火罪で逮捕 裁判員裁判で審理

2023-06-13

 交際相手の居住するアパートに放火したとして現住建造物等放火罪で逮捕された事件を参考に、現住建造物等放火罪とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 北九州市在住の自営業男性A(23歳)は、交際中のVが賃借して居住する同市内の木造2階建てアパートの一室にて、Vの外出中に留守を預かっていたところ、クローゼットに掛けているVの洋服にライターで放火しました。
 洋服が焼け落ち、床の一部に火が燃え移ったため、Aは慌てて消火しようとしましたが火が燃え広がってしまったところ、駆け付けたアパートの管理人が消火器で鎮火しました。
 Aは、管理人に現住建造物等放火の容疑で現行犯逮捕され、通報により臨場した警察官に引き渡されました。
 警察の調べに対し、Aは、Vとの喧嘩の腹いせで洋服を燃やそうと思ったが、アパートまで燃やすつもりはなかったと、現住建造物等放火の容疑を否認しているとのことです。
(事例はフィクションです。)

現住建造物等放火罪とは

 放火して、現に人が住居に使用する建造物焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する、と定めています(刑法第108条)。
 なお、法定刑の下限が5年以上の懲役であることから、有罪になると執行猶予が付くことのない、非常に重い罪と言えます。

 「放火」とは、目的物に点火することです。直接目的物に点火する場合だけでなく、紙類等の着火しやすい物を媒介物として、目的物に点火する場合も含みます。
 「焼損」とは、火が媒介物を離れて、目的物が独立して燃焼を継続するに至った状態を指します。

 本件Aの容疑は、クローゼットに掛けている洋服を媒介物として、「現に人が住居に使用する建造物」であるアパートに「放火」し、その床に火を燃え移らせ「焼損」したという、現住建造物等放火罪です。

現住建造物等放火罪の故意

 Aは、Vの洋服を燃やそうと思ったが、アパートまで燃やすつもりはなかったとして、現住建造物等放火罪故意(罪を犯す意思)を否認していますが、故意は、積極的に結果の発生を意図する場合だけでなく、結果が発生するかもしれない、又は発生してもかまわない、という認識がある場合でも認められます(これを「未必の故意」といいます。)。

 現住建造物等放火罪で起訴された場合、犯行動機を含むAの供述内容のほか、Vの室内の物の配置、放火の態様、犯行後のAの言動などの客観的証拠から、現住建造物等放火罪の故意の有無が裁判で審理されることになります。

現住建造物等放火罪の弁護活動

 現住建造物等放火罪は、法定刑に死刑又は無期懲役を含む罪であるため、起訴された場合、通常、裁判官3名と国民から選ばれた裁判員6名の合議による裁判員裁判の対象となります。

 裁判員裁判の審理が行われる場合、弁護人は、法律の専門家ではない裁判員に、平易な言葉や説明でAの主張の内容を理解してもらう必要があります。
 本件では、Aに現住建造物等放火罪未必の故意と言えるほどの認識は無かったことを、客観的証拠に基づき裁判員に理解してもらえるよう主張することが考えられます。

 また、裁判員裁判での審理の前には、事件の争点や証拠を整理して審理の計画を立てる「公判前整理手続」が必ず開かれる点も、通常の刑事事件の裁判とは異なります。

 以上のことから、裁判員裁判の対象事件については、刑事弁護に強く、裁判員裁判の経験豊富な弁護士に相談することをお勧めします。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
 ご家族が現住建造物等放火罪で逮捕されるなどしてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

【事例解説】落とし物の財布を横領 遺失物横領罪で取り調べ

2023-06-10

 コンビニの駐車場に落ちていた財布を持ち去ったとして警察で取り調べを受けた事件を参考に、遺失物横領罪と、その弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

 福岡市在住の男子大学生A(22歳)は、コンビニの駐車場に落ちていた財布を発見し、そのまま持って帰ってしまいました。
 暫く後、財布の落とし主Vからコンビニに連絡があったところ、防犯カメラにAの様子が写っていたため警察に通報がなされ、後日、警察からAに呼び出しがあり、遺失物横領の容疑で任意の取り調べが行われました。
 Aは、今後の対応について、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

遺失物横領罪とは

 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する、と定められています(刑法第254条)。

 遺失物とは、「他人が占有していた物であって、当該他人の意思に基づかず、かつ、奪取によらず、当該他人が占有を失ったもので、それを発見した者の占有に属していないもの」と定義されており、落とし物は通常これに該当します。

 遺失物法により、遺失物の拾得者は、遺失物を速やかに遺失者に返却するか、警察等に提出しなけなければならないとされていますが、遺失物横領(自己の占有する他人の物を不法に自分の物にすること)した場合、遺失物横領罪が成立します。

 本件では、Vの落とした財布は遺失物にあたるので、Aが拾得後、これを横領したとして、遺失物横領の容疑で取り調べが行われたものです。

持ち主の占有の有無と窃盗罪の成否

 本件では、Aに窃盗罪が成立する可能性もあります。
 他人の物を拾得したときに、持ち主の占有が残っている場合は窃盗罪が成立し、持ち主の占有が残っていない場合は遺失物横領罪が成立します。

 ここでの占有とは、「物が他人の事実的支配力の及ぶ場所に存在する」こととされており、人の出入り等の現場の状況、持ち主が現場を離れて経過した時間や移動した距離など、様々な要素から占有の有無が判断されます。

 なお、判例では、公園のベンチに置き忘れた小物入れを持ち去った場合に、持ち主が現場から離れた時間や距離等の事情から、窃盗罪の成立を認めたものがあります。

 以上のことから、本件でVがコンビニの駐車場を離れた時間や距離などから、財布に対するVの占有が残っていたものとして、容疑が窃盗罪に変わる可能性も否定できません。

遺失物横領罪の弁護活動

 窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、遺失物横領罪より重くなるため、取り調べについては、刑事事件に強い弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めします。

 遺失物横領罪などの財産犯では、被害者への謝罪や被害弁償の有無のほか、示談の成立が検察官の起訴・不起訴の判断において特に重視されますが、刑事事件に強い弁護士であれば、しっかりした内容の示談が成立する可能性が見込まれ、不起訴処分で事件が終了する可能性を高めることができます。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、遺失物横領罪などの財産犯の事件において、示談成立による不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
 遺失物横領罪で自身やご家族が警察の取り調べを受けるなどして不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部へご相談ください。

【事件解説】未成年の少女を自宅に連れ込み 未成年者誘拐罪で逮捕

2023-06-07

 SNSで知り合った未成年の少女を自宅に連れ込み、未成年者誘拐罪で逮捕された事件とその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件概要

 福岡県大牟田市に住む中学3年生の少女Vを誘拐したとして、福岡市在住の会社員の男A(25歳)が未成年者誘拐罪で現行犯逮捕されました。
 福岡県警博多警察署の調べによると、AはVとSNSで知り合い、Vが未成年であることを知りながらAの自宅で会う約束をし、Aの自宅の最寄り駅まで来たVを迎え、自宅に連れ込みました。
 Vの両親から警察に捜索願が出され、スマートフォンの位置情報からVの居場所が特定され、駆け付けた警察官にVは保護されました。
 警察の調べに対し、AはVを自宅に連れ込んだことは認めていますが、わいせつ目的等はなかったと供述しています。
(過去に報道された実際の事件に基づき、一部事実を変更したフィクションです。)

未成年者誘拐罪とは

 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する、と定められています(刑法第224条)。

 「誘拐」とは、欺罔または誘惑を手段とし、人を従来の生活環境から離脱させ、自己又は第三者の事実的支配化に置くこと、とされています。
 本件では、AはVと約束した上、最寄り駅まで来たVを自宅に連れ込んだとのことですが、判断能力が十分とは言えない中学生に自宅に来るよう誘うことは「誘惑」と認められます。
 また、Vの自宅から離れた福岡市内の自宅に連れ込んだことは、Vを「従来の生活環境から離脱」させ、「事実的支配下」に置いたものと認められるため、未成年者誘拐罪で逮捕されています。

 なお、未成年者誘拐罪は、営利、わいせつ、身代金要求等の目的がなくても成立しますが、これらの目的が伴う場合は、被害者が成人の場合と同様、営利目的等誘拐罪、身の代金目的誘拐罪等が成立します。

未成年者誘拐罪の弁護活動

 未成年者誘拐罪が保護する法益は、未成年者の身体の自由・安全のみならず、両親等の監護権も含むとされるため、未成年者の同意があったとしても、犯罪の成立は妨げられません。

 他方で、未成年者誘拐罪親告罪であり、両親等からの告訴(捜査機関に対し被害の事実を申告し、かつ犯人の処罰を求める意思表示)がないと起訴されないため、弁護活動としては、両親等との示談交渉により、告訴をしない又は告訴を取り消す内容を含む示談の成立を目指します。

 なお、告訴する権利を放棄することは判例では認められておらず、告訴しないという内容の示談が成立したとしても、両親等が翻意して告訴がなされるおそれは排除できないため、そのような可能性をできる限り減らすためにも、刑事事件の示談交渉の経験が豊富な弁護士により、双方が十分に納得した上での示談を成立させる必要があります。

福岡県の刑事事件に関するご相談は

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は刑事事件に強く、様々な刑事事件における示談交渉の経験が豊富にあり、未成年者誘拐罪の事件解決の実績もあります。
 ご家族が未成年者誘拐罪で逮捕されご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

傷害の共犯事件 手を出していないのに警察から呼び出し

2023-06-03

手を出していないのに警察から呼び出されたという傷害の共犯事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

高校生A君は、友人が起こした後輩に対する傷害事件の共犯として飯塚警察署に呼び出されて取調べを受けています。
かねてからA君は、友人から「最近、後輩が生意気だ。一度、ヤキ入れてやる。」と聞かされており、事件の日は、友人に頼まれて暴行現場に後輩を連れて来て、その現場に居合わせただけで全く手を出していないA君は、共犯として取調べを受けている事に納得できません。
(フィクションです)

傷害罪

人を暴行して傷害を負わせたら傷害罪となります。
傷害罪の罰則規定は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」なので、起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内で刑事罰を受けることとなりますが、A君は高校生(少年)なので、この法定刑は適用されず、家庭裁判所に送致後は少年法に基づいた手続きが進みます。

共犯

二人以上の者が共謀して犯行に及んだ場合は共犯として刑事罰の対象となります。
共犯が成立するためには

①共謀が行われたこと。
②共謀に基づいて実行行為があったこと。

の2つの要件が必要とされています。
ここでいうところの「共謀」とは、二人以上の者が、特定の犯罪を行うために謀議することをいいます。

今回の事件は、友人に頼まれたA君が、被害者である後輩を暴行現場に連れてきています。
かねてからA君は、友人から「最近、後輩が生意気だ。一度、ヤキ入れてやる。」と聞かされていたので、友人が暴行することを知って、後輩を暴行現場に連れてきましたが、後輩に対する暴行には加担していません。
この様な場合も、傷害罪の共犯が成立するのでしょうか?

まず、暴行の実行行為に加わらなかった者も共犯になるのかという問題ですが、実際に暴行していなくても、事前に暴行する事の共謀があって、後輩を犯行現場に連れて来たのであれば、共犯として認められるでしょう。
また、そもそも共謀があったのかという点についてですが、過去の裁判では

『犯罪の実行について相互に意思の連絡があれば、犯行の手段や、方法等に具体的な謀議がなくても「共謀」があったことになる』

とされています。
また意思の連絡方法については、必ずしも口頭によるものでなくてもいいので、A君と友人の間で「後輩を暴行する」という統一の意思を相互が共有していれば、共謀が認められる可能性は高いでしょう。

まずは弁護士にご相談ください

傷害事件共犯が認められるか否かは、警察の取調べに対して、どのように対応し、どのような内容の調書が作成されるかによります。
福岡県内の暴力事件でお困りの方、傷害事件の共犯で警察の取調べを受けておられる方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部の刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

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【福岡県の薬物事件】警察で採尿されました…逮捕されますか?

2023-05-31

『警察で採尿されました…逮捕されますか?』
このご質問に、福岡県の薬物事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部の弁護士がお答えします。
 

相談内容

私は覚醒剤の前科があります。
昨日、博多警察署の警察官に職務質問された際に任意採尿を求められたので、警察署に移動して自然排尿した尿を提出しました。
実は1週間前に友人からもらった覚醒剤を使用していたのですが、簡易鑑定では覚醒剤反応が出ずに帰宅することができました。
本鑑定では覚醒剤反応が出るのでしょうか?もし覚醒剤反応が出た場合、逮捕されますか?

(この相談内容は実際にあったご相談を基にしたフィクションです。)

この相談はフィクションですが、同じような内容の相談が、薬物事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部によくあります。
今回は、この質問に薬物事件に強い弁護士がお答えします。

Q1 本鑑定で覚醒剤反応が出るのか?

採尿直後に、警察官が行う鑑定は、簡易鑑定です。
もし、覚醒剤の使用直後から15日までの間に採尿された場合は、簡易鑑定で覚醒剤反応が出なかった場合でも、科学捜査研究所で行う本鑑定で覚醒剤反応が出る可能性はあります。

Q2 本鑑定で覚醒剤反応が出た場合逮捕されますか?

逮捕される可能性は非常に高いです。
覚醒剤の使用事件の取調べは、覚醒剤を使用した経緯や、覚醒剤の使用時期、使用量、使用方法だけでなく、覚醒剤の常習性や、使用した覚醒剤の入手先に至るまで幅広く行われるため、逮捕、勾留される可能性が非常に高いです。

またQ2の質問に続いて、多い皆様からの質問が
「採尿されてどれぐらいで逮捕されますか?」
といった内容です。
科学捜査研究所での本鑑定に要する時間や、逮捕状を請求するまでの時間が法律的に定まっていないことから、逮捕までの時間はハッキリとお答えできません。
採尿から数日後に逮捕された方もいますし、遅い方は採尿から1カ月以上経過して逮捕された方もいます。

まずは弁護士に相談を

覚醒剤の使用事件で警察に逮捕されるか不安のある方、福岡県で薬物事件に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、薬物事件に関するご相談を初回無料で承っておりますので、ご相談を希望される方は フリーダイヤル 0120-631-881 までお気軽にお問い合わせください。

【少年事件を解説】オートバイ盗で逮捕された少年の弁護活動 

2023-05-28

【少年事件を解説】オートバイ盗で逮捕された少年の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事例

博多駅前の駐輪場に駐車してあったオートバイを盗んだとして、福岡市内に住む中学生のAくん(15歳)とBくん(14歳)が福岡県中央警察署に窃盗の疑いで逮捕されました。
Aくんは、部活を引退した後、地元の不良仲間とつるむようになり、最近では夜中に出歩いたり、無断外泊を繰り返していたようです。
Aくんは、逮捕されたことを受け、自身の軽率な行動について反省しています。
Aくんの母親は、逮捕を知り大変ショックを受け、すぐに父親に連絡をしました。
逮捕の連絡を受けたAくんの父親は、少年事件に対応してくれる弁護士を探すことにしました。
(フィクションです)

刑法犯少年のうち、最も多いのが窃盗犯です。
なかでも、万引き、自転車盗やオートバイ盗が多く見受けられます。
少年は、単独で行うよりも、複数人と共謀して窃盗を行うケースが多くなっています。
初犯の万引き事件のように比較的軽微な事件であれば、逮捕される可能性は低いでしょう。
しかし、共犯者がいたり、被害金額が多い場合には、少年であっても逮捕され、その後勾留となる可能性はあります。

少年のオートバイ盗での弁護活動

少年によるオートバイ盗事件において、弁護士は主に次のような活動を行います。

1.身柄解放

逮捕された少年については、逮捕後勾留を回避すべく、すぐに身柄解放活動に着手します。
逮捕から48時間以内に、少年は検察庁に証拠や関係書類と共に送られます。
そうでなければ、少年は釈放となります。
少年の身柄を受けた検察官は、24時間以内に、少年を釈放するか、裁判官に勾留(又は勾留に代わる観護措置)を請求します。
検察官からの勾留(又は勾留に代わる観護措置)請求を受けた裁判官は、少年を勾留するかどうかを判断します。
裁判官が勾留を決定した場合には、検察官が勾留請求をした日から10日間、少年の身柄は拘束されることになります。
10日間の身体拘束となれば、その間学校や職場に行くことはできませんので、最悪退学や解雇といった事態に陥る可能性があります。
そのような事態を回避するためにも、勾留を阻止し早期に釈放となるよう関係機関に働きかけます。
具体的には、検察庁に送られたらすぐに、担当検察官に対して、少年について勾留請求をしないよう意見書の提出や電話での面談を通じて主張します。
検察官が勾留(又は勾留に代わる観護措置)を請求した場合には、勾留の要件を満たしていない旨を客観的証拠に基づき主張し、裁判官に対して勾留をしないよう働きかけます。
裁判官が勾留を決定した場合であっても、その決定に対して不服申立てを行い、最初の勾留の決定をした裁判官ではない裁判官らに改めて先の決定が間違っている旨を主張し、釈放するよう主張します。
逮捕から勾留までは、長くとも3日で決まってしまいますので、できる限り早期に弁護士に相談し、身柄解放活動に着手するのがよいでしょう。

2.被害者対応

オートバイ盗は、被害者のいる事件ですので、被害者への謝罪や被害弁償を行うことが重要です。
被害者は経済的損失以上に少年に対して怒りを感じていることもあるため、少年や少年の家族が直接被害者と連絡を取り合い対応するよりも、弁護士を介して行うほうが、被害者との交渉が感情的にならず、円滑に進む場合が多いと言えます。

3.環境調整

少年の審判では、非行事実に加えて要保護性についても審理されます。
要保護性というのは、簡単に言えば、少年が再び非行を犯すおそれのことです。
その再非行のおそれがないと裁判官に認められれば、少年院送致のような重い処分が言い渡される可能性は低くなります。
逆に言えば、軽微な非行であっても、要保護性が高ければ、少年院送致となる可能性もあるのです。
今回のケースで考えると、Aくんの非行の原因のひとつに、不良仲間との関係性があげられるでしょう。
そのため、彼らとの交流関係を断ち切り、Aくんが再び非行を犯すことのないよう周囲の環境をつくる必要があります。
そのためには、単にAくんの不良仲間との縁を切るよう言い聞かせるだけでは足りないでしょうし、大人側から一方的に言われることに対してAくんが反発することもあるでしょうから、Aくんの家族や学校とも協力して、事件を起こした原因を一緒に考え、解決策を見出す手助けをしていくことが重要です。
弁護士は、少年本人、少年家族や学校、裁判所と密に連携をとりながら、少年の更生に適した環境を調整する役割を担います。

以上のような活動は、少年事件に精通した弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様がオートバイ盗で逮捕されてお困りの方は、すぐに弊所の弁護士にご相談ください。
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強盗犯に反撃 正当防衛は成立するのか!?

2023-05-25

強盗犯に反撃した事件を参考に、正当防衛の成否について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事例

福岡県八女市に住む会社員のAさんは、会社帰りに夜道を歩いていたところ、大柄の若い男に金を出せと脅されました。

Aさんは、お金を取られたくなかったのもあり出し渋っていたところ、男の内1人が殴りかかってきたので、Aさんは、この男の身体を両手で突き飛ばしました。
そうしたところ、男がバランスを崩し倒れてコンクリートの地面に頭を打ちつけて気を失ってしまいました。
(フィクションです。)

強盗犯に反撃したAさんの行為が正当防衛になるのかを検証!

正当防衛

犯罪が成立するためには、犯罪の構成要件に該当し、違法で、有責といえる必要がありますが、正当防衛が成立すると、この違法性が阻却されるため刑事罰を受けません。

刑法第36条

急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

正当防衛の成立要件

正当防衛が成立するためには

「急迫不正の侵害」に対して
「自己又は他人の権利」
「防衛するため」
「やむを得ずにした行為」

である必要があります。

「急迫不正の侵害」とは、違法な法益侵害が現に存在しているか、又は間近に押し迫っていることをいいます。
ここでいう「不正」とは、違法であればよく、有責であることまで必要とされません。

「自己又は他人の権利」とは、生命、身体、財産などの法律上保護に値する権利のことをいいます。

「防衛するため」といえるには、防衛の意思が存在する必要があります。
防衛の意思の内容としては、侵害の認識と侵害に対応する意思があれば足り、防衛の意思と攻撃の意思とが併存している場合でも、必ずしも防衛の意思を欠くものではないとされています。
もっとも、積極的加害意思があるような場合は、防衛の意思は否定されます。

「やむを得ずにした行為」とは、防衛行為としての必要性と相当性を有する行為のことをいいます。

必要性とは、侵害を防ぐために必要な行為であることをいいますが、緊急避難のようにそれ以外に法益保全の手段がないことや必要不可欠な手段であることまでは要求されていません。
次に、相当性とは、防衛する手段として必要最小限度のものであることをいいます。これは、武器対等の原則を念頭に、性別、年齢、力量等も考慮して判断されます。

Aさんは正当防衛になるのか?

Aさんは、夜道でいきなり金を要求された後、男の一人から殴りかかられているので、「急迫不正の侵害」は認められるでしょう。

また、Aさんは自らの身を守るために、とっさに反撃しているものの、その行為は相手の身体を突き飛ばしただけなので、積極的加害意思は認められませんので、「自己の権利」「防衛するため」「やむを得ずにした行為」ともいえるでしょう。
以上の状況だけを考慮すると、Aさんの行為には正当防衛が認められる可能性が高いでしょう。

正当防衛を主張するのであれば

正当防衛を主張したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部では、刑事事件専門の弁護士による法律相談を初回無料で、また逮捕されてしまった方のもとに弁護士を派遣する 初回接見サービス を即日対応しています。
無料法律相談や初回接見サービスのご予約は
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福岡県内で飲酒運転で相次ぐ 一晩で3人が逮捕

2023-05-22

先週末の5月19日夜から20日朝にかけて、福岡県内で飲酒運転が相次ぎ、3人が逮捕されたようです。(5月20日配信の九州放送記事を引用

そこで本日のコラムでは、飲酒運転刑事責任等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

飲酒運転

皆さんご存知のとおりお酒を飲んで車等の車両を運転すると飲酒運転となり、免許停止や免許取り消しといった行政の処分だけでなく、いわゆる「前科」と呼ばれる、刑事罰を受けることとなります。
飲酒運転が警察に発覚するケースは様々で、代表的なのは飲酒検問等による警察官の取締りですが、その他にも、事故を起こして発覚するケースや、警察への情報提供によって発覚するケースもあります。
また『飲酒運転は現行犯じゃないと検挙されない。』と思われている方が多いようですが、警察官が運転しているところを現認していなくても、防犯カメラ映像などから運転していたことを証明して飲酒運転で立件されることがあるので注意が必要です。

飲酒運転の刑事責任

それでは飲酒運転の刑事責任について解説します。
飲酒運転は大きく分けて「①酒気帯び運転」と「②酒酔い運転」の2種類の違反があります。
①酒気帯び運転
酒気帯び運転については、道路交通法第65条第1項に「何人も酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と規定されており、これに違反した場合は、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられることになります。
呼気検査の結果が、呼気1リットル中0.15ミリグラム以上のアルコールを身体に保有している状態であれば、酒気帯び運転となってしまいますが、この基準値に満たなかった場合は取締りの対象外となります。
②酒酔い運転
酒に酔って正常な運転ができない状態で運転すると、酒酔い運転の法条が適用され、「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられることになります。
酒酔い運転については、数値は関係なく正常な運転ができる状態かどうかで判断されます。

飲酒運転で逮捕されると

単なる飲酒運転の場合、警察に逮捕されたとしても48時間以内に釈放され、勾留が決定することは滅多にありませんが、交通事故を起こしている場合などは、勾留が決定し身体拘束期間が長期化することもあります。

まずは弁護士に相談を

飲酒運転で取締りを受けた方で、今後の手続きや、刑事処分に関して不安のある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部の無料法律相談をご利用ください。
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『パパ活募集 JK歓迎』出会い系サイト規制法違反で取調べ

2023-05-19

『パパ活募集 JK歓迎』と出会い系アプリに投稿したとして、出会い系サイト規制法違反で取調べを受けている事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

参考事件

福岡県八女市に住むの会社員Aさんは、出会い系アプリに登録して、そのアプリの掲示板に『パパ活募集 JK歓迎』という投稿をしました。
この行為が出会い系サイト規制法に違反するとして、後日Aさんは、福岡県八女警察署に呼び出されて、取調べを受けています。
Aさんは、警察の取調べに対するアドバイスを求めて、刑事事件に強い弁護士に相談しました。
(フィクションです。)

出会い系サイト規制法

出会い系サイト規制法とは「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」という法律の略称です。
出会い系サイト規制法では、出会い系サイトを利用して児童を性交等の相手方となるように誘引する行為等を禁止すると共に、出会い系サイト事業について必要な規制を行っています。

出会い系サイト規制法は、児童を買春等の犯罪から保護し、もって児童の健全な育成に資する事を目的として、平成15年に施行された法律です。
施行当初は、携帯電話が世の中に普及し、中学生、高校生の若年層でも携帯電話を持ち始め、インターネットの利用者が急増した時代です。
この法律は、そんな時代に出会い系サイトの利用者が巻き込まれる事件が多発したのにともなって施行されたわけですが、それから20年経過した現代では、携帯電話からスマートフォンへと移行し、出会い系サイトは、出会い系アプリとなって世の中の人々に利用され続けています。
そんな中で、出会い系アプリの掲示板に軽い気持ちで投稿した内容が、出会い系サイト規制法に抵触する場合があるので注意してください。

規制内容と弁護活動

出会い系サイト規制法第6条では、出会い系サイトやアプリを利用して児童の性交等誘引行為を禁止しています。
これに違反すると100万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。
懲役の罰則が定められていない比較的軽微な犯罪ですが、警察に逮捕される可能性があるのは当然の事、Aさんのように逮捕されなくても、警察の取調べを受けると、事件が検察庁に送致され、初犯でも略式罰金刑になる可能性が高いと言えるでしょう。
刑事事件に強い弁護士に相談していただければ、警察の取調べに対してのアドバイスを受けることができ、その後の処分が少しでも軽くなる可能性が生まれます。

八女市の刑事事件に即日対応

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、八女市の刑事事件に関する無料法律相談や、初回接見サービスに即日対応しております。
刑事事件に強い弁護士が対応する 無料法律相談  初回接見サービス をご希望の方は、24時間対応中の フリーダイヤル0120-631-881 までお気軽にお問い合わせください。

無車検・無保険の車を運転した時の刑事責任は?

2023-05-16

無車検・無保険の車を運転した時の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

事件

会社員のAさんは、かつて父親が使用していた車を自宅の車庫に数年前から駐車しています。
Aさんは、運転免許は保有していますが、普段はバイクを使用しており車は使いません。
しかし大雨の日に、どうしても外出しなければいけない用事があり、しばらく使っていなかった父親の車で外出してしまいました。
偶然、交通取り締まりをしていた警察官に一時不停止で取締りを受けた際に、父親の車の車検自賠責保険の有効期限が切れていることが発覚し、Aさんは、福岡県飯塚警察署に任意同行されて取調べを受けています。(フィクションです)

道路運送車両法違反

道路運送車両法では、公道を走行する車について車検を受ける事を義務付けています。
車検を受けていない車で公道を走行する事は道路運送車両法違反になります。
道路運送車両法では、車検を受けていない車で公道を走行した場合の罰則を「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」と定めています。

自動車損害賠償保障法違反

自動車損害賠償保障法によって、公道を走行する車両には自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の加入が義務付けられています。
車検を受ける際には必ず、この保険に加入しているかを確認されるため、車検切れ車両のほとんどは、無保険車両です。
ちなみに自動車損害賠償保障法には無保険車両で公道を走行した場合の罰則について「90日間の免許停止と1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」を定めています。

行政処分

車検切れ車両の運転と、無保険車両の運転は行政処分の対象にもなり、共に違反点数6点が加算されます。

車検切れや、無保険車両を運転した場合に科せられる罰則は決して軽いものではない上に、違反点数も加算されるので、実質的に被る不利益は非常に大きいものです。
飯塚市で、無車検・無保険の車を運転してしまって警察の取り締まりを受けた方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部にご相談ください。

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