財産事件における占有の概念

2019-11-20

財産事件における占有の概念

財産事件における占有の概念について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部が解説します。

福岡県新宮町に住むAさんは、自宅まで帰る脚に困っていたため、道端に放置されてあった自転車に乗って自宅に帰宅し、自転車はとりあえず自宅の庭に停めておきました。すると、翌日、Aさんは自宅に福岡県粕屋警察署の警察官の訪問を受け、警察官から「庭に停めてある自転車はあなたのものかい?」と尋ねられました。Aさんは、警察官に「すみません、勝手に乗って帰ったものです。」と言ったところ、窃盗罪の被疑者として警察署で事情を聴かれることになりました。Aさんは逮捕されることはありませんでしたが、今後のことが不安になったため、今後の対応などについて弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

~ 財産事件における「占有」の概念の重要性 ~

刑法上、「占有」という言葉は、刑法242条、刑法252条(横領罪)、刑法253条(業務上横領罪)、刑法254条(占有離脱物横領罪)の4か条にしか使われていません。

刑法252条 
 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

刑法253条
 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

刑法254条
 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

しかし、その他の罪であっても、たとえば窃盗罪は他人の「占有」を侵害することにその本質があるとされています。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

また、「占有」の概念は、窃盗罪と横領罪、占有離脱物横領罪とを区分するためのメルクマークであり、財産犯の罪の成立を考えるうえで極めて重要です。

~ 「占有」の意義 ~

そこで、「占有」の意義が重要となりますが、刑法上の「占有」とは、

ある一定の物に対する事実上の支配力を有していること

をいいます。
法律上ではなく事実上でいいわけですから、その支配力が法的に保護され得るものである必要はありません。
たとえば、AさんがVさんのバックを盗った場合、刑法上は、Aさんにバックに対する占有が認められます。したがって、もともとの所有者であったVさんがさんが支配しているバックを勝手に盗れば窃盗罪に問われてしまう可能性もあるのです。

次に、現実に把持・監視している必要はなく、支配力を及ぼして入ればいいことになります(占有の客観的要素)。
つまり、財物が社会通念上占有者の支配力の及ぶ場所に存在することで足りるとされています。

なお、占有の客観的要素に加えて、占有の主観的要素(物を支配している認識)も必要です。
ただし、いちいち「どこに、何がある」などと認識している必要はなく、一般的、概括的認識で足りるとされています。

~ 具体例①(被害者が現実に把持している場合) ~

以上からすると、まず、被害者が現実に物を把持している場合は被害者に「占有」が認められやすいでしょう。
したがって、その被害者の物を盗った場合は窃盗罪に問われます。

~ 具体例②(被害者が現実に把持していない場合(自宅内))~

たとえば、旅行中の被害者宅に立ち入り現金を盗んだ、という場合です。
この場合、確かに、被害者は現金を把持していません。
しかし、自宅その他自己が排他的に管理・支配している場所においては、その場所それ自体が排他的に管理、支配されている以上、そこに存在する個々の財物について、いちいち認識していなくても、当然、居住者等の包括的は支配意思は及んでいるというべきです。したがって、現金に対する「占有」は認められます。
したがって、この場合でも窃盗罪は成立します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、財産事件をはじめとする刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

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